はいドーモ皆さんこんにちは、昨日、本当にあった怖い話で幽霊の白目むいた顔がどうとか言ってた作者、夜空の星でござリング。
ちょっと久しぶりって感じかな?
ここのところドラクエが楽しすぎて山が生えちまってます。
「先生ぇ…肝試ししたかったよ…明日は?補習って明日じゃダメなの…?」
「ダメだ、つかそれ言ったらお前ら寝る時間ねえぞ、我慢しな」
相澤は拘束布で五人を縛りながら、宿泊施設へと連行するかのように、ズルズルと音を立てながら引きずっていた。
補習組は個性訓練が疎かだった為、肝試しの時間を削って補習を行う流れとなった。
残念な結果だ、肝試しを楽しみにしてた五人は、何が悲しくてつまらない補習を受けなくてはならないのだろうか…しかしヒーロー科の道は険しい…
五人が本当にヒーローを望むのなら、相澤も躊躇はしないし、厳しくやっていく。
マタタビ荘、補習の部屋に入ると、物間がケラケラ笑いながら補習を受けていた。
「アレェ!?A組肝試し出来なかったんだ!?アハハハハ!
B組は赤点僕一人しかいないのにA組は五人も赤点かぁ、こりゃお笑いものだねぇ!」
「お前本当どんな神経してんの!?赤点取ってんのに何なんコイツ!昨日もそうだったよな!?」
物間の心がアレとは言え、自分が補習を受け肝試しが出来なかったにも関わらず、A組を煽る彼のメンタルはもう異質だ。
そんな物間に壮大なツッコミを入れる切島。因みに昨日も似たようなことを言ってたので、相当心が来てるんだろうな、アレなんだろう。
「ブラド、今回は演習入れたいんだが…」
「奇遇だな、俺もそう思ってたところだ!」
部屋には物間だけでなく、ブラド先生も既に来ていた。
今回は立ち回り方を含めた演習だそうだ、今日の補習は一段と厳しいだろう…
補習の内容について話し合っていた時だ。
――皆んな!落ち着いて聞いて!!
「ん?」
突然、頭の中から急に声が聞こえる。
この声はマンダレイ…個性のテレパスで皆んなの頭の中に直接送信してるのだろう。
突然脳内にマンダレイの声が聞こえたことに、驚く者もいれば、楽しむ者もいるが、今はそんな空気ではない。
――敵が二名襲来!他にもいる可能性アリ!
動けるものは直ちに施設へ!会敵しても決して交戦せずに撤退を!!
その言葉に生徒の顔は呆然とする。
意味が分からない…だって、この場所は生徒や先生、そしてワイルド・プッシーキャッツしか知らないはず…
そもそも当日でしか生徒たちはこの事を知らされてないし、親だって知らなかったのだ、それなのに何故?
「バレないんじゃなかったの!?!」
部屋に物間の叫びが響く。
相澤は直ぐに部屋から飛び出るように駆け走り、外に出る。
「考えたくないが……な…」
額から冷や汗が流れる。
昨日の夜、妙に胸騒ぎがした…根拠もなければこれと言った理由もない…ただ、嫌な予感は微かにしていた。
緑谷と飛鳥が死柄木と接触したと聞いた、敵が今後絡んでくる危険性があると察知した教師たちは、最悪な未来を阻止するべく、先ず合宿先を変更した。
そこは生徒たちにも説明してるので、問題ないとしよう…
次に、オールマイトが原因でもある。
彼を何故この合宿に連れて行かなかったか…それは、敵連合の目的がオールマイトにある為。
オールマイトを狙い生徒たちも巻き添えを食らう危険…
それこそ、USJの時のような状況を阻止するべく、オールマイトは連れてこなかったのだが…
まさか万全を期しても、狙われるとは…
相澤は苦虫を噛み殺したかのような表情に染まる。
外に出る相澤は、目の前に広がる光景に目を疑った。
森が燃えてる、ガスで覆われてる…まるで囲んでるかのような状況…
この時間帯は…まだ肝試しが始まったばかり…つまり森の中にはB組全員と、A組が数名…広間にはまだ残ってる生徒もいるのだが…
「こりゃ…マズイな…!」
相澤は舌打ちをする。
敵は何人いるか分からない…森は燃えてる、ガスの正体は不明…
敵の目的が何かは知らない…生徒たちの安否が不安だ…一刻も早く――
「――これはこれは、イレイザー・ヘッドですか、お初目に掛かりますね…」
途端。相澤が振り向く間も無く、隣から女の声が聞こえた。
その少女の目は冷徹で、熱の篭ってない…氷のような、凝視に近い目付きで語り出す。
「ブラドキング――!!」
相澤がブラドキングの名前を呼んだ瞬間、少女は手に持ってた刀を軽く振っただけで、大規模な蒼炎を放つ。
青空のように蒼く綺麗な炎は、相澤を包み込むように広がり、炎は揺らぎ、炎が搔き消すかのように相澤の姿はもう何処にも見当たらない。
「私たちにとって、貴方達教師を含め、プロヒーロー達は邪魔な存在でしかありません…ですから、大人しく私の蒼炎に焼かれて死んでください――」
蒼炎が激しく揺らぐ中、少女は薄ら笑いを浮かべる。
闇夜の下で、蒼い炎が生きてるかのように、消えることなくいつまでも、いつまでも…
そして少女は、施設に意識を向けると、刀を手に持ち刃先を向ける。
「どうせなら、建物ごと蒼炎で炙ってあぶり出しましょうかね。
尤も、出て来たところで始末しますけど――」
「――ハッハッハ!ご機嫌よろしゅう雄英高校!!そして忍学科の忍学生よ!
