光と影に咲き誇る英雄譚   作:トラソティス

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はい、今回は緑谷、峰田、梅雨ちゃんに飛鳥ちゃんの四人の戦いです!


13話「敵(ヴィラン)との戦い」

同時刻、0時50分

仮眠室でトゥルーフォームのオールマイトは相澤と13号に電話をかけてるものの、

 

『現在、電波が届かない場所にいるため…』

 

電話は繋がらないようだ。

オールマイトはため息をつきながら呆れた声でこう言う。

 

「全く…私は愚かしいことをした…通勤時間ギリギリにまで個性を使い、今はこんなザマだとは…今から行って間に合うか?しかしなにを出来るだろう?あと後半くらいで10分だけモノを語れることかな?半蔵さんはそう簡単に出てもらうことなんか出来ないし…むむむ〜…!よし、決めた!」

 

するとムキッ!と身体の筋肉が一気に膨らみ、マッスルフォームの状態のオールマイトとなった。

 

「私が!行くっ!?」

 

その際につい吐血してしまった…その時

 

「待ちなよ!」

 

「oh!」

 

トビラが開き声を出す、その声の主は

 

「こ、校長先生!」

 

「Yes!犬なのか、熊なのか、ネズミなのか、かくしてその正体は…校長さ!」

 

「相変わらず今日も毛並みが整ってますね」

 

「秘密はケラチンさ!君たち人間にはこれほどのツヤは出せやしないよ!」

 

大きな声で叫ぶとオールマイトはしゃがんでジリジリと近づいてきている。

 

「そ、それで今日はどういった?」

 

すると校長は背中から

ジャジャーン!とiPodを取り出し今日のニュースを出している。

 

「見てみなよ、コレだよ!今日は一気に事件を3件解決させたんだよ!」

 

校長は嬉しそうな顔をしている。

 

「平和の象徴と謳われる君がいるのにも拘らず犯罪を犯す輩は大きく大概だけどね!」

 

人差し指を立てて

 

「ワンフォーオールの後継者の育成、謎の忍びを探すこと、そして君が平和の象徴として生き続けるためにはココがうってつけだろ?」

 

小声でそういう。

ワンフォーオールの事は校長も知っているが、あえて他人にはバラさないようにしている。

 

「ありがたいです…校長には感謝しきれません」

 

「いや、それは僕たちの方さ!君は平和の象徴として生き続け、この平和に暮らす社会の人々たちを支えてるんだ、感謝するのは此方のほうだよ!」

 

するとソファに乗り、お茶を入れている。

 

(むむ!校長先生がお茶を淹れている…となると、これはかなり時間が掛かりそうだ…何より話しだしてから4、5時間も話し出すんだよな〜…)

 

「君はいつも無茶ばっかするよね、でもそれが君の長所でもあるのさ!さて、まずは僕の教育機関なんだけど」

 

「…校長、相変わらずですね」

 

トホホとつぶやくオールマイト、その反面心配を隠せない。

 

(電話に出ないというより、繋がらないのが気掛かりだが…)

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、入り口にて。

 

「忍の存在を知ってるだなんて…一体何者!?ただの敵じゃないよね…?」

 

お茶子は怖いものを見てるかのように、怯えながら黒霧を見つめている。お茶子の発言を聞いた黒霧は、ニヤリと目つきを細めて話し出す。

 

「おかしいですよね?この現代ヒーロー社会に忍びなんてものがいるのは……おとぎ話のような存在が実現するだなんて考えても想像できない…しかし貴方たちの表情を見てハッキリと分かりました…『あの中』に忍びは存在する……とね」

 

黒霧は黒いモヤを揺らぎながら、大きく膨らませている。

 

「クッ…!障子くん、皆んなはどうだ!?」

 

「皆んなこの施設の中にいる、ちり散りになってはいるが今のところ全員無事だ!」

 

「そうか…それは良かった」

 

メガネの委員長、飯田は生徒の確認をするため障子に頼んで複製腕で皆んなの様子を調べたようだ。

 

「や、柳生ちゃんは…?障子くん、柳生ちゃんは無事なの!?」

 

「詳細は知らない…敵が各施設内にいることは確かだ。だが心配するな、柳生はコイツらにやられるようなたまではないハズだ。それは親友であるお前が一番知ってるハズだ雲雀。だから柳生を信じろ」

 

