光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

163 / 253


皆さん超絶お久しぶりです。
最近リアルでクッソ忙しくなってしまった作者です。はい、投稿意欲だけでさえキツイのにリアルの事情が重なると厳しいなぁ…

シノマスでは妖魔ノ巣序は見事クリア、アレ頭お菓子なるでホンマ。(半蔵と焔紅蓮隊の難易度がパナい)
と言うか、妖魔の巣登場か…この作品もそろそろ出番ですよ妖魔の巣…

久しぶりの続きをどうぞッ


162話「廻る、抗う、運命の輪」

 

 

 

 

 

 

 

「オールマイトの…死」

 

 

 隠された真実を吐露したオールマイトに、緑谷出久は息を詰まらせる。

 オールマイトの決定打された死の宣言に、目の前が真っ暗に擦り潰される緑谷は、言葉を発することが出来ない。

 今までは如何なる窮地をも脱し、信念と供に理不尽をその拳で打ち砕いて来た。

 

 その分、ワン・フォー・オールの結晶の残り火が弱まると同時に、命の灯火さえ掻き消えて行くかのような…

 

 生きて欲しい――オールマイトは死んで欲しくない。

 平和の象徴は悪に屈さず、明日も笑顔で笑って生きて行く…でも、そんなのは生きて欲しい、そうであって欲しいという、人間の生み出した願望でしかない。

 

 人はいずれ死ぬ――だからこそ命とは尊く、限りある時間を精一杯生きようとする。

 幾ら人は死ぬと頭の中で理解してようと、それは具体性のない話であって、当たり前だからだ。

 第一自分がいつ死ぬのかなんて、誰も知らないし想像するだけ無駄なのだから、仕方がないだろう。誰も自分に降り掛かる死なんて見たくもないし、望んでもいない。

 

 

 しかし、だ――未来予知は他人の死を先見する事さえ可能にしてしまう。

 況してや、己の死を先に知ることは、絶対的に回避は不可能なのだから。

 

 人は死に方を選べるし、不意な死が現実に突きつけられることだってある。生きてる上で『死』の概念からは逃れる術は無い。

 だが…

 

 

「オールマイトが、死ぬ――」

 

 

 決定された未来の死が、現実として突きつけられる。

 

 

「それから後継者の件、君と出会い力の譲渡を緑谷少年に選んだとナイトアイに報告した。

 勿論…納得行く筈がないし、彼と私との溝は益々深まるばかりだった…」

 

 サー・ナイトアイは通形ミリオを選び、オールマイトは緑谷出久を…しかし――個性を持ち努力を重ねた人間と、無個性の中学生を選ぶのは明らかに話が違うし、分かち合うことはほぼ不可能と断言しても良い結果になった。

 

『無個性の中学生だと!?!何を考えてるんだ!そんな人間が務まる訳がない!!』

 

『その子は人を助けたがってた…あの子に出逢い、其れを見てしまった……見過ごせる訳がないし、私も無個性だったこと知ってるだろ?』

 

『貴方とは違う!!志しだけでは世の中人を救えない!!!後継者に相応しい人間など探せば幾らでもいるだろう!?何故よりによって無個性の子なんだ!!』

 

『確かに、後継者として相応しい人間など探せば幾らでもいるだろうさ。

 でもね――無個性で、人を救いたいと志す人間も…立派な後継者の一人だと思った。

 少なくとも、私はそう思っている』

 

 例え志しだけで救えない世の中でも、

 感情論でどうこう出来る世界でなくとも、

 綺麗事で物事が通じる社会でなくとも、

 

 ――オールマイトは緑谷出久を選んだのだ。

 

 確かに褒められた成績も無ければ、無個性の人間よりも日々努力を怠らず、無敵の個性を磨き上げた通形ミリオを譲渡した方が良いだろう。

 だが、成績が全てで世の中が救えるのだろうか?

 通形ミリオを譲渡しない理由もないが、緑谷出久を選ばない理由もなくなった。たったそれだけのことで、問題は志しと誰よりも救いたかってた緑谷出久。

 

 

 これは――誰にも責めることも無ければ、責められる問題ではない。

 誰が悪いかではない、誰も悪くない。

 

 

「その後、サー・ナイトアイは馬鹿げてると一蹴し、二度と連絡し合うことは無かった…

 そんな彼は決して諦めず、後継者候補の通形少年の育成に専念した」

 

「待って下さいよオールマイト…!じゃあ、予知は?その…オールマイトが死ぬ未来は変えられないんですか!?後どのくらいで…」

 

 急かすよう真相を問い詰める緑谷に、オールマイトは重い沈黙を漂わせ、口を開いた。

 

