光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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言い忘れてた!雲雀ファンの人も、15話では申し訳ありませんでした!死柄木の性格とはいえ…ね?


17話「平和の象徴VS『対』平和の象徴」

「これは…氷結…!」

 

(轟少年!)

 

オールマイトは、脳無の腕を掴んだ。

 

(私を凍らせない程度に調整して、敵の左側だけを凍らせて…手が緩んだ、お陰で出れやすくなった!)

 

拘束していた脳無の腕から逃れることが出来た。

横腹のところに血がさっきよりも滲んではいるが、オールマイトはまだなんとか戦えそうだ。

 

生徒たちの前に立ち、守るように…。

 

「……」

 

死柄木は、一人一人の子供達を見渡す。特に黒霧を抑えつけてる爆豪に…

 

「黒霧よ…出入り口が防がれた…こりゃあ…ピンチだなぁ……」

 

死柄木はなんの緊張感も危機感すら感じない声でそう言った。

爆豪は黒霧を押さえつけながら、キシシと薄い笑みを浮かべる。

 

「ハッ!油断しやがって、ザマァ見やがれこのウッカリやろーが!!」

 

「…貴方は、私がワープで飛ばした…!」

 

上から目線で物語る爆豪に、一瞬油断していた黒霧は悔やんでいる様子だ。爆豪は黒霧について説明し始める。

 

「やっぱ思った通りだ…テメェ、実は実体あるんだろ?このモヤはワープゲートになってて、それで実体部分を覆ってた…そうだろ?だってよ…」

 

すると黒霧が前に言ってた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

『フゥ…危ない危ない』

 

 

 

 

 

「もしテメェが物理無効人生送ってんなら…あの時()()()っつー発想は出ねぇもんなぁ!!アア!?なぁ、そうだろ!?」

 

「クッ…!!」

 

爆豪の指摘に大きく動揺し、自分が言った言葉をさらに悔やむ黒霧は、爆豪に気付かれないようワープゲートで逃げようとするものの…

 

「オイ!動くな!!」

 

服を掴んでいる手を少しだけ爆破させる。

 

「少しでも怪しい動きをしたと俺が判断したら…迷わず爆破する…良いな!?」

 

「…っ!」

 

「ヒーローらしかぬ言動だな…爆豪の場合」

 

さらに警戒する爆豪に黒霧は観念したのか、抵抗する素振りも動きも見せない。

 

「な、なんか流石だなって感じかな…?」

 

爆豪の態度に苦笑する飛鳥。

 

「だが、何にせよ出入り口は防いだ…強敵(脳無)の動きも防いだ…残るはあの死柄木っつーヤツだ」

 

轟は敵に目をやり答える。

 

 

 

 

 

「アイツらオールマイトを舐めすぎだぜ!」

 

入り口で砂糖達は、オールマイトの戦いを眺めている。

 

「ん、あ!アレッて…相澤先生じゃない!?」

 

「柳生もいるぞ!」

 

お茶子と瀬呂は峰田と蛙吹の二人が相澤先生を担いでる所に、雲雀が柳生を担いでる所に指を指して言う。

 

「おーーい!!峰田!梅雨ちゃん!」

 

大声で叫ぶと、二人も気付いて反応したようだ。

 

「残ってる人たちは無事そうね」

 

「オーーイ!運ぶの手伝ってくれ〜!重い〜!!」

 

「皆んな!手伝って!お願い!!」

 

蛙吹と峰田と雲雀は大声で相澤と柳生を担ぐのを手伝って欲しいと叫んでいる。

砂糖とお茶子の二人は担ぐのを手伝いに行く。

障子と瀬呂は、万が一の時があった時に待機をしている。

芦戸は倒れている13号の体を支えている。心配そうな目で皆んなを見ていると…

 

「大丈夫……」

 

「あっ…!13号先生!?」

 

13号は弱々しい声で、芦戸に声をかける。ケガは酷いが、どうやらまだ意識はあったようだ。

 

「オールマイトが居るなら…よかった…後はあの人に任せれば……良い…皆んなは……避難……を」

 

自分はこの状態で苦しんでるのにも拘らず、生徒達の安全を唯一先にする。さすがは災害救助のヒーローだ。

 

「…はいっ!」

 

芦戸は大声で返事をする。

 

 

 

 

 

 

 