「そっか…うん!そうだよ…柳生ちゃんを信じないで友達なんて言えないよ…!雲雀、柳生ちゃんを信じる!」

 

「ああ、まさにその通りだ…!」

 

障子の言うことに雲雀は、強い眼差しで頷く。それを聞いてた飯田も雲雀と同じ、安心したように頷く。

 

「それが聞けただけでも安心した…ありがとう障子くん!」

 

「なに、大丈夫さ…それより、まずはコレをどうするかが問題だろ?」

 

今入り口の前にいるのは13号に、雲雀、お茶子、芦戸、砂糖、瀬呂、障子、飯田…そして目の前に黒い霧を纏う敵(ヴィラン)の黒霧。13号は皆んなを非難するように言う。

 

 

「みなさん!下がってください…そして委員長、学校まで駆けつけこの事を伝えて下さい」

 

 

「!?」

 

 

「警報ならず、電話も圏外、警報器は赤外線式…先輩、イレイザーヘッドが下で個性を消し回っているのにも拘らず無作動なのは、恐らくそれを妨害可能な個性を持つ人間を即座に隠したのでしょう…するとそれを見つけ出すより君が駆けつけた方が早い!」

 

「し、しかし…クラスを置いていくなど委員長の風上にも」

 

「行けって非常口飯田!」

 

13号の案を否定する飯田に砂糖は飯田の肩を掴んで話し出す。

それに続き瀬呂も

 

「考えてみろ、物理攻撃無効でワープって…最悪な個性じゃねーか!」

 

確かに瀬呂の言う通りだ。

ワープの上に物理攻撃無効など、もはや無敵レベルだ…対処の使用がないが、今はそんな事を言っている暇はないのだ。

 

「外に出れば警報がある!だからコイツらはこん中だけで事を起こしてんだろ!?」

 

「外にさえ出られりゃあ追っちゃこれねえ!お前の個性はスピード型だろ!?モヤを振り切れ!」

 

叫ぶ砂糖にコスチュームで顔を隠されてる瀬呂。障子は小声で話し出す。

 

「行け!飯田…!それに、雲雀は俺たちに任せろ!アイツらの目的は、俺たちよりも忍び…飛鳥たちを優先するはずだ…!」

 

 

 

そして13号は飯田に全てを託した。

 

 

 

「救うために、個性を使ってください!!」

 

 

 

 

「…っ!!」

 

 

13号先生…!

 

 

「食堂の時みたくサポートなら私超出来るから、する!から!」

 

するとお茶子がガッツポーズで飯田を励ます。

 

「お願いね、委員長!!」

 

「麗日くん…」

 

「雲雀も、いつまでも柳生ちゃんの後ろに隠れてるばっかじゃないんだ…だから、雲雀も戦うよ!飛鳥ちゃんたちのように、皆んなを守るために!!」

 

雲雀はいつでも柳生の後ろに隠れていた時があった。でも今は違う、友達を守るために、仲間を守るために雲雀は、飯田の前に立ち守るように腕を広げる。

 

 

「雲雀くん…皆んな…!!」

 

 

 

 

 

 

しかし、時間も敵もそれは待ってくれない。

 

「やれやれ、本当に貴方たちヒーローには呆れる…さっきの子供達といい…手段がないとはいえ、敵前で策を語るアホがいますか」

 

すると13号は、皆んなを庇うように前に出て、指をさし向ける。

 

「バレても問題ないから…語ったんでしょうが!!」

 

黒霧の、黒い霧が吸われていく。

 

「クッ…!13号の個性…ブラックホールですか…!!驚異的な個性ですね、何より厄介だ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

火災ゾーン

 

「なるほど、コイツらはオレたち忍びの存在を知らなかったようだな…まあ、コイツらはどうせただの戯言だと思っている、それに急に忍びだなんて聞いても分からないからな…」

 

全員気絶している敵に、柳生は呆れたように言うと、尾白はまあまあと柳生を落ち着かせる。

 

「とにかく、柳生のお陰でこのフロアの敵たちはなんとか全員倒すことは出来たな…あとは他の皆んなが心配だ。柳生はどうする?」

 

尾白は柳生にそう言い聞かせると、柳生は眼帯に触れながら、施設のゲートを見つめる。

 

「決まってる、オレは雲雀を救けに行く」

 

「えっ!?でも、場所は分かるのか?皆んな飛ばされたように見えるし…」

 

尾白がそう言うと、柳生は静かに首を横に振る。

 

