光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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はい、今回は少し難しかったですが、なんとか…ね!とうとう死柄木たちの反撃ですかね。


14話「敵の脅威」

なんとか敵との遭遇を乗り越えた、緑谷、飛鳥、蛙吹、峰田の四人は、陸に向かっている。

 

「オイラ体調良かったし朝のトイレ快便だったからあのもぎもぎ、体調によっちゃあ一日中くっ付いたまんまだぜ!!」

 

峰田は動けれない敵の集団に指をさして言っている。

 

「思ったよりも大したことなかったね」

 

峰田同様、敵の集団に目を向けてる飛鳥。

 

 

「なんとか勝てた…けど敵も一瞬油断した、だから勝てたんだと思う…これからこの先にももっと敵だっているはずだ…だからあえて指を残した…けど他にどうするか…4人だけでは無理があるしブツブツ…」

 

 

「やめて緑谷ちゃん怖い」

 

三人を巻きつけてたベロを元に戻して、峰田の襟と、緑谷の袖を掴んでいる。

 

「次、どうするかじゃないかしら?」

 

緑谷たちは、敵の集団に見事撃破しその場を退くことが出来たのだ。

だが、それで終わりではない…敵はどんどん減ってってはいるが、何より目的が分からない以上…どう対応すれば良いか分からないのだ。

ただ一つ…自分たちがやるべき行動とは、このことを学校側に知らせることだ。

緑谷たちは、水難ゾーンから上がる前に何かを考えている。

 

「緑谷、どうした?」

 

それに気づいた峰田は、緑谷に訪ねる。

 

「いや…僕たちよりも先に早く、そしてずっと戦ってるのは相澤先生だ…個性を消し回ってるのに警報が鳴らないってのも可笑しいけど、それより体力もそろそろ限界に近づいてきてると思うし…」

 

「ケロ…」

 

「緑谷…お前、まさか…馬鹿バカばかっ…!!」

 

「緑谷くん…もしかして…!」

 

「で、出来るだけ邪魔になるようなことはしないよ!でも…ただ、出来れば」

 

緑谷のやろうとしてることをいち早く気づいた蛙吹と飛鳥と峰田三人は、緑谷を止めようとする。

 

「ただ、邪魔になるようなことはしないよ…!」

 

緑谷たちはあくまで勝ったのではない、この場の状況を退けたまで。

 

「出来れば…相澤先生の負担を減らしたいとは…思っているよ…!」

 

初戦闘にして初勝利…自分たちの力が敵に通じたんだという、仮説全ては…圧倒的敵(ヴィラン)の眼の前で帳消しにされてしまう。

緑谷たちは、飛鳥たち忍びは、敵の本当の恐ろしさを…まだ知る由もない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「散らして…なぶり殺す…か」

 

轟は歩きながら敵を見回している。

 

「っ…てぇ〜、体全身ズキズキしやがる…!」

 

「飛ばされた途端にコイツ…一瞬で…!本当にガキかよ!」

 

敵の悲鳴が聞こえる、ここのゾーンの敵全員を凍らして、動きを封じている。もちろん顔までは凍らしてはいない。

 

「言っちゃ悪いが…アンタらどう見ても個性を持て余した輩…とは見受けられねぇよ」

 

そうつぶやき敵の前で足を止める。

 

(…コイツらはオールマイトと飛鳥たちを殺す奴らじゃねぇ…蓋を開けてみりゃあ、俺たち生徒用のチンピラのコマ…寄せ集めじゃねーか…見たところ本当にヤバそうなのは…3〜4人位か?)

 

轟の脳裏に浮かぶのは実にヤバそうな奴らのことだ。

 

掌のマスクで顔を覆われている不気味な男。

 

脳が飛び出てる奇妙な大男。

 

先ほど、生徒たちを散りちりにした黒い霧の敵。

 

そして、この防犯センサーの警報ならずの電波を妨害している敵。

 

(恐らくだが…まあいい、今、俺のやるべき行動は…!)

