光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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今回も少し長いです。しかも1日で2話連続投稿w


4話「まだまだ続くぞ!戦闘訓練!!」

爆発が起きた後、皆んなの表情は焦りと不安でいっぱいになる。なかには雲雀なんかはウルウルと涙目になってる。青山はビクッ!と体を震えてる…

 

「緑谷少年!!」

 

オールマイトはマイクを持って必死に緑谷の名前を呼んでいる。

戦闘訓練、ましてや授業なのにも関わらず大規模な被害…これは流石に危険だ。建物に風穴を開け、モニター室にすら振動が来るほど巨大な攻撃…生身で当たったら無事では済まないだろう…

 

大爆発が起きた同時刻、5階の核フロアにいる飯田とお茶子は

 

「な、なんだ!?今の爆発…爆豪くんは何をやらかしたんだ!!?」

 

今の状況が理解できないためか、で焦っている飯田の隙を突こうとお茶子は

 

(今だ!)

 

思いっきり核のほうへと走っていく。それに気付いた飯田は

 

「待て!そうはさせんぞ!」

 

両腕を広げて立ちふさがるが、お茶子は自分の体にタッチして体を浮かせる。

 

「ほいっ!」

 

「なっ!?まさか自身も浮かせれるのか!!」

 

予想外の出来事で一瞬戸惑う飯田にお茶子は両手の指先をふれて解除させる。

 

「負担の大きい超秘です!」

 

(核さえタッチすればこっちの勝ち!貰った)

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

ブロロロロォォォーーン!!

 

 

 

エンジンの起動、飯田は猛スピードで核をなんとか避難させて守りきった。

 

「なーーーーーーー!?うわっ!」

 

お茶子もこれは予想外なのか、着地できず転んで頭を壁にぶつける、そしてヘルメットが取れて転がっていく。

 

「君の個性は大体分かった!!個性、そして弱点さえ見極めれば此方は有利な立場となる!だからこのまま時間切れまで粘らせてもらうぜ!グヘヘへ〜!」

 

完全に悪になりきっている飯田。

 

「ぬうぅ〜…!デクくん頑張ってるのに…!こんな所で…!」

 

悔しそうに歯を食いしばり、飯田を見つめるお茶子であった。さて、これからどうしようか…策も何もないお茶子は、この状況をどうすれば良いか、苦悩する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、爆豪と緑谷は、被害が出たビルの中でただ、睨み合っていた。爆豪の強さに、ただただ恐怖を植え付けられる緑谷、それに対してまだねじ伏せんと言わんばかりに、歪んだ不敵な笑みを浮かべ此方に一歩ずつ近づいて来る爆豪。

 

「ははは…なぁ、スッゲェだろコレ?コスチュームの要望で、ここまで派手に個性が使えるんだぜ??なあデク、個性使ってこいよ…!全力のテメェをねじ伏せてやるからよぉ!!」

 

被害が大きく出て、緑谷の顔のマスクがなくなっている。どうやらさっき爆豪が使った最大火力の爆破によるものだろう。緑谷はすぐに冷静さを取り戻す

 

「麗日さん!状況は!?」

 

「こんな時に無視かよスッゲェな…!!」

 

緑谷の対応に気にくわなかった爆豪は怒りを通りこし、逆に感心している。

爆豪は残ってる左手を使おうとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「先生!コレやべぇって!!爆豪のやつ相当イカれてやがる!!この授業死人が出るぞ!?」

 

「こ、これって…ほ、本当に戦闘訓練なんだよね…?授業…何だよね?流石にこれはやり過ぎじゃ…」

 

 

オールマイトにこの戦いを止めさせようとする切島、未だこの状況が信じられない飛鳥。そう、これは戦闘訓練とはいえ授業の一環なのだ、今回はかなり危険な行為だったため心配するのも、止めに入るのも当然無理もない。何よりあの爆豪の攻撃はとてもじゃないが危険すぎる。

本当ならここで中断をするべきなのだが、オールマイトはマイクを握り、中断をしない。

 

 

 

 

 

「……爆豪少年、次それ打ったら強制終了として君たちの負けとする」

 

