東方開扉録   作:メトル

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第十話 力

突然だが、俺の得意な授業科目はない。

いや、全てが下手糞なのび太君体質なわけではない。

際立って成績のいい科目がないのだ。

つまり、勉強も出来て運動も出来ちゃう人間なのだ。

…嘘、ちょっと理数関係が危うい。

 

さて、そんな俺は今どこで何をしているかと言うと…。

 

 

未だ廊下を疾走していますハイ。

 

だって廊下がクソ長いんだもん! 仕方ないでしょっ!

咲夜さんが本気だしたから大図書館までの道のりが五倍以上になってしまったのだ。

これはもう無理、疲れるったらありゃしな…大図書館着いたわ。

ま、まあ俺の脚の速さを舐めて貰っちゃ困るね!

アレだ、本当に強い奴は強さを口で説明しないって言うしな。

口で説明するくらいなら俺は牙を剥くな。

俺100mで6秒とか普通に出すし。

 

さて、中の様子を見よう。

俺は扉に手をかけて大図書館の扉を静かに開いた。

その時。

星の形をした弾幕が流星のように降り注いだ。

扉を閉じ、カカッとバックステッポして距離を取る。

流星が扉に衝突し、大きな震動と音を立てた。

扉は壊れもせずに佇むが、黒い影が扉を勢いよく開き、星型の弾幕を放った。

弾幕をよけながら隙を見て弾幕を放つ、黒い影の弾幕と俺の弾幕が激突し、爆発した。

黒煙が辺りを包み込む、視界が黒煙によって断たれてしまった。

だが影はそんな事はお構い無しとばかりに辺りに弾幕を放っていく。

弾幕を回避していると黒煙が晴れ、影は姿を現した。

その姿は、まさに魔女のようだった。

 

?「誰だあんた?」

 

箒に跨り、空を飛んでいる魔女が問う。

やっぱりもう来ていたか…。

 

誠「人間ですが?」

 

そう返すと魔女は箒の上で立ち上がった。

くいっ、と帽子を上げた魔女…魔理沙は箒に乗ったまま地面へと降りてきた。

箒を手で持ち、訝しげにこちらを見る。

 

魔「人間には見えないな」

 

お前も言うか…。

てかお前が言うな。

 

誠「そう言う貴方は魔女ですか?人間には見えませんし」

 

魔「そうだな、人間と言う名の魔法使いだぜ」

 

誠「それは人間に見えるが実は魔法使いと言う意味では?」

 

魔「じゃあ魔法使いと言う名の人間か?」

 

誠「そうですね、まあ本当に人間であればの話しですが」

 

魔「私は人間よ、オホホ」

 

誠「………」

 

魔「急に黙るなって、そんなに人間には見えないか?」

 

誠「ええ、見えません」

 

魔「まあ見えなくてもいいか、それよりあんたは敵か?」

 

誠「人間です」

 

魔「人間は争い合うものだから敵か」

 

誠「では魔女は人間に害を及ぼす裁きの対象であるため、敵ですね」

 

魔「ここには法律も拷問具もないぜ?」

 

誠「いいえ、ルール(弾幕ごっこ)ならあるでしょう?」

 

魔「そうだな、いくぜ!」

 

颯爽と箒に跨り、宙へと飛んだ魔理沙を追い掛けるように飛び上がる。

飛び交う弾幕をよけながら魔理沙へと弾幕を飛ばしていく。

だが魔理沙も素早く箒で旋回し、弾幕をかわしていく。

素早い動きで弾幕をかわし、敵を翻弄するタイプの戦闘方法か、それなら。

 

誠「創符『吸引力が増加するただ一つの掃除機』」

 

変な名前のスペカだがそこらへんは御了承ください。

闇のように暗い弾幕を五つ程魔理沙の方へ飛ばす、だが途中で弾幕は静止する。

ここからが本番、全ての弾幕がその五つの弾幕へと吸い寄せられる。

簡単に言うとこの弾幕は凄く小さなブラックホール、しかも弾幕以外は吸わない。

となれば魔理沙の弾幕も全て吸い寄せられ、こちらに届く事はない。

ならばとばかりに高密度の弾幕を放ったが、それら全てがブラックホールに吸い込まれてしまった。

ある程度弾幕を吸うと弾幕が小さく爆ぜた、そこにまた新しいブラックホールを設置する。

 

魔「それで私の弾幕が通らないと思ったか?」

 

ニヤっと笑った魔理沙は懐から八角形の物を取りだした。

 

魔「弾幕は密度がどうとか速さがどうとかじゃないぜ。

  恋符『マスタースパーク』」

 

スペルカードを宣言し、八角形の物…ミニ八卦炉を右手に持つ。

魔理沙は虹色に輝き始めた八卦炉をこちらへ向け、箒の上に立ち上がった。

 

魔「弾幕はパワーだぜ!」

 

刹那、八卦炉から放たれた巨大なレ―ザ―が俺を襲った。

咄嗟に回避をしたが間に合わなかったらしく、レーザーが俺の服を掠める。

レーザーを吸収したブラックホール達は全て爆ぜ、後にはレーザーの光だけが残った。

 

誠「…無茶苦茶ですね、そのパワー」

 

魔「無茶苦茶ぐらいが丁度いいのさ」

 

誠「ではそのパワー、私のパワーとどちらが上でしょうかね?」

 

魔「分かり切ってるだろ?」

 

誠「ええ、俺が上だって事がな!