 

「なあ、アンタらはみるみると氷で体が壊死していく訳なんだが…俺だってヒーロー志望、そんな真似はしたくねえ…」

 

そして手で顔を氷漬けするように敵に近づく

 

「ひっ…!?」

 

「なあ、お前らオールマイトを殺す手段…策ってなんだ…?」

 

 

 

 

 

 

 

噴水広場

 

相澤は敵の集団を食い止めている、緑谷たちは相澤の戦闘を見ている。

 

「クッ…キリねーなクソ…!」

 

相澤が呟いた時だ。

 

「27秒」

 

声の主を見てみると、死柄木は時間を数えながら、相澤の方に向かってきてる。

 

「23秒」

 

「本命か!」

 

捕縛用の布を使って拘束しようとするも、簡単に手で捕まってしまい、捕縛することが出来なかった。

 

「20秒」

 

次第に近づいてきてる

 

「17秒」

 

「15秒」

 

 

 

 

ドッ!!

 

相澤は隙を突いて右の肘を食らわす。

 

「………」

 

だが、しかし…

 

「動き回るので分かりづらいけど…髪、下がる瞬間がある」

 

「!?」

 

相澤の攻撃を食らった死柄木は突然、何ともない様子で呟いた…相澤の肘を掴んでいる。

 

「1リアクション終えるごとにその感覚は段々短くなってきてる」

 

「!?」

 

相澤が驚いたのは死柄木の解析ではなく、手に触れられてる肘だった。

肘はボロボロと音を立てて崩壊されていく、そして触れられてる皮膚は崩壊し、血の色の皮がみるみると見えていく。

死柄木の顔は掌のマスクで覆われて見えにくいが、目は見える…だから目を見て分かった、楽しんで、笑っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「無理をするなよイレイザー・ヘッド」

 

 

 

 

 

 

 

 

そう言われると相澤は残ってる左腕で顔を殴る。

 

 

「っ!!」

 

死柄木はその場に倒れるが、他の敵たちも黙ってはおらず相澤を殺しにかかる。

相澤もやられずにはいられず、回避して敵の隙を突き次々と倒していく。

 

「イレイザー・ヘッド…お前の普段の戦闘は奇襲からの短距離戦闘じゃないか?一対一の戦いが向いてるんじゃないか?」

 

「っ!!」

 

(コイツ…!)

 

倒れてる死柄木は何とか立ち上がり、解析を続ける。

 

「大胆なる真正面から突っ込んで大勢の敵と戦うのはあまりにも勝手が違うんじゃないか?それでも向かってくるのは、生徒に安心を与えるためか?ましてや…影でのうのうと仕事をしてる、忍者…『忍学生』っていうヤツらを庇うためか?殺させないためか??」

 

死柄木は緑谷と同じようにブツブツと独り言を呟く。

 

「アレ?おかしいな?忍学生って言った途端、表情が強張ったぞ?息遣いもさっきより荒い、乱れてる…何よりもその動揺…ハハッ!忍学生がいるって言ってるようなものじゃん!」

 

立ち上がり、手を広げて感心している。

 

「カッコイイなぁ…カッコイイなあ…!あっ、ところでヒーロー」

 

死柄木は何かを思いついたように、そして何かを見ている。相澤の背後の『何か』を。

相澤を覆うほどの影が出てきたので、振り返ると

そこには。

 

 

「………」

 

 

 

脳が飛び出ている大男の、奇妙な敵(ヴィラン)が立っていた。

 

そして

 

 

 

「本命は…俺じゃない」

 

 

 

死柄木がそう言った途端…

 

 

その大男は相澤を狙って。

 

 

ドグシャッ…!!!

 

 

 

嫌な音を立てた、それを見ている緑谷たちは、とんでもない恐怖を見ているかのような目で

 

「相澤…先生…っ!」

 

「う…そ……で…しょ……?」

 

飛鳥は顔を青ざめて、緑谷はそう呟いた。

 

 

出入り口にて

 

 

「流石は13号、とても強力な個性だ…あなたのような個性を持つものはあまり居ないでしょう」

 

黒霧はそう呟くと、生徒たちの顔は一気に暗闇に染まっていた。

御構い無しに黒霧は話を続ける。

 

 

「ですがね、あなたがどれ程強力な個性を持っていようと、個性には『相性』というものがある…あなたの個性がブラックホールで、私の個性がこのようなものならば…ね?貴方を簡単に倒すことが出来る」

 

