東方開扉録   作:メトル

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第四話 能力

よし、整理してみよう。

今俺は何故か知らんが幻想卿に幻想入りしてしまった。

そして紅魔館に住む事になった、だが館の主であるレミリアは俺が自分の能力に気付いていないと言って半殺し宣言。部屋の中でリアル鬼ごっこなう。

 

誠「パスってないんですか・・・ッ!ちょッ危なッ!」

 

ちょ!人間相手に弾幕放つっておまっ!ピチューンで済むレベルじゃねっぞっ!

こんな所で死ぬわけにはいかない、俺には自宅に残した詰みゲーが待ってるんで死ぬわけにはいかないんだよ!

ぼっちでやり込んだGODEATERとかタクティクスオウガとか借りたまんまでやってないワンダと巨像とか・・・まだやり込み足らないゲーム達が残っているんだよ!

回避だ、まずは回避に専念する。そして隙を突きながら能力を探しだして当てる。

これ以外に策はないだろう、小細工を使おうとすれば逆に死ぬよコレ。

さっきの弾幕を見る限り避け切れない程の数や配置ではない、東方の難易度的に考えればEASY、簡単ではある。しかも最初のボス級に弱い。

完全に手加減してくれているようだがやはり弾幕には当たれない、痛いのは嫌いだしピチュるとか怖すぎる。原子レベルで体内から破裂とか想像すると怖過ぎだろ、実際破裂はしてないだろうけどそれでも何が起きるか分からないし怖い。

 

飛んでくる弾幕、体を横にステップしそのまま勢いに身を任せ前転、弾幕を辛うじて回避する。

完全に俺が弾幕を回避し切った事を確認したレミリアは自身の前に弾幕を配置、そしてまた弾幕をこちらへ飛ばしてくる。

弾幕の弾道を読む、俺の頭と右ステップ左ステップ時に当たる様に飛ばされた弾幕をしゃがみ込んで避けそのままレミリアに突進する。

能力ってのは才能からくる事が多いだろう、能力は使えるけど才能が追いついていないなんて事はまず無い、あったら能力の前提が崩れるしな。

例えば美鈴の能力・・・『気を使う程度の能力』だったな、それも美鈴という人間・・・あ、妖怪か。まあそれはいい、美鈴に合っている能力と言える。

美鈴は中華風の妖怪であり中国の武術とかで気やオーラのような物を扱う武術があるらしい、そしてそれが反映されたような能力を美鈴も持っている。

ならば俺も自分の才能に関係すると思う。あるいは強い思いや夢憧れとかに関係する事であろう。

あるいは・・・好きな物。

・・・ゲーム?いやいや戦闘全く関係ないし。

・・・そうだ、ゲーマーの夢であるゲームの主人公になるとかどうだ?ありえそうで怖い。

それならばやはり俺の大好きなゲーム、ドラゴンクエストとかモンスターハンターとかにな~れとか想像すれば出来るかもしれないわけだ。

よしやってみよう。

 

目を閉じる。思う、想像、妄想、出来るという思いで考える。

ドラゴンクエストといえばひのきの棒だろう、最初だし複雑なのは考えない。

俺は今、木の棒を持っている。長さは1mくらい、棒の端を持っている。

 

紅「えっ!」

 

美鈴が驚きの声を上げるが気にも留めない。

意識を集中させる、木の棒を頭上へ振り被る。木の棒の重さで後ろへ腕を持って行かれそうになる、そのまま力強く・・・振り下ろすッ!

 

バシ!っと乾いた音が響く、目をゆっくり開けるとお嬢様が木の棒を片手で抑えている。

まさか・・・成功した?

手を見ると乾いた木の棒がしっかりと握られている、部屋の中にこんな棒は無かった筈だ。

となると・・・俺の能力で創った(・・・)のか?

え?ちょ、え?マジで?やっておいてなんだが信じられない。

いやいや、能力は出来て当たり前と思う精神が重要だってばっちゃが言ってたし。

 

レ「・・・成程ね、でも・・・不合格」

 

誠「へ?ぐほァッ!?」

 

素っ頓狂な声を出して吹き飛び、壁に背中を打ちつけられた。

はっきり言おう、クソ痛い。息が詰まって激痛で涙が出てくる、それでも何とか立ちあがると目の前にレミリア立っていた。

すぐさま逃げようとしたが首を掴まれて持ち上げられた、レミリアも宙に浮き俺の足が浮き上がる。首の圧迫感で呼吸がし辛い、必死に抵抗を試みるが全くもって効果はないようだ、手の力は緩む事なく俺を掴み上げている。

こんな時に頭が回る事などないようで能力を試そうにも何も頭に浮かばない、そうこうしているうちに意識が朦朧としてきた。

ヤバい、気を抜いたら直ぐに意識が飛びそうだ。

いやこれもレミリアが俺を試そうとしているのかもしれない、ここから抜け出して見せろと。

全身の力を抜き意識を集中させる、ここで抜け出す方法は複数ある。

①レミリアの手を弾く、一番簡単に思い付くが一番難しい。

②他の事に意識を逸らせてその隙を突く、これもやはり難しい。

③レミリアに痛手を負わせる、吸血鬼の弱点を付いてやる手があるがこれは後が怖いしやりたくない。

・・・ここは①か②の策を考えるしかない、といっても時間はない。

何か、何か策はないか・・・

手を開かせる・・・そうだ、効くかは分からんがこの手がある!

