光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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閃乱カグラ5周年本当におめでとう!(今更かい!)
僕のヒーローアカデミア2周年本当におめでとう!(今更かよ!)

焔「以上!」
爆豪「来年まで寝て待て!!」

焔と爆豪って似てない?てか気が合いそう?色んな意味で……


21話「蛇女子学園と雲雀」

翌日。飛鳥たち半蔵学院の生徒たちは、霧夜の話により収集させられた。その話とは……

 

 

 

 

 

「「「「「ええ!!??超秘伝忍法書が奪われた!?!?」」」」」

 

 

 

五人は大きな声で叫び出し、霧夜は生徒一人一人を見渡す。

 

 

「ああ、先日の夜中にな。警備は以前より強化してあり、そして警報鳴らず…となると、信じ難いが超秘伝忍法書が奪われたのは、お前たち五人の誰か……という訳になる」

 

「わ、私達はそんなことしません!!!!それは絶対に」

 

「分かっている、飛鳥……その気持ちは俺も同じだ。だが奪われたのも事実だ……」

 

 

飛鳥は霧夜に真剣な眼差しを向けると、霧夜も真剣な眼差しで飛鳥を見つめる。

 

 

「となると、一体誰が……?まさかだとは思いますが、雄英高校の生徒たちでは?」

 

 

斑鳩がそう言うと…

 

 

「でもよ、雄英の奴らは此処に来るのは初めてなんだぜ?だったら超秘伝忍法書が何処にあるか分からねえだろ?第一分かってたとしても、認証とか必要だし……」

 

「葛城の言う通り、確かにまず雄英の生徒達はあり得ないだろうな……」

 

 

葛城が反論すると、霧夜は納得したかのように頷く。

 

 

「でも、何のために……?」

 

 

雲雀は首を傾げる。

 

 

「とにかく、一時期自室に戻って部屋で待機だ!!それと飛鳥達三人もだ……このことについては勿論半蔵様も知っている、そして雄英の関係者にだけ伝えるように言っている、だから雄英のことは心配するな」

 

 

「ええ…?あっ、はい……」

 

 

霧夜がそう言うと、飛鳥たちは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

雲雀は……

 

 

「う〜ん?部屋で待機って言っても何すれば良いんだろ?いつもなら柳生ちゃんや飛鳥ちゃんだけじゃなくて、梅雨ちゃんと麗日ちゃん、芦戸ちゃんと楽しくお喋りしてるのに……」

 

 

雲雀はベッドの上に座り込み、ウサギの人形を抱きかかえて呟くと、ふと足元に何かが当たった。

 

 

「ん?何だろ?」

 

 

 

手を当てて取ってみると、それは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

超秘伝忍法書であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…? ええ!?何でこんな所に!?!?」

 

 

雲雀は慌てて部屋に出ようとしたその時。

 

 

バシュン!

 

 

 

 

長い鞭が超秘伝忍法書に巻きつき、雲雀の手から離れてしまう。

 

 

「ご苦労様……よくやってくれたわ、雲雀」

 

 

その聞いたことのある声は……

 

 

「ええ!?うそ…なんで此処に……

 

 

 

 

 

春花さん!?」

 

 

雲雀は驚くと、春花はニヤリと笑みを浮かべて、雲雀に近づく。

 

 

「『あの時』の約束、果たしてくれたみたいね」

 

「え?約束って……あっ」

 

 

雲雀は机の上にある巻物に視線を移した。そう、この巻物は『あの時』蛇女の選抜メンバー達が半蔵に攻め込んだ時に、春花から『お友達の証』として貰ったものであった。

 

 

「か、返して!!」

 

 

雲雀は手を出すものの、超秘伝忍法書は春花の胸に埋まれてしまい、消えてしまった。

 

 

「これで貴方は半蔵学院の、いえ……善忍全ての裏切り者になったわね……」

 

 

春花がそう言うと、雲雀は恐るおそる下を向いて、絶望な表情を浮かべる。

 

 

「別に良いじゃない?貴方はどうせ落ちこぼれなんだし……」

 

 

春花は雲雀の顔に近づきそう言う。

 

 

「ど、どうすれば……わたし、どうしよう………雲雀は………なんてことを………」

 

 

雲雀がそう言うと、春花は白衣のコートのポケットから、紙を取り出して雲雀に投げる。それを取った雲雀は、紙を見てみると…

 

 

「これって……蛇女子学園の? 」

 

「無理にとは言わない……でも、貴方にその気があるなら来なさいな…」

 