「ハァ!?」

 

 

 

オールマイトの突然な宣言に納得しない爆豪は、更に苛立ち反応する。

どうやら音声はオールマイトにしか聞こえないようになっているらしい、そのためなのか、モニター越しでは緑谷、お茶子、飯田は反応しない。

 

 

「建物にすら被害を及ぼすのはヒーロー側としても、ヴィラン側としても愚策だ!!大幅減点だからなコレは!!」

 

 

爆豪がさっきの爆破を使ったため、建物に穴が空いてる。

真に賢しい(ヴィラン)建物()に潜むものだ、隠れるところがなくなれば意味がない。

ますます気に入らないのか爆豪は苛立ちながら

 

「…ーー!あーもー!んじゃあ…」

 

爆豪は両手を後ろにかまえて

 

「殴り合いだ!!」

 

大きく叫ぶ爆豪は両手を爆発させてスピードを加速、そして真正面から向かってくる。

緑谷は反撃のタイミングを計った。

 

「タイミング…タイミング…!ここ!」

 

緑谷は拳を向けるが爆豪にあたることはなかった、なぜなら目の前にいないから。

爆豪は右手を下にむけて爆破させて、上へとジャンプしたのだ。

からのもう片方の左手で自分の反対の方に爆破させてからのさっきの右手で緑谷に思いっきり

 

 

 

ボオオオォーーーン!!

 

 

 

「っつあ!!」

 

爆破させ、悲鳴をあげる緑谷。

 

「すげー!どうなってんだ!?アレ!」

 

モニター室で興奮する切島に

 

「目くらまし」

 

そこでつぶやいたのはコスチュームのせいか、左側が氷みたいなもので覆い隠されてる男、轟が答えた。

 

「攻撃するフリをして上へとジャンプしてから反対に爆破させて威力を高めてからの攻撃…考えねえタイプに見えて意外と繊細だな」

 

解説していると、相変わらずポニーテールが似合う八百万も話し出す。

 

「それだけではありません、機動力や力を微量に調整してますわ。それはかなりの技術が必要とされますね。計算に技量も重ね、思いつきでもそう簡単に出来るものではありませんから」

 

「さすがは八百万だな!」

 

丁寧に解説している八百万に親指を立ててほめる峰田。

 

「でもアレ痛そう…爆豪くんのあの爆破って、当たると火傷するのかな?」

 

「するんだろうな?受けたことないから分からないが」

 

雲雀の僅かな疑問に柳生も少し首を傾げる。

 

「才能マンだ才能マン…やだやだ…」

 

上鳴は爆豪のセンスに呆れて、思わず声に出して呟く。

 

「けどよ上鳴!凄くね?」

 

と、ツンツンとした髪が特徴的で男熱さを感じさせる切島はモニターに映ってる爆豪を見つめ、興奮し、モニターに指差す。

 

「ほらよデク!!テメェの大好きな、いつもの右の大ぶり!!」

 

爆豪は思いっきり右手で緑谷に殴りかかる。

 

「ぐっ!!」

 

またもや悲鳴をあげてしまう緑谷。

爆豪の手は、手榴弾をモチーフにしているグローブ。爆発にも耐えれる硬さで出来てるため普通に殴るよりも痛いのだ。そのため緑谷にダメージが増したのだ。

 

「うわぁ…痛そうだよ柳生ちゃん…!!」

 

「大丈夫か雲雀、見たくないなら無理に見なくても良いんだぞ…」

 

柳生は雲雀の頭を優しく撫でる。雲雀は純粋故に、幼い子供じみた部分がある。そんな子に喧嘩を見せても恐怖でしかない。爆豪なら尚更だ。もし自分もあんなことされたらなんて考えただけで、雲雀にとってはトラウマレベルだ。

 

(緑谷くん…!)

