gジェネやってました。
パソコン(LAN関係)が死んだので携帯からの投稿どぇす。
あの運命の日からリザードマン達の集落にはナザリックの庇護下に入る事で急速な変化がもたらされつつあった。
クロコダインとコキュートスの闘いで荒れ果てた土地は派遣されたナザリックのドルイド系モンスター達の魔法によって元の豊かな湿原へと戻され、倒壊した集落の建物などもスケルトンを中心とした不眠不休の労働力が急ピッチで復興を推し進めていた。
「ナザリックの力とは凄まじいな…」
「そうだな。しかし、クロコダインが居なければどうなっていたかを改めて考えると本当に恐ろしいな。」
統合された集落の再建が進む様子を眺めながら、ザリュースとシャースーリューがしみじみと呟く。岩の塊や森から切り出された丸太などをヒョイヒョイと運んでいくスケルトン達は実際には先日派兵された者達とは違い、高いステータスを誇る戦士である。一体一体が戦闘能力で言えばリザードマンの筆頭である自分達と同等かそれ以上の強さだというのだから恐ろしい話だ。
だが、本当に恐ろしいのはそんな存在をホイホイと派遣するナザリックの存在である。
「どりゃああぁぁぁっ!!!」
そんな最中、二人の耳に怒号が届く。それは戦闘訓練を行っているゼンベルの声だった。
多数の戦士タイプのスケルトンを相手取り、ゼンベルはハルバードと己の肉体を酷使し続ける。
あの日、彼は戦士としての頂をその目にしてしまった。無論、彼も自分があの域にたどり着けるとは微塵も思ってはいない。
それでもあの日以来、彼の魂が叫ぶのだ。『強くなりたい!!』と…
幸いと言うべきか、アインズはそんなゼンベルに幾らでもスケルトンは倒しても良いと許可を出した…というよりはリザードマン達全体に強くなる事を推奨した。
「…ぐはぁっ!」
二人が観戦する最中、ゼンベルの拳がスケルトンの頭部を砕くが、同時にそのスケルトンの直剣がゼンベルの脇腹を貫いた。
今日の訓練は此処までだろう。そこにいた全員がそう思いザリュースは治療の為にクルシュを呼ぼうと歩き出した。
しかし次の瞬間、その場に残っていたスケルトン達にクリスタルの弾丸が上空から降り注ぎ、突然その身体を粉々に砕いたのだった。
「何者だっ!!」
何者かの襲撃かと警戒を露わにするシャースーリューの見上げる視線の先には赤い外套を纏った仮面の人間が上空からこちらを見下ろしていた。
ザリュースは突然の襲撃者に対し、素早くダメージを負った状態のゼンベルを庇うように前に出るとフロストペインを構える。
しかし、襲撃者からの攻撃は無かった、むしろ…
「待て、私にお前達リザードマンと敵対するつもりは無い。クロコダインを訪ねて来たのだが…一体此処で何があった?何だこのお前達を支配している大量のアンデッド共は!」
そう言って周囲のアンデッドを一掃したイビルアイは強い警戒を行いながら、ゆっくりと三人の元に降下するのであった。
「クロコダインを?」
目の前の怪しげな人間に訝しげな視線を送りながらもシャースーリューはある程度の警戒をといた。クロコダインの知り合いであるのならばリザードマン達にとって歓迎しない理由は無いのだから。
だがそれはあくまでもリザードマンにとってであり、ナザリックから派遣された者達にとってはそうでは無い。即座に襲撃者に対応する為大勢のスケルトン達が作業の手を止めて集結してくる。
「ちっ、その様子ならば知っているのか?今、奴はどこにいる?」
手の平に魔力を集中させ、得意の水晶の魔法で迫り来るスケルトン軍団を一掃しようとしたイビルアイであったが…
「…クロコダイントハ、ドウイウカンケイダ…」
「なっ!???」
足元から聞こえた不気味な響き…それを声と認識するは一瞬。
ズルリと…イビルアイの足下の影に潜んでいたシャドウデーモンが実体を露わにし、触手がイビルアイの身体にまとわりつくよう、あっという間にその小柄な身体を拘束した。
イビルアイの背中を一気に吹き出した冷たい汗が流れる。完全に探知が出来なかった…それ以前に不意を討たれたとは言え自分を容易く捕らえるような化け物が何故こんな所に潜んでいるのか…
みるみるうちに影に身体を拘束され、自由なのは口元だけ。それはシャドウデーモンからの質問に答えろという意思表示に他ならなかった。
「…コタエヨ。」
「クッ…誰が…」
抵抗を試みるように魔力を絞り出そうとするイビルアイに対し、見かねたザリュースが進み出る。ここで下手に抵抗などされるとどう考えても双方にとって悪い結果が待っているとしか思えないからだ。
「待たれよ、イビルアイといったか?クロコダインは我々を救い、現在は偉大なる死の神と友好を結び、その袂であるナザリックにいる。だがそもそも状況で言えばその死の神アインズ・ウール・ゴウン様の眷属を襲ったお前は襲撃者以外の何者でも無いのだ、ここは素直に答える事をお勧めするぞ。」
ザリュースの言葉にイビルアイは少し考え込むも、言われてみれば確かに自分の早とちりで攻撃を仕掛けたのだからそこはザリュースの言う通りだと思った。
それに何より自分を拘束するシャドウデーモンと本気でやり合えばただでは済まないだろうし、既にスケルトン達に周囲を囲まれこのままでは殺される可能性が非常に高い…
「以前に偶然知り合った…あいつが求めていたとある情報を持ってきた。ガガーランの仲間からだと言えば伝わる筈だ。」
