手記はここで途絶えている。
目の前に広がるのは際限など無き蒼穹の道。そして、地面いっぱいの草の原。
風が頬と耳を心地よく揺らし、村の人々の話し声は刺激となって己に還る。
この風、この肌触りこそ己の原点。きっとここが世界の果てだ。
この景色を一度見たならば、誰しも必ずや魂に焼き付き離さない。
記憶に刻む。心に刻まれる。絶景とは、古来よりそういう類のもの。
それが故郷の景色だった。
美しい。無くしたくない。
自分を産み、育ててくれたこの風景を。
◇
―――男にとって、自分の生まれた村が世界の全てだった。
小さな村。はじまりの村。そこで生き、経験し、男はある日真実を知った。
この世界は、黒色の化け物に襲われている。この大陸は自分が思っているより広大で、黒色の軍勢に覆われている。
―――嫌だ。
誰かが戦わねばならない。
誰かが奮い立たねばならない。
―――この村が襲われるのは、嫌だ。
生まれ育ったこの村が黒に呑まれ消える。そんな事は耐えられない。
だから、
『黒に呑まれず、俺は光をつかむ』
決心した男は、一心不乱の修行を己に課した。
幸か不幸か男には天稟があった。斬るという分野に属する武器は何でも扱えるようになったし、自分だけの武技も身に付いた。
そして出会う黒は全て薙ぎ払い、殺し尽くした。
・・・でも足りなかった。
『―――何でだ』
一人きりの義勇軍を男は創った。敵は殺す。黒は殺す。魔物は殺す。
寝る暇など無い。やらねばならない。自分が。一人で。いや、独りででも。
『何でだ・・・・』
結果より過程を見るならば、男は頑張ったし凄まじかった。世が世なら、英雄と呼ばれるほどに。しかし世はそう簡単には変わらなかった。
『何でだ・・・!』
殺しても殺しても、敵は減るどころか増える一方だった。多対一。考えるまでも無い、純粋な数の論理だ。一人より大勢、強いに決まってる。
・・・そして黒に襲われる、男が守りたかった村。守りたかった人達と風景。
『―――――。光を、ツカム』
光を失った目で、男は黒を殺していく。感情など不必要。身体が動けばそれでいい。
敵よりも速く動き、この武器を叩き込めればそれで。兇器に名など無用。
その姿が、無辜の人々には何に見えるだろう。端から見ればその姿は、男が嫌う黒そのものだった。
―――義勇軍とは、男とは、世を乱す黒の軍勢ではないか。
『何だ。お前、黒の軍勢か』
黒に襲われ余裕の無い、心無い人々は男を口々に嘲った。
―――ふざけるな。
言葉には出さなかった。口を真一文字に結び何も語らず、男はただ一貫して己のやるべき事に従事した。
まるで魔物のように静かに、黙々と。独り心を殺して。
死に至る病が、己を蝕んでいると知った時にはもう遅かった。
『――――俺は、剣を取るべきではなかったのか?』
『光を、――――つかむ?』
光とは何だ?
もはや誰も、魔物のような男に見向きなどしなかった。かける言葉も。
重くなる五体。冴えぬ武技と浮かぶ疑問。
・・・過程よりも結果を見るならば、男のしている事は一般的にこう言う。
無駄。
――――そんなある日、仲間が出来た。
『おいらはハードボイルドな妖精さ!』
二人きりの義勇軍。
『俺はカイン。隊長、一緒に戦わせてくれ!』
三人きりの義勇軍。
『あたしは弓兵ミシディア。損はさせないよ?隊長さん』
四人きりの義勇軍。
『私は癒し手、マリナといいます。どうか私も義勇軍に加えて下さい』
五人きりの義勇軍。
そしてある日、
『フィーナと申します。よろしくお願いします』
・・・・・気付けば、男にはたくさんの仲間が出来た。そして増え続ける仲間達。
『―――貴方は何故、泣かれているのか?』
『恩義に報いる為、我が身命を貴方に捧げる』
『何を手に入れたいのか。…差し出せというのか?厚かましき者よ』
『私如きを、必要と仰る…?』
『喧嘩 。できるんだろう?』
『私は欲しいだけなのだ。私を振るう腕が』
『相応の対価は、頂けるのでしょうな?』
『永の助太刀も、また一興』
『いいだろう、見せてくれ。貴公の世界を!』
―――皆苦楽を共にし、戦い、そして勝利してきた。
『光を、掴んだ』
男は仲間と共に大陸を、世界を救った。
義勇軍は成し遂げた。
『・・・・皆。義勇軍は解散だ』
そして男の死は唐突に、簡単に起こった。
そこに後悔はない。死に至る病も何もかも。
男は立派に人生をやり遂げた。正に天晴れだ。正に英雄だ。
「―――貴方の幸せは?」
・・・・?