「……遠い未来ほど時間に誤差が生じるらしいが、そうだね。

 ざっと、11、12年後だって――現に至るまで、予知した人間の未来を変えたことは一度もないそうだ」

 

 サー・ナイトアイの予知は完全であり絶対である。

 一度視てしまえば、二度とその線路を変えることは叶わないそうだ。仮に予知を抗おうとしても、結局は無駄でしかないらしく、サー本人もこの個性でよく悩んでいた。

 

 一番衝撃を受けたのが陽花の「死」だった。

 絶対無敵――オールマイトに匹敵する圧倒なる実力を持つ彼女でさえも、その予知を後に文字通り死んでしまったのだ。

 

 変えられない未来に、死から逃れない二つの事実。

 そんな事柄の経緯から、サーは「自分の予知が、その人間の死を確定にしてるのでは?」と、己の個性に頭を悩まし、塞ぎ込んだ。

 自分の個性を使わなければ、何度でも死を変えることは出来る。幾らでも最悪な未来を覆すことが可能だと。

 

「11、12年後…じゃあ、今年か来年……そんな、嫌だよオールマイト………!!

 貴方が死ぬ未来なんて…そんなの…!!」

 

 認めたくない。

 死なないで。

 生きて欲しい。

 

 確定された死の未来を、無理矢理拒む緑谷は、首を横に振る。

 今まで何度か死を錯覚する場面を突撃してきたし、その最悪な死をも何度も覆してきたのに…なのにどうして、彼が死ななければならないのだ。

 

「覚えてますか?体育祭で僕、オールマイトと約束したじゃないですか!僕が来たことを、世に知らしめて欲しいって!まだ約束果たせてないよ……果たせるまで生きててよ…!!」

 

 

 ――『君が来た!ってことを、世の中に知らしめてほしい!』

 

 

「僕が来た!って言うところを、生きて見届けてよオールマイト!!」

 

 

 尊敬する師匠が死ぬのを聞いて、居ても経ってもいられない緑谷は、目に涙を溜める。

 潤んだ瞳は、オールマイトの死に対する否定を表していた。

 

「……緑谷少年、私ね…サーの予知を聞いて割とすんなり、自分の死を受け入れたんだ。

 うん…不思議と後悔も恐怖の念も無かったし、終わり(ゴール)が見えたのなら、ただひたすら突っ走ろうってね」

 

 オール・フォー・ワンを倒したと思い込み、後継の意思を全うしたのなら、もう良いんじゃないかなと。

 確定された死に対し、恐怖の念は抱かなかった。

 …不思議なことだ。人間…誰しも死を布告されてしまえば、驚愕、否定、畏怖――様々な概念が生じてしまうのに、其れ等全てを透き通るように、自分自身の死を簡単に受け入れてしまった。

 

 端から見て異端者だと思われるだろう、少しは抵抗や躊躇いの感情が湧き上がるだろう。

 

 

「……あの子も天国に行った、師匠や先代達もあの世で待っている…そう考えると辛さがなくなり、痛みが和らぐ…だからいつ消えても問題ないように覚悟はしてたつもりだし、何度でも命を賭けることも出来た。我武者羅にゴールまで突っ走って、自分の責務を全うしたよ」

 

 死相(終わり)が見えたのなら、悔いのない生き方を――せめて師匠や陽花くんに無様な死に様を見せない様にしたかった。

 サー・ナイトアイの予知と神野区の激戦を経て、直感的に自分の死はオール・フォー・ワンとの死闘ではないかと理解した。グラントリノの発言で、薄々と答えは見えていた。

 

「でもね、死ねなかった…」

 

 オールマイトは、痩せ細った身体を緑谷出久に振り向く。

 

 

「君がいたから――」

 

 

 後継者である、弟子がいたから。

 まだ伝えたいこと、教授するべきものが山ほど募っている。

 

 緑谷出久というたった一人の後継者を育てる為に――

 

「君が小心者の無個性で、私の想いに応えてくれる日々が、何よりも嬉しくて、輝かしくて…!私に生きろと、囁いてくれたんだ…!!」

 

 

 

『無個性でも、貴方みたいなヒーローになれますか!?』

 

 ――思い出す。

 

『なりたいんだ…貴方みたいな…最高のヒーローに!!』

 

 ――君が私に応えてくれる日々が

 

『どいて下さいよオールマイト…!!』

 

 ――何よりも嬉しくて、暖かくて…

 

『雄英でなくたって、僕…ヒーローになるから!!』

 

 ――私に生きる意志を生ませてくれた。

 

 

「それにね、君のお母さんに『生きて守り育てろ』と仰って頂いた!半蔵様だって命を張ってでも私を庇ってくれた…!

