転生したら滝本ひふみの彼氏になった件について   作:飛び方を忘れてるカラス

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沢山の方から「タイトル詐欺」と言われました。
言い訳をさせてくれ、俺はCV:日笠陽子のキャラが大好きなんだただそれだけなんだ。わかってくれよ…!


あ、今回はひふみんです。


クリスマスだヨ!!リア充万歳!!その3

只今、12月24日の午後2時30分。

本日はイエスキリストが降誕した日であり、日本では聖夜を性夜と呼び、一部の哀れなゾウリムシ供もとい、負け組供が勝ち組達に対して「バルス」や「アバダ・ケダブラ」と叫ぶ日でもある。

さて、そんな日である今日、前述した中での勝ち組である俺は、彼女にあたる女性を待っていた。

…しかし。

 

「…寒い」

 

本日の気温は今年で最も冷え込んだ気温らしく、気温は6℃。

寒くはなると聞いていた為、ヒートテックの上に黒ニット。上着にモッズコートを着てきたが、それでも充分冷たい風は肌に通る。

今もこうして木枯らしが俺の肌を攻撃している。

 

「コンビニでホットコーヒーでも買うか…」

 

一瞬、そんな事を考え呟いたが、それで待ち人とすれ違いになっても困る。

ここは寒さを耐えて辛抱強く待つしかない。

 

そして数十分後。

 

「ごめん…遅れ…ちゃった…」

 

走ってきたためか、息を切らした我が恋人の滝本ひふみが現れた。

流石は女子というべきか、白ニットの外套に茶色のダッフルコート、ショートパンツにニーソックスを着合わせていた。

 

「大丈夫か?ほら、落ち着いて深呼吸だ、スーハースーハー」

 

「ひっひっふー、ひっひっふー」

 

「いやそれ微妙に違うから…」

 

息を整えさせるという点では同じだが、使うべきシチュエーションが明らかに違うから。

そんなこんなで何とか息を整えた。

 

「さて、そんじゃまずは」

 

「遊園地、だね」

 

先日、決めた予定表では遊園地、その後に夜食のレストラン、最後に都内のイルミネーションを見るという感じた。

ちなみに遊園地はさらっと周るぐらいだ。何故かというと、絶対に途中でひふみがバテるからだ。

故に、ジェットコースターやらフリーフォールやらのような体にGが掛かるようなアトラクションはやらない。

 

 

 

というわけで、今はメリーゴーランドの馬に乗っている。

…のだが

 

「す、すごい…私、馬に乗れてる…!凄いよ戒くん!」

 

「おお〜、凄い凄い」

 

とまあこんな感じで、微妙にキャラを崩壊しながら興奮しているのだ。

後で聞いてみた話によると、どうやらひふみは遊園地に来るのが初めてらしい。

その為、遊園地内にあるアトラクション全てが、彼女にとっては未知の物なのだ。

俺の後ろを走ってる馬に乗ったひふみは、嘗てないぐらい目を光らせていた。

 

「でもどうやって戒くんに追いつけば…」

 

「それ技術的な問題で追い越せないからさ、なんかガチャガチャして追い越そうとするのを諦めろ」

 

職員さんが見てるからやめなさい本当に。

その後も、俺を追い越そうと馬を揺さぶったり、本物の様に足で叩いたり、何処かにブーストボタン的な何かが無いかを探したりとしながら、一つめのアトラクションは終わった。

 

「楽しかった」

 

満面の笑みでアトラクションを終えたひふみは、少し歩いた所の目の前にある、カップが並んだアトラクションを見つけていた。

 

「…次はあれか?」

 

無言でコクリと頷く。

俗にいうコーヒーカップだ。別段、俺は乗ってもいいのだが…

 

「…あれ、ジェットコースターとか程じゃないけど、それなりに体にくるぞ?」

 

「やってみたい…」

 

そんな目を輝かせた状態でせがまれたらやるしかないじゃないですか畜生。

 

そんなわけでコーヒーカップに乗った俺達だが。

 

「これ、何をするの?」

 

「あー…これはな。このテーブルみたいなやつを回して、コーヒーカップを回らせるやつだ」

 

「…なるほど」

 

俺の説明を聞いたひふみは、回す機械を手に取り、思い切り回した。

そうなると当然、コーヒーカップは凄い勢いで回り出し…

 

「うおわぁぁぁぁぁ!ちょ、ちょい待ちちょい待ち!回しすぎ…だぁぁぁぁぁ!」

 

「–––––––!!」

 

ひふみは声にならない声で…おそらく楽しんでいるのだろう。だって顔が輝いているもん。あれ本当に楽しんでないと出来ない顔だもん。

そんな顔もするのか…などと思っているが、やはりこれだけは言いたい。

 

「回しすぎだぁぁぁぁ!!」

 

一秒間に何回回っているのだろうか。

少なくとも、これ以上口を開けてたら舌を噛みそうなので黙ることにした。

 

そしてアトラクションが終わり…。

 

「おま…回し、すぎ…」

 

「ごめんなさい…つい楽しくなっちゃって」

 

近くのベンチに座りながら頭を抑える。

ああ、世界が回って見える…。

っつーか、なんで君平気なの?あの回転はジェットコースター並みだったぞ。あれ、これ立場逆転してない?