そう言うと13号の背中から黒い霧のゲートが出てくる。

 

 

そして

 

 

「っ!!!」

 

 

13号の背中は吸い込まれていくように、背中はほぼチリヂリの裂傷を負った。

 

 

「ましてや、自分で自分を塵にしてしまった」

 

「先生ーーーー!!!」

 

そう、黒霧はゲートを開き、13号の個性、『ブラックホール』をワープで作り吸い込み、13号の背中にもワープを作り出すことで、カウンターをすることが出来る。

そのため13号の個性、ブラックホールはワープゲートで自分を攻撃してしまったのだ。

 

「ワープゲート…っ!ヤられた…」

 

「貴方にとって、私の個性とは相性が悪かったようだ」

 

13号を倒した黒い霧の敵は、子供達を飛ばした時と同じ感心している。

 

「せ、先生…せんせい、先生!!そんな…」

 

雲雀は泣きじゃくりながらも、その場に倒れた13号の背中をさすっている。

 

「さて、と…13号は行動不能に出来たとして…あとは問題なのが忍びについてですね、存在そのものは知ってるとはいえ、どのような力を持っているのかは不明…ましてや個性の代わりこそがその驚異的な力なのですから…そしてその忍が何人いて、誰なのかが分からない以上また我々の難題でもある…一刻も早く見つけ出し殺さねばなりませんが、まあ生徒一人一人殺していけば、どの道問題ないでしょう」

 

黒霧は生徒たちを睨むと砂糖は、黒霧のやろうとしてることを察知し、叫び出す。

 

「走れって!飯田!!」

 

すると我に返った飯田は再び動き出す。

 

「う、うおおぉぉー!」

 

物凄いスピードで走り出す飯田をみた黒い霧の敵は

 

「散らし漏らした子供…あくまで待つべきはオールマイトのみ…」

 

急に飯田の前に黒いワープゲートが出てきた。

 

「!?」

 

「こちらも他の教師を呼ばれては、大変ですので!」

 

飯田の行動を阻止する敵。

すると、ワープゲートを体で覆うように庇う障子

 

「ハァっ!」

 

「!?」

 

「行け!飯田!早くしろ!!」

 

「障子くん!皆んな…すまない!」

 

そう言うと、飯田は再び走り出す。

 

「行かせると思いますか?邪魔なんですよ…!」

 

すると自身をワープで飛ばして一気に飯田に追いつく。それを見たお茶子はふとあるモノを見た。

 

「…っ?!」

 

それは黒い霧の中に服らしきものがあることを…それはお茶子だけが気づいた。

 

「クッ!僕は…ぼくは…!」

 

託された…皆んなに!みんなが、僕を!!

迫り来る黒い霧、飯田は振り切るよう全力で走り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして相澤が居る噴水広場では。

緑谷たちは絶望を見るような顔で恐縮していた、その圧倒的なる敵の存在に…

 

 

(僕らはまだ…何も…何も…見えちゃ居なかったんだ…)

 

 

みんなは一斉にそう呟いた。

 

「教えてやるよイレイザー・ヘッド…」

 

死柄木は脳が飛び出てる大男に抑えられてる真っ赤な血に塗れたイレイザー・ヘッドを見下すような目でこう言った。

 

 

 

 

 

「ソイツが、対平和の象徴…『改人脳無』」

 

 

 

 

 

 

 

その脳無こそが、敵連合の切り札であり、最恐であると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き続き、出入り口

 

 

「ええい!ちょこざいな…外へは出させん!」

 

少し荒ぶる様子を見せる敵、だが飯田も諦めずに出入り口の扉に駆けつける。そこへお茶子は走り出す。

 

「お茶子ちゃん!?」

 

芦戸が叫ぶとお茶子は敵に指をさす。

 

「皆んな!アレ!!」

 

それは先ほどお茶子が見つけた敵の服だ、霧で物理無効なら何故服を着ているのか?

