光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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これからの小説投稿頑張っていきたいので、良ければ感想お待ちしております!それと、もしかしたら文が変なことになってる場合(誤字やミス)があると思うので、そこは出来れば改善、もしくは指摘などお願いします!


忍とヒーロー入門編
1話 「飛鳥」


曇りなき青空と、強い光の日差しが差し込む。そんな春の暖かい季節のなか、緑谷は学校へと向かっている。

電車の中ではほぼ満員で、やはり朝はキツい…しかしそれはいずれ毎日そうなることであり、慣れなければいけないのだ。

 

「毎日朝はこんな感じになるのか……ハァ…朝から疲れるなぁ…」

 

そんな独り言を言ってると、ケータイからふとニュースがやってる。

 

「ん?(ヴィラン)出現?」

 

この時間帯で(ヴィラン)が暴れてるらしい、何よりこの世代で敵が暴れるのもどうかという話だが…

この社会は今、オールマイトが存在してること事態で犯罪の抑止力となっている。

圧倒的な実力のヒーロー、平和の象徴。その男がそう呼ばれたのは最近のようで、昔の話…

そんな考えことをしてながら緑谷はニュースを見ていると…

 

「あれ、ヒーローが苦戦している…?状況?」

 

思わず声に漏らして呟いた。

 

 

 

 

 

時と場所は遡り

水上バスにてその少女、飛鳥が空を眺めていると…

 

「やあ、元気そうじゃないかい?」

 

不意に声が聞こえたので、後ろを振り返るとその女子は黒い髪を束ね、ポニーテールの格好をした褐色の女の子であった。

年齢的には飛鳥と同じであろう…

飛鳥はその女子の存在に気づくと、頬を真っ赤に染める。

 

「わあ!あの、いえ…あっ!すいません!つい大声で…!ここに来るのは久しぶりなものでして…」

 

「ははは…!お前面白いヤツだな、まあいいさ…ところで君ももしかして修学旅行でここに?」

 

「い、いえ!私は久しぶりの学校の登校で、家の事情で離れちゃってたから!」

 

「ああ、そうだったのか…まあそれなら、また会えたら良いね」

 

「?」

 

(また?)

 

飛鳥が首を傾げると、その女子は水上バスの扉を開け、なかに入り消えていった。

 

 

 

水上バスは到着して、船から降りると…

 

「ふわあぁ〜!!久しぶりに帰ってきたあぁ〜!」

 

飛鳥は満面な笑みを浮かべて走り出し、学校へと向かっていく。

すると向こう側で何やら目線を感じる、その視線を向けてる主に振り向くと、頭が紫色のもぎもぎみたいなのが出来てる、小さな男が興奮しながら血走った目で見つめている。

いや、アレは何か怖い以前に危険っぽさそうだ。だってその人の口からは、唾液が垂れてるもの…

 

「ひょーー!あの子ヤベェ…!発育の暴力じゃねーか、オイラ今日入学の日にこんなの観れるなんて…ひょーー!!」

 

(いや、聞こえてるよ…)

 

飛鳥はその低身長の少年に苦笑いをしながらも学校へと走っていく。

 

 

国立半蔵学院、それが飛鳥の通ってる学校である。

一見ごく普通の学校に見えるが、生徒の数が多いマンモス学校である。

そしてそのなかに飛鳥を含めて忍学生は5人存在する。

当然他の学生達は忍がいることも知らないし、まず存在そのものが秘密のため知られてない。

気を隠すなら学校を装い、そのなかに忍学生が訓練をしているのだ。

 

「ふう、なんとか間に合ったなー…」

 

そう言いながらも教室に入ると、他の四人と先生は既に教室に入っていた。

 

「あっ!飛鳥ちゃんだ、おかえりなさ〜い!」

 

「雲雀ちゃん、ただいま!」

 

飛鳥におかえりと、元気で明るいまったりとした声の主は雲雀。一年生であり、髪はピンク色である。目は華眼という目でとても綺麗な目をしている。

 

「遅かったな…モグモグ」

 

スルメイカを食べている少女は、眼帯をして、白くて長いツインテールの髪型をしているのは、雲雀と同年齢である柳生。

 

「まあ、まだ時間に間に合っただけあって良いじゃねーか」

 

