闇に潜む影   作:クリュネル

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今回はジム戦に入っていきます。
今回で終わるか次回に続くか分からないけれど
楽しんで読んでいってください!

それではどうぞ!


炎熱と宵闇

セツナ side

 

 

僕は意を決してジムの扉を開く。

 

扉を潜りそこには一枚の大きな写真が飾ってある。

ポケモンセンターで聞いた話によると、

このジムのジムリーダー、ビオラは

有名な写真家であるらしい。

 

その写真にわずかな時間ながら心を奪われた。

 

それには、大空を舞うポケモンの群れが写っていた。

 

「すごい...綺麗...」

 

思わず声が漏れる。

 

「そうだね...」

 

キノも同じことを思っていたらしい

そこに、

 

「その写真、気に入ってくれたかな?」

 

少しびくりとなりつつ声のした方に

振り返るとパチリとシャッターを切る音が鳴った。

 

そこにはカメラを構えた女性が微笑みながら立っていた。

 

「ビックリさせちゃったかな?

 ゴメンね、つい君たちが見えて絵になるなって思って撮っちゃった」

 

カメラを下ろし謝ってきた。

 

「いや、大丈夫ですよ

 僕らはここに入ってきたときにこの写真に見とれてしまって」

 

「へぇ、この写真のよさに引き寄せられたか

 他に人たちは見慣れてるからってあまり気にしてないみたいだけど

 ポケモンたちの力強さをよく写せたと思うんだ」

 

話している様子から本当に写真が好きな人なんだなと思う。

すごく表情が明るい。

 

「あ、そうだ!自己紹介がまだだったね

 私はビオラ、写真家をやっているよ」

 

一瞬硬直する。

 

この人は今なんて?...ビオラ?

ビオラって...

 

「あの、もしかしてジムリーダーのビオラさんですか?」

 

「お、よく知ってるねそうだよ

 私は写真家兼ハクダンジム、ジムリーダーのビオラだよ

 それじゃあ君たちは挑戦者ってことかな?」

 

そういった瞬間に空気が変わる。

オーラと言うか気配が変わる。

 

笑顔は変わらないのに全てが変わる。

 

(これが...ジムリーダーか、強いな)

 

「そ、そうです。

 僕はセツナ......このジムに挑戦しに来ました」

 

「うん分かったよ、じゃあついてきて」

 

そこで初めて左腕が小刻みに震えていることに気がついた。

 

恐怖だろうか、心臓が早く鼓動を刻み

やや、呼吸が浅くなる、気分が悪い。

 

「セツナ、大丈夫?」

 

「多分...でも少し怖いかな

 まぁ、いいか...行こうキノ」

 

(これくらいで怖じ気づいてたらこの先進めないな...)

 

ビオラはもうすでに大きな扉の前に立っていた。

自信に満ちた笑みを浮かべ、

 

「ここが、バトルフィールドだよ

 じゃあ、早速始めようか!」

 

「はい、ビオラさん手加減は不要ですよ」

 

見栄を張り少しだけ挑発する。

緊張で足がわずかに震える

 

「良い返事だ。

 じゃあ、彼女さんは観客席に...」

 

どうやら勘違いをしているらしい、

 

にっと笑い

 

「キノは僕の相棒ですよ、

 キノ無しのバトルはあり得ない」

 

「どういうこと?」

 

キノが一歩前に出てはっきりと告げる。

 

「私はキノ、ポケモンだからね」

 

その姿を見て思わず、綺麗だと思ってしまった。

強くしなやかで輝く月のように

 

ビオラは呆気にとられ、呆けている

意外とこの反応は面白い。

 

「ま、そう言うことで始めましょうか

 ビオラさん!」

 

「色々と気になるけどそうだね

 バトルが終わったら聞かせてもらうことにするよ

 ルールは手持ちすべてを使ったフルバトル

 そっちは何体いるの?」

 

「...二体です」

 

「そう、分かったよ」

 

即座に切り替えたのか不敵な笑みを浮かべ

高らかに宣言する。

 

 

-バトル開始!-

 

 

「行け!アメタマ!」

 

[アメッ!]

