ゴジラ2054 終末の焔   作:江藤えそら

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2019/2/5 北岡ブルー様より頂きました本作におけるゴジラのイラストをご本人様公認の上掲載させていただきました。この場を借りまして厚く御礼申し上げます。
なお、北岡ブルー様のユーザページは以下に掲載いたします。
https://syosetu.org/?mode=user&uid=59920


登場人物・用語などまとめ(第二部)

 ・登場人物

 

自衛隊

 

 大松勇次(おおまつ ゆうじ)

 性別:男性

 年齢:35歳

 陸上自衛隊第四対戦車ヘリコプター隊隊長。二佐。優れた能力により若くして出世した生真面目な男。自衛隊史上初の実戦を前に、隊長ながら自ら一番機を駆って戦場に出る。

 

 小幡幸哉(おばた ゆきや)

 性別:男性

 年齢:44歳

 陸上自衛隊一等陸曹。富士教導団戦車教導隊に属し、34式戦車の車長を務める。小幡堅太郎の父親。飄々とした性格で緊迫した状況下でも軽口を絶やさない。

 

 山下(やました)

 性別:男性

 年齢:28歳

 

 長根(ながね)

 性別:男性

 年齢:27歳

 

 いずれも小幡と同じ車両の乗組員で、階級は三等陸曹。砲撃手の山下は生真面目な性格。操縦士の長根は小心だがお調子者。

 

 井村長俊(いむら ながとし)

 性別:男性

 年齢:60歳

 統合幕僚長。空将。白髪混じりで細目の屈強な男性。制服組のトップとして官邸地下で閣僚と共に戦況を見守る。

 

 岡崎征爾(おかざき せいじ)

 性別:男性

 年齢:58歳

 ICA:伊武雅刀

 東部方面総監兼呉号作戦統合任務部隊指揮官。実戦部隊の総司令官としてゴジラと対峙する。厳格な性格だが、部下の戦死に大きく動揺する一面も持つ。

 

・怪獣

 

 ゴジラ(2054年の個体)

 

 

【挿絵表示】

 

(イラスト:北岡ブルー様)

 

 身長 262m

 全長 592m

 体重 150万トン(最小見積もり値)

 

 人類の核実験により目覚めた史上最強の生物。百年前の個体と同様の種族であり、百年前の個体と同じく核実験の放射能を浴びて急速な進化を遂げたが、その時は地上に現れず、海中に留まった。そして百年間の間、海中で”完全生物”としての進化を続けていたが、2054年の核実験が引き金となって上陸を開始した。

 太古の恐竜を思わせる巨大な体躯に長大な尾、荒れ狂う炎のような形状の背びれ、怒りを象徴するかのような血走った眼など、人類が畏怖するに相応しい異様な造形を持つ。その表皮及び体組織は全て未だ人類が知りえない未知の元素と構造で成り立っており、想像を絶するほどの高温・高圧・衝撃に晒されても全くの無傷で心臓部を防護する。

 体内では百年前の個体と同様の「核分裂反応」と、進化の過程で新たに獲得した「核融合反応」が同時に行われ、生体エネルギーを抽出していると推測されている。核融合反応には海水に含まれる水素を燃料として用いているとされ、定期的に海や湖などで水を摂取する限り、ほぼ無限に活動が可能である。その膨大なエネルギーの余剰分、および強烈な放射線や励起した粒子を口から漏洩させ、大量の炎や高圧熱線を放出し、攻撃をすることができる。

 その戦闘力は人類の抑止力を遥かに超え、地球のすべてを焼き尽くしてもなお有り余るほどの力を備えている。目的や意志といった概念は一切不明であるが、明確に人類に対する攻撃本能を備えており、五感のいずれかで人類の存在を認識した瞬間、無慈悲な攻撃でこれを一掃する。

 また、百年間という短期間で核融合反応の獲得を始めとする大幅な進化を遂げたことから、従来の生物とは比べ物にならないほど高速で、かつ世代交代を経ることなく単独の個体で進化を行うと推測されている。今後も急速に進化を続けるものと思われる。

 

 

 熱線放射の段階

 

 