「いや、オレには分かる。雲雀が一体何処にいるか、気配を探ればな…」

 

柳生は、悔しそうな顔で、己の手を握りしめる。

 

「オレがいない間に、雲雀がボロボロに傷ついてた時があった…もうあんな思いをするのは嫌なんだ…これ以上は…」

 

 

もう二度と大切なものは失いたくない。

 

 

柳生の表情は何処か悲しくて、淋しくて…それでいて可哀想とも思えるような、そんな表情で、少し目に涙が溜まるようでもあった。

 

「そっか…わかったよ。それにアイツら、忍びを殺すとか言ってたからな…雲雀一人より二人の方が少しは安心するだろうし…けど、くれぐれも気をつけろよ?柳生がそう簡単にやられるようには見えないけど…」

 

「分かってる、お前はどうするんだ?尾白」

 

「俺は他の皆んなが心配だから駆けつけに行くよ…じゃあ!」

 

「ああっ…!」

 

柳生と尾白は、お互い背中を向け合い、走り出した。自分が何をすべきかを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水難ゾーン

 

「何が戦って勝つだよバカかよ!!オールマイトと飛鳥たちを殺せるかもしれねえ奴らに勝てるわけねえだろ俺ら学生なんだぞ!!」

 

峰田は泣き叫んでるが三人は冷静に状況を考えている。

 

「蛙吹さん、どう思う?」

 

「梅雨ちゃんと呼んで、けど…これを突破しないと私たちも無事では済まないということだわ」

 

「となると、正面突破は避けられない感じかな〜…?」

 

「オイお前ら三人無視すんなよ〜!」

 

三人は峰田を無視しながら緑谷はこの戦略を考えている。

 

「…考えてみれば…相手は警戒して船に登ろうとしない…となると」

 

「だから何なんだよ緑谷!?それがどうしたってんだ!」

 

「僕たちのことや、個性までは、分からないんじゃないかな?」

 

「!!」

 

緑谷は説明と立場を分析している。

 

「確かに相手は雄英のカリキュラムを奪ってここにやって来てる…となると、それで来たなら僕たちの個性だって分からないはず…何より向こうがこっち側に来てないのがその仮説を裏付けている…」

 

すると蛙吹も納得したらしく、うなずく。

 

「そうね…確かに、もし私の個性を知ってたら、水難ゾーンではなく、あっちの火災ゾーンに移るはずだわ……知られてないとなると、当然緑谷ちゃんの言う通り個性は知らないことになるわね」

 

火災ゾーンはドームで覆い隠されてるため、今現在どういった状況かは分からないが、カエルの蛙吹にとっては苦手とする災害ゾーンだ。

 

「それに、よくよく考えてみれば…あの黒霧とかいう敵は、飛鳥さんが忍なのにも関わらず忍だと反応はしなかったってことは…こうも言える…!」

 

緑谷の言ってることを理解した飛鳥も口を開く。

 

「私たちのことは完全に分かっていない…そして、私と柳生ちゃん、雲雀ちゃんも忍だということが分からない…!ただ、忍が存在してるというのが分かってるだけ…ってことだよね?」

 

「そう!まさにその通りだよ飛鳥さん!」

 

緑谷はそうだと言わんばかりに人差し指を立てる。

 

 

「皆んなもバラバラに飛ばされたなら…僕たちと同じくゾーンに居るはず…!」

 

緑谷は敵の集団に顔を覗き込む。

 

「つまり、僕たちの個性が分からない…それは僕たちの勝利のカギなんだけど、けど僕たちの立場だって…向こう側もまた同じ!」

 

向こうは緑谷たちの個性は知らないが、それはまた逆も然り、緑谷たちも向こうの敵の個性は知らない。

緑谷は敵に聞こえない程度で作戦を行なう、そのためにはまずみんなの個性を知らなければいけない。

 

「ぼ、僕の個性は…すごい超パワーを出せるけど、でももろはの剣みたいに…てんで扱えなくて…まあ戦闘訓練でも見たとは思うけれどね……力の調整が出来てないんだ…」

 

緑谷は自分の手を見つめてそう言うと、蛙吹は

 

「私の個性は見たまんまカエルよ…出来ることは…そうね、舌を20mまで伸ばせたりとか、跳躍、壁に張り付く、あとは…胃袋を取り出せるのと、毒を…といってもピリッと痺れさせる程度の毒を分泌出来るわ、特に飛鳥ちゃんはもう大丈夫だしね。最後の二つは要らないから気にしないでちょうだい」

