東方開扉録   作:メトル

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待て、しからば時は訪れよう(待てばいつかその時が来るよ)。

昔私の友人が言った迷言です。


今回長めです、空白があまりないのでより長く感じます。


第十七話 破壊

二つの風が舞った。

風は紅魔館の廊下へと吹きすさび、弾幕と共に踊っている。

 

誠「テメェは許さねぇ……絶対にだッ!!」

 

俺の叫びは爆風と共に相手に伝わる、フランはいまだ軽い笑みを浮かべている。

紅魔館の廊下を飛びながら繰り広がる弾幕勝負。

爆風を巻き起こしながら嵐のように飛び交う弾幕、その姿には奇妙な美しさがあった。

だがその内は違う、遊びなどではないのだ、これは殺し合いだ。

この弾幕の一つ一つが相手の首をもぎ取るための攻撃なのだ、一瞬の油断でその先に待つものが一つになる。

それは言わずもがな、死だ。

 

フ「そうこなくっちゃ!」

 

通常の弾幕はあくまでも遊び、相手が死なないように配慮されて弾幕を撃ち合う。

だがこれは弾幕ごっこではない、本当の戦いであり殺し合い。

互いのリミッターを外しているので弾幕一つ喰らえばアウトだ。

 

誠「これで……どうだッ!!」

 

露骨にフランへと弾幕を放つ、フランはそれを難なく避けた。

 

フ「っ、追尾弾幕(ホーミング)ね」

 

フランは直撃する寸でのところでそれに気づく。

上半身を捻って回避し弾幕を生成、相殺させて弾幕をやり過ごす。

 

誠「不意打ちというのは敵に気づかれては意味がない」

 

弾幕を四方八方に放ちながら呟く。

フランは俺を一瞬見たが問題はないと見たのか周りの弾幕を相殺していく。

 

誠「……だが」

 

空気が一変した。

弾幕は壁を反射するのを止めてその場に留まった。

丸い形をしていた弾幕はその形を豹変させ槍のように鋭くなりフランへと向く。

その数は約二百程だ。

 

フ「…へぇ」

 

弾幕が一斉にフラン目掛けて飛んだ。

フランは余裕の表情を浮かべて自身の周りに弾幕を生成した。

 

フ「吹き飛んじゃえ!!」

 

弾幕はフランの体を包み込み、轟音と共に破裂した。

強烈な風が辺りに吹き荒れ、弾幕は次々と弾き飛ばされる。

 

フ「楽勝ね」

 

弾幕は地面や壁に突き刺さり、光となって消えていく。

それを見届けるとフランは俺の方へと向き直ろうとした。

 

フ「え?」

 

辺りを見回す、だがそこに俺の姿はない。

 

フ「まさか!?」

 

咄嗟に上を見たフランの瞳に映ったのは右手を引き構えを取る俺の姿だった。

 

誠「おせぇんだよッ!!」

 

俺の拳が頭にクリーンヒットした。

頭から鈍い音が鳴り、フランは床に体を打ち付ける。

体制を整えようとフランが立ち上がる、だがその前に襟首を掴むと空中へと放り投げた。

 

誠「まだ終わりじゃねぇぞッ!!」

 

フランを追うように空中へと飛び上がり、横っ腹に蹴りを入れて壁に叩きつけた。

フランは苦しそうに小さな悲鳴を上げて地面に落下した。

 

誠「不意打ちってのはな、敵に気づかせてからするもんだ。

  ただし相手の動きを読めなきゃ意味ないけどな」

 

フランが頭を抑えながら体を起こした、眩暈でもしているのだろうか足取りがふらついている。

だが、それは違ったようだ。

フランはしっかりした足取りで数歩こちらに歩き、ふわりと宙に舞い上がる。

 

フ「驚いた、どこにそんな力があるのかしら」

 

笑みを浮かべてはいるがその目には怒りを孕んでいるように見える。

 

誠「手の内を明かすつもりはないね」

 

実際俺の力ではさっきのような真似はできない。

だが俺の能力は想像を具現化する程度の能力、それなら『俺は怪力』とでも想像すればいいわけだ。

ぶっつけ本番だが成功したのだ、結果的に良いことにする。

 

フ「それならこれでどうかしら?」

 

フランの右手が上がった、その手には一枚のカードが輝いている。

 

フ「禁忌『クランベリートラップ』」

 

スペルカードの宣言、つまりこれからが弾幕勝負の本番ということだ。

 

誠「…………」

 

宣言などなかったかのように周囲には弾一つ飛んでいない、静寂が辺りを包み込んでいる。

何も起きない……いやもう仕掛けているのか?

