光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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因みに気づいてる人もいるかもしれませんが、緑谷たちは入学したところからスタートになっています。


2話「雄英高校」

あれから時間が経ち、飛鳥たちはパトロールを終えると、学校に戻り霧谷先生に伝えるのであった。

 

「そうか…報告感謝する。引き続き忍務を続行してくれ。頼んだぞ」

 

「あ、あの〜…霧夜先生!」

 

「どうした?飛鳥」

 

飛鳥の声に霧夜が反応すると、彼女は疑問な表情で質問する。

 

「そもそも、その忍が他の人へと言いふらしてたりしたら…世間では大変なことになってるんじゃないんですか?」

 

確かに忍という存在そのものが世間に知れ渡れたら、忍の存在に気付かれ、今頃社会そのものが問題になってるだろう。だが今のところそのような変化は起きていない…そのことから誰かの悪戯なのでは?との線も考えられる。

 

「確かにそうだな…今頃現代社会そのものがおかしくなっても仕方がない……だが今のところは上層部がそれを揉み消している。手っ取り早くその忍とやらを見つけなければなるまい…ソイツは不確かな情報故に神出鬼没のようでな、滅多に姿を現さないんだ。今のところはおいおい良いとするが…相手の目的が分からない以上危険するぎるからな……お前達も会えば直感で分かるはずだ」

 

「な、なるほど…」

 

飛鳥がそう頷くと、霧夜はまたふとある事を思い出したように口を開く。

 

「ああ、そうそう…お前達。それともう一つ重大なことがある。」

 

「?なんですか?」

 

「悪忍の四人が何者かにやられたそうだ…」

 

「!!!???」

 

五人は一斉で驚きの様子を見せる。その悪忍とやらが誰だかは知らないが…

 

「やられたって、誰にですか?」

 

「今のところはまだ分からん…他の重傷者の意識が回復するまでな…」

 

「……」

 

「ただ、事をやらかしたのは(ヴィラン)だそうだ」

 

「えっ!!?」

 

飛鳥がつい咄嗟に声を上げてしまう。前に飛鳥も敵とはあったし、つい声を上げてしまうのも仕方がない。

 

「それで、その敵は現在逃走中…お前達もやられるようなタマではないのは分かってはいるが…くれぐれも気をつけるようにな」

 

「はい!!」

 

そう返事をすると…

 

 

「ああ、あとお前達…何度も呼び止めてすまないが…これは重要な話だ…よく聞け。お前達…『雄英高校』と共同してもらう」

 

 

「!!!!????」

 

突然なるその言葉が飛鳥たちに投げられた。

 

「なっ、えぇっ!?ど、どうして?」

 

葛城がたじろぐと、霧谷は話を続ける。

 

「本来ヒーローと忍びは表と裏で出来ている。本来なら学校を卒業したものしか知れ渡ることしか出来ないのだが…今回は事情が事情だ。さっき俺が言った謎の忍びについてのこともそうだが…やはり(ヴィラン)が忍に危害を加えた以上、上層部も黙ってはいられなくてな……現在ヒーローたちもその(ヴィラン)を追っているそうだ。安心しろ、向こうの学校側は承諾済みだ。あの半蔵様が頭を下げてたくらいだからな……」

 

「じ、じっちゃんが!!?」

 

飛鳥のじっちゃんとは、祖父である伝説の忍び…半蔵である。その半蔵がその雄英高校で頭を下げるとなると、相当凄いところなのだろう…

 

「わ、分かりました…しかし柳生さんに雲雀さん、飛鳥さんならまだ分かりますが…私たちは三年生……その場合はどうされるのですか?」

 

斑鳩の問いに、霧谷は

 

「そうだな…確かにお前たちには忍びの卒業試験のこともある……なら、飛鳥、雲雀、柳生は雄英高校と共同を。斑鳩と葛城はここで訓練を、それで良いか?」

 

「アタイは別に問題ないけど…ただ、飛鳥たちの胸を揉めれねえのが少し残念だなぁ…」

 

「もー!胸は良いってば葛姉!!って、私も柳生ちゃんたちと?」

 

「飛鳥、お前は一年のふりをしてくれ…そして雄英高校で共同を」

 

「分かりました…」

 

こうして彼女たちは雄英高校に行くのであった。

 

 

 

場所は変わり。

雄英高校、休憩室――

 

