光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

81 / 253
お久しぶりです皆様、ええ先週投稿できずに申し訳ありませんでした。
この日に増して忙しさが急増、そしてようやくテストが終わったのです、本当に良かったあ。
投稿ペースは遅くなりますが、これからも頑張っていきます。


80話「折れるな頑張れ飯田くん」

「これ、思ったより厄介な相手やな」

 

日影はポツリと声を漏らした。

とうとう脳無が繁華街に出てしまい、街の人々たちは悲鳴をあげながら逃げ、避難誘導と共に逃げていく。

脳無は口から高熱線の紫色のビームを一閃、大爆発する。

その名の通り炎上――

 

道路は炎に包み込まれ、黒い煙が巻き起こり、視野が悪くなる。

 

日影、詠、未来は焔がいなくなってから脳無と相手をしてるわけだが、どういう理由なのか、どれだけ攻撃しても脳無はこちらを相手せず、街の繁華街に出て暴虐の限りを尽くしている。

一般人に巻き込まれないように、違う方向へ誘導したり、挑発に乗るよう攻撃を幾度もなく繰り返してるのだが、脳無の身体は強靭なのか、多少傷は見受けられるものの、見向きもしない。

 

「何でこうなんのよ…!!」

 

思い通りにいかない。

相手の思考を持たない脳無に対し、未来は苛立ちで声を荒げ、脳無目掛けて狙撃する。

銃弾が脳無に食い込むように当たるが、脳無は逃げてる一般市民を狙っている。

一体どういう原理なのか、脳無はこちらに相手しようともしない。

 

「秘伝忍法!――【ニヴルヘイム】!」

 

詠の秘伝忍法、ニヴルヘイムは脳無の背中に襲い掛かる。

それも外すことなく的確に、脳無の背中、足、腕、そして脳が丸出しの後頭部――

 

脳無は軽い苦痛のような悲鳴を少しあげ、一瞬動きを止める。

唾液を垂らし、血走った目で詠…ではなく、一般市民を睨み腕を振り上げ殴り殺そうと飛びかかる。

 

「嘘ッ!?詠お姉ちゃんの秘伝忍法食らって、まだ無視する気なの!?」

 

未来は脳無のタフネスと、思考の無さに驚愕色に染まる。

どれだけ攻撃しても、脳無は死柄木の下された命令を全うする。

それが自分に出来ることであり、自分がやるべき使命…脳無には思考能力はないが、生物的本能がそう告げているのだ。

 

「コロ……ス!!」

 

「――そんなッ!?」

 

「アカン!こりゃ間に合わへん!」

 

そして脳無は力一杯、思いっきり拳を握り締め逃げ回る一般市民を殴り殺す。

グシャァ――!!とした鈍く、痛々しい音が、三人の耳につんざくよう響き、焦りから絶望の色に染まった。

死んだのは一人、脳無はゆっくりと腕を上げ、猫背だった上半身を、ゆっくりと上げる。

死んだのは一人、それもしがないただのサラリーマンだ…

地面には鮮血が海のように広がり、悲鳴をあげることもなく、無残な死骸が道路にポツリと…

 

「守れ…なかった………」

 

無気力な未来の声が、騒ぎのある静かな空間にポツリと呟いた。

脳無は「次…コロス…!!」と意味不明な言葉を何度もなんども咀嚼するように呟き、禍肩にある禍々しい突起物のクリスタルが少しずつ大きくなっていく。

口から白い吐息を漏らし、唾液がダラダラと垂れていく。いや違う…

シュゥ〜…と何かが蒸発してるような音が聞こえる、それは脳無の口から出てる液体が地面に垂れ落ち、その地面が溶けているのだ。

 

――これは消化液

 

これも個性なのか?それとも…素なのか……普通の人間からなら考えられないことだが、この脳無は常人離れした化け物だ、あり得ないことをやって来るのが脳無だ。

 

しかしそんな禍々しい脳無のことなどどうでもよく、自分たちが一般人を守れなかったという落胆と絶望が大きかった。

 

 

三人で相手をしていたのに、脳無一体止めることすらままならない…

 

 

 

「なんて…こと………」

 

詠は両手で口を覆い隠す。

昔の蛇女の頃にいた自分なら「あら、そうですか♪(微笑)」で済んでいたが、今の彼女は目の前の一般市民の死で大きく動揺し、驚愕の色に染める様だ。

 

脳無は標的が死んだと本能的に認識し、腕に力を入れ、力瘤が逞しく膨らむ。

 

最大火力の衝撃を放つのか、三人は目の前の脳無の攻撃に警戒しつつも、市民を守れなかったことを悔やみ、苦しみ、武器を手に取る。

 

 

――その時だった。

 

 

ボシュん

 

何かが蒸発した音が三人の耳に届いた。

これは一体…と、聞こえた方向に目をやる。

 