我らは敵連合開闢行動隊――!」
場所は移り変わり、マンダレイと虎、忍学生の飛鳥を始め、他の生徒達は広間にて敵連合開闢行動隊と名乗る二名と対峙していた。
トカゲの容姿をした男は、ピクシーボブの腹部を踏んづけながらも、豪快に笑っている。
髪は桃色に染まっており、水玉模様のお洒落な服を着こなしている。
「敵連合…!?なんで、ここに…」
尾白の言葉は最もだ。
見知らぬ敵が、生徒達の前に現れた…しかも、敵連合という組織の名を口にして…
USJの襲撃にはこの二名はいなかった…となると、ヒーロー殺しの事件がきっかけだろう…
「ねぇ、この子の頭どうしちゃう?ねぇ、潰しちゃおうかしら?」
「ッ!させぬわこの――」
「まァまァ待て待て、早まるなよマグ姉!虎もだ落ち着け!
生殺与奪は全て、ヒーロー殺しの出張に沿うか否か…じゃないか?」
マグ姉と呼ばれる人物が鈍器をピクシーボブの頭に強く入れ、本気で頭を潰そうとしたところ、虎が動くも二人を止めるトカゲ男。
そして、このトカゲ男は確かに言った…『ヒーロー殺し』という名前を口にしたのだ。
そうなると…
「ヒーロー殺し…忍殺しって呼ばれてた…ステインのこと…だね?」
飛鳥は恐るおそる口に出す。
すると彼女の声に反応したのか、トカゲ男は飛鳥を見ると歓喜の表情に染まる。
「そうさ!君は確か…飛鳥くん!あぁ、君はヒーロー殺しが認めた人間…英雄を背負うに相応しい…本物の忍か!生で会うのは初めてだなァ!
そして、そこにいるのはもしや…メガネ君!保須市にて終焉を招いた人物が勢ぞろい…君らに会えて光栄だ――!」
スピナーは飯田と緑谷に視線を向けると、さぞ嬉しそうに満面な笑みを浮かべる。
そして背中に背負う大剣を覆ってる布に手を取る。
「申し遅れた、俺の名は『スピナー』。
――敵連合開闢行動隊の一員であり、漆月同様、忍と共に道を歩む者であり――
彼の夢を紡ぐ者だ――!」
そして、布に隠されてたその武器は、異常なものだった。
短剣、刀、クナイ、忍刀、ノコギリ、チェーンソーの刃、数えたらキリがない、無限に思える凶器の刃物が何重にも、束になっている。
一同はそれを見て後ずさりする。
この刃物で傷付けられたら、一たまりも無い…
それを軽々しく持ち上げ、あろうことか忍が使ってた武器までも混ざってること自体が不思議でしょうがなかった。
スピナーと名乗る男は、その大剣を虎とマンダレイに向ける。
「えっと…皆んなは下がって!私が――」
誰よりも危険を察知し、この場に忍学生が一人しかいない飛鳥は、状況を打開すべく、前に出る。
この二名は手練れ…しかも漆月と共に歩む…と言っていた。
つまり、スピナーやマグ姉と同様に、ここに彼女がいる危険性もあれば、恐らくスピナーと同じく、ステインに感化された忍も少なからずいるはず…
そう考えると、漆月以外の忍が敵連合の名の下で動きつつあるという、可能性は高いはず。
いや、あるだろう…
殺気で紛れてるので詳しくは分からないが、忍の気配が複数存在する。
「飛鳥、よせ…貴様は下がってろ」
「でも…」
飛鳥の言葉を待たず、虎は彼女に下がれと命令する。
飛鳥が何か反論しようとするも、虎の怒りを察して言葉を途切らす。
虎の表情は元々怖いが、今は非常…と呼ぶくらいに、大激怒していた。
眉間に青筋がくっきりと、分かるように浮かび上がっている。
声を聞いただけで分かる、今の虎は完全にキレている。
「何でも良いがな貴様ら…!
お前らが傷付け、血を流し倒れてる女…ピクシーボブはな、最近婚期を気にし始めててなぁ、女の幸せを掴もうって…良い歳して頑張ってたんだよ…
――それを!!そんな女の顔を傷物にし、汚して、何が夢を紡ぐだ笑わせるな愚か者!