春花はそう言うと、大量の花びらを巻き起こして、その場で消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして30分後

 

 

「大変だよ皆んな!!」

 

 

飛鳥は大声で部屋にいる皆んなが集まるように収集をかけた。皆んなは何事かと思い、部屋に出て集まる。

 

 

「雲雀ちゃんがいなくなった!!!」

 

 

 

「「「!?!?!」」」

 

 

三人は一斉に驚く。

 

 

 

 

それから霧夜も来て、雲雀の部屋に集まり中を見てみると、手紙とある巻物が置いてあった。その巻物は春花から貰った巻物だ。霧夜はそれを手に取ると……

 

 

「これは……念波発信器!?」

 

 

その巻物は念波発信器である。念波発信器とは、主が強い念を込め、相手に送ることで、愚術のように操ることができる。

 

 

「ま、まさかそれで雲雀ちゃんが操られてたって訳だったの!?」

 

 

飛鳥はそう言うと、柳生は机の上に置いてある手紙を取り読む。 その手紙にはこう書いてあった。

 

 

『ごめんなさい…全部雲雀の所為です。悪忍に操られていたとは言え、私はとんでもないことをしてしまいました。でも超秘伝忍法書は必ず取り戻しに来ます!例え……この命に代えても……!!』

 

 

 

瞬間、柳生の脳裏には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲雀が死んでしまった姿が映し出された。蛇女の悪忍に、そして以前襲撃してきた敵に、雲雀が何度も殺され、死んでしまった姿を、脳裏に浮かんでしまった。内に沸く恐怖から生まれた残酷な幻覚が……柳生の心を……

 

 

 

 

 

 

 

 

「!!!」

 

 

瞬間。柳生は忍転身しその場から去るように飛び出した。

 

 

「「「柳生(さん)(ちゃん)!!!!」」」

 

 

 

 

三人は大声で柳生を呼び止めた、だがもう手遅れだ。だが三人も黙ってはおられず、忍転身し柳生を追う。

 

 

「柳生ちゃーん!!」

 

「おい柳生出てこい!」

 

「柳生さん!!」

 

 

飛鳥、葛城、斑鳩は柳生の名前を叫ぶものの、返事はない…

 

 

「どこに行っちゃったんだろ?」

 

 

飛鳥が辺りを見渡すと、ふとある物影が遮った。

 

 

「!?アレッて………柳生ちゃん……?!」

 

 

飛鳥はその物影を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてかれこれようやく飛鳥は柳生を捕まえることに成功した。

 

 

「柳生さん!」

 

「そこに居たのか…」

 

 

斑鳩と葛城も、飛鳥と柳生に合流した。だが見るからの様子だと、柳生は涙目になりながら、必死に抵抗している。それを飛鳥は抱きしめ止めている。

 

 

「離せ……離せ……!!雲雀を……救けるんだ……!!!」

 

「落ち着いて柳生ちゃん!!それは私たちも一緒だよ!!」

 

「うるさい……煩いうるさい……!!!」

 

 

柳生は何度もそう言う。

 

 

「柳生落ち着けって!」

 

「柳生さん!ひとまず落ち着いて下さい!!」

 

 

斑鳩と葛城も止める。だが柳生は何度も何度も、必死に抵抗する。

 

 

「雲雀を守ると……あの時から……そしてあの後もずっと、ずっと誓ったんだ……!!!なのに、なのに……!オレはまた………雲雀を……」

 

 

柳生はとうとう泣き出してしまった。そしてもう体に力が入らなくなったのか、その場で泣きじゃくる。

 

 

「ううう………っっ! くっ………雲雀………雲雀ぃ………!!!!オレは………また、同じことを…………」

 

「柳生ちゃん……」

 

 

柳生の泣く姿に、三人もしんみりとした状況になる。すると、飛鳥はポン!と柳生の頭を優しく撫でる。

 

 

 

 

 

「柳生ちゃん……ひとまず戻ろう?まずは落ち着いて……そこから探せば良いよ……なにも、柳生ちゃんの所為じゃないもん……」

 

 

「飛鳥……」

 

 

「だって…私たちが居るじゃない。なにも柳生ちゃんだけじゃないんだよ?雲雀ちゃんを大事に思ってるのは私達だって同じだもん。大切な仲間だから」

 

「仲間……」

 

柳生はその言葉を聞いて、涙が溢れ出た。その優しさはまるで……雲雀が握ってくれた、優しい暖かい手のような……

 

 

 

 

 

 

 