そこには、鮮血が広がり倒れてる市民…ではなく、木偶人形だった。

いつの間にか、海のように広がってた鮮血は煙のように白く蒸発し、消えている。

 

 

三人はその光景に目を疑った。

 

 

それと同時にすぐに理解した。これが一体どのような現象であり、何があったのか…誰の仕業なのか……

 

そう、これは…

 

 

「皆んな、お待たせ♪」

 

 

春花の傀儡―――

一般市民に偽装させ、上手く脳無を羽目る為に誘導させてた捨て駒。

春花はサディスティックな衣装に身を包み、強烈なる一撃を、気付かない脳無の背中にぶつける。

するとどうだろうか、道路に脳無の体が埋もれ、脳無自身一体何が起きたのか、思考能力を持たない改人には当然理解できず、春花の蹴りを諸に受けて、地面にひれ伏すようにとめり込まれる。

脳無の痛々しい声が、地面から僅かながらに聞こえ、ミシミシと春花の足元から、筋肉や骨が軋む音が伝わる。

 

「春花様あぁ!」

 

先に叫んだのは未来。

まさかこれが春花による傀儡だとは知らず、心の底から安堵の息を漏らすと同時にその反面、自分たちをも騙してた春花に苛立ちを覚える。

 

「もうビックリしたじゃない!!!どうして私たちにまで教えてくれなかったの…!?」

 

「ふふ、ゴメンごめん未来ちゃん。そう怒らないで、別に騙してた訳じゃないのよ…?

本当は私が市民の避難誘導をしてる内に、一般市民に偽装させた傀儡で街の状況を詳しく調べようとしたんだけど、運悪く、偶然、この化け物に出会っちゃっ――て!!」

 

春花があの時焔たちといなかったのは、街の人々の避難誘導及び、焔たちがここ保須市にいることを悟らせない為のもの。

伊佐奈の件があってか、多少紅蓮隊の調査は手薄になり、処罰はないものになったらしいが、それでも忍たちは何を仕掛けてくるか分からない。

何より自分たちが忍の正体をバラしてしまい、世間にそのことが知れてしまっては元も子もない。

春花はそれらを兼ね合わせた上で、一人で行動し、ついでに今この保須市がどうなってるのか、詮索するべく傀儡を紛れさせ調査をしていた。

そのことを伝えると、春花は今にでも起き上がりそうな脳無の後頭部を、思いっきり踏む。

グリグリとした痛々しく嫌らしい音を立てる春花のその姿は正しくサディスト。

危険な女の香りだ。

ドMの人(特に両奈)や変態(峰田とか)なら喜んで踏まれることに快楽や喜びを感じ、一般人ですら新たな、危険な快感に目覚めるだろうテクニック、しかし脳無はただならぬ声を荒げるだけで、そこに喜びや怒り、悲しみ、苦しみなどない。

全てが無。

 

脳無は両肩から巨大なクリスタルを生成し、パキパキとその結晶の破片が飛び散り嫌な音を立てるが…

 

「させへん」

 

「えいっ!!」

 

日影と詠は、何か危険なものを感じ取ったのか…或いは嫌な予感がしたのか、武器を駆使して肩にあるクリスタルを粉砕するよう振り下ろす。

一撃二撃という重々しい攻撃を繰り出すと、ピシリッ――嫌な音が響き渡る。その時、脳無は苦痛のあまり口から消化液を吹き出す。

地面のコンクリに埋もれてるため、自身の顔とコンクリに消化液が滲み、顔も僅かながらに消化していき、脳無は又してもその悲痛に襲われる。

 

「―――ホムア!ホムアァァ!!」

 

何かを訴えかけ、叫び続ける脳無の恨めしい声が、地面から響き渡るように全身に聞こえる。

脳無は屈強な筋肉で起き上がろうと全身に力を入れるものの、三人の攻撃に脳無は起き上がれない。

 

「ホムア…って何を……

 

――そう言えば、焔ちゃんは?」

 

「なんか敵連合を見つけたからって一人で向かって行った!

皆んなはこの化け物を相手しろって言われたし…!」

 

脳無が意味不明な言葉を叫び続け、春花は脳無の言葉に何処か違和感を感じながらも、焔のことを思い出し、未来に問う。

敵連合、死柄木弔らしき人物がそこにいると言い、そのまんま突き通すように突っ走って行ったのだ。

 

「もう、相変わらずね焔ちゃんは…まるで猪みたいだわ……

 

でもまあ、そういう事なら…ちゃんと焔ちゃんの期待に応えないとね!」

 