「貴方を愛したあの女性は?貴方を慕った人達は?……幸せだったのですか?」
彼らには彼らの人生がある。幸せも人それぞれだろう。
「―――貴方は確かに世界を救ったのでしょう。黒に打ち勝ったのでしょう」
でも、それが偉業であろうとも、
「私には、貴方が幸せだったとは思えない」
何を馬鹿な。念願の光を男は掴んだのだ。仲間達も同じく。
―――だが幸せを掴んだと、果たして言えたか?
「ツカムさん……貴方。誰かを守るばかりで自分を守っていないじゃないですか」
光って、一体何なんですか?
―――つまるところ、男の人生はそんなストーリー。
英雄譚と思うか?悲劇と思うか?喜劇と思うか?
・・・今となっては誰にも分からない。
だが男は満足であった。今際の際に、皆に囲まれているその時に、それだけは感じる事が出来たから。
―――それ以外、何も感じなかったから。
◇
「これって……夢?」
ある男、ツカムの半生を桜は夢で見ていた。
サーヴァントではないとはいえ、死者であるツカムと桜は契約している。
霊的なつながりが、両者にはある。どうやら夢の中で彼の記憶層に紛れ込んでしまったようだ。
「ツカムさん…」
彼が幸せであったのか、なかったのか。
彼に聞いてみるか? いいや。おそらく彼は否定も肯定もしないだろう。
満足を感じた人間とは得てしてそういうものだ。
「でも私、貴方に恩返しがしたい」
―――兄さんと先輩達。先生。そして貴方のお陰で、私は。
人間は、余裕があるからこそ他者の事を考える事が出来る。
桜は周りの人々のお陰で、余裕というものを実感できていた。
「私は義勇軍の団長です。団員の幸せも考えずして、何が団長ですか」
昔よりも、大事なのは今だ。これも何かの縁。是が非でも、彼には幸せを掴んでもらおう。
それは決意だった。
他者からすれば、何とちっぽけな事かと一笑に付され独善だと揶揄されるだろう。
だがこれは彼女が自ら願った、世界に二つと無い決意。彼女だけの炎、彼女だけの小さな願い。
その決意を胸に、桜は部屋の扉を開ける。
目に広がるのはよく掃除が行き届いている綺麗な廊下。間桐の屋敷とは全く違う風景。
それもその筈。ここは士郎の家である衛宮邸。昨夜イリヤ達と戦闘を繰り広げた桜達は、何とか生き延びる事が出来ていた。
『…サクラ。貴女の下僕、中々楽しめたわ。少し興味が湧いてきたしね』
端的に言えば、見逃してもらえたのだが。
『戻りなさいバーサーカー。それじゃバイバイ、お兄ちゃん達。また遊びましょう?」
―――次会う時までに、殺されないでね?