 

上を向いたまま手を前へと伸ばす、そしてレミリアの脇腹へと掴み掛かる。

そのまま一気に・・・擽る(くすぐる)!!

 

レ「ちょ!あははははははははは!!!や!やめ!!」

 

レミリアは笑いを堪える事が出来ずに手の力を緩める、レミリアの手から逃れた俺はそのまま着地しレミリアから距離を取る。

何も創らないで出来るレミリアの身長だからこそ出来るこの芸当。

大の大人では手が届かない、レミリアの幼い体だからこそ出来たのだ。

しかもこれなら能力を使わなくても出来る、非力な人間でも出来るから我ながらいい策だと思う。

しかしこれ吸血鬼じゃなかったら俺変態だろHENTAI、待てよ?相手が吸血鬼でもこれは流石にHENTAIではないか?

いや不可抗力だ、正当防衛だ、うん。

さて、距離を取ったし武器でも何でも創らなくてはヤバい。飛び道具は禁止らしいから剣、槍、なんでもいいから近接武器を創らなくては。

一応武器の扱いは分かる、ゲームの動きに剣道をやった時に学んだ事を生かして我流の戦い方は出来ている。

・・・不良に絡まれた時の為に護身用として覚えた奴がこんな所で活かされようとは。

 

レ「くっ、やるじゃない」

 

と言いながらカリスマ全開で立ち直るレミリア、さっきはカリスマブレイクさせてサーセンフヒヒ。

今にもパンチが飛んできそうだからとりあえず片手用の盾、次に片手で扱える剣を創り構える。

今度は目を閉じなくても創る事が出来た、光の粒子みたいなのが集まり剣の形を創りだす。

成程綺麗だなこれ、面白い。

にしても剣がやけに軽い、軽い鉄で出来た剣と想像したら物凄い軽い剣が出来た。想像で重量や質量、威力、素材も操れるようだな、万能で助かる。

逆に盾の方は盾としか思ってないから皮で出来た盾が出来た、成程無意識だと一番盾だと思うのが出来るわけか、って事は俺の記憶にない物は創れないようだな。

やはり知識と理解無しでは何も生まれないわけか、まあ使い道もわからん変な異物が創られても困るし好都合だろう。

あれ、そういやさっき創った棒はどこへいった?さっき吹き飛ばされた時にどっかに飛んで行ったと思うんだけど・・・

 

レ「余所見する暇があるなんていい度胸してるじゃない」

 

勿論余所見はしていたが気は張っている、来る事は分かっていたしその為にトラップも張っておいた。

サッと後ろにステップ、そして盾を外して右手を前へ突き出す。

そして人差し指を上に向けてクイっと曲げる。

 

誠「どうぞお嬢様?」

 

一応挑発したつもりだけどなんか挑発とは違う気がしないでもない。

挑発を受けたレミリアは俺を見て笑いそのまま飛行して突っ込んできた、その姿はまるで弾丸だが俺はよける事なくそのままの体勢でレミリアを向かい撃つ。

 

ニヤリ、笑う俺をレミリアは見逃すわけがなかった。多分レミリアはこう思っている筈だ、「攻撃を避けようともせずに不敵に笑ったという事は罠か」と。

その通り罠、ただちょっと工夫した罠だ。

レミリアは突っ込むのをやめて小さく後ろへと飛んだ。そう、そこがベストの位置。

瞬時に俺は右手を上に振り上げた、レミリアが立っていた場所に透明な格子状の壁・・・結界と言えばいいのかな?それがレミリアの周囲に張られた。

勿論透明で俺でも張られたか分かり辛い為レミリアが気付く事などない。

レミリアの方へ歩き出す、レミリアはもう一歩下がろうとしたが結界に当たり下がる事は出来ない。

 

誠「ではお嬢様、失礼」

 

無数の切れ味がないナイフを創りだす、そして格子の隙間を狙って投げまくる。

と言っても素人が投げているので真っ直ぐに飛ぶ事はなく回転しながらレミリア目掛けて飛んで行くナイフ。

その内の一本がレミリアの額にコツンと当たり地面へと落ちた。

 

誠「さて、これで合格ですよね?」

 

レ「まだね、私はダメージと言った筈よ。

  こんなおもちゃ如きじゃダメージはないわ」

 

誠「確かに肉体的なダメージはないでしょう。

  ですが精神的なダメージはあるのではないでしょうか?