焔から言われた事、なら自分たちが次にやるべきことは、脳無を倒すこと。

恐らくこの街に被害を及ぼしてるのは脳無と見なして間違いない…

どういう理由で暴れてるのか、脳無の正体が何なのか、脳無は何匹いるのか、謎だらけで聞きたいことは山ほどあるが、思考能力を持たない脳無には当然、それらしきヒントが手に入れれる筈がなく、答えが見つかるはずがない。

それでも四人はこの化け物の相手をしなければならない。

 

脳無の体は静まり、ようやく諦めたかと思ったその途端、脳無の筋肉がブクブクと増えていき、動脈がクッキリと見え、秒針よりも早く、脈を打つ。

 

「……?なにこれ?」

 

春花は怪訝そうな面で脳無を見下ろす、確かに先ほどの対抗心は収まり、ようやく落ちたかと確信したその時、脳無の体に異変が起きた。

脳無の体は先ほどまでとは違い、少しずつ大きくなっていき、上半身がゴリラをも超えるのではないか?と疑問を抱いてしまう筋骨隆々とした姿、春花が押さえつけようとも、詠が大剣で脳無の体に食い込みを入れても、脳無の動きが止まることなく、成長するかのように体は大きくなっていく。

大きくなると言っても、超大型ヴィランのようなビルを匹敵する大きさではなく、約4mの大きさ、それでも筋肉を増やしただけでこれ、恐らく『筋骨発条化』、『膂力増強』による個性だろう。

 

 

「ちょっと、本当に人間なの?」

 

春花は冷や汗を垂らしてそう呟く。

後々と調べて分かったのだが、個性というものは複数持つことはない、あるとしたらそれは個性婚か伊佐奈のような個性障害者…ある意味複数個性を持ち備えてると言っても過言ではないが、それでも脳無のように個性をここまで複数持つ者は見たことがなく、また端から見れば分かること…

 

「改人って言われてる程だから……そういう風に無理やり個性を複製させるために、作られた…とか?」

 

未来が恐るおそる口に出す。

確かに未来の言葉には辻褄が合う――

飛び出てる脳に、無理やり強化されたような体、片目は刀による傷痕なのか、白目を向いている。

改人…つまり元は只の人間?そうなると、どのように改造されたのか…

想像できないが、その結末はきっと、末恐ろしいものだと、直感的に理解した。

 

「………そんなはず………あり得ませんわ…

 

そんな、そんな悪がいたとして………許せるはずが……」

 

詠も未来の言葉に想像が付き、考えてることが一致する。

思考能力を持たない…ということは、洗脳かそれに近いもの…または力を摂取し過ぎた為、その副作用によるものなのか…

考えるとキリがない…しかし、今はそんなことを考えてる暇はない、やるべきことは…

 

 

―――コイツを阻止すること

 

 

「アアあァァァアあぁぁアァアーーーーーーーーー!!!」

 

脳無の凄まじい雄叫び、周囲を吹き飛ばすかのような衝撃波、緑脳無の時の衝撃波に近いもの…しかしこれは個性ではない…ただの咆哮だけでこの凄まじい衝撃波、元々高かった身体能力を、無理やり個性で強化し更にパワーアップ、他の脳無とは一線凌駕するそのパワーバランス、妖魔と同格か、それ以上か…

分からないことだらけだが、ここでやられる訳にはいかない…

 

「皆さん、行きましょう!!」

 

「せやな、こないなヤツにやられるようなヤワじゃないからのう儂らは」

 

「思い出せ私たち!伊佐奈と比べたらこんなヤツ…!」

 

「ええ、焔ちゃんはアレを一人で倒したんだから、私たちもこんなのに手間取ってたら、カグラになんかなれないものね」

 

 

ここで倒れる訳にはいかない。

カグラになるのなら、本気で忍の頂天を目指すのなら、こんなヤツに手間取ってる場合ではない。

それは、未来あるカグラになりうる可能性を秘めた少女たちの決意。

 

立ち向かえ、強敵は目の前にいる。

 

 

―――憐れな姿に変えられた化け物と対峙する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄っすらとした記憶が頭の中に遮る。

いつからだろう、自分がヒーローに憧れたのは…アレはまだ当時小学生の10歳の頃からか、皆んなからよく真面目だと言われてた自分は、25歳、かなり歳離れした兄にある疑問を抱き尋ねたことがあった。

 

「兄さんはどうしてヒーローを目指したんだい?」

 

物心がついた時から、兄は立派な一人前のヒーローとして活動していた。

人助け、悪というヴィラン、災害、目の前に降りかかる唐突たる理不尽を前に、兄はソレらに立ち向かい、様々な勇姿をメディアに魅せ輝かせていた。

ヒーローやってるのが当たり前に思えたからこそ思うのだ、どうして兄はヒーローになったのだろう…?

家の代々がヒーローとして務めていたからか?

