プリズマ☆イリヤドライで援軍に来たのが美優の兄ではなく、世界を救おうとする最後のマスターと後輩たちだったら   作:Dr.クロ

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ハロウィンを始める為に動いた刹那達に女王の兵士やトリスタン、謎の黒騎士()が襲い掛かる。


第十二幕~ハロウィン・カムバック!超極☆大かぼちゃ村~そして冒険へ……~ with魔法少女Ⅶ~

ハロウィンを広めて城へと再び辿り着いた刹那達、ヴラド三世はブレイブエリザへと再び槍を向ける。

 

その後に巨大すまないさんにより再び墓地に戻された刹那達はブレイブエリザがハロウィンの宣言をしていなかった事を知り、ハロウィンを広げる為に街に向かった所、騎士団と女王の部下になったトリスタンと謎の黒騎士と戦う事になる。

 

斬りかかる謎の黒騎士のを士郎は受け止める。

 

そこにエミヤが弓を発射して謎の黒騎士は離れる。

 

クロ「ハァッ!」

 

その隙をついてクロが干将・莫耶で攻撃しようとするが

 

ザシュッ!

 

クロ「……え?」

 

謎の黒騎士「AAAAA!」

 

一瞬。クロは何が起こったのか分からなかった。

 

何が起こったのか…それは…

 

イリヤ「クロ!」

 

ルビー「今、謎の黒騎士さんを攻撃しようとしたクロさんが干将・莫耶で逆に切られました!?」

 

今ルビーが言った様に何時の間にかクロが持っていた筈の干将・莫耶を謎の黒騎士が手に持ってクロを切ったのだ。

 

一体どうして起こったのかにエミヤが察する。

 

エミヤ「騎士は徒手にて死せず(ナイトオブオーナー)か!」

 

凛「まさか斬りかかった瞬間に奪い取って自分の物にしてカウンターした訳!?」

 

エミヤの言った事に凛は暇つぶしで見たマテリアルのを見ていたので察して驚く。

 

刹那「うん。あの宝具はエミヤや士郎さん、クロの天敵とも言える宝具なんだよね」

 

士郎「天敵か……(だがもしあの宝具が使えたら…)」

 

刹那のを聞いて、士郎は宝具ので心の中で呟く

 

イリヤ「大丈夫クロ!」

 

クロ「ええ、これぐらい大丈夫よ」

 

槍オルタリア「あまり無理をするな。無理すると看護師のバーサーカーが治療に来るぞ」

 

声をかけるイリヤに斬られた所を抑えながらそう返したクロは槍オルタリアのに善処するわと返す。

 

刹那「確かに彼女なら確かに来そうだよねぇ……」

 

怪我と聞いたら確かにと槍オルタリアのに納得してる間に刹那はもう1人の方を見る。

 

マシュ「トリスタンさんは高速で矢を放つので気をつけないといけませんね……」

 

トリスタンの相手をしているマシュは矢をなんとか防ぎながら攻撃を仕掛けるがトリスタンはひょいひょいと避けて行く。

 

美遊「砲射(シュート)!」

 

ズババババババババババババッ!

 

マシュの援護にトリスタンへと向けて美遊は魔力弾を放つがトリスタンは弓を奏でて放った矢で相殺していく。

 

トリスタン「すいませんが私はそう簡単には倒せませんよ」

 

槍オルタリア「ならお前の相手は私がしよう。第六特異点では相性ので貴様の成敗ができなかったからな」

 

そう言うトリスタンに槍オルタリアが前に出て言う。

 

トリスタン「………私は悲しい。普通の王では良いのですが槍だと不利過ぎます」

 

青アルトリア「ほぅ、なら私も相手してあげましょうか」

 

トリスタン「……王二人相手は流石にヤバイですね……」

 

思わずポロリと言った事で怒りマークな青アルトリアも加わった事にトリスタンは冷や汗を流して後ずさる。

 