「攻略された上にほぼ無傷…か。流石はヒーロー…折角良いところまで行ってたのに……清々しいほど俺の邪魔をしやがって……最近の子供は凄いんだな…恥ずかしくなってくるぜ敵連合…!!」

 

 

死柄木は薄い笑みを浮かべながら呟く。それはまるでゲーム感覚で遊んでるような、そしてまだ自分は負けてないと思ってるのか、平然と立っている。

 

「相手は一人だけど…柳生ちゃんや雲雀ちゃんがあんなボロボロになったんだ……残るは、一人だけど…何が起こるか分からない…!皆んな気をつけてね!」

 

飛鳥は皆んなにそう言うと、緑谷、轟、切島は頷き、爆豪は「ケッ…」と呟く。それを聞いた死柄木は面白くないのか、飛鳥を睨んでいる。

 

 

 

 

「アイツ…俺ら舐めてんのか?誰が()()なんだよ……まあ良いや、こうして俺たちが攻めに来た時点で勝負は付いてるしな……」

 

死柄木がそう言うと、脳無に振り向いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オイ脳無、命令だ…動け」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

「えっ…!?」

 

「今あいつ、何つった…?!」

 

飛鳥と切島は、死柄木の言葉に耳を疑い、その場にいる緑谷たちは驚愕した、普通なら苦痛に満ちた表情を浮かべて動くはずだ…また動くことすらできないレベルの傷。なのに脳無は、なんの表情も変えずに、ワープゲートから出て来ては氷が割れ、左側の肉体…足と腕が壊れ無くなる。それでも尚、脳無は動いている。ここまで来るとそもそも脳無は生きてるのかどうかすら疑ってしまう。

 

 

「なっ…!ウソ…だろ」

 

轟自身も驚きを隠せない、最強とも思われてた轟の個性、氷攻撃が効かない…そんな皆んなの様子を御構い無しに、脳無はバランスをとって立ち上がる。

 

「皆んな離れろ!」

 

声を掛け注意したのはオールマイトだ。

 

「なんだアレは…『ショック吸収』がヤツ(脳無)の個性ではないのか!?」

 

「別に()()()()とは言ってないだろ?」

 

死柄木は狂気の勝ち誇った顔で、満足そうに皆んなの表情を見渡して解説する。

 

「この個性は…『超再生』だな」

 

「!!?」

 

なんと脳無は『ショック吸収』の個性だけでなく、『超再生』といった個性を持っていたのだ。

『ショック吸収』でガードの役目を、『超再生』でダメージを0に戻す…すなわち回復の役目を、そして個性ではない素の力がパワー&スピード。オールマイトよりも強力なのではないかと思ってしまう。

ここで飛鳥は思ったのだ。どうしてショック吸収の個性なのに、刃物が通じなかったのか………実は通用していたのだ。ただ、斬りつけた後、凄まじいスピードで超再生し、体に斬り刻まれた傷は元に戻ってたのだ。

 

 

 

脳無は正に、得体の知れない化け物だ……

 

 

 

「ウソ…だろ、あんなの…チートじゃねえか」

 

絶望な顔を浮かべながら、切島は呟いた。

 

「嘘でしょ………なんなのアレは?!本当に人間なの!?あんな体になっても……そんなの……ありなの…?」

 

飛鳥は目の前の光景に、信じられないという顔で脳無を見ている。

 

オールマイトは冷や汗を流し、ふと、雲雀の言ってたことを思い出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『この人、心がない!!!』

 

 

 

 

(心がない敵、脳無。複数の個性。本来ならば個性は一つしか発生しないはず………まさか…!!)

 

信じたくないような顔で、オールマイトは脳無と死柄木を睨みつける。何か最悪なものを目の前にしてるかのような…そう思わせてしまうほど、オールマイトの表情は曇っていた。

いつの間にか脳無の無くなった肉体は既に再生されており、さっきまで何ともなかったような状態でいる。

 

「脳無はお前(オールマイト)への100%対策となっている…お前の攻撃にも耐えれるよう()()してある、超高性能サンドバック人間さ…!」

 

死柄木は吐き捨てるようそう言った。脳無、いや…まるで殺戮兵器だ。死柄木の命令に従い、表情は変えず、心がない、喋らない。得体の知れない化け物、殺戮兵器だと思われても無理はないだろう…

どうりで緑谷のワンフォーオールや、忍学生の飛鳥たちの力を持ってしても、勝てなかったわけだ。

脳無の強さを知った皆んなは全員言われるまでもなく、警戒態勢に入ってる。

 

「オイオイ…もうコイツら、そこらにいる敵じゃねえレベルだな…」

 

轟はなんとか平心を保ってるようだが、冷や汗が出てる…今も完全に驚きは隠せれてない。

 

 

そんな殺戮兵器と思わせる脳無に、死柄木は命令をする。

 

 

 

 

「脳無、出入り口の奪還だ…爆発小僧をやっつけろ」

 

 

 

すると脳無は拳を握りしめ、目で追えない程の物凄いスピードで爆豪に迫り来る。

 

 

(まずい…!爆豪少年!!!!)