当然だからこそ、ヒーローになりたいと思ったのが不思議に思えた。

 

兄さんはどんな気持ちで、どんな想いで、どんな風にヒーローになりたかったのか、不思議でならなかったから…

 

 

 

「モテたい」

 

「不純だ!!?」

 

「ははっ、嘘だよ。半分冗談」

 

「半分!?!」

 

 

即答。

思いもよらぬ答えに、飯田は半分引き、半分驚愕色の声を叫ぶ。

まあ半分冗談らしいが…本当にモテたいという気持ちはあるのだろう…

兄はヒーローコスチュームの白ヘルメットを、クローゼットの中に入れる。

 

「まあそりゃさ、祖父・両親がヒーローやってて、俺もヒーローやるのは世間として当然なように思われてるけどさ、俺はまあ、ちょっとした想うことがあるんだよな」

 

想うこと?と飯田は首を傾げながら且つ、機械的な動作で尋ねてくる。

お前はロボットかアトムか、と突っ込んでしまう飯田の兄は、自分が何故ヒーローを目指すようになったのかを語り出す。

 

「迷子の人が、迷子センターへ案内するように、俺は誰かを導く存在になりたいんだ。

そういう人間が、俺にとって一番輝いていて、カッコいいもんだからさ。

 

他の人と比べたら大したこと無いかもしれないし、ぶっちゃけ言って俺はそこまで凄いヒーローじゃないんだよ。

 

俺がこうしてヒーローやってけれるのは、俺についてきてくれる仲間たちのお陰なんだ…アイツらがいるから、俺も頑張れるんだ……

俺はアイツらの期待に応えるためにも、もっと頑張らなくちゃいけないんだ……」

 

自分の為ではなく、自分を支えてくれる仲間の為に、自分は胸を張り頑張ることができる。

ヒーローになりたかったのは、そう言った誰かを導くようなヒーローになりたいから。

 

「兄…さん…」

 

「アレ?でもさ、俺以外にも凄えヒーローは山ほど居るのに、お前は俺を憧れてるってことは…

 

そんじゃあ俺、凄えヒーローになれたのかな?ハハッ!だってお前は俺よりもずっと優秀だもんな!なんか兄としてじゃなくても、普通に嬉しいな!」

 

―――兄さん。

そんな輝かしい兄が、大好きだった。憧れを抱き、尊敬していた。

将来ヒーローになって、兄の事務所に入ろうとすらずっと思っていた。

 

緑谷くんがオールマイトに憧れてるように、僕にとっての一番の憧れはインゲニウム、兄さん。

そんな一番大切な兄を、憧れを、ステインは潰したのだ。

どんな理由があれど、兄を傷つけたことに何ら変わりのない、嘘偽りのない犯罪者…

僕はアイツの所業を許すことなく、兄の代わりとしてアイツを倒すことを決意した。

 

けど…違った――

 

 

―――まずアイツら救けろよ―――

 

 

何がヒーロー…!

兄の復讐に視野が狭まり心が支配され、ステインを討とうと、己の罪を思い知らせんばかりと、僕は兄の名を使い名乗り、彼に挑んだ。

 

しかし、罪を思い知らせるどころか、己の誤ちや、愚行を思い知らされた。

僕は何にも変わってない…自分のことしか先のことが見えていない…自分勝手で、我儘で…ヒーロー失格と言われても仕方ないくらい、どうしようもない人間だ…

 

 

僕は一体どうすれば…

 

 

 

『救けに来たよ!飯田くん!』

 

――緑谷くん

 

 

『貴方の歪み、復讐に身を染めた貴方は、見ていられない…!!』

 

――雪泉さん

 

 

『なりてえもんちゃんと見ろ!!』

 

――轟くん

 

 

 

友に血を流させ、危険な状況に陥れ、殺されるかもしれないというのに、僕は黙ってただ見てるだけしかできない…

 

本当に何をやってるんだよ僕は……

これが、僕の求めたヒーロー像?これがヒーローと呼べる有様か…?

―――違う!!僕は…僕はただ…兄さんのことを…

 

 

いつしか、自分がどんなヒーローになりたいのか、自分のヒーローの姿を、忘れてしまっていた。

 

 

 

 

 

 

―――でも

 

 

 

「小僧は氷に炎…一方忍は、氷に風……何方も相性のいい能力ばかりだな――」

 

「んで、これ避けられんのか…!!」

 

ステインは轟の動きに大分適応出来たのか、轟の炎をあっさりと避ける。

自分の攻撃が避けられたことに、轟は表情を苦難と焦りの色に染める。

コイツは前々から知ってたけど、手強い、強すぎる。

USJのオールマイトと渡り合った敵や、蛇女の襲撃犯、漆月とは訳が違う。

 

 

「おい!お前ら早く逃げた方が良いって!コイツの狙いは俺とそこのメガネくんだけだ!救けを呼ぶのが先決だ!」

 