 

ビオラはアメタマを繰り出し様子を伺っているのか

指示を出さない。

 

「ねぇねぇ、セツナ君

 キノちゃんって何のポケモン?」

 

わざとおどけたように

 

「いやいや、さすがに教えられませんよ

 弱点を自分から曝すなんてしませんから」

 

「そうだよね...普通は

 まぁ、まずはこっちからいくよ!

 アメタマ!」

 

<バブルこうせん>

 

[アメッ]

 

アメタマは滑らかに横にスライドすると、

キノを中心に円を書くように回り泡を出す。

 

「キノ、目眩ましさせて」

 

キノは両手を前につき出して

 

「簡単に言わないでよね!」

 

手に収束させた光の弾を解放し、

視界が純白に覆われる。

 

「何これ!?」

 

ビオラの驚く声が聞こえる。

 

これはキノの性質を応用したものであり、

他のブラッキーは分からないが、

キノと言うブラッキーは体内に月のエネルギーを蓄えている。

 

キノを理解しようと話をしているときに教えてもらった。

まぁ、他のことにも使えるらしいが今はこれで良い。

 

視界が潰され見えないがうまくやっていることだろう、

 

「相手を捕捉して!」

 

「もうやった!」

 

「オッケー、じゃあ...」

 

自分の声に被せるように響く声がする。

 

[どくどく][むしのさざめき]

 

視界が戻り始め自分も相手を捕捉しようと

目を開けると、毒の障気を放つ寸前のキノを

衝撃の波が意とも容易く飲み込む。

 

「くぁぁ!」

 

「キノっ!」

 

キノが吹き飛ばされ背後の壁に叩き付けられる。

 

聞こえた技の名は[むしのさざめき]

悪タイプのキノにはかなりのダメージだろう

 

「これぐらいで出し抜けるなんてなめてもらっちゃ困るなぁ」

 

「やっぱり付け焼き刃程度の策じゃなぁ...

 キノ!大丈夫だよね!」

 

背後を振り返ると砂煙の中から服装を少し乱した程度で

平然と出てきた。

 

「当たり前に決まってるでしょ...

 防御したからって言ってもかなり痛いけどね」

 

「堅いなぁ

 でも、それ位で倒れられても困るんだけどね

 幾らこの子が育てられてるからって」

 

ため息を吐きつつ次に備えるビオラ、

実に隙がなく攻めずらい。

 

だんだん身体の奥底から何か熱いものが

込み上げてくる感覚がする。

 

それにはあまり意識せず目の前の戦況を

即座に確認し思考を巡らせる。

 

(やっぱりキノだけだと手詰まりになるな...

 でも、ヤヤコマに二体は荷が重い、

 だからキノだけでアメタマは突破したいところだ)

 

「キノ傷は?」

 

近付いてきたキノに小声で囁く

 

「もう大分治癒した大丈夫よ」

 

確かに外傷は見当たらない。

 

「アメタマはもうキノに任せる

 方向は教えたりとか補助はするから、

 僕の判断能力だと追い付かない、

 だからな、攻め時になったら思いっきりぶちかませ」

 

左の眼球に燃えるような熱さを感じ

感覚がより鮮明になる。

その全てが左目に集束する。

 

「反撃開始だ...覚悟は良いか!」

 

世界は一気に様を変えた。

 

 

セツナ side out




今回はセツナ目線オンリーでした。
実に中途半端な所で終わりましたが、
数日中に投稿してジム戦編を一区切りにしたいですね~

その日までドキドキしてる人は
その興奮を絶やさずお待ちください!
期待に添えるよう頑張って執筆していきますよ!
それではまた今度~

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