東方開扉録   作:メトル

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第二十四話 調査

こたつ、コタツ、炬燵…。

冬という季節は実に厄介だ、手がかじかんでゲームもしづらいし外に出たくなくなる。

家に篭っているのも大変だ、電気代がバカにならんし灯油を買うにも金がかかる。

…まあ幻想郷には灯油を売る施設なんてないだろうから自分で創るんだけどな。

 

さて、今現在外は雪だ。 里の人たちも寒さに震えながら今日と言う日を過ごしていることだろう。

そんな中、一部の俺みたいな人や病人怪我人以外はみんな外に出てるだろう。

子供たちは雪に興奮して雪合戦を始めとした遊びでキャッキャやってる中、大人は屋根から雪をおろしたりする苦労をしなくてはならない。

…え? 紅魔館は大丈夫ですよ。 なんてったって門番さんがいるので。

こんな寒い中に運動したほうが体が暖まるという理由で雪かきをしている美鈴に感謝の言葉を、いや本当にありがとうございます。

 

っと、話が逸れてしまった。 そんなこんなで冬は実に厄介な季節であり、俺の好きな四季ベスト4でぶっちぎりのワースト1位を維持し続けている。

ではここで本題に入ろう、俺の大嫌いな冬は大体11月から始まり3月くらいに終わると俺は思っている。

まあ4月でも少し寒いが、まあ桜を見て春が来たなぁと思うし俺の中では春という認識だ。

では今日の日付を見てみよう。

…おわかりいただけただろうか、今日の日付は5月になっていることに…。

ではもう一度見ていただこう、何度見ても5月だ。

つまり幻想郷の冬は長いのだ、うん。 と決め付けて待つことにしたが待ってみたらもう5月。 もちろん今年になって桜など見たことがない。

はい、ではこれはどういうことか。 紫様が寝ぼけて四季の境界を曖昧にしてしまったのだろうか、それはない。 紫様なら多分すぐに直してから寝るだろう。

それではどういうことなのか、こう言う時に幻想郷ではこう言うのが普通だろう。

 

これは異変だと言うことだ!!

 

このままでは日光に当たりながらぽかぽかの小春日和に昼寝もできない、霊夢たちが解決するのを待つという選択肢はこの拷問を長引かせるだけ。

なら答えは簡単だ、異変を解決してやろうじゃないか。

 

ところでオイラ、東方はお恥ずかしながら紅魔郷しか買ってないのよね。 咲夜さんが見たかっただけだもん。

だから今回は完全にボスが誰だかわからんのだ! まあよいではないか、異変解決するにも答えがわかっていたら話にならんし。

さあそうと決めたら有言実行、すぐに動いてパパっと解決してさっさと宴会にしようではないか!!

 

 

 

 

 

 

一時間後、そこには防寒具を大量に着込んで飛ぶ誠くんの姿が!!

…いや実際その通りだし、雪が積もっている時に外に出るとか普通の俺ではありえない。

遊んで欲しいのか知らんが飛び回る妖怪と妖精を弾幕で倒しながら進む、妖精はチルノにでも遊んでもらえ、氷漬けのカエルが増えるだけだろうし。

 

誠「あぁ寒い、寒すぎて眠気が…」

 

?「春眠には速いんじゃない?」

 

背後から聞こえたその言葉に反応して鼻水をすすりながら振り返る、そこには薄い紫色をしてウェーブのかかった髪をした女性が俺と同じように飛んでいた。

頭に帽子をかぶっているがすごく形状を表しにくい形だった、強いて言うなら白くて大きな饅頭を頭に乗っけてる感じだろうか。

ロシアでよく見られる帽子のようにも見えたがまず材質から違うなありゃ。

服装はこの冬にも関わらず薄着にしか見えない、背中にはマントっぽい物が見え隠れしている。

この季節に長袖とスカートの下に見せドロワーズ、つまり生足露出とはなんとも…いやなんとも。

なんとも寒々しい。

 

誠「とっくに春眠の季節ですよ、そちらこそ春眠がしたいんじゃありません?