 

 

オールマイトは焦るものの、爆豪は脳無のスピードに反応できなく、そのまま呆然と脳無を見つめて………

 

 

 

 

 

ドゴオオオオォォォォーーーーーーーーーーン!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「かっちゃん…?」

 

そう呟いたのは緑谷だった。今の爆音は?何が起きた?かっちゃんは?

そんなことが頭のなかに思い浮かんだ、いや…それしか思い浮かばなかった。

今緑谷達の目の前には、爆豪が拘束していた黒霧は脳無に掴まれ救けられた形となり、土埃が撒いている。

爆豪の姿はもう何処にもない。

 

「ま…さか…?」

 

絶望…真っ暗な顔で、恐るおそる緑谷はつぶやくと、死柄木は突如笑い出す。

 

「あっははは!いいぞ脳無…黒霧救出成功…そしてヒーローの卵、一名を殺したっと…オールマイトが、平和の象徴が此処に居るのに、誰も救けることは出来なかったなぁ〜…」

 

 

目障りとも思える死柄木の言葉に、皆んなはもはや言葉を失う。

これは皆んなへの嫌がらせであり、また…オールマイトに対する嫌がらせでもあった。オールマイトが近くに居て、救えなかった人間はいなかった。だが、オールマイトがそばに居たのに、爆豪は救えなかった…死柄木はそこが狙いだったのだろう…黒霧を救ける『ついで』として…

 

 

緑谷達は絶句した、目の前の惨劇に…目の前にいるのに、救けられなかった。しかし、緑谷達の絶望も、死柄木の歓喜の声も止まることになる。

 

 

 

 

「ケホケホ…!土埃が……何が、起きたんだ?」

 

 

「えっ?…え?!かっ…ちゃん?」

 

 

緑谷の隣には、腰が地面についている…吹っ飛ばされたハズの爆豪だった。

 

 

「は?」

 

 

死柄木は何があったのか分からない表情を浮かべている。緑谷達は安心した顔で、爆豪に話しかける。

 

「かっちゃん…!!よく避けれたね!」

 

「わ、私でも、目で追えなかったのに…」

 

緑谷と飛鳥は、爆豪に感激してる。しかし爆豪は何が起こったか分からないような表情を浮かべている。

 

「違えよ…黙れカス共」

 

 

「ええっ!?」

 

「ちょっと、爆豪くん!なんでそんなこと言うの!!人が心配してるのに…」

 

「なにも…」

 

「?」

 

爆豪の発言に頬を膨らませて怒る飛鳥の発言に、爆豪は表情が強張っていく。

 

 

 

 

 

「なにも…見えなかった…!」

 

 

 

 

「えっ?」

 

その言葉を聞いて、頭の中が真っ白になった。

 

「じゃあ一体……誰が………」

 

その正体は土埃が晴れるとともに明かされる。緑谷は恐るおそる吹き飛ばされた方に振り向くと…吹き飛ばされた人物は。

 

 

 

「ゲホ…ゴホ…!加減を、知らんのか」

 

血を吐きながらもガードする態勢でいる…

 

「オールマイトぉ!?」

 

オールマイトであった。

 

緑谷は大きく叫んだ。オールマイトは土埃に紛れていたのだ。死柄木は軽く「チッ」と舌打ちする。

 

(なるほど…あの時子供を庇ったか)

 

すると死柄木は脳無、黒霧の前に出て腕を大きく広げるように話しだす。

 

「…仲間を救ける為さ、仕方ないだろ?ホラ、だってそこのー、あー…地味めの!」

 

死柄木は緑谷に指をさす。

 

「アイツは俺を殴ろうとしたんだぜ?他の為に暴力を振るうのは美談になる、そうだろヒーロー?そんで…あとコイツ」

 

今度は飛鳥に指をさした。

 

