プリズマ☆イリヤドライで援軍に来たのが美優の兄ではなく、世界を救おうとする最後のマスターと後輩たちだったら   作:Dr.クロ

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女王が居る部屋へ向かうエリザ達の前に幼き征服王が立ちふさがる。


第十三幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅷ~

刹那「この先に女王が居るんだよね?」

 

城に入り、目的の場所かを確認する刹那にブレイブエリザはそうよ!と頷く。

 

エミヤ「!止まれ!」

 

イリヤ「え?」

 

いきなりのエミヤの制止に入ろうとしていたイリヤは驚いた後に引っ張られると目の前を馬が通り過ぎる。

 

それにイリヤはギョッとなる中で凄いねと言う声がして、見るとアレキサンダーが立っていた。

 

刹那「アレキサンダー!?来てたの?」

 

アレキサンダー「やあ、マスター。よくここまで来たね」

 

その言葉に刹那はまさかと考え、エミヤもやれやれと疲れた顔でアレキサンダーを見る。

 

エミヤ「君も女王という者の味方なのかアレキサンダー?」

 

アレキサンダー「うん、まあそれで合ってるよ」

 

肯定するアレキサンダーに刹那はマジかーと顔を手で抑える。

 

イリヤ「え、えっとなんで…」

 

アレキサンダー「んー頼まれたからね。それにこっちの方がちょっと面白そうだし」

 

笑って答えるアレキサンダーに刹那とエミヤは全くと眉間を揉む。

 

凛「だとしても一人で私達全員の相手をするの?」

 

ネロ「む、確かに…」

 

アレキサンダー「ああ、ソレならご心配なく。ちょっと裏技使うから」

 

裏技?とアレキサンダーが言ったのに誰もが首を傾げる中でアレキサンダーはにっこりと笑い…

 

アレキサンダー「よっと」

 

ごくっごくっごくっ……

 

何かを取り出して飲みだす。

 

ジャンヌ「それは…?」

 

ルヴィア「?」

 

誰もが首を傾げるとアレキサンダーの体が光り出し…

 

???「ぐわはははははははは!」

 

刹那「ええ!?」

 

エミヤ「この笑い声は……まさか!?」

 

響き渡る声にイリヤ達以外が驚くと光が収まり…

 

美遊「え!?」

 

クロエ「嘘っ!?」

 

イリヤ「うぇええええ!?」

 

現れた姿に3人は驚き、ルヴィア、凛、バゼットも言葉を無くす。

 

アレキサンダー→イスカンダル「ぐははははは!征服王イスカンダル!此処に降臨!」

 

ルビー「な、何という事でしょう!?可愛らしい少年が…筋肉もりもりマッチョマンの大男に変貌しましたよ…」

 

青アルトリア「やはり驚きますよね…」

 

高笑いして先ほどの幼さがあった姿から長身でガタイな大男になったアレキサンダーもといイスカンダルにルビーが声を漏らし、メンバー内で縁のある青アルトリアはうんうんと頷く。

 

刹那「さ、さっきの薬の効果?」

 

イスカンダル「うむ、そうだ。さっきの薬は子供の英雄王のから借りた成長薬という薬で大人になることができる薬だ。まあ一時的にだがな」

 

恐る恐る聞く刹那にイスカンダルは答えてからガハハッと豪快に笑う。

 

美遊「子供の英雄王って…」

 

クロエ「ギルガメッシュ!?」

 

それに美遊とクロエはすぐさま子ギルを思い出し、刹那はあららと呟く。

 

イスカンダル「では蹂躙を始めようか!」

 

バゼット「!来ます!」

 

その言葉と共にイスカンダルは剣を抜き、青アルトリア達も戦闘態勢に入る。

 

イスカンダル「うぉぉおおおおおおおおお!」

 

剣を振るうイスカンダルにイリヤは慌てて避ける。

 

美遊「っ、シュート!」

 

凛「このっ!」

 

続けての避けた美遊は魔力弾を、援護と凛はガントを放つ。

 

イスカンダル「ふん!」

 

バシュ!

 

士郎「はあっ!」

 

クロエ「たあっ!」

 

ガキィン!