 

「うん!!あの時カエルを克服できて良かったよ!」

 

「ぶ、分泌…!」

何故か峰田は顔を赤らむ、何故かは知らないが蛙吹の方をしばらくじっと見つめて「分泌…!」と呟いている。飛鳥は満々な笑みで蛙吹を見つめている。

緑谷は感心するように

 

「お、思ったよりすごい個性だね、あす…!梅雨ちゃん!」

 

「…!」

 

蛙吹は顔のほっぺをちょっぴり赤く染めてる、どうやら梅雨ちゃんと呼んでくれて嬉しかったようだ。

 

「あ、いや…ゴメン!」

 

「自分のペースで良いのよ」

 

反射的に謝ってしまう緑谷に蛙吹はなんともないようだ。

 

今度は飛鳥の番なのか、自分のことを話し出す。

 

「み、皆んなのような特殊能力を持ってる訳じゃないけど、大体忍なら…戦闘力が高いのもそうだし…あっ!秘伝忍法使えるよ!刀で斬撃を飛ばすことも出来るし、そのまんま斬りつけることも出来る…って、まあ斬撃を飛ばすならともかく、この状況で近接戦は無理だからな〜…カエルは、まだ小さいのしか召喚出来ないし…」

 

「お、思ったより凄いね!忍って個性とは違うところあるけど、それでも充分戦闘では凄いよ!カエルも召喚出来るなんて、本当に忍者らしいや!」

 

「えへへ〜…そうかな?」

 

飛鳥は照れくさそうに自分の頭に手を置くと、三人とも今度は峰田を見る、峰田も緑谷、蛙吹、飛鳥の考えてることに気付いたようで、自分も説明する。

 

 

が…

 

モギッと紫色の頭のボールをもぎ取って壁に貼り付ける。

 

「オイラの個性は『もぎもぎ』…自分の頭のボールみたいなもぎもぎをもぎ取って、相手に貼り付けることが出来る、超くっつく。自身にはくっつかず、体調によっちゃあ一日中くっつく事だって出来る、ただしもぎり過ぎると頭から血が出る、そのためもぎりすぎ注意な?」

 

ブニブニともぎもぎをくっつかせてはぶよんと揺れ反応する。

 

峰田は三人を見つめる

緑谷、飛鳥、蛙吹も何も言わずに見つめる

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

「………」

 

とうとう峰田はウルウルと目に涙を浮かべて、身体を震わす。そして次の瞬間、峰田爆発。

 

「だから言っただろ!!応援を待とうって!お前らオイラをバカにしたような目で見るなよ!!オイラの個性は戦闘不向きなーーー!!」

 

「お、落ち着いて!き、君の個性は凄いから今ちょっと考えてたんだよ…」

 

「そ、そうだよ!そんなに怒らないで……凹んじゃダメだよ…」

 

「うるせー!!」

 

すると峰田は涙を流しながら自分の頭のボール部分をもぎとって相手に投げつける。

 

「うわああああーーー!!」

 

ポポポポーーーン!!

 

と投げつけるが相手に当たらない。

 

「うわあああーー!!」

 

泣き叫んで相手のほうに指をさす。

 

「ああ…ホラ…!バレちゃったじゃん…向こうに個性が知れ渡ってしまう…」

 

が、しかしそうでもなかった。

 

「ん?」

 

敵はプカプカと浮かぶボールをみて気味が悪いように近づこうとせず払い避ける

 

「んだコレ?さっきのガキの?キメェな…!」

 

警戒して触ろうとしない。

 

「……!」

 

(警戒して触ろうとしない…これは完全に…!)

 

思い当たるような事があったらしいのか、だが峰田は興奮を、自分の内に沸く恐怖から涙を流している。

 

「ダメだあ〜!もうオイラたちおしまいだーー!!死にたくないよ〜!!」

 

「峰田ちゃん、あなた本当にヒーロー志望で雄英きたの?」

 

「うるせー!!」

 

蛙吹の正論に峰田はさらに激怒する。

 

「オイラたち前まで中学生で、つい最近雄英高校に入学したばかりだぞ!!それなのに殺される状況なんだぞ!この状況で逆に落ち着いてるお前らがクレイジーだろ頭イカレてるだろ!!俺ら死ぬかもしれねーんだぞ!!ああ!せめて八百万のヤオヨロッパイに!三人のくノ一忍び!飛鳥たちのオッパイに触れてから…!!」

 

「ちょっと峰田くん!ドサクサに紛れて破廉恥なことを言わないで!!あと私の胸デカくて今も気にしてるんだから!」

 

「うるせーー!!どうせ揉んでも減らねえだろ!むしろデカくてなにが悪いんだ逆にメリットが増えるだろ!!」

 

飛鳥は赤面して峰田に反論するが、峰田はさらに激怒してこっちも反論してしまう。

 

 

すると突然…

 

 

 

 

ドガアァァァァーーーーン!!