だがにがさんとばかりに槍オルタリアと青アルトリアは走り、トリスタンも走る。

 

刹那「……トリスタンの相手はあの二人に任せた方が良いね」

 

マシュ「そうですね。では私はあの謎の黒騎士の相手を!」

 

謎の黒騎士「AAAAAAAAA!?」

 

それを見てそう言う刹那にマシュが言った事に謎の黒騎士はたじろく。

 

なんでたじろくのかにイリヤとクロは首を傾げるがある程度察したエミヤは哀れなと呟く。

 

凛「ねぇ、ちょっと。なんであの黒騎士、あんなに動揺してるのよ」

 

エミヤ「あー…私の口から言えないな…本人のプライバシーのに入るしな」

 

そんなエミヤに聞く凛に聞かれたエミヤは目を泳がせながらそう返す。

 

マシュ「はぁあっ!」

 

ドカッ!バキッ!

 

謎の黒騎士「AAAAA!?」

 

その間にマシュは謎の黒騎士を連続攻撃を仕掛ける。

 

ほとんど攻撃もしない謎の黒騎士にエミヤは本当に大変だなと呆れる。

 

マシュ「これでとどめです!真名、開帳――私は、災厄の席に立つ。 それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せ……」

 

謎の黒騎士「AAAAA!?」

 

刹那「ちょっ、マシュストップ!ストップ!」

 

エミヤ「流石にキャメロットアタックはやめろ!」

 

そのまま普通は防御の筈なのにぶつけようとするマシュに刹那とエミヤは慌てて止めに入る。

 

謎の黒騎士もこのままではやばいと感じたのか逃走に入り、途中でトリスタンを捕縛して逃げる。

 

茨木童子「逃がすかァ!羅生門大怨起!!」

 

ボォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

そこに茨木童子が宝具を発動して2人を狙う。

 

それに対し…謎の黒騎士はトリスタンを投げた。

 

投げられたトリスタンはちょ!?と思った後に謎の黒騎士がどこからともなく取り出したフリップを見せる。

 

食べ物を攻撃した罰を受けて来い…と

 

トリスタン「くっ、回避スキル発動!」

 

ズドォオオオオオオオン!

 

それにトリスタンはスキルを使い回避しようとするが握られてダメージを受ける。

 

トリスタン「なんと……!強化解除の宝具など、嫌らしいにも程がありましょう……!」

 

茨木童子「間髪入れずもう一発!走れ、叢原火!チョコケーキの無念を晴らせ!羅生門大怨起―――――ィィィ!!」

 

呻いたトリスタンへと茨木童子は2度目のを発動する。

 

ボォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!

 

トリスタン「二連発!なんという……早弾き……!」

 

謎の黒騎士「BAAAAAKAAAAAAAA!!」

 

飛んで来たのにトリスタンは思わず音楽に例えて、謎の黒騎士にツッコミを入れられる。

 

ズドォオオオオオオオオオオン!!

 

そのままトリスタンは宝具を喰らい、謎の黒騎士も巻き添えで吹っ飛ばされていった。

 

茨木童子「む、いかん。逆方向に飛ばすべきだったか」

 

バゼット「ピラミッドの方へと吹き飛んでいきましたね。……あれではわざわざ逃がしたようなものです」

 

茨木童子「な、何だ、勝負のアヤというヤツだ、吾は悪くないぞー!」

 

それを見てそう言うバゼットに茨木童子は腕をブンブン振って否定する。

 

刹那「そりゃ茨木が悪いわぁ」

 

茨木童子「ひいいいいい酒呑!?しゅて……汝ぇぇぇぇぇぇっ!!」

 

ただ、耳元で酒呑童子の声真似をして言った刹那のに茨木童子は怯えた後に刹那に怒鳴り、刹那はわーと逃げる。

 

マシュ「凄いですねマスター。今の物真似、似てないのに妙な迫力が……」

 

そんな刹那のに対してそう評するマシュに刹那は逃げながらそれほどでも~と照れて笑う。

 