軽く気遣ってくれる活気盛んな姉貴派の三年生、葛城。

 

「いいえ、五分前には既に教室に入っていなければ…いくら忍務に当たってたとはいえ、ルールは守るべきです!」

 

きちんとした真面目な女子は、長髪がよく似合い、礼儀が正しい葛城と同年齢の斑鳩。

 

「飛鳥、戻ってきたか…」

 

何やら深刻そうな顔をしている、忍学科の先生、霧谷

 

「あ、あの〜…どうしたんですか?」

 

飛鳥が神妙そうに尋ねると、霧谷は

 

「お前達五人で、直ちにパトロールに向かってほしい…最近妙な噂を聞く事件が起きてな…」

 

「妙な事件?」

 

「なんでもある忍が、他の者と関わり一般人を傷つけてることがあるそうだ」

 

「そ、それって…悪忍!?」

 

飛鳥が驚く様子で反応する。

悪忍 それは善忍とは違う相反する反対の存在。規律を破り、悪事を働き、忍務の為ならどんなこともしやらかすものだ。それに本来忍びは関係のない者に忍びのことを言うのは禁止されている。

ましてやそれが善忍だろうと悪忍だろうと、上層部から命令が出されれば、即処分命令が出されるわけなのだが…

 

「いや、それは分からない…何しろ上層部や他の忍達も心当たりがないと言っている…何より情報が不十分だからな…」

 

どうやら分からない様子であった。ただそれが噂に流されてるっていうことは、相当デカイ事件である。

 

「だからこそのパトロールだ…いいか、くれぐれも気をぬくな」

 

「「「「「はい!!!!!」」」」」

 

五人がそう返事をすると、すぐさま外に出る。

 

「それにしても一体誰がこんなことするんだろうなぁ…?」

 

「私にも分かりません…ただ、その話がもし本当だとしたら、一体なぜそんなことを…」

 

葛城や斑鳩が考えていると、柳生が口を挟み出す。

 

「とにかく、ここは別れて探したほうが手っ取り早いんじゃないか?オレは雲雀と一緒に探す。もし何かあったら報せればいい…」

 

「柳生ちゃん…雲雀ちゃんとは一緒なのね…」(汗

 

柳生のサラッとした発言を逃さななかった飛鳥は、顔に苦笑を浮かべる。

 

「んじゃあまた!」

 

葛城がそう言うと、5人(柳生と雲雀はペアとなり)別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ〜…それにしてもこんな事件初めてだよ〜…」

 

飛鳥は独りで呟いてると…

 

「アレ?君は確か、水上バスにいた…」

 

「ん?あっ、あーーーー!!!あなたは!」

 

飛鳥に声を掛けたのは、前に水上バスに乗っていた黒髪のポニーテールの女子だった。

 

()()会えたね」

 

「う、うん!!まさか貴方もここに来てたなんて!」

 

「ははは!こっちは修学旅行で来ててね」

 

「そ、そうなんだ…それにしてもすごい偶然…あっ、そうだ貴方名前は…?」

 

飛鳥が尋ねるとその女子はこういった。

 

「…焔だ」

 

「そう、焔ちゃんって言うのね!あっ、私は飛鳥!普通に飛鳥って呼んでいいよ!」

 

飛鳥は嬉しそうに答えると、焔も笑みを浮かべた。

 

「そうか!ってあれ?そういえば君はここで何を…?」

 

「あっ!!え、え〜っと…」

 

焔に問われた飛鳥は、汗を出しながらも何をどう言えばいいのかを考えている。

 

(あ〜〜…!!な、なんて言えば…そうだ!学校で少し料理学校がどーのこーのって言えば…!)

 

その時だった…

 

 

 

 

 

 

 

ドゴオオオォォォォォォーーーーーンン!!!!!

 

 

 

 

 

「え?」

 

「!?」

 

突然なる大爆発。

ついさっきまでは平凡で何ともなかったその街は、被害が出た。

一般人達は逃げ、もう一方は事件に集まっていく人たちも見えている。

 

「と、とりあえず…行ってみよう!」

 

「あっ!飛鳥!! わかった…」

 

飛鳥は真剣な顔立ちで、焔は少し意外な顔をしていた。

 

(あの大爆発は…?もしかして悪忍が一般人に…?)