  レティ・ホワイトロックさん」

 

俺の目の前を飛ぶ女性――レティ・ホワイトロックは名前を当てられたにも関わらず特に驚く素振りもない。

 

レティ「そうねぇ、いつまで経っても暖かくならないわ。 これじゃ春眠もできないわねぇ」

 

誠「では冬眠でも始めてみたらどうでしょう、少しは気温も上がるでしょうし」

 

そうだ、レティには能力がある。 確か、寒気を操る程度の能力だったな。

…これは当たりか?

 

レティ「それじゃあ私はいつ起きればいいのかしら?」

 

そういえばレティは冬に現れて春に消える妖怪と言われている。 実際はどっか涼しいところで春眠、夏眠、秋眠してるらしい。

 

誠「起きなければいいじゃないですか、面倒な奴に絡まれませんし」

 

レティ「例えば…あなたとか?」

 

誠「絡んできたのは貴女でしょう」

 

レティ「こんなところで迷ったダメな人を助けるのは良いことじゃない?」

 

誠「そうですね、貴女が眠れば助かるので今ここで速やかに眠れ!」

 

弾幕を形成し、全力を持ってレティへと発射する。レティはそれを間一髪で避けると弾幕を形成、戦闘準備に入った。

 

誠「あなたが寝れば春が来るかもしれん、なら試すしかないよなぁ!!

  寒いのは嫌いだ!! 今! ここで!! 速やかに!! 眠れオラァ!!」

 

レティ「くっ! 寒符『リンガリングコールド』」

 

レティがスペカを宣言した。 何が来るか分からないな、一旦距離をとるか。

一旦距離をとってから弾幕を形成、レティに向けて放つとレティは両手を前に付き出して俺の頭くらいの弾を1つだけ放った。

それは俺の方に少し進むとまるで花火のように、魚を捕る網のように広がり俺に襲いかかる。

だが俺は冷静に弾幕を見た、よく見ると弾幕は進めば進むほど網目が大きくなるようだ。

距離をとって正解だったな、あの網目を抜ければ回避はできるだろう。

だが俺には時間がない、この冬という拷問を一秒でも速く終わらせたいのだ。

 

誠「創符『滅びのバーストストリーム』!!」

 

俺はスペカを掲げてからそのまま上空に投げる、するとスペカが大きく輝きだし、その姿をカードから銀色に輝く巨大な龍へと変貌させた。

 

レティ「なっ!? そんなのあり!?」

 

誠「ふはははー! スゴイぞーカッコいいぞー!!

  さあ青き眼を持つ白龍よ! 滅びのバーストストリーム!!」

 

俺の言葉に答えるように龍は眩しいほどに輝く光をその巨大な口に溜め、全てを薙ぎ払うような一撃をレティへと放った。

レティは必死に避けようとしたようだが無駄だ、白龍はレティをまるで弓矢で射抜くように的確に攻撃する。

 

白龍の攻撃が止んだ、地面を見ると雪が溶けるどころか所々焼けている場所もあった。

…さすがにやりすぎたか、しかも倒したのに気温は上がっていない。 むしろ下がってないかこれ。

 

誠「…う、疑いが晴れてよかったですね! それでは!!」

 

俺は逃げるようにこの場をあとにした…。

 

 

 

 

 

 

 

誠「ここは確か…マヨヒガ(まよいが)だっけか」

 

レティから逃げるようにして飛んでいると小さな小屋があった。

一応幻想郷を一回りしたから大体の場所を見たからここに来るのは二度目だ。

 

誠「確かマヨヒガって迷ったやつが辿り着く場所だよな?」

 

少し大きめの声で喋る、だが俺の質問に返答はない。

 

誠「そうだよなー!! そこで『めんどくさいのが来たよ』って顔してる猫!!」

 

?「…誠じゃあイタズラもできないわ」

 

気怠そうに小屋から出てきたのは猫耳の少女、一部の大きなお友達に人気がありそうだな。

まあ実際人気だったりするんだけど、狐とか。

橙とは前にここに来たときに知り合った、その時はいきなり俺の荷物を盗んで鬼ごっこが始まったが迷い家を罠満載のトラップハウスにしたらすぐに捕まった。

それ以来橙は俺にイタズラをしなくなった。

 