 

飛鳥はそっと、やられっぱなしで、立ち向かう彼に対し、じっとを見守るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「テメェは俺より下だ!!!」

 

爆豪は先ほど緑谷が彼に背負い投げをやったように、思いっきり緑谷を地面に叩きつける。

背中を思いっきり打ったため、更に苦痛を感じ、背中の骨が打撲し悲鳴をあげる。

 

「ぐっ、あっっ!うぅっ…!」

 

近づく爆豪に緑谷は思わず逃げてしまう。

 

「緑くん、逃げてるよアレ!」

 

「男のするような事じゃねえけど…仕方ねーぜ…爆豪相手なら尚更…」

 

モニター室でおどろく芦戸、仕方ない顔をする切島。

 

「リンチだよ!テープ巻きつければ勝ちなのに!」

 

「それが出来れば緑谷はこんなことになっていない…あの爆豪というヤツの実力が本物だからこそ、より強いからこそこの状況になってるんだ」

 

「ヒーローの所業にあらず…」

 

それぞれ皆ザワザワとした空間でつぶやく。今この状況を見て批判されても仕方がないであろう。何にせよ、ヒーローがヴィランに向けて背中を見せるのは、最もヒーローとして遠い姿であり、爆豪は緑谷に対する対抗心の余り、やり過ぎなんて言葉に言い表せないような暴走を見せている。

 

「緑谷もスゲェって思ったけどよ…戦闘能力において爆豪は間違いなく、センスの塊だぜ」

 

「アイツは正直、正義なのか悪なのか見分けがつかない男だな……そこまでして何故あの緑谷とやらをそこまで…」

 

爆豪の考えが分からなく、考えている柳生。

 

だが

 

 

「しかし、変だよな」

 

 

今度は不思議そうな顔をする切島。

 

 

「オイどうしたデク!?!? なんで個性を使わねえ?いい加減にしやがれ!俺を舐めてんのか!?ああ?!」

 

緑谷は壁に追い詰められ、一歩ずつ近づくたびに苛立つ爆豪。

 

「ガキの頃からずっとそうやって!!」

 

緑谷は首を横に振り

 

「ちがうよ…かっちゃん…」

 

否定する緑谷。

 

「俺を舐めてたんかテメェはァ!!!!」

 

(本当ならここで止めるべき!だが…止めてあげたくない…なぜなら)

 

熱き魂を震わせる二人の少年の闘いに、震えるオールマイト。

 

「君が…凄い人だから勝ちたいんじゃないか!」

 

涙を浮かべる緑谷

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「勝って!超えたいんじゃないかバカヤロー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

「そのツラやめろやクソナード!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

怒りぶつけ合う緑谷と爆豪。

 

「爆豪の方が余裕なくね?」

 

ポツリとつぶやく切島。皆んなはいつしか静まり緑谷と爆豪の戦いに釘付けになっている。

 

(「ヒーローになる」以外に初めて見せる激情!!)

 

オールマイトは心のなかで言い聞かせる。

 

(きっと君の見据える未来に、これは必須なんだろう!?)

 

心で緑谷にそう言い聞かせて、緑谷と爆豪の戦いを見守る。それは…

 

飛鳥も同じであった。

 

(緑谷くんの、あの表情…初めて見る…!)

 

今まで見てきたのは、地味っぽくて、大人しくて、優しくて、時々オドオドして…でも、今はとても男らしくて、熱意がある。

 

(頑張れ…!!!)

 

飛鳥の心の叫び。

 

「DETROIT…」

 

緑谷の右腕の袖はバッとやぶけて

 

ボボボボボボボ!!!

 

爆破を重ねながら右腕で殴りかかる爆豪

 

「先生!ヤバそうだってコレ!!」

 

止める切島、さすがの危険を感じたのかオールマイトは震えながらマイクを握り

 

「双方…中止」

 

言いかけた瞬間

 

 

「麗日さん行くぞ!!」

 

 

「!」

突然の緑谷の声におどろくオールマイト

 

「はい!」

 

「?」

 

柱にくっつく麗日をみて首をかしげる飯田。

 

(タイマンじゃ、まだ到底かなわない…)

 

お互い右腕をむけて、しかし

 

(でも!!)

 

 

 

「SMASH!!!」

 

 

緑谷の叫び。

 

 

ボーーーーーーン!!!

 

 

緑谷は爆豪の本気をもろに食らったが、爆豪は緑谷の拳が当たることはなかった。

緑谷は上へと方向を変えて天井に穴をあける

 

ボゴオオォーーーンン!!!