 

胸騒ぎがする。それがもし本当なら最悪な状況だ。

だがしかし、それは違った。

 

 

「え?何あれ!?」

 

それは

 

「オラオラァ!!サッサトドケヨヒーロー共ォ!邪魔ナンダヨ!」

 

黒い装甲を纏った凶暴なロボットであった。

見るからに硬そうであり、赤い目らしきものは三つ。そして鼻や指先の爪はドリルになっている。

そのロボットはもう片方の手で、小さな子供の体を掴んで誘拐している。

 

「お母さん!!だずげてよ!!怖いよ…!」

 

「…!華子!!」

 

大量に溢れんばかりの涙を流す子供は、救けを求め、その親も号泣で走り向かいに行くが…

 

「お、落ち着いて下さい!」

 

しかし警察に止められる。警察は他の人たちを包囲して、敵からの襲撃を守っている。

 

「離して!私の娘が…!!」

 

そんな悲惨な状況を見てる二人は、顔に大きな黒い暗雲を浮かばせてた。

 

正直焔も驚きを隠せてない。

 

(何…あれ……)

 

飛鳥は心のなかで言いきかした。なぜならこんな状況を目の前で見るのは初めてなのだから…

 

(た、救けなきゃ…!!)

 

と思い、飛鳥は巻物を取り出すが…

 

(!!でも…これ、もし私が…)

 

もしここで忍として知られてしまったら、自分は忍の権利は愚か…退学か、最悪の場合は処分されることになる。

 

(だけど…あの子が…!!)

 

逆にもし自分が救けに、戦わなければ、あの子共は殺される。

しかし敵は興奮状態、人質に取ってる上に少しでも刺激を与えれば、あの子供は助からないし危険すぎる。

 

他のヒーロー達も黙ってはおられず、なんとか打開策を持とうと考えてみるが…

 

「オイ、ソコノヒーロー!!変ナコト考エテンジャネーダローナァ!?アアン!?ブッコロスゾコノガキヲ!!」

 

 

 

ウイィィーーーーーーーーンン!!

 

 

 

指先に付いたドリルの回る音が嫌に響き、人質の顔に近づかせると子供はさらに泣き出す。

 

「クソ!この状況解決できるの他に居ねえぞ!!シンリンカムイもいないし…!」

 

「応援が来るのを待つしかない!あの子には辛い思いをさせちゃってるが…ことが事だ、仕方がない!」

 

「必ず他のヒーローがやってくるから、待っててくれ!」

 

 

ヒーロー達は弱音を吐き、なんとかその場を解決する事を考えている。突然なる理不尽が、この場を襲い込んだ。

手も足も出ないヒーローは、ただ人質にされてる幼い、小さな少女を、見守ることしか出来なかった。

 

「……」

 

焔はそんな軟弱なヒーロー達を睨みつける。それだけでなく、この悲惨な状況に陥ってるにも関わらず、「頑張れヒーロー!」や「ヴィラン強くね?どーなんだろ〜」と他人事を呟いてる一般人達にもだ。

 

どうせ誰かが救けてくれる、そのうちきっとヒーローがやってくるから、まあ大丈夫だろ。

 

そんな考えを持つ者達に対して焔は怒りを露わにしているのだ。すると焔は、小声でこう言った。

 

 

「…『春花』、予定変更だ。その場を離れろ…今回は一時撤退だ。私は後でいく…」

 

 

焔はそう言うと通信を切った。隣にいる飛鳥は、人質の事が心配で焔のことは気づいてないようだ。

 

(クソッ…伝説の忍、半蔵の孫だと聞いてどんな者かと来てみれば…とんだ誤算だ…!)

 

焔はチッと舌打ちをして(ヴィラン)を睨む。元はと言えばあの敵がこんな事をしなければ…『忍務』を遂行出来たのだ。それをこんな身勝手な奴のせいで周りを巻き込むのに対し少々殺意を芽生えさせる。

 

(だいたいあんなヤツに何苦戦をしてるんだ…私ならもっとこう…)

 

この少女が一体何者かは置いといて…現在、飛鳥はずっと考えている。

自分が何をどうすれば、どうやってあの子を救け出せるのかと…見捨てたりなんて出来ないし、それにまず救けてあげたい事に精一杯だ。

 

(どうすれば…あの子を…あの子を救けてあげる事が出来るの…!?)