クソ、幻想入りする前に動画の一つでも見れば良かった…。

 

誠「…なッ!?」

 

変化は一瞬、俺の視界は紫色をした弾幕で埋め尽くされた。

だがそれは俺の周りを囲むばかりで攻撃の気配はない。

その瞬間、俺の頬を掠めるように赤い閃光が走った。

いや実際にはただの弾幕だろう、だがそれは予想以上に速く鋭い。

 

誠「くっ!!」

 

地上に立つ俺を囲むドームのような弾幕には隙間らしい隙間はない。

逃げ道がない、それならば――。

 

誠「禁忌『OFF波動』」

 

突如俺の背中に一対の翼が現れた。

それは天使や悪魔のような翼ではなく、例えるならば紫の光を翼に変えた物だ。

翼は俺の体をまるごと包み込み、旋風を巻き起こしながら羽ばたく。

 

誠「吹き飛べ!!」

 

旋風は俺を囲んでいたドームを崩していく、そしてその奥に待ち構えていた想像を遥かに超える量の弾幕をも埃のように吹き飛ばしていった。

荒れ狂う旋風の中、悠然と佇む少女は笑みを浮かべてこちらを見る。

 

フ「少しはやるのね、人間の癖に」

 

誠「あまり舐めてるとお前、怪我じゃすまねぇぞ…?」

 

威圧するように言葉を吐く、だが少女の瞳には少しの恐怖も孕んでいるようには見えない。

 

フ「いいわ、ならこれでおしまいにしましょう?」

 

右手を掲げてスペルカードを宣言する。

 

フ「禁忌『レーヴァテイン』」

 

レーヴァテイン、北欧神話に登場した破滅をもたらす枝であり杖であり剣でもある武具。

そのレーヴァテインを模したスペルカードならば…。

フランは両手を胸の前へと構えた、危険を察知し横へ飛ぶ。

その刹那、眩しいほどの光が廊下を照らした。

振り向くとフランの身長を優に超える大きさのレーザー型弾幕が放たれていた。

見ると床が少し焼けている、咲夜さんの力で広く固くなった紅魔館の床を焼く程の威力だと?

 

フ「強大なる炎に焼かれて肉片残らず燃え尽きなさい!!」

 

フランはそれを軽々と操り俺の方へと振るう。

間一髪背面から飛ぶようにジャンプして回避をする、がそこには炎を纏ったように輝いた弾幕が散らばっていた。

 

誠「チッ、クソが」

 

体制を立て直して宙を舞った、フランを見ると剣を振るうように構えていた。

 

誠「舐めんなよ、剣で俺に勝てると思ってんのか?」

 

右手から長剣を創造する、それは俺の身長を越えて巨大な剣となった。

刃に弾幕用のコーティングをする、これをすることによって弾幕に攻撃が通るようになる。

 

誠「北欧神話にな、グラムと言う剣がある。

  それは古ノルド語で『怒り』と言う意味だそうだ、今の俺にはピッタリだな」

 

フ「剣なんか出してどうするの? まさか斬り合いでもするつもり?」

 

フランは嘲笑いながら挑発してくる。

 

誠「そのまさかだが? お前力で勝てると思ってんのか?」

 

フ「ッ!!」

 

吸血鬼は人間が遥かに及ばない程の力を持っている、それを侮辱されたのだから怒るのは当然だろう。

 

フ「上等よ……斬り殺してあげるわ」

 

誠「来いよ、遊んでやる」

 

フランが怒り狂ったように剣を振り抜いた。

それを右手だけで持った剣で受け止める。

 

フ「なっ!?」

 

フランは驚きの表情を見せたがすぐにその顔は怒りの顔へと変化し、剣に力を込める。

俺はその剣を受け流すように剣を振るう、フランは体制を崩して地面に突っ伏した。

 

フ「きゃっ!」

 

誠「素人が振るう最強の剣を達人が流すのは簡単な事だ。

  それに、この剣は持つ者に栄光を約束する剣だ。降参するか?」

 

フ「ッ!!ふざけないで!!」

 

フランは両手に一枚ずつカードを掲げた、スペルカードを二つ同時に使うつもりのようだ。

 

フ「禁忌『フォーオブアカインド』禁忌『カゴメカゴメ』」

 