ブレイブエリザ「ともかくにも。この街は解放されたわ!もうあの女王が止めろと言ったところで止まらない!ああ、世界がハロウィンの喜びに満ちている……!思わず私も一曲披露したくなってきたわ!」

 

ロビンフッド「それは止めておけっての。またスタート地点に戻る事になるからな?」

 

喜ぶブレイブエリザにロビンフッドはそう釘を刺して、言われたブレイブエリザは何でよ!と怒る。

 

マシュ「……あれ?子供たちが……」

 

そんな小芝居の間に逃げる騎士達にカボチャをかぶせて戦闘終了を確認するとそこにコスプレをした子供が来る。

 

子供「わーい、トリック・オア・トリート!」

 

マシュ「え、わ、わたしですか!?すみません、お菓子は……」

 

そう言われてマシュは戸惑う。

 

子供「いたずらだー!」

 

刹那「いたずらだ!」

 

マシュ「マスターまで!?」

 

綺麗な笑顔で言う子供たちに紛れて言う刹那にマシュはあわあわと慌てる。

 

フォウ「フォウ!」

 

マシュ「フォウさんがドクターの隠し持っていたゴマ饅頭を!」

 

僕のゴマ饅頭ぅー!と言うロマンの悲鳴を無視してマシュはゴマ饅頭を手渡す。

 

子供「お菓子だ―!」

 

マシュ「……ふぅ。助かりました、フォウさん」

 

フォウ「フォウフォウ」

 

嬉しそうに去る子供を見送りながらマシュはフォウにお礼を言い、フォウは誇らしげに胸を張る。

 

刹那は悪戯出来なくて残念そうであるが…

 

茨木童子「ふぉむふぉむ。もにゅもにゅ。おい、足りんぞ。あとこの味は食べ慣れている。もう少々、スイーツ的な感じのものを吾は所望する!」

 

その隣で茨木童子が先ほどのケーキの変わりとごま饅頭を食べていてそれなら…とマシュがマカロンを手渡す。

 

茨木童子「なんだそれは!?まず見た目が良い!鮮やかだ!」

 

ぱくっ

 

手渡されたのに茨木童子は訝しげになったがすぐさま口に放り込む。

 

茨木童子「そしてこの食感……柔らかく、それでいて割れるように硬く、中はしっとり……」

 

もむもむして食感を味わった後に目を見開く。

 

茨木童子「え、嘘。なにこれ、色ごとに味が違うのか!?抹茶!栗!苺!ぴすたちお!まさにお菓子の万華鏡ではないか―――――!!」

 

ロマン『マカロンは子供に大人気だからねぇ……。茨木童子には特攻だねぇ……』

 

まるでどこかのグルメレポーターな感じで評した後に美味さに目を輝かせる茨木童子にロマンははははと笑う。

 

刹那「それじゃあ邪魔も居なくなったしハロウィンの準備するよ!」

 

刹那の号令と共に誰もがおお!と腕を突きあげる。

 

そして数時間後……

 

子供「ハロウィンたのしーねー!」

 

様々な場所でハロウィンの飾り付けが施され、子供たちがワイワイと仮装をして御菓子を貰いに走り回る。

 

良い調子だなとエミヤはフッと笑う。

 

マシュ「なんだか、やっとハロウィンらしくなってきましたねマスター」

 

刹那「うん。やっぱりハロウィンはこうでなくっちゃね」

 

マシュ「はい!こうでなくっちゃ、いけないです!」

 

イリヤ「そうですね!楽しまないといけませんよね♪」

 

笑って言ったマシュは刹那のに同意し、イリヤも頷く。

 

ニトクリス「祭りを正しく執り行うのもファラオたる者の務め。あの子もそろそろ、それを理解できるといいのですが…」

 

美遊「あの子って誰の事ですか?」

 

それを見てニトクリスがポロリと呟いた事に美遊は気になって聞く。

 

ニトクリス「あ、いえ、なんでもありません」

 

