光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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遅くなって申し訳ありません!少し話をどう繋げるか考えておりました!!では今回の話は体育祭〜開催〜!?ではありません…あともし文章で何か変なところがあったりしたら申し訳ありません!!


秘立蛇女子学園編
20話「THE・紹介」


「死柄木弔という名前、個性は恐らく、触れたものの対象を粉々にしてしまう個性と推測。20〜30代の個性登録を洗ってみましたが、該当せず。また黒霧というワープゲートも同じです。」

 

 

襲撃後の翌朝、雄英高校では会議室で教師達はもちろん。そして塚内刑事が敵連合について調べた情報、資料を読み取っている。

塚内は警察としてはかなりの歴然を誇るプロの警察だ。特に情報収集などはとても得意とするらしい。

 

 

「ですが…これは無戸籍かつ偽名ですね」

 

 

死柄木と黒霧の名前が偽名であると断言した。続けて

 

 

「個性届けを提出していない…裏の人間ですねコレは」

 

 

塚内は最前で重要な情報をまとめて任務を遂行するといった感じが伝わってくる。

だが相手が無戸籍ゆえに偽名。さらに相手が何処にいるのかも分からない故に、攻め立てる理由すらもわからないままでは最善たる策などは最早皆無に過ぎない。

 

 

「何もわからねえってことだろ?だったら早く見つけないと死柄木とやらは厄介になるぞ…主犯の銃槍が治る前にな」

 

 

帽子に手を当てるスナイプに、オールマイトは遠いおぼつかないような目を細めてため息をつく。

 

 

「それにしても、忍びの存在を知ってたのは大きいね。まあ学校に襲撃してくるのもそうだけど……となるとこちら側の情報が漏れたか、信じたくはないがあるいは生徒たちの可能性もあるかもね」

 

「いいや、それはないと思います校長」

 

 

校長がそう言うと、オールマイトは首を横に振る。

 

 

「緑谷少年と、障子少年が言っていました。もし本当に生徒たちが情報を漏らしたとなると…忍学生の存在のみならず、名前や数まで知っているハズ……だが向こうは存在を知っていただけで完全には知らなかった……」

 

 

オールマイトはそう言うと、根津は「う〜ん」と難しい顔で考える。

 

 

「確かにオールマイトの言う通りだが……となると、一体誰が………

 

 

っ!もしかして……」

 

 

「何か知ってるのか!?」

 

 

スナイプは慌ただしい様子で校長に聞くと、数秒間を空き、何かを思い出したようだ。

 

 

「あくまで私の推論なんだけど、忍びの存在を他者に知れ渡し、悪党と危害を加えている『謎の忍び』とやらがそうなんじゃないかな?そして死柄木という主犯に動かせた……とか?」

 

「……!なるほど…それは一理ありますね」

 

 

塚内が納得したように頷くと、オールマイトは何か嫌なものでも思い出したのか、ため息をつく。

 

 

 

「主犯…か」

 

「オールマイト?」

 

 

オールマイトの呟きが聞こえた根津は振り向く。

 

 

「思いついてもふつう行動に移そうとは思わぬ大胆な奇襲、私対策の脳無という得体の知れない人物までもが襲いかかってきた。そして向こうは、我々と塚内くんとヒーロー科の生徒しか知らないハズの忍生徒がいる事も分かってた……忍びの存在そのものを知っていた……!!用意は周到にされていたにも拘らず!」

 

「突然それっぽい暴論をしまくったり、自身の個性を明かさず他人の個性を自慢気に話したり、思い通りに事が運ばないと露骨に気分が悪くなる!」

 

 

オールマイトは、政治家が話すような体制をとり、話を続ける。

 

 

 

「それと何が関係があるというんだ?!」

 

 

オールマイトに抗議する雄英の一年B組ヒーロー科の担任ブラドキング。外見からして熱血漢であり、力強さが伝わるのが印象だ。

オールマイトはこう言った。

 

 

 

 

 

 

「子ども大人だ」

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

一瞬どういう意味かと悩んだが、オールマイトが言ってることを皆、直ぐに察知した。

先ほど死柄木の言動の説明からして『子ども大人』というのは、幼稚的万能感の抜け切らない人間、大人の力を持った子どもということだ。

 

 

「なるほどね…オールマイトの言葉に一理あるね。でも、個性不明というアドバンテージを放棄するのは愚かだね」

 

 

冷静な様子で話し出す根津校長。

 

 

「小学生時の一斉個性カウンセリング、アレ受けてないのかしら?」

 

 

疑問に浮かぶミッドナイトの意見はご尤も。

本来なら小学時に保険調査によるカウンセリングを受けるよう義務付けられてる。

個性という規制化が厳しい今の世の中なら当然、尚のことだ。

 

「個性登録を洗っても出てこないんだ、完全に裏の人間さ。受けてないことには確かだな。何しろこんなにややこしい事件なんざ初めてだぜ……」

 

帽子を深く被るスナイプ先生。

 

「先日のUSJで検挙した敵の数72名」

 

「!?」

 

抗議が続いてる中、声を出したのが塚内刑事。資料を見ながら説明をしている。

 

 

「どれも路地裏に潜んでいるような小物ばかり、そして大物が脳無と呼ばれる男でした。問題はそういった『子ども大人』に賛同して付いてきたということです。」

 

 

先生たちも固唾と唾を飲む様子で静かになり、塚内に視線が集まる。

 

 

「ヒーローが飽和した現代に抑圧されてきた悪意たちは、そういう無邪気な邪悪に魅かれてるのかもしれない」

 

 

オールマイトの存在そのものが悪の抑止力となり、今まで悪事を働く事が出来なかった敵たちは、死柄木弔という無邪気な悪意に引き寄せられ、協力、仲間などと言ったものが集まってくる。それは平和という光から生まれる影に隠れて悪を培ってきた者こそが敵連合を率いる死柄木ではないのかということだろう。そして、死柄木弔はこの社会から生み出された歪みを持つ化け物とも言える。

 

 

 

