現代社会は、『個性』という特殊能力を持つ人間が世界の人口約8割を占めている。
そのなかで『個性』を人の為に、正義の為に、救ける為に使う者。夢が現実となった憧れの職業「ヒーロー」。
逆に、力を悪用し、己の為に振るう者。「敵(ヴィラン)」。
これがこの社会の表側。そしてその裏には…今やおとぎ話と言われ人々の心から消え去ってしまった翳(かげ)の存在。No.1ヒーローしか知らない…闇で与えられた仕事を全うする、「忍」がいる。それは時代が変わろうとも、今も存在する…
表側と裏側。二つの大きな存在が交わり深く関わる物語が今、幕を上げる!
”人は生まれながらに平等じゃない。”それは、緑谷出久という少年が齢4歳で知った社会の現実。
”忍びの運命(さだめ)は死の定め、そして命を賭けて仕事を全うしている”…それは、忍びの善忍になると決めた、飛鳥という少女が知った、定めの現実。
緑谷出久はあれから高校生となり、今は…あのヒーロー育成最高機関である雄英高校に居るのである。
緑谷は4歳までには発達するという個性が出ないことから、無個性と呼ばれてた。
そしてアレから中学生となり、将来を考えて決める時期になった時だった。皆んなから、幼馴染である爆豪勝己、緑谷の渾名は「かっちゃん」とよばれる人から大きく見下されては馬鹿されてきた。
自分の体など分かっている…だけど諦めきれなかった、憧れのヒーロー、平和の象徴オールマイトみたいなカッコ良いヒーローになりたかった…
あのオールマイトとの出会いが、緑谷出久の人生が大きく変わったのだ。『ワン・フォー・オール』という個性を手にし、受け継がれた緑谷は…なんだかんだと色々な事があり、オールマイトの出身校であった雄英高校に入る事が出来たのだ。
そして今…!
「行ってきます!」
場所は変わり、東京の港にて。
海の上を泳いでいる船は、そろそろ浅草が見える港えと到着しようとする。
「わあー!浅草が見えてきた!!」
活気盛んな声で叫ぶ少女の名は飛鳥。その少女は忍びであり、規律を守り、正義として振る舞う善忍である。しかし今の姿は、学生の白い制服であり、首には赤いスカーフを纏い付けている。
見た目はただの学生だが、これは忍びである。飛鳥はまるで懐かしい物を見るような目で見ている。
「そういえば…最近は全然此処には来てなかったからなぁ…どうなってるんだろ?」
そもそも飛鳥は忍びであり、表の社会の、現在の超人社会はあまり知らないのである。
忍びの任務が忍びの全て、そのため他のことは考えなくて良い…と。
飛鳥の祖父は半蔵という伝説の忍びである。そしてその孫である飛鳥は、半蔵の名に恥じない為に立派な忍びになるのである。
「じっちゃん…今頃元気にしてるかなぁ…?」
そう呟くと、そろそろ到着の様子だ。
そしてそんな飛鳥の後ろ姿を見ている、黒いセーラー服を着たもう一人の少女が居ることは、飛鳥自身知らないのである。
この社会は、この世界は一見通常に見えるし、まず日々平凡とした普通の日常なのかもしれない…だが、少年少女達の出会いが、大きく変わりだし、『今』動き出そうとしている。
ヒーローとは何か…敵(ヴィラン)とは何か?
正義とはなにか…悪とは何か?
二つの物語が一つとなり、始まる。