・・・恐ろしい相手だった。あんな小さな子が、一体何を経験すればあれほどの風格が備わる事が出来るのか。
「ツカムさん、大丈夫かな…」
ツカムとの魔力の繫がりは今のところ順調。
しかし昨日の戦闘で彼は酷い傷を負った。問題無し、などという楽観を桜は出来なかった。
「おはよう、サクラ」
・・・と、
「ツカムさん!お怪我は…?」
噂をすれば何とやら。けろっとした風でツカムは桜の前に現れた。
「大丈夫だ。心配かけてすまない、団長」
そう言い、口を真一文字に結ぶ彼。
「…本当に、大丈夫なのですか?」
「・・・・」
ツカムは我慢が人一倍出来る男だ。うわべに、騙されてはいけない。
「―――ツカムさん?」
「・・・すまない。実を言うと、まだ少し痛む」
横腹をさするツカム。
「やっぱり…!あのバーサーカーの一撃は相当なものです。後に残らない方がおかしいんです!」
「ドジってすまん。まさか体力が回復するようにしてもここまで響くとは。・・・過信がすぎたかな」
「ドジるとか過信とか言う前に、この世界の英霊と戦う事自体昨夜が初めてでしょうに!!」
そう、ぶっつけ本番があのバーサーカーである。
「・・・ぐうの音も出ない。面目ない」
「本当に、気を付けて下さいね…?」
『―――さん。気を付けて下さいね?私、信じていますから』
ツカムを覗き込む桜に、誰かの顔が重なる。
「・・・・ああ。気を付けるよ」
「お願いします。ツカムさんは私の大切な団員なんですから」
―――これから、一緒に戦って往く仲間なのですから。
そしていつか教えて欲しい。貴方にとっての光とは何なのかを。
「………それはさておき、ツカムさん」
「何だ?団、長・・・?」
一体どうしたのか、顔を沈ませる桜。
「―――この聖杯戦争において、ミスは決して許されない」
「・・・へ?」
顔をうつむかせ、薄い笑みを浮かべる桜。心なしか若干黒くなってるような気さえする。
「……貴方は、迂闊にもあのバーサーカーに単身突っ込むなどという過ちを犯しました」
「サ、サクラ?」
「この義勇軍は、規律が全てです。守らない人は……罰を受ける」
桜に、誰かの顔が重なる。
―――見えるか?俺には見える。桜の後ろに、桜の後ろに、料理に似たこの世の物とは思えない何かを持っているあの子の笑顔が・・・!
『 めしあがれ? 』
「いたぞ!!!いたぞおおおおおおお!!!!!うわあああああ!!!!!」
ツカムは逃げ出した。しかし回りこまれてしまった。
「遠坂先輩を起こして来て下さい!あの人朝相当酷いんですから!!」
◇
衛宮邸には、たくさんの部屋がある。
桜が寝ていた部屋だってそうだし、凛が寝ているここだってそうだ。
凛を起こしに来たツカムは当初、こんなのが罰か?と不思議がっていた。むしろ女性の寝室に入れてラッキー!とか思っていた。
彼女を起こすまでは。
「・・・何と、醜い顔なんだ・・・・」
「ここじゃそれは女性に喧嘩を売る言葉よ。掛かって来い」
―――こんなひでえ寝起きは流石の俺も初めてだ・・・。
ゆらゆら揺れる胡乱な目つき。寝癖のひどい黒髪。ズダン、と力強い足音を響かせながらベッドから起き上がる遠坂凛がそこにいた。
「で?」
「え?」
「何しに来たのよ?」
「何って・・・君を起こしに」
寝ぼけているのだろうか?低く腰を沈めて何かの構えを見せる凛。
「殺す」
肘が飛んできた。
「こいつ、頭のネジが何本か足んねぇみたいだぜ」
笑。
肘。肘。肘。
「…乙女の寝室は神聖な場所。それは絶対の規律。守らない奴は……罰を受ける。決して許されない……!」
肘。肘。肘。
避ける。避ける。避ける。
「ピリカ。起きてるかピリカ。・・・ピリカ!!」
(何だい・・・?ツカム)
ツカムの頭の中に、羽の付いた妖精の寝ぼけ声が聞こえる。
「頭のイカれた赤いゴリラがいる。一人では手に負えない」
(・・・相棒。今は眠いから、一人でカッコいいとこみせましょ?)
「オイ、AIBOーーー!!!」
―――俺には無理だよ!つかなんでさっきから肘撃ちばっか!?