  創符『はどうほう』!!」

 

両手を前へ突き出し、精神を集中させる。

漆黒の球体を創り、パワーを集める。

 

誠「来い、お前のパワーを闇に沈めてやろう!」

 

魔「面白いぜ! 魔砲『ファイナルスパーク』!!」

 

八卦炉が眩しい程の輝き始めた、八卦炉を俺の方へと構えた魔理沙に向き合うようにして立つ。

こちらのエネルギーが溜まったところで、あちらも準備が整ったようだ。

 

誠「さあ、沈めッ!!」

 

魔「いっけぇぇぇぇぇ!!」

 

眩き光を放つレーザーと、全てを飲み込む闇のレーザーが衝突した。

自身の力を極限まで引き出し、全身全霊の攻撃を撃ち合う。

レーザーはまるで絵具のように白と黒が、光と闇が溶け合い混ざり合うようにして色を変えた。

そして一瞬の静寂の後、凄まじい音を立てて爆発した。

鼓膜が破れるかと思う程の爆発音が辺りに轟き、衝撃が俺を襲った。

壁に背中から叩きつけられて息が詰まる、呼吸が出来なくなり心臓が止まったような錯覚を覚える。

目が眩む、視界がチカチカして前が見えない。

激痛が体を電流のように走り抜ける、骨は折れてないだろうけどこんなに痛いのは久しぶりだ。

視界が晴れてきた、前を見ると魔理沙がゆっくり起き上がろうとしていたが、足を怪我したのか立ち上がれないようだった。

足に力を入れ、壁に手をかけながらゆっくりと起き上がる。

 

魔「・・・やるな」

 

こちらを見ながら魔理沙が呟く。

 

誠「・・・貴女こそ」

 

賛辞の言葉を送り、深呼吸をする。

呼吸を整えるといくらか痛みが引いてきた、まだ痛みはあるが歩けない程ではない。

しっかりとした歩みで魔理沙の許へと歩み寄り、握手を求めるように手を差し伸べる。

 

誠「流石ですね、今更ですが私の名は葉隠 誠といいます。

  種族は人間、以後お見知り置きを」

 

魔理沙は一度俺の手と顔を往復するように見た。

俺の手を掴み立ちあがる。

 

魔「・・・霧雨 魔理沙、人間の魔法使いだぜ」

 

そう言うと魔理沙は俺の肩を借りながら箒に跨った。

箒が宙に浮き始める、魔理沙は大図書館の中へと入るとしばらくして大きい袋を背中に担いで出てきた。

ちょっと袋が破れていて、中に入っている物が本であると分かる。

・・・パチュリーさん、あれ程セキュリティは万全にしましょうと言っておいたのに。

まあ俺は止める程の余力などないので咎めはしないが。

 

魔「今回は足をやっちまったから帰る事にするぜ。

  あとは霊夢一人でも解決できそうだしな」

 

誠「お嬢様が倒せればですけどね」

 

魔「霊夢なら大丈夫だぜ、じゃあな!」

 

そう言うと魔理沙は袋を背負い直し、箒で飛んで行った。

・・・速いなぁ、霊夢に遅れを取らない程の速さはある。

と言うか霊夢より速いんじゃないかアレ・・・。

 

・・・さてと、魔理沙はリタイアして霊夢は時間稼ぎをしたし、これで仕事はこなしたな。

あとは、この異変の結末を見るだけだな。

 

俺はふわりと体を浮かし、レミリアのところへと向かう。

 

・・・お嬢様フルボッコにされていませんように。




実はテストが先週の金曜日にありましてですね。
それはもう・・・散々な結果でした。
・・・日本なんだから日本語だけ学べばいいじゃないですか。






次回予告
誠との弾幕ごっこにより足を怪我した魔理沙は、帰る途中に不思議なキノコを見つける。なんなんだこの赤と白い水玉模様をした目のあるキノコは・・・。とりあえず食してみようとキノコを口にした魔理沙の体が突然大きく!? こ、これはまさか伝説の配管工が食したらでかくなったり強くなったりするあの・・・!! かくしてスーパー魔理沙の起こした突風(呼吸)によって紅い霧が晴れて幻想卿は平和になったのであった! 次回「PS3がぶっ壊れたので正月に新型を買うが金がないのでバイト三昧なのはどこのどいつだぁ~い?・・・あたしだよ!」エンタの神様が大好きです!

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