男が一丁前にヘラヘラ語ってんじゃないよ!!」
虎の一喝が入る。
例え相手が敵だろうと、ステインの夢を紡ごうと、どんな理由であろうと、家族に等しい仲間を、ピクシーボブを傷付けて良い理由にはならない。
ピクシーボブの顔を傷付け、唾を付け、痛めつけ、罵り、あろうことか腹を踏んづけ…
虎が怒らない訳がない、それは冷静そうに見えるマンダレイも同じこと。
「――ハッ!愚か者は貴様ら贋物だ!
ヒーローが人並みの幸せを夢見るか!!」
虎の一喝など意に介さず、スピナーは言葉を吐き捨て嘲笑する。
そして大剣をマンダレイに、マグ姉は虎を…
プロヒーローVS敵二名との戦闘。
「虎!指示は出した!他の生徒の安否はラグドールに任せよう!
二人は私たちが抑える!
他の生徒たちは施設に戻って!会っても決して交戦しないこと!
良い?――委員長引率!」
「承知致しました!皆んな早く行こう!」
マンダレイの適切な対応と、早口ながらも手短に素早く事を伝える彼女に、飯田は大きく頷きながら生徒たちも同様、己の身の安全を確保するべく撤退する。
宿泊に向かおうとする皆んな、飛鳥もそれに続こうとするも、緑谷が立ち止まってる姿が視界に入り、思わず立ち止まる。
「あれ?緑谷くん…何して――」
「ごめん!飛鳥さんは飯田くんと一緒に!」
「な!?何を言ってるんだ緑谷くん!僕らはマンダレイの指示通り動くべきだ!早く…」
飯田が制するも、緑谷は飯田の言葉に耳を傾けず、決心したかのように彼は口を開いた。
「マンダレイ!僕知ってます!洸汰くんが何処にいるか――!」
緑谷が告げると、マンダレイは意識を緑谷に向ける。
マンダレイの不安な表情が、ほんの僅かに薄らいだ気がする。
この宿泊施設を囲む敵の数は、底が知れない。
テレパスで送ってるものの、宿泊施設にいないことは確か…
だが万が一外に出ていて、敵と遭遇すれば?
最悪な結果が、想像したくもないその先が、マンダレイの心に不安を煽り、頭に洸汰の死が過ってきた。
これがあくまでもし、敵と遭遇してたらの話で、ただの予想に過ぎない…
だがその予想がもし的中すれば?
だから、不安で仕方なかった。
だが、彼は洸汰の居場所を知っている。
なら、ここは彼に一任しよう…
交戦は避けるべきだが、それでも洸汰の…ウォーターホースが残したあの子を救けるのは、彼に任せよう。
「ごめんね飯田くん!」
「ッ――」
飯田は思わず唇を噛みしめる。
本当なら、飯田は叱って彼を止めなければならない…
保須市の事件があった、そんな彼が傷付く姿を見たくなければ、心配だってする。
それは当然だ、自分の命を救ってくれた恩人でもあるんだ、心配しない方が逆におかしい。
委員長としての立場だけでなく、友達として、ヒーローとして、彼の身勝手な行動を、止めなければならない。
しかし、彼のお陰で命を救えたのなら、もしかしたら洸汰くんだって自分と同じ状況に陥ってる危険性だってある。
口が悪いとはいえ、ヒーローの事をよく思ってない子どもとは言え、見捨てる訳がない。
もし洸汰くんが自分と同じ状況下に陥ってるのであれば、それは救わなければならない。
それに、緑谷の余計なお節介のお陰で、自分は救われたのだ。
それは…
「――分かった…くれぐれも無茶はしないでくれよ……そして、そんな無茶にならない為にも…飛鳥くんも…同行してくれないか?」
飛鳥も同じこと――
彼女は一瞬何を言ってるのか分からない表情を見せるが、直ぐに頷いた。
危険な目に合わせたくない…だからこそ、自分を助けてくれた恩人が、危険な目に遭わない為にも、飛鳥は緑谷との動向を一任したのだ。
緑谷は無茶をしすぎることがある、それは飛鳥も同様だが…
もし敵と遭遇した場合、一人より二人なら対処しやすい。
洸汰を無事確保することが出来れば、いち早く施設に戻り相澤やブラド、担任に任せることも出来る。
絶望だけが、この場に残ってる訳じゃないんだ――
きっと、委員長失格だと言われれかも知れない…ヒーローとして誇らしくないと蔑んでも構わない…
今はただ、最善の可能性を信じて…
暗闇の森の中、爆発によって毒ガスは吹き飛ばされた。
それでも全体的にその毒ガスが変わったわけでもなければ、また毒ガスは原型を保つかのように、周囲を覆い囲む。
動きは遅いものの、充分だろう…
なぜなら…
「いっつつ…」
「四季!」
そこに…
「あらら…掠っちゃったか…残念ザンネン。
爆破ごと意識吹っ飛んでくれりゃ良かったのにさ」
敵がいるから。
両手に純白な籠手を装着させ、鋭利な爪に四季の血がポタリと垂れ流れている。
四季の額にはその爪で傷つけられた傷跡があり、血が流れてるあたり酷い有様だ。
「おいおい、何があったんだ?」
拳藤の背後から声が投げかけられ、振り返ると、そこにはガスマスクを着用した鉄撤と夜桜の姿が見えた。
二人は先ほどの爆発音を察知して駆けつけに来てくれたのだ。
「鉄哲に夜桜!」
「これは一体…?――四季!」
ようやく拳藤達と遭遇することが出来た夜桜は、最初無事を確認したことに安堵の息をつくものの、四季が傷を負った姿を確認すると、驚愕色の声を上げる。
夜桜たちに気付いた四季は、振り返るもワザと苦笑を作りながらも、大丈夫だと言う意思を表現で伝える。
それと同時に四季と対峙してる少女も、夜桜たちの存在に気付き、薄ら笑いを浮かべる。
「おっ、アタシの爆発音に駆けつけに来てくれたのか〜!そっかそっか、こりゃ暫くは遊べそうだねェ!
