光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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皆さんお待たせいたしました!一ヶ月ぶりの投稿になりますね。覚えてる方はいるでしょうか?あんま投稿してなくて、ちょいと様子見に来たら評価上がってたし、こんな作者ですが読んで頂き誠にありがとうございます!もし良ければこれからも愛読して頂けると嬉しいです!
そして活動コメで此処は暫く休載すると言ってましたが、最近此処の投稿をしたくなり、暫くは此処を投稿していきたいと思います!
投稿するペースはなるべく早くしますが、文書はその文少し短くなるのでご了承下さい。まあ長くなることもありますが…
そしてPBS発売当日に堪能して、めっちゃ面白かったです、けど流石にアレを此処には載せれないなぁ…と考えてみたり、更には今月のヒロアカ13巻発売しましたし、今週のジャンプのヒロアカメッチャ面白かったし、ヒロアカアニメ二期始まりましたし、なんかもう、わっしょいわっしょいです。好きなものがいっぱい出て来てね、更には閃乱カグラ次回作が出ますし(いつかは分からないし詳しい詳細は不明)。本当に最高ですね!おっと長くなりました、ではどうぞ。
久しぶりの投稿なので、おかしいところがあると思います。優しく指摘してくれたら嬉しいと思います。この国語力0の私に救済を。


50話「勝負」

「秘伝忍法!【クロスパンツァー】!!」

 

「ッ!!中々やりおるのう!」

 

学炎祭が開かれてから、双方の選抜メンバーはそれぞれの場所で戦闘を行った。

葛城と対峙するは夜桜、死塾月閃女学館の2年生。飯田と同じくとても真面目で冗談が通じない。曲がった事が許せず、熱くなって思わず方言が出てしまうこけし娘だ。

彼女は葛城秘伝忍法を喰らうものの、夜桜の台詞からすれば、そそまでダメージは負ってない様子だ。

 

 

「へぇ…アタイの秘伝忍法を食らってその言葉が出て来るなんて……()()()ね!」

 

「嬉しい…?それは一体どういう意味じゃ?」

 

葛城の言葉が気に食わなかったのか、または癪に触ったのか、眉をひそめる。

秘伝忍法とは、いわば必殺技のようなもの。ヒーロー達でいう個性の必殺技に似たようなものだ。例えば爆豪の閃光弾(スタングレネード)や、飯田のレシプロバーストなどと言ったものなど、個性を応用して必殺技にしたもの。

忍の秘伝忍法とは、秘伝動物…自然の力や先祖代々から伝わる技など、その力を借り、己の物にし、使うもの。

そう言った点では、その人物の心の強さは大きく関係する。

 

だから、夜桜はおかしいと思った。

葛城(自分)の秘伝忍法が夜桜(相手)に通用しなかったというのに、葛城というこの少女は不敵な笑みを浮かべ、『嬉しい』と言ったのだ……

 

 

「そのまんまの意味さ!」

 

「おかしな奴じゃ……儂には分かりませんね、お前の言ってることが」

 

夜桜は葛城のその馬鹿げた答えに、呆れながら、秘伝忍法書を取り出した。

 

「まあええ…その減らず口、もう聞けなくなるくらい…ブチのめしてやるけぇーのぉ!」

 

忍転身をすると、光が身体を包みこむ。忍転身を終えると、全てを破壊するかのように思わせるその強靭な手甲で葛城に殴りかかる。案の定葛城は距離を置き避けるが、夜桜は休む事なく追撃する。

 

「この拳は、全てをぶち壊す!まず貴様らの性根を、木っ端微塵にぶち壊してやるけぇの!」

 

「ハハッ、ソイツは面白いぜ!アタイの具足と同じだ!」

 

葛城は夜桜の手甲に、自分の具足と何処か似てると感じたのか、ますます笑みを浮かべる。そのあっけらかんとした葛城に、夜桜の怒りも益々溜まっていく。

 

 

……気に食わん。真剣勝負と言うのに、なぜ此奴はこんなに楽しそうでいられる?自分が勝てると思ってるからか?又は、儂より自分の方が格上だと思ってるからか?