何か理由があるのではないかと、

 

「生意気だぞメガネ」

 

黒敵は次第に飯田との距離も身近くなり、そして黒い霧に覆われ吸い込まれていくように…

 

「消えろ!」

 

その時だった。

 

 

 

「タッチ!」

 

 

 

「!?」

 

黒霧は飯田から次第に離れていく。

 

「なっ…これは…っ?!」

 

「理屈は知らへんけど、これ着てるってことは何か理由があるんじゃないかな…?」

 

お茶子は黒霧が着ている服を掴んで上へと投げ、さらに個性、『無重力』でさらに上へと飛ばす。

 

「なっ!?しまった…身体を…!」

 

黒霧は直ぐに体を持って行きながら下に行こうとするが…

 

「忍兎〜!!お願い!」

 

雲雀が大声で忍兎を叫ぶと…

 

 

ドドドドドドドドドドドドドドドド…!!

 

 

「?」

 

黒霧は、音がする方向に顔を向ける。

 

「なっ!?」

 

忍兎は黒霧目掛けて走り出し、空中で体を捕まえる。

 

「んな…!クソ!!離しなさい!なんですかコレは…まさか、あのピンク髪の少女の『個性』ですか!?」

 

黒霧は驚いた様子で雲雀を見つめる。黒霧は、雲雀の忍兎のことを個性だと勘違いしてる様子だ。

つい先ほど、威勢がよくて13号がやられたと分かった途端大泣きする雲雀に、まるで使い物にならないと思っていた黒霧は、雲雀の得体の知れなさに驚愕しているのだ。

 

雲雀の忍兎が拘束してると、敵の服にテープみたいなのが付く。

それは瀬呂の個性だ。

 

「行け!飯田!!」

 

そしてテープを千切ると、砂糖の怪力でハンマーを投げるようにグルグルと回しさらに遠い方へと飛ばす。

 

 

「行けえぇぇぇーーーー!!!」

 

 

「ぬっ…くっ!追いつかない…!」

 

 

「うおぉぉーー!!」

 

 

「飯田くん!!頑張れ〜!」

 

 

雲雀は大声で、懸命に飯田を応援する。黒霧はそれでも追いかけようとするものの間に合わず、飯田は扉に出て、猛スピードで学校へと走る。

飯田の個性があっても、学校にたどり着くのはさぞや少し時間掛かるが…外にはセキュリティーセンサーがあるため、敵は追いかけることが出来ないのだ。

 

「っ!!……逃げられた」

 

黒霧は、悔しそうに目を細めてこう言った。

 

「応援が呼ばれる…ゲームオーバーだ」

 

途端に、黒霧は自身をワープさせて、その場から消えた。

 

 

 

 

 

「ふう〜…なんとか撃退できたなー…あとは飯田が教師たちを連れて行けば、なんとか間に合える!!」

 

砂糖はホッと一息つくと、雲雀は中央広場に目をやる。

 

「雲雀は、相澤先生のよう…す…を………」

 

「ん?雲雀ちゃん、どうしたの?」

 

雲雀の声のおかしい様子に、お茶子は首をかしげながら心配する。雲雀は、途端…『何か』を見て、急に涙目になり、冷や汗をかき、手で口を押さえながら呟いた。

 

 

 

「なに…あの人……アレって!!大変!!!」

 

 

 

「ちょっ!?雲雀ちゃん!!」

 

急に走り出す雲雀に、お茶子は止めようとするのであったが、もう手遅れだった。そうこの時、雲雀は今なにが起きてるのか…分かってしまったのだ…相澤先生がやられてるということも……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

噴水広場。

 

「…っ!!」

 

相澤は脳の飛び出てる奇妙な大男の敵、改人、脳無に腕を握られ、押し倒され上に腰掛けるように乗られている。腕や体は普通の人間とは明らかに違うゆえに、オールマイトよりも少しデカイと思われる。

相澤がやられたのだ、この圧倒的な強さを持つ敵に、なす術もなく。

死柄木はとても嬉しそうに、満足しながら意地悪そうに、相澤に吐き捨てるように呟く。

 

「個性を消せる…なんて、素敵な個性なんだけど、何てことないね、だって圧倒的なる強さではただの無個性…なんだもの」

 

ニヤリと笑っている様子だ。

 

相澤は脳無を睨むが、脳無は何の表情も変えることなく相澤の顔をつかみ、

 

 

 

ドッッ!!