「何がともあれヒーローたちのお陰で、こうして我々警察は地道な調査に専念出来る。引き続き調査網を拡大し、犯人たちの逮捕に尽力を尽くします!」

 

 

塚内は一礼すると、根津は深刻そうな顔で呟いた。

 

 

「子ども大人…か」

 

「校長?」

 

 

根津の様子に首をかしげるオールマイト。根津はこういった。

 

 

「子ども大人ということは逆にこうも言えるよ、敵もまた生徒たちと同じ成長する余地がある。生徒たちが成長すればするほど、敵もまた強くなる…考えたくないものだね。」

 

「……ごもっともです」

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、半蔵学院の方にて…

 

飛鳥たち三人は朝早く半蔵学院に着き、昨日起きた事件を霧夜先生に伝えた。

 

 

「なるほど…それは災難だったな……それにしてもまさか忍びの存在を知っているとは……ソイツら何者だ?上層部もまた調査を続けろとは言っているが………」

 

 

「わ、私にも…それは………………でもまだ世間には知れ渡ってないなら、私たちはまだバレてないという事だよね?」

 

 

霧夜の言葉に飛鳥は首を横に振る。また、忍の存在が世間にバレてしまってるかどうかについて不満を持っている。

 

 

「ああ、それについては心配ないのだが……問題はその敵が、何故忍びの存在を知ってるかだ……上層部は謎の忍びと関わりがあると推測しているが……現在詳細不明だ」

 

「う〜ん……そっか……」

 

 

飛鳥がそう言うと、葛城は口を開く。

 

 

「とにかくよ先生!飛鳥たちがあんな酷い目に遭わされたんだ……アイツらほっといたらになにしやらかすか分かんねーぞ!探そうぜ、そんでアイツらを…」

 

「落ち着きなさい葛城さん……行方が分からない以上、手の打ちようがありません!私だって許せませんよ……後輩である飛鳥さんたちが酷い目に遭わされて…」

 

「だったら早く探せば良いじゃねーか!!」

 

「そういう訳にはいけません!!無理に探せば、向こうの思う壺になるだけです!私たちは向こうについては一切何も知らないのに、何の根拠もなく探せますか?」

 

「うっ……そりゃあそうだけどよ……」

 

 

怒り荒ぶる葛城は、斑鳩の正論にたじろいでしまう。そんな二人を見た柳生は話し出す。

 

 

「よく分からないが……これだけは言える。敵は結構強かった。只者ではない……何より雲雀が言ってた、敵に心がないものもいたと……」

 

「なに?心が……ない?」

 

 

霧夜は柳生の言葉に耳を疑い、眉をひそめると、雲雀に目を移した。すると雲雀も真剣な眼差しで頷いている。

 

 

「……その敵については、今後忍たちも調査を続けよう……」

 

 

霧夜はそう言うと、柳生はまだ脳無にやられた事が悔しいのか、眼帯を撫でるように触り、殺気立った目で…………何もない場所に目を向ける。

 

 

「うぅ〜…………もしあんなのが攻めてきたら………雲雀嫌だよ………それにまだあの二人の敵さんは逃走中なんでしょ?」

 

敵連合の主犯格、死柄木弔

出入り口の黒霧

この二人はかなり厄介な敵だ、今後鉢合わせたくない。

そんな雲雀は縮こまるように目をうるうるさせると、柳生はソッと雲雀の頭を撫でる。

 

「大丈夫だ雲雀……オレももう二度とあんなヘマはしない……そのためにはオレたちはもっと強くならなければならない……そうだろ?霧夜先生」

 

柳生がそう言うと、霧夜は頷いた。

 

「ああ…まあとにかく、お前たちが無事でよかった…!柳生は、ケガこそしてしまったが、回復して復帰したしな……」

 

「……はい……」

 

柳生は小さく頷くと、霧夜は話し出す。

 

「そして今回、お前たちに更なる命令が下された……」

 

「新たな?」

 

「命令?」

 

 

雲雀と柳生は首を傾げると、霧夜は真剣な表情で話を続ける。

 

 

 

「『ヒーロー殺しステイン』を捕らえよ……との事だ」

 

 

「!!!」

 

「ヒーロー殺し?」

 

 

 

 

斑鳩はその名を聞き驚いた様子で顔を青ざめ、それ以外の4名は首を傾げる。

 

 

「斑鳩は流石だな……酷ではあるが………」

 

「……はい」

 

「「「「斑鳩(さん)?」」」」

 

 

四人は斑鳩を見つめている。霧夜は斑鳩の様子に気づいたようだ。分からない四人に霧夜は説明する。

 

 

「お前たち…前にも話した通り、敵が忍学生に危害を加えたことは知ってるな?」

 

「は、はい……それは……」

 

「……まさか」

 

 

 

柳生も三人よりいち早く気付いた様子だ。

 

 

「忍に危害を加えた敵……ソイツがヒーロー殺しステインであると分かった」

 

「「「!!??」」」

 

 

飛鳥、葛城、雲雀の三人はその真実を知り驚きを隠せない。

 

 

「多くのヒーローを再起不能…更には殺人を繰り返してきた最悪の敵……そしてその名が全国に広まり、全国指名手配された敵ですね?」

 

 

斑鳩はそう言うと、霧夜は頷く。

 

 

「ああ…被害が出た四名の悪忍は、二人は極上忍、もう二名が特上忍だそうだ……極上忍は再起不能となり、二名の特上忍は………殺されたそうだ……」

 

「そ、そんな………なんなの……ソイツ…………」

 

 

飛鳥はヒーロー殺しステインの強さに驚愕する。

忍にはランクが存在する。

下忍、中忍、上忍、隠密、特上忍、天上忍、極上忍。

他にも一般的に知られてないのも存在する。

餓忍、絶忍、轟忍、虚忍、影忍、殱忍、卍忍、朧忍、秘忍など。

 

 

だがそれでも充分、特上忍や極上忍は強い。にも関わらずステインと呼ばれる敵は一人で殲滅したそうだ。その敵になす術もなくやられたと報告があった。

 

 

「襲撃してきた敵より強いのかな……?」

 

 