 

自分は忍だという事を世間にバレらしてはいけない、かといってこのまま何も出来ずにあの子が死んだらきっと…

 

(考えるんだ…考えるんだ…!決めたじゃない、私は忍の道を極めるまではって…!!なのに…なのに!)

 

何も救けてあげずに何が正義を語れる?それは自分が立派な善忍になっても、あの子を救けてあげられなかった事に大きな悔いが残る。

 

「そもそも…なんなの、コイツは…?」

 

「黒機械 ハードウェア っていう(ヴィラン)らしいな……」

 

恐るおそる振り絞ると横にいた焔が口を開けた。

 

「え?知ってるの!?」

 

「知ってるも何も…しの…ゴホン!! 新聞とかに載ってるぞ、犯罪歴としてチヤホヤしてるヤツだ…」

 

「犯罪って、機械が…?」

 

「いや、アレは人さ、そう言った『能力』なんだろ?」

 

「の、能力?『個性』の事だよね?」

 

 

飛鳥は個性がない分忍びのため、個性なくとも強く、何より対人として身体を鍛えてるため、そういうのはあまりよく興味がなかったのだ。ハードウェアと呼ばれるヴィラン、あの機械の姿は個性が発現した、異形型の類に入る個性なのだろう。

 

 

「どうしよう…あの子このままじゃ…可哀想だよ……」

 

「………」

 

 

飛鳥の弱々しい声に、焔は無言で見つめている。

 

(さあ、伝説の忍び…半蔵の孫、どう出る?)

 

飛鳥が顔を上げて人質として取られてる小さな子供を見つめると…

 

「五月蝿エンダヨチビ!!!余リニ煩イト殺スゾ!」

 

「!!」

 

「う、うわあああーーーーーーーーーー!!!」

 

 

敵(ヴィラン)のハードウェアが怒鳴り声を出すと、小さな子供は更に泣き出した。

 

「もう…ダメだよ…そんな!」

 

飛鳥はやめてほしいという顔をすると、敵は子供を見て吐き捨てるように言った。

 

 

 

 

「モウイイヤ、コイツウルセェ、コロソ」

 

 

 

無慈悲な言葉が掛けられ、手の指先のドリルを回転させて子供に近づかせる。

 

次の瞬間。

 

小さな子供は涙を流した目で、飛鳥の方角に向かってこう言った。

 

 

 

 

 

 

「誰か…救けて………」

 

 

 

 

 

その時。

 

 

 

 

「!!!」

 

 

 

 

 

バッ!!

 

 

 

 

「え?」

 

 

「な!?」

 

 

「は?」

 

 

 

飛鳥は人混みを脱して飛び出た。敵と人質の子供の方角に。

 

「!!!!」

 

その場にいた全員が驚いた。

 

「あ、飛鳥!?」

 

焔自身も驚きを隠せれない様子だ、何よりも飛鳥の予想もしてない行動により…またヒーローたちは

 

「馬鹿野郎!何してんだ止まれとまれ!!」

 

ヒーロー達は必死に呼び止めようとするも、飛鳥は振り向こうとすらしない。ただ、今の彼女の頭の中では…

 

「はぁ…はぁ…!待ってて…ね!!」

 

困ってる人を救けることで精一杯だ。

 

「ナンダアノガキ!?」

 

「お、お姉さん?!」

 

(ヴィラン)の動きが止まるが、動揺して直ぐさまドリルを回転する。

 

「タダノガキノ分際デ!オレニ楯ツクンジャネエ!!ブッコロサレタイノカ!」

 

「今!救けるから待っててね!!」

 

「ナッ!?!」

 

「お、お姉ちゃん!!」

 

ハードウェアの脅しが全く効かない飛鳥にたじろいでしまう、むしろ人質は希望を見ているかのような目で飛鳥に眼差しを向ける。

 

「コンノガキィ……!!オレヲ無視シヤガッテ…ダッタラ今スグブッコロシテヤルヨ!!」

 

