後継者達と世界の運命   作:AZΣ

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どうも、皆様。
2日続けての投稿が出来て嬉しく思います、今回も楽しめて頂ければ幸いです!

では第六話スタート!


第六話-幕開け

遅くなったが、ティアの服装について説明しよう。

 

彼女は、エスメラルダの服装の原型だと思われる、薄紫色のローブを着ている。眼と髪も同じ薄紫色で、髪には四角い形をしたアクセサリーを着けている。

 

顔立ちにはまだあどけなさが残るが、成長すればかなりの美人になるだろう。

 

しかし、普通、サモナーは様々な言語に精通し、尚且(なおか)つ強い魔力を持ってるはず。

 

そして何より、その大体が高圧的な態度をとっているものなのだが、この少女はそのイメージに反してとても臆病だ。

 

だが、エスメラルダがその分冷静なので、この二人は良いバランスが取れていると思う。

 

そろそろ良いだろうと思い、俺はここに来た目的を彼女に話し出した。

 

「ティア。突然の事で、信じてもらえないとは思うが、俺はこことは別の世界にいたんだ。しかし、俺は向こうにやり残した事がある。なんとかして元の世界に戻りたいんだが、何かそんな方法に心当たりはないか……?」

 

ティアはまだ俺と碧愛に(おび)えているのか震えていたが、しっかりとした口調で答えてくれた。

 

「申し訳ありませんが、そのような事は何も知らないんです。お役に立てず、すいません」

 

知らないか……仕方ないな、こんな事を言う俺が異常なのだろうから。しかし、俺はめげずにもう一つの目的を彼女に伝える。

 

「そうか……そしてもう一つ。俺はあの世界に一緒に来てくれる仲間を探しているんだ。とりあえず、来る来ないは別にして、君の魔法を見せてくれないか?」

 

すると、彼女の顔に、少しだけ緊張が浮かぶ。人の前で魔法を使うのが苦手なのだろうか……?

 

「……分かりました。ではまず外に出ましょう、そして外に出たら、私から出来るだけ離れて下さい」

 

彼女はやがて了承を示す言葉を口にした。だが、魔法を見せてくれるのなら、この位の条件は飲もう。

 

「分かった」

 

俺達は外に出ると、ティアから出来るだけ距離をとっていった。ティアが集中し始めると、彼女の前に魔方陣が現れた。3mくらいの大きさだろうか、俺から見ればかなり大きい方だと思う。

 

そしてサモナーには聞いたところ、詠唱を使う方法と使わない方法があるらしい。ティアは一言も(しゃべ)らないので、詠唱はしない方法を使うのだろう。

 

暫く見ていると、魔方陣が少しずつ輝き出し、一瞬の内に目では見えない程に輝いた。

 

光が収まると、かなり大きい肉食獣のような獣が現れていた。それは、いかにも肉食獣らしい牙や爪を持っている。

 

あの牙や爪をまともに受けたら、流石にこの鎧も持たないだろうという、確信があった。

 

しかし、ティアの召喚した生物が彼女の臆病なイメージとあまりにも合わない。ティアの裏には、何か嗜虐性(しぎゃくせい)でも隠れているのだろうか…

 

そんな事を考えていると、ティアがおどおどしながら近づいてきた。

 

「あ、あの……どうでしょうか……?」

 

彼女は自らが召喚した獣を撫でながら、俺に問い掛ける。俺は今、自分が思った事を正直に口にした。

 

「ああ、とても凄いものを見せてもらった。もう一度言うが、もし君が良ければ、一緒に来てくれないか?無理にとは言わないが……」

 

俺の言葉を聞くと、ティアは考え始める。これは推測だが、この森を離れる事が辛いのだろう。

 

(しばら)く考え込んでいた彼女だが、やがて口を開いた。

 

「わ……私なんかで良ければ……」

 

彼女が控えめだが、了承してくれた。よし、これで戦力が大きく上がった。するとエスメラルダも口を開く。

 

「ティアが行くなら私も行こう」

 

確かに彼女も来てくれるのならば、かなりの戦力になるだろう。しかし、後何人かは強い仲間を集めなければ、不安だ。

 

いくら彼女と言えども、体力には限りがあるだろうし、一度に千や万を超える敵の軍勢が襲って来たら、流石に厳しいだろう。

 

そう考えていると碧愛が、俺に声を掛ける。

 

「前にこの森を調べてた時に、他にもこういう不思議な事が起こるっていう所が幾つかあったよ!」

 

「何!?それは本当か!?」

 

その情報が本当なら、仲間を集める事にも大きく役立つ。もしかしたら、向こうに戻る方法も……!

 

「うん!ラティスに必要になるかもしれないと思って、その場所も調べておいたよ!」

 

よし、これで次に向かう場所かはっきりと分かった。その瞬間、大きな爆発音が轟いた。俺達が振り返ると、熱気が全身に押し寄せて来た。

 

「ああ……森が……」

 

「そんな……一体誰が……!?」

 

エスメラルダとティアが言った。自分が暮らしてきた森が襲撃されたのだ。唖然とするのが当然だろう。

 

しかし一体誰がこんな事を……?この、人から視線を外さずに、ずっと見続けているような、気持ちの悪い魔力……とすると、()は上か!

 

空を見上げると、尋常じゃない大きさの穴が空いていた。そしてそこから、人二人分の大きさはある、巨大な(さる)化け物が大量に降りて来ていた。

 

こんな風に、次元を歪めて穴を開ける事が出来るのも、手下にこんな悪趣味な猿がいるのも奴しかいない。

 

――俺を、この世界に落とした奴――

 

「マゴトォォォォォォ!!!」

 

穴から最後に出てきたのは、下卑(げび)た薄笑いを顔に貼り付けた(みにく)い小男だ。

 

黒いマントを着ているため、正確な体型などは分からないが、その表情から、恐ろしい程に性格が悪い事が見て取れる。

 

「久しぶりだなぁ~、ラティス!こっちの世界はどうだぁ!?」

 

奴は俺に向かってこう言い放つ。恐らくは俺が悔しがる顔が見たかったのだろうが、俺は笑顔で奴の問いに答える。

 

「ああ、とても楽しいよ!そっちの世界を変えたらいっとの事、こっちに住む事にするよ!」

 

この言葉の中には、正直な気持ちと皮肉を込めた。するとマゴトは、一瞬、苦いものを噛み潰したかのように表情を変えたが、すぐに相変わらずの下卑た薄笑いを浮かべ直した。

 

「ははははは!そんな事だろうと思っていたぞ!お前は甘いからなぁ?さぁ、お前の大事にしているこの世界を壊して、お前が(なげ)く表情をゆっくり楽しませてもらうぞ!」

 

奴はそう言って、自分の魔力の出力を上げていく。しかし、奴がいくら力を上げようとも、絶対に彼女達に手を出させはしない。

 

さぁ、戦いの幕開けだ……




ようやく出せました、性格の悪い奴。何故かだんだん自分に似ているような感じがして、なんだか親近感が湧きます。
次はいよいよバトルシーンですが、書いた事がないので正直不安です。
今回も応援や感想、アドバイスなどを頂ければ幸いです。
では、今回はこの辺で失礼致します。

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