「こいつ、刀を持って俺に斬りかかろうとしたんだぜ?危うく殺されるところだったよ……まあ俺も人のこと言えたもんじゃないけどさぁ……でもさ君、『忍学生』だろ?」

 

「えっ……?」

 

飛鳥は死柄木に指をさされ、なぜ自分が忍びだと気づかれたのか疑問に思った。

 

「あの柳生ってヤツや雲雀ってヤツを通じて分かった……なんとなく雰囲気がソイツらと同じだったし……素人っぽい動きでもなかったんだよなぁ……あと攻撃する際になんか叫んでたし。まあこれで今のところ忍学生が雄英と繋がってて、三人いるってのは分かったさ………」

 

死柄木が話してると、飛鳥は刀を向き話しかける。

 

「貴方は…あなたたちは……なにが目的なの!?!私たちのことを知ってて、私たちを殺そうとして………何が目的なの?!」

 

飛鳥の声には溜め込んでた怒りが混じっていた。敵意ある目で質問する飛鳥に、死柄木は答える。

 

「………試してみたいからだよ」

 

「……え?」

 

死柄木の答えに理解できず、飛鳥は首を傾げる。そんな飛鳥に、いや…その場の全員に死柄木は話し出す。

 

「ここはヒーローの巣窟、雄英高校だ。その中で忍学生が…ましてや子供が死んだら、どうなるんだろうって、試してみたいからさ……!!忍びの存在が世の中に知らされ、全く違う存在に、(ヴィラン)に、俺たちに殺されたらどうなるのかを、俺は見てみたいんだ!!お前たちが此処で俺らに殺されて死んでも、この社会は忍の存在を隠し続けるかどうか、試してみたいのさ!!!」

 

「貴方っ……!!」

 

死柄木のぶっ飛んだ理由に、飛鳥は頭に血が登る。そう…死柄木はたったそれだけの理由で、飛鳥たちを、大切な仲間たちを殺そうとしたのだ。確かにそうなればこの社会は大きく影響が出る。だが、死柄木は別にこの社会の影響が見たいのでなく、ただ忍びを殺してみたかった。そうなれば忍びたちはどう出るのか、どんな反応をするのか…そんな歪んだ心と純粋な思いから来てるのだ。

 

すると今度はオールマイトに振り向く。

 

「俺はなオールマイト、怒ってるんだ!!同じ暴力がヒーローと(ヴィラン)でカテゴライズされ、良し悪しが決まる!この世の中に…!」

 

相澤やオールマイトに倒され、苦しみ横になって倒れてたり、気絶している敵たちに吐き捨てるよう言い放つ。

 

 

「何が平和の象徴…!お前なんて所詮ただ単なる暴力装置だお前は!暴力は暴力でしか解決できないのだと、お前を殺して世に知らしめるのさ!!」

 

 

半分興奮しているようにも見える死柄木の台詞に、オールマイトは血を「ペッ!」と吐き捨てる。

 

「…滅茶苦茶だなオイ。そういう思想犯の目は静かに燃えるもの」

 

 

拳を握りしめて。

 

 

「本当は、自分だけが楽しみたいだけだろ…嘘つき野郎め!!」

 

 

オールマイトはそう言うと、死柄木はニヤリと狂気の笑みを浮かべた。

 

 

 

「バレるの…はや」

 

 

その薄気味悪い声は、誰もが聞けば背筋が凍りつくようなものだった。

 

 

 

 

死柄木弔は危険だ。

 

 

 

その場の皆んなはそれだけはハッキリした。この男は確実に捕まえないと何をしやらかすか分からない。この男なら、忍学生どころか、オールマイトすら殺しかねないと…

 

 

「向こうは…三人になっちまったがこっちは六人!」

 

「かっちゃんが黒霧の弱点を暴いた!あとは…」

 

「うん!あの脳無って人と、あとは死柄木って人は要注意だから、上手く戦えば…!」

 

ポキポキと指を鳴らす切島、黒霧を見る緑谷、脳無と死柄木を睨む飛鳥、三人はすでに攻撃態勢に入っている。

 

だがオールマイトは…

 

「ダメだ!君たち逃げなさい!」

 

そう答える。

 

「今のは俺がサポートに入らなきゃまずかったでしょう?」

 

「だ、ダメですよ!さっきだって殺されかけてたじゃないですか!!私たちが、私たちが戦います!」

 

「お、オールマイトが目的なら…なら僕たちがここで…!!」

 