飛鳥はステインとやらの強さのあまり、自信をなくしてしまう。

 

 

「そこまではよく分からんが……だが、お前たちもくれぐれも気を付けてくれ…この忍務はお前たちだけじゃない、全忍に命令が下されている」

 

「ま、マジかよ……」

 

 

全国指名手配されてる敵に、忍にも指名手配されてることを聞き、葛城は目を丸くする。

それほどヤバい敵だと、この場の皆んなは分かった。

そんななか、霧夜は飛鳥たちの緊張を解くために、笑顔で生徒たちに気合を入れる。

 

 

「まあ何がともあれ!敵の襲撃でお前たちは本当に良くやった!くれぐれも注意し、気をつけながら、続けて調査をしてくれ!以上だ!」

 

 

「「「はい!!!」」」

 

 

五人は、霧夜の気合を受けて、活気な声で返事をする。

 

 

 

 

そんなことから飛鳥たち三人は、半蔵学院から雄英高校に登校し、1ーA組のクラスに入ると、昨日襲撃が起きたのが嘘みたいに賑わっている。飛鳥たちがクラスに入ってきたことに気付いた上鳴は飛鳥たちに振り向く。

 

 

「おお!飛鳥たちおはよう!」

 

「おはよう!上鳴くん達、昨日の襲撃あったのに随分と賑やかなんだね…?」(汗

 

 

飛鳥はそんな上鳴たちに苦笑いを浮かべる。

 

 

「いやー!だってさ、朝の登校中から殆どの皆んなが俺ら見に来てさ!!『敵の襲撃大丈夫だった!?』とか、『敵が来たのに乗り越えられたなんて凄い!』とかって言われるんよ!なんかそう言う風に褒められたりすると、俺らちょっと有名人っぽい感じがしてさ……!」

 

 

上鳴は嬉しそうな顔で自慢げに話す。飛鳥たちは忍であり、存在そのものは秘密のため、皆から褒められるような事はないし、まず襲撃があったことを知るものは裏の社会の忍だけだ。

 

 

「有名人か〜……雲雀もなってみたいな〜!!あっ、でも忍だから無理だ……」

 

「でもでも、忍の世界だと褒められたりするんだろ?そんで実績積み上げていけば有名になれるし……ある意味有名人にはなれるんじゃねーか?そう言うところはヒーローと忍は変わらないよな!有名人にはなれるぞきっと!」

 

 

落ち込む雲雀に瀬呂が励ますと、雲雀は「う〜ん?」とイマイチ納得できないのか、曖昧な返事をする。

 

 

すると、突然チャイムが鳴り始めた途端に…

 

 

「おはよう…」

 

 

顔中に包帯を巻いてる相澤がやって来た。

 

 

「「「「お、おはようございま〜す……」」」」

 

 

皆んなは相澤の顔を見て、声低く挨拶をする。

 

 

「うわあ…顔中包帯だらけ、大丈夫かなあ?ミイラみたいだね」

 

「ひ、雲雀さん……!!余計なことは……!」

 

「え〜?だって〜……」

 

 

雲雀の突然な答えに緑谷は慌てて雲雀に注意する。

 

 

「相澤先生、ケガは大丈夫ですか?」

 

「大丈夫だ……てか俺のことは気にしなくてもいい……あのバアさん、大袈裟過ぎるだろ」

 

 

蛙吹が手を上げてそう言うと、相澤はため息をつき蛙吹にそう言った。ぶっちゃけ言えば大袈裟ではない、何しろオールマイト並みのパワーを持つ敵に、顔掴まれて地面に何度も埋められるよう叩きつけられたのだ。逆に包帯を巻いてない方が可笑しいくらいだ。

 

 

「ぶっちゃけ言えば、お前らご苦労様だ……特に今のところ飛鳥たちの存在は世間にはバレてねえ…それに国家機密の忍び組織や上層部もなんとか事件を揉み消してる……だが、いつバレるかは分からねえ…昨日の襲撃みたいに敵に襲われる可能性も無いわけじゃない……だから、お前らもくれぐれも気をつけろよ」

 

 

「はい!」

 

「分かってる…」

 

「うん!」

 

 

相澤のセリフに、飛鳥、柳生、雲雀の三人は頷くと相澤は納得したのか、話を続ける。

 

 

 

「んで、本題なのが最も他でもない、大きな事件がある訳なんだが……」

 

「お、大きな事件…?」

 

「また、敵の襲撃かぁーーー!??」

 

「おいそこの紫チビ、煩いぞ」

 

「…………」

 

 

相澤の大きな事件という言葉に、緑谷は眉をひそめ、峰田は手で頭を押さえながら叫び出す。そして柳生が峰田にそう言うと、峰田は柳生を無言で虚しく見つめる。そんな彼ら、彼女らのざわめきも御構い無しに、相澤はこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『雄英体育祭』が迫ってきてる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソ学校っぽいのキターー!!!!!やったー!!!」

 

 

クラスは歓喜の声で溢れ返った。

 

 

「雄英…?」

 

「体育祭?」

 

「運動会〜?」

 

 

飛鳥と柳生は何のことか分からない様子で、雲雀は運動会と勘違いしている。

 

 

雄英体育祭。それは日本に於いて、かつてのオリンピックに代わる大規模な行事だ。

全国のヒーロー達がスカウトするために観に来る場所でもある。しかもソレはネットやテレビなどで放送されるので、ヒーローのみならず一般人の市民も見ることが出来るのだ。

 

 

 

「という訳だ、分かったか?敵の襲撃如きで中止にする訳にはいかないからな」

 

「いやそこは中止にしよ!?」

 

 

顔が包帯で巻かれてる、ミイラ化した相澤が言うと峰田は冷や汗を垂らしながら中止にして欲しいと願っている。

 

 

「峰田くん、もしかして体育祭知らないの!?」

 

「いや、知ってるよ…!ただ、敵が襲撃して来たのにまた襲撃して来る場合も考えられるだろ?」

 

 

心配する峰田がそう言うと。

 

 

「その心配は要らん、多くのヒーロー達がスカウト目的で観に来るんだ。またコレは敵への警戒する立場になると言っても良い」

 