それに、数分経ったとはいえ
腕を軽く振る少女の名は龍姫、敵連合開闢行動隊の一員であり、スピナー、マグ姉と共にやって来た抜忍だ。
毒ガスは別の敵が発生させ妨害をしている。
毒ガスを吸って意識を失った人数は多く、A組やB組に大きな被害を生み出していた。
「貴様か?四季をこんな目にしたのは…」
ここで夜桜が一歩足を踏み入れる。
相手の正体が、悪だと知った以上見過ごすわけには行かないし、四季に傷を負わせたのだ、そんな輩は放って置けない。
そんなの、夜桜が許す訳がない。
勿論それが四季に限った話ではない、他の生徒やB組の大事な仲間たち…骨抜や塩崎、角取に円場など、酷い目に合わせたのだ。
この龍姫という少女の仕業じゃなかったとしても、八つ当たりだとしても、おとしまえは付けてもらわなくてはならない。
夜桜の怒りに染める眼光に、龍姫は軽く鼻で笑う。
「フ〜ン、お前らが今の月閃女学館かぁ、動画見せて貰った通り…
善に善がる忍…かぁ、嫌だねェこう言うメンドくさい奴」
龍姫は腰を低くした態勢を作って拳を構え、武術者の姿勢をとる。
気から察するにこの力は恐らく上忍クラス…雪泉と同格か…それ以上か…
相手がどれ程強かろうと、夜桜には関係ない。
「おい待てって夜桜!マンダレイのテレパス聞いてなかったか!?交戦は避けるべきだって!」
「止めないで下さい拳藤さん!儂は此奴をブチのめさなきゃいけません…
四季の分まで返さないと――」
交戦しようとする夜桜に、拳藤は必死になって食い止める。
マンダレイのテレパス通り、普通なら交戦せず大人しく引き下がるのが得策なのだが、四季が手負いゆえに相手との距離も近い…そんな状況の中、逃げ出すのは困難だし四季が危険すぎる…
その為には此奴と相手をしなければならない…誰かがコイツを止めないと脱出は出来ない…そもそも毒ガスの中掻い潜るのはほぼ難しいだろう。
ガスマスクにも限度があるはずだ…
「大丈夫だよ夜桜…ちん…」
しかし、その心配はもう必要ない。
声のした方向へ振り向くと、四季は流れてる血を抑えながらも、何とか立ち上がる。
その傷とは似合わないが、彼女は大丈夫だよという意思を込めた目で夜桜を見る。
夜桜は「四季!?しかし…」と言葉を詰まらせるも
「コイツに一杯食わされちったんだもん…なら、今度は反撃しなくちゃ…やられたまんまとか一番嫌いだしさ…」
四季は龍姫に鎌の刃先を向ける。
ギラつく鉄製の刃物、輝く艶、研ぎ澄まされた武器、四季は先ほどのリベンジだという目付きで龍姫に向ける。
「いいね、そうこなくっちゃ♪」
それに応じるかのように、まるで獲物を狩るように、彼女は舌なめずりをして純白の籠手を向ける。
「夜桜ちん、ぶっちゃけ言って今回ガチ目にヤバイかも…ウチも、ウチらも…
向こうはタダ単に暴れたいが為にやって来た訳じゃないし……人数も目的も居場所も不明…
オマケに炎やら…ガスやらで囲まれてる始末だしさ…
だから夜桜ちんが…お願い、皆んなを守って欲しい…頼むよリーダー」
四季は龍姫から意識を夜桜に向けると、微かに笑う表情を見せつける。
その笑顔には、四季の覚悟を決めた決意が見受けられた。
四季の言葉が、想いが届いたのか、夜桜は怒りを抑え殺しながら、頷く。
頼られた。
リーダーとして、忍学生として、仲間として…なら、自分が皆んなを守らなくてはいけない。
夜桜は一呼吸整える、ここで怒りに感情を任せても状況は悪くなるはずだ…
他の仲間が無事でいるかどうかすら分からないままなのに、それこそ奴等の思うツボだ。
時間稼ぎのために奴がいるなら尚更だ。
「…分かった、ただし気ィ付けての…」
夜桜は、四季を信じることにした。
仲間を信じずして何が仲間だ、家族だ、忍だ。
四季は強い、それは同じ忍学生にして黒影に育てられた愛弟子だからこそ、信じることが出来る。
辛いことかもしれない…しかし、今は仲間の安否が大切だ。
この森にはラグドールもいるし、そこまで気にかけること事ではないと思うが…
「では、行きましょう…」
「――長々と、悠長に話してたけどさ…私がアンタらを見逃すと思う?」
夜桜の言葉が終わると、龍姫は嘲笑し籠手の鋭利な爪を立て夜桜に斬りにかかる。
夜桜は龍姫が攻撃してくる気配に気付くものの、いつの間にか龍姫は夜桜の背後にいた。
彼女の素早さに反応が遅れ、間に合わない。
「夜桜ちん――!」
ガギィン――!!