スペルカードが宣言されてフランの体がブレた、ブレはだんだんと大きくなりやがて四人に分かれた。

それと同時に紅魔館の壁や床から鎖を引くように弾幕が現れた。

…なるほど、カゴメカゴメで行動を制限させてフォーオブアカインドで潰すつもりか。

 

フ「さあどれが本物か分かるかしら」

 

一人が嘲笑いながら言う。

 

フ「最も、全員本物かもしれないし」

 

一人が楽しそうに言う。

 

フ「全員偽物かもしれないわね」

 

一人が笑みを浮かべる。

 

フ「さあ、遊びましょう?」

 

四人が宙に舞い上がり、弾幕を張り巡らせた。

一人は小さな弾幕を部屋中に、一人は大きな弾幕を部屋中に、一人はレーザー型弾幕を俺に目掛けて、一人は燃えるように熱い弾幕を部屋中に撒き散らす。

 

誠「俺は神経衰弱もかくれんぼも嫌いだっつーの!」

 

周りの弾幕を相殺し、相殺しきれない弾幕を回避しながら呟いた。

だが限界はある、俺の脇腹を弾幕が掠めた。

服は脇腹の部分だけ焼け焦げ、他にも右足や左腕、肩も服が破れていた。

 

誠「…ぐっ!」

 

一つの弾幕が右肩に当たった、幸いにも小さな弾幕が当たったようで血が少し出ただけで済む。

もしも威力のある弾幕やレーザーで肩を貫かれていたら…いや考えるのはよそう。

体制を立て直し、弾幕の相殺に取り掛かる。

 

フ「どうしたの? スペルカードでの宣言しなさいよ」

 

フ「そんな暇は与えないけどね」

 

フ「もうおしまいかしら?」

 

フ「もう少し楽しませなさいよ!」

 

一斉にフラン達が笑う、悔しいがフランの言う通りだ。

クソ、スペルカードを宣言しようにもカードを出す隙がない。

一か八かスペルカードに手を伸ばすか? いや、そんな素振りを見せたらそこで死ぬだろう。

なら本体を攻撃? そんな隙もないな…。

こう考えている間にも俺の体は傷付いていく、右肩の傷が悪化していくのも分かる。

 

誠「………クソッ!!」

 

……万事休すか?

 

その時だった。

 

?「夢符『封魔陣』!!」

 

?「恋符『マスタースパーク』」

 

カゴメカゴメが何者かの結界によって消し去る、続いて俺の周りに漂っていた弾幕も虹色に輝くレーザーによって相殺された。

驚いて振り返ると霊夢と魔理沙がこちらに向かってきていた。

俺は「ありがとう」と小さく呟き、スペルカードを宣言する。

 

誠「太陽『ライジングサン』」

 

手に歪な形をした銃を構え、天井に向けて発射する。

それは花火のように空へと昇り、眩い光と共に破裂した。

 

フ「なによこの光!?」

 

フ「熱い!」

 

フ「まさか太陽!?」

 

フ「くっ!!」

 

悲鳴を上げるように言ったフランは四人の体を寄せていく。

ブレは重なり合い、元の一つの体へと戻った

 

誠「そこだァッ!!」

 

右手を引き、フランの目の前へと跳躍し構える。

 

フ「同じ手は食わないわ!!」

 

フランは俺に両手の鋭い爪を振り抜く。

だが俺の体はそこになく、あるのは犬耳をした少女のぬいぐるみだけだった。

 

フ「えっ!?」

 

誠「このは『変わり身の術C』」

 

フランの背後に姿を現し、その隙だらけな背中に渾身の一撃をぶつける。

 

フ「うあっ!!」

 

小さく悲鳴をあげて少女の小さな体が吹き飛んでいく。

 

誠「まだだッ!!」

 

瞬時に移動しフランの体を蹴り上げる。

 

誠「これでッ!!」

 

また瞬時に移動し、極限まで力を溜めた蹴りを食らわせる。

 

誠「狩符『捕獲トラップ』」

 

地面に巨大な魔法陣が出現し、その中心にフランが落ちていく。

フランが地面に触れた瞬間に魔法陣が発光を始める、フラン体を縛るように粘着質な網が体中に巻き付いた。

 

誠「終わりだ」

 

地面に降りて魔法陣の中心へと歩く。

 

誠「無駄ですよ、それは力では千切れず炎では燃やす事もできないようにしてあります」

 

網を引き千切ろうと暴れるフランを見下ろしながら言う。

 

誠「まあまあ落ち着きましょうよ、ほらお茶をあげますから」

 