ハードウェアは回転してるドリルで飛鳥の頭目掛けて振り被るが…飛鳥は地面に転がるよう右横に回転して避けては立ち上がり子供にタッチ出来るところまでやってきた。

 

「もう、もう大丈夫だから!!ね! ね!」

 

「お、お姉さん…どうして!?危ないのにどうして救けてくれたの!?」

 

「それはね…」

 

ある少年は、中学の時にこれと少し似た事件があった。ヘドロ事件として有名だった時の話…

その時の少年はこう言った。

そして今この少女もこう言った。

 

 

 

 

 

 

「君が救けを求める顔してた!!」

 

 

 

 

 

「!!!」

 

その子供は涙溢れていた。救けてくれるのが嬉しくて、どうしようもなくて…見ず知らずの人なのに、自分のように心配して、救けてくれる飛鳥のその姿に、涙を流してられずにはいられなかったからだ。

 

しかし、そんな彼女たちを殺意が許さなかった…

 

 

 

「イイ加減ニ…シヤガレエェーーーーー!!!!」

 

 

ウイィィーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!

 

 

殺意が具現化したかのように思わせるその悪意溢れるドリルが、人質の子供と飛鳥を殺そうと向けられた。

 

「大丈夫だからね…!絶対、あなただけは!!」

 

飛鳥は力ずくでその子供を回収し、守るように、包み込むように抱きしめて目を瞑った。

 

その時だった。

 

ドゴオオォォーーーーーンン!!!

 

「!?」

 

「アァッ!ナンダ!?」

 

敵の後ろに()()が降ってきた、その場の皆が視線を集める。もちろん敵も動きを止めている。するとその影はムクッと上半身を起き上がりこう言った。

 

 

 

「HAHAHAHAーーーー!! もう大丈夫!何故って!?」

 

 

 

その心強い声を聞いた敵は、ビクゥッと身体を震わせた。飛鳥は目を開き、その人物を見つめる。その男は笑顔でこう言った。

 

 

「私が来た!!!!」

 

 

その男の名は…

 

 

「オ、オールマイトォォーーーーー!!!!」

 

 

観客の大勢は一気に歓声を挙げた。それを見た焔は…

 

「なぁっ!? チッ…クソが…邪魔が入った…私はここで引くとするか…」

 

焔はビュッ!とその場から姿を一瞬で消した。

 

 

「なんてこだと…少女達が…怖い思いをして、涙を流してる子もいるってのに…!!私は…!」

 

「ナ、ナナナ!!オ、オールマイトォ…!?ク、クソガァ!!」

 

その敵はオールマイトの表情を見ただけで後ずさり、怯えているものの、力ずくでも威勢を取り戻す。

敵は子供を人質として見せるか、それともオールマイトを迎え撃つか…敵は迷ったが後者を選んだ。

 

「覚悟シロヨ!!オールマイトォォ!!!」

 

敵がそう叫ぶと…

 

「デトロイト…」

 

拳を思いっきり握りしめて、壮絶なるスピードで一気に間合いに詰めて…

 

「ハ、ハヤィッ…!!!コンn」

 

「スマーーーーーッシュ!!!!!!」

 

 

 

 

ドオォォオォォォォーーーーーーーンンン!!

 

 

 

 

 

機械の装甲が一気に破壊されたような音を出し、アッパーのように殴られた敵は一発でKOした。その敵は空に舞い、地面に打つと、もう既に意識を失っていた。

 

そしていつの間にかもう既に飛鳥と子供はオールマイトに救出されていた。オールマイトは皆んなに向けて、笑顔でガッツポーズをすると、更に歓声が挙げられた。

 

 

 

ウオォォーーーーーーーーーー!!!!

