警察署の名前は沼津中央警察署にしました。
良い名前が浮かばなかったのでw
『番組の途中ですが、ここで沼津中央警察署で起きた暴動事件のニュースを御伝えしようと思います。昨夜11時30分頃、沼津中央警察署で暴動事件が発生しました。
近隣に住む視聴者の証言によると発砲音の他に動物とも人間ともとれないうなり声も聞いた模様です……それでは現場と中継を』
ガゴン!
ニュースを伝えていたテレビの液晶を一つの拳が貫いた。
「はぁ、はぁはぁ……化け……物……め」
沼津警察署は混乱に陥っていった。
「ゥアアアア!」
突如起き上がって暴れまわる赤く変色した亡骸によって。
今、まさに一人の警官がこの怪物に命を奪われようとしている。
急に起き上がった死体、誰が見ても素人が見ても明らかに死んでいる……筈だった。
目の前の惨状はなんだ?
頭を吹っ飛ばされ詰まっている肉片と赤い液体を辺りに散らばして死亡した警察官、首に噛み付かれ出血多量で死亡した警察官、他にもテレビのように肉体を貫通させられて死亡した警察官も居る。
「死体が人を殺す……か……」
必死に腹部からの出血を抑え銃を化け物に向ける。
気のせいかも知れないが自分の腹が脈動してるように感じた。
「今度こそちゃんと死ね」
バン!バン!バン!バン!
ズシャア
……
…………
………………
……………………
「また通った」
サイレンの音で目を覚ましたら千歌は海辺の道に目を向けていた。
旅館の前を30分前から何度も消防車やパトカー、救急車が通過している。
「眠れないよ……これじゃ……」
向かいの部屋は千歌が目を覚ます前から電気が点いてるが千歌と同じく眠れないのだろうか?
「何が起きたか気になるもんね……よし、梨子ちゃーん!」
普段は大きい千歌の声だがこの時だけはサイレンの音であまり騒がしく感じられない。
ガラガラガラ
「……千歌ちゃん……」
「やっぱり起きてた。今さ、救急車やら消防車とかが何回も行ったり来たりしてるけど……梨子ちゃん何があったか分かる?」
「ニュース見てないの?……」
「あー、私スマホは充電中だしテレビは居間だから遠くて」
「そう……」
「……もしかして結構危険な出来事?ニュースにもなるくらいだし……」
「……とりあえずこれを見て、私が話すよりも早いから」
梨子の掲げたスマホの画面を千歌は見た。
某サイトのニュース欄だ。
「なになに……?沼津中央警察署で暴動発生…………現在火災が発生しておりうなり声や発砲音も聞こえた模様…………!?」
自分の顔面から血の気が引いていく
「流石に、嘘だよね?……だって、有り得ないじゃんこんなのさ……」
「これを見てもまだ言える?」
「…………ひっ!」
千歌の目に飛び込んできたのは、おびただしい数の沼津中央警察署の写真、燃えてる画像やら傷ついた警官の画像やら、この短時間の内に大量にupされているではないか。
「分かった?千歌ちゃん。これは現実に起きてる出来事なの」
「信じるなって言う方が無理だね……何でこんな事に……」
「分からない……とにかく明るくなればもっと被害の状況が判明するんじゃないかしら?……何れにせよ私達がどうこう出来る問題じゃ無いわよ……」
「………………だね」
「ごめん、もう寝るね……とても話せるような雰囲気じゃないから」
「……うん、私の方こそ、何も知らずに起こしてごめんね……」
「気にしてないわ、御休み千歌ちゃん」
「御休み……梨子ちゃん」
ガラガラガラ
梨子がカーテンを閉めた5秒後、灯りが消えた。
「今日は……変な日だな……」
千歌は現実の実感が無いまま床についた。
次回は少し黒幕に触れるようなストーリーにしていく予定です。