光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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今回はほんの少し短めですww


6話「爆豪のスタートライン、そして不穏の幕上げ」

オールマイトは保健室にはいるともうトゥルーフォームの姿になっている。

せきばらいするオールマイトにリカバリーガールは怒鳴り散らかす。

 

「オールマイト!入学して間もないってのにまたケガをしてるよこの子!何で止めてあげなかったんだい!!」

 

杖を地面にバシバシと叩くリカバリーガールは、気絶して寝ている緑谷に向かっていうとオールマイトは

 

「も、申し訳ありません…」

 

深々と頭を下げてそういうしかなかった。

 

「全く…昨日に今日だ!そう一気に治癒してやれん…!点滴を打ちながら少しずつ回復を待つしかないよ!」

 

呆れた顔をしているとリカバリーガールは不意にこんなことを言った。

 

「いくら自分の愛弟子だからってね…ワンフォーオールの調整がまだじゃないか!」

 

「リ、リカバリーガール!このことは決して他言しないで下さい!ワンフォーオールを知っているのは、緑谷少年とリカバリーガール、校長に私の親友、私の相棒(サイドキック)、そして『伝説の忍の半蔵』にしか話してないのですから…」

 

そういうとリカバリーガールは

 

「…はいはい、ナチュラルボーンヒーロー様…平和の象徴ってのはそんなに大事かね…」

 

そういうと今度は揺るぎない決意の目で

 

「もし平和の象徴がいなくなれば…この社会は悪に染まります…!」

 

そういうとリカバリーガールはため息をして

 

「だったら…導く立場ってもんを学びんしゃい…!この子のことを本気で大切に思ってるならね」

 

「承知の上です」

 

オールマイトはそう言った。

 

 

 

「はあ、はあ…みんなどうしてるかな?」

 

ようやく治療に回復した緑谷は、右腕に包帯を巻いている。もう外はすでに夕方になってるようだ。それより緑谷はクラスに入る

 

ガララッ

 

「おっ!緑谷じゃんかお疲れ!」

 

そう言ったのは赤髪の熱血少年たること切島だ

 

「いやー!緑谷暑かったよなー!」

 

「よく避けたよー!」

 

「ねえキミ☆今日の僕の活躍どうだった?」

 

「ちょっ…青山、緑谷気絶してたんだぞ?」

 

「よく避けたよ〜!」

 

「わ!わわわっ!」

 

大勢の生徒が緑谷に集まり聞いてきたため緑谷は動揺する

 

「俺、切島鋭児郎!よろしくな、今みんなで今回の戦いのミーティング開いてんだよ!」

 

「蛙吹梅雨よ…梅雨ちゃんと呼んで」

 

「俺!砂糖!」

 

「アタシ芦戸三奈!よく避けたよ〜!」

 

「僕は青山優雅!きらめきが止まらない男だよ〜☆」

 

「俺、瀬呂範太!よろしくな緑谷!」

 

腕がセロハンテープみたいな男、瀬呂範太

 

「あ、え、え〜っと…よろしく?」

 

とりあえず返事をする緑谷

 

「全く…騒々しい…」

 

「全くだな…」

 

常闇と柳生は机の上に腰がけていると

「常闇くんに柳生くん!机は乗るものじゃないぞ今すぐ降りたまえ!」

 

独特な手の動き方で常闇を説得するが

 

「いや、つうか別によくね?」

 

耳郎がそういうと

 

「そうそう、お前は堅いところあるよな飯田は」

 

尾白は苦笑してそう言うと

 

「…君たち〜…!」

 

飯田は怒鳴り声で

 

「この机は雄英の先輩たちが使ってきた机だ!もっと丁寧に」

 

「ま、まあまあ!飯田くんも硬いこと言わないで…ね?」

 

飛鳥が落ち着かせるように飯田を制する。

もう1つの後ろ扉が開いた、すると上鳴とお茶子と雲雀が書類をもって教室に入りだした。

 

「なあ麗日と雲雀ちゃん、今度飯食いに行かね?何好きなん?」

 