一方、雄英高校では。

 

 

「「「「「ハアアアアアァァァァーーーーーーーーーーーーーーー!!!!????」」」」」

 

 

皆んなは相澤に雲雀がいなくなったことと、半蔵学院では、超秘伝忍法書と呼ばれる伝説の巻物を取られたことを知り、教室中が騒ぐ。

 

 

「だから飛鳥さんたち三人とも居ないんだ……」

 

「フン…………」

 

 

緑谷は心配してる反面、爆豪はそっぽを向いている。

 

 

「んでその雲雀ってヤツが秘立蛇女子学園ってところに行っちまったのか!?ええっと、悪忍ってヤツらの良いように利用されて!?」

 

 

切島は動揺しているため、大声で相澤に話しかける。

 

 

「ああ、実際その秘立蛇女子学園さえ分かりゃあ別にどうってことねーんだがな……ちと向こう側の居場所が分からなくてな……そのため三人は居ません。さらにこれは多くのプロヒーロー、オールマイトで詮索する。お前たちはいつも通り、通常授業に移り安静にしてろ以上解散」

 

 

相澤はそう言うと、教室から出る。

 

 

皆んなは更に騒ぎ出し、クラス中が煩くなる。

 

 

「マジでヤバくね!?それ!」

 

「ああ、俺もそう思うよ……」

 

 

切島と尾白はお互い顔を見合わせて話し合っている。

 

 

「……秘立蛇女子学園か、前に半蔵に攻めてきたヤツらだよな?つーことは、あの悪忍も……」

 

 

轟は目を細めて呟く。あの悪忍、それは焔のことだろう。何故かは知らないが、轟にとって、焔という人物は印象強いようだ。

 

 

「雲雀さん…………」

 

 

緑谷は窓から空を見つめて、小さく呟くのであった。

 

 

 

放課後。

 

 

「なあ皆んな」

 

声を掛けたのは切島であった。皆んなは切島の発言に振り向く。

 

 

「どした?切島」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇女子学園にて…

 

 

殺風景で、薄暗い空に、薄気味悪い森。雲雀はその中に歩いていくと……

 

 

「着いた……ここが秘立蛇女子学園……!!」

 

 

雲雀は春花から貰った手紙を頼りに、ここまでやって来た。すると…

 

 

「あら、思ったより早かったわね…雲雀」

 

 

そこには…

 

 

「は、春花さん!?」

 

 

物影に背を合わせて、嬉しそうな顔で雲雀を見つめている、蛇女の制服を着ている春花であった。

 

 

「私の話したこと、ちゃんと分かってくれたのね……嬉しいわ」

 

 

春花は感心して、優しい瞳で雲雀を見つめてそう言うと、

 

 

「雲雀はもう…半蔵学院には戻れないから……」

 

 

雲雀は下を向いて、寂しい目でそう言うのであった。

 

 

「でも、雲雀は半蔵学院の生徒だったんだよ?蛇女子学園に入っても良いの?」

 

「心配しなくても大丈夫よ……悪いようにはしないわ…だから、安心しなさい。貴方の制服もあるから、それを着てから校内を見回りましょう」

 

 

春花は優しい笑みを浮かべて、雲雀の手をつなぎ歩いていく。

 

 

(雲雀、絶対に超秘伝忍法書を取り返すね!!絶対に……!!)

 

 

雲雀は心の中で、強くそう言うのであった。

 

 

 

 

 

 

しばらく経つと、春花と雲雀は外の大広場に出ていた。

 

 

「ここが訓練場よ、蛇女は莫大な財産で日本中から能力の高そうな生徒をスカウトするのよ、まあその分ハズレも多いけどね」

 

 

春花と雲雀は、ボロボロな武器の山を見つめる。

 

 

「これは珍客だな……」

 

「!?」

 

 

突然後ろから声がしたので、雲雀は振り返ってみると、そこには…蛇女の選抜メンバーのリーダーである焔と、詠、日影、未来の姿であった。

 

 

「誰やと思うたら、半蔵の生徒やないか」

 

「警備担当は懲罰ものですわね……」

 

 

日影と詠はそう言うと、春花はフフフと笑うと、雲雀の肩に手を置く。

 

 

「安心して皆んな、この子は私がスカウトしたの。今日からこの子は蛇女子学園の生徒よ」

 

「「「!!!???」」」

 

 

焔、詠、未来は、春花の言葉に驚く。日影は感情がないため、驚かないが……

 

 

「また……春花姉さまの悪い癖が……」

 

 

