東方開扉録   作:メトル

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第十二話 宴会

博「・・・で?」

 

誠「・・・ハイ」

 

博「ハイじゃないわよ、これはどういう事なの?」

 

誠「・・・これと言いますと?」

 

博「こ・れ・よ!」

 

霊夢が力強く指差した先を見ると紅魔館組が宴会を楽しんでいる。

・・・あーお嬢様日傘が倒れそうですよ! って、咲夜さん修正速いですね。

 

博「なんで異変を起こした張本人が異変解決の祝いであるこの宴会に参加してんのよ!」

 

誠「いいではありませんか、宴会は楽しむためにあるのですし。

  それに大勢いる方が楽しいですよ?」

 

レ「そーよそーよ!」

 

博「あんたは黙りなさい!」

 

誠「喧嘩は良くないですよ、ほらほら咲夜さんが作った料理でも食べてくださいよ」

 

博「あら美味しい」

 

紅「速っ! 箸の動きが速すぎて見えませんっ!!」

 

博「よし、あんた達宴会参加していいわよ」

 

紅「了承早っ!!」

 

レ「酒が足りないわよ咲夜!」

 

咲「既にこちらに御用意しております」

 

レ「じゃんじゃん飲むわよー!」

 

・・・さて、俺は今見ての通りに博麗神社主催の宴会に参加している。

見た感じ結構人がいる、と言っても妖怪が大多数を占めているが。

 

レ「誠! キョロキョロしてないであんたも飲みなさい!」

 

誠「嫌ですよ! またあの頭痛と吐き気に襲われるのは絶対に嫌です!」

 

レ「大丈夫よ! これぶどうジュースだから」

 

誠「それ前回と全く一緒の手口じゃありませんか!!」

 

美味しいのに、と呟きながら酒を空けたレミリア。

・・・見てるだけで頭痛が・・・。

 

・・・さ、そろそろ大体の妖怪と人間が集まっただろう。

とりあえず挨拶にでも周りますかな。

 

 

 

魔「お?誠も宴会に来てたのか」

 

誠「魔理沙さんじゃありませんか!!」

 

魔「そんなに驚かれても困るぜ」

 

来るとは思っていたけど遅刻するタイプかと・・・。

 

誠「足の方は大丈夫ですか?」

 

魔「帰っている間に直ったからな、全然平気」

 

誠「なら安心ですね、いや直るのが速いと驚くべきでしょうかね」

 

魔「こんなもんだろ足ぐらい」

 

誠「・・・魔法ってすげー」

 

こんなに速く直るなんて凄いなー憧れるなー。

・・・俺も魔法を習ってみるべきだろうか。

 

魔「あー魔法を習いたいとか考えてるなら止めた方がいいぞ。

  扱いが難しいし、努力しないと火花すら出ないぜ」

 

誠「・・・止めておきます」

 

魔「賢明だな、誠が魔法使うと自爆しそうだしな」

 

なんでそうなるのですかね、そんなに俺って才能が無いのだろうか。

まあ才能があっても努力が嫌いな俺は最低限の魔法を覚えて終了ってのが目に見えてるし、やめておこう。

 

誠「そうですか、助言ありがとうございます」

 

魔「・・・お前さ、弾幕ごっこ中にいきなり口調変わったよな?

  あれは癖か? それともそっちが普通なのか?」

 

誠「どっちかと言うとこれが普通だな、口調は人によって変えてるぞ。

  初対面の場合は敬語、ハイテンションならヒャッハーしたりとか」

 

魔「ヒャッハーってお前・・・」

 

誠「友人にはこの口調を使ってるけど親しんだらの話。

  まだ幻想卿に来てそんなに経ってないから全員敬語で話してるわ」

 

魔「それじゃあ私にはその友人口調で頼むぜ、敬語は嫌いだしな」

 

誠「わかりました、これからよろしくお願いしますね魔理沙さん」

 

魔「・・・今のは絶対わざとだろ?」

 

誠「んな事ねーよ、口調なんてどーでもいいじゃんか」

 

魔「・・・変な奴だなお前は」

 

誠「よく言われる、それじゃこれからよろしく。

  呼び方は魔理沙でいいか?」

 

魔「いいぜ、改めてよろしくな、誠」

 

誠「そいじゃあ俺は他に挨拶巡りするんでここらで」

 

魔「おう、酔ってる奴らに気を付けろよ?」

 

誠「だいじょぶ、全力で逃げるから」

 

魔「なら大丈夫だ」

 

誠「おっと、忘れるところだったわ」

 

そう言うと綺麗に包装された箱を魔理沙に渡した。

 

誠「俺の能力で創った逸品だ、部屋に飾るなりしてくれ」

 

魔「お! 開けていいか?」

 

誠「帰ってからのお楽しみだぜ」

 

魔「私の口調を真似したなー!」

 

誠「サーセン! それでは!」

 

魔「あっ! こら待てっ! ・・・ったく」

 

俺は逃げるように・・・いやそのまんま逃げた。

次会った時になんて言うかな・・・笑いがこみあげてきたわ。

 

さて、次は誰に挨拶するか。

 

 

 

おや?

あいつは確か・・・。

 

誠「こんにちは、料理は美味しいですか?」

 

?「ん?ああははえー?(あなただれー?)

