Fate/チェインクロニクル   作:ブロx

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チェンクロの映画と第3部が思いのほか熱くてうれC。
伝説の義勇軍!!!ツカムさんとフィーナ実装はよ。







第12話 直面

 己の首めがけて、刀が振るわれる。それを我が剣で捌く。

そして依然変わりなく、敵の白刃が己の首に迫り来る。

 

「!!」

 

 凶刃を文字通り必死になって避ける。捌く。避ける。

・・・先程から、ずっとこれの繰り返し。堂々巡り。

 敵の一刀一刀は常に最速を帯び、こちらの剣を切り落としながら的確に己の急所を狙ってくる。

 いかなる原理だろうか。

敵の刀とこちらの剣が触れ合った瞬間、こちらの剣は的確に相手から逸れ、敵の刀は失速する事無くこちらに向かって来ている。

 

―――まるで魔剣だ。

 

 敵の振るう一刀は、そのどれもが必殺の域にある魔剣。あの刀に触れてはいけない。

しかし刀を体捌きのみで避けると、

 

「―――いいのか?」

 

 切り下ろされた剣が跳ね上がる。

避けたはずの剣先が、これまた失速することなく我が首に迫り来た。

 

「はあッ!!!」

 

 膝を使い、敵から大きく距離をとるセイバー。

敵・アサシンのサーヴァント佐々木小次郎はだらんと両腕と刀を下げ、動かずにこちらを静かに見やっている。

 

「……攻めて来ないのか、貴公」

 

「これは異な事を。

私はこの山門の門番だ。門番が、門から離れる訳にもいかぬだろうよ」

 

 佐々木小次郎と名乗った剣豪は、それはそれは静かな男であった。

静かに、あくまで自然に、あくまで普通に息をするように。

 こちらが気付く事無く、首を斬りに来る。

剣を振るう行動はおろか、その立ち居振る舞いに一切気の乱れが無い。気の昂ぶりが無い。

 ・・・常識的に考えれば、それは不可能。

アサシンの持つ得物は刃渡り5尺(約1.5メートル)にも及ぶ長刀。

 そんな長物を振るうともなれば、動きの兆候もしくはその気配が必ず発生して然るべきだろう。

 それが無いなどと。

 

 ―――もし、

仮に、アサシンと同等もしくはそれ以上の武人がこの場に居たならば、気付く事が出来るだろう。

 かるくこの柳洞寺全体を飲み込んでしまうほど強大な、剣豪の気を。

そしてそれほど強大でありながら、完璧なまでに気の起こりや昂ぶりが消されているという事を。

 まるで大自然の気そのものだ。

たとえサーヴァントといえど、果たしてこのような怪奇が可能なものか。

 

「やるねェ・・・」

 

 すなわち、答えは明快にして異常。

アサシンのサーヴァント・佐々木小次郎は、気を極めた達人であった。

 

「―――ツカム。貴方の宝具で、アサシンを刺し貫いてみては?」

 

 元・義勇軍隊長を横目に、問うのはライダー。

英霊である彼女を持ってしても、単騎でアサシンを突破する事は難しい。

 

「・・・無理だな。あちらは上で、こちらは階段下。そしてあの剣技。

地形が悪い事を鑑みても、彼に俺の剣が届くとは思えない。

 君の宝具でも、多分難しいだろう」

 

「……成る程。これは、私の切り札をきる事も考えなければなりませんね」

 

 アサシンを見つめるライダー。

美しいであろう彼女の目を隠す覆いが、疼いた。

 

「アーチャー、貴方の弓は?」

 

「・・・先程から射ってはいるが、その悉くが切り払われている。

あのアサシンは、正に剣の結界と言ったところか」

 

 弓兵業に勤しんでいる己がサーヴァントに問う凛。

彼の弓の腕を持ってしても、侍を崩す事は難しい。

 

「セイバー。切り結んでみて、どうだ。あいつは」

 