「お餅…!」

 

「お、お餅…!? あー、んじゃ雲雀ちゃんは何好きなん?」

 

「美味しくて甘〜いお菓子全部!!」

 

「お、おお…!そうか!!」

 

(本当に子供らしいな…おい)

 

上鳴は内心そう言い聞かせた。

上鳴が答えると、麗日は緑谷に目がはいり心配そうにすぐに駆けつけに行くと

 

「わあ!デクくんうで大丈夫!?リカバリーガールのところ治してもらわなかったの?」

 

 

「い、いやこれはその〜…僕の体力的な問題で…」

 

 

緑谷は赤面してお茶子とは視線を逸らす。

緑谷は辺りを見回すが、1人だけ姿がない。爆豪勝己のことだ。

 

「あっ、ねえ…かっちゃんは?」

 

「1人で出て行ったぞ…」

 

柳生はスルメイカを食べながら答える。

 

「み、みんな止めたんだけど…!勝手にだまって出て行っちゃって…」

 

お茶子はそういうと緑谷はすぐに教室を出て外に向かう。

 

「あっデクくん!」

 

「オイ緑谷!?」

 

お茶子と切島は止めようとするがムリだった。

 

「………」

 

柳生は窓ガラスの方に目をやって…

 

 

 

 

それは少し前の時間だった…

 

「おい、爆豪…皆んなお前が戻ってこいって言ってるぞ、さっさと戻ってきたらどうなんだ?」

 

柳生は廊下で爆豪を見つけて声をかけた、すると爆豪は睨みながら振り返る。

 

「……いいだろうが別に……」

 

「よくないから言ってるんだ…いつまでも意地張ってないで、さっさと戻って…」

 

「んなもん知ったことかよ!!!!」

 

「!?」

 

爆豪の咆哮とも言える怒鳴り声に、少し身体を反応する柳生であった。

 

「忍びだが何だか知んねーけどなぁ…!!オレはテメェに何かを言われる覚えはねぇ!!それにオレは確かにデクの野郎に負けた…けどなぁ!」

 

バッ!!

 

「っ!?」

 

すると爆豪は柳生の胸柄を掴む。

 

「だったら更に上に行ってデクも!『お前』や『飛鳥』ってヤツにも!!全員に負けねえヤツになってやる!!忍びってヤツにもな!だからオレは、ヒーローを『やめねえ』!!お前ら全員追い抜いてやるからな!!」

 

 

爆豪は悔し混じりの顔で柳生に吐き捨てるようにそういうと、掴んでた胸柄の手を離し、去っていこうとする。

 

「だから…覚えとけよ……クソがあ!!!」

 

そんな爆豪の後ろ姿をみて、柳生は

 

「アイツのようなヤツを見るのは…初めてだな…いい意味でも、悪い意味でも……」

 

良いか悪いかどうかは分からないが、少なくとも柳生のあの時の言葉は、爆豪にとってはとても大きく響いたそうだ。

 

 

緑谷は廊下を走り、くつを履いて外に出た。外はもう夕焼けで、空はオレンジ色に染まってる。

すると校門前にはバッグを背負ってる爆豪の後ろ姿がある。

その姿はどこか寂しくて、物静かだ。

緑谷は爆豪のあとを追い声をかける。

 

「かっちゃん!!」

 

「…ああ?」

 

顔はどこかまだ暗くて煮えきらない感じだ。

爆豪はまだ勘違いしている、緑谷は爆豪に個性がないと騙してるということを。

緑谷は自分がいま言わなければならないことを、ここで言う。

 

(言わなきゃ、言わなければ…!)