「そうなんすけどね、それが中々…敵は見逃してくれないんすよ、そんな隙すら与えちゃくれねえ……だから、こうやって防戦するだけが精一杯なんすよ…!」

 

路地裏で倒れ伏せていたネイティヴが声を荒げ、轟に忠告するが、彼自身も本当は分かっており、これが今逃げれる状況ではないと逆にそう答える。

 

 

ヒーロー殺しの動きは、忍に負けず劣らずの素早さを兼ね備え、本当に忍者のような動きをする辺り、本当に忍ではないか?と疑問を抱いてしまう。

しかし雪泉の言葉からしてそれはない、忍の彼女が言うんだ間違いない、雪泉自身も驚いている。

忍とここまで渡り合える人間が、他にもいたなんて想像もつかない。

 

しかし当時、皆んなは知る訳がない…

忍を殺害していく内に、自身が忍の動きを学んでいったことなど…

戦いを経て成長するのは、忍やヒーローだけではない、悪い意味でステインも成長する。

そう、無数の忍の屍の上でステインは、独自に戦闘術を生み出し、身に付け、ヒーローを殺害してた時よりもずっと遥かに成長しているのだ。

 

つまり、忍と交えたことで、ステインは本来的に入らなかった戦闘術や知識を、得ることができたのだ。

それも漆月のお陰、彼女に出会ってなければ、延々とその存在に気づくことなど無かったであろう…

 

ヒーロー殺し…いや、忍殺しともよばれる彼は、ある意味漆月に感謝しなければならないのかもしれない。

 

 

「言われたことないか?個性にかまけて大雑把だ―――と」

 

「――ッ!?化け物が…!」

 

これは避けられない。

長刀が轟を斬るように襲いかかる。

間合いを詰められた轟、避けられるはずがない。

雪泉は「させない!!」と一喝し氷の剣を作るものの、ステインの狂人たる目にも見えない速度の剣技に、氷の刀は簡単に砕け、壊れ、虚しく消えていく。

 

「嘘…そんな……」

 

あの氷の剣が意図も簡単に…と絶望の色に染める。

いや、これは無理もないかもしれない…何故ならこの技はステインのような刃のみ相手にする敵、そしてこの狭い路地裏、秘伝忍法を使えば周りを巻き込んでしまう。

それを対処する術を身につけるため、雪泉は氷の剣という、新しい技を生み出し戦ってきた。

まだ技は未熟なものの、熟練度を上げていけば、立派な秘伝忍法の一つとなりうるものだ。

しかし、ステインの目の前にしてそれは簡単に打ち砕かれた…

ヴィラン相手に…と舐めていた自分が浅はかだ。

ヴィラン…忍の力を持たない悪。

今までそう解釈していた、しかしいるものなのだな…

忍の知識を身につけ、忍を対処する術を持ち、対抗できる力を持つヴィラン…

身を以て肌身で感じた。

 

 

 

―――だからこそ負けられない。

 

 

 

 

今まで倒れてた飯田は、ここで身体が動き出す。

動ける…ということは、個性による効果時間が切れたのだろう、飯田は拳を握りしめ、ステインを睨む。

しかし当の本人であるステインは、轟や雪泉のことで頭が一杯の為、焦ってるのか飯田の存在に気付くはずがなく、再び轟を斬り捨てようと、血に染まった長刀が彼を襲う。

 

 

――ここで立たねば…!!

 

 

「ッ!?」

 

 

飯田は走りだす。

 

 

―――もう、誰にも追いつけない!!

 

 

ここでようやくステインは飯田が動けることに気づき、心の中で舌打ちをする。

 

(チッ…!もう動けるようになったのか小僧…!)

 

効果時間が切れた、その事実をステインに更なる焦りを与える。

飯田の足のエンジンが唸りを上げ、猛スピードの蹴り、ステインの刃物は折れてしまい、刃先が地面に突き刺さる。

 

―――早い。

 

ステインの目でも追えないこの超スピード、驚愕する。

この小僧にまだそんな奥の手があったのか…と…

誤った使用方法も、時には武器になる。

ステインは体勢を崩し、大きく退く。

飯田の脚はエンジンの音がするが、そんなことは関係ない、やっと動けることが出来た。

効果が切れたことに、飯田だけでなく、他の3人も安堵の息をつく。

これで四対一、つまりこっちが更に有利になり、ステインは不利な状況に陥った。

 

「飯田くん!身体動けるようになったんだ!」

 

「効果が切れたか……ってことは、思ったより大したことないな…あの個性、多対一では不向きな個性だ…」

 

緑谷の明るい言葉、轟はステインを見つめ、相手の個性がそこまで大したことないことに息をつく。

いや、本当は恐るべき個性であることは知っている。

それはあくまで一対一の場合、今みたいに多対一の勝負は決して向いてる訳ではない、どちらかと言えば不向きだ。

 