なぜ、コイツはこんなに楽しそうに、笑顔で戦える?戦場とは、生死を分ける場所…こんな状況のなかでよくそんな風に居られるものだ……だから夜桜は、葛城が気に食わない。

 

「ええ加減にせぇよ!秘伝忍法書!【極楽千手拳】!!」

 

「なっ…!!?」

 

夜桜は巨大化した右の籠手で葛城を殴りかかり炸裂すると、衝撃の爆発が連続で続き、葛城はそれをもろに浴びて、忍装束が破れていく。半壊となった忍装束、葛城は息を切らしながらも、立ち上がる。その光景に夜桜は「フッ」と薄く笑い、口角を上げる。

 

「どうです?流石の貴方もこれを喰らえば…「へへっ!お前強いな!」!?」

 

しかし、葛城はボロボロの状態になりながらもなんとか立ち上がる。それを見た夜桜は驚愕した。立っていることではない……何故アレをまともに食らってまだ笑顔のままで居られるのかが、夜桜にとっては不思議で仕方なかった。

最初は相手をおちょくってるのかと思っていたが、此処まで来ると流石に驚きを隠せない。

 

「お前、まさか儂の技が…効いとらんのか…?!」

 

「いや、んなことねーぜ…これでも結構効いてるさ」

 

「では、何故?お主はこんな状況の中で笑っていられるのじゃ?」

 

「んなもん決まってるだろ…お前が強いからだ」

 

「は?」

 

お前が強いから、その言葉を聞いた夜桜は動きを止める。

強いから、こうして笑って戦うのか?強いから嬉しいのか?なんだそれは……

そんな軽い気持ちで、戦場を駆け抜けて来たのか?この葛城という少女は、いや…葛城だけじゃない、半蔵のみんなもそうなのか?それと関わり協力している雄英生もそうなのか?そんな嬉しい気持ちで、生きるか死ぬかのどちらかの戦場を楽しんでいるというのか…?

そのせいで、悪忍との抗争で死んでしまった者もいるというのに…?自分の…自分たちの両親は『その戦場で死んでしまった』というのに…?

勝手な解釈…と言われても仕方ないのかもしれない。しかし、純粋で真面目な夜桜には、葛城の言ってることも、考えてることもどうしても理解出来なかった。

 

 

「益々気に食わんのぅ……戦場をなんだと思っとる!!」

 

 

闘いは遊びじゃない、スポーツでもない…命を懸けて、燃やして、生きるか死ぬかのどちらかの戦い…それなのに、その戦場を楽しむかどうかなど、頭がイかれているとしか考えられなかった。

そもそも、何故そんな考え方になるのか…想像することすらできないし、理解も出来ない…分からないことだらけだ。

 

「うおっ!?お前、なんでそんなに怒ってるんだ?」

 

「テメェが怒らせたのじゃろぉが!!」

 

こんなに怒ったのは初めてだ。あの変態老人もとい、伝説の忍を名乗る卑猥で下劣で善忍の風上にも置けない半蔵にセクハラされては黒影様の為にと、イチゴ大福を盗み食い…そして当日、突然変態葡萄少年にセクハラされようとするわ、大事な仲間である美野里を泣かされるわ、そしてこの葛城という少女も戦いが楽しいなど訳が分からないことを抜かすわ……本当にどうなっている?最近の善忍…いや、正義とやらはこんな人間が多く存在するのか?

そんなのそもそも正義ではない…では正義とはなんなのか?

 

───決まっている、悪を滅ぼすことだ。

 

この社会…いいや、この世界から悲しみを無くすこと…悪のせいで多くの人間が犠牲になり、涙を流すものがいる。だからその涙をなくしてあげたい…

そう、黒影様と、雪泉と、皆んなと一緒に誓ったのだ。雪泉はその正義の象徴。だからどんな悪をも滅ぼさなければならない。

それが、悪と関わり、善が悪に染まった者でも、元が善であり悪になったとしても…

 

半蔵と雄英は、悪忍と敵と接触が多かったためか、少なからず影響を受けている。きっとその所為で彼女たちは悪に染まってしまったのだろう…だから、戦いが楽しいなんて平気で言えるのだ……

 

 

置いてかれた人間の気持ちも分からずに……

 