 

 

 

その後敵は移動式牢(メイデン)で拘束され、速やかに警察に連行された。まあ当たり前だよね。

小さな子供は親を抱きしめてワンワン泣いた。怖くて、ましてや殺されそうになったのだ、泣いてられない方がおかしい…

一方、飛鳥は他のヒーローたちに怒られた。

 

 

「君が勝手な行動なんてしなくても良かったんだ!!」

 

「何でこんな無茶をするのかな君はぁ!!」

 

「ご、ゴメンナサイ…」

 

 

飛鳥はショボーンとした顔で頭を下げる。まあ確かに大人たちからすれば悪いことしたように見えてしまうが…飛鳥にとっては正しいことをしたまでだ。

 

 

何やかんやでヒーローたちに怒られて1時間が経った。

 

「ふわあぁ〜…もう最悪…ひどい目にあっちゃった…」

 

ため息をしながらも帰ってると、ふとあることに気づいた。

 

「あっ!そういえば、焔ちゃん!!…」

 

だが気づいた時には彼女の姿はなかった。すると

 

「飛鳥さん!」

 

斑鳩の声がしたので振り返ると、四人が駆けつけてきてくれたのだ。

 

「み、皆んなぁ…!」

 

皆んなが来てくれたことにホッとした。

 

 

「それで、そっちの方はどうだったの?」

 

飛鳥が尋ねると、四人とも首を横にふる

 

「いや、全然だ」

 

「全く手掛かりがつかめない」

 

「雲雀お腹減ったよぉ〜…」

 

「引き続きパトロールを続行したほうが宜しいですね…」

 

どうやら四人ともその忍びとやらは見つけれなかったようだ。

 

「飛鳥の方はどうだったんだ?」

 

「ふえっ!?」

 

そう聞かれるとつい身体を震わせた。

 

(どうしよう…別の事件を言っちゃったらそれはそれでなんか…)

 

ハッキリ言ってまた変なことを言われてしまう。いや、変というより面倒くさいと言った方がハッキリしてるだろう…ここは取り敢えず…

 

「ううん、特には…何も……」

 

 

飛鳥はそう言った。

 

「そうですか…なら仕方ありませんわね、では引き続き調査に当たりましょう」

 

斑鳩がそういうと、葛城は面倒くさそうに「ちぇ〜…」と小声で呟く。そして再び渋々と調査を続けるのである。

 

また一人となった飛鳥はため息をついた。

 

「ハァ〜…でもその忍びの特徴くらい分かればなぁ…」

 

そんなことを考えてる時だった。

 

 

「お姉さん!!」

 

 

お姉さん、その声は聞き覚えのある声だった。振り返ると、そこには小さな子供と母親が飛鳥に駆けつけて来た。

 

「あ、あなたはあの時の…」

 

飛鳥が不思議そうな顔をすると…

 

 

 

バッ!!

 

 

「!?」

 

 

母親は頭を下げた。

 

「娘を…救って下さり、ありがとう御座います!!このお礼をなんと言えば良いか……私は、このことを一体なんてお礼をすればいいか…!」

 

 

母親は涙を流しながら飛鳥にお礼を言っている。

 

「い、いえ…!別に、私は……気にしないでください!無事で何よりですよ…!」

 

飛鳥は大丈夫そうな表情でそういうと、小さな子供がトコトコと飛鳥に近づいてこう言った。

 

「えっとね、お姉ちゃん…、あの時…救けてくれてありがとう!!私、嬉しかった!!救けにきてくれた時が嬉しかった!だから、ありがとう!!!」

 

 

「……」

 

 

 

ありがとう。

 

 

その単直な言葉が、何故か心に刺さったような感じがしてならなかった。

 

仲間とお互い助けあって言われた言葉ではあるし、聞きなれたような言葉であるのに…しかし何故か、どうしてもそれが嬉しくて、気持ちが抑えられない…

 

自分は忍びだ、与えられた忍務を全うするのが忍びの役目…出来ることは当たり前だし、まずそれが普通だと思う。けど…与えられた忍務でもないのに……

 

だから飛鳥は、目からふと涙が零れ落ちてた。そんな飛鳥は満面な笑みでこう言った。

 

 

「いいえ…どういたしまして…!!」

 

 

飛鳥はその小さな子供の頭を優しく撫でた。するとその子も満面な笑みを返した。

 

ここからが全ての始まりであり、それと同時に…全ての戦いが始まる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ビルの屋上にて…

 

「それにしても、焔さん。なんで伝説の忍びの孫の飛鳥っちゅう女の調査…中断したんや?」

 

「邪魔が入ったんだ…仕方ないだろ、日影」

 

その日影という女子は、蛇のような目つきをしており、全く感情というものがない。

 

「うふふ、それで、見た目ははどんな感じでしたの?焔ちゃん」

 