フランを起き上がらせて能力で出したお茶を口の中に放り込む。

 

フ「止めて! 不味っ!!」

 

誠「ダメですよ、出された物はしっかり飲むものです」

 

ふふふと笑いながら口にお茶を流し込む。

すると後ろに霊夢と魔理沙が降り立った。

 

博「誠ってうわ、すごい傷ねあんた」

 

魔「なにしてるんだ誠?」

 

誠「仲良くなるためにお茶を飲ませてるんだぜ、決して仕返しなんかじゃないんだぜ」

 

魔「…お前そこまでドSな性格だったのか」

 

魔理沙は溜め息をして俺とフランを引き剥がした。

…もう少ししかえ――仲良しになりたかったなー。

 

フ「…ずるい、最後あんなにスペルカードを使って」

 

誠「数は同じですよ、4枚ずつ二人共使ったじゃありませんか」

 

フ「そこの二人を入れて6枚じゃない」

 

そう言ってフランは霊夢と魔理沙を睨む。

…確かに6枚だ、まあそれはそれで置いておこう。

 

誠「なんでこんな事したのかなー? 場合によってはキミが壊した

  ゲームボーイと同じ末路を辿らせちゃうよー?」

 

魔「それはやりすぎだぜ」

 

博「誠のゲームボーイってのはどうなったの?」

 

誠「ゲームボーイは粉微塵になって死んだ」

 

博「あちゃー…」

 

霊夢が額に手を当てている。

フランを見ると頬を膨らませて怒っていた。

 

フ「だって地下から出てもお姉さまがいつもいないし、誠って奴が新しく来たから

  挨拶しにくると思って待ってたら全然来ないし」

 

…レミリア、博麗神社行き過ぎだよ。

あと挨拶しに行って来いとか言われてないんだから行けるわけないじゃんか。

まず存在を知らなかったわけだし、いや知ってたけど知ってたら不自然すぎるだろう。

 

フ「だから博麗神社に行こうとしたら…」

 

博「するな」

 

フ「止められた、お外は豪雨で歩けない」

 

誠「それは残念なことで」

 

フ「仕方ないから誠って奴の部屋に行ってみたら」

 

誠「行くな」

 

フ「誰もいない、外は豪雨で探しにもいけない」

 

誠「えっと、ありがとうございます?」

 

魔「そこは残念でいいと思うぜ」

 

フ「…とにかく、だから怒ったのよ」

 

いやいや子供かよ。って子供だったわ、いや見た目だけだったわ。

 

誠「それならパチュリーさんにでも言えば良かったのでは?

  誠って言う使用人(笑)に会いたいと」

 

博「(笑)ってまさにそうね、あんた家事してなさそうだし」

 

誠「生まれてこの方何度も家事はしました」

 

博「生まれてこの方の使い方違うわよ」

 

誠「ハイハイどーもさーせんしたー(すみませんでした)

 

博「…ねぇ魔理沙、こいつぶん殴っていいかしら」

 

魔「ああぶん殴ってもいいんじゃないか、あのプレゼントの件もあるし」

 

…プレゼント? あー。

 

魔「誠から渡されたプレゼントのぬいぐるみ、あれはなんなんだぜ」

 

誠「あれはゆっくり人形と言ってですね、魔理沙さんをモチーフにしてあります」

 

魔「私をモチーフにしてなんで首だけの顔がウザい饅頭ができるんだ!」

 

誠「しかも殴ると喋ります」

 

魔「何が「人のこと殴るなんてバカなの? アホなの? 死ぬの?」だよ!

  声もウザい事この上なかったぜ!!」

 

博「あら、私も人形貰ったけど可愛かったわよ。

  撫でたら「ファー・・・ブルスコ」とか言ってたけど」

 

誠「それはファービー人形と言ってですね、チョップすると

  「モルスァ」と言って吹っ飛んでいきますよ」

 

博「そうなの? 帰ったらやってみるわ」

 

魔「待て待て、なんで私にはそれくれなかったんだ?」

 

誠「欲しいならあげますよ、ホイ」

 

能力でファービー人形を創造し、魔理沙へと手渡す。

魔理沙は人形の顔を見ると口をへの字に曲げた。

 

魔「マジかよ、こんなのが可愛いって霊夢の感覚はどうかしてるぜ」

 

博「失礼ね、それ放っておくと「ナデナデシテー」って言って可愛いのよ?」

 