慌てて誤魔化すニトクリスに美遊は首を傾げる。

 

ブレイブエリザ「さあ、女王の下に向かいましょう!ライブ――――――ううん、違う。ライブも大切だけど。何より、このハロウィンをみんなで楽しむためにあの女王を打倒するのよ!」

 

その中でブレイブエリザは決意をメンバーへと伝える。

 

フォウ「フォウ……」

 

マシュ「フォウさんの言いたいこと、何となく分かります。止まった時を生きる英霊でも何かを理解し、何かを育もうとする」

 

ニトクリス「……そうですね。例えそれが一夜かぎりの夢だとしても、夢を見たこと自体は決して無駄ではないはず。マシュ・キリエライト」

 

そんなブレイブエリザを見て一声鳴くフォウのを訳すマシュにニトクリスも同意してからマシュを呼ぶ。

 

マシュ「はい?」

 

ニトクリス「…………ごめんなさい。何でもありません。貴女に掛ける言葉は必要なさそうです」

 

マシュ「は、はあ……?」

 

だが、すぐさま謝るニトクリスになぜ呼んだのだろう?とマシュは首を傾げる。

 

ニトクリス「さあ、行きましょう。そしてもう一度、あの門番と相対するのです」

 

凛「ええそうね。今度は勝つわよ!」

 

誰もがニトクリスのに頷いた後にピラミッドへと向けて途中でカボチャとかを集めながら進むのであった。

 

ブレイブエリザ「……ところで立ち去る前にやっぱり一曲くらいいいんじゃないかしら?」

 

全員(ブレイブエリザとネロ以外)「絶対ダメ!!」

 

さりげなく歌おうとするブレイブリザに全員が駄目出ししてブレイブエリザはぷぅとなる。

 

ちなみにネロも残念そうに刹那を見ていたがスルーした。

 

こうして街を出発した刹那達は道中様々な場所でカボチャを回収していった。

 

 

森では獣人と共に襲い掛かって来たスケルトンからカボチャを取る。

 

エミヤ「取ったカボチャはこのワゴンに乗せてくれ」

 

ルヴィア「いつの間に投影したんですか;」

 

洞窟

 

次の洞窟でも幽霊たちを撃退しながらスケルトンからカボチャを取ってはワゴンに乗せていく。

 

美遊「どんどん取れるね」

 

イリヤ「うん、この調子で…ってそう言えば次は…」

 

カボチャをワゴンに入れながらそういう美遊にイリヤは頷いた後に洞窟を抜けた先を思い出す。

 

雪原地帯

 

ビュォオオオオオオオオオオオオオッ!!

 

リリィ「そう言えばここも通りますよね;」

 

吹雪く中でリリィがそう言う。

 

ブレイブエリザ「寒いから一気に突っ走りましょう!」

 

茨木童子「うむ、冷たいチョコが口の中で溶けるのは快感なのだが、冷たすぎて歯が欠けそうだ!」

 

誰もがブレイブエリザのに賛成しながら一気に走る。

 

溶岩地帯

 

静謐「そして抜けた先が私とマスターが再会した熱い所ですね」

 

刹那「あははは;そうだね」

 

茨木童子「ら、頼光たちは居ないようだな……」

 

ニトクリス「そ、そうですね…」

 

ポッと顔を赤くして言う静謐に刹那は苦笑して、茨木童子はオドオドしながら聞き、ニトクリスも思い出して顔を青くする。

 

エミヤ「だがあとでカルデアに戻ったら必ずいるぞあの二人は」

 

それを聞いた瞬間、茨木童子とニトクリスは真っ白になった。

 

イリヤと美遊とクロはご愁傷様と手を合わせる。

 

こうして刹那達は順調に集めて行き、城門までたどり着いた。

 

刹那「早く戻ってこれて良かったね」

 

そうですねとマシュも頷いた後にブレイブエリザを見る。

 

ブレイブエリザ「…………」

 