 

巨大な水の手が、船を壊しにかかった。

 

「ひぃっ!?」

 

「きゃっ!」

 

「凄い力だわ!」

 

「うわっ!」

 

さっきの振動でようやく峰田は落ち着きを取り戻したようだ。

それと飛鳥と蛙吹と緑谷はなんとか船の柵にしがみついている。

が、船が沈んでいく…おそらくさっきの攻撃でやられたのだろう。

 

「ゴチャゴチャと目障りだ!さっさと終わらそうぜ!」

 

顔が白くてエイリアンのような顔をしている敵はそう言う。

さっきの攻撃はこの敵がやったのだ…おそらく水を吸収して手を形成してから攻撃しに来たのだろう。

 

「ピーピー喚いてやがる…雄英生とは言えガキだな」

 

「バカ野郎、見た目で判断するんじゃねーよ…それに『死柄木』さんも言ってただろ?油断するなって…見た目で判断するんじゃねえ、個性で判断するんだ…一般常識だろ。まああの可愛らしい女の子がいるから戦いにくいってのも分かるけどよ…ククッ…」

 

「まあ、なんにせよ…ガキに蹴られたんだ…それくらいの落とし前はつけて貰わなくちゃヨオ…!」

 

蛙吹に蹴られたピラニア型のヴィランは口を開けて生徒たちを睨む。

 

「水中じゃあ俺らが100%有利なんだからさ、何にせよアイツらは負け確定だ」

 

「た、確かにいぃ〜〜〜!!」

 

涙流して叫びだす峰田は敵の会話を聞いてたようだ。

 

「なあ!これ絶対無理だって!!殺される〜!俺たちもうお終いだぁーー!!」

 

「たった一人…」

 

「!?」

 

声を出した緑谷。

 

「情熱大陸で、オールマイトが言ってたよ…敵が勝利を確信した時が、大きく勝負を左右するって」

 

「緑谷…お前何言って…っ!?」

 

「勝つ方法は、これしか…ない!」

 

緑谷が震えてるのを、峰田は知った。

 

「蛙吹さ…梅雨ちゃん!飛鳥さん!僕が飛び出て個性を使うから、そうしたら…!」

 

「分かったわ緑谷ちゃん!」

 

「うん、分かった!」

 

すると緑谷は大きくジャンプして敵に飛び込むようにして、声を荒げる

 

「うおおおオォォォーーーーー!!!」

 

「!?なんだ?」

 

突然の緑谷の叫びにビクリと反応する。

 

「死ぃねえええぇぇぇーーーーーー!!!!」

 

(かっちゃん的に!!)

 

「やっぱガキだ」

 

どうやら敵は緑谷がやけっぱちを起こしたと思い込んでいる。

が、しかしこれはあくまで敵に油断させることと、狙いがある。それは

 

(卵が…爆発しない、イメージ!!)

 

すると水中にデコピンを仕掛ける

 

 

 

 

「DELAWARE SMASH!!」

 

 

 

ズッドッパーーーーーーーンン!!!!

 

 

「うっ!なんだぁ!?!」

 

敵は訳も分からず波に飲まれる。

緑谷のDELAWARE SMASHは、指先に力を入れて発動させる。

そのため直接じゃなくとも、とても強い衝撃波を出せるため…着地する前に、遠距離攻撃を仕掛けた。

当たった水面は大きく溝が出来て、敵のみんなは波に飲まれているのだ。

だが緑谷の個性ワンフォーオールは、力の調整が難しいために、ケガをしてしまう。

緑谷はこの先の戦いでは、まだまだ敵が居るためあえて腕は温存していたのだ。そう前の時みたく、焔の忍結界を壊した時にはならない為にも…

個性把握テストとおなじ、指が腫れ上がっている。

 

「緑谷ちゃん!」

 

すると蛙吹はベロで峰田と飛鳥を巻きつけ、一気に跳躍する。

 

そんな中、飛鳥は…

 

(敵…か)

 

心の中で、何やら思ったことがあるようだ。飛鳥の脳裏に浮かぶのは、蛇女子学園の悪忍の生徒たちの、焔たち五人の選抜メンバーと戦った時だ。

 

(あの時とは完全に違う…戦い方も、敵も…焔ちゃんも……でも、私も前とは違うんだ…!)