  そんなおもちゃ如きを投げられてポコポコと当たってしまったら、ね?」

 

やっぱりプライドに傷がついたようでレミリアは顔を歪めた。

 

レ「・・・いいわ、合格」

 

誠「ありがとうございます」

 

結界を外す。結界は無いと思う、それだけで結界は消え失せる。

レミリアに一礼しナイフを消していく。

 

レ「それにしても凄いわね、能力をここまで操るなんて」

 

誠「知識と理解さえすれば簡単でした、まさか一発で

  成功するとは思いませんでしたがね」

 

リアルに木の棒が出た時はビビったよマジで。

 

レ「これなら十分戦力になりそうね、それじゃ改めて・・・」

 

レミリアは美鈴によって片付けられた部屋のイスに座った、これが大人だったら様になっていたが残念な事に幼い体からカリスマが出るわけがない。

いや待て、これは逆に人気が出る意味がわかる。この幼い体でカリスマを出そうと頑張ってるレミリアかわいいよレミリア、だが俺は別にロリコンなどと言う忌まわしき特性は持っていないのであるそう断じて持っていない、ちょっと可愛いなとは思うが別にただ可愛いと思うだけであって・・・

 

レ「ようこそ、紅魔館へ。

  特にして貰う事はないけれど、これからよろしく」

 

誠「え?あ、ハイ。よろしくお願いします!」

 

危ない、ちょっと考え込んでしまった。

まあこれで衣食住の心配はなくなったわけだ、これで幻想卿にいても安心だ。

 

レ「さ、紅魔館に住むわけだし皆に挨拶しに行くのよ」

 

誠「え?お嬢様が案内するとかそんな親切心は・・・」

 

レ「無い、私はお昼寝の邪魔されたわけだし。

  用も済んだから寝るわ、さあ行ってらっしゃい」

 

誠「えぇ・・・分かりました、美鈴さんにお願いして・・・」

 

振り返ったが美鈴の姿がない、あるぇさっきまで後ろにいた気が・・・

 

レ「美鈴ならもう門の前よ」

 

速い!門の前で昼寝する為に戻るのだけは速い!流石だ美鈴(だめいりん)

嘘ですすいません全世界66億人の美鈴ファンさんすみませんでした。

美鈴がいないと言う事はあれか、やっぱり一人で探すのかこの館を・・・

だるい、妖精メイド捕まえて案内させようにも難しいしな。

仕方ない、自力で周るか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レ「面白い事になって来た、これならアレも成功するかもしれないわ」

 

?「お嬢様、先程部屋を出たあの方は?」

 

音も無く現れたメイド姿の彼女を見る、その手には侵入者を始末する為のナイフが光っている。

 

レ「新たに加わったこの館の住人よ、良い戦力になるわ」

 

そう言うとナイフを懐へと仕舞った、その手捌きは手慣れている。

 

?「ですがあの方は見たところ人間

  あの方が戦力になるとは到底思えません」

 

フフ、と小さく笑いメイドを見る。

 

レ「あいつは見た感じあれだけどいい人材よ、私の見立てに狂いは無いわ。

  それに、あなただって人間でしょう?」

 

?「・・・そうですね、私はお嬢様を信じます」

 

メイドは目を閉じ一礼をする。

 

レ「分かればいいのよ」

 

そう言うとテーブルにいつの間にか現れた紅茶のティーカップを持ち上げ口へと運ぶ。

香り、味共に一流の紅茶であり淹れた者の腕の良さが分かる。

 

レ「さ、私はお昼寝にするわ。挨拶くらいしてあげなさいよ?」

 

?「はい、お嬢様」

 

そしてまた音もなく消える、何も最初から居なかった様に。

残されたのは先程の紅茶の香りだけ、それだけ確認するとレミリアは自分の部屋へと足を運んだ。




先週
週一更新だけは守り抜く(キリッ

現在
バイトと勉強には勝てなかったよ・・・(アへ顔ダブルピース










次回予告
レミリアとの戦闘を終えて紅魔館の住人達の挨拶へと急ぐ誠、そこに立ちはだかる難題!「紅魔館の中が広すぎて迷ったやべぇ」どこを開けてもいるのは妖精メイドだけ!?とりあえず誰か一人でも見つけて道を案内して貰わないとっ!そこに通りかかる小さな紅い影、レミリアかと思ったらその人は・・・?次回「きゅっとして」誠の寿命がキュッとしてボンなんだが?

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