 

 ――今更足掻くよ!もう死ねないんだよ!私は生きると誓ったんだよ!!」

 

 平和の象徴としてのオールマイトは死んだ。

 しかし、今こうして自分は生きている。

 自分が単に、弟子を育てる師匠として生きてるのではない。

 

 志村奈菜が、陽花が、緑谷出久が、半蔵が、そして…雄英の方達や、縁のある者達、緑谷の母にまで、生きる意味を、価値を、原動力を与えてくれた。

 象徴として人々の柱となり、脚光を浴び続けたオールマイトは確かに死んだが、八木俊典はまだ生きている。

 ヒーローとしての彼が引退しても、個人としての自分にはやるべき事がある。

 

 単に育てるだけではない、自分もまた守られる側として…人間として生きながら、弟子を育てて行く。

 

 今までヒーローとしての自己犠牲が強かった分、一般人としての感覚はほぼ薄れていたので、そういう物事の考えには行き着かなかったが、それで良いだろう。

 

「何度でも捻じ曲げてやるさ!最悪な未来など、この私の腕でね!!」

 

 ムキッ!と瞬時にマッスルフォームに変化するオールマイトは、骨折してない腕を空気を殴るよう突き刺す。

 何時だって――如何なる逆境を乗り越えた彼なら、或いは既に捻じ曲げてる確率も捨てきれないが、何方にせよオールマイト本人は死ぬ気など毛頭ない。

 

 

(――そういう、ケジメさ…オール・フォー・ワン…!!)

 

 

 オール・フォー・ワンは、弟子を独り立ちさせないオールマイトを嘲笑った。

 先生という存在は、弟子を独り立ちさせる為に有る者だと。

 皮肉だが正論――認めたくはないが、納得してしまう論理。

 

 だが、まだ独り立ちさせる為の技量や力を身につけてない弟子を育むのも、師匠としての責務でもある。

 

 

 何方が誤ってるか…?否――何方も道は違えてない。

 善や悪の定義がどうであろうと、師匠として弟子を想うのは当然の義務なのだ。

 

 

(オール・フォー・ワン…きっと、お前は死柄木か、或いは漆月を私に殺させる算段ではあるのだろう?又は、私があの二人を止めようとするのを敢えて計算して……

 

 例えお前の予想通りだったとしても、そう易々と筋が通ると想うなよ。これが計算の内であっても、私はあの二人を止める…)

 

 今頃あの二人がどう悪事を企み、どう行動に移すのかは不明だ。

 しかし、師匠の血縁者と陽花くんの妹の手を汚したくはない。これ以上の罪は重ねて欲しくないのだ。

 尤も――漆月の幾重もの罪を重ねる行動が、オールマイトの想いを否定してることなど、誰も気付かず。知るのは精々オール・フォー・ワンだろう。

 

 

「オールマイト…僕も……」

 

 グッと涙を堪えながら、声を震わせる緑谷は一歩前に歩み出る。

 

「僕も…オールマイトの死ぬ未来は見たくないんです…だから、僕も!一緒に…貴方の最悪な未来を…捻じ曲げます!!!」

 

 今は有精卵でも、

 今は孵化した雛でも、

 今は半人前でも、

 

 ただただオールマイトの背を見届けるのではなく、後継者の一人として、弟子として、共に歩み、背負いたい。

 一緒になって最悪な未来を捻じ曲げたい。

 ただ見てるだけじゃ、いつまで経ってもオールマイトの様な平和の象徴と謳われる最高のヒーローになどなれやしない。

 

 だから…一緒に戦わせて欲しい。

 

 例え、オールマイトが弟子を巻き込ませたくないと、枷になりたくはなかろうと、もう決めたことなのだ。

 

「…有難う。なるべく、君の手を煩わせない様にするよ」

 

 何て表現をすれば良いのか、何処か曖昧で複雑な心情のオールマイトは、苦笑を浮かべた。

 

 

 

「…ん、アレ?でも待てよ……もう一度ナイトアイに会って予知使って見てもらえば、未来が変わってるかどうか解るんじゃないですか!?」

 

「いや、それは流石に都合が良すぎるだろうよ…先ほど前述した通り、ナイトアイとは喧嘩してる仲なんだぜ?そんな状態で顔出しなんて…」

 

「仲直りすれば良いんですよ、僕が駆け寄って見ます!死活問題ですよ?其れにサーの事務所で校外活動してる身ですし!!」

 

「待って緑谷少年、ナイトアイの気持ち考えてみて?」

 