しかし、龍姫の爪が夜桜を切り裂くことは決してなかった。
夜桜の目の前に立つ人物が、彼女を守ろうと言わんばかりに、盾になっていた。
その少年の名は――
「鉄哲!?」
鉄哲徹轍。
B組一の熱血漢であり、仲の良い切島と個性タダ被りの、最強の矛にも盾にもなれる彼が、夜桜を庇ったのだ。
「四季!夜桜!お前らなぁ、一つだけ間違ってることがある!」
ギギギィ…と金属同士が擦れ嫌な音を立てる。
そんな不快な音に表情を歪ませながらも、耐え抜くかのように鉄哲は踏ん張る。
「夜桜が俺たちを守る?笑わせんな!つか全然笑えねえわ!
良いか?俺たちはB組だ!ヒーロー科だろうと忍科だろうとな、俺たちはもう仲間なんだよ!
俺たちだってヒーロー目指してる人間だ!
夜桜だけが俺たちを守るんじゃねえんだよ、俺たちも夜桜や皆んな守るんだよ!
だから、夜桜や四季だけじゃねえ…
ここに最強の盾がいるっつーこと忘れんなあああァァァ!!!」
鉄哲の叫びが、気持ちが、熱意が、正義感が、漢気が、全て彼を強くするかのように、全身から力が溢れ出てくる。
相手が抜忍とは言え、それなりの実力を備えている。
そんな相手を、鉄哲は――
「はァッ!?」
押し合いで彼女を払いのける。
龍姫が衝撃を受けた表情を見せる。
相手はヒーロー学生とは言えまだ子供…いや、自分もまだまだ子どもなのだが、正直押し合いで負けるとは夢にも思っていなかった。
龍姫は落胆することなく、彼に視線を向ける。
(私が…押し合いで負けるなんて…
コイツ、強い!?)
「良いねお前!」
龍姫は不敵な笑みを浮かべ、竜の爪を再び鉄哲に向け襲いかかる。
正直言って個性訓練で個性を酷使した為か、あまり使いたくないのだが…
彼は受身の態勢に入る。
「そうだよね…」
――あ?
龍姫は突然声のした方向に振り向く。
その小さな言葉が、四季であることは分かっている。
しかし次の瞬間、四季は大鎌で彼女を切り裂く。
服が破れ、血飛沫が飛び散り、龍姫は痛みに表情を歪ませながら、態勢を崩し地面にバウンドするかのように転んでしまう。
「ぁぁ!」
彼女の小さく、弱々しい声がわずかに聞こえた。
四季は三人に振り向くことなく声を張る。
「ありがとね鉄哲ちん!けど早く行って!コイツはウチが食い止めるから!」
「四季…」
夜桜は迷う表情を見せながらも、俯きながら頷く。
「…四季、死ぬなよ…無茶すんなよ…」
拳藤の言葉に四季は三人に振り向くことなく、無言で頷く。
拳藤も夜桜と同じ気持ちだ…
出来れば友を置いておきたくないし、連れて行きたい…
しかし、ここで彼女を食い止めなければやられてしまう。
忍の事は分かっても、全てが知ってる訳ではない、そんな未知な敵と遭遇しても勝機は薄い…
「んじゃ、行くぞ!」
鉄哲の言葉に頷くよう、拳藤と夜桜は無言で駆け走る。
三人の気配が遠ざかると、四季は不敵な笑みを浮かべたまま、ため息をつく。
「死なないけど…無茶はするかも…」
立ち上がる龍姫に目を細めながら、敵意を孕んだ目付きで睨みつける。
それは、彼女も同じこと…
「悪いけど、ここは絶対通させないから…誰も死なさせないから…
ウチ頑固だからさ、決めた事は何でも守り通す主義なんだよね〜…
だから…大人しくウチに倒されてよ!」
「ハッ、それはこっちの台詞よ月閃!
悪いけどアタシ死ぬ気ないから、それに…全力でここ通ってあげるよ…!」
初めてなのかもしれない…
月閃女学館が敵連合と闘うのは。
四季と龍姫が地面を蹴ると、跳躍するよう距離を縮める。
死ノ美を交わす彼女たち、勝負の行方は如何に――?