誠「おっす(チェン)、吹雪の中ご苦労だな」

 

小屋の前に降りると橙が小屋の前に座った、それにしても寒そうだな妖怪の服装は。

 

橙「あのね、コタツで丸くなるのは迷信よ。猫だって吹雪の日に外で遊ぶものよ」

 

迷信だったのか…。

 

誠「ところでさ、時間がないから単刀直入で聞くぞ? この寒さは誰のせいだ?」

 

橙「さあね、迷い家の中は暖かいから私には関係ないわね」

 

誠「残念。情報が少ないなぁ」

 

特に情報がないなら他を当たるしかないな、仕方ない。

 

誠「それじゃあな、橙。イタズラは程々にするか徹底的にしろよ?」

 

橙「それはもうイタズラじゃないでしょ!」

 

あぁ、この頃俺のボケにツッコミ入れてくれる人が少なくて悲しい。

久しぶりのツッコミで心が洗われるような気持ちだわ。

ストレスが流れ落ちてくような感じ。

 

さて、マヨヒガの次はどこに行くか…。

 

 

 

 

 

 

 

紅魔館を昼に出発、持ってたおにぎりを食べながら情報を探しているといつの間にか夜になっていた。

昼よりも一段と寒い、今すぐにでも返ってコタツに飛び込みたい衝動に駆られたがなんとか抑えて情報を探す。

てなわけで、魔法の森に到着。

いつ見てもここは不思議な所だなぁ、魔法素人の俺でも不思議な場所だと感じるわ。

…まあこんなこと思っといてアレだが…。

 

誠「寒い! いっそ森を焼けば暖かくなって春が来るんじゃないか?」

 

?「寒さで頭がお花畑になったようね」

 

むっ、この声は…。

 

誠「アリス・マーガリンさん!」

 

ア「マーガトロイドよ!! 何度間違える気よあんたは!!」

 

怒りながら現れたのはアリス・インワンダーランドさん…じゃないわ。 アリス・マーガトロイドさん、よく名前を間違うんだよねこの人。

俺の本能が正解の名前を出してはいけないと言っている、ただツッコミを待ってるだけにも見えるが別にそんなことはない。

 

ア「あまりふざけると魔法で殺すわよ!」

 

誠「なんだと…? 貴様それでも人間か!

  貴様は次に『いいえ、私は純粋な魔法使いよ』と言う」

 

ア「いいえ、私は純粋な魔法使いよ…えっ!?」

 

誠「んでその純粋で単純な魔法使いさんは俺様にどんな御用で?」

 

アリスが『ぐぬぬ』と呻いた、そうですよねぇただの人間にバカにされたらそりゃ怒りますよねぇ!

 

ア「…いいわ、そっちがその気なら私が持ってる情報を教えてあげない」

 

誠「あ~、いいですよ別に。他を探すんで」

 

ア「なっ!! 変なとこでアッサリしてるわね…」

 

誠「人生ワンパターンじゃつまらないんですよ」

 

ア「それなら力ずくで教えるまでよ!!」

 

誠「普通逆でしょうが!!」

 

なぜ俺がツッコミをしなくてはならんのだあああ!!




東方ってキャラが多いですよね、誰が今喋ってるのかを会話の後に付け足すのはさすがにくどいなぁと。
じゃあどうする? 頭文字でいいじゃない!

レティ、レミリア…。







次回予告
魔法の森で始まった弾幕決闘、アリスとの戦いを難なく勝利する誠だったが、倒れる間際にアリスが呟いた、「…天…界」 かくして誠は天界へと飛び、異変の解決方法を探すが天界にいるのは異様に肌が黒い人や神様と名乗る緑色の肌をした人だけ。 ここにはなにもないと判断した誠は肩を落としながら紅魔館へと帰るのであった。次回『青鬼の小説が発売される…だと…!? 俺のトラウマを掘り返すんじゃない!!』amazonさん、一冊お願いします。

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