 士郎が必死の形相で、セイバーに言葉をかける。

階段を駆け上がりながら立て続けにアサシンに攻撃を加えていたのは、ツカムとライダー、そして他ならぬ己のサーヴァント・セイバー。

 剣を交わす事でしか、分からないモノもある。

 

「―――彼は、私をも凌ぐ剣技の持ち主ですシロウ。

場合によっては、宝具を使用する事になるやも知れません」

 

 先日戦ったランサーの一件を例にあげてみても、宝具の解放は己が真名を告げる行為と同じ。

 ここキャスターの根城で、そのようなリスクを背負う事は極力避けたいのが、英霊達とそのマスターの本音であった。

 

「―――しかしながら、これは驚きだ」

 

 思考の海に沈んでいた義勇軍の面々が、声の主であるアサシンを注視する。

 

 

「その男。私と同じ邪剣使いとは。

そしてそこな西洋の剣を使うセイバーは、その首七度は切り落としたかと思ったが今だ健在。

 ・・・なるほど。西洋の剣にも、ちゃんと術理はあったのだな」

 

アサシンの口調とその表情には、惜しみない賛辞が込められていた。

 

「だが、そなたの真の実力はこんなモノではないのだろう?

・・・いい加減、手を隠すのは止めにしろ」

 

―――見抜かれた。

 

セイバーの背に冷や汗が流れる。

 

「何の事です。侍」

 

「私が気付かぬと思っているのか?その剣、切り結ぶのが本分ではないだろう事は分かっている。

 そなたの真の力を、全力を、この私に見せてくれ」

 

 そう言いながら、ゆらりと右手に持つ長刀を揺らすアサシン。

全力と全力のぶつかり合い。尋常な立ち合い。ただそれだけを、望んでいる。

 この時が、己の全てでいい。

 

「………それは」

 

 セイバーはちらりと己がマスターを見やる。

全力の立ち合い。それは彼女も願っている事ではある。

 己の剣が、このアサシンにどこまで通じるのか。

敵うのか敵わないのか。剣士として、騎士として。

 

―――だが今の私は、シロウのサーヴァント・セイバーなのだ。

 

 セイバーは刀身を風で隠した剣を、静かに己の右脇に構えた。

それが、侍の問いへの答えだ。

 

「・・・・成る程。残念だ剣の英霊よ。

では、そなたはここで終いだな」

 

 アサシンが両足を左右に大きく開き、身体を後方に捻りながら己が長刀を肩の高さまで上げる。

 地面と水平に構えたその刀身は、何故か酷く歪に見えるがしかし、周囲の者達はそれから目が離せなかった。

 それほどの、美しさ。

斬る事のみに特化したモノだけが持つ、空気である。

 

―――秘剣

 

「 燕返し 」

 

 侍が自然に呟く。一刹那の静寂。増える刀身。

地面を蹴り潰しながら後方に逃れる騎士。依然間合が狭まる。際限なく。

 指呼の間が対話の間に。対話の間が斟酌の間に。

 

それさえ過ぎて。

 

 迫り来る禍き白刃は、騎士の首と胴と腕を視認した。

鮮血の華が咲く。

 せめて、首だけは。

 

「 光をつかむ!! 」

 

絆アビリティ発動。

 

【 行け!衛生兵 思い出のかんざし 優しき心 】

 

―――縮地剣 ダッシュブレード

 

 ツカムの武技が発動する。

セイバーの襟首を掴み、己が後方に向かって。

 

「―――む?」

 

 面食らうアサシン。

アサシンの刃圏からセイバーと共に離脱できたツカムは、額からどっと吹き出る汗を掌で拭った。

 

「……ッ!」

 

 斬り裂かれた腕と腹。吐血するセイバー。

その首は、幸い無事に胴体と繫がっている。

 先の瞬間、ツカムは生前最期に見た女性の笑顔が頭をよぎっていた。

死んでいく感覚に、そっくりだったのだ。

 

「・・・魔剣か。アサシン」

 

「そんな大層なモノでもない。

たまさか燕を斬ろうと思い至り、他にやる事も無かったのでやってみせただけよ」

 