「本当に此処であってるの?」
「うん!間違いないよ…ちょっと遠いけどね…!」
一方。緑谷と飛鳥はいち早く洸汰の元に駆けつけるべく、全力疾走で無限に広がる木々を駆け抜け、洸汰がいると思われる秘密基地とやらを目指している。
緑谷は洸汰が何処にいるのか、跡を付けてたので彼が此処にいる事は容易に想像できる。
「緑谷くんはもし洸汰くん見付けたら、背負って施設まで行って!私は緑谷くんをカバーするから…!」
因みに飛鳥はこれでも忍の素を出してるので当然早いのだが、緑谷もワン・フォー・オールを微調整で応用してる為、スピードは他の忍達とは引きを取らない。
深い森をかいくぐっていくと、山が見える。
寂しそうに聳え立つ山、そこには草木一本も生えておらず、岩だけだ。
しかしそれ以外は何もなく、崖になっているので落っこちたら無事では済まないだろう…
「あんな所に…一人でいたんだ…」
僅かながらに、小さな声を漏らす飛鳥は、あの岩だらけを目標にして突っ走って行く。
いつの間にか汗が流れており、疾駆で汗が風に乗るよう後ろへと飛ばされて行く。
動物や虫の鳴き声など聞こえず、この森は嫌な雰囲気を纏わせていた。
きっと、敵連合が攻めに来たからだろう…
安心出来ない。
そもそも、敵連合がこの合宿先を知ってること事態が驚愕の事実なのだが、こんな危機的な状況で考えても無駄だし、考えるにしても答えなど出てくるハズがない。
――それよりも私たちの目的は先ず、洸汰くんを救うこと…
敵がいなければ不幸中の幸いだけど…敵が多かったりしたら命の保証がない!
洸汰くんだけじゃない…それが終わったら散り散りになってる生徒達を見つけないと…
その為にも、風のようにもっと早く――
「秘伝忍法――」
その刹那――何処からか秘伝忍法という声が森の何処からか聞こえた。
飛鳥はそのほんの少しの瞬間だけ、一秒にすら満たされない…そんな瞬間的な時間、飛鳥は立ち止まる。
暗い森の中、何処から声が聞こえたのか分からない…でも、確かに今、秘伝忍法って――
「【波王獣撃拳】――」
飛鳥の真横に、ハッキリとした声が聞こえた。
横を見ればその謎の人物は拳を既に飛鳥に向けており、咄嗟に二刀でガードを試すも、その拳を食らった直後、鈍く重い衝撃が刀から身体全体へと伝わり、軽々しく、トラックに跳ねられたかのように吹き飛ぶ。
「飛鳥さん!?」
突然、飛鳥が吹き飛ばされた。
この状況に頭が追いつけず、目を丸くし飛鳥を殴ったと思われる…いや、この場に一人しかいないので、飛鳥を殴った張本人に視線と意識を向ける。
その人物はゆっくりと拳を握りしめ、飛鳥を殴った方向に、悠然と語り出す。
「――お前らにとって忍ってなんだ?
何故テメェらは殺し合いをする?闘う?血を流す?命を懸ける?
それは上層部からの命令か?はたまた、任務の一環か?
違う違う、ダメだ駄目だ…それじゃあ闘う理由にはならない、それだから忍ってヤツはつまらねぇんだ…」
マスクで顔を隠してるので相手の素顔は分からないが、服は黒いTシャツに後ろにたなびく黒髪、そして逞しい筋肉が露わになっており、その人物が緑谷よりも一回り大きい男性だという認識を受けた。
両手には夜桜と少し似た手甲を装着させ、黒く禍々しく、血の匂いがこびり付いてるのが特徴的で強い印象を与えている。
「殺し合う理由はただ一つ!勝つか負けるかのシンプルな定義…弱肉強食ッつー自然の摂理の下で闘う訳よ!
つまり死の戦場の中誰が生き残るか、誰が勝者になるか…決められるんだ!
分からねえもんかねェ…忍を殺した時の快楽と、超越感…己がまた強く前進する成長感…それが俺の心に刺激を与え火を付ける…!
だから、殺しはやめられねェんだ!!」
ゾクゾクと体に身震いを起こすこの男は、興奮のあまりボクシングのように軽く腕を動かしジャブを繰り返す。
この男は余りにも異常だ、狂ってる。
言ってること自体が何を言ってるのかも分からないし、到底理解することなど、緑谷には出来る訳がない。
その男は今後は緑谷に視線を動かす。
「まァ…あのパンチ食らってあの世行きってのは少々名残惜しいが…
久しぶりにブッ殺せたんだ、相手が誰だろうとどうだって良いか…
尤も、ヒーロー学生なんて今までにブッ殺したことなんざねぇからな!」
その男は緑谷には拳を向けるよう構える。
緑谷もワンテンポ遅れて、反射的に構える。
出来れば戦闘は避けたいのだが…思った以上にこれは…苦戦しそうだ。
それ以前に緑谷は今混乱している。
頭の中で上手く状況が整理してない。
飛鳥がやられたなんて信じてる訳でもないし、やられたなんて思っていない。
しかし彼女の姿が何処にも見受けられない…
となると、やっぱりやられたのでは?