 

その威力は5階の核のあるフロアにまでとどいた。すると、お茶子がくっついてた柱の地面は壊れ、コンクリートの柱を無重力にして持ち上げた。

 

「ごめんね!即興必殺!彗星ホームラン!!」

 

コンクリートの柱を野球のバットのように振り、壊れた地面の破片を飯田目掛けて打った。

一振りで何個ものコンクリの破片が飯田に襲いかかる。

 

「ホームランじゃなくないか!?それ以前にこれは……やり過ぎではないかああぁぁ!?!」

 

と身を守りながらツッコミを入れる飯田、すると

ぴょん!っと音がして

 

「回収ーー!!」

 

お茶子は核に飛び込みくっついた。

 

 

「あーーーーー!!!核ーーーーー!!!」

 

 

大きな声をあげる飯田、それは下の1階のフロア、緑谷と爆豪にも声が届いた。

 

 

 

 

 

 

 

爆豪はパラパラと穴の空いた天井から破片が降ってくるのを見つめてワナワナと震えながら、憤る気持ちを腹の底から振り絞る。

 

「デク…テメェ…やっぱハナっから舐めてたんじゃねーかテメェは…!!」

 

「使わない…つもりだったんだよ……これ、本当は人に使っちゃいけないんだ……だって、使ったら、死人が出ちゃうし………」

 

弱々しい声で反論する緑谷の右腕は腫れ上がっていた。見てるだけで痛々しい、ボロボロなんて言葉で表せるものではなかった。

そして左腕で爆豪の攻撃を防いだためか火傷を負っている。

 

「力の調整ができなくて…それで…相澤先生にも言われてたんだけど…勝つのは…これしか思いつかなかった…」

 

「……!!」

 

驚愕する爆豪

緑谷は倒れた。

 

 

「ヒーロー…」

 

爆豪は膝を地面につけて

 

「ヒーローチーム!ウィーーーーーン!!」

 

オールマイトは大きく叫ぶ。

緑谷チームの勝利、そして

爆豪チームの敗北

その時か、初めて緑谷は爆豪に勝った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モニター室では皆その観戦をみて

 

「スッゲェ、勝ったチームがボロボロで…負けたチームは無傷だ…」

 

モニターに映ってるのは倒れてる緑谷の前に地面に膝をつけた爆豪。一方お茶子は酔ってるのか、思いっきり手を口に抑えてそれを飯田がお茶子の背中をさすってる。

 

「試合に勝って、勝負に負けたというところか」

 

常闇はそう言うと

「つまり、ルールで言えば勝ってるが、勝負では負けたということ…だな…」

 

柳生は納得したようにうなずく。

 

「み、緑谷くん…大丈夫かな…??」

 

(緑谷くんの戦い…凄かったな……なんか熱い感じが伝わって…でも、大丈夫だよ…ね?)

 

緑谷の腕と、爆豪の爆破を食らった怪我を心配する飛鳥。

 

「どちらにせよ、戦闘訓練としてはよく頑張ったさ!」

 

とオールマイトは緑谷チームと爆豪チームに向かう。

 

「はぁ…はぁ…」

 

息切れしてる爆豪は自分の右手をみて

 

(右手、デクは俺が右手をだすことを読んでた上でやったんだ…俺は本気をだしても…じゃあ、じゃあ…!ということは)

 

考えれば考えるほど自分に絶望が襲いかかってくる。

 

 

(俺!デクに!!完全に!!!)

 

 

ポン!

