東方開扉録   作:メトル

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神様、私に書く時間を下さい。


第八話 異変

誠「異変…ですか?」

 

レ「ええ、そうよ」

 

朝起きて顔洗って食事した後にレミリアから部屋に来いと言われたので行ってみた。

そしたらレミリアが異変を起こすと仰りましたですハイ。

 

誠「また急にですね…」

 

レ「そうでもないわ、前々から計画していたのよ」

 

誠「私が紅魔館に来る前からですか?」

 

レ「そうよ、計画を練っていた間に貴方が来たの」

 

誠「タイミングが良すぎですね私…」

 

レ「咲夜と話していたわ、計画が旨く事を運びそうね…と」

 

誠「それは私の力を期待しての事ですか?」

 

レ「勿論よ、期待しているわ」

 

正直に言えばこんなオタクの学生に何を期待しているんだと。

確かに能力は立派だがそれでもねぇ…

 

誠「ところで、どのような異変を起こすおつもりで?」

 

レ「説明が遅れたわね、まず吸血鬼の弱点と言えば何か分かるかしら?」

 

吸血鬼の弱点と言えば、銀製の杭と十字架と…

 

誠「太陽…ですか」

 

レ「そう、吸血鬼は太陽光に長時間晒されると灰になってしまうの」

 

レミリアも吸血鬼だからやっぱり灰になるわけか。

吸血鬼と言う人間を食す絶対の力を持つ者でも日光に触れたらジュワッ!となって終わり、力を持つ代わりのそれ相応のデメリットを背負っているんだな…

 

レ「私は吸血鬼だから外に出る事が出来ない、でも食物連鎖の下にいる

  人間は日光に怯えず平和な生活を送っている」

 

誠「力を持つ者の定めですね」

 

レ「そう、人間より遥かに上の力を持つ吸血鬼が日光に怯えて暮らす…

  これでは力なんて無いも同然よ」

 

確かに、宝の持ち腐れって言うレベルじゃねーぞ!

 

レ「そこで、私の力で日光を遮断し吸血鬼の“力”を幻想卿に

  見せつけてあげましょうと言うわけよ」

 

なるほど、力の有効活用ですか。

確かにそれなら弱点の大半は補ったも同然、吸血鬼大勝利だ。

 

レ「幻想卿の空を紅い霧で埋め尽くし、太陽光を遮る。

  名付けるなら“紅霧異変”ってところね」

 

紅霧異変…どっかで聞いた事が、って思い出したぞ。これ東方紅魔卿じゃないか。

え、って事は…俺って敵サイドにいるわけ!?

うわぁ…正義の腋巫女さん倒すのか…なんかやりづらいな…

 

誠「ち、ちなみに私の仕事はやっぱり…」

 

レ「ええ、霧が幻想卿を埋め尽くすまでの時間稼ぎと、向かってくる者の排除」

 

誠「そうですよね~」

 

よりにもよって戦闘要員じゃないですかーやだー!

戦闘は専門外なのですがねぇ、とか言って見物していたいです。

 

レ「ダメよ、しっかり働いて貰うわ」

 

ですよねー…

 

誠「それでは、私の持ち場はどこになるのでしょうか…」

 

レ「それなんだけど、場所はいい感じに埋まってるから貴方は遊撃手ね。

  館の中でもどこでもいいわ、パトロールしながら邪魔者は排除するの」

 

館の外に出てどっか隠れていようかな…

 

レ「そうそう、貴方の事だから絶対に無いとは思うけど…

  もしも、サボっていたりしたら…」

 

俺はごくっと唾を飲んだ。

 

誠「…し、したら?」

 

レ「…これから一生の食事抜きと即座に四方八方からナイフが飛んでくるわ」

 

誠「喜んで務めさせて頂きます!!」

 

レ「良かった、それじゃあ今夜から霧を出し始めるわ

  そうね…あの巫女なら二週間位したら動き始めそうだからそれまでは待機

  ゆっくり休んでおきなさいよ?」

 

あー…確かにすぐには動かないよな…あの巫女さん。

 

誠「分かりました、それまでお嬢様が進めていたゲームを進めておきますね」

 

レ「やめてっ!ストーリーが分からなくなっちゃうからっ!!」

 

誠「残念です」

 

レ「…さ、今日の夜から始めるのだからまだ時間はあるわ。

  一勝負いくわよっ!」

 

誠「返り討ちにして差し上げましょうっ!」

 

懐からゲーム機を取り出し電源を入れる、通信モードを選択しレミリアとの対戦の準備を整える。

 

誠「見せてあげましょう!夜な夜な特訓を繰り返した成果を!!」

 

レ「掛かって来なさい!私の連鎖の前では全てが無力であると言う事を

  思い知らせてあげるわ!!」

 

誠・レ「レッツ!ぷよ勝負っ!!」

 

その後俺はレミリアの圧倒的な連鎖の前に手も足も出ずに完敗した、悔しい。

…な、泣いてないですよお嬢様!

 

 

 

 

 

 

いつものように目を覚ますと顔を洗いダイニングルームへと向かう、昨日は久しぶりに夜更かしもせず普通に寝たので今日は気分が良い。

ダイニングに着くとレミリアがいない事に気が付いた、やっぱり霧出すのが大変なので疲れてまだ寝てるのか、それとも未だに霧を出し続けているのだろうか。

まあ食事を済ませてから部屋でも見に行って見れば分かる事だ。

席に座るといつものように食事が現れなかった、いつもなら咲夜さんが朝食を出してくれる筈なのだが…

ふと隣を見るといつの間に現れたのか、咲夜さんが立っていた。

 

咲「珍しい事もあるものね、こんな時間に貴方が起きるなんて」

 

こんな時間?時計も見ないでここまで来たから今の時間が分からない。

 

誠「もしかして、起きるのが早すぎました?」

 

咲「そうね、普通は八時に朝食を取るのに今日は五時に起きるなんてね。

  貴方らしくないわ、いつもならこの時間は夢の中でしょう?」

 

誠「恥ずかしながらそうですね、久しぶりです」

 

咲「折角早起きしたんだから紅茶でも飲んでランニングでもしてきたら?」

 

誠「遠慮しておきます、朝から運動はやる気が起きませんよ」

 

咲「そう、残念」

 

何が残念なのかを聞こうと口を開いたが咲夜さんはその時もうこの場にいなかった。

代わりに現れたのは少し甘い香りの紅茶だけだった。

 

…あとで美鈴に稽古でもつけて貰おうかな。




今回も短めですみません、しかも一週間ギリっギリで本当に申し訳ありません。







次回予告
霧を出し始めてから一カ月が経過した、幻想卿は霧で覆われてレミリアも満足の天気になった幻想卿に救世主が現れる。ついに来たな巫女と白黒…ってアレ?そこに現れたのは白き侍、自分の体ほどの刀を携え現れた侍は言った、悪を滅しに来たと。紅魔館組総動員で戦うが白き侍は底が知れない強さで紅魔館組を圧倒、紅魔館組は絶体絶命の危機に直面する。「む、無理だわ…こんな変な仮面を被った得体の知れない奴がここまで強いなんて…」「時を止めても時を斬られるなんて」「こ、この人の“気”はどこまであるのですか…」怯えきったレミリア達を斬り捨てようとしたその時、閃光が走るッ!「先に言っておくが、俺はパーフェクトだぜ?」斬撃が飛び鍔迫り合う二人、この戦いはKOするまで終わらない。次回「UNDER NIGHT IN-BIRTHが稼働したよ!ゲーセンへダッシュだッ!!」戦いは始まったばかり。

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