「当たると死ぬからよ」
「気を悪くしないでよ、・・・あんた拳帝肘皇だろ?」
肘。肘。背中。
「…違うわ。深道ランキング1位よ」
―――だらんと左腕を下げ、右手を縦拳に構え相手に対して半身の姿勢。いつでも大爆発を、八極を発生させられる構え。
「・・・これが寝起き?普段より一層ひでえぜ」
彼女異常ですか?
まあ医学的に申し上げると、イっちゃってるね。
(―――バーサーカーという死地を乗り越えたツカムを待っていたのは、また地獄だった。破壊の後に寝入りついたあかいあくまと暴力。冬木の街が生み出した、遠坂凛。
寝起きと不機嫌、うっかりと混沌とをコンクリートミキサーにかけてブチまけた、ここは衛宮邸のゴモラ。
次回、スパークスライナーハイ。
来週もツカムと地獄に付き合ってもらう。
―――・・・相棒。BGM的にはMighty Windだとオイラは睨んでるよ)
「少し黙ってろこの妖精野郎むせる予告をべらべらしゃべりやがって」
THE ENDってか。
「 光をつかむ! 」
絆アビリティ発動及び武装選択。
【殺意剣技・砂の渦・冒険者支援・剣術道場】
【武装:フィーナのチョコ】
―――人間に対する攻撃力及び速度を急上昇。そしてこれから繰り出す一撃を受けた者を、一定確率でスロウ状態にする。
ただの人間相手にアビリティを?
・・・当然だ。こうでもしなければ、ツカムは負ける。
一太刀で勝つしかない。
八極の化身を真っ向から見据え、ツカムは心中に期した。
二の太刀などは無い。
一撃目で仕留められなくとも次がある。などという考えで勝てる相手ではないのだ。
一撃、必殺。
実現するには最高錬度の技を使わねばならない。最も信を置いている剣技を使用しなくてはならない。
幾人もの敵を倒し、仲間を守ってきた至高の武技を。
「・・・不思議だな。リン、君とはいずれこうなっていたという自覚がある」
「―――桜を誑かした下郎には、この私が誅を下すわ。…手出しは無用よ、アーチャー」
昂ぶらず、荒ぶらず。
流れる水のように戦い往く己を自覚する、両者。
「なかなかやるな、この世界の女傑」
「〝安いプライド〟よ。どんな人間でも、〝安いプライド〟があれば戦えるのよ。何とだって。あんたとだって!!」
例えばそう、ただの人間でも英霊と同等に戦い勝つ事だって出来る。たとえ相手が最優だろうと最強だろうと関係ない。やるのだ。
出来るのだ。
そして両者とも、奇しくも考える方向は同じ。
敵よりも速く斬ればいい。
敵よりも力強く一撃を叩き込めばいい。
ツカムと凛が地を蹴った。
―――縮地剣 ダッシュブレード
―――二の打ち要らず
疾走。そして踏み切り。奔る五体。横一文字の斬撃。
震脚。巡る勁。重心下方過重踏み抜く床。鉄山靠。
剣が砕ける。魔力で覆われた靠撃が届く。折れた剣で、苦し紛れに攻撃を加える。部屋の外にまで吹き飛ばされる誰か。
「・・・・・見事だ。これ程の実力とはな、リン」
尻餅をつき、壁にもたれながら部屋の中に立つ女性に賞賛を浴びせるツカム。
「――――――」
「・・・いや、それは違かったな。貴女は、初めから強かった」
初めて会った時から、この女性は気高く強かった。
苦しげな呼吸のまま、ツカムは独白する。
―――勝敗は決した。
勝者は、勝ち鬨を上げるべきだ。
「――――――」
返事は無い。
「・・・・・リン?」
ふと、ツカムは首を傾けた。
部屋の中で立ち尽くしている女性を視界に収める。
「――――――――」
そこには誰もいなかった。
女性は背を向けた姿勢で、呼吸はしているし心臓も動いている。
背中で語る。男の専売特許だが、この女傑にはご同様。
有るものは、それだけ。
限界に留まったものと、その先に行ったもの。
その結末が、ツカムの目の前で立ち尽くす姿だった。
「――――では、俺の勝ちだな。リ、」
「いいからさっさと解毒剤出しなさいこの変態」
苦しい声を上げる凛。
まるで声を出すのも精一杯という風だった。
一体何が起こったのか?