 

「!」

 

「爆豪少年!考えるのはひとまずやめてまずはモニター室に戻ろう」

 

爆豪の肩に手を置いたのはオールマイトだった。

 

「まあ、勝ったにせよ負けたにせよ…経験ってのは活きるもんなんだぜ!!」

 

「……」

 

緑谷は搬送用ロボのハンソーロボに保健室へと運ばれた。

 

 

緑谷を除いて全員がモニター室に集まった。

 

「まあ、と言っても今回もっとも良かったのは飯田くんだけどな!」

 

「なっ!」

 

驚きと嬉しさが混じった声で飯田はなぜ?と言わんばかりの顔をする。

 

「勝った緑谷ちゃんとお茶子ちゃんじゃないの?」

 

と首をかしげるカエルの女の子

 

「さて何でっかなー!?わかる人!」

 

「はい、オールマイト先生」

 

そこで手を挙げたのは八百万だ

 

「まず爆豪さんは飯田さんとは協力しずに独断先行…さらに屋内における大きな被害。協調性も悪いゆえに自分勝手の行動。もし多対一の戦闘となった場合、圧倒的に不利となり、守るものや目的も達成出来ません。普通は仲間同士で作戦を立てるのが常識です。緑谷さんも同様。動きは良かったものの最後の攻撃は大きく愚策…本番の場合、核だけでなく人質がいれば死人が出ます。守るべきヒーローが壊し、殺してどうするのです?そして麗日さんの場合は中盤からの気の緩み、そして最後の核に対する派手な行動…もしあれがハリボテの核だと扱っていなければそんなこと出来ませんわ、それはヒーロー側もなるべく避けたい行動。一方飯田さんは状況を整理してから自分がどう立ち回ればいいのかを把握し、相手に対する対策もあったからこそ飯田さんは最後の対応に遅れた。」

 

まだ下を向いてる爆豪、お茶子は申し訳なさそうな顔をして飯田は嬉しそうな顔をしている。

 

「………」

 

モニター室が静かになった。

 

「……う、うん!八百万くんの言うとおり!大体全部正解だよ!!ま、まあ飯田くんも堅いところはあるがね!うん!」

 

(うわ!思った以上に言われた!というか全部持ってかれたよ!)

 

オールマイトは独特な笑みを浮かべて

 

「常にトップヒーローを目指すものとして当然ですわ!!」

 

エッヘンと言わんばかりの顔立ち

 

八百万百 推薦入学者一位

 

「………」

 

顔を黒めて下をみる爆豪。

 

 

 

「おい爆豪」

 

爆豪を呼んだのは柳生だった。

 

「……あぁ…?」

 

爆豪は顔は上げてはないが、静かに反応する。

 

「お前が何をもってヤケに緑谷につっかかってるのかオレには分からない…こんな後にはあまり言いたくはないが、この時だからこそ言わせてもらうぞ…」

 

「…………何だよ………」

 

 

柳生は真剣な顔でこう言った。

 

 

 

「ヒーロー、やめたほうが良いぞ」

 

 

 

「「「!?!」」」

 

柳生の突然な大胆なる言葉に皆は驚く。

 

「ちょっ、柳生ちゃんどうしたの!?喧嘩はやめなよ!」

 

「飛鳥、これは喧嘩ではない…むしろこれは爆豪の為でもある」

 

飛鳥が止めに入ろうとするが、柳生はそれを制する。

 

「確かにお前の戦いとしては良かったかもしれない…だがチーム、仲間と連携を取れないはおろか、仲間のことをちゃんと大切に思わないお前はいずれ命懸けの戦いになった時に死ぬぞ……それに、あの時のお前は何処か歪んでた…その歪んだ気持ちのまま進んでいくのは危険だ……いずれ戦いで命を堕とす危険性だってある」

 

柳生の言ってることは最もだった。柳生の言うあの時とは、爆豪が緑谷に巨大爆発を食らわせた時だった。

その時の爆豪の表情は、一言で言えば歪んでた。その歪んだ表情には、何処か危険性があったのだ。

 

「相澤先生が言ってた、ヒーローは常に命懸けと…そこはオレたち忍びも同じだ。だからだ、だからこそ命とは大切にするものだ。これ以上大切な命を失わない為にも……」

 

爆豪に話していると、ふとある記憶が柳生の脳裏に浮かんだ。

それは病院のベッドの上で小さな女の子が治療を受けながらも、それでも…その子は命を落とし、息を引き取った。そんな残酷な思い出を……

 

 

「っ……!!」

 

柳生はふと我に帰ると、片方の手で頭を押さえる。

 

「だ、大丈夫!?」「おい、どうした柳生大丈夫か!?!」

 