 

「これだけは君には、言わなきゃいけないと思って!」

 

覚悟をきめて緑谷は爆豪に言う。だが次のそれは、とんでもない爆発発言…イレギュラーが発生した。

 

「この個性は、人から授かったんだ」

 

「…?」

 

「誰からかは絶対にいえない!言わない…でも コミックみたいな話なんだけど本当で…」

 

「…!?」

 

わけの分からないとする爆豪に緑谷はそのまま話をすすめる。

 

「正直、実はこの話はみんなに秘密で…言っちゃダメなんだけど…おまけに力の調整もまだ扱えなくて、全然モノに出来てない状態の借り物で!」

 

爆豪は少しずつイライラを溜めている。

 

「だから君に個性を使わずに勝とうとしたけど…勝てなくて…ソレに頼った…!だから」

 

さすがの爆豪もわけの分からない状況でイライラがたまり、とうとう怒り出そうとするが

緑谷は

 

「だから、この力(個性)を自分のものにして…僕の力でキミを超えるよ」

 

「……」

 

爆豪がたまってた怒りが一気に冷めた、まるで爆発したものが冷気で固まったように。

 

「……ハッ!」

 

(しまった、騙してたんじゃないって言いに来たのに何を僕は…)

 

言おうとしたが、全く違うことを言ってしまった。

 

「……」

 

爆豪は緑谷の方に向いて

 

「何だそれ…借りモノ? 分けのわかんねぇこと言って、これ以上おれをコケにしてどうするんだ…なあ!?」

 

再びイライラし始める爆豪

 

「だからなんだ!?今日…俺はテメェに負けた、そんだけだろうが!そんだけ…!!」

 

すると爆豪はイライラの怒りではなく自分の気持ちを、言いたいことを言う感じの雰囲気になる。

 

「半分野郎をみて、敵わねえんじゃって思っちまった!ポニーテールのやつの言うことに納得しちまったし…クソ!!あの眼帯野郎の正論にも何も言い返せなかったし、半分野郎と同じ敵わねえと思っちまった!! あのカエル怖がり野郎の飛鳥ってヤツのこと…『デク』みたいで…んでもって強くて!!クソが…クソ!!!!」

 

爆豪は怒りというより哀しみのようなものを感じる。負けて悔しい気持ちがある。

手を目にあてて隠すように…感じたのだ、爆豪は上より上がいたことを。

 

八百万百 飛鳥 柳生 轟焦凍のことを。

 

「クソが!クッソ!!なあ、テメェもだデク!!」

 

するとバッと手を下ろす、顔には目に涙が浮かんでいた。

 

「こっからだ!俺は…!こっから…いいか!?俺はここで1番になってやる!!アイツらより上に登って、俺が1番に…!!」

 

すると緑谷に背中を向き

 

「俺に勝つなんて…二度とねえからなクソが!!」

 

そう言ってその場を立ち去ろうと再び歩を進める。

その後ろ姿はまるで昔の幼い頃の爆豪を見ているかのようだった。

 

「……」

 

緑谷はフラッとよろめいてしまうが次の瞬間

 

「爆豪ーーー!!」

 

バヒューーーン!!

 

と轟音が緑谷の頭上を通り越して

 

「少年!!!!」

 

と大きな声が響く、爆豪の肩をつかんでいるのはもっとも他でもない…オールマイトだった。

 

「言っとくけどなぁ、自尊心ってのは大事なもんだ!君は間違いなくプロになれる能力を持っている!!君はまだまだこれから…」

 

「放してくれよオールマイト…歩けねえだろうが」

 

爆豪の声は普通だった。

 

「言われなくとも…俺はアンタをも超えるヒーローになる!!だから離せっつってんだろ!」

 

(アレーーーーーーーー!?)

 

爆豪はさっきので涙が出ていたので腕で涙を拭いてたのだ。

意外な答えにオールマイトは多少驚きを隠せないでいる、ぎこちない返事で「あ、うん」とだけ言った。

 

(た、立ち直ってた…ていうか、教師って難しい…!!)