 

飛んで来る攻撃をイスカンダルは一振りで消し飛ばした後に士郎とクロエの攻撃を受け止めて弾き飛ばす。

 

エミヤ「伏せろ!」

 

サンタオルタ「吹き飛べ!」

 

そこにサンタオルタが斬撃を放ち、士郎とクロエは慌てて伏せる。

 

イスカンダル「ぬおっ!?」

 

斬撃にイスカンダルは後ずさった後に不敵に笑う。

 

イスカンダル「ぐははははは!良いぞ!強者との戦いはこれだから面白い!」

 

ブレイブエリザ「な、なに笑ってるのよ!?」

 

心の底から笑うイスカンダルにブレイブエリザは怒鳴りながら斬りかかる。

 

ガキィン!

 

イスカンダル「ふんっ!」

 

ネロ「ぐっ!?」

 

イリヤ「斬撃(シュナイデン)!」

 

ズドォオン!

 

それをイスカンダルは受け止めて向かってきていたネロへと投げ飛ばした所にイリヤが斬撃を飛ばす。

 

イスカンダル「ふんっ!」

 

ズバッ!

 

向かって来る斬撃をイスカンダルは切り裂いた後に驚くイリヤへと向けて言う。

 

イスカンダル「行くぞ!魔法少女よ!」

 

イリヤ「あわわわ!?」

 

凛「イリヤ!」

 

そう言ってイリヤへと向けて駆け出すイスカンダルに凛がガントを放つ。

 

おおっと!?とイスカンダルはガントを避けた後にナーサリーの魔力弾やジャックの攻撃を避ける。

 

イスカンダル「やるではないか。ではこちらも本気を出そうとしよう!」

 

刹那「本気って…まさか!?」

 

その言葉と共にイスカンダルは魔力を収束させる。

 

エミヤ「この魔力は…」

 

青アルトリア「まさか、宝具!」

 

それに刹那達はなぜ大人の姿であるイスカンダルになったかを察するが止めようとする前に発動される。

 

イスカンダル「遠征は終わらぬ。我らが胸に彼方への野心ある限り。勝鬨を上げよ!王の軍勢(アイオニオン・ヘタイロイ)!」

 

その言葉と共に周囲の景色が変貌する。

 

広がる砂漠にイリヤ達は驚く。

 

イリヤ「な、なにこれぇぇぇぇぇぇ!?」

 

凛「これがイスカンダルの宝具!?」

 

エミヤ「ああ、そうだ。そしてアレを見ろ…」

 

ルヴィア「な、なんですのあれは!?」

 

風景が変わった事に驚いていたイリヤ達は続いてイスカンダルの方を見てさらに驚く。

 

イスカンダルの周囲を軍勢が覆っていたのだ。

 

ルビー「な、なんですか!?あの大群は!?」

 

イリヤ「さっきまで居なかったよね!?」

 

刹那「あれがイスカンダルの宝具なんだよ…」

 

凛「はぁ!?」

 

イスカンダル「どうだ?これこそ我が軍勢!我が宝具だ!」

 

バセット「かつて率いていた軍勢そのものが宝具!?」

 

告げられた事に驚くイリヤ達を前にイスカンダルは剣を掲げる。

 

イスカンダル「我が軍勢よ!蹂躙を開始せよ! 」

 

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

 

ズドドドドドドドドドドドドドド!!!

 

イスカンダルの号令と共に軍勢はイリヤ達へと襲い掛かる。

 

イリヤ「き、来たあああ!?」

 

青アルトリア「くっ!マスター!宝具の許可を!」

 

絶叫するイリヤの隣で青アルトリアがそう進言する。

 

刹那「うん、お願い青アルトリア!」

 

エミヤ「援護は必要かねセイバー?」

 

青アルトリア「ふっ、心配ご無用ですがイリヤ達を守る様にしてください」

 

そう聞くエミヤに青アルトリアはそう返して了解と言う言葉を聞いてから宝具を開放する。

 

青アルトリア「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い!」

 

目をカッと開き、青アルトリアは迫る軍勢へと狙いをつけ…

 

青アルトリア「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!」

 

ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!