マシュ「あの、大丈夫ですか?ブレイブエリザさん」

 

だ、大丈夫よとマシュに返した後にブレイブエリザは恐る恐るヴラド三世へと声をかける。

 

ブレイブエリザ「……その、ええと……。トリック・オア・トリート、おじ様!」

 

ヴラド三世「…祭りの音が聞こえるな……気付いたのかそれとも気付かされたのか。気付いたのであれば、貴様にもいくばくかの見所はあろう。気付かされたのであれば、貴様と共にある者が貴様を思いやったのであろう。裁決は結果のみを見る。民が満たされたのであれば、この先に進む資格がある」

 

ジロリとブレイブエリザを睨む様に見ながらヴラド三世はそう言う。

 

ブレイブエリザ「おじ様……!」

 

顔をパァッとさせるブレイブエリザにだが…とヴラド三世は槍を向ける。

 

ヴラド三世「この姿の吾《オレ》は貴様には特に厳しい。貴様の犯した罪は数多い。その中の一つに、英霊となった吾《オレ》にとっては決して見逃せぬ罪がある」

 

刹那「見逃せない罪?」

 

出て来た言葉に刹那は首を傾げるがヴラド三世は答えることなくブレイブエリザを見る。

 

ヴラド三世「――――死をもって償え、とは言わん。償いの場など与えぬからな」

 

ブレイブエリザ「……!」

 

その後に殺気を発するヴラド三世にブレイブエリザはビクッとなる。

 

ヴラド三世「王たる(オレ)は鷹揚にして苦悩する人間であるが、武人たる(オレ)は一切の邪悪を赦しはしない。不義不徳、民を玩弄し、無知である事を当然だと考えた殺人鬼よ。貴様の罪は百年経っても覚めぬ悪夢、貴様の悪は歴史に刻まれし罪科である。何人も訪れぬ暗闇に還る時だ。では―――徹頭徹尾、鏖である」

 

その言葉と共にヴラド三世は飛び上がり、槍をブレイブエリザへと振り下ろし、ブレイブエリザは慌てて避ける。

 

ズドォオオオオン!!

 

エミヤ「やはりこうなるか!」

 

マシュ「大丈夫ですかマスター!?」

 

衝撃に誰もが身を守る中でヴラド三世は誰にも目をくれずにブレイブエリザを狙う。

 

ヴラド三世「ふんっ!」

 

ガキィン!

 

振るわれた槍をブレイブエリザは盾で防ぐ。

 

援護しようとしようと青アルトリアとリリィが駆け出す。

 

青アルトリア「!リリィ!」

 

リリィ「へ?きゃあ!?」

 

だが、駆け寄る直前に青アルトリアは立ち止まり、リリィを抱き抱えて後ろに下がると2人が走ろうとした所に槍と杭が飛び出す。

 

ヴラド三世「邪魔はしないで貰おう騎士王よ」

 

刹那「っ、これじゃあブレイブエリザの援護ができない!」

 

ブレイブエリザとヴラド三世を囲む様に飛び出した杭と槍で他のメンバーが向かう事が出来ない状況になり、刹那は歯がゆい思いをする。

 

その間もヴラド三世はブレイブエリザを攻める。

 

ヴラド三世「ふんっ!」

 

ブレイブエリザ「きゃあ!」

 

振るわれる槍にブレイブエリザは後ずさる。

 

クラス相性では有利だがヴラド三世の発する威圧感と覇気にブレイブエリザは押されていた。

 

ヴラド三世「突き砕く!」

 

そのまま貫き、彼女を砕こうとするヴラド三世にブレイブエリザは盾で防ぐ。

 

刹那「やっぱり押されてる……」

 

イリヤ「このままじゃ……私、空から援護してくる!」

 

その言葉と共にイリヤは飛び上がる。

 

そんなイリヤに気づいたヴラド三世は感心したように見る。

 

ヴラド三世「ほぅ、空から来るか……良いだろう。そのまま串刺しにしてやろう」

 

その言葉と共にヴラド三世はイリヤへと向けて槍を放つ。

 

ブレイブエリザ「!」

 

ガキィン!