「皆んな…僕のためにありがとう………緑谷くんに飛鳥さん…轟くんに、雪泉さんまで……僕のために………本当に申し訳ない……君たちには関係ないことなのに……」

 

「また…そんなこと……言って……」

 

飯田の言葉に、ネイティヴと同じく体の自由を奪われ、ひれ伏してる飛鳥がここで反応する。

また誰かのことを見ずに、自分で何もかも解決しようとする。

飛鳥はそう思い、言葉を投げかけようとした途端、飯田の言葉が遮る。

 

「だからこれ以上、もう君たちに血を流させる訳にはいかない…!」

 

飯田は蹴りの攻撃によってか、反動が強いあまり、メガネは何処かへ飛んでいってしまった。

そのため、飯田はメガネなしの素顔だ。メガネを掛けてない飯田の顔は何処か新鮮だ、その顔には強い闘志を燃やした、決意を固めた表情。

飯田の視線先は、ステイン。

そのステインは飯田を警戒してか、一旦距離を取り、折れた長刀から飯田へと視線を変える。

 

「――感化され、取りつくろうとも無駄だ。

人間の本質というものは、そう易々と変わらない…

 

お前は一度復讐心に飲み込まれた…もうその時点でお前は正義を掲げる資格も、ヒーローを名乗る資格も無い。

 

そもそも、友の言葉でお前の本質が変わるのであれば、お前は所詮言葉だけで簡単に変わってしまう、信念無き愚かな人間だ…

それは信念と呼ばない、そんなものはヒーローには要らない、強き信念を持たない証拠だ……」

 

人が誤って誰かを殺し、それが如何に愚かで罪を償おうとも、その罪が消えることがないように、一度復讐に心を奪われたヒーローは、ヒーローではなくなる。

人を殺そうとしたその罪は重く、ヒーローとしてはあってはならない本質。

 

ステインの言葉は確かに皮肉だが、正論である。

敵に教えられる時点で、もうヒーローとしては失格だろう…

 

コイツは許されない殺人鬼だ、犯した罪は当然許されるわけがない。

それでも、ヴィランの言ってることは全て本当であり、飛鳥や緑谷も正直、彼の言葉に納得してしまった。

 

 

「――お前がヒーローを語るんじゃねえよ偽物!!

誰かが正さねばならんのだ!この社会を!

偽物に塗れた社会を壊す!その為にはお前のような人間は殺さなければならん!粛清だ!

 

お前は社会の汚染だ!汚物だ!ガンだ!ゴミだ!!

悪が善を蝕むように、お前のような偽物は、コイツら本物を蝕む存在だ!

 

――お前のような人間が生きてることでさえ烏滸がましい!!お前は私欲を優先させる偽物だ!そんな偽物など目障りだ!

犯罪者()同様に滅ぼすまで!」

 

 

怒り狂うステインは、額に血管を浮かばせる。

血走った目に、ドス黒い小さな瞳が怒りに応えるよう激しく震わせ、飯田そのものを否定するかの様に一喝する。

飯田の蹴りによるものか長刀が折れただけでなく、拳も食らったのか皮膚は剥け血に染まる。

その痛みも御構い無しに、ステインは飯田を罵倒し否定する。

歪んだ正義もここまで来ると悪としか思えない。

行き過ぎた正義は時には悪になる。今なら半蔵が言ってたことがよく分かる。

 

「人殺しの言葉に耳を傾けるな飯田、時代錯誤の原理主義だアイツは。

 

所詮何を言おうとコイツは人殺しだ、挑発してるんだ、コイツの思惑に乗るな――」

 

「――今の現実を受け入れられない人間…私が偉そうに言えたことではありませんが、貴方のやってることは全て虚言でしかありません。

 

例えそれが貴方にとって善意の行動でも、貴方が今まで犯してきた罪が消えるはずがな―――「いいや、アイツの言う通りだ――」――!?」

 

雪泉の言葉を遮る飯田は、ギュッと唇を噛みしめる。

正直言って悔しい、ここまで正論を言われ、自分を否定されても返す言葉が無い…

 

自分のことしか見えてなかった結果、自分は友を傷つけてしまい、血を流させてしまう始末……彼に何をどう言われても、反論できない。

 

「お前の言う通りだヒーロー殺し……僕はヒーローを名乗る資格も、正義を志す資格すら無い…

 

愚か者だよ俺は……何も見えなかった…復讐心のあまり、視野が狭まり、言葉云々で変わってしまう僕に、信念がないと言われても、間違いじゃないさ……

 

――だが!ここで折れるわけにはいかないんだ…!!」

 

ナイフの凶器によって刺された腕からは血が流れ、白いアーマーが真っ赤な血に染まる。

白い色だからか、血の色はハッキリとよく見える。

 