 

相澤はサラッと解説をした。

毎年恒例としてやっている基本中の基本のため、敵が来る心配はないとのこと。

 

 

「まあけど、確かに体育祭だったら尚更良いとこ見せねーとな!ヒーローの本性だぜコレ!」

 

 

漢気熱く燃え上がる切島は、両拳をガチン!と打ち付け金属音を鳴らす。

 

 

「ふむ、となると『兄さん』が来るなら良いところを見せないとな…!これも飯田家の名を恥じない為にも!」

 

 

飯田は腕を変な感じにグネグネと動かす。飯田家は代々伝わるヒーロー家であり、あの有名なヒーロー、インゲニウムの弟だ。つまり飯田の兄も来る可能性が高いと思われる。

だからこそ飯田はいつも以上にテンションが高いのだ。

 

 

「なるほど……オレたちはどうするんだ先生?」

 

 

疑問を感じた柳生は手を挙げる。

 

 

「お前たち三人は残念ながら出ることは出来ない……そのためお前たちは応援側として居てくれりゃ良いよ」

 

 

相澤はそう言った。

 

 

「え〜!!雲雀も運動会やりたいよ!」

 

「雲雀、運動会と体育祭は違えからな?」

 

「でも体育祭と運動会って何が違うんですか先生??」

 

 

雲雀の子供じみた発言に注意する相澤に、雲雀は運動会と体育祭の違いが分からず首をかしげる。

 

 

 

「お前……本当に忍学生なんだよな?……まあいい、いいか?体育祭と運動会の違いってのは、『やること』『目的』『主体性』だ。あと『教育課程』によって違う」

 

「雲雀、そんなの分かんない!!」

 

「オイ、最後まで聞け」

 

 

 

 

 

 

雲雀は目をつむってそう言うと、相澤はため息をつきながらも、手に頭を置く。

 

 

「運動会は体を使い、動かすのが目的だ。だが体育祭は体育の授業の成果を発揮させることが目的だ。まあ雄英からすりゃあ、今までの訓練と己の努力を発揮させる事だな。あと運動会では、先生が主に主体となって開催し、運営を行うんだ…だが体育祭は生徒が主に主体となり、運営を行うことだ。分かったか?」

 

「へえ〜〜…そうなんだ……ふう〜〜ん……」

 

 

 

(なんだそのつまらなさそうな反応は…)

 

 

相澤の説明が面白くないのか、雲雀は口を尖らせる。相澤は心の中で雲雀の反応に突っ込んだ。

 

 

「まあなんだ、とにかくだ。何がともあれ体育祭までには二週間ある。時間は有限、合理的にその時間内で準備しとけよ。年に一回…計三回だけのチャンス ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ! まあ以上だ次の授業の用意しとけ」

 

 

相澤はそう言うと皆んなは渋々頷いた。ただでさえ昨日の敵の襲撃があったと言うのに、体育祭をやらなければならないのか…と。

 

 

放課後。

 

 

「なんやかんやで体育祭か…!!燃えてくるな!!」

 

「けど体育祭か〜…雲雀出たいって言ってるけど、仕方ないよな〜」

 

切島は拳を天にかざすように腕を上げ、尾白は体育祭に出れなくて、悲しい顔をしている雲雀を見つめる。

 

 

「うう〜…雲雀、運動会出たかったよ……」

 

「いや、だから運動会じゃないからな?」

 

 

また運動会と言った雲雀に、瀬呂は突っ込む。

 

 

「心配するな雲雀、体育祭の時は一緒にお弁当食べよう」

 

「柳生ちゃん…! うん!!」

 

 

柳生が雲雀を励ますと、雲雀は一気に様子が変わった。そんなやりとりをしてると、話を上鳴は話を変える。

 

 

 

「なあ、前々から思ったんだけど…オレたち飛鳥たちのこと知らなくね?」

 

 

 

上鳴の発言に、皆は三人を振り向く。確かに忍びという存在を知っただけで、彼女たちのことは余り知らない。

 

 

「確かに、言われてみれば……」

 

「…………」

 

 

砂糖と口田は頷き、峰田は血相を変えた目で三人をギロ目してる。

 

 

「それはそうだけど……っていうか、凄い今更な感じだね」

 

「た、た、確かに…」(汗

 

 

飛鳥の発言に、頷く緑谷。すると爆豪は席に立ち上がる。

 

 

「ケッ……クソ下らねえ……お前らモブ共はモブ同士でバカやってろよ……」

 

 

爆豪は吐き捨てるようにそう言い、荷物を持って帰ろうとすると……

 

 

「でもさ!飛鳥とか柳生とか超えたいって言ってたし、知るのも良いんじゃねーか爆豪!」

 

「五月蝿えぞクソ髪!!余計なこと言ってんじゃねえ!!!」

 

 

切島の清々しい表情に、爆豪は思わず掌を爆破させ怒鳴る。

 

 

「わ、分かったから二人とも、そろそろ良いかな?」

 

「おう良いぜ飛鳥!」

 

「わーったから早よしろやデカ乳女!!」

 

「で、デカ乳女!?なんでそんな酷いこと言うの?爆豪くんはもう!」

 

「はぁ!?酷くねーよ!!それがテメェの名前だ!!」

 

「そんな名前じゃないもん!!私には飛鳥っていう名前があるんだから!!」

 

「知るかあぁぁぁーーーーーーー!!!!!!」

 

 

切島は親指をグッと立てるが、爆豪の発言に、飛鳥と爆豪はお互い反論し合っている。

そんなやりとりがあって、落ち着くと飛鳥たち三人は改めて自己紹介をする。飛鳥は自己紹介に慣れてないのか、顔を少し赤く染めて緊張している。

 

 

「い、今更ですが……わ、私は飛鳥です…!最初に名前を言うことは定番…だからね??あっ、ええっと……誕生日は9月8日。趣味は修行で、好きな食べ物はじっちゃんの太巻き!!です!改めて宜しくね!」

 

 

飛鳥は満面な笑みを向けると、皆んなはどっと声を上げた。

 