 

放たれた聖剣の輝きは軍勢を吹き飛ばして行く。

 

イリヤ「やった!?」

 

美遊「待ってイリヤ。あれ」

 

それに喜ぶイリヤだが美遊が待ったをかけて良く見る様に言う。

 

イスカンダル「ふむ、やはり騎士王の宝具は凄まじいものだな」

 

治まった先には笑みを浮かばせて佇むイスカンダルがダメージを感じさせない様に立っていた。

 

凛「ちょ、全然ダメージ受けてないじゃない?!」

 

刹那「まさか…耐えきった?」

 

それに凛は驚く中で刹那も驚きの様子で言う。

 

イスカンダル「フハハハ!そんなの気合で耐えたに決まってるおろう!」

 

エミヤ「気合で耐えれるものではないだろう!?」

 

笑って言うイスカンダルにエミヤは思わずツッコミを入れる。

 

刹那「ホント凄すぎるでしょ征服王;」

 

ルビー「それでどうします?あの大男が門番的になっちゃってますし」

 

呆れる刹那へとルビーはどう動くかを聞く。

 

刹那「ん~イスカンダルはライダーだから有効なのはアサシンなんだけど…」

 

そのアサシンである静謐に全員の目が集まる。

 

静謐「私の出番ですね」

 

刹那「お願いね、静謐」

 

分かりましたと頷いて静謐は駆け出す。

 

イスカンダル「ぬ、来たな」

 

それにイスカンダルは不敵な笑みを崩さぬまま静謐を迎え撃つ。

 

静謐「っ、たっ!」

 

イスカンダル「よっと」

 

攻撃を仕掛ける静謐にイスカンダルは軽々と受け止めると弾き飛ばす。

 

シュババババババババババババババ!!

 

イスカンダル「ぬおっ!?」

 

追撃しようとするイスカンダルへと士郎とクロの援護射撃の剣が飛んで来る。

 

静謐「ありがとうございます。お二人とも」

 

それに静謐はお礼を言った後に追撃を仕掛ける。

 

イリヤはそれをハラハラ見ていた。

 

イリヤ「だ、大丈夫でしょうか?」

 

刹那「んー、本来ハサン達は暗殺専門のサーヴァントだからこういうのには向いてないんだよねー」

 

エミヤ「この場合は式やスカサハがいればよかったのだがな…」

 

刹那「…あ、ジャックが居た」

 

エミヤの言葉の後に刹那はすぐさまジャックもアサシンだった事を思い出してジャックを見る。

 

刹那「えっと…忘れててごめん;」

 

ジャック「もう!お母さんったら!」

 

謝る刹那にジャックはぶーたれた後に行ってくるね!と駆け出して行き、イスカンダルとぶつかり合う。

 

イスカンダル「ぬ!もう一人来たか!」

 

ジャック「解体するよ!」

 

そう言った後に素早い攻撃で翻弄するジャックにイスカンダルはうぬぅ!と呻く!

 

ガキィン!ガキィン!!

 

そのままぶつかり合いが続く中でジャックはイスカンダルを飛び越えて背後を取り、宝具を発動する。

 

ジャック「此よりは地獄。“わたしたち”は炎、雨、力――殺戮を此処に…」

 

その言葉の後にイスカンダルを連続で切り裂く。

 

ジャック「解体聖母(マリア・ザ・リッパー)!!」

 

イスカンダル「ぐぉおおおおおお!?」

 

宝具を炸裂し、着地するジャックの後ろでイスカンダルは崩れ落ちる。

 

刹那「ジャックたちの勝利だ!」

 

イリヤ「あ、周りの風景が…」

 

それに刹那は喜んだ後に周りの風景が元に戻り…

 

ボフン!

 

イスカンダルは煙に包まれるとアレキサンダーに戻る。

 

アレキサンダー「イテテ……」

 

頭を摩りながら起き上がるアレキサンダーにブレイブエリザがどうよ!と言ってあんたじゃないでしょ決めたのはとロビンフッドに軽く小突かれる。

 

ロビンフッド「んであんたを倒せたから俺達はここ通っても良いんだよな?」

 

アレキサンダー「勿論だ。この先に女王は居るよ」

 

マシュ「一体誰なんですか?女王は?」

 

そう聞くマシュに出会ってからのお楽しみだよとアレキサンダーはそう返す。

 

刹那「んー、やっぱり実際に会うしかないか」

 