 

 

 

地面にめり込ませる。

 

「っ!!」

 

「ははは!いいね良いね!その調子だ脳無、あとは…オールマイトを待つのみだな…それと13号も厄介だが…まあ、黒霧がなんとかやってくれてるだろうな」

 

死柄木はゲームの攻略をしているように楽しみながら呟いている。

 

 

 

 

 

そんななか、緑谷たちはただ恐怖を埋め尽くされ、呆然と見てるしかなかった。

 

「なあ、緑谷…もうさすがに考え改めたろ…?」

 

手で口を押さえて涙を流す峰田に蛙吹も飛鳥も認めざるを得ない様子だ。

 

「ケロ…」

 

「……っ!相澤、先生が…」

 

「なんなの…なんなのアレ?」

 

向こうの敵は今までとは明らかに違うと判断したからだ。

緑谷たちが相手にしたのはただの雑魚…本当のヴィランはコイツ等だ。コイツ等が一番危険な存在なのだ。

 

 

 

 

「それにしてもオールマイト遅いなあ、早く来ないとコイツら本当に死ぬぞ?まあ、殺す気でやってるんだけども、はははっ…」

 

死柄木は笑いながらそう言うと

 

「死柄木弔」

 

空間から黒霧が現れる。死柄木のところにワープ来たらしい。

 

「あっ、黒霧」

 

振り返ると、相澤の顔を潰そうとする脳無の動きも止まった。

 

「なあ、13号はやっつけたのか?」

 

そう聞くと、少し気まずそうに黒霧は答える。

 

「……行動不能に出来たものの、散り損ねた生徒たちがおりまして…一名逃げられました、応援が呼ばれるかと」

 

そう言うと

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

さっきの嬉しい様子が一瞬にしてドス黒いものへと変わった。

 

 

「…はー」

 

 

死柄木は指で首を搔きはじめる

 

「はーー…」

 

ガリガリガリ

 

「はーーー……」

 

ガリガリガリガリ

 

「黒霧…お前…!お前なにやってんだよ!!なにやらかしてんだよ!!お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしたよ…!」

 

怒りをぶつけて、ましてや同志である仲間すら殺そうとする。

そして、指の動きが止まった。

 

「………」

 

「死柄木弔、申し訳ありません」

 

「お前さ、ワープゲートじゃん?出入り口じゃん?何でガキどもに遅れを取ってんだよお前…」

 

死柄木は意地悪そうに黒霧を睨みつけ、吐き捨てる。

 

「…何十人ものプロ相手じゃ敵わない、あーあ…ゲームオーバーだ、今回はゲームオーバー…」

 

すると死柄木は…脳無、黒霧に向かってこう言った。

 

「帰ろっか」

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

向こうで見てた緑谷はとっさに声を出してしまったが、あえて死柄木達には声は届いてないようだ。それに緑谷達の存在にも気付いてない様子。

死柄木はまるで、ゲーム感覚で遊んでるような…戦場を、ましてや誰かが殺されるにも関わらず、死柄木は遊び感覚で戦ってたのだ。

 

「なあ、帰るっつった?アイツらカエルっつったよな?」

 

「え、ええ…」

 

蛙吹は不安な顔で様子を見ているに対し、峰田は歓喜の顔に変わる。

 

「や、やったー!オイラ達助かるんだ!」

 

「ええ、でも…はっ!」

 

峰田が蛙吹に抱きつき、そして…胸を触ってしまった。

ほっぺを赤らむ蛙吹は峰田を水に沈める。

 

「気味が悪いわ緑谷ちゃんに飛鳥ちゃん」

 

「う、うん…」

 

正直緑谷も飛鳥も状況を飲み込むことは中々難しかった。

 

(帰る?何言ってんだコイツら?オールマイトを殺しに来たんだろ?なのに何で…余計雄英の危機意識が高まるだけだ…なのに何で…でも)

 

緑谷は呼吸を整える。

 

(これで帰ってくれるなら、余計な被害は出さずに済む…僕たち、助かったのか?)