 

「おおお!!修行か…!飛鳥って努力家なのな!オレも好きだぜそういうの!!」

 

切島は拳を握りしめ、熱くなる。

 

「うえええいい!!」

 

上鳴は発狂、そして…

 

「じっちゃんの……太巻き……じっちゃんの太巻き……?じっちゃんの………?じっちゃんの!?!?」

 

峰田は目が充血し、鼻血は出てるわ口からヨダレは出てるは、まじまじと飛鳥の身体中を見ながら、息遣いは荒く、えらく興奮している。そして次第にじっちゃんの名前を連呼している。峰田の様子に気付いた飛鳥は、首を傾げる。

 

「え、ええっとね〜…?峰田くん、なんでそんなに息遣いが荒いの?あと鼻血……出てるよ?」

 

「これは鼻血じゃねえ…アレだよ…今日の朝、パい…じゃなかった、パンにチーズのっけてケチャップ大量にぶっかけたせいで、ケチャップ摂取し過ぎで鼻からケチャップが出てきたんだよ……」

 

「ケチャップって何回言うんだよ」

 

 

峰田の言葉に、瀬呂は突っ込む。

 

(……待って?オレ突っ込んでしかなくね!?)

 

瀬呂は心の中でそう叫んだ。突っ込みを入れて…

 

 

「ところで、飛鳥。太巻きってデカイのが好きなのか?」

 

「うん!大好きだよ!!私ね、おっきいのが欲しいの!!」

 

「ブハッ!!」

 

飛鳥に質問した峰田は、鼻から血を出して卒倒する。

 

 

「み、峰田くん!?大丈夫?」

 

「あ、飛鳥……ヤベェ、ハードル高えよお前……」

 

「な、何言ってるの…?」

 

峰田の意味深な発言に気づかない飛鳥は、首を傾げて峰田を心配する。そんな峰田は飛鳥にすがるように目を向ける。

 

 

「あ、飛鳥…」

 

「な、なに?どうしたの?」

 

「オイラ…大量出血で死にそうになったら…飛鳥……抱きしめて…お前のおっぱいで、オイラの顔に押し付けるよu」

 

「峰田ちゃん、いい加減にして貰えないかしら?」

 

 

ドシュッ!!

 

 

「グハァ!?」

 

 

突如、正義の鉄槌の如く、蛙吹は自分の舌で峰田の額を高速で突くと、峰田は額を押さえてうずくまってる。

 

 

「飛鳥ちゃん大丈夫?」

 

「あ、ありがとう…蛙吹さん……」

 

飛鳥は蛙吹にそう言う。蛙吹なら風紀委員とかやってくれそうな感じが伝わる。

 

「自業自得…」

 

「葛城を見てるみたいだ……」

 

常闇と柳生は、峰田を見て呆れている。

 

 

 

「そ、そんなことより…続きしよ?次は雲雀ちゃん!」

 

飛鳥は話を戻すと、今度は雲雀に振った。

 

 

「私か〜!うん、私は雲雀だよ!!誕生日は2月18日、趣味はテレビゲーム!好きな食べ物は甘い食べ物全般!お菓子とか色々だね!雲雀も改めて宜しくね!!」

 

雲雀も飛鳥同様に満面な笑みを向けると、おおお!と歓喜な声を上げる。

 

 

「甘いものか…!オレも好きだぜ甘いの!てか、むしろ俺のパワーになるし、雲雀と俺だとなんとなく相性いいかもな!今度お菓子ご馳走するぜ!」

 

「砂糖くん!本当にいいの!?」

 

「お、おう!//」

 

砂糖は雲雀の小動物系の可愛さに、頬を赤く染める。

 

 

砂糖力道 個性 『シュガードープ』

糖分10gにつき3分間パワーが5倍。しかし糖をパワーに使うと、次第に脳機能がダウンしてくのが欠点、パワー増強系の個性

 

 

「オイ、そこのデカ物」

 

「なあ、砂糖…」

 

砂糖は振り返ると、柳生と峰田が血相変えた恐ろしい目で、砂糖を睨みつける。

 

 

「で、デカ物!?待て柳生、俺は砂糖だ!いや知ってると思うが……あと峰田までどうした!?」

 

 

砂糖は冷や汗流しながら、怖いものを見てるかのように後ずさりする。

 

 

「雲雀を……オレの雲雀をおぉーーー!!許さん…貴様は許さん……!!」

 

「へっ、柳生…今回は気が合うな……オイラも、さと…いや、このデカ物を許せねえぜ!!雲雀を物で釣ってカップル誕生させんじゃねえ!!!」

 

「ま、待ってくれ!俺はそんなつもりじゃ……てか柳生!雲雀はお前のものじゃねーぞ?!あと峰田、さっき飛鳥にセクハラ発言したお前がなに言ってんだ!?!あとさり気なく砂糖とデカ物言い換えてるし!」

 

 

柳生と峰田が襲いかかるのを避けながら的確に突っ込む砂糖。雲雀は遊んでると勘違いして、ニコニコな笑みを浮かべている。

 

 

「チッ……オレの真逆じゃねーか、甘いものとかクソ下らねえ……てか要らねえ……」

 

 

「!?」

 

 

ここで以外な人物、爆豪が呟くと、雲雀は頬を膨らませて反論する。

 

 

「ひ、雲雀は好きなものを言ったまでだもん!好きなものをとやかく言わなくてもいいじゃん!!」

 

「アァ!?そんなの知ったことか!俺は辛い食べ物が大好きなんだよ!!ただ真逆だって言っただけじゃねーかピンク野郎!!」

 

「雲雀にだってちゃんとした名前があるもん!雲雀っていう名前が!ピンクなんてそんなの皆んな見れば分かるよ!!そんなに怒らないでよ!」

 

「だぁかぁらぁ!!!んなもんクソどうでも良いんだよ!!テメェがオレの神経逆撫でするからだろ!!爆殺すっぞ!!」

 

「やっぱり雲雀この人嫌い!!大っ嫌い!!べ〜!!」

 

 