「期待はずれの忍だったよ…あいつは」

 

満面な笑みを浮かべるその女性は、何か裏を感じており、ドス黒い感情を持たざるをえないような気がしてならない。

 

「まあいいわ…どのみちアタシ達のほうが上だということを分からせてやるんだから!」

 

ゴスロリを着ては傘を持っている身長が少し小さい女子が得意げにそう語る。

 

「まあそれはそれとして、焔ちゃん…それで見つかった?忍びの存在を他者に知れ渡してる()()()とやらは?」

 

「いいや、それがまだ見つからないんだ…春花、その忍についての情報はまだ来ないのか?」

 

「ええ、まだ来ないわ…少し特徴くらい分かれば良いんだけど…」

 

ピンク色の衣装とリボンを纏い、白衣のコートを着てる女性。

春花が考え事をしてると、焔は…

 

「まあいいさ、それは焦らずとも直ぐに見つけ出すさ…とにかく今は半蔵の連中だろ? お前ら、帰るぞ」

 

みんなに命令すると、皆んなは帰ろうとする。その時だった、春花は何やら街の角で異様な気を感じたのだ。

 

(ん?何かしら…?)

 

「どうした春花?」

 

「ああ、なんでもないわ焔ちゃん。先行ってて、私は少し後で」

 

「?分かった…」

 

焔は疑問な表情を出すと、すぐさま帰ろうとする。

 

春花は誰にも見つからないように、その異様な気を感じた街角を覗いてみた。

 

その光景は…

 

「えっ!!??」

 

 

ヒーローと、忍?らしきものが横たわっていて、その場は血の海で溢れている。ヒーローの数は四人、忍びも四人…計8人。

血の海と言ってもそこまで大げさのようには見えないが…倒れてる忍は見る限り悪忍に見える。

 

「な、何が…起きたの……コレ?」

 

(私も悪忍だけど、このケースは初めてね…)

 

驚きの表情を隠せない…それ故に忍が殺られるとなると、恐らく焔達の探してる謎の忍とやらだろうが…しかしその考えは否定される。

 

「う、うぅ…あぁ…!」

 

「!」

 

まだ意識があった、四人倒れてるうちの一人の忍がやっと目を開けて、息を切らしながらも立ち上がろうとする。春花はその悪忍に駆けつける。

 

「大丈夫!?どうしたの?何があったの?!」

 

そう聞くとその悪忍は、何か怖いものでもみるかのような顔でこう言った。

 

「に、逃げて…!はやく… アイツに殺されそうになる……!斬られた時に、()()()()()()()()()()………うゔゔッ!」

 

「大丈夫よ、私が蛇女子学園に連れていくから…それで、何があったの?もしかして例の謎の忍にやられたの?」

 

「い、いいや…ヤツは忍じゃない……!アンタも悪忍なら、恐らくヤツに狙われる…!!」

 

「ヤツ?」

 

そう言うとその悪忍は再び気を失った。

 

「一体…誰がこんなことを?」

 

 

ましてや忍びでない者がこんなことを出来るなど、今までにない出来事故に、初めて起きる現象だった。

 

(つまり、その犯人も忍の存在を知ってるってこと?ソイツ…一体何者なの?)

 

倒れてるヒーローと忍…そして春花を見下して眺めている者が一人いた。

その男は焔達といたビルとは違う、廃墟になったボロボロなビルの上でニヤリと笑っている。

 

 

「は、ハァ……力を悪戯に振りまく者も…そして、己のために力を振るおうとする者も…全ては、粛清対象だぁ…」

 

 

血に染み付いたナイフを、ペロリと舐めると…その男はこう言った。

 

「ヒーローや(ヴィラン)はさておき、まさか忍?とやらも粛清する対象になるとはな…だが、粛清する人間が如何にどれ程増えようと変わらない…俺を殺していいのはただ一人…」

 

目をギラリと開く。

 

 

「平和の象徴、オールマイトだあぁ…!!」

 

その男はそう言うと、違う建物の屋上へと飛びながら移動し立ち去った…




はい、まさかのここでとんでもないヤツが出てきましたwwこれからどうなっていくのかは、展開の流れは変わる?かもしれませんが、出来ればちゃんと思ったことをやってければ良いなと思います。

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