 

そんなことを考えている緑谷。その反面、飛鳥は…

 

(なに…?何を考えてるのあの人たち…私たちは?あの仲間たちは?まさか、私たちにこんなことしといて、仲間は置き去りなの?なんで…そんな酷いこと……)

 

飛鳥は死柄木に怒りを覚えた。飛鳥たちが命懸けで戦ってきたことを、死柄木にとってはただのゲーム…つまり、殺しあうことがゲームであって、死柄木自身何とも思わないのだ。それが、ヒーロー社会が生み出したモンスターなのだということを知らずに……

 

死柄木が黒霧に話しているようだ。

 

「あっ、そうだ…なあ、黒霧」

 

「何でしょう死柄木弔?」

 

「…オールマイトがこれ見たら、どう反応するかな?」

 

「?」

 

死柄木の発言に黒霧は首をかしげる。

 

「だってアイツは平和の象徴だろ?なのにアイツが来てからみんなが殺られてたって聞いたらさ、アイツどう反応するのかな?なあ、平和の象徴と呼ばれてる男が、自分の命を狙われてるせいで、関係ないソイツらの命が、人生が潰されたらさ…!なあ!アイツ怒るかな?嘆くかな?泣くかな??あっはははは!っということで」

 

歪んだ感情で高笑いすると死柄木は水難ゾーンの、緑谷達を一瞬で睨み。

 

 

 

 

「コイツらをへし折って帰ろう!!」

 

 

 

 

一瞬で間合いを詰める。

全く追いつけない速度で、死柄木は蛙吹の顔を手で触れようとする。

緑谷と飛鳥は動くことが出来なかった、そのスピードについてこれなく、ただ立って見ることしか。

緑谷はとっさに脳裏にあるものが浮かんだ、それは…肘が崩壊された相澤の姿。

そして、今度は蛙吹の顔が…崩壊されそうになる。

いや、なる…なってしまう、死の手が蛙吹の全てを壊そうとする。

そして

 

ピタッ…

 

触り捕まってしまった…が

 

「………」

 

「………チッ…」

 

死柄木は舌打ちをした、崩壊してないからだ。

すると死柄木は後ろを見て吐き捨てるように言った。

 

 

 

「本当…カッコイイぜ…」

 

 

 

「ハァ…ハァ……クッ…!」

 

 

「イレイザー・ヘッド」

 

相澤の顔は血だらけで、目は赤く充血している。ほとんど見るからに重傷なレベルだ…なのにも拘らず、相澤は生徒を守るために、息を切らしながらもその目で、個性で、生徒の命を守ったのだ。

が、死柄木は

 

「脳無」

 

残虐な命令を下すと、脳無は相澤の顔を掴んでまた、思いっきり地面に食い込ませた。

 

 

ドッッ!!

 

という嫌な音を立てて、そして血が広がり取れ落ちたゴーグルにまで血が染まる。

そんな様子をみて楽しんでいる死柄木に、緑谷と飛鳥の二人は思いっきり飛び込んだ。

 

(ヤバイやばいやばいやばいヤバ)

 

「っ!!!」

 

拳を握りしめ。刀を握りしめて。

 

(コイツら、さっきの敵とは明らかに違う…!!というか早いしその手は危険!)

 

 

 

(この人だけは…この人だけは絶対に!!許さない!!!)

 

 

 

 

緑谷は死柄木の脅威を、その危険性を肌身で感じ取り、即座にワンフォーオールを使おうとする。飛鳥も同じく、何より…自分の担任の先生じゃないとは言え…人を苦しめ傷つけたことに、飛鳥は許せなかった。

 

 

 

 

 

「「手…離せっ!!」」

 

 

 

 

大声で叫ぶ緑谷と飛鳥に死柄木は振り返る

 

 

 

 

 

「DETROIT…!」

 

 

 

 

 

「秘伝忍法!!」

 

 

 

 

 

 

緑谷は思いっきり死柄木を殴りかかり、飛鳥は死柄木目掛けて斬りに行く。

 

 

 

 

 

「SMASH!!」

 

 

 

 

 

「二刀繚斬!!」

 

 

 

 

 

ズドオオォォォォォーーーーーーーーンン!!

 

 

 

ズバアアアアアアアアアアアアァァァーーーーーーーーン!!!!