簡単に言うと、ツカムが振るった剣には攻撃が当たると一定確率で相手を毒状態にする効果があったので凛は毒状態となった。
「いやまさかあれを砕くとは思わなかった。聖剣には劣るが名剣なんだぞ、あれ」
「はやく」
「義勇軍に入ってくれるんなら解毒するぞ?リン」
「……勝ったのは私でしょ」
「だが、剣に向かって生身で突っ込んでくるような筋肉馬鹿にはダチが必要だ」
ギギギと顔だけを後方に向け、青白い顔でツカムを睨みつける凛。
「アンタを殺してやる…!」
「口だけは達者だな。あまり強い言葉を遣うなよ、弱く見えるぞ?リン。体調はどんなだ?」
「こっちに来て確かめなさい…!」
「いや結構。遠慮させてもらうぜ」
―――あ、そろそろ限界かも。顔の色すごい事になってる。
「…わかった!分かったわよもう!!……義勇軍に入る!」
「その言葉が聞きたかった」
絆アビリティ発動。
【毒物研究】
「これでもう大丈夫だぞ。リ、」
「ふんぬ!!!」
外門頂肘。当たる肘。
「寝起きの人間に!毒食らわす奴が!!一体全体どこに!!!いるっていうのよ!!!!」
裡門頂肘。裡門頂肘。裡門頂肘。鉄山靠。
「ってここにいたわこの変態が!!!」
「や、やめ・・・ヤメロォー!!八極拳士は一撃で相手を倒すのが旨じゃないのか!?」
「…あんただけはVIP待遇よ…特別よ…。一撃、二撃、三撃、四撃…!!」
「腕の骨が折れた・・・!」
「人間には、215本も骨があるのよ。一本くらい何よ!!」
そういう問題じゃない。
「 ツカム。遠坂。 」
「何!?今いいところなんだから邪魔しないで!・・・・よ?」
「おお!救世主!・・・が?」
まるで朝東から昇る御天道様のような、神々しい声をツカムと凛は聞いた。
Q:ここは誰のお宅でしょう?
「ツカム。遠坂を起こしてくれたんだな、ありがとう。―――おはよう二人とも」
踏み抜かれて穴が開いた床。ぶち壊された扉。ボコボコの壁。仁王立ちの衛宮士郎。
「・・・・実はこの家な、俺の親父が残してくれた数少ない物なんだ。だから愛着ってんじゃ無いが、それなりに大事にしててさ」
「え、衛宮君…!私は悪くないわ!こいつが乙女の寝室に勝手に不法侵入」
「お前は黙ってろ」
「アッハイ」
「士郎分かるだろ?…不法侵入?リンは何か言ってるが俺はサクラに頼まれただけだ。女の方が勝手に眠けまなこで人をぶっ飛ばしやがっ」
「お前も黙ってろ」
「アッハイ」
「・・・言いたい事は・・・いくつか・・・あるんだよ。昨日は助けてくれてありがとうとか。体は大丈夫か?とか」
天を仰ぐ士郎。
「ま・・・一言でいうなら、」
天から地へと、見下ろす。
ホンキ
「 本 気 に さ せ た な 」
「ご、ごめんなさい!!」
A:他人の家では静かにしましょうって、学校で教わったでしょ?
次回予告
暗雲を払わねば、太陽が輝かぬとするなら、世界を走る無謀なる風となろう。
屍を築かねば安らぎが来ないものなら、己の血の滾りに身を任せよう。
それぞれの運命を担い、英雄達が昂然と顔を上げる。
次回「消えない炎」
放たれた矢は、標的を射るか。地に落ちるか。