 

「と、とりあえず水買ってくるから、ここで待ってて」

 

「おー…悪い、な…」

 

情けないなあ…俺。

あー…でもこれ、直るまでに結構かかりそうかも。

そして約2分後。

なんとか意識を保ち、脳へのショックも直った俺は、ひふみを待っているのだが…

 

「遅いな…。そう遠くにあるわけでもなかろうに」

 

…なんだか嫌な予感がする。

近くに置いてあったパンフレットを開き、地図を見る。

とりあえず一番近い自動販売機の所に行ってみるか。

 

 

 

そうして向かうこと1分。

探していたひふみを見つけたのだが…。

 

「おーい、姉ちゃーん。ちょっと一緒に遊ばないかーい?」

 

「やめて…ください…」

 

柄の悪い男達に連れられそうになっていた。

居ても立っても居られず、俺はひふみの元へと駆け出す。

 

「ちょっといいですかお兄さん方〜」

 

「あ゛あ゛、誰だあんた?」

 

「この娘の彼氏です」

 

「彼氏だあ〜?悪いがな、兄ちゃん、この姉ちゃんはおまえみたいな細い男より、俺達と一緒に行きたいらしいぜ〜」

 

見え透いた嘘をつくなよボケカス。

 

いや、しかし…。

 

「今時こんなメタでデフォルトな不良さん方もいるんだな〜。流行に乗れてないんだなうん。だからモテないんだよ、だからこんな浅はかでモブで脇役がやるような事をやっちゃうんだよ」

 

言ってることは間違ってないぞ多分。

すると柄の悪い方々は、わかりやすく気分を悪くし、今にでも俺に突っかかりそうだった。

さて、ここいらで準備をするか…。

 

「うるせえよ…モブはおまえだろうがよ!」

 

そうして1番前にいた男が俺の襟を掴む。

そこですかさず俺は携帯を手に取り、すぐさまボタンを押す。シャッター音が響き、男達が呆気にとられた様子で黙り込む。

 

「あ、今手を出しましたね?」

 

そうしてすかさずボタンを操作し、通話画面に切り替える。

 

「これ、なーんだ」

 

そうして襟を掴んでる男に画面を見せる。

 

「1…1…」

 

そこで0のボタンを押そうとする俺の指を見て、男は焦った様子で俺を離す。

 

「…いっっつ…どうしますかな?俺に手を上げたという証言と写真が残ってます。これで警察に通報されたら、あなた方から弁明の余地が無くなりますね〜。まああなた方がここから去ってくれるというなら、この写真を削除し、警察にも通報しないでさしあげますが…」

 

「チッ…」

 

「さて、どうします?あなたの脳みそはちゃんとした正しい答えを出せるかな?」

 

「…行くぞ」

 

俺を睨みながらも男達は踵を返し去って行く。

 

「ああ〜緊張した」

 

「あ…大丈夫!?」

 

膝に手をつき、大きく息を漏らした俺に駆け寄るひふみ。

 

「ん…大丈夫大丈夫。それよりひふみの方こそ、手とか怪我してない?」

 

「私は大丈夫だけど…」

 

「…なら良し」

 

ひふみが無事ならそれでいい。

さて、酔いも覚め、変な敵キャラAとその他も去ったことだし、また遊びの続きだ。

 

「次はどこに行く?」

 

ひふみに聞くと、彼女はおずおずと指を指す。刺した指の方面を見ると、そこにあったのは大きな円にゴンドラが付いたもの。観覧車だ。

 

「…観覧車か。そういや時間もそろそろだな」

 

腕時計を捲って見れば、時刻は17時。

 

「…ずっと、乗りたかったんだ…」

 

「…よし、なら善は急げ。早く行くぞー!」

 

俺はひふみの手を取り、軽く走り出す。

最初は戸惑っていたが、やがて笑顔で一緒に走り出してくれた。

 

 

 

そして赤色のゴンドラに乗る。

窓から見える景色はとても綺麗だった。ビルの間から見える沈みかけの夕日。ビルの窓から漏れてる蛍光灯の光、道路を走る車のヘッドライトの灯り、全てが美しかった。

 

「すごい…綺麗…」

 

ひふみも俺と同じ感想を抱いたらしく、外を見ながら呟く。

 

「そういう君も綺麗だよ」

 

「…ふぇ…!?」

 

顔を赤くして俺を凝視する。

ははは、こいつめ。まだこういう事には慣れんのか。

そう揶揄っていると、気がつけば我々が乗っているゴンドラは頂点に到達しようとしていた。

 

「ね、ねえ…戒くん」

 

「ん?」

 