雲雀は舌を出して、馬鹿にするような仕草をとると…爆豪爆発。

 

 

「だったら今すぐテメェを兎のミンチカツにしてやろうかあぁ!!??」

 

 

ボーーーン!!と掌を爆破させて威嚇すると、やはり雲雀は震えて泣き出す。

 

 

「もう嫌だこの人〜!!!」

 

 

うええぇぇ〜〜〜ん!!と泣く声が、部屋中に響いた。緑谷と八百万は泣き出す雲雀を慰める。と、同時に…

 

 

「爆豪よ…お前はオレに、雲雀にやってはいけないことをやってしまった」

 

 

柳生は怒りの目で爆豪を睨む。

 

「はぁ!?なんでテメェは毎度毎度、話に割り込んでくるんだ!!その眼帯もぎ取ってテメェもミンチにしてやろうか!?」

 

「やれるものならやってみろ……」

 

 

「ちょっと待って!落ち着いて二人とも!!ね?ね?自己紹介なんだしさ………柳生ちゃんも気持ちは分かるけどさ……」

 

 

飛鳥が二人の喧嘩に止めに入りそう言うと、爆豪と柳生はお互い背中を向ける。

 

 

「えっと…次はってよりも最後かな…柳生ちゃん!」

 

 

飛鳥はそう言うと、柳生はこくりと小さく頷く。

 

 

「改めての自己紹介…柳生だ。誕生日は12月23日…趣味は寝ること。好きな食べ物は、ひば……イカ、スルメ。以上だ…」

 

 

柳生のクールな答えに、皆んなはおおお…と驚くように答える。

 

 

「いやいやいや、柳生…さり気なく好きな食べ物雲雀と言いかけたろ…」

 

「そんなことはない…」

 

 

瀬呂がそう言うと、柳生は否定する。

 

 

「ひ、雲雀を食べるって……エロいよね……」

 

「ふえ?どうしたの峰田くん?雲雀の顔に何かついてる?」

 

 

峰田は雲雀をいやらしい目で見つめると、雲雀はそんな峰田に首を傾げる。そして、それを見た柳生はそんな峰田を番傘でホームラン。

 

ぎゃあああぁあーーー!!という悲鳴が教室中に響いた。

 

 

「寝ることかー!!でも寝てると気持ち良いよねなんか!」

 

 

芦戸は元気な声でそう叫ぶ。

 

 

「イカとスルメ……か、柳生…イカスミパスタは食べるか?」

 

「イカ系なら全て食える……」

 

「そうか…!俺もタコとイカは好きでな……今度良ければイカ系の料理食べに行かないか?」

 

障子がそう言うと、その話を聞いた雲雀は目を輝かせて「雲雀もいくいくー!」と言いだした。すると柳生は意外な表情を浮かばせた後、咳払いする。

 

「ひ、雲雀が行くというなら…お、オレも仕方なく行こう……」

 

 

「うわぁ!障子のヤツ先越しやがっな!!ナンパ何気に上手いよなアイツ…なあ耳郎」

 

「いや知らないし……たまたま好みで気が合ったんじゃない?」

 

 

上鳴はちぇ〜と呟くと、、耳郎は呆れた顔で上鳴にため息をつく。もちろん障子本人はナンパという意味で誘ったわけではないが…

 

 

「だったらオレも連れてけよ!!障子!」

 

「??別に、構わんが…?」

 

(((良いのかよ!!??)))

 

 

上鳴自身も、皆んなは心の中でそう叫んだ。

 

 

「ちょっと待て!まだ自己紹介で皆んな言ってねえことがあるぞ!」

 

「??」

 

 

三人は峰田に首をかしげる。やってない事?それは

 

「お前ら、スリーサイズの紹介もしてく」

 

「峰田いい加減にしろ!」

 

ベチッ!

 

「あだぶっ!?」

 

耳郎はセクハラ峰田にビンタする。

 

 

「あっ、そうだ!」

 

 

すると突然芦戸が飛鳥に声をかける。

 

 

「なあに?芦戸ちゃん?」

 

「突然だけどさ!皆んなで半蔵学院に行かない?」

 

「!!??」

 

 

芦戸の突然な提案に、皆んなは驚く。

 

 

「ど、どした芦戸?そんな急に……」

 

 

切島は芦戸にそう言うと、芦戸は満面な笑みで、腕をブンブン振り回す。

 

 

「だってだって!!私半蔵学院知らないもーん!それに飛鳥ちゃんたちのクラスとかも知らないし…それにどんな学校かも見たことないしさ!てか流れ的に有りじゃね?」

 

「そ、そりゃあそうだけどよ…」

 

 

芦戸の言葉に、切島は反論できない。

 

 

「で、でもさ!忍とかだから無理なんじゃねーか?」

 

「確かに瀬呂の言う通りだな……」

 

 

瀬呂の言葉に同意する障子。しかし…

 

 

「ええーー!だって忍のこと知ってるの私達だけじゃん!それに前に緑谷くんと轟くんだって半蔵学院に行ってたわけでしょ!?二人だけなんてそんなのズルイずるい!!」

 

「え、ええ!?」

 

「…………」

 

 

芦戸の正論に皆んなは反論できず、緑谷は突然自分の名前を呼ばれて驚き、轟は真顔で無言だ。

 

 

「ま、まあ……でも、良いかな?別に……皆んなにあんまり気付かれないように……または一般の人たちが下校したらなら良いのかも……」

 

「後者だな…」

 

 

飛鳥がそう提案すると、常闇は後者の方が良いと言う。確かに気付かれないようにとはまず無理だろう。葉隠なら問題ないが……雄英で敵の襲撃があった連中は、かなり人気者になっている。その為、次世代のヒーロー達?などと言われてることもある。そんな有名な生徒達が、一般生徒達が多い時に半蔵学院に行けば必ず目立つ。

 

 

「まあ、それなら良いんじゃね!?あっ、でも忍学生もそのくらいの時間で下校しちゃうんじゃね?」

 

「その点については心配いらん……オレたちは本校の生徒にして、生徒であらずだからな」

 