 

槍がイリヤを貫こうとした瞬間、ブレイブエリザがジャンプしてイリヤの前に出て盾でイリヤを貫こうとした槍を防ぐ。

 

ブレイブエリザ「大丈夫イリヤ!」

 

そう言ってからブレイブエリザは槍を切り裂いてイリヤと共に着地する。

 

ヴラド三世「ほぉ。仲間を庇ったか…なぜそう動いた?こちらの意識がその娘に向いていたのだから隙が出来ていた筈だ…なぜだ?」

 

そんなブレイブエリザへとヴラド三世はそう問う。

 

ブレイブエリザ「勇者が仲間を見捨てるわけないでしょ!」

 

ヴラド三世「ふむ、落第点だが良いだろう。仕切り直しと行こうではないか」

 

そう返すブレイブエリザにヴラド三世はそう言って槍を構える。

 

ブレイブエリザ「望むところよ!はあっ!」

 

ガキィン!

 

斬りかかるブレイブエリザのをヴラド三世は軽く受け止めた所にイリヤが魔力の斬撃を放ち、すぐさまブレイブエリザが離れるとヴラド三世に炸裂する。

 

ヴラド三世「ぐぬ!」

 

イリヤ「砲撃(フォイア)!」

 

そこに追い打ちとイリヤは砲撃を放つ。

 

ズドォオオオオオオッ!

 

ヴラド三世「くっ、この程度…」

 

ブレイブエリザ「はぁっ!」

 

耐えたヴラド三世の懐にいつの間にか接近したブレイブエリザが斬りかかる。

 

ヴラド三世「ぬるいわ!」

 

ズババババババッ!

 

それに対してヴラド三世は胴体から複数の槍を出現させてブレイブエリザを貫こうとする。

 

マシュ「ブレイブエリザさん!」

 

キンキンキンキンキン!!!

 

ブレイブエリザ「残念だったわねおじ様!勇者は無敵なのよ!」

 

それにマシュが叫ぶがブレイブエリザに槍は刺さらずに無傷であった。

 

ヴラド三世「なにっ!?」

 

ブレイブエリザ「はぁあっ!」

 

ドスッ!

 

驚いているヴラド三世へとブレイブエリザは剣を突き刺す。

 

ヴラド三世「ぐうううううううっ!?」

 

顔を歪めながらヴラド三世はブレイブエリザを突き飛ばし、突き刺された所を抑えるヴラド三世をみつえ、ブレイブエリザは宝具を発動する。

 

ブレイブエリザ「La~♪」

 

ヴラド三世「グッ!?」

 

音波で拘束し、ブレイブエリザは狙いを定める。

 

ブレイブエリザ「ゲット!鮮血竜巻魔嬢(バートリ・ブレイブ・エルジェーベト)!!」

 

ギュィイイイイイイイイイイイン!

 

飛び上がり、回転してヴラド三世へと突撃する。

 

ヴラド三世「ハァッ!」

 

エミヤ「なっ!?力づくで拘束を解いただと!?」

 

だが、ただでやられないとヴラド三世は力づくで解除する。

 

ヴラド三世「良いだろう、殺人鬼よ。貴様の宝具、我が宝具により打ち破って見せよう!」

 

そう言って向かって来るブレイブエリザへとそう言い、自身も宝具を発動しようとする。

 

ヴラド三世「地獄の具現こそ、不徳の報いに相応しい!串刺城塞(カズィクル・ベイ)!」

 

ズババババババババババババッ!

 

咆哮と共に大量の槍が地面から突き出てブレイブエリザへと殺到する。

 

そのまま放たれた宝具同士がぶつかり合い、誰もが起こった衝撃に堪える。

 

ブレイブエリザ「はぁああああああああああああっ!」

 

ギュィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイン!!