そんなハズ…ある訳が――
「んじゃま…行くぜェ!!」
しかし、幾ら緑谷が考え悩んでたとしても、時間も敵も待ってはくれない。
大男は大きな素振りを披露し、緑谷の顔面に思いっきり拳を入れるよう、殴りにかかる。
駄目だ、早すぎる!
図体に会わず、この男のスピードは尋常じゃない…多分、プロヒーローが多くとも彼に簡単にやられてしまうだろう…そんな気さえする。
ワン・フォー・オールを使用してガード?
駄目だ、あのパワーはグラントリノを凌ぐ…彼の猛攻で解除されるんだ…自分が無事だという保証もなければ、秘伝忍法で防げれるかどうかと問われても多分無理に近い。
ワン・フォー・オールを使用して回避?
これも駄目だ、もう遅い…コイツのスピードは多分微調整な自分のスピードを軽々しく超えてるし、時間がない。
なら――
一か八かの勝負…つまり、カウンター――
ここで使うのは名残惜しいが…100%を使うしかないのかもしれない…
威力は爆発的で、火力が高い分自分に激しい激痛ダメージ及び、使えものにならなくなってしまうが…
それでも、今は関係ない――!
「秘伝忍法――【二刀繚斬】!!」
緑谷が決意したその直後、聞き慣れた声がこの人物の後ろから聞こえた。
その声は、この男に殴り殺されたのではと、死を疑った少女、飛鳥だった。
飛鳥はガードしていたので何とか態勢を立て直すことが出来たらしい。
一瞬の防御による一手、そのお陰か傷らしき傷は見受けられない。
緑谷の表情は僅かに晴れ、その大男は一瞬だけ動きを止めると、諸に飛鳥の秘伝忍法を背中で受けた。
普通なら秘伝忍法を食らった忍は、破壊的な衝動、衝撃により忍装束に傷を負い破くものなのだが、この大男…背中を諸に食らったにも関わらず、傷一つ付かないのだ。
――傷が付かない…?嘘でしょ!?
焔ちゃんなんか忍装束が破けたのに、破くどころか、傷一つすら付かないなんて…
飛鳥は内心そう叫ぶ。
自分の秘伝忍法が相手に通じない…それがどれだけ恐ろしく悍ましいことか、想像できるだろうか?
つまり己の力が相手に通用しないという事は、自分の攻撃が相手に通じないという意味を表すのだ。
「飛鳥さん!良かった…無事…だったんだね…」
緑谷はようやく安堵の息を吐き、胸をなで下ろす。
もし死んでたらどうしよう…なんて思っていたが、そんな心配も意味なく野暮だった。
飛鳥は「私は大丈夫だから…それよりも…」と伝え、視線を相手に向ける。
その大男は飛鳥が生きてることが意外だったのか、呆然と突っ立っている。
「―――意外だなァ、普通俺の奇襲を掛けたパンチなら、対応出来ずに虫の息になるのがオチなんだが…
…飛鳥?ん、んん?お前…飛鳥なのか!?死柄木の言ってた人物…
思い出した!お前確かリストに載ってたヤツか!」
その大男は、緑谷が彼女の名前を呼ぶ際に思い出したのか、何度も掌を叩く。
死柄木弔…そうか、彼が忍を動かしてるのか…
「緑谷くん早く行って!此処は私が食い止めるから!」
「飛鳥さん!?で、でも――」
「良いから!!
