東方開扉録   作:メトル

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第三話 幻想

雅「中は結構キレイだな」

 

誠「それはやめろトラウマだから」

 

館の中は結構広い、そして綺麗だ、まるで誰かが住んでいるように。

俺達がいるのは大広間、真っ直ぐ進むと扉があるだけで他に出入り口などは見当たらない。

 

雅「これは進めばいいのか?」

 

誠「多分そうだろう」

 

奥へと進む、屋敷の中はやけに静かで俺達の足音以外何も聞こえない。

もちろん外の風でなびく草木の音もセミ達の音も全く聞こえない。

それ程距離もなく扉の前に着く、結構扉は大きくこれなら3m位の物も中に運べそうな大きさだ。

扉の手を付ける少しひんやりしていて気持ちがいい。

 

誠「開けるぞ?」

 

徐々に力を入れ扉を押す、ギィィ・・・と音を立てながらゆっくりと扉が開いて行く。

その時だった。

急に何者かに右手を掴まれ強い力で引っ張られる、バランスを崩した俺は床に手を付こうと前に左手を出すと床のある筈の場所に床がなかった。

・・・は?

思考が停止されパニックへと変わる、後ろから雅人の声が聞こえる。

これは夢か、そうか夢だ。

そのまま俺はなすすべなく深い闇に落ちて行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

?「――――――ですか?」

 

・・・声が聞こえた。

ここは・・・どこだ?

朝?変な夢を見ていた気がする。

ああ、兄貴が起こしに来たのか、今日は休日だしな、それでも10時まで寝てたら起こしにくるわな。

分かってる、そんな心配そうな声で起こさなくても起きるって。

・・・心配そうな声?

霞んでいる視界が徐々に鮮明な光を映す、俺の傍らにいるのは・・・誰だ?

ゆっくり起き上がる、体の節々が痛い。

そして目を擦り再度傍らにいる人を見る。

・・・女?

いや待て、俺には妹だとか幼馴染だとか女友達だとかはいない筈。

まして姉もいないしこんな顔の親戚もいない。

紅色の髪のをしたその女性は俺が気が付いた事に気付き、安堵表情を浮かべた。

 

?「良かった、気が付いたんですね!」

 

周りを見渡すと門と湖しか見えず、俺の自宅は欠片もない。

!?

事の重大さに気付いた俺はすぐさま立ちあがる。

隣の女性は驚いているがそんな事は関係ない。

ポケットに手を突っ込んでケータイを取り出し位置情報の検索を始めようとした。

が、圏外。

待て、って事はここは山奥?でも湖もあるしそこまで樹が生い茂っているわけでもない。

・・・どこだここは。

 

?「あ、あの?」

 

後ろから声が上がり、振り返ると先程の女性が心配そうに見つめていた。

そういえば介抱してくれたっぽい、お礼言ってないな。

 

誠「あ、介抱してくださりどうもありがとうございます」

 

何時もの癖で一礼する。

 

?「あ、いえ!好きでした事ですので!」

 

今時こんな優しい人いるのね、ちょっと感動した。

 

誠「良ければお名前を伺っても?」

 

せっかくなので聞いてみる、どうみても年上だがまあ気にしない。

 

?「ハイ!私はメイリンと言います!」

 

誠「へぇ!メイリンさんですか、良い名前ですね!」

 

とテンプレを返す、メイリンって外人ですか。

ん?メイリン・・・そういや東方に居ましたねハイハイ。

後はメタルギアにもいたな、いやあれはメイ・リンだけど。

 

誠「所で、ここはどこでしょう?私にはここに来た経緯やら何やらを

  覚えていないものでして・・・」

 

今はとりあえず情報が欲しい、ここはどこなのだろうか。

メイリンさんが日本語を話している以上日本ではあると思うのだが。

 

?「ここは紅魔館の前です、私は門番をしているんです」

 

へー紅魔館?いやいや全く知らないねマジ。

・・・ん?紅魔館?え?

 

誠「えっと・・・紅魔館ですか?幻想卿にあると言うあの紅魔館ですか?」

 

?「ハイ!」

 

ニコっと笑ったメイリンさん、俺ははっきり言って笑えない。

待て待て、って事はこの人は・・・

 

誠「もしかしてあなたのフルネームは紅 美鈴(ホン メイリン)さん?」

 

紅「ハイ!フルネームは紅 美鈴です!」

 

・・・ま、まさかここって・・・

 

誠「げ、幻想卿にいるのか俺・・・?」

 

頭の中で幻想卿に来られた嬉しさが飛び交う中、帰れないかもしれないと言う焦りが渦巻いている。

とりあえず素数でも数えれば、いやそんな事は後だ。

まず幻想卿だと言う事は受け入れよう、帰れないのも受け入れよう。

では、帰れないなら寝る所と飯を食う所がないと言う事も受け入れなくてはならない。

となれば働く以外無い!

 

誠「す、すいません!ここで働かせて貰いませんか!?」

 

紅「ふぇ!?え、ええ!?」

 

いきなり過ぎた俺の発言に戸惑ってるっぽい美鈴。

・・・かわいい。

 

紅「え、えと・・・お嬢様に聞かないと流石に決定は・・・

  と、とりあえずお嬢様の所へ案内しましょう!」

 

誠「ありがとうございます!」

 

すんなり入れるとは思っていなかった、戦闘は無理だけど壁でもよじ登ってとか本気で考えていたのに。

 

誠「でも門番はどうするんですか?メイド長に見つかったら・・・」

 

紅「その時は甘んじて罰を受けますので大丈夫です!」

 

何これ美鈴マジ天使、いやもう女神だわマジで。

非想天則で全く使わないでいてスイマセンでした。

 

門が少しだけ開きそこから中へと入る、見た感じ庭も綺麗に手入れされている。

紅魔館の入り口を開き奥へと進む、中まで紅いんだな紅魔館って。

周りを見ながら歩いていると人形みたいなのが横を通った、あれが妖精メイドって奴か?