「お、おう!?よく分かんねーが…つまりだ柳生、大丈夫って事なんだな!?」

 

 

柳生の言葉にイマイチよく理解できてない切島は、なんとか納得した。

 

 

「となると、時間は何時からだ?」

 

「5時くらいが丁度良いだろう……」

 

「よし、その時間に皆んなで行こうぜ!!」

 

 

瀬呂がそう言うと、皆んなは納得したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

んで5時、半蔵学院。

 

 

 

一般生徒達が少なくなった半蔵学院の校門前で皆んなは驚いている。

 

 

「う、うおおぉーーー!!!デケェ!」

 

「こ、これが……半蔵学院?」

 

「おお、雄英高校に負けないくらいデカイな…!」

 

「一般生徒たちも飛鳥達みてえなデケェ胸のあるヤツいねえのか!?」

 

「峰田ちゃん、通報するわね」

 

「なんやかんやで凄そう!」

 

 

 

皆んながワイワイ騒いでるのを見て、飛鳥は何処となく微笑ましい気持ちになった。

 

 

「皆んな喜んでるみたいだね!連れてきて良かったよ」

 

「まあな」

 

「えへへ!こう言うのって、なんかイイね!」

 

 

三人はそう呟くと、皆んなは中に入っていく。

 

 

 

アレから色々な場所を回ると、飛鳥たちは、最期の部屋…忍学科の教室に行く事にする。そのため隠し通路で行く事に決めた。

 

 

「おお!こんなところに隠し通路とか……マジで忍びって感じだな!いや、忍びなんだけどよ……!」

 

「フッ……隠し通路か…………良い」

 

 

切島は興奮して、常闇は隠し通路が気に入った様子だ。

 

 

「フーン……忍びってんな面倒くせえことしなきゃならねえのかよ……」

 

「おーおー爆豪ー、どした?なんか気に触る事でもあったか?」

 

「ねーよクソ髪!!別に何だって良いだろうが!!」

 

 

爆豪は軽く怒るように怒鳴る。でも確かに爆豪の性格だと、面倒くさいと思われても仕方ない事だろう

 

 

「そろそろ着いたよ!」

 

 

飛鳥がそう言うと、目の前には何もない壁がある。

 

 

「??何もねーぞ飛鳥ちゃん?」

 

「黙れアホ面、何もねえわけねーだろ」

 

 

何もないと言う上鳴は、爆豪にアホ面と言われ、かなりのショックを受けて落ち込む。

 

 

「お前、意外と分かってるんだな……見た目は単細胞に見えるが、案外繊細なんだな………」

 

「アア!?んだとゴラぶっ殺すぞ眼帯やろう!!!」

 

 

爆豪は柳生の胸ぐらを掴むと、柳生は睨みつけ、爆豪はさらに睨む。

 

 

「あ、あのね!?そろそろ良いかな二人とも!!」

 

「爆豪くん!本当にやめたまえ!男性が女性に手を挙げるなど、承知の沙汰じゃないぞ!!」

 

「は!?問答無用だメガネ!!」

 

 

 

 

………そして、彼らの言い争いが終わり、忍学科の教室に入った。

 

 

「うおお!スゲェ……中こんな風になってるんだ」

 

「和室か」

 

 

上鳴が感心するよう呟くと、轟は自分の家のように見渡してる。

 

 

「アレ?葛姉に斑鳩さんがいないな……まだ修行中なのかな?」

 

「だろうな…」

 

 

飛鳥は周りを見渡してそう言うと、柳生は軽く頷く。

 

 

その時だった。

 

 

 

 

ドロン!!

 

 

「!!??」

 

部屋に煙が巻き起こる、その正体は……

 

 

「おお飛鳥たち、帰ってきたのか」

 

「き、霧夜先生!?」

 

 

「こ、この人が!?!?」

 

「飛鳥たちの担任か」

 

 

皆んなは霧夜先生を見て驚いている。何より登場の仕方と、突然現れた事だろう。霧夜は皆んなに頭を下げて挨拶する。

 

 

「初めまして、雄英生徒の諸君たち」

 

 

「は、は、初めまして……!」

 

「オレと緑谷は初めましてじゃねえけどな」

 

 

皆んなは驚く様子で挨拶し、轟は冷静だ。

 

 

「ちっ、女教師かと思ったがや……」

 

「峰田ちゃんサイテーね」

 

「なっ!じょ、ジョーダンだよ!!」

 

 

峰田の煩悩溢れた言葉に、蛙吹は睨むと峰田は慌てて言い訳をする。

 

 

 

 

「それにしても、なんかスイマセン!お邪魔してしまいまして!」

 

「ハハッ、気にするな。飛鳥たちの仲間とあれば問題ないさ」

 

 

切島の礼儀正しい姿に、霧夜は感心する。するとそこへ…

 

 

「アラ?飛鳥さんたち…それにその人たちは…」

 

「おっ!?飛鳥たちの友達か?」

 

 

飛鳥たち皆んなは振り返ると…

 

 

「あっ!斑鳩さんに葛姉!!」

 

 

「「「「ええええーーー!!!???」」」」

 

 

 

 

飛鳥以外の忍学生がいた事に、皆はその場で驚愕した。

 

 

 

 

 

雄英の生徒たちの説明が終わると、三人は納得した。

 

 

「なるほど、そう言う事だったのか」

 

「それで此処に…」

 

「良い乳持ってる奴が一人いるじゃねーか!!」

 

 

霧夜と斑鳩はまともだが、葛城はよだれを垂らして宝物を見てるかのような目で、八百万の胸をマジマジとみている。

 

 

「な、な、何ですの……!?」

 

 

八百万も流石に葛城の態度にたじろぐ。

 

 

「葛城さん、おやめ下さい!」

 

「ちぇ〜……」

 

 

斑鳩の注意に、つまらなさそうに反応する葛城。

 

 

「おい、やべえ……やべえよ……!!金髪美女に黒髪ロングの美女……二人とも巨乳だ!!よりどりみどりだぜぇ……」

 

「皆さん、峰田ちゃんを煮るなり焼くなりして下さい」

 