イリヤ「そうですね…」

 

扉を見て刹那と守理は呟いた後にエミヤとロビンフッドが扉の前に来る。

 

エミヤ「では開けるぞ」

 

ロビンフッド「ああ」

 

いっせーのーせっ!と2人は扉を開けようとして…

 

エミヤ&ロビンフッド「!?」

 

咄嗟に扉から離れる。

 

すると2人がいた所が攻撃される。

 

イリヤ「うぇ!?」

 

刹那「今の攻撃は!?」

 

誰もが驚いているとポロンと言う音と共にトリスタンが現れる。

 

トリスタン「すみません。その扉は私達が開ける役目なので」

 

そう言って立ち塞がったトリスタンはん?となってからちょいちょいと横を見る。

 

するとそこにチラチラッと見ている謎の黒騎士がいた。

 

トリスタン「……さて、皆様。ようこそ、おいでくれました」

 

エミヤ「(気にしない方向で行くのか…)」

 

ブレイブエリザ「また出たわね!」

 

そんな謎の黒騎士をスルーして進めるトリスタンにエミヤはそう思ったが指摘したら進まなそうなので心の中に留める隣でブレイブエリザが剣の切っ先を向ける。

 

青アルトリア「トリスタンよく出てこれましたね」

 

サンタオルタ「覚悟はできているだろうな?」

 

刹那「はいはい、二人とも落ち着いて」

 

その隣では食の恨みなリリィを除いたアルトリアトリオを刹那が宥めていた。

 

そんなメンツの視線にトリスタンはコホンと咳払いしながら言う。

 

トリスタン「女王がお待ちかねです、こちらへ」

 

刹那「とうとう女王と御対面か」

 

ブレイブエリザ「子ジカ、気合を入れなさい。あの女のよく分からないテンションと外見に惑わされちゃ駄目よ。中身はぐつぐつ煮えたぎった毒入りシチューみたいにドロドロなんだから!」

 

ニトクリス「真名は把握しているのですか?」

 

そう言って扉を開けるトリスタンを見ながら言う刹那に対してそう言うブレイブエリザへとニトクリスは確認する。

 

ブレイブエリザ「ううん、さっぱり!」

 

断言するブレイブエリザにニトクリスは呆れる。

 

ニトクリス「……まあ、ピラミッドがある以上、私の関係者であることは間違いないのですが。……確認しますが女王ですよね?こう、美声で高笑いする豪奢にして太陽の目を持つ男性であれば、私は降伏もやむなしなのですが」

 

ブレイブエリザ「安心して、どこからどう見ても女性よ。ただ、本質は異なるわ。アタシはドラゴンだけどアイツは蛇。それも、強力な毒持ちのね!」

 

注意深く確認するニトクリスへと断言するブレイブエリザのにどういう女性なんだろうと刹那とイリヤは気になった後に扉が開いたので刹那達は入る。

 

ちなみに謎の黒騎士は開いた瞬間にささっと入って行ったのをエミヤと士郎は目撃した。

 

そして入った先で長椅子に優雅に座りながら件の女王がいた。

 

女王「二度の敗退に懲りず、よくもここまでやって来たものねトカゲ&ヤモリ娘!その無様さは心底理解できませんが、二週目の辛さを耐えた事だけは認めましょう!ですが所詮ハロウィンかぶれのお嬢様、熱砂の環境で鍛え上げられた妾の強靭さの前では――」

 

そう言ってから訝しげになる。

 

女王「……目の錯覚かしら?一体減ってない、そちら?いえ、それ以前に逞しくなってない?」

 

ブレイブエリザ「フッ。そこに気がつくとは並外れた観察力じゃない。そう、アタシはアンタに全てを奪われた屈辱と克己心から聖杯転臨っぽく新生した新しいアタシ……クラス・セイバーになった肉体派アイドル、エリザベート・バート・ブレイブリーよ!」

 

疑問詞を浮かべる女王に対し、ブレイブエリザは高らかに名乗りあげる。

 

イリヤ「す、凄い名前…」

 

リリィ「何時の間に考えたんですか…;」

 

ロビンフッド「ここに来るまでっしょ」

 

それに呆気に取られる2人にロビンフッドはそう言う。

 