 

オールマイトはそんな彼の背中を見ながら心のなかでつぶやいた。

 

かっちゃんの導火線に再び火が付いた やることは変わらない…僕は背中を追うだけ

 

「あれ?緑谷少年!爆豪くんと何か話してたように見えるが〜…何を話してたんだい!?」

 

「あ!お、オールマイト…!えっと、その〜…」

 

 

これからまだまだ何か起こるか分からない。

だが…僕らはこれから知ることになる、その大きな事件を…これから知っていくことになる。

 

 

半蔵学院にて

 

「ふう〜…!今日の修行も終わったあぁ〜!!」

 

男気、姉貴のような葛城は、疲労から解放されたような声を出す。

 

「そうですね、それにしても…飛鳥さんたちは上手くやっているのでしょうか…?」

 

斑鳩は心配そうに飛鳥たちのことを心配する。

 

「ダイジョーブだろ!アイツらの実力は、アタイたちが知ってんだ。それに忍びの存在を誰かに言いふらすような輩じゃねーよ」

 

「そ、それは確かにそうなんですが…ですが、何やら胸騒ぎがするんです……」

 

「胸騒ぎ?」

 

「はい……」

 

 

場所は変わり…山の奥。

気味悪い、山奥には天守閣がそびえ立っている。そのなかで、何やら大きな事件を起こそうとしているそうだ。

 

「集まったか…お前たち」

 

「はっ!鈴音先生…焔以下4名、仕り参りました」

 

黒髪のポニーテール、焔とその四人は頭を深々と下げて、顔こそは隠されて見えないが、鈴音と呼ぶ先生の前に並んでいる。

 

「今回は最も他でもない…半蔵学院にて襲撃をしろ。」

 

「ちょっかいを出せってことかしらね…」

 

眼帯をしたゴスロリ衣装の小さな女はそう呟く。

 

「今回襲撃するのは最も他でもない、ヤツらにお前たちの実力を試してやるのだ」

 

「はっ!!」

 

焔とその4名がそう叫ぶと、鈴音はさらに焔たちに言う。

 

「そして、忍びのものではない悪党に忍びの存在、及び手を組んでいるというその忍びも、探し出し、見つけ次第始末しろ」

 

「はっ!!!」

 

焔たちは更に声を張る。

 

(伝説の忍び、半蔵の孫…!飛鳥、覚悟しろ…!!)

 

焔は、炎の如く、煮え滾る殺気と悪意を宿して…

 

 

そして、雄英高校にいる飛鳥たち三人と、半蔵学院にいる斑鳩と葛城はその事件を目の当たりにする。

 

 

 

そして、その彼女たち悪忍にすら後々知らされるさらなる事実。先ほど斑鳩の言っていた胸騒ぎ、大きな大事件…忍びの大事件が、少しずつ、少しずつ始まろうとしている。

 

 

夜の街。

もちろん雄英のみんなはすでに登校時間は過ぎてる時間だが…今回はその場所ではない。

 

サロン、バーなどといった看板がある建物、その建物はそれほど派手で凄そうではない。

だが、建物の中では

 

ある男が新聞を読みおわって投げ捨てるようにバーのカウンターに置く。

その男の顔は、なにやら手のマスクで覆われて見ることが出来ない。

新聞の上にはオールマイトの記事がある、『雄英高校の教師を務める!?』という大きな記事が、そしてオールマイトの顔写真の上に氷とウィスキーが入ったコップを置いて。

 

「見たかコレ、教師だってさ…なぁ」

 

するとバーの定員らしき人物は、カウンターでつぶやいた男を見つめる。

その男は、身体が黒い霧で覆われていて。その手のマスクの男は話を続ける。

 

「どうなると思う?」

 

部屋の隅にはなにやら奇妙な姿、巨大で脳が飛び出てる化け物も居て。この部屋はただの客が来る場所ではない雰囲気だ。

手のマスクで顔を覆われて見えないが、狂気な笑みを浮かべて、静かに悪意を宿した目で、男はこういった。

 

「平和の象徴が…敵(ヴィラン)に殺されたら」

 

オールマイトが言ってた真に賢しい敵(ヴィラン)の恐怖を。半蔵の言ってた謎の忍びとやらも…この事件に関わっていくのを。




はいww二つの悪ってヤツですねwwwこれからどうなるのかが楽しみです!

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