ひふみを見ると、落ち着きなく髪をいじりながら顔を赤くしていた。

 

「その…しないの?このムードで…」

 

「……」

 

名こそ言わなかったが、彼女が求めている行為を俺はすぐに理解した。

ああ、なるほどな。恐らく少し前に読んだ少女漫画か何かにそういうシーンでもあったのだろう。

別に恥ずかしいということではない。いやまあ、ひふみの方は慣れないんだろうけど、俺は慣れているつもりだ。一応これでも彼氏彼女の関係。そういう行為は何度かしている。しているの…だが。

こういうフィクション的なシチュエーションで、というのは初めてなのだ。故に俺も少し緊張気味。

だが俺は意を決して…もしかしたらその場のノリに流されたのかもしれないが…俺は目を閉じて緊張している彼女に顔を近づけ、軽く口づけを交わした。

それは別に長くはなく、短くもなく。ドラマとかであるキスシーン的な長さだ。

 

唇を離せば、彼女は凄い顔を赤くしていた。

うん、俺の顔もめちゃくちゃ赤いと思う。

 

気がつけば、ゴンドラは下まで来ていた。そして係員に促されて降り、遊園地の出口まで向かう。

 

「…飯、食いに行くか」

 

「…うん」

 

一つ忠告をしよう。

ドラマとか漫画で出るドラマチックなシーンは再現しない方がいい。

やった後はクソ恥ずかしいから。

 

 

––––––––––––––––––––––––––

 

 

さて、そんなこんなで飯も無事(何も喋らず)食べ終わり、開催されているイルミネーションを見に、俺とひふみは歩いている。

 

「青とオレンジに…黄色。明るすぎて目痛くなりそうだな」

 

「イルミネーションっていうのはみんなそういうものだよ」

 

「へ〜…ひふみはこういうの見たことは?」

 

「ないよ。東京ほど明るくはなかったし…」

 

「あー…」

 

いやまあ首都と比べてしまうのはね?一応向こうの方も頑張ったのだろうから、大都会と比べてしまうのは…ちょっと…。

と、雑談をしながら歩いていると、目的地に着いた。

 

その光景は圧巻だった。

本当に街を覆い尽くしているのではないかと思ってしまうほどの美しく壮大な輝き。

歩く人はサラリーマン、学生、買い物に来た主婦など関係なしに皆見上げて悦に浸っている。

 

「すげえ…」

 

「わあ…!」

 

ひふみもその美しさに圧倒されたらしく、ずっとイルミネーションを見たままだ。

この顔を見ると思う。

連れて来てよかったと。

ひふみに楽しんでもらえているのなら、それで良いと。

 

…さて、そろそろアレを渡すか。

 

「ひふみ」

 

俺はイルミネーションを見渡している彼女の名前を呼ぶ。

こちらに振り向いた彼女の手の平に、小包を置く。

 

「メリークリスマス、ひふみ」

 

クリスマスの大定番であるプレゼント渡し。俺が彼女に用意してないはずがない。

暫く停止した後、ようやく事態を察したのか、顔を赤くしながらあたふたするひふみ。その愛らしい姿に思わず笑みが溢れる。

 

「あ、開けても…?」

 

「もちろん」

 

ひふみは丁寧に小包を開け、その中にあった箱を開ける。

中に入っていたのはネックレス。

 

「…?…!これって…」

 

最初はよくわからなかったらしいが、すぐに驚いてくれた。

そう、これはひふみが好きなゲームキャラが付けているネックレス。

クリスマス限定販売ということなので急遽買ったものだ。

八神に相談したら、「滝本さんの好きなものとか知ってる?」と聞かれたので、俺は「ゲームキャラのネックレスが欲しいー、とかメールでよく話してるけど」という会話からこのプレゼントに至った。八神に超感謝である。

 

「…ありがとう」

 

ひふみは満面の笑みで俺に言う。

その後すぐに持っていた鞄から一つの小包を出して俺に渡す。

 

「…これ、どうぞ」

 

「…開けていい?」

 

コクリと頷く。

中に入っていたのは黒い縁の眼鏡だ。

 

「…これ」

 

「戒くん最近、目が悪くなってきたかもって言ってたでしょ。それで…」

 

…ああ、そうか。

ひふみ、おまえは最高にいい女だよ。

 

「…ありがとう。もう次の出社から使わせてもらうわ」

 

「…うん。私も使わせてもらいます」

 

そうして見つめ合っていると、左方面にあった巨大なツリーが眩しく輝いた。装飾してあった電技が付いたのだ。

 

「おっ、タイミングばっちりだな」

 

「…綺麗だね」

 

「ああ」

 

俺とひふみは手を繋ぎ、照り輝くツリーを見ながらお互い呟く。

 

「「メリークリスマス」」

 

初めてのクリスマスデートは、間違いなく大成功と言えるものとなり、人生最高のクリスマスにもなった。

 




ひふみんに万歳、万歳、おおぉぉォッ、万歳ァィ!

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