葉隠と切島は急に様子が変わった柳生を見て心配する。

 

「あ、ああ…大丈夫だ。問題ない…」

 

直ぐに元の様子に戻ると、柳生は自分に一切目もくれない爆豪に背中を向けた。

 

「お前は強いんだ…だから自分のことをちゃんと考えろ」

 

柳生はそう言うとオールマイトの目の前にやって来た。

 

「オールマイト…すまない、少し話が長くなった。続けてくれ」

 

「えっ? あ、あっ! えっと、うん…え〜〜っと、そ、そだね…」

 

(いやいや!今空気凄く重たいんだけど!!そんな状況で、「始めるよ〜!」なんて言えないし!!柳生くんは空気の重さは気にしないのか!!!全く、とんだ凄い子だな!)

 

オールマイトは内心突っ込んでは感心してる。

 

(まあ…柳生くんはしっかりとヒーローとは何か、忍とは何かのことはちゃんと学んでるようだな…!)

 

ニカッと笑みを浮かべながらオールマイトは引き続きチーム決めを続行する。

 

 

「さて!気を取り直して次はBコンビがヒーローチーム!そしてIコンビが(ヴィラン)チームだ!!」

 

屋内にて

敵チームは

 

「尾白くん!私本気出すわ!手袋もブーツを脱ぐわ!」

 

「う、うん…そっか!」

 

(葉隠さん、透明人間としては正しい選択だけど…精神的にこれはヤバイ状況だぞ)

 

太くて筋肉のある尻尾をもつ尾白猿夫

そして透明人間の葉隠通

 

「あっ、見ないでね!」

 

「いや、見えないし」

 

恥ずかしそうな声をする葉隠にツッコミを入れる尾白。

 

開始時間になったため、ヒーローチームも敵チームも動き始める。

ヒーロチームは

 

「行くか轟」

 

「…おう」

 

障子目蔵と轟が動き出す。

 

屋内に入ると

 

「ふん…!」

 

障子は腕からさらに腕を生やして耳と口を複製させる。

 

「北側に4階、素足で降りてきてる…伏兵として捉えるようだ…5階の方は核フロア、守備として守ってるな」

 

障子目蔵 『個性』複製腕 腕を複製させて体の部位をも複製させることが出来る。また、複製できるものには制限がある。

 

「外でてろ、危ねえから…向こうがどういうつもりだろうが…」

 

するとパキパキ…と凍結の音が聞こえる。

障子は外に出ると建物が氷で覆われる。

 

「俺には関係ねえ」

 

「いってて〜…」

 

素足を凍らされた葉隠は動くことが出来ない。

轟は5階の核フロアについた。

 

「…!!」

 

当然尾白も動くことが出来ない

 

「…動かねえ方が良いぞ?足の皮剥がれちゃろくに満足に戦えねえぞ?」

 

フッと不敵な笑みを見せる轟、こうなってしまった以上尾白も動くことが出来ない。

 

モニター室でも影響があったらしく皆は震えている。

 

「さ、寒いよ〜……!何あの人…強そう!」

 

ブルブルと体を震わす飛鳥、その横でウトウトする蛙吹。さすがのオールマイトもこの寒さは効くらしい。

 

「核や仲間にダメージを与えず、敵を弱体化させる…」

 

「最強じゃねえか!!」

 

身を震わすオールマイトと切島は叫んだ。

 

「ひ、雲雀寒い……ホットなココアを飲みたいよ……風邪ひいちゃう…!」

 

寒そうに体を震わす雲雀を見て柳生は鼻の下を伸ばしながら自分の上着を雲雀に被せてくっつく。

 

「ひ、雲雀〜…もう大丈夫だぞ、オレが、オレが雲雀の体を温めてやるからな〜…ア、アハハハ〜……」

 

「柳生ちゃん?なんか怖いよ??」

 

「先ほどまでの柳生とは思えんほどの変わりっぷりだな……」

 

隣の常闇はポツリと呟く。

 

轟は核にタッチする

 

「ヒーローチームWin!」

 

またもやオールマイトの叫び

 

「悪いな」

 