 

 

 

強烈なる一撃、飛鳥の秘伝忍法の力で、衝撃波がブワーッ!と広がる。

 

緑谷は自分の腕を見る、すると

 

(…!!あれ?ケガしてない!?ということは…)

 

無意識に調整が出来たのだ、今までは個性を使えばケガをしていたが…今回は上手く調整がいったようだ。

 

(やった…やった!!まさかこんなにも早く調整が上手くいくなんて…!やったぞ僕!やっ…)

 

 

前を見た瞬間、

希望の顔が、

絶望へと変わった。

目の前には表情を変えてない無傷の脳無が立ちはだかっている。

 

 

「………」

 

 

(は?)

 

 

(え?)

 

 

 

緑谷と飛鳥は目の前にいる脳無を見て理解不能になった。

個性と飛鳥の秘伝忍法が効いていないからだ、なんの表情も変えることなく。

 

(なんだこいつ、つかさっきまで其処にいたのに…ていうか早すぎ、効いてない?まさか…)

 

 

(嘘でしょ?そんな…そんなのって…)

 

 

 

飛鳥は認めたくなかった、脳無と呼ばれるこの男に、忍びの力が通用しないというのは。いや、信じられなかったのだ。

緑谷は蛙吹の言ってた言葉を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

『オールマイトを殺せる算段があるから、連中、こんな無茶してるんじゃないの?』

 

 

 

 

 

 

 

(まさか…まさか…!!)

 

緑谷は全て悟った、だがもう遅かった…死柄木は緑谷と飛鳥を見つめる。

 

「…良い動きをするね君たち、特にその地味そうな君、スマッシュって、オールマイトのフォロワーかい?」

 

首をかしげて言う死柄木は

 

「まあ、いいや君……脳無」

 

すると脳無は目をギュルリと変えて、緑谷を見つめる。そして緑谷の腕を掴んで

 

「…っ!!」

 

「緑谷ちゃん!」

 

蛙吹は死柄木の腕を払いのけ、ベロで緑谷巻きつける、水から上がった峰田は、もぎもぎをもぎ取って、死柄木の手に投げようとする。

 

「させるもんですか!!!」

 

飛鳥がそう叫ぶと…

 

「しつこいなぁ……俺そういうのつい殺したくなっちゃうんだよね…なぁ、脳無?」

 

死柄木がそう言うと、脳無は飛鳥の目の前に現れて、顔を覆うほどの手の大きさで、飛鳥の頭を潰しにかかる。

 

「そ、そんな……!というか、早すぎ…」

 

飛鳥は絶望な顔を浮かべるものの、諦めまいと、回避しようと試みる…だが、それは既に手遅れだ。

 

「さあ…君たち四人、へし折って帰ろう!!」

 

死柄木はゲーム感覚で、子供を殺そうとする。

死柄木と脳無が、蛙吹と峰田を、緑谷と飛鳥を殺そうと迫り来る。

 

二つの敵の死そのものが…今まさに…

その時だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「秘伝忍法!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

 

 

死柄木の近くに、誰かが駆けつけに来た。

 

 

 

 

 

「忍兎でブーン!」

 

 

 

 

瞬間、死柄木は咄嗟に…

 

 

「脳無!!」

 

 

そう言った…

 

 

 

 

 

 

 

ドガアァァァァーーーーーーーン!!

 

 

 

 

 

「うわああぁぁーーー!!!!」

 

 

 

 

 

 

緑谷と飛鳥、蛙吹に峰田は吹き飛ばされる。なぜなら、脳無は咄嗟に緑谷を掴んでた手を離し、飛鳥を殺そうとしたが、死柄木を守ることに変更したため二人は無傷。蛙吹と峰田は、衝撃波のあまり、飛鳥たちの方と同じ、吹き飛ばされる。

 

「よかった…間に合った!!!」

 

煙が上がってるため、現在視界は最悪である。

 

飛鳥たちは…

 

「プハッ!!ここは…水…さっきのところ?」

 

どうやら四人とも水難ゾーンに吹き飛ばされ、その真ん中にいる。四人ともなんとか無傷である。

 

「な、何が起こったんだ!?」

 

「さあ、私にも…ただ、あの声は…!」

 

「間違いないよ…!うん!」

 

 

雲雀だと…そう確信した。




はい!ここで次回は、雲雀VS、死柄木たちです!次回もこんな感じで頑張っていきます!あと自分の文才の無さに呆れてしまう……誰か、文章書く能力プリーズ…

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