 燕、鳥類は人類と違って風を感じる翼を持ち、そして宙を飛べる。

人がそんな異形を斬るには、こちらも異形を為さねばならない。

 魔剣 燕返し。

セイバーを斬り裂いてなお綺麗すぎるその白刃は、先の刹那、三本に増えていた。

 

「多重次元屈折現象………」

 

「まさか剣士が、〝魔法〟を使うなんて……」

 

 眼前の光景に驚愕するセイバーと凛。

魔術師にとっての秘奥が、到達点の一つが、今世に現れていた。

 

「・・・シロウ、セイバーをシンジに診せてやってくれ。

サクラ、撤退の命令を。今日の偵察はここまでだ」

 

「…分かりました」

 

「いいえツカム!シロウ!!敵に背を向けるなどと、それで良いのですか!?

それに私は、まだ闘えます!!」

 

 息も絶え絶えに叫ぶセイバーは意気軒昂。

されど誰がどう見ても、ここが引き際・分水嶺。

 

「今日はあくまで偵察が本分だ。そうだろ?シロウ」

 

「・・・セイバー、ツカムの言うとおりだ。この寺の守りは尋常じゃない。

それが分かっただけでも、今日の偵察は意味があった。

 それに俺は、こんなセイバーを放ってはおけない!」

 

「シロウ!!ですから、この身に、そんな気遣いは!」

 

「慎二。・・・頼む」

 

「こんなに気脈がボロボロの状態でよく叫べるな、英霊さん?」

 

 親指の腹で、正確にセイバーの頭頂部を押す慎二。

ジワリとした感覚が、頭部からセイバーの全身に拡がる。

 侍の剣は、剣の英霊をここまで疲弊させていた。

 

「アサシン・佐々木小次郎!

俺の名はツカム!異世界ユグド大陸の元義勇軍・隊長!!

 今宵の勝負はまた後日という事にしたいが、どうか!」

 

叫ぶツカムと、目を丸くする侍。

 

「…まさか名乗り返してくれるとは。中々どうして、愉しませてくれる。

愉しみを最後に取っておく事は、決して悪い事ではない。私はかまわぬ」

 

「ねえねえツカム、サクラ。

…誰かに見られている感覚がある。多分、キャスターはオイラ達を見ているよ」

 

「キャスター!私達はこの冬木の街を守ると決めた義勇軍!

あなた方がもしこの街に危害を加えるというのなら、容赦はしません!!」

 

 ピリカが桜達に忠告する。

ならば、と桜は声を大にして己が決意を表明した。

 

『―――何を言うのかと思えば。ずいぶんと勇ましい事を言ってくれるものね、お嬢ちゃん?

 私は何もしていないのに、この寺に勝手に攻め入って来たのはそちらじゃない。

貴女達こそ、この街に危害を加えているのではないのかしら?』

 

「……それは」

 

 勝手にこの寺に来て、勝手に門を破ろうとしたのは他ならぬ桜達だ。

キャスターの言い分は、的を射ていた。

 しかし。

 

「そんな事言ったって無駄よ、キャスター。

最近この街で頻発しているガス漏れ事故やカフェ爆破事件。

 全部あなたの仕業だって事は分かってるんだから。

私の眼と鼻は誤魔化せないわ」

 

 今朝聞いたテレビのニュースで、またもガス漏れ事故による被害が起きている事を桜は耳にしていた。

 凛の話は初耳だが、もしそれが本当だとしたら、許してはおけない。

 

『………カフェ爆破?ガス漏れ?何の事かしら?』

 

「冬木の管理者として、義勇軍として、私はそれを見過ごせない。

精々首を洗って待ってることね」

 

『……さて。これはこれはどうしたものかしら。

私としては、是非とも貴女達と同盟を結びたい所なのだけれど?』

 

「オイラ達の前に顔を出しもしない奴なんか、こっちから願い下げだよ!」

 

 ピリカが叫ぶ。

キャスターはこの場に居ないくせに、図々しい願いだけを口にする。

 義勇軍として、そんな得体の知れない者と盟を結ぶ事は出来ない。

 

『それは残念ね、本当に。ええ、本当に』

 

花を風が凪ぎ、鳥が月を横切る。

 

「―――ねえ。

顔を出していないって?一体どこを見ているのかしら、妖精さん?」

 

 ゾッとするほどの可愛らしい女性の声が、義勇軍の耳を揺らす。

遥か天空を見上げる。

 そこには花を愛でるのが似合う女性が、フードを被り、鳥のように羽を広げ、風を切って月を揺らしていた。

 

「キャスターのサーヴァント!?