魔「なんだそれキモイ…そうだ誠、霊夢をモチーフにして

  ゆっくり人形を創ってみろよ」

 

誠「了解しましたよん」

 

能力で饅頭のような形をした人形を創造する。

それは霊夢の顔にどことなく似てはいるが見ている人を不快にさせる何かがあった。

 

誠「どうぞ」

 

博「あら可愛いじゃない」

 

霊夢の手にゆっくり人形が乗せられた、その衝撃でゆっくり人形が「ゆっくりしていってね!」としゃべりだした。

 

博「なによ可愛いじゃない」

 

魔「ど こ が だ !! ウザすぎてゴミ箱に投げるくらいだぜ!!」

 

誠「ボッシュートになります!」

 

魔「誠は黙ってるんだぜ!!」

 

魔理沙が霊夢とゆっくり人形について議論を始めた。

魔理沙が「ウザい」と言えば霊夢が「可愛い」と言う、堂々巡りになりそうだ。

 

誠「…すみません妹様、挨拶が遅れたりグーで殴ったり縛り付けたりしてしまい…」

 

フランの耳元に小声で囁く。

 

フ「…許すわ、ただし」

 

網が粉微塵になり崩れた、そういえばフランは能力で破壊できるんだった。

 

フ「これからは私と遊んでね?」

 

誠「もちろんです、昨日の敵は今日の友と言いますから」

 

フ「弾幕ごっこもしてくれるの?」

 

誠「得意分野じゃないのでご勘弁願うのですが」

 

フ「…じゃあ許さなーい」

 

誠「そんなぁ…」

 

フ「…ふふふ」

 

誠「…ふふ」

 

互いに顔を見ながら笑みをこぼす。

その場でフランは立ち上がり手を二回叩いた。

 

咲「お呼びでしょうか、妹様」

 

博「ひゃ!」

 

魔「うわ!」

 

いつの間にか現れた咲夜さんに驚く二人、これは結構見ないと慣れないからな。

 

フ「後片付けよろしくね、誠と一緒に」

 

咲「かしこまりました」

 

誠「マジですか!? 咲夜さんと共同作業とか何それ燃えるいや萌える」

 

咲「ほら速く壁紙と絨毯創りなさい、それと床板に工具も」

 

誠「ですよね~」

 

がっくしと肩を落とす、咲夜さんとランデブーできる展開はないんですか…。

 

博「…それじゃあ私は帰るわ、行くわよ」

 

霊夢はフランの方に視線をやった。

 

フ「え?」

 

博「神社に悪い子を置いて来ちゃったのよ」

 

フ「悪い子って、誰のこと?」

 

博「あんたの姉さんよ!!」

 

魔「んじゃ、私も帰るぜ。誠は後で俺の家からゆっくり人形持って帰るんだぜ?」

 

誠「今日はつかれたなー、あーつかれたなー」

 

魔「聞こえないフリしても無駄だぜ、じゃあな」

 

霊夢はフランを連れて、魔理沙は箒に乗って廊下を飛んでいく。

 

咲「壁紙が足らないわ、速く創って」

 

誠「わっかりましたー!!」

 

体を休められるのはもう少し後になりそうだな…。

 

 

 

 

 

 

咲「そういえば貴方、なんでスペルカード宣言していたの?」

 

誠「え? いや当たり前じゃないですか。それが弾幕勝負のル―――」

 

待てよ、今回の戦いは弾幕ごっこじゃなく完全な殺し合い。

つまりスペルカードルールは関係なかったのか。

 

…俺の苦労は一体。




レミリアはその頃ファービー人形が「ナデナデシテー」とうるさかったので蹴り飛ばしていたそうな。








次回予告
フランとの殺し合いを勝利に収めた誠はフランからリベンジマッチを申し込まれた。その種目はなんと弾幕ごっこではなくストリートファイターⅡ!! ザンギエフ使いの俺が素人に負けるわけない! スーパーウリアッ上もといハイスピードダブルラリアットで倒してやるわ! フランはガイルを選択し、決戦の火蓋が切って落とされた! ハッハッハ!!見るがいい! これが格ゲーだ!! 「ソニックブーム」ちょ、「ソニックブーム」おま、「ソニックブーム」くっ! ならば飛び込んで投げてやる! うわサマーソルトだと!? 「ソニックブーム」起き攻めソニックブーム…!? 貴様! このゲームをやり込んでいるな!? 次回「クロノファンタズマ稼働したよ! ツバキかわいいよツバキ!」胸に手を当ててお前の罪を数えろ

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