 

「決着、つけてやるけぇの。秘伝忍法!【地獄極楽万手拳】!!」

 

激しい闘気が満ち溢れていく。巨大化した籠手でエネルギーを溜め込むと、巨大な黄色い球体を作り、キャノン砲の如く前方へと吹き飛ぶかのように放った。その素早い動きに葛城は対象しようとするも、避ける暇もなく、反撃もすることが出来ず、ただただモロに食らってしまった。

 

「うッッッがあぁぁあッッッはッあぁ!?!!」

 

闘気が激しく打ち合い、爆発の連鎖が起こる。爆発と言っても、爆豪のような火力型の爆発ではなく、衝撃による爆発であった。流石の葛城も、これを食らって立ち上がることは出来なかった。

 

「流石の貴方もこれを食らえば…」

 

「いっつつっ…マジかよ…」

 

見ると身体中傷だらけだ。どうやら今度こそ落とすことが出来たようだ。葛城は戦えないためか、動く気配がない。夜桜はそれをちゃんと認識した後、再び薄く笑う。

 

「どうやらこの勝負、儂の勝ちで宜しいですね?」

 

今度こそ決まった、流石に二度連続で秘伝忍法使うのは慣れないが…それでも結果、勝つことが出来たのなら問題ない。これで学炎祭の一勝負は終わった。夜桜はそう思った。

 

「なぁ…夜桜だっけか?お前、どうしてそんなに()()()()んだ?」

 

「…は?」

 

ボロボロの状態のなか、葛城は夜桜に問うた。何故そこまでして怒ってるのかを…夜桜は考えるまでもなく答え出した。

 

「そんなの決まっとる、貴様は勝負を甘く見てる…!勝負とは、生と死を分ける戦い…何方かが死ななければ勝負は終わらん…戦場を舐めてることに儂は腹が立っておるんじゃ…!」

 

「ちょっと待てよ、アタイがいつ勝負を甘く見たって?戦場を舐めてるだって…?」

 

ここで葛城は眉をひそめる。

 

「しとるじゃろ!戦場に嬉しいだの楽しいだのと……戦場を、勝負をなんだと思っとる?!スポーツや遊びではないのですよ!?」

 

夜桜のその言葉に、葛城はなぜ彼女が怒っているのかを理解した。そして、なぜ彼女が勝負を甘くみてると言ってることも…

 

「なるほど…ね。そういうことか…」

 

理解した葛城は、体に力を入れてた筋肉を解き、ため息をつく。

 

「アタイは別に勝負を舐めてる意味で、楽しいとか…嬉しいとか…そういう事言ってるんじゃないぞ?さっきも言ったけどよ…アタイはただ、強いヤツと戦うのが嬉しいだけなんだよ」

 

「嬉しい…?強いのが?それこそ舐めてるのではありませんか…?強いヤツと戦えばそれ程に自身が死んでしまう危険性だって極めて大きい。それにその嬉しいという一瞬の油断が貴様の死を確定する……違いますか?」

 

間違ってはいない。夜桜の言ってることは…極めてその通りだ。しかし、しかしだ……間違ってはいないからこそ、間違っている。正しいことが全てなのだと、そう思ってるところが…

 

「お前は、強いヤツと戦えて嬉しくないのか?」

 

「別に、勝負に嬉しさといった感情など、追求してませんよ」

 

「勝負をしてて、なんか思わないのか?」

 

「ただ単に相手をブチのめすだけじゃ」

 

それぞれの意見が合噛み合わない…それも無理はない…夜桜は葛城の、その強いヤツと戦う嬉しさが分からないのだから…

何を持って嬉しいのか、なぜ勝負が楽しいのか……ただ自分の使命と役目、その為と言わんばかりなのか、考えようともしない。

 

「もう良いですか?貴女はもう戦える身体じゃないはず…なに、殺すまでもない…勝負はありじゃ。ではここで引かせてもらいますよ」

 

「ちょっと待て、一つ言わせろ」

 

夜桜が引こうとしたその途端、葛城に止められた。聞く気がなければ話す気もないが…一応聞くことにした。聞く気はないが、相手の話を聞かない理由にはならないから…

 