女王「そちらの話はよろしくて?では妾の話に戻しましょう!」

 

そう言ってコホンと咳払いしてから立ち上がって言う。

 

女王「改めて、よく来たものね勇者ども!その健闘だけは讃えてあげましょう!」

 

刹那「…………!」

 

そう言う女王に刹那達はただ者ではないのを改めて知る。

 

女王「いかにも。言葉を失うほどに美。それが妾!理解したなら頭突くように平伏しなさい!ですが特別にカメラ撮影は許可します!」

 

トリスタン「 女王の御前です、どうか平伏を。……と言っても聞かないですよね、ええ」

 

そう言う女王にトリスタンはそう言ってから下がる。

 

女王「申し訳程度に注意するのではありません、この、自らの失態を失態と数えない鳥頭卿!彼らがここまで来たのは貴方の無力さ故!罰として、そこで逆立ちでもしていなさい!ただし、琴の演奏は止めないこと!」

 

イリヤ「ええ!?」

 

それ無理じゃない!?と誰もが思った。

 

トリスタン「おお、かなしいむつかしい……。ですが女王の命令であれば、やらざるを得ません」

 

ブレイブエリザ「できるの!?」

 

女王「それと……」

 

と思ったら普通に逆立ちして引いてるのに刹那達が驚く中で女王は次に謎の黒騎士を見る。

 

謎の黒騎士「……………………」

 

女王「匿名卿は現状が罰になっているようね。よろしい、不問に処します」

 

エミヤ「まあそのようだな…;」

 

マシュ「いえ、ここは公平に罰して欲しいと思います。具体的には兜を外すとか、顔を見せるとか」

 

ドキドキしている謎の黒騎士を見てそう言う女王に流石にそれ以上はな…と思うエミヤの隣で目の据わったマシュがそう言う。

 

謎の黒騎士「……!!!!」

 

美遊「マシュさん……なんか何時もと違う」

 

ブレイブエリザ「あの、マシュ……?何か怖いよ……?」

 

マシュ「そ、そうですか?すみません、ただあの優柔不断な黒騎士を見ているとどうしても胸が聖晶石のようにガラついて……」

 

女王「イガイガする、という事ね。良い表現です。気持ちは大変伝わりましたがその喧嘩は他所でやりなさい」

 

クロ「まあ取りあえず今は我慢しなさいマシュ」

 

マシュ「そ、そうですか?」

 

それにクロが宥め、マシュは深呼吸する。

 

刹那「落ち着いた?」

 

マシュ「はい、先輩。少し落ち着きました」

 

女王「面倒ですが、まずは為政者としての責務があります。エリザベート・バートリー。此処に辿り着いたという事は、ようやく理解したようね」

 

ブレイブエリザ「……ええ。アタシはその、ハロウィンライブに浮かれすぎて、執政を怠った。ホント綺麗さっぱり忘れてた。……(ブタ)の上に立つ者として、未熟だったわ」

 

人と書いてブタと読むのもどうかと思うが…とエミヤは思ったがずれそうなので心の中で留める。

 

女王「ええ。そも、上に立つ者が上に立つこと以外を目指すことなど愚の骨頂!傅かれるには傅かれるだけの理由、もしくは勢いが必要なのです!例えば天上の美であるか、あるいは醜くとも力があるか」

 

そんなブレイブエリザに対して女王はビシッ!という。

 

ブレイブエリザ「うう、耳が痛い…。天上の美を持つアタシがアイドルを目指したから……」

 

女王「いえ、天上の美を持つのは妾。貴女はパワーの方です。パワー。貴女は先ほど自分で言ったでしょ?肉体派アイドル、ローランド・ゴリラ・バートリーと」

 

呻くブレイブエリザに女王はわざとなのか物凄い間違った名前を言う。

 

それには思わず誰もが噴いてしまった。

 

刹那「肉体派アイドル…w」

 

クロ「ローランド・ゴリラ・バートリーwww」

 

凛「ぷははははははwwwwww」

 

間違われたのにブレイブエリザは怒りで顔を真っ赤にする。

 

ブレイブエリザ「言ってないわよ!バートリーしか合ってないじゃない!」

 