まさか最初からからそこに!?」

 

「やる事が派手だね!!!」

 

「…私は貴女達と盟を結びたい。私の願いの成就の為にね。

そしてそれを叶えるには、私に従って貰うしかないのよ。貴女達義勇軍がね」

 

 キャスターが右手を天に掲げる。

刹那、天空そのものが揺らいだ。

 現代において〝魔法〟ともいえる神代の魔術が今、跋扈しようとしている。

 

「 開け,虚空の扉――― 」

 

 瞬間。

この場にいる義勇軍随一の魔術師、遠坂凛は己がサーヴァントに雷鳴の如く指示を下した。

 即ち、狙撃による敵の即時殲滅。

 

―――何が何でも、あいつを消すしかない。

 

 現代に生きる者にとって、天空に浮かぶあれは魔法だとか魔術だとかの類ではない。

彼女には知らぬ次元の、知らない言語で紡がれる呪文。遥か古代の忘れ形見。

 遠坂凛は、心で理解した。

黒を黒で塗りつぶし、闇に闇をかける。

 すると、この世に極光が生まれるという真実を。

 

「ッ、アーチャー!!!」

 

「 ―――我が骨子は、捻じれ狂う 」

≪ I am the bone of my sword. ≫

 

 其の名、偽・螺旋剣。

先んじて弓兵から放たれる、螺旋を象る雷のような一矢。

 それは空間を削り、時空を抉りながらキャスターを射抜かんと迫り来る。

 

「 カラドボルグ! 」

 

 回避は不可能。

雷を目視してから避ける事は無理難題だ。

 

「―――エターナル・ファイナリティ 」

≪ Gates to Eternal Void, show your passage. Eternal Finality. ≫

 

 それはさながら神話にのみ語られる、光と闇の死闘。

闇の極光で彩られ、天空に顕現されたキャスターの魔剣は、アーチャーの放った光の魔剣と鬩ぎ合う。

 古今東西、光と闇は常に闘い、その雌雄を決してきた。

 

「・・・・馬鹿な」

 

「こういう時は、こう言えば良いのかしら?

―――首を洗って待ってなさいな。お嬢ちゃん達」

 

 光の側が、全戦全勝というわけでもない。

闇の剣・闇の洗礼が光を打ち砕き、最初から狙われていたアーチャーに突き刺さった。

 倒れ伏せる弓兵。

 

「アーチャー!!!

嘘でしょッ……私のサーヴァントを、最初から狙っていた!?」

 

「飛び道具は、一番に片付けないとね。戦いの基本よ?」

 

 キャスターがおもむろに腕を広げる。

遠方にいたはずのアーチャーが、すっぽりとその腕の中に収まった。

 魔術・空間転移。これも闇の極光術のちょっとした応用だ。

 

「助けないと!…ツカム!貴方の力は!?」

 

「駄目だ・・・!アーチャーの奴気絶してるッ!

絆アビリティを使っても・・・」

 

「アーチャーは預かったわ。

心配しなくても、命に別状は無いわよ?少なくとも今のところはね。

 この先どうなるかは貴女達次第ってわけ。

無事取り戻したければ、私に協力なさい。義勇軍に私を入れてくれればいいわ。

 返事は明日、この時間に聞きます。

OK?」

 

「イヤよ!!!」

 

叫ぶ凛が山門に向かって歩を進め、

 

「・・・勝負は後日、ではなかったのかな?私はどちらでも構わぬが」

 

 振るわれる凶刃。

ツカムは凛を腕に抱えながら、階段を転がってそれを避ける。

 

「離してツカム!!!私のアーチャーが!!」

 

「今は退くんだ!そして作戦を練りなおす!!