未来は呆れた様子でため息をつき、焔はジッと雲雀を見つめながら歩いていく。

 

 

「………お前、本気なのか?」

 

 

焔は真剣な眼差しで雲雀を見つめると、雲雀も臆することなく見つめる。

 

 

「ほ、本気です!もう……半蔵学院には戻れないし…居場所なんてないから……」

 

 

雲雀は寂しげを含ませた声でそう呟くと、焔は雲雀を見つめて、フッと笑うのであった。

 

 

「そうか、ではお前は今日から私たちの仲間だ」

 

 

「えっ!?」

 

 

雲雀は焔の言葉に驚き、ふと冷や汗が垂れた。そこには何の警戒心もなく、また敵意も感じないからだ。焔が笑顔で見つめると、残りの三人(日影以外)も笑顔で見つめる。

 

 

「え、ええっと……」

 

「どうした?」

 

「ひ、雲雀を疑わないんですか?」

 

「疑うって…何を?」

 

 

雲雀は焔の寛大さに、驚きを隠せないでいると、焔は雲雀の態度に不思議に思った。そんな焔に雲雀は質問すると、春花も首をかしげる。

 

 

「貴方…今まで敵だったヤツが簡単に受け入れすぎる……とか思ったでしょ?」

 

 

未来が眉をひそめてそう言うと、焔は真剣な目つきで物語る。

 

 

「善というのは、窮屈で差別的でしかない……だが、悪は善よりも寛容だ」

 

 

「それが善忍と悪忍の違いなのですわ」

 

 

焔の言葉に、詠もそう言う。

 

 

すると未来は目の前に出てきて雲雀に指をさす。

 

 

「とにかく私を無視したら、殺すから……」

 

「し、しませんしません!無視なんてしません!」

 

 

雲雀はそう言うと、「フン…」と未来はそっぽを向く。そして今度は詠は雲雀をまじまじと見ながら側に駆け寄る。

 

 

 

「ところで貴方…もやしはお好きですか?」

 

「え?」

 

「もやしよもやし!!」

 

 

詠の急なる質問に、雲雀は首を傾げる。

 

 

「え、あ…は、はぁ……別に嫌いではありませんけど………」

 

「そうですか!いえ、そうですわよね!!」

 

 

詠は目をキラキラと輝かせて、雲雀にもやしについて話し出す。

 

 

「良かったわ〜…もやし話に付き合ってくれる人がいて」

 

 

日影は横目で雲雀を見つめてそう呟いた。

 

 

 

 

「……ん?」

 

「?どうした?」

 

 

詠が話してる中、雲雀が何やら思い当たるようなことに気づいた五人は、雲雀を見つめる。

 

先ほど、焔の悪の寛大の話を聞いて、雲雀は少し冷や汗を垂らして、思い出したくもないある人物を思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『子供を殺せば来るのかな?』

 

 

 

 

 

『同じ暴力が、ヒーローと敵でカテゴライズされる!!この世の中に!』

 

 

 

 

 

『俺たちは敵(ヴィラン)だぜ?殺して何が悪いんだ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それは危険人物である死柄木弔は、悪なんてレベルじゃない、もはや歪みと呼ぶべき人物だ。なら蛇女はこの人物も受け入れることができるのか?ましてやそれが、残虐だとしても??と考えてしまった。

 

 

「あ、あの……焔さん」

 

「なんだ?」

 

 

雲雀の呼びかけに、焔は首をかしげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「歪みを持った純粋な悪意ある人間でも、その人の大切なもの全てを壊そうとする人も、貴方たちは受け入れるんですか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「?????」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雲雀の言葉に一同は首を傾げている。

 

 

「どういう意味だ?」

 

 

焔は雲雀の言ってることが分からず、首を傾げている。

 

 

「あっ…!いえ!何でもないです、気にしないで下さい……」

 

 

雲雀はそう言うと、下を向く。

 

 

(どうして雲雀、こんなこと言ったんだろ??)