と轟はそう言うと今度は一気に暖かい空気になった。水蒸気、そして温度が上がってく。

 

「これは…熱!?」

 

尾白は早く気づいた。

葉隠は

 

「アツアツ…!氷の次は…熱って!」

 

氷は熱で溶かされ、熱い水となって建物の中は熱い水になっている。

 

轟焦凍 『個性』半冷半燃 左側から炎、右側から氷が出る。ちなみに範囲も限度も未知数、フレイザードと呼んではいけない。

ちなみに推薦入学者二位。

 

「………」

 

爆豪は歯ぎしりしながらまた、挫折を。

 

 

 

時間は大分経ち…

 

雲雀、柳生のコンビと飛鳥を除き、皆は戦闘訓練を終えた。

 

「よーし!それじゃあ最後は飛鳥くんだが、コンビが居なかったね!クジを引いて貰おうか!」

 

「は、はい!」

 

飛鳥はクジを引いた、飛鳥と当たるのは…

 

「飛鳥と蛙吹梅雨がコンビだ!!」

 

「なるほど、分かりました!えっと、梅雨ちゃん、宜しくね?」

 

「ええ、宜しくね飛鳥ちゃん」

 

飛鳥は梅雨ちゃんになぜか触ろうとしないが、それでも友達のため余り嫌そうな顔はしていない。

 

「アレ?飛鳥ちゃん、梅雨ちゃんを少し避けてるみたいだね?」

 

「ん? ああ、成る程…そう言うことか」

 

雲雀は首を傾げたまんまだが、柳生は納得したように頷く。

 

「さて次のコンビは〜…!これだ!!」

 

Kコンビ 柳生&雲雀 敵チーム

Lコンビ 飛鳥&蛙吹梅雨 ヒーローチーム

 

 

「では君たちも所定の位置へ!!」

 

オールマイトは飛鳥たちにビルを指定していかせる。そこは問題ないのだが…さっきから飛鳥がソワソワしてる様子だ…その様子に気付いた蛙吹は首を傾げて質問する。

 

「ねえ、飛鳥ちゃん。さっきからソワソワしてるけどどうしたの?」

 

「ふえぇっ!?あっ、な、何でもないよ!!気にしないで!!」

 

「ケロ?そう…」

 

飛鳥は慌てて質問に答える…が、やはり何処か様子がおかしい。

柳生たちは建物の中に入り核のあるフロアへとたどり着く。

 

「さて雲雀、オレたちはこの核を守る訳だが…油断は禁物だぞ」

 

「うん…それはそうなんだけど…飛鳥ちゃんなんか元気ないように見えるんだ…大丈夫かな?」

 

「大丈夫…とは言えないな…飛鳥は」

 

「えっ?どういうこと?」

 

雲雀は柳生の言ってることが分からないので、質問すると、逆に柳生は少し意外な顔になる。

 

「雲雀、もしかして知らないのか?」

 

「う、うん…」

 

「飛鳥はな…」

 

 

 

「ケロ…本当に大丈夫?お腹が痛いんじゃないかしら?」

 

「だ、だだ大丈夫だよ!!気にしないで…良いからね…?」

 

飛鳥は大丈夫だよと伝えるが…

 

「いいえ、気にしない訳にはいかないわ…だって同じコンビなんだもの。何か困ったことがあって助け合うのが仲間よ。無理にとは言わないけど、教えてくれるかしら?」

 

蛙吹は飛鳥のために心配する、やはり同じコンビを組む以上、お互いのことを知り合うのも大事だ。蛙吹の正論に負けたのか、飛鳥はなぜそんなにも元気がないのかを話し出す。

 

「あ、あのね…梅雨ちゃん。わ、私、さっき梅雨ちゃんの戦闘訓練の見てようやく気付いたから敢えて後には言いたくなかったんだけど…」

 

「??」

 

「わ、私…」

 

 

 

「カエルが苦手なの!!!」

 

 

「ケロ!?」




はいwwまさかの飛鳥ここで大ピンチです!まあヒーローはピンチを乗り越えるものでもありますし、忍びも乗り越えれるはず!いや、出来る!うん!←(オイ

感想お待ちしておりますwww

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