女王「言われてみればその通りですが、細かいことはいいのです!今は真面目は話をしているのですから!」

 

さっき名前を間違えて真面目でしょうかとトリスタンは演奏しながら思ったが空気を読んで黙って演奏する。

 

ブレイブエリザ「それはこっちの台詞だってのよーぅ!こんなに話が噛み合わないヤツは初めて!アンタ、一体何者なの!?モデル系にかぶれてるようだけど、どこの英霊だっつーの!」

 

女王「決まっているでしょう。美をもって国を統べ、美をもって名を残す!そんな女王が誰かと問われれば、百人が百人、妾の名を讃えるというもの!」

 

凛「美をもって国を統べた女王って…まさか!?」

 

叫んで問うブレイブエリザのに女王は自信満々に答えた事で凛は目を見開いて驚く。

 

女王「そう―――我が名は!ああ、麗しい妾の名は!」

 

刹那「普通クレオパトラだよね」

 

クロ「クレオパトラよね」

 

ルヴィア「クレオパトラですわよね」

 

高らかに自分の名前を言おうとした女王、クレオパトラは刹那やクロにルヴィアに先に名前を言われて出鼻をくじかれる。

 

ブレイブエリザ「デジマ!?このパリコレかぶれが、あの女王クレオパトラ……!?」

 

出て来た名前にブレイブエリザも驚く中で先に名前を言われたが驚いたので気をよくしたのかクレオパトラは笑う。

 

クレオパトラ「ホホホホ。山奥の貴族娘でも妾の名前ぐらいは知っていたようね。では改めて問いましょう。汝は妾と美しさを競えるのですか?」

 

ブレイブエリザ「っ……まずいわ。『美しさ』っていう基準になると英霊的にあっちが有利すぎる……。どこからどう見てもアタシの方が今風だけど、とにかくブランド力で負けちゃうっていうか…」

 

凛「今…風?」

 

ルヴィア「世界三大美女と言う名のブランドなのは分かりますが」

 

士郎「………」

 

そう言ったブレイブエリザのに凛とルヴィアはブレイブエリザの恰好を見て言い、士郎は顔を逸らしてノーコメントを貫く。

 

ブレイブエリザ「なによ、ビキニアーマーのどこが古いの!?超!今風!じゃない!」

 

ニトクリス「ええ。私は良いと思いますよ、その服装。私の時代的に見ればとてもしっくりきます」

 

ブレイブエリザ「でしょでしょ?同じエジプト系でもニトクリスは話が分かるわ!」

 

イリヤ「あれ?確かニトクリスさんの時代って…」

 

クロ「言わない方が良いわよイリヤ」

 

そんな2人のに抗議するブレイブエリザに対してニトクリスは賛同するのにイリヤは言おうとしてクロに止められる。

 

茨木童子「吾はなんとも思わぬぞ。美の基準が、そもそも人と違うのでな。とはいえ――。くはははは!マスター、マスター!あやつは腹に一物、良くない毒を抱えておるぞ」

 

イリヤ「良くない毒?」

 

茨木童子「近付けば噛んでくるか、引き裂いてくるか。まあ鬼の基準からしても()()()()の美だな!」

 

出て来た言葉にイリヤは首を傾げたが出て来た言葉にぞぞーとなる。

 

クレオパトラ「ふん、人ならざる者ですか。では妾を理解できないのは当然のこと。それから―――」

 

ニトクリス「…………」

 

そう言ってクレオパトラはニトクリスへと顔を向ける。

 

クレオパトラ「貴女さまは――」

 

ニトクリス「黙りなさい、クレオパトラ。今の私はたまさか縁があって、こちら側。私はただの魔術師(キャスター)です。貴女は貴女の信念を貫き、揺れることのないよう」

 

声をかけようとするクレオパトラにニトクリスは遮る。

 

クレオパトラ「……はい」

 

イリヤ「ねえ、ニトクリスさんとクレオパトラさんってどういう…」

 

ロビンフッド「ん~先輩と後輩ってとこじゃないんですかね?」

 

そんな2人の様子から呟くイリヤにロビンフッドはそう返す。

 

クレオパトラ「ではエリザベート、もう一度問いましょう。妾と美を競えるか、と?」

 

美遊「それは…」

 