 

バキバキバキバキバキバキバキッ!

 

ヴラド三世「なにっ?!」

 

気合の咆哮と共にブレイブエリザの高速回転突きがヴラド三世が出現させた大量の槍や杭を粉砕し、ヴラド三世の身体に渾身の一撃を叩き込む。

 

ズドォオオオオオオオオオオオッ!!

 

ヴラド三世「グォオオオオオオオオオオッ!?」

 

ズドッ!

 

ブレイブエリザ「……また伝説を作ってしまったわ」

 

ズドォオオオオオオオオオオン!!

 

そう言って背にすると共に爆発が起こる。

 

イリヤ「す、凄い!」

 

ルビー「ホントですね。最初の勢いのなさが嘘の様に消えましたし」

 

それにイリヤは感嘆の声をあげ、ルビーがそう言う。

 

爆風が収まると佇むヴラド三世がおり、まだかとブレイブエリザとイリヤは慌てて構える中でヴラド三世は口を開く。

 

ヴラド三世「……吸血鬼などという架空のものに、我が槍が破れるとはな。不徳の極みは(オレ)の方であったか」

 

ブレイブエリザ「あ、あの……おじ様?」

 

恐る恐る話しかけるブレイブエリザにヴラド三世は首を横に振る。

 

ヴラド三世「貴様におじ様などと呼ばれる筋合いはない。そう呼ぶべきは王である(オレ)であろう。我々サーヴァントの異なる側面とは、別人に等しい場合もある。今の(オレ)のようにな」

 

ブレイブエリザ「でも、それでも。……その、おじ様はおじ様だし……。アタシは嫌われているかもしれないけど。……どうしても許されない事を、してしまったのかもしれないけど」

 

そう言うブレイブエリザのにヴラド三世は今度は首を縦に振る。

 

ヴラド三世「そうだ。貴様は罪を犯した。世界は貴様のあの罪を数えぬだろう。貴様の霊基にも、あの罪は刻まれてないだろう。何もかも無かった事になった世界での話だからな」

 

イリヤ「何もかも無かった事になった世界?」

 

出て来た事にイリヤや刹那達は疑問を感じる。

 

ヴラド三世「……だが。(オレ)は忘れぬ訳にはいかぬ。我が妻。我が愛。我が光の最後の理性を、貴様は否定したのだ」

 

ブレイブエリザ「おじ様の妻……?」

 

そうだとヴラド三世が頷くと体から光となって行く。

 

ヴラド三世「あの美しい女の為に、(オレ)は貴様を赦さぬ。たとえ、あの女が貴様を赦すと言ってもな――――――」

 

シュゥウウウウウウウ

 

そう言い残してヴラド三世は消えて行く。

 

ブレイブエリザ「…………」

 

マシュ「ブレイブエリザさん……」

 

ロビンフッド「……なるほど、オレもなんとなく思い出したわ。厄介だねぇ、人理があやふやな状態ってのは。()()ヴラド三世とエリザベートには、ま、ちょっとした因縁があったのさ」

 

そんなヴラド三世が消えた場所をみつめるブレイブエリザを見て呟くマシュの隣でロビンフッドが合点が言ったと納得する様に言う。

 

美遊「因縁、ですか?」

 

ロビンフッド「ああ。エリザベートとヴラドの旦那、どっちが悪いとか正しいとかの話じゃない。世界ってのは人間の道徳なんてものには流されない。ただ、『存続に有益なもの』を採用する。罪深くても恥知らずでも、とにかく償いをしようと顔を上げたお嬢ちゃんと、一切の償いを認めず、ただ粛清を求めたあの旦那の信念は、世界にとっちゃ『同じ罪』なのさ」

 

ロマン『……そうだね。同じだから、有効な方を使う。人理継続の為なら悪であろうと使い、人理継続を願わないのなら、義が有ろうと不要な英霊として不許可とする……か。でも、それでいうのなら、あのヴラド三世も人理継続を願ってはいるんだろう。なにしろ、こうやってサーヴァントとして召喚された訳だから』