「お前、正義とか言ってるが…それは()()()()だ?」

 

「え?」

 

意外な言葉を投げかけられた夜桜は、目を丸くして葛城に目をやる。

 

「お前が斑鳩並みに節の硬い真面目なヤツだって分かったよ…けどよ、そこまでして正義とかに拘るってことは、何か理由があるんじゃねえのか?」

 

(……こいつ)

 

夜桜は葛城のその勘の鋭さに思わず心の中で舌打ちをした。なにも知らない癖にここまで気を察するとは思わなかったからだ。そこまでして顔に出ていたのか?となると、それ程あの人の為だと思い、熱心に動いてたんだろうな…

 

「別に、貴様に言うほどではありませんから……」

 

「冷えなぁ…」

 

「て言うか、お前はこの勝負でもう負けた…分かってますか?自分の立場が」

 

「はっ!残念だがまだ負けてねえぜ?」

 

「なんじゃと…?」

 

「アタイはな、アタイ自身が負けと認めるまで負けてねえんだよ!アタイは、もっと強くならなきゃいけねえからな!」

 

「強くならなきゃ…ですか」

 

なんだろう、このモヤモヤするこの感覚は…さっきの嬉しいと言う言葉と何か繋がりがあるような、関わっているような…不思議な感覚。けど、嫌いじゃない。寧ろその点については同感だ、強くならなければ戦場では生き抜くことができない。黒影様の意思を全うすることが出来ない…だから、その点についてだけは同感できた。

 

「なら、何度でも打ち砕いてやる!拳か蹴りか…何方が強いかをのう!徹底的にやってやる!」

 

そして、手甲と具足の火花散る激しい戦いが、再び…

 

 

 

 

 

 

 

「あの人たち色々とスゲェなオイ…」

 

遠くで見てる切島は、ゴクリと唾を飲み込み、釘付けになる。

 

「ケロ、拳と蹴りの戦い…なんかかっこいいわね」

 

「けど、足は手の3〜4倍の力はあるって聞いたことあるし、その理屈を立てると葛城さんの方が強いんじゃない?」

 

「尾白くん詳しいね!ウチはテレビで観たことあるよ〜!」

 

他にも、蛙吹や尾白、葉隠も観ながら雑談している。

 

「他の奴らは、どうしてるんだろ?」

 

 

 

 

 

 

一方で、柳生と四季は…

 

「さてっと、これで一勝負お〜わり!っと、柳生ちん大したことなかったね〜♪」

 

「ッ……」

 

四季は戦闘中既に忍転身していたのか、忍装束が少しボロボロだ。元々露出度が高いものだが、それでも忍装束が傷つくと言うことは、それなりのダメージを食らったと言うことだ。

柳生はボロボロで息が荒く、地面に膝をついている。

 

「うわぁ…!柳生ちゃんやられちゃったよ!?」

 

芦戸は腕をブンブン振り、柳生に応援をするものの、動く気配はない。

 

「まあ勝ち負けは置いといて……柳生ちんの強さの秘密、分かっちゃった♪」

 

「秘密…だと?」

 

「そっ、柳生ちんの付けてる眼帯。それ…隠鬼(オニ)の目でしょ?」

 

「……詳しいな」

 

「隠鬼の目?なにそれ?」

 

当然知るはずのない雄英生は首をかしげることしか出来なかった。第一忍の授業を受けてるわけでもないため、知るわけがない。

 

「隠鬼の目…強大な思念の詰まったもので片目を封じ続けた者が得られる力。封じた方に秘伝忍法の力が宿る…隠鬼の目。だから、柳生ちんは眼帯を付けてるんだよね〜」

 

「……お前、随分と詳しいな」

 

「えへへ、ギャップ萌え。ってね、アタシこう見えても結構勉強出来る方だし〜、更に言えば般若心経が趣味だしね〜」

 

自慢気に語る四季は、手を差し伸べ柳生の眼帯へと近づいていく。

 

「という訳で、そのラブリーな眼帯、いっただき〜♪」

 

ガシッ…

 

「えっ?」

 

しかし、四季の手が柳生の眼帯に触れることは決してなかった。何故なら四季の腕は柳生に掴まれたからだ。柳生は此処で初めて鋭い目つきで四季を睨みつける。

 