その言葉に美遊は顔を顰める。

 

世界三大美女の1人と呼ばれるクレオパトラに美で戦えるかと聞かれると否と美遊なら答える。

 

クレオパトラ「フ――ふふふ、ホホホホ!それは無理、不可能、競える筈がないのです!仮にも女であるのなら、『美の審査』ほど恐ろしいものはないと骨身に染みているでしょうし!妾は世界に名高いクレオパトラ!貴女にとっては恥を晒すだけの勝負―――」

 

ブレイブエリザ「え?競えるわよ、アタシ」

 

自信満々に言っていたクレオパトラや無理だと思っていた美遊はあっさりと答えたブレイブエリザのに驚く。

 

クレオパトラ「……なんと?」

 

ブレイブエリザ「確かに単純な造形を競うならアタシがほんのちょっとだけ、肉体年齢的に不利だけど…今はとにかく多様化の時代だもの。美しさの評価は昔より多いのよ。と、く、にぃ――そう、可愛(キュート)ならどうかしら?歌って、踊って、笑顔(スマイル)ファン(ブタ)に贈る!これはアイドルたるアタシにしか出来ないこと!そして、女王として傅かれるアナタには出来ないこと!」

 

驚いているクレオパトラにブレイブエリザは説明してからそう返す。

 

クレオパトラ「つまり貴女は、人の上に立つ為政者ではなく――」

 

ブレイブエリザ「そう!女王のアンタに、アイドルとして戦いを挑むの!あ、もちろん執政はするわよ。アイドルが統治をするなんて、普通の事だし?」

 

リリィ「普通なんでしょうかそれは…」

 

出て来た言葉に目を見開くクレオパトラにブレイブエリザはそう言い、リリィは思わず聞く。

 

刹那「まあ確かに今の時代、美の基準なんていろいろあるからね」

 

イリヤ「そうですね。それに美だけじゃなくて中身とかも大切って言うのもあるし」

 

凛「そうそう。私みたいなのとか」

 

ルヴィア「私のような中身も綺麗な人が良いのですわ!」

 

エミヤ「(君達の中身の部分はどうかと思った私はいかんだろうか…)」

 

そう言う刹那とイリヤのに続いた凛とルヴィアのにエミヤは内心思ったが黙っておく。

 

聞いていたクレオパトラは体を震わせながらブレイブエリザを睨む。

 

クレオパトラ「なんという―――なんという、妾、激怒案件なのかしら……!美とは知性から生まれるもの、統治とは美によってなされるもの……!ただ『可愛いだけ』で人の上に立とうなど、そのような能天気、女王として妾が許しません!」

 

マシュ「クレオパトラさんの怒りも尤もな様な……」

 

ロビンフッド「いや、あれくらい我が侭な方がらしいってもんだ。なにしろ反英雄、間違いだけで生きている女だからな」

 

怒っているクレオパトラのにそう言うマシュにロビンフッドは肩を竦めながらそう返す。

 

ブレイブエリザ「アタシはアイドル!そしてアタシはチェイテ城の主!サーヴァントだって、ランサーで召喚されたり、キャスターで召喚されたりするでしょう?ヴラドおじ様がアタシを認め、アタシを赦さなかったように―――アタシは欲深で、傲慢で、我が侭だから、どっちのアタシも大事なの!片方を諦めたりなんか、絶対にしないんだから!」

 

クレオパトラ「どちらも諦めない……ですって?地方領主の娘は、これだから……!」

 

イリヤ「でも…どちらとも諦めないのもまた大事だと思います」

 

そう言い切るブレイブエリザにクレオパトラは吐き捨てる中でイリヤがそう言う。

 

クレオパトラ「いいでしょう、その意気軒昂がどこまで続くか、この妾が見定めましょう!―――所詮は夢に溺れた者の戯れ言。このクレオパトラの絶対美に打ち砕かれよ!」

 

その言葉と共にクレオパトラは従えていた蛇に椅子に座る様に跨り、それが戦闘態勢だと気づいてそれぞれ構える。

 

ブレイブエリザ「さあ、最後の戦いよ!」

 

その言葉と共にハロウィンの最終決戦が始まる。

 

果たしてブレイブエリザは城を取り戻せるだろうか…


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