中が完全に紅く同じような所をグルグルと回っているようにしか見えないが一応進んでいるんだろう、ちょっと目が痛くなりそうだ。

何度曲がったか分からなくなってきた時に美鈴が足を止めた、前には今まで通ってきた扉とは違う扉。

・・・ここか。いよいよだな、面接には礼儀正しくしろとか先生に言われたのを思い出し、身だしなみを整えて深呼吸をする。

・・・よし、準備完了だ。

 

美鈴が扉に手をかけて開き中へと入る、俺も中へと入る。

まず目に入ったのはテーブル、染み一つ見当たらない真っ白いテーブルクロスがかけられており、テーブルの上には燭台が置かれている。

テーブル自体は縦長であり、四つの足じゃ支えられない程の大きさだ。

そしてその奥で頬杖を突き目を瞑っている少女・・・

 

紅「お嬢様、お話したい事が・・・」

 

お嬢様と呼ばれた少女は顔を上げ片目を開きこちらを見る。

 

?「んぅ・・・あら美鈴、どうしたの?」

 

・・・

 

紅「・・・えっと、お嬢様・・・非常に申し上げ難いのですが・・・

  ・・・よだれがついています」

 

?「え!?」

 

少女は慌てて口元に手を触れ、口元を拭い取った。

写真撮っておきたかった・・・

 

?「・・・で、どうしたの美鈴?あなたから来るなんて珍しいじゃない」

 

紅「実はこの者がここで働きたいと」

 

そう言うと美鈴はアイコンタクトを送ってきた。

自己紹介しろってことだろう多分。

美鈴の後ろから前に歩み出る、ちょっと緊張するな。

 

誠「葉隠 誠と言います」

 

?「私はレミリア・スカーレット、この館の主であり吸血鬼よ」

 

知ってますハイ。

 

レ「貴方は外の世界から来た外来人ね?」

 

誠「ハイ、気が付いたら紅魔館の前で気絶していたらしいです」

 

紅「え!?外来人だったのですか!?」

 

誠「そうです、変な扉を通ったらいつの間にか幻想卿ってわけで」

 

やっぱりあれは夢じゃなさそうだしこう説明しておこう。

てかアレ以外は考えられない。

 

レ「変な扉?」

 

誠「ええ、心当たりありませんか?」

 

レ「ん~・・・パチェなら何か知っていそうね」

 

パチェと言ったらパチュリー・ノーレッジの事だろう。

動かない大図書館・・・だっけ?うろ覚え感が否めないな。

 

誠「出来れば聞いて頂けると助かります」

 

レ「分かったわ、とりあえずここで働いてもいいけど咲夜が家事とかその他

  全てやっているから別に事足りているから何もしなくていいわ・

  ・・・今はね」

 

おお受かった!軽く受かった!

 

誠「ありがとうございます!今はってどういう事ですか?」

 

レ「もう少ししたら働いて貰う事があるのよ

  それまでは何もしなくていいわ」

 

やる事・・・?やる事ねぇ・・・何するんだろ。

まあ戦闘はどう見ても人間ですな俺には向いてないんだろうしちょっとした手伝いとかだろう多分。

 

レ「ところで・・・あなた、能力持ちでしょう?どんな能力を持っているの?」

 

え、え?いやいや。

 

誠「あの・・・私は能力を持っていませんけど」

 

レ「え?あなた自分の能力に気付いていないの?」

 

お嬢様が目を丸くして驚いている、そこまで驚く事ないでしょうに。

まあ俺が能力持ってても大した能力でもないだろう多分。

 

レ「・・・能力を確かめる良い方法があるわ。

  美鈴!テーブルを片付けて出入り口を塞ぎなさい」

 

紅「え?わ、わかりました!」

 

一体何が始まるんです?

出来ればあまり痛い事はしたくないんですけども。

 

レ「今から私が貴方を半殺しにするわ。

  私に少しでもダメージを与えたら貴方の勝ち、但し物を投げるのはダメ」

 

誠「・・・え、え?」

 

い、今なんと!?は、半殺し!?吸血鬼の半殺しは全殺しだってばっちゃが言ってたぞオイ!勝てる気がしないとかそういうレベルじゃないから!次元が違うから!野球VSサッカーで勝負するとかそういうレベルだからこれ!

 

レ「さ、行くわよ。能力を解放するまでね!!」

 

誠「どうしてこうなった・・・」




どうしてこうなった(AA略

この頃バイトが忙しくてダメだ、更新が出来ぬゥ。
とりあえず最低条件とされる週一更新だけは守り抜く所存ですサーイエッサー。

にじファンの時は最初にルーミアだったのが美鈴になったのは導入変更から色々やってこうなった。
どうしてこ(ry














次回予告
レミリアとの戦いが幕を開ける!レミリアの攻撃になすすべ無くただひたすら逃げ惑う誠、そこで誠はある作戦を思い付く!「お嬢様!れみ☆りあ?」「う~!」ここでレミリアのカリスマがブレイクした!その隙を突き懐へ潜り込む!「しまった!ついうっかりカリスマをブレイクしちゃった!」時既に遅し、懐から繰り出されたアッパーがレミリアにヒット!誠は半殺しを免れる!しかしレミリアのカリスマをブレイクさせた事によりレミリアの怒りが爆発!紅魔館から追い出された誠は人間の里へと歩み始めたのである。次回「そういえば課題終わらせてねぇ!だが更新はやめられねぇ!!」課題は投げ捨てる物・・・

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