「待てよ蛙吹!何言ってんだよ!!」

 

 

峰田の言葉を聞いた蛙吹は、無表情でそう言う。

 

 

「アレ?けどなんでその二人は雄英に来なかったんスか?」

 

 

切島は首をかしげる。

 

 

「ああ、コイツらは3年だからな…卒業試験も待ち構えてるしな」

 

 

「「「「!?!」」」」

 

 

皆んなは二人が3年だと知り驚いた。

 

 

「な、なるほど……だから此処で授業受ける仕組みだったんですね……」

 

 

八百万は納得したように頷く。

 

 

「てか、この二人のことも知らないよな……」

 

「確かに……」

 

 

そう言うと、斑鳩は咳払いをする。

 

 

「そ、それなら私たちが自己紹介しましょう……!」

 

 

 

 

「「「待ってましたあぁぁーーーーー!!!」」」

 

 

「!?」

 

 

皆んなは自己紹介して欲しかったのか、みんなの大声に斑鳩はたじろいでしまう。

 

 

「ええっと…初めまして、私は斑鳩と申します。誕生日は7月7日、趣味は読書で、好きなものは懐石料理と日本茶です……因みに私は学級委員長です!もし今後とも協力する機会があれば、宜しくお願いしますね」

 

 

おお〜…!!と皆は感心する。

 

 

「ほほう……なるほど、同じ学級委員長として、是非とも!!」

 

 

飯田は斑鳩が学級委員長だと知り、大きく感激する。

 

 

「貴方も同じなのですか?」

 

「はい!雄英高校1ーA組学級委員長!!飯田天哉と申します!此方こそ何卒宜しくお願いします!!」

 

「はい!!」

 

 

「おい、意気投合してるぜ飯田の奴……」

 

 

瀬呂は指をさして呟く。

 

 

「次はアタイか……アタイは葛城だ!!誕生日は11月5日!好きなものはラーメンで、趣味はセクハラだ!!」

 

 

ブーーーーーッ!!!と皆んなは葛城の大胆発言に吹き出してしまう。

 

 

「か、葛姉……皆んな見てるんだから……!!///」

 

「ありり〜?飛鳥、セクハラやって欲しいのか〜?」

 

「そんなことありません!!」

 

 

飛鳥は赤面する。それを見た峰田は、この時。

 

 

(オイラも、あの人みたいにセクハラしてえ……!!頼めば師匠にしてくれるかな?)

 

 

良からぬ方向へPulsultraしてしまったのである。

 

 

 

 

皆んなも自己紹介するも、もう時間は大分経ち…すっかり暗くなってしまった。皆んなは一礼すると、その場で帰る事になった。

 

 

「それにしても、雄英の生徒たちは個性溢れる人たちばかりだったな…」

 

 

霧夜は生徒たちに感心する。

 

 

「それにしても、中々いい生徒たちでしたわね……特に飯田さんのような真面目な生徒が居ればもっと良いのですが」

 

 

斑鳩は飯田とはウマが合うようだ。

 

 

「アタイはあの八百万って奴が気に入った!」

 

「貴方の場合は胸でしょ!」

 

「シシシ〜!バレた?」

 

「バレバレです!」

 

 

斑鳩は葛城に突っ込む。

 

 

「あっ、そうだ雲雀先に部屋に戻ってるね〜!」

 

 

雲雀はそう言って部屋に戻ったのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は何気ない平和な日常であった。しかし、まさか次の日から…とんでもない事件が起こるとは、まだ誰も知らなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

蛇女子学園にて

 

 

 

凛…いいや、鈴音はお面と鎧を着て、最上階に居る蛇女の投資者であるオーナーに頭を下げている。道元は、右目に刀の傷痕が残っているのが特徴だ。

 

 

「道元様……指揮官である私に無視をして、『春花』に独断命令を出したと?」

 

 

道元と呼ばれる男に、鈴音は声には出してはいないが、静まる怒りを心の中に湧かせている。

 

 

「『超秘伝忍法書』を略奪するのは重要なる忍務だ……私が命令を出しても問題あるまい?」

 

 

道元はニヤリと笑みを浮かべながら呟いた。

 

 

「此方には超秘伝忍法書の選ばれし者が出ていません…それは善忍である向こうもまた同じです!それなのに何故…」

 

「別に超秘伝忍法書を略奪するのは、早くたって良いじゃないか?どうせやる事は同じだ……それにオーナーである私の言うことが聞けないのか?鈴音よ…」

 

「………っ!!」

 

 

鈴音は噴火する怒りを堪える。そんな鈴音に、道元は話し続ける。

 

 

「それに手遅だ……今頃春花は『半蔵学院』に潜入している」

 

「!?!?」

 

 

道元の言葉に鈴音は驚愕する。もうそんなに早く春花と道元が動いていたことに、鈴音は驚きを隠せれない。

 

 

「も、もし……隠と陽の超秘伝忍法書が合わされば……とんでもないことになるんですよ!?」

 

「安心しろ鈴音、そのために私が『管理』をするのではないか……」

 

 

 

道元は勝ち誇った笑みを浮かべてそう言った。

 

 

 

そして鈴音はこの時確信した……道元という外道な男が何をしやらすのかを……

 

 

 

 

 

 

 

(俗物が…………!!こうなれば……私は、ある手段を使うしかないな……)

 

 

鈴音は心の中でそう言うと、「かしこまりました…失礼します」と言い、その場を去った。

 

 

 

 

 

そしてこの夜……雲雀の部屋。

雲雀は疲れてしまったのか、ベッドの上で眠っている。そして机の上には春花に貰った巻物がある。その巻物が妖しく光る。そしてその巻物から……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『さあ……約束の時よ……動きなさい、私の可愛いお人形さん……』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドクん……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……超秘伝忍法書が奪われた。




はいww知ってるとは思いますがここで蛇女子学園編に入ります!!さてさて、どうなってしまうのか…次回もお楽しみ下さい!!あとそれと閃乱カグラPBS発売決定されましたね!自分はPS4ないんで、買ってソフトも買います!

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