「オイ、この眼帯には触るな……」

 

数少ないその言葉を耳にするだけで背筋が凍りついた。そして何よりこの気配…先ほどの勝負とは全然違う。

 

「…柳生ちん、この気配…驚いた。まだ本気を出してなかったって感じ?」

 

「……出した。と言ったら嘘になるな…だが、本気で戦おうとしたことは事実だ」

 

柳生は目を瞑ると、ヨロヨロになりながらも何とか立ち上がることが出来た。柳生がまだ動けることに、戦えることに…何よりもあの気配を出すことに、四季は動揺し驚きを隠せないでいた。

 

「何か理由でもあったの?それに、その眼帯を取ろうとした時、明らかに雰囲気も変わったし……」

 

「まあな……あまり使いたくないんだ……それに、俺はまだ傷が残ってる」

 

「はい?」

 

傷?どういうこと?訓練の最中怪我でもしたの?四季はそんなことを考えた。

 

「やはり、そういう事でしたか…」

 

「ヤオモモー?」

 

と、ここで今まで黙って見ていた八百万がようやく口を開いた。それも今まで抱いていた疑問が晴れるような表情で…

 

「柳生さん…貴女はまだ本気を出してない…いいえ、本気が出されなかったのですね?それも、あの時の重傷を負って…」

 

「あの時の?」

 

八百万の言葉に、四季と他のものは首をかしげるが、柳生は八百万が分かっててくれた為か、こくりと頷いた。そして口を開く…

 

「俺たちは前に敵連合と名乗るテロリスト集団と学校の施設で遭遇した。それも最悪なタイミングでな…」

 

「……雄英高校襲撃事件のことだよね、ニュースやネットでも載ってたし、ウチらの学校でも割と有名になったし……忘れられないよ、あの人の意思を継ぐ為、いずれ戦うことになるって思ってたし」

 

「なら話は早い…俺はその襲撃で、ある敵に攻撃を受けた。その時に俺は頭部に大きな傷を負った。それも…たったの一撃でな」

 

「え?」

 

一撃。誰もが聞けば嘘だと思うだろう…仮にそれが本当だとしたら、それがどの意味を表すか…分かっているはず。

四季は柳生の言葉が嘘でないと分かった。まだ会ってから少ししか時間が経ってなくとも、四季には分かってた。柳生がどんな人間であるのかを…少なからず、嘘をつく人ではないと分かっていた。四季は人を見る目があるから…だから嘘をつくとは思ってないし、この話も事実だと思ったから。

 

「なるほどね…一撃で柳生ちんを戦闘不能にした敵がね〜…正真正銘化け物だね…驚いたけど、確かにそれなら忍の勝負とは言え、柳生ちんが本気で戦えないのも無理はないかも…」

 

それから四季は柳生に聞いた。その敵のことを、そしてその後どうなったのかを…

気がついたらいつもの忍病院ではなく、雄英の保健室にいたと言うことを…そして鼻の骨は確実に折れ、脳に大きなダメージを負い、頭部に深刻な傷を負ったこと、眼帯の方の目の近くに傷が残ったこと…

リカバリーガールの治癒で傷を癒すことは出来たものの、傷が相当酷かった為か、1日では治癒で完治することが出来なかった。

だから緑谷と同じく点滴を入れなければ完全に治癒することが出来ないと…

因みに蛇女に襲撃した際、勿論四季のように本気を出すことは出来なかった。それでもあの場で戦えたのは奇跡と呼ぶに相応しかった位だ。その代わりまた傷を負ってしまったが……

その後体育祭が始まったり、学炎祭に向けての訓練があったりなどと、顔を出すことが出来なかった為傷はそのままだったのだ。学炎祭当日にまでなら間に合うだろ、そう思っていたが、傷はまだ治っていなかった。

 

 

「そしてもう一つ言っておく、この眼帯は決して特殊なものでもないし、隠鬼の目として得た力でもない…」

 

「え?けど…書物には確かにそう書いてあったし、王牌先生の授業でも教えてもらったし、間違えるはずが…」

 