「いやぁ…話を聞いてもらい有難うございますのぅ、校長」

 

「いやいや、伝説の忍が現在こうして生きてるんだ、それに半蔵の願い事にはむしろこっちも好都合だよ!」

 

半蔵が嬉しそうにしてると、校長はグッドなポーズを取っている。校長の身体はとても小さく、犬なのか、ネズミなのか分からない外見をしている。毛の色は白。

 

「しかし校長、良いんですか?幾ら我々が良いとしても、生徒が…」

 

「ああ、その点については心配要らないよ相澤くん。そのことは雄英側の生徒たちにも言い付けるし、まず忍の事を他の人に漏らさなければ良いんだよ、まあ何がともあれ彼女たちの担任は君に任せるよ!1ーA組担任相澤くん!」

 

「クラスの名前まで言わなくても良いじゃないですか…まあ、分かりました……その代わり俺の指導は厳しくしますよ?」

 

やる気のないような、目が死んでるような、合理性を求めると人間こうなってしまうのかという位に疑ってしまう教師、相澤がそう答えると、扉を開けて出て行った。

 

「……わしゃあ心配でなりませんなぁ…忍が世間でどう見られていくのかを…」

 

「上層部たちは企業秘密として忍の存在を隠しているからね。けど、こうも事件が連なると、こうなって出てしまうのは仕方ないことさ」

 

「一刻も早く見つけなければのぉ…」

 

半蔵のため息に、お茶を淹れてたしなめる校長。

 

「それに、君の孫もここに来るんだろ?なら丁度良いじゃないか!」

 

「まあその点についてはワシもそう思っておる」

 

「なら今のところは問題は見受けられないね、大事なのは対策とこれからどう活動していくかが我々の課題かな」

 

校長がそう言うに対して頷く半蔵であった。

 

 

 

 

 

飛鳥たちは霧谷に言われた通り、

 

「ふわぁ…ここがその雄英高校なんだね、大きいね!雲雀、こんなに大きな学校だとは思わなかったよ!」

 

「そうだな…まあオレたちは霧谷先生の言われた通りにやれば良いだけだ…」

 

(ひ、雲雀があんな笑顔を…!!やはり雲雀は雲雀だな…)

 

「??柳生ちゃん、どうしたの?」

 

「!あ、ああなんでもない飛鳥…それで会議室って何処なんだ?」

 

「うーん…確かここのはず……」

 

門をくぐり中に入った飛鳥たちは、会議室を探している。この学校は無駄に広い故に色々な室内があってよく分からないのだ。

 

「えーっと、あっ!!此処かな?」

 

上の横札には『会議室』と書いてある。間違いないだろう…そこで話をするという段階なのだ。

 

 

「あの〜…すいません!私たち半蔵学院の生徒たちなんですけど…」

 

すると会議室にいたのは、半蔵と校長、そして相澤と先ほど来たと思われるオールマイト(マッスルフォーム)の4人であった。

 

 

「おお!飛鳥か!」

 

「じっちゃん!やっぱり霧谷先生の言ってた通り、本当だったんだ!」

 

飛鳥が満面な笑みを浮かべると、半蔵は飛鳥の頭を優しく撫でる。

 

「ん?アレ?この少女何処かで…」

 

オールマイトは少女をみて首を傾げた。

 

「まあとにかく三人とも、そこのソファに腰掛けなよ!」

 

そう言うと三人は言われた通りに座る。すると雲雀は柳生の耳に近づき…

 

「ねえ、柳生ちゃん。あの人ネズミみたいだね?ネズミさんなのかな?」

 

「雲雀、一応この人は校長だ。もし聞こえたら失礼だぞ」

 

「いやものすごく聞こえてるからね?うん」

 

柳生と雲雀の会話を聞いてた校長は表情を変えずとも話し出す。何やら顔に影が浮かんでいるのが逆に怖いが…

 

「さて、君たちが此処に来てくれたのは嬉しいよ、学校側としても大きく感謝してるんだぜ。ところで、君たちのいう半蔵学院の先生から話は聞いたとは思うんだけど、此処に来なければならない理由は知ってるかい?」

 

「も、勿論です!」

 

飛鳥がそう返事をすると、校長はそれなら話は早いと、手をポンと叩く。

 

「では君たちは、この相澤先生が担当してるクラスにいけば良い。君たちが合同で行くには彼が適任してるからね、よろしくね相澤くん」

 

「分かりました校長…ではこちらの三名をクラスにおけば良いのですね?となるとA組のクラスだけ人数が…」

 

「大丈夫さ!確かにA組の生徒の数は二人多いが、君の合理性を信じてるからこそ頼んでるのさ、それに今回の事件についてだけ彼女たちは此処にいるんだからさ。問題ないよ」

 

すると相澤はしばし間を置き、「分かりました」と答えた。

 

(それにしても全員女子か…男子はいねえのか?)