――言ったでしょ?カバーするって…私と緑谷くん二人で闘っても、時間を消費するだけ…その間に洸汰くんの身に何かあったらどうするの?誰が救けるの?私と緑谷くんしかこの場にいない…
なら、緑谷くんが動かなくっちゃ!」
この場の近くにいるのは緑谷と飛鳥だけで、飯田率いる他の生徒たちは速やかに、相澤とブラドがいる施設へと避難している。
マンダレイや虎は、スピナーとマグ姉を受け止めている。
ピクシーボブは重傷を負ったまま気絶し、ラグドールは森の中にいるため、他の皆んなの安否は彼女に任せるしかない。
ここで頼りになるのは、この場にいる緑谷だけだ。
「それに――救うんでしょ?洸汰くんを…なら、私がそれを、守らなきゃ…ね?」
飛鳥はニコッとした笑顔を緑谷に見せる。
太陽のように輝かしく、優しい笑顔…飛鳥にとってその笑顔はいつも見せる、何気ない普通の笑顔…
しかし、緑谷にとって飛鳥のその笑顔はある人物と面影が重なった。
オールマイト――
憧れのヒーロー…どんな危機的なピンチに於いて、常に笑顔を絶やさない彼女のその笑顔は、心が安らぐ。
――そうだ、飛鳥さんも忍なんだ…任せなきゃどうするって言うんだ…
折角飛鳥さんが託してくれたんだ、この想いを、無駄には出来ない。
「分かった!それじゃあ飛鳥さん…お願い!」
緑谷は声を振り絞り、彼女にそう告げる。
飛鳥は緑谷からこの男に視線を送ると、決意を宿したその目で、不敵な笑みを浮かべる。
飛鳥の事が気に入ったのか、男はニヤリと口角を釣り上げる。
マスクはしてても、口から下は素顔なので、口だけでも様子が物分かりだ。
「貴方は私とだよ…!ええっと…」
飛鳥は相手の名前を呼ぼうにしても、初対面なため当然の如く、名前は知らないので口をもごもごとし悩む。
すると飛鳥が何を悩んでるのか察した男は、口を開く。
「…黒佐波だ。別名…抜忍狩の抜忍さ…」
彼は黒佐波と…そう答えた。
抜忍狩の抜忍とは、また偉い名前だ事…
飛鳥は僅かに呆然とするも、抜忍狩の抜忍という名前に首をかしげる。
「なに、簡単な事だよ…
俺は俺を
抜忍になりゃ窮屈な生活が始まる…なんてことは俺にはねぇ…
俺にとって忍をブッ殺すことは三度の飯より好きなんでね…」
忍を殺した時の快楽感、自分より上か同格か…強敵を倒した時の優越感と達成感が己を強くし、殺し合いの向上心を高まらせる。
歪んだ殺意もここまで来れば狂気だ、正気の沙汰とは思えない。
飛鳥は嫌なものを見るかのような目付きで、黒佐波に問う。
「殺し合うことが、貴方にとっての…忍の道なの…?」
「ん?あぁ、まあな。
別に忍の道理なんざ知ったことじゃねえし暴れれば、殺せれば何でも良いんだけどさ、いざ問われるとそう頷いちまうよなァ…
上層部の命令ばっか聞いて、任務でしか人を殺める事のできない忍の超人社会…
窮屈で差別的で、ハッキリ言ってつまらねぇ、ウゼェし興味もねえ、だから暴れて殺すんだよ…
殺した時は身も心もリフレッシュされてな?
他者を踏みにじり殺したと来たら何のって、それがやめられねぇんだよ!!」
この世界は常に弱肉強食として創られている。
強ければ生き、弱ければ死ぬ…当然のことだ。
弱者がどうして力を付けずしてこの世界を生きることができる?
生きるのであれば強くあれ…
それは今の超人社会や忍社会に於いてもそうだ。
忍の罪は弱さ、弱さは罪に値し死ぬべきである。
生きるのであれば、強くあれ。
ヒーローもそうだ、強くなくして人は救えない。
心が優しくとも、強くとも、折れなくとも、体の強さが無ければ救うことは愚か、敵を倒すことなんてままならないし、死に至る。
ならば、常に強くあれ。
黒佐波はそうやって生きて来た。
別に間違ってはいない、強くなることは良いことだし、強く無ければ人は成長しない…
それが全てとは言わない…
しかし――
「そんなの…間違ってるよ――」
「あ?」
「――そんなの間違ってるよ!!」
飛鳥はそんなの認めない。
別に強くなることを否定してる訳ではないし、それは良いことだと思う…
実際自分は忍を目指してる身だし、否定しようもない…
だが、一つだけ間違ってる。
「何でもかんでも…殺して…楽しいなんて…殺し合うことが、忍の道?
巫山戯ないでよ!
そりゃ確かに…忍の任務で、殺し合うことは必然かもしれないし、避けられないかもしれない…
でも、殺し合う事が忍の道なんて…絶対に認めない!!
そんなの私が許さない!忍は、何でも殺し合うためにあるんじゃないんだ…」
殺し合うことが、全てじゃない。
時に善と悪が殺し合う争いになっても、仕方ないかもしれない。
任務のことだ、だが忍はそれだけじゃないんだ。
世の中を、社会を、人々を支えて守る…
それが忍の本業だ。
「――ハァッハッハッハ!!
善忍はいつでも正しいですよ〜、私たちは何も間違ってないですよ〜、世の中殺生ダメダメ〜、ってか?笑わせんなクソ餓鬼ぃ!
やっぱなぁ、善忍ってのは根本的に相性悪いって俺の中で二番目に言われてんだよなぁ、あっ、三番目か?あれ、あれれ?まあ良いや…
善忍ってのはそうだよな?何処にでも現れて、一丁前に正義面しやがる…」
黒佐波は半分笑いながらも飛鳥の怒涛など気にもせず語り出す。
「闘う力だけじゃない…守る力も立派な強さなんだ!!それが、私の刀と盾――
飛鳥!正義の為に舞い忍びます!!」
守るべきものがある少女は、命を懸けて闘う。
はぃ!来ました此処で飛鳥VS黒佐波でございまスルメイカ。
なんだ男か興味ねぇ、男に何処需要あるんだよ!とか思ってるやつ、今回ガチ目にヤバイからな!
飛鳥ファンは傷物については少々お許しを…
その時は黒佐波を恨んでください
黒佐波「解せぬ」