 

 ……多少、焦燥に走り悩んだ少年の顔色は、少しは良くなったようにも見えるのは、きっと確かな事だろう。

 

 小難しい…とは呼び難い大きな問題。緑谷出久の師弟関係は、完全には解決できていないものの、それなりに心の整理は何とか出来たようだ。

 

 

 そんな少年がオールマイトの秘密を教えて貰っていた頃――事態は膨大していた。

 

 

 

 

 

 半蔵学院の修学旅行先――名のある歴史や伝統を遺し、観光地として有名な日本都市の一つ、京都では…

 

「……霧夜先生…奈楽ちゃんとかぐらちゃんを処分って…」

 

「倒せ、という事になるな……上層部の追加命令だ。勿論、他のメンバーには伝達、そして補欠のあいつらにも俺から伝えておく。呉々も、忍商会には気を付けろ…アイツらは今では全国指名手配犯――現在確認されてる綺語道楽という男に、正体不明の幹部たちと鉢合わせになる可能性も高い」

 

 荒れ果てた重い空気の流れと共に、上層部から下された非情な命令を前に、固唾を呑む飛鳥。

 忍商会…木椰区ショッピングモールで両奈からある程度の名前は聞いたことがあるが、まさか此の期に及んで衝突するとは…人生とは何て理不尽で、慈悲もないのだろうか。

 

「あの子達のこと、分からないんですよ?そんな…あの子達を処分だなんて…」

 

「…善忍であろうとも、時に手を汚さなければならない時だってある……解ってると思うが、上層部の命令は絶対だ。良いな…?」

 

「………はいッ――」

 

 心底辛そうに、己の善意を無理矢理にでも押し殺す飛鳥は、渋々と神楽と奈楽の処分命令を引き受けた。

 

 

「カァーッ!カァーッ!!」

 

 輪廻を巡り回るかのように鴉は鳴き声を叫びながら、紅い目を輝かせ、飛鳥と霧夜を見下ろし品定めでもするかの如く凝視する。

 

 ――波乱と混沌に渦巻く現状となっていた。

 

 

 

 

 また打って変わって場所は遡り、違う地区で活動するヒーローと校外活動(インターン)生徒組。その中には勿論、磨き上げられた腕と信頼を寄せつけられ、忍学生を一時的に雇い入れる事務所も存在する。

 例えば麗日と蛙吹が選んだ事務所では――

 

「皆んなご苦労様ッ、凄いわね貴女達。一年生のヒーロー科、ねじれが連れて来た期待の新人さんだけじゃない、忍学生さんも充分に実力が整ってるし、見事な連携とあの子達に負けず劣らず素晴らしい動きだったわ」

 

 ヒーロービルボードチャート現在番付No.9――ドラグーンヒーロー『リューキュウ』

 

 ギャングオルカの上に並ぶ上位ランカーとして名を馳せ、多くの市民や相棒から期待の眼差しを向けられてるプロヒーローだ。

 一応週間雑誌やファッション、CMなどでも放映されてる為、かなり有名である。

 

「ふん、私にかかればこんなの造作もない…この美貌を司る完璧な私に、死角はないからな」

 

 対して、リューキュウの賞賛を当然と言わんばかりに振る舞い言葉を返すのは蛇女子学園選抜補欠メンバー筆頭の総司。彼女の傲慢さに半ば苦笑しながらリューキュウは周りの状況と安全確認を取る。

 

 リューキュウ事務所に所属するインターン生徒は雄英ビッグ3の肩書きを背負う波動ねじれ、ヒーロー科一年生の麗日お茶子、蛙吹梅雨、そして蛇女子学園からは総司、全部で四人だ。

 蛇女子学園の生徒から申請が来たのには驚いてはいたが、ねじれが紹介して連れた二人とは面識があるそうで、様子を見ることにしたのだが、どうやら実力的な部分も含めて問題はないと判断したようだ。

 

「ふぃー!こっちも指示通り動けました!」

 

「ケロケロ、こっちも…思ったより落ち着いて行動が出来たわ。採用有難う御座います。…ケロ」

 

 商店街で大暴れしてた巨大敵グループの抗争を、総司と共に鎮圧した麗日お茶子、蛙吹梅雨も戻って来たようだ。

 先ほど此処の商店街では、敵グループ同士の闇売買の取引が行われていた。公で目立つ場所では無く、人目の寄らない静かな影に潜んで闇アイテム、違法薬物の売買をしてた所、何かしらの原因で交渉が決裂したと推測されており、双方とも粗悪品の巨大化薬を使って喧嘩をしてたそうだ。