 

相澤は心の中で疑問を思い浮かび言い聞かせるのであった。

 

「よ、宜しくお願いします!相澤…さん?」

 

「一応先生は付けろ、それにこの事は勿論秘密なわけだが…お前たちもなるべく他の奴らとは関わらないようにしろよ…」

 

「は、はい…!」

 

「うわぁ…柳生ちゃん、霧谷先生とは違ってなんか暗くて厳しいね〜…」

 

「雲雀、言うな。聞こえるぞ」

 

「……」

 

柳生と雲雀のやりとりに、もはや言葉を失う相澤である。するとオールマイトは…

 

「ん?あっ、ああぁーーーーー!!キミは確か、この前の誘拐事件の時にいた!!」

 

「!!??」

 

オールマイトは突然飛鳥に人差し指を向けた。そして突然大声で叫び、指さされた飛鳥は体がビクりと反応し、背筋が一瞬ゾッとした。

 

「え、えぇ!?」

 

「どうしたんですオールマイト…あと煩いですよ」

 

(ていうかこの人なんで居るんだよ……つうか今更かよ)

 

「いやいや違うんだよ!!ホラ、前に敵が小さな子供を誘拐してた事件があってさ!!そんで…」

 

オールマイトは、この間の事を話し出した。

 

「なるほど、既に会ってたんだね」

 

「え、あ、は…はい……」

 

「いや、オレたちは知らないぞ…お前がそんな事になってたのは」

 

「雲雀も〜」

 

「私もだ!!」

 

「オールマイトは少し黙ってて下さい」

 

柳生と雲雀は飛鳥にこの事を聞かされてなかったので、知らないのも無理はない。オールマイトは此処でボケて相澤に止められる。

 

「ご、ゴメンね皆んな…このこと言ってなくて……」

 

「まあ、もう過ぎた事だ…余り気にするな」

 

「雲雀は気にしてないよ〜」

 

「HAHAHAーーー!!随分と良い仲じゃないか!!」

 

「オールマイト、良い加減にして下さい」

 

「いやぁ、相澤くん!ゴメンごめん、私も女の子と喋りたくなっちゃってね!!ホラ、最近のガールズトークって何なのか、先生気になっちゃうしさ」

 

「……」

 

オールマイトの言葉にまた言葉を失う相澤であった。そして、「貴方の場合は犯罪と勘違いされます」と心の中にその言葉をそっと閉まった。

 

(まあ…この子らとも一緒に訓練できりゃあ、ウチらも強くなるだろ…一応合理的とも言えるな)

 

相澤はそう解釈すると、三人を直ちにクラスへと連れて行くのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

長い廊下を歩いていると、雲雀は小さな声で柳生に話しかける。

 

「ねえ、柳生ちゃん…」

 

「?どうした雲雀、トイレか?トイレなら一緒に連れてってやるぞ」

 

「いやトイレじゃなくて… あのね、ヒーローと忍って何が違うの?」

 

雲雀の突然の質問に柳生は少し考える、それを聞いてた飛鳥も実際問われるとよく分からない…まあ忍びのことは知っててもヒーローの事など考えた事もないから仕方ないといえば仕方ない…すると相澤がふと口を開く。

 

「ヒーローとは、常にピンチを乗り越えてくもの……違いと言ってもそれは活動だけだ…ヒーローは人を救けるのが常に仕事、災害救助、事故、それと身勝手なヴィラン達…そんな理不尽から人を救うのがヒーロー…一方忍びは、影に隠れながら活動する事だ…決して人の目には触れてはいけない仕事があるからな……まあそれだけではないが、お前達はこの社会を影で支える側だ…」

 

「な、なるほど……」

 

相澤の長い説明に飛鳥はそう言うが…雲雀は首を傾げたまんまである。

 

「まあぶっちゃけ言えば変わらないのは…『規律を守る』と『命懸け』というところだな…」

 