 

困った感じに美遊のに答えるロビンフッドにロマンも何とも言えない顔で同意してそう言う。

 

茨木童子「……そうだろうな。吾とて人間は憎い。好かぬし、信用できん。だからといって人の世を滅ぼす気はない。なにしろ人間は使い途《つかいみち》がある生き物だ。人間《てき》が居るから吾が居る。人間が居ない世界では吾も酒呑も呼ばれはしまい。」

 

イリヤ「茨木さん…」

 

それに茨木童子も思う所があり、そうなんとも言えない顔で言った事にイリヤはどう声をかけようか迷った。

 

茨木童子「故に、なんだ。赤角よ。貴様がどれほどの罪を積み上げてきたとしても……今ここにいる事を否定できる者は、誰もおらぬ。『無』を望まぬ限り、貴様も英霊の一人だ」

 

ブレイブエリザ「……」

 

その後にブレイブエリザへとそう言ってから茨木童子は続ける。

 

茨木童子「無論、反英霊と言う英霊に破られるための生贄としてだがな」

 

ブレイブエリザ「……そうね。ありがと、イバラギ。礼を言うわ。さて―――――待たせたわね、子ジカ。さ、女王との決戦よ!」

 

刹那「うん、行こう!」

 

そう言ってから気を取り直すブレイブエリザに刹那は頷く。

 

ブレイブエリザ「ナイスリアクション!サンキュー、刹那!お城を取り戻したら、アタシのライブを手伝う権利を与えるわ!」

 

サァー

 

マシュ「あ、立ち所にマスターの顔面が真っ青になりました」

 

ただ、出て来た言葉に刹那の顔はマシュの言うように真っ青になり、まぁ、分かると誰もが頷く。

 

ブレイブエリザ「何で!?」

 

ジャンヌ「あはははは;」

 

エミヤ「まあ仕方ないな;」

 

それにはジャンヌは苦笑いし、エミヤはふうと息を吐く。

 

とにかくと刹那はピラミッドを指す。

 

刹那「それじゃあ早速突入しようか」

 

イリヤ「はい!」

 

その言葉と共に一同は城へと突入する。

 

一方でチェイテピラミッドでは……

 

女王「むぅぅぅ、まさか本当に辿り着くとは!妾の対策が甘かったとでも言うのですか!」

 

そこでは女王が苛立った様子で歩き回っていた。

 

女王「いえ、落ち着くのよ、落ち着きなさい妾。失敗は誰にでもあるもの。妾とて例外ではない。むしろ美しい女王にのみうっかりミスは許される。逆説的に、うっかりミスこそ女王の証ッッ!」

 

アレキサンダー「(いや流石にそれはおかしいんじゃないかなー;)」

 

間違った認識のにアレキサンダーは内心ツッコミを入れる。

 

女王「よし、いけるわ。妾に落ち度はなかったと証明されしました。となれば―――――ブタの上に負け犬の騎士ども、立ちなさい!次は総力……」

 

アレキサンダー「あー、ちょっと待ってくれないかな。まだ僕が参加してないんだけど」

 

今いる全ての兵を出撃させようとする女王にアレキサンダーが待ったをかける。

 

女王「こ、これはすみませんアレキサンダー様。しかし本来の姿ならともかく今の貴方様おひとりがあの者たちに行くのは少し無謀かと…」

 

アレキサンダー「それなら心配ご無用。ちょっとした秘密兵器があるから大丈夫だよ」

 

それに申し訳なさそうに言う女王にアレキサンダーはサムズアップして言う。

 

女王「そ、そうですか…では、お願いします」

 

アレキサンダー「んじゃ行ってくるね」

 

頭を下げる女王にアレキサンダーはそう言って歩き出す。

 

ついにヴラド三世を倒し城へと突入した刹那達、一方でアレキサンダーの言う秘密兵器とは…


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