「だろうな……だが間違いは間違いだ…何度も言うがこの眼帯は決して特殊なものではない…更に言えば俺は金属アレルギーだ」

 

特殊な眼帯ではない、では何故柳生はそんなにこの眼帯を大事そうに持っているのか…四季を含め、その場にいる全員は分からなかった。あの眼帯に一体何を隠されているのか…それに、四季の言ってる事は本当だ。隠鬼の目の強き気配が柳生の眼帯に強く反応している。と言う事は、間違いなく隠鬼の目はあると言う事だ。では一体何が違うのか…?四季は不思議で仕方なかった。

 

「不思議な子だね柳生ちんって、特殊でもない眼帯をなんで付けてるのやら…まあ可愛いし似合ってるから全然良いんだけど…

分かったよ、今回は引いておくよ。柳生ちんの傷が癒えてなかったとはいえ、不条件で勝っても嬉しくはないからね。けど、そ・の・か・わ・り・!次会った時、私が勝ったら今度こそそのラブリーな眼帯、貰っちゃうからね!」

 

「させるものか…この眼帯だけは…絶対に…」

 

四季は背を向けると、そのまま何処かへ行ってしまった。柳生は四季を睨みつけたまま、眼帯にそっと手を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして半蔵学院の屋上では…

 

「雪泉ちゃん……」

 

「貴方を倒せば、お爺様の悲願が叶う……」

 

冷たい空気が漂うこの場所だけは、まるで今、冬なのかと思わせてしまう。今は春の季節ではあるが、この場所だけが冬みたいに寒いとなると恐らく彼女の力によるものだろう…まるで個性だ。

 

「一つ聞いてもいい?雪泉ちゃん」

 

「はい、何でしょう?」

 

「悪が滅べば、本当に世界は平和になるのかな?それで悲しみは無くなるのかな?」

 

「私はそう、ある大切な人から教えてもらいました」

 

「私はそうだとは思えないな……私は、悪も必要だと思う……」

 

「……何故です?」

 

悪が必要だと口にした途端、雪泉の表情は一瞬にして変わった。そこまでして悪を憎む人間はそうそう居ない…何があったのかは分からない…でも、自分の思ったことを言うまでだ。

 

「だって、悪がなくなったら…その世界に生きる事が出来ない人はどうなるの?正義という光に隠れながら、生きることしかできない人だっているんだよ?分かち合える人だっているんだよ?生き方が合わない人は…どうなるの?」

 

「無論、滅ぶべきです」

 

「そんなのおかしいよ!!生き方が合わないからってだけで、滅べば良いだなんて…そんなのおかしすぎるよ!そんなの間違ってる!!」

 

生き方が合わないなら滅べ、それは最早悪よりもタチが悪い…しかし雪泉、いいや…雪泉たち月閃にとってはこれこそ理想の夢なのだ。彼女たちの願いであって…黒影の…意思でもある。それが彼女たちの正義だ。一つの悪そのものを赦さないと言わんばかりに…

 

「おかしいのはそちらです、悪を滅ぼすことを否定する意味がわかりません」

 

だからこそ雪泉には飛鳥の言ってる事が分からなかった。同じ正義であるなら、善忍であるのなら…なぜ悪を憎まないのか…

身勝手な悪のせいで、悲しむ人がいる、涙を流す者もいる、心に癒えることのない傷を負う者だっている。

悪のせいで多くの尊い命が犠牲にされたことだって……

なのに、飛鳥は悪が必要だと言った、滅ぼすことを否定する。意味が分からない…ただ、一つだけ分かることは、悪と交わった所為で彼女たちは偽善となったという事だけは理解した。

学炎祭を申し込む前に、彼女たち半蔵のことについて調べていたのだ。そして分かった事が…悪忍である蛇女子学園と関わっていたという事だ。最初は善忍と悪忍の抗争に走っていたが、抜忍とそれを率いる連合が乱入して来たため、なんと共闘を組んだそうだ。

 

あり得ない…どうやったらそんな流れになるのか…不思議で仕方がない。だから分かったのだ、共闘を組むということは、悪と関わり自らも悪に染まったからなのだと。

だから思ったのだ、悪は善を蝕む存在だということを…まるで漆黒の闇のように…

 