こうして多少のトラブルはあったものの、ナザリックにクロコダインの元にイビルアイが訪ねて来たと言う事がようやく伝わるのであった。
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「………という事がありまして、ゴウン様は私たちを救ってくださったのです。」
「成る程…すまなかったな、辛い出来事をわざわざ話してくれてありがとう。」
クロコダインは現在ルプスレギナと共にカルネ村へと訪れていた。
そこで一連の事件の後で流されるまま、村長となってしまったエンリから彼女とアインズとの邂逅の一幕を村の中を散策しながら聞いていたのだが、クロコダインは想像していた以上にこの世界の殺伐さと人間の愚かしさに苦い思いを抱いていた。
帝国兵を装った法国の者達による虐殺。クロコダインに憤り以外の何を抱けというのか…
そもそもクロコダインがこの村に訪れたのはナザリックのこれまでの活動をアインズがクロコダインに教えるために紹介した事が起因する。クロコダインとしても、アインズ達と友好を築いている現地住民はガガーランを除いて初めて接する人間としては非常に都合が良かった。
ルプスレギナが供添えというのも彼女が単純にカルネ村担当というだけでなく、獣王と人狼という互いの種族的な相性の良さも織り込んでの事である。
「いえ、確かに悲しい出来事でしたが、ネムも無事で今は新しい家族も居ますしルプスレギナさんを始めゴウン様には非常に良くしていただいて居ますから。」
そう言って微笑むエンリの側には何名ものゴブリンが付き添っている。
実際このカルネ村は男手こそ数が減ったが、異形の者達の派遣によって以前よりも生活の面で言えば圧倒的に余裕がある。この光景もクロコダインにとってはアインズ達に対しての好印象だった。自らの肩に腰掛け、御満悦のネムが初対面の時から自分を恐れなかったのはアインズがこういった配慮を怠らなかった故だろう。
「そうか、ネムもエンリをしっかり助けてやれ。」
「うん。」
「ゴブリン達とも仲良くな。」
「うん。」
元気の良いネムの返事に一同の表情に穏やかな笑みが浮かぶ。
そんな彼らの元にカルネ村に転移で到着してからクロコダインの相手をエンリに押し付け何処ぞへと消えて居たルプスレギナがテクテクと近づいてきた。
同時にゴブリン達に緊張が走る。ルプスレギナ、ゴブリン達からは要警戒対象である。
「あ、いたいた。クロさんリザードマンの村に派遣してたシャドウデーモンからトラブル発生ってナザリックに連絡があったらしいっすよ。ってネムちゃん良いっすねそこ、アハハハ!」
「でしょでしょ!」
クロコダインの肩に腰掛けるネムの姿を見てルプスレギナは可笑しそうに笑う。クロコダインがどういう存在なのか本当の意味で理解して居ない少女を怖いもの知らずだなと思うと可笑しくて仕方がないのだ。
「ルプスレギナ、トラブルとはなんだ?」
「あぁ、なんでも襲撃者らしいっすよ。小さい女の子らしいっすけど速攻で鎮圧したらしいんすけど、どうもその襲撃者がクロさんの事を知ってて仕掛けてきたらしいっす。なので対処よろしくって事らしいっす。にしても…」
「…なんだ?」
ルプスレギナのいやらしいじっとりとした視線がネムからエンリへと移り、クロコダインへと注がれる。その口元はニヤリと歪んでいた。
「今日の襲撃者といいアウラ様とマーレ様に優しかった事といい、その二人といいもしかしてクロさんってロリコンなんすか?」
「ロリ…コン?」
エンリとネムの疑問の呟きと同時にクロコダインの剛腕が無言で「プークスクス〜」と笑っているルプスレギナの頭部をむんずと掴んだ。
「良いっすか二人共、ロリコンって言うのはっすね。……ぎゃぁぁあっ!!痛っ!痛い!??」
「変な言葉を教えようとするな!それと断じて俺はロリコン等では無い‼︎」
ルプスレギナの身体が頑強であるからまだ良いものの、人間であれば頭が卵の様に容易く握り潰されているだろう威力のアイアンクローがルプスレギナを襲う。
「ハァハァ………なんつー馬鹿力…ユリ姐のお仕置きが可愛く思えるっす…」
「全く…少しは反省しろ。」
ようやく解放されたルプスレギナがヨヨヨ…と泣き崩れるような体勢でブツブツと愚痴をこぼすがクロコダインに罪悪感は一切ない。何故なら嘘泣きだと分かっているから…クロコダイン、既に何度もルプスレギナによって騙され、からかわれていた。
「兎に角、リザードマンの集落でトラブルだったな?確かに心当たりが一つある。俺の予想通りならばかなり重要な情報をそいつが持っているはずだ。俺はこれから集落に向かう事にする、お前はアインズに伝えてくれ。『他のプレイヤーの情報が手に入ったかも知れん。』とな。デルパ!」
そこまで言ってクロコダインはガルーダを召喚すると自分を掴ませ、徐々に空へと舞い上がる。
あの日、ガガーランと交わした約束通りならばその件の襲撃者とやらは彼女の使いという事だろう…しかし何故?とそこまで考えてクロコダインは自分の間抜けっぷりに心底呆れながら溜め息をこぼした。
誰だって村中をアンデッドが彷徨いていれば排除しようとするだろう。クロコダインだってそうする。
(何にせよ襲撃者とやらはルプスレギナの話っぷりから生け捕りになっているはずだ。兎に角急いでやらねばガガーランに申し訳が立たんぞ……)
光の尾を引きながら、クロコダインを掴んだガルーダが空を駆けた…
ニューロ二スト「わーい、幼女らー^^」
イビルアイ「くっ殺」
次話。クリスマスまでには