 

 

雲雀自身よく分からない様子でいる…が、それほど雲雀にとって、悪の歪みそのものである死柄木弔の存在は大きな影響を受けたという事だろう。

 

 

「まあ良いさ……とにかく、そろそろ修行の時間だ。行くぞお前たち」

 

 

焔は皆んなにそう言うと、雲雀に背を向けるのであった。そして雲雀は再び、春花に校内を案内される事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻、半蔵学院。

 

 

「ん〜………悪忍養成機関だからな… 山奥ってのは分かったが……一体何処に蛇女があるかが問題なんだよな…」

 

「そうですね…」

 

 

斑鳩と葛城は山奥の、色んな地図を見て考えている。流石は3年生と言ったところだ。

 

 

「斑鳩さんに葛姉凄いなぁ……」

 

 

飛鳥はそんな二人をみて、何処か微笑ましくもあり、尊敬もしている。

 

 

「………」

 

 

ようやく落ち着いたのか、柳生はずっと黙っていて、涙はもう止まっている。皆んなが雲雀を探すように頑張っていると……

 

 

「お前ら!よく聞け!!」

 

 

ガタン!と隠し扉が開いた。見てみると、そこには紙切れ一枚を持っていて、息遣いが荒い霧夜の姿であった。

 

 

「き、霧夜先生!?どうしたんですか!」

 

 

飛鳥は、そんな霧夜にそう聞くと……霧夜はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘立蛇女子学園の居場所が分かった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「!!!???」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

三人は驚く様子で霧夜を見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

数十分後

 

 

 

 

 

「ここに、雲雀が居るのか……」

 

 

紙切れの山奥には、赤いバッテン印が書かれている。どうやらそこが蛇女子学園で間違いはないようだ。そこには立ち入り禁止と書いてあり、蛇女子学園の関係者がそうするようにしたのだろう。

 

 

 

「でもさ霧夜先生、どうしてそれを知ったんすか?」

 

「うっ……それは聞くな………ただ、これからどうすればいいか…が問題だ」

 

 

葛城の質問に答えれない霧夜は、葛城にそう言う。

 

 

「そんなん突っ込んで行けば」

 

「ダメだ…上からの命令もなしに攻めに行くなど無謀だ…!!」

 

「けど向こうだって攻めてきたじゃないっすか!!!」

 

 

確かに蛇女子学園は、半蔵に攻めてきた。なのに半蔵学院だけ攻めに行ってはいけないなどと、向こうとしては勝手が過ぎる。何処ぞの敵連合でもあるまいのにだ……

 

 

「確かにそれはそうだが……」

 

 

霧夜がそう言うと……

 

 

「ええじゃないか、これも子供のいさかいじゃ!!」

 

 

後ろから突然、半蔵の声が聞こえた。

 

 

「じ、じっちゃん!?」

 

「半蔵様!?」

 

 

飛鳥たちは半蔵が居たことに驚く。

 

 

 

「お主らも、好きなだけ行けば良い…」

 

「しかし半蔵様!それでは……」

 

 

霧夜がそう言いかけると、半蔵は覚悟を決めた目で、答える。

 

 

 

「全ての責任は、このワシ…半蔵が負う…!誰にも文句は言わせん……!」

 

 

 

半蔵がそう言うと、霧夜はもう何も言わなかった。すると今度は半蔵は、柳生の方に歩み寄り、頭に手を置く。

 

 

「それに……たった一人の仲間も救えんで、何が正義か……のう?柳生よ」

 

「は、はい……!」

 

 

いつも冷静でクールな柳生は、目の前の半蔵の優しさに、真っ直ぐ頷く柳生であった。その優しさは、平和の象徴オールマイトに似てるようで……

 

 

「よし!そうと決まれば……早速乗り込もうぜ!!」

 

 

葛城はそう言うのであった。そして四人は一斉に蛇女に乗り込む準備をしている。

 

 

 

 

「ほ、本当に宜しかったのでしょうか?半蔵様」

 

 

霧夜は心配そうにそう聞くと、半蔵は表情を強張らせる。

 

 

「安心せい…ヤツらだけじゃない……それに」

 

「それに…?」

 

 

霧夜は半蔵の様子に首をかしげる。

 

 

「何か不穏な気が感じるのじゃ……いや、飛鳥たちに行かせないといけない気がしてならないのじゃ……」

 

「半蔵様……」

 

 

半蔵は真剣な目つきでそう言うと、霧夜は、半蔵が何を言ってるのか分からないまま、ただ見つめるのでしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、場所は変わり………

ある街の何処となく普通な建物、そこの建物中はバーとなっており、殺風景である。

オールマイトのポスターはビリビリに破れている。

その中には当然というべきか、以前USJを襲撃した敵連合のリーダー、死柄木がある写真を二枚持っている。

 

 

「………」

 

 

死柄木はボリボリと首を掻きながらも、写真を見つめて…いや、睨んでいる。

そのカウンターで食器やグラスなどを洗っているのは、黒霧。ワープゲートの敵だ。黒霧は心配そうに死柄木に尋ねる。

 