 こう言った影では敵同士の触発も、オールマイトが消えた今では多いと聞く。持て余した個性を使って殺し合いなんてのは敵による特権みたいなものだが、当然其れを取り締まるのも、鎮圧させるのもヒーローの務めだ。

 

「おいリューキュウ。ねじれが相手をしてる間にグループの奴らをとっちめて薬物を押収しておいた。見ての通り証拠物はまだ使われてない…彼奴等は恐らくこれ等を取引してたんじゃないか?」

 

「あら、仕事が早くて助かるわ総司。そうね…見たところ、粗悪品のトリガーに、最近品種改良された新種のブースト薬…巨大化の薬に、後はドラッグと言った違法薬…お手柄ね。薬に関しては警察の仕事、後は大丈夫よ」

 

 薬に関してはプロヒーローを何年も務めれば嫌という程に見てしまうものだ。特に品種改良された新種のブースト薬は忍側でも流通を働かせている品物で、近頃になってこの薬が急激に闇通路を挟んで売買が行われてるらしい。

 まあ何にせよ、違法薬物と敵グループの連行は警察の仕事なので、此方の仕事は安全確認と怪我人の捜索の見回りで仕事は終了となる。

 

「ふふっ、これ程に有力な人材と実力なら、あの件に出ても問題ないかもね」

 

「あの件…?」

 

 四人とも口を揃って首を傾げる光景に、クスッと笑うリューキュウ。

 

 

「ええ…オールマイトの元サイドキックからのチームアップ要請が来たの。内容は指定敵団体『死穢八斎會』の調査及び包囲――

 

 

 もしかしたら、敵連合に繋がるかもしれない大仕事よ」

 

 

 まわる、回る、廻る――ヒーローも、敵も、忍も、今を通して時の歯車が狂いながら、加速する。

 

 






月閃中等部のご報告&キャラクター紹介!

飯田天哉

ヒーローネーム『インゲニウム』

所属:雄英高校ヒーロー科1年A組
誕生日:8月22日
血液型:A型
出身地:東京都
好きなもの:勉強、ビーフシチュー
戦闘スタイル:スピード型近接格闘

ステータス ランクB

パワーB
スピードA
テクニックC
知力B
協調性C

個性技:エンジンブースト
敵二体に中ダメージを与え、素早さを20%アップ[クールタイム小]

必殺技:レシプロバースト
敵一体に極大ダメージを与える[クールタイム中]

リーダースキル
[ヒーロー学生]の攻撃力、体力を20%アップ

パッシブスキル
自身の体力が100%の時、素早さが30%アップ

リンクスキル
因縁深い宿敵 攻撃力が30%アップ
対象キャラクター 飯田天哉+ステイン

風紀の乱れを正せし者 攻撃力50%アップ
対象キャラクター 飯田天哉+斑鳩

雄英高校ヒーロー科 攻撃力10%アップ
対象キャラクター 飯田天哉+雄英高校


閃光「飯田天哉…中学時代では名のある名門校の聡明出身のヒーロー家の息子だな。体育祭ではインゲニウムの弟としても名前が膨らんだエリート学生だな」

月光「まあその分…ヒーロー殺しの件に関してはかなり辛い部分もあると思いますけど……」

閃光「復讐に身を焦がし、職場体験では私怨混じりで独断専行に走り、ヒーロー殺しと対決したものの、重傷で済んだのが不幸中の幸いか…下手すれば簡単に殺されてたかもしれないしな。経験や差が違う」

月光「辛辣だけど、まあ強ち間違ってはいないわね。誰だって尊敬する人を貶め、蔑まれ、傷付けられて平気でいられる人間なんて殆ど少ないわ…」

閃光「座学や鍛錬を欠かさない優等生なのは充分買っているし、その実力は認めている。ただ問題なのは精神的な所か…忍の世界では怨みを買ったり売ったりが基本的に多いが、表向きな社会となると難しい…いや、そもそも法律の問題としては超常黎明期前と比べて大分変わってるもんな……」

月光「どっちにしろ現代社会が難しいというのは、私達忍の社会とはほぼ同じね。
まあ兎に角、飯田さんはこうして今は立派にヒーローとしての志を持ってるのだし、心配はいらないんじゃない?」

閃光「そう…だな…
そう言えばアイツ、脹脛にエンジン器官の筒があるよな?下履く時邪魔でしょうがないんじゃないか?私だったら窮屈で悩むな…戦闘ではさておき…」

月光「ああ、飯田さんの脚ね!本人も着替えるのが凄く大変と言ってたわ。それとアレ、引っこ抜けるらしいわね」

閃光「………えっ?」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。