轟、飛鳥、緑谷の順に、オールマイトにそう言うと、親指を立ててグッドポーズする。

 

「轟少年、飛鳥くん、緑谷少年……サンキューな!けどもう大丈夫…プロの本気を見ていなさい…!」

 

そう言うとオールマイトは一人、死柄木たちに振り向く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「脳無、黒霧…殺れ、俺は子供と忍学生をあしらう…」

 

死柄木がそう言うと、黒霧と脳無はオールマイトに向き。死柄木は生徒たちに向く。

 

 

 

そんななか、オールマイトは自分の拳を見つめている。

 

(残り少ない時間…確かに1分たりとも時間はない…!)

 

呼吸を整える。

 

(だからこそ…やらなければ…何故なら私は!)

 

 

 

「さて、このゲーム…クリアして帰ろう!」

 

死柄木は走り出す。相変わらずスピードが早い。

 

「オイ!やるっきゃねーよ!」

 

切島は大きく叫ぶと、皆んなが動こうとしたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「平和の象徴なのだから!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾッ…!

 

 

その男(オールマイト)の気迫は、敵もヒーローも震わせた。

 

「…っ!?」

 

(なに…あの気……!!)

 

飛鳥はオールマイトのその気迫を生で感じて、体が動かなくなる。

 

「なっ、オール…マイト…!」

 

緑谷の前にオールマイトが通り過ぎ。

 

 

「はっ!?」

 

死柄木の前に脳無が通り過ぎる。

 

 

 

オールマイトは皆んなの為に。

 

脳無は死柄木の為に。

 

そして、オールマイトと脳無は拳を打ち合わせる。

 

 

 

ズドオオオオォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンン!!!!!

 

 

「フンッ!でりゃああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー!!!!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!

 

 

脳無もオールマイトもお互い、休む暇もなく殴り合っている。目にも止まらぬ速度の超スピードラッシュ攻撃だ。

脳無の攻撃は一撃一撃が強力、オールマイトは殴ってるためモロに食らっている。

強烈な攻撃のため地面は割れていき、オールマイトと脳無の攻撃により、強力な衝撃波が発生し、皆んなは態勢を崩し始める。

 

「う、うわぁ!!す、スゲェ…! 皆んな…大丈夫か!?」

 

切島は体が吹き飛ばされそうになりながらも、皆を心配している。

 

「ぐっ…ぐっおぉ…!!」

 

爆豪はなんとか耐えている。

 

「くっ…正面からの殴り合いで、こんなになるのか…?」

 

轟は目を細めながらも、爆豪と同じくその場に耐えながら見ている。

 

「す…凄すぎ……私たちの戦いとは、レベルが、違う…!!」

 

飛鳥は冷や汗を流しながらも、オールマイトを見ている。自分たちの強さが、まるでヒヨッ子みたいに思えてしまう程の……

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、死柄木は…

 

 

「オイオイ…ショック吸収ってさっき自分で言ってたじゃんか…もう忘れちゃったのかよ……」

 

死柄木は呆れながら上手く衝撃波に乗って、体が浮きあがり、なんとか地面に着地した。

確かに脳無は『ショック吸収』を持ってるため、オールマイトの攻撃は全て無効だろう…と思ってしまうのも無理はない。

 

「そうだな!」

 

オールマイトは笑顔で殴り合いながら答えている。

 

「だが…(脳無)の個性が『無効』ではなく『吸収』ならば、限度があるんじゃないか!?」

 

 

「は…!?」

 

それを聞いた死柄木はさっきまでの余裕の表情から、此処で初めて驚愕する。

 

「うっ…クッ…!近づけん…!」

 

「黒霧…!」

 

死柄木は黒霧を見つめると、黒霧は目を細めて頭をさげる。

 

「申し訳ありません死柄木弔…オールマイトと脳無の殴り合いにより、衝撃波が強すぎて…近づくことすら出来ません…!!」

 

そう言った黒霧に、死柄木は再びオールマイトと脳無に視線を戻す。

 

 

「私対策…私の100%のパワーを耐えるなら…」

 

ドドドドドドドドドドドド

 

次第に殴り合う音が大きくなり、脳無は少しずつ後ろに下がってきてる。

 

 

「さらに上からねじ伏せよう!!」

 

 

「!?」

 

死柄木は『ありえない』という顔でオールマイトと脳無の戦いを見て固まる。

勿論、その場の全員はヒーローも敵も棒立ち…固唾と息をこらしている。

緑谷は心の中で悟った、オールマイトの力を。

 

(ただデタラメに殴り合ってるんじゃない…一発一発が、100%以上の…!)