 

「あの、死柄木弔。怪我は大丈夫でしょうか?」

 

「うるさい黒霧、つか今両腕両足包帯巻いてる…」

 

「それは失礼いたしました…」

 

 

心配する黒霧に、鬱陶しいと反応する死柄木。黒霧はそんな死柄木をたしなめる存在なのだ。

 

そんな時に……

 

 

 

 

 

コンコン

 

 

 

 

「?」

 

 

死柄木はノックが鳴った方に振り返ると、ガチャと音が聞こえた。

 

 

「アラ、こんにちは」

 

 

扉を開け、来たのは…水色の長髪をした少女だ。

二人はとにかく?を浮かべるしかなかった。なぜこの女性がここに来ているのか、どうしてこんな時間に?などと疑問を抱いている。

 

 

「あなたは一体…?」

 

「いやぁ悪いね黒霧くん、久しぶり」

 

 

するとそこへやって来たのは、メガネをかけた白髪のおじさんだった。

 

 

「…!『ブローカー』…!お久しぶりです。どうして此処に?まさか…」

 

「そうそう、アンタらの騒動で早速注目を浴びてるさ、『こっち側』ではね。その騒動でアンタら敵連合に入りたいってこのお嬢ちゃんが言うのさ」

 

 

視線を少女に向けると、黒霧たちも注目する。

 

 

「それにしても、此処が敵連合のアジトか……確かにアジトっぽい感じ満々だね!!」

 

 

その女性は、敵連合のアジトに感心する。

 

 

「オイオイ、そもそも誰なんだよお前は。勝手にはしゃぐな……」

 

 

死柄木は指を少女に向ける。

 

 

「ああ、言ってなかったね。私の名前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

抜忍『漆月』よ」

 

 

漆月はクスっと笑みを浮かべる。

 

 

「抜忍?なんだそれ?」

 

「んーとね…元・忍び!いや、忍びかな?ある意味」

 

「はあ?なんで忍びがここに来てんだよ……マジでざけんな……オレは飛鳥ってガキとそのジジイに散々ウザい目に遭わされてんだ………黒霧、コイツお帰りだってさ、飛ばせ」

 

「まあまあ落ち着きましょう、死柄木弔」

 

 

ビリビリとした死柄木に、黒霧は面倒くさくなる前に止めに入る。ブローカーなんかはハハッと笑っている。

 

 

「人にはそれぞれ事情があります。彼女は何かしらの事情があって此処へやって来たのでしょう、何よりあのブローカーが一緒にいるという事は、我々の組織に力を貸してくれるという意味では?」

 

「まあそりゃあそうだな」

 

 

死柄木は冷静になると、抜忍の漆月は二人を見つめて言う。

 

 

「私は貴方たち敵連合に入りたいの、仲間になりたいってことよ」

 

「まあそれは分かりましたが…しかし抜忍とは何でしょうか?先生から聞いてるのは忍びという存在だけであって……」

 

 

黒霧が神妙にそう聞くと、漆月はハハハと優しい目で黒霧を見つめる。

 

 

「その点は今後教えるよ、ただ……仲間にしてくれるかどうかが今は大事じゃない?それにホラ、私さ…貴方たちの騒動を聞いて…あっ、自分はここに居た方が良いのかも!って思ったのよ!」

 

「随分と漠然とした理由だな」

 

 

死柄木はポツリと呟く。

 

 

「死柄木弔、前にも先生が言ってた通り精鋭を集めなければ…」

 

「分かってるよ………」

 

 

黒霧の話に面倒くさそうに反応する死柄木。

 

 

「話はまとまったかい?黒霧くん」

 

「ええ、我々に協力して頂き有難う御座います」

 

 

黒霧はブローカーと呼ばれる男に軽く一礼する。

 

 

「まあとゆー訳で、宜しくね!黒霧に、死柄木弔!」

 

 

満面な笑みを浮かべる漆月に二人は賛成する。

 

 

「ええ、心強い仲間が一人増えた事ですし。宜しくお願いしますね漆月」

 

 

「まあ…別に…」

 

 

 

敵連合は一度退けられては、また悪意を募らせ互いに成長し、強くなる。

敵連合のこれからの行動、この組織がこれから大きくなっていく事は、まだ誰も気付く余地はない。

パソコンの画面越しで敵連合の様子を見て、微笑ましい気持ちで見ている先生を除いて。




はい!最後の死柄木たちは、影で悪意を凝縮していますね……次回も命懸けでPulsultra!!

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