悪がより危険だと、そう感じたのだ。だからこそ、悪は滅ぼさねばならない…なんとしても、平和の為にも……

 

 

「雪泉ちゃん!!」

 

「もう良いです…貴女と議論する気はありません…正直ガッカリです。半蔵の孫と聞いたのでどのような方かと思えば、程度の低い、底辺で惰弱な正義を掲げる偽善者でした。そんな方と闘うつもりはありません…寧ろ私の部下達だけで充分でしょう……行きなさい、お前たち」

 

雪泉は飛鳥とはもう闘うつもりはないらしく、目を瞑りそう言うと月閃の忍生徒と思える生徒達が何十人か現れた。数が多い、これを相手にすることは出来るが…しかし、しかし…

 

飛鳥は雪泉と闘いたい。闘って、間違ってると言うことを証明したい。

 

「雪泉…ちゃん」

 

 

 

ボガアアアアアアアアアァァァァァァァァンン!!!!

 

 

「「!?」」

 

月閃の何十人かの忍学生が巨大な爆発に飲み込まれる。突然の出来事に、飛鳥は当然、雪泉も驚きを隠せなかった。

雪泉はその爆発が何なのか分からなかったが、飛鳥は一瞬にして理解した。この攻撃が誰からによる者なのかを…

 

「さっきから黙って聞いてりゃあよぉ……言わせてくれるじゃねえか?アァ!?」

 

「ちょっ、かっちゃんダメだって!」

 

この声は…

 

「爆豪くん!?それに緑谷くん!?」

 

苛立ちながらも、歩み寄ってくる爆豪。それだけじゃない、荒ぶる爆豪を止めようとするも空振りに終わる緑谷。…それに対し敵意を表す雪泉。この二人の相性も最悪だ。爆豪の性格からは勘違いされやすい性格だ。一方雪泉は夜桜と同じく真面目なため、爆豪のその性格が昔から、当たり前だということが分からないのだ。

 

「このモブ共は選抜メンバーじゃねえんだよな?なら、俺が暴れても文句はねえわけだ…」

 

指の骨をならしながら、舌なめずりして睨みつける。

 

「……もし、これが忍のルールと関係がないのであれば、貴方を真っ先に排除していました」

 

「同感だぜ、その前に俺がテメェを爆殺してカキ氷にしてやろうと思ってたからな」

 

お互いの主張がぶつかり合い、今でも奮闘しかねない展開だ。

 

「オイ飛鳥、テメェはあの氷女ぶっとばせ、俺はモブ共をやる」

 

「え?」

 

「え?じゃねえよ、テメェはアイツと闘うんだろ?だったら闘いやすいように俺があのモブ共ぶっぱしてやるつってんだ、まあ…モブの相手なんてクソつまらねえけどな…!!」

 

爆豪の思いがけない言葉も行動に、面食らう飛鳥。爆豪がこんなことしてくれるなんて思ってもいなかったからだ…

 

「ぼ、僕は…その、応援してるから…!だから、頑張れ!」

 

「その代わり、負けんじゃねえぞ!アイツぶちのめす代わりに、倒したテメェをブチのめせばいいだけの話だからな!」

 

「分かってるよ爆豪くん、それと緑谷くんもありがとう。大丈夫、この勝負絶対に負けないから!」

 

「揃いも揃って……やはり悪はとんでもない存在…貴方たちは既に悪に染まった、悪そのもの!この勝負、負けるわけにはいきませんね」

 

 

二つの正義が勝負の火花を切った。




うーん、痛い。というか雪泉が本当に正義厨だよなぁ…今は全然違う可愛いプリプリだけどさ。
あとPBSだとアレだね、ソシャゲの子達なんか普通に接触しているね。てっきり違う世界から来たって感じかと思ってた。こう、パラレルワールドみたいな、
というか神楽が可愛いなぁ… かっぐらっだよ〜♪
ていうか個人的に早くステインとオーバーホールを出したいというわけで、あっ、オーバーホール知らない人は検索!ヒロアカ13巻に出てるよ(ニコッ
あと先生も出したい…このペースだと…早くしないと、先が思いやられるなぁ…

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