「!」

 

言われてみれば確かにと思う。悪忍は規律を守らないが、善忍は規律を重んじて、守る。

命懸けは、忍はいつどんな忍務でさえも、命を賭けてまでやらないと出来ない事だってある。それはヒーローも同じなのだ。

 

「アンタらにゃああの生徒達と一緒に強くなってもらう…この事件は社会にはバレてないが、一刻も早く見つけ出さんと…どうなるか分からん」

 

謎の忍に、忍すら危害を与える人物…一体何者なのだろうか…

 

話していると、1ーAと書いてある扉がある。というより扉がでかい…

 

「まあとっとと入るぞ」

 

ガララと音が鳴ると、教室の生徒達は一瞬で静まり返った、そして…

 

「はいお前ら待たせたな…さっき話した通り、お世話になる生徒達を紹介する…入れ」

 

「ふぇっ?あ、は、はい!」

 

飛鳥がたじろぐと、クラスの中の少しの男子は…

 

ウオォォーーー!!

 

と声を上げる。特にあの紫色でもぎもぎの頭をした男と、金髪の男がそうだ。

 

「ひょーー!あの子オイラ知ってんぜ!!前に会った子だ!!」

 

峰田が言ってるのは飛鳥の事である。

 

「はぁ!?峰田まじかお前!羨ましいコンチクショー!!」

 

「お前ら除籍処分にされたいか?本気で…」

 

「………」

 

そして相澤の睨む眼光によって一気に沈黙と化した。

 

「え、えーっと…いつまで一緒に居られるか分からないけど…あ、飛鳥です…宜しくお願いします〜…」

 

「柳生だ…」

 

「雲雀だよ!皆んな宜しくね〜!」

 

ウワアァァァァーーー!!!

 

またもや歓喜の声が上がる。

 

「おいおい、女のパレードじゃねえか…!!なあ緑谷!!」

 

「ええ!?//な、なんで僕?!」

 

「オイ峰田、良い加減にしろよ?大事な時間が無駄になる…」

 

「あっ、スイマセン…」

 

峰田が謝罪するとその三人は席に座る事になる。蛙吹の後ろが飛鳥の席で、雲雀は爆豪の後ろ、柳生は八百万の後ろになる。

まず飛鳥は…

 

「宜しくね!えと…」

 

「蛙吹梅雨よ、梅雨ちゃんと呼んで」

 

「え、あっ!うん!宜しくね梅雨ちゃん!!」

 

雲雀は…

 

「宜しくね〜!前の人!」

 

「アァ!?気安く喋りかけんじゃねえよ殺すぞ!!!」

 

「ふええぇぇーーーーーん!!!酷いよ!!」

 

柳生は…

 

「オイ、雲雀を泣かせたのは貴様か…首を出せ、切る…」

 

「お、落ち着いて下さいまし柳生さん!!」

 

なぜか峰田は血走った目で緑谷を睨みつける。

 

「オイ、緑谷…そこ代われ、今すぐ…速攻で!!!」

 

「えぇ!?な、な、なんで!?というより峰田くん、目!目!目が怖いから!!」

 

他にも…

 

「何か分からないことがあったら僕に聞くんだ!飛鳥くん!!」

 

「くん!?!さんじゃなくて!?」

 

飯田の真面目さに驚く飛鳥。

緑谷は泣いてる雲雀を慰めてる。

 

「だ、大丈夫?雲雀さん…?」

 

「ふえぇ〜…もう嫌だよ〜…!!」

 

「うーわ、爆豪女の子泣かした〜…サイテー」

 

「ハァ!?勝手にコイツが泣いたんだろーが!つか耳野郎は黙ってろ!」

 

耳郎の挑発に切れる爆豪。

 

「オイ、貴様…雲雀に謝ることも出来ないのか?」

 

「だ、だから待ってください!!」

 

「オイラを襲ってくれ柳生!!」

 

「お前は帰れ」

 

「……」

 

柳生を止めてる八百万の間に、峰田が入り込むと軽く流されショックを受ける峰田であった。

 

ワイワイガヤガヤしてる教室の中で、ただ一人相澤は思った。

 

(マジで面倒くせぇ…)




次の話は最初は雄英の生徒達が体力テスト終わったところで、共同する三人の話を聞くことになりますww
多分ごちゃごちゃになるのかちゃんとできるのか少し心配があるww

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