 

誠「少し前にここに来た誠と言う者です、私も一つ貰いますね」

 

?「はへー!(ダメー!) こえああはひお!(これは私の!)

 

誠「・・・とりあえず口に含んでいる物を胃に納めましょうか」

 

ゴクンと大きな音を立てて食べ物を飲み込んだ少女――名前はルーミアだったな、はこちらを観察するように見始めた。

・・・品定め?

 

ル「私の」

 

誠「・・・食べませんよ」

 

ル「・・・私のー!」

 

誠「だから食べませんってば!」

 

ル「・・・左手が伸びてる」

 

誠「気のせいです」

 

ル「・・・お肉掴んだ」

 

誠「気のせいです」

 

ル「・・・食べた」

 

誠「きおへいれふ(気のせいです)

 

ル「わーたーしーのー!!」

 

誠「まあまあ、これあげますから許してくださいよ」

 

さっき咲夜さんから貰ってきたたまご焼きを口に頬り込む。

 

ル「・・・お肉がいい」

 

誠「仕方ありませんね、私の手作りですよ」

 

宴会に来る前に作っておいた唐揚げを口の中に頬り込む、少女の食事風景とは思えない音が出てるよコレ。

 

ル「おいしいー!」

 

誠「それはよかった」

 

自分が作った料理を食べて、美味しいと言って貰えるとやっぱり嬉しいわ。

 

ル「もっとー!」

 

誠「どうぞ、残さず食べてくださいね?」

 

俺の言葉が聞こえたのか聞こえなかったのか分からないが、皿いっぱいの唐揚げを前に目をキラキラさせたかと思ったら一気に唐揚げを掴み、口の中へと放り込む。

豪快だなー。

 

さ、次行くか。

 

 

 

お、あれは魔理沙と激闘を繰り広げた・・・と思うチルノではないか。

早速声をかけよう・・・と思ったら隣に誰かいるな。

あれは・・・大妖精か?仲がいい事で。

 

チ「これ美味しい! 大ちゃんも食べてみれば?」

 

大「ありがとうチルノちゃん! 美味しいねこれ!」

 

チ「へっへー! まあね!」

 

お前が作った料理じゃないだろっ!

 

チ「ん?あんた誰?」

 

視線に気付いたのかチルノが振り返ってこちらを見る。

 

大「チルノちゃん、初対面の人にあんたは失礼だよ・・・」

 

大妖精が口を挟む、本当に妖精かと疑ってしまう程良い子だな・・・。

礼儀正しい、かわいい、性格が良いの三拍子が揃ってる、これはもう天使だろ。

 

とりあえずさらっと自己紹介をする。

 

大「誠さんですね、私は大妖精です。大ちゃんと呼ばれたりしますね。

  隣にいるのがチルノちゃんです、よろしくお願いします」

 

チ「それじゃ早速だけど誠! あたいと勝負よ!」

 

大「ちょ、ちょっとチルノちゃん!」

 

誠「いいぞー!」

 

大「えぇぇ!? い、いいんですか!?」

 

困惑している大ちゃんが可愛い、死ねる。

 

チ「そこの皿に盛ってある食べ物を先に食べ切った方の勝ちよ!」

 

誠「早食いか、負ける気がしないな」

 

チ「そんな大口叩けるのも今の内よ! よーいドン!」

 

大「チルノちゃん! それじゃあチルノちゃんが先に食べ始めて有利になっちゃう!」

 

誠「問題ない! 頂きます!」

 

チ「あうあえ!(やるわね!) へほわはわは!(でもまだまだ!)

 

誠「おえろいふくろほはへふあほ!(俺の胃袋を舐めるなよ!)

 

大「み、みるみる食べ物がなくなっていってる!?」

 

誠「きゅっぷい、ごちそうさまでした」

 

チ「ほろあはひはらへうらんへ(このあたいが負けるなんて)・・・」

 

誠「いい勝負だったぜ! とりあえず食べ物を胃に入れろって」

 

口いっぱいに頬張っていた食べ物を胃に納めたチルノはビシっとこちらを指差した。

 

チ「次は勝つ!」

 

誠「臨む所だ、首を長くして待ってるぞ」

 

よっこらしょ、と無意識に声を出しながら立ち上がる。

・・・待て、俺中学生だってのに・・・これは酷い。

 

大「私達は普段霧の湖にいますので、良かったら立ち寄ってください」

 

誠「おう、そんじゃあな~」

 

・・・チルノが相手だからと言うのもあり、結構フレンドリーな口調だったな俺。

 

それじゃ、次行ってみよー。




ギャグ回?いいえ会話回。






次回予告
誠は宴会を最中、静かに考える。なぜ、幻想卿には炭酸飲料がないのだと、なぜ麺類の食べ物がないのかと、なぜ・・・何故・・・ナゼ・・・。自分の好きな物が食せない幻想卿に嫌気が差し、幻想卿から外の世界へと帰る事を決意した誠。だが帰る準備をしていた誠にレミリアが言った。「外の世界に戻ったら、能力使えなくなるわよ」と、こうして幻想卿に永住する事を決意した誠は今日もスペカ制作と友人作りに励む! 次回「そういえば俺紅魔卿と緋想天しかクリアしてないんだがこれからどうしよう」葉隠 誠先生の次回作にご期待ください。

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