 

飛鳥は刀を抜き出す。飛鳥がやろうとしたことに気づいたのか、船に攻撃をした敵は飛鳥を睨み出す。

 

「ええい!女だからって容赦しねえぞ!オラ死ねえ!!」

 

巨大な水の手を作り出し、飛鳥目掛けて襲い出すと、飛鳥は構える…

 

「秘伝忍法!『二刀繚斬』!」

 

大声で叫ぶと、二つの刀で斬撃を飛ばし、水の手を斬り裂く。

 

ジャパーーーーーーーンン!!

 

 

「うおお!!俺の個性が…!全く歯が立たねえ!?」

 

その敵は飛鳥の力に驚いたのか、呆然とした顔でいる。そして飛鳥の斬撃の威力で、更に波が強くなり、飲まれていく。

 

「やったー!」

 

飛鳥は満面な笑みを浮かべている。それを見た峰田は…

 

(なんだよ…飛鳥、お前女なのに…女なのに…どうして…どうして!!)

 

「…緑谷…飛鳥…んだよオメェら…!」

 

峰田は、あの時緑谷が震えてたのを知っている。すると今度は緑谷を見つめる。

 

(お前だって、オイラと同じ泣き叫びたいのに、怖いの分かってるのに…なのに、なのにお前ってやつは…!飛鳥も…!!)

 

緑谷は峰田とおなじ怖くて怖くてどうしようもなかったはず、だが緑谷はそんな怖い思いの中、勇気を振り絞り飛び出したのだ。ましてや飛鳥は、女性なのにも関わらず、男の自分とは違って、怖がることなく立ち向かった。そんな二人の姿に、峰田は涙を浮かべる。

 

(お前らカッケェじゃねえかあぁーーーーー!!!!)

 

「うおおおオォォォーー!!!」

 

泣き叫びながらも、頭のもぎもぎをもぎ取っては敵に投げつける。

 

「オイラだってぇーーーーーーー!!!」

 

ポポポポポポポポポポポポ

 

「オイラだっってえぇぇーーーーーーーーー!!!!」

 

ポポポポポポポポポポポーーーーン

 

峰田のもぎもぎボールは全て水に落ちたり敵に当たったりしている。

 

「!?んだコレ…取れねえ!?」

 

ボールが敵にくっつき、取ろうとするものの手がくっ付いて手も動くことが出来ない。

殺傷力は0だが、それでも超くっつく…敵とおなじボールも波に飲まれてボールがどんどん敵にくっ付いていく、そのため敵と敵が一緒にくっ付いていき、それがどんどん一点集中し完全に身動きが取れない状態となった。

 

「さっきの僕と飛鳥さんの衝撃で水が一気に溝に吸い込まれて、峰田くんのボールで身動きが取れなくなるから…」

 

「一網打尽」

 

パアァァーーーーーーーーン!!!!

ボールにくっ付いたままの敵が上へと弾け飛ぶ。

峰田と緑谷の活躍に笑顔で見つめる飛鳥、苦痛の余り指をケガして抑えている緑谷に、ベロで緑谷を回収した蛙吹、そしてとても役に立った峰田。

 

「第一難問突破って感じね、凄いわ三人とも…!」

 

表情はとても普通に見えるが、とても感心している蛙吹は、三人を見つめて。

 

 

 

次々と状況は転がりながらも戦い続ける。噴水広場では相澤が敵の集団と戦っている、状況は見た目では相澤が有利なように見えるが、体力は減らしつつある。敵たちも負けられまいと立ち上がり殺しにかかるが返り討ちにされる。

そんな状況の中、二人の敵はずっと動かずに立ち止まっている。

脳が飛び出てる大男は表情を変えずにただ相澤を見つめているように見える。

死柄木は、指で少し首を掻き…そして、小さな声でこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ殺るか…」




今回は四人とも大活躍でしたね!そして死柄木、ヤツがとうとう動き出す…!

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