 

「そして!!君たちが少年少女たちを!忍学生の少女たちを殺そうというのなら…!!」

 

ドドドドドドドドドドドド!!!

 

オールマイトは更にスピードを加速させ、脳無のスピードを上回った。

 

「私が全て!守ってみせよう!!!」

 

 

オールマイトは一度脳無を雑木林へとぶっ飛ばした。脳無はバックステップで威力を殺して手や足を地面に蹴りながら走っていく。

オールマイトは戦いながら大きな声で叫びだす。

 

「ヒーローとは…!常にピンチをぶち壊していくもの!!」

 

脳無の腕を掴み、上へと投げる。オールマイトは地面を蹴り、脳無に追いつき空中で殴り合う。

 

「ヒーローよ…!」

 

そして殴り合いながら今度はまた腕を掴んで地面に思いっきり飛ばす。

 

(ヴィラン)よ…!」

 

着地して脳無に隙が出来た途端。オールマイトは

 

 

「そして!忍学生よ!!!!」

 

脳無に向けて。

 

「こんな言葉を知ってるか!?!」

 

拳を握りしめ、100%以上の力で思いっきり脳無の腹に拳を入れて、大きな声でこう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Plus Ultra(プルスウルトラ)更に向こうへ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズバコオォォーーーーーーーーーーンン!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脳無は思いっきり吹き飛ばされ、災害救助のドームに穴が空いた。

その穴からは、オールマイトを照らすように光が差し込む。

それを見ていた生徒たちは、オールマイトの戦闘が終わるまで棒立ちしていて、いつしか戦闘体制が解けていた。

腰を落としてる爆豪はポツリと口に声を出した。

 

「コミックかよ…『ショック吸収』をないことにして、『超再生』が追いつかないほどのパワーで倒した…デタラメだ」

 

冷や汗をかきながら

 

(これがトップ…)轟

 

(プロの世界か…!)爆豪

 

「あれが、ヒーローで……平和の象徴、オールマイト……!!」

 

飛鳥はオールマイトのその姿を見て、胸が高鳴った。自分もあの人のように、誰かを救けて見せたい。守って見せたい。と……飛鳥にとって、ヒーローとは何なのか…それが、分かってきた気がして…その存在が、段々大きくなってくるようで……

 

 

 

出入り口では…

 

「な、なんだありゃ!?」

 

「爆発…?」

 

砂糖と障子は、穴が空いたドームを見つめている。

 

「一体誰が…」

 

瀬呂が呟くと、その場に居る雲雀は、嬉しそうな顔で、柳生を見つめる。

 

「ねえ、柳生ちゃん!アレって、間違いないよ!やったよ!!オールマイト先生が、柳生ちゃんを傷つけた敵さんをやっつけたんだよ!!」

 

満面な笑みでそう言うと、傷だらけの柳生も満面な笑みを返す。

 

「ああ……やったな…残るは……あとは、アイツだ……最も危険なアイツだけだ……」

 

 

最も危険なヤツ、それは言うまでもない……

 

 

シュウゥゥゥゥゥゥ…

 

 

強敵。そう呼べるほど強力な敵である脳無を倒したオールマイトは、身体から煙を纏いながら小さな声で呟く。

 

「やれやれ衰えた…()()()()()なら五発も撃てば充分だったろうに…」

 

拳を胸に当てて、口から血を流している。

 

「三百発以上も撃ってしまった」

 

笑顔でそう言った。

 

一歩だけ歩み寄り、死柄木たちの方に振り向いた。

 

「さてと敵(ヴィラン)…お互い早めに決着つけようか…!」

 

無敵とも思えた脳無が倒された。その事実を知らされた死柄木は、体をワナワナと震わせて、涙を浮かべて、悔しさと怒り混じった目でオールマイトを睨みつけてこう言った。

 

「この………チートが………!」

 

指で首をガリッ…とかいた。




はい!ようやくあの強敵とも呼べる敵、脳無を倒すことができましたねww柳生ファンの皆さんは、これで無念が晴らせれたか、あるいはスッキリしたでしょうか?なんてwww 相澤先生もですけどねww
そしてとうとう、死柄木が動き出しますね…次回もよろしくお願いします!

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