そんな傷だらけの腕を見向きもせず、飯田は強く拳を握り締める。

 

 

「俺が折れれば…――インゲニウムは死んでしまう…!!」

 

 

復讐ではなく、兄の名前…インゲニウムの誇り…

本当に兄のことを想うのなら、復讐で罪を思い知らすのではなく、インゲニウム…兄さんを引き継ぐ…

今度は自分がインゲニウムになるんだ…だから、兄のためにも、ここで折れてはいけないんだ―――

 

 

「――論外」

 

 

しかしステインはそれを赦さない。

――もはや、生きる価値なし。

 

 

そう判断したステインは、標的を飯田に変更。

偽物は排除する、全ては正しき社会の為に――

 

 

轟の炎が風の様に吹き上がり、ステインはそれを軽々しく避ける。

雪泉の風と、轟の炎の、風炎…それでもステインに避けられる…

 

 

ステイン…

さっきよりも明らかに様子が断然と違う。

黒い影が覆うかのように、ステインの表情は真っ黒に染まる。

紅い血のように輝く血走った目からは、狂気を感じる。

刀による無数の線を描くかのような高速な剣技の前に、氷はもはや意味が無くなる。

 

雪泉も一般的な忍の剣技こそは覚えてるものの、ステインのように熟練度、鍛錬を重要に積んでた訳がなく、その差は歴然としていた。

氷王の状態でなら出来なくもないが、アレは秘伝忍法によるものであり、それも極めなければ到底たどり着けるものでなく相当な体力を消費し、個性や通常の忍法のようにポンポンと簡単に出せるものではない…

 

 

雪泉は何度も氷の剣を生成し、斬撃を叩き込むも、ステインの軽い身のこなしに虚しく空振りに終わり、的確に隙をつき、氷の剣は見事破壊され、何回か掠ってしまう。

そして素早くステインは舌を蛇のように伸ばし、雪泉の血を舐めてしまう。

 

「止まれ!!」

 

「くっ――!すみません皆様!!」

 

「雪泉!!」

 

「お前もな――!」

 

ステインはいつ回収したのか、投げ捨てたナイフをいつの間にか手に取って拾い、再び轟に投げつける。

鋭い刃物が轟の腕に刺さることはなく、代わりに轟の目の前に飯田が現れ、轟を庇い自分が傷を受ける形となった。

苦痛に襲われ顔を歪ませる。

 

「ハァ…!偽物!!」

 

飯田は血は舐められてないが、倒れてしまう。

そしてそこから更に追い打ちとして、折れた長刀を的確に飯田の二の腕に当て、突き刺さる。

そのせいか腕は動かせず、起き上がらないまま倒れてしまう。

地面は再び飯田の血に染まり、路地裏は奮発とした戦況になっていた。

 

 

「コイツ…!」

 

 

応戦が来る。

その事実をステインに教えれば、焦りはするもの、怖気付きこの場から離れるとそう思ったから、轟は彼に真実を教えた。

普通の敵ならここで、ヒーローの応戦が来る前にトンズラこいて逃げるのだが、ステインは並みの敵でないらしく、焦りを感じたものの、そこから更に彼を刺激させ本領を発揮させてしまった。

 

――限界突破。

人は死線や瀕死を前に、これまでに無い力を発揮することが可能だ。

体力が少なければ少ないほど、ゲームで攻撃力が上がるように、ステインは自分が捕まってしまうかもしれない焦りを抱き、早く仕留めなければと、馬鹿力を解放させる。つまり、応戦が来ることを言ってしまったのは不味かった…もしこのまま何も言わずステインが焦らなければ…と、少し後悔してしまう。

しかし動き出した歯車が止まらないように、一度偽物を粛清すると決めたステインはもう止まらない…

 

 

―――何よりも、イカれた執着。

 

 

それがコイツをより強くしている。

このイカれた執着の正体が何なのか、何故彼はこんなイカれに歪んだ信念を持てるか…

それはきっと…社会を正し、偽物を粛清し、本物の英雄を取り戻すこと。

 

それが、その想いがステインを今以上に強くしてるんだろう…

思想力…想いの力は強さへと変わる…とは言うが、今回ばかりステインのソレは悍ましいものだ…

自分たちが強くなるのは嬉しいことだが、敵が強くなる程恐怖なものは無い。

 

 

一方、飛鳥は身体に力を入れると、やっと指先が動いたのか、効果が切れたそうで少しずつ立ち上がる。

ステインは飯田の時と同じく此方の存在には気づいてない。

今は飯田を排除しようと、凶刃を一心不乱に振るっている。

 

「……動ける!」

 

まるで力が滾るかのような開放感に、飛鳥は心の中で安堵の息をつくも、目の前の出来事に心を入れ替える。

ここでなら、今なら奇襲を仕掛けることが出来る。

生憎ステインは飛鳥のことなど頭に抜けている、それは飛鳥だけではなかった…

 

緑谷も同じく、ステインによる効果が切れたためか、フラつきながらも立ち上がる。

ここでワン・フォー・オールを使えば跳躍で何とか追いつける。

一度奇襲を仕掛けた為、もしかしたら自分の存在に警戒している可能性も無くはない。

 

(こっから跳躍して…届くとしても当たるか…?タイミングを外したら終わりだ………ヒーロー殺しの動きが早すぎる…奇襲で一撃で仕留めれるほどの火力じゃないと……多分倒せない…勝機はない……

 

勝つ方法は、これしかない…!!)