・・・ライダー!」

 

「ツカム。

サクラとセイバー、シロウと海藻はこちらに。いつでも」

 

「退却!」

 

義勇軍は、この夜紛う事無き敗北を喫した。

 

 

 

 

 

 

「―――いいのか?キャスター。

その男、今のうちに息の根を止めておかねばならん類のモノと見たが」

 

「……マスター。起きていらっしゃったのですか?」

 

 山門は突破されず、敵のサーヴァントを一体捕らえる事に成功。

紛う事無き完全勝利。

 キャスターのサーヴァントとアサシンのサーヴァントは、この山に篭っているかぎり無敵に近い。

 

「・・・質問に質問で返すとは、感心せんな」

 

 腕を組み、相手と目を合わせる。そして流し目。

無論睨んでいる訳でも、威圧している訳でもない。

 これはキャスターのマスターである人物の、いわば癖のようなもの。

 

「も、申し訳ありません!マスター!

……私は利用できるモノは何でも利用するサーヴァントです。

 この世は千古不易、利用価値のあるモノしかございません。

失望、しましたか…?」

 

 フードの下、キャスターの眼がちらりと下から上に動く。

己の内面・過去から、己の外面・未来へと。

 

「―――いや、それでお前の望みが叶えられるというのであれば是非もない。

・・・好きにしろ」

 

 そう言ってクールに去るキャスターのマスター。

男は背中で語り、女の成長を妨げるような事はしないもの。

 その姿を見て、震えないモノがいるだろうか?

 

「いいえ。 いないわ」

―――くふー!!!

かっこいい!

格好いい!!

カッコいい!!!

 

震える女。もとい、キャスターのサーヴァント。

 

「時に冷静に!時に熱く!そして時に優しく…!!

ぁ嗚呼マスター………。私は、貴方を愛しています…」

 

 己がマスターとの、要望通り優しかった夜を思い出して悶える彼女の望みは唯一つ。

彼の為に生き、この一瞬(とき)を全てに。

 今までを、見せかけの自分をそっと捨ててただ在りのままの自分で。

愛する我がマスターに尽くすのみ。

 決して幻想なんかには、させやしない。

 

「―――女狐。悶えるのはいいが、其奴は一体どうするのだ?」

 

 現実からの侍の声。

妄想という名の蜜月を中断され若干イラッときたが、事は全てキャスターの予定通りに進んでいる。

 だから我慢する。彼女は耐える事が出来る女。

 

「私は耐える事が出来る女。

…アーチャーは私の神殿に連れて行くわ。丁重に、ね」

 

「あい分かった。では引き続き、私はこの門を守るとしよう」

 

 魔術で生成した骸骨兵にアーチャーを運ばせているさなか、キャスターはいつも通り、己が配下のアサシンに命じる。

 

「アサシン。もしも『異常』が訪れたら、知らせなさい」

 

「承知。―――女狐、貴様の良人には触れさせぬ」

 

 『異常』とは、この寺を崩せるほどの脅威がここに現れる事を指す。

そうなれば彼女はいち早く己がマスターを逃がし、撃って出る。

 そしてこの寺を枕に死するのみ。

彼女にとって守るとは、そういう事だから。

 

「……嫌な風が吹いてきたわね」

 

「私は嫌いではない。この風、この肌触りこそ、私が待ち望んでいた戦場なのだろう」

 

 キャスターとアサシンのサーヴァント。

二人は己が主を守る為だけに、ここにいる。

 

 

 

 

 




次回予告

ファウストは、メフィストフェレスに心を売って明日を得た。
マクベスは、3人の魔女の予言に乗って地獄に落ちた。
皆、己が願いの為だけに。
 義勇軍は、この街に己の運命を占う。
ここ、冬木の街で明日を買うのに必要なのは、一握りの力と少々の危険。
次回『再会』
冬木の取引には、死の匂い。




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