 

 

そう、今はただ……

 

 

 

 

 

 

 

 

(……ここでなら、まだ間に合える…!ステインは飯田くんが狙い…なら今、私の存在には気付いてないはず…!!

 

 

小細工なんて必要ない…難しいことも考える必要はない……私のこの力は…皆んなを守るためにあるんだ……だから)

 

 

――だから今は…ただ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

動けない飯田は、口で刃物を取り外そうと、必死にもがいている。

轟は、氷で防壁を作り出し守るものの、やはりステインの前では無力…意味がなく、時間稼ぎになれてるかどうかですら疑問を抱いてしまう。

永遠に個性を使い続ければ、また少し変わった状況に陥ってるのだろうが、轟自身冷気に耐えれるのには限界がある。

炎を使えば体温調節として何ともないのだが、炎の調整をしながら戦うのも中々難しいものだ。

バランス・コントロール・繊細力、それらが試される。

もし昔、炎のコントロールが出来ていれば、鍛錬を積んでれば、きっと難しくはないのだろうが、生憎訳あり事情で炎のコントロールは全くしてこなかった為、調整は難しい為微調整で何とか体温を維持し続けるしかない。

充分な調整が行けてない為、熱が足りずに若干此方も切れ気味だ。

 

(手荒になっちまうが……炎でカバーしねぇと身が持たねえか…!)

 

雪泉は落ちた、飛鳥や緑谷は恐らくまだ動けないだろう…飯田が狙われてピンチだ…

ここで飯田が動けれるのなら、奥の手レシプロバーストで上手くいけばステインにはダメージを与えれるのだと期待するものの、圧倒的な力の前では、そう易々と許してくれないそうだ。

 

「轟くん!頼みがある!氷の調整は可能か!?」

 

「――?ああ、氷の調整は勿論だ!だが炎はまだ慣れてねえ!危なっかしい…なんでだ!?」

 

「俺のエンジンを冷やしてくれ!」

 

 

あの時、ステインに蹴りを入れた時、エンジンがやられマフラーが詰まってしまったらしく、動かすことができないらしい。

雪泉はステインに血を舐めれダウンし、氷を出すことすらままならず倒れている。

なら、頼りになるのは轟しかいない。

もしここで轟も落ちて仕舞えば、今度こそ終わりだ。

救からない――

 

しかし、そんな隙をステインが与えるはずがない。

 

 

 

「今度こそ終わりだ偽物――!!」

 

 

その言葉が合図となり、大きく跳躍し二つの凶刃を構え振りかぶる。

轟は飯田の近くに寄り氷で足を冷やしてる為、その一瞬の隙を突くステインの行動に対応できず、二人は唖然とした顔立ちで、此方に襲いかかってくるステインをただ眺めてる事しかできず、後々くる絶望に身を焦がす。

 

 

狂気、歪み、殺意、様々な感情が放たれるその禍々しい影は、二人を包む。

 

 

 

 

――ただ、そんな禍々しい闇を振り払う英雄が二人いることを、ステインは気付くはずがなく…

 

 

 

 

「――秘伝忍法!」

 

 

 

「デトロイト――!」

 

 

 

 

二つの正義の光が、闇に立ち向かうように、飛鳥と緑谷は別方向から飛びつき、ステインに刀と拳を向ける。

ここでようやくステインは気付く、向かってくる二人の存在を…

 

 

二本の刀を構え、クロス型に斬りかかる飛鳥と、シンプルに力強い拳を握りしめ、殴りかかる緑谷の姿…

 

 

この二人は、ステインが最も本物に近いと認めた人物…

その二つはヒーローと忍、絆の想いが二人を結びつき、強くする。

 

 

 

「――行け」

 

唾を飲み込む轟も、一筋の冷や汗を垂らしそう呟く。

その言葉が最後なのか、トドメの一撃が炸裂。

 

 

――刀が

――拳が

 

 

「【半蔵流乱れ斬り】―――!」

「【SMASH】―――!」

 

 

あれば良い――!!!




戦闘描写、もう苦手になってきた…なんか難しいよ……
勉強しよう……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。