 第一段階

 温度 1500~3000℃

 強烈な体温で、体内で生成した何らかの物質を引火させ、猛烈な勢いの赤い火炎を噴き出す。着地点付近では車を紙屑のように吹き飛ばすほどの凄まじい風圧があり、障害物がなければ炎は数㎞先にまで届く。

 

 

 第二段階

 温度 3000~1万℃

 さらに高圧の熱放射を行う。炎の色は赤から青に変化し、1万℃近くになると炎からジェットエンジンのような熱線に見た目を変える。ゴジラが使用する頻度が最も高い段階である。熱線ははるか高空にまで届き、戦闘機も容易に撃墜する。

 

 

 第三段階

 

 温度 1万~1000万℃

 TNT換算出力 10キロトン~10メガトン

 口腔部で核爆発をおこし、その際に生まれる火球を前方に収束させ、熱線とする。非常に明るい白色熱線。噴き出すと同時に熱線を浴びた空気が急激に膨張し、強い衝撃波が発生する。直撃したすべての物体を溶解・蒸発させプラズマに変えてしまう。地面に当たるとその熱により容易に抉り、掘りぬく。本編では九十九里沖に現れた際に最初に発したものと、その1時間後に発した熱線がこの段階である。その後も自衛隊との戦闘の中で威力を押さえながらもこの段階を何度か使用。

 発射の際の閃光や衝撃波は原水爆の核爆発そのものであり、人間の恐怖心を本能的に刺激する。

 

 

 第四段階

 

 温度 250万~1億℃(瞬間最大温度)

 TNT換算出力 10メガトン~

 体内の核融合反応を暴走させ、最大級の放射熱線を打ち出す。発射の衝撃波だけでも小さな平野に相当する広さの全建築物が破壊され、熱線本体は大気圏を超えて宇宙空間に到達するほど高威力・長射程である。また、その衝撃波は地球を何周も巡り、残留放射線は国家一つ分ほどの面積にわたって全生態系を破壊する。ただしそのエネルギー消費ゆえに連続使用はできず、一度使うと海に戻って大量の水素を補給する必要がある。本編においては、南太平洋上で最初にゴジラが放出した熱線がこれに該当する。数千mの海底で射出したにも関わらず海面上にまで放射性物質を残し、太平洋に面する全国家に大津波をもたらした。

 

 

 

 

 

・自衛隊の防衛計画

 

 X-X号計画(海上・海中・水際迎撃)

 国内進行の恐れのある怪獣を海上もしくは海中で捕捉・発見し、日本領土到達まで時間的猶予があると認められた場合に発動される水際迎撃作戦。日本全国の領海と接続水域を大まかにA~Zのアルファベットで区切り、さらにその中の特定箇所を一桁の数字で区切ることにより、計画名を記号化している。例えば、東京湾全域は作戦区域”A”に分類され、さらにその中で羽田沖・東京都近海での迎撃が決定された場合、”A-1号計画”となる。本土以外の領土、例えば孤島などは全て作戦区域”Z”に分類され、”A-1号”から”Z-9号”までの防衛計画は既に統合幕僚監部によって綿密に詰められ、発動準備が整えられている。

 作戦は海上・海中が主な戦場となるため、主戦力は海自であり、以下のような流れで行われる。

 

 作戦第一段階:哨戒機による威力偵察。対潜爆雷投下による攻撃。

 作戦第二段階:高速哨戒艇・警備艇による爆雷攻撃。

 作戦第三段階:護衛艦による爆雷・魚雷攻撃。

 作戦第四段階:潜水艦による魚雷攻撃。海中索敵による敵怪獣殲滅の確認。

 

 ただし、敵の規模や能力・作戦海域によっては、順番が前後したり行われない攻撃があったりすることもあることには注意されたし。敵が海中ではなく海上に出てきた場合、砲撃やミサイルの使用も視野に入れられている。

本編中では自衛隊の展開速度に比べてゴジラの進行速度があまりにも早かったため実行は見送られ、内陸迎撃作戦を実施することとなった。

 

 

XX- X号計画(内陸迎撃)

水際迎撃で怪獣を撃滅できず、もしくは怪獣が発見された時点で目標個体が極めて陸地に接近しており、海上で攻撃を行う時間的猶予がないと認められた場合に発動される計画。上陸した後の怪獣に対し、主に陸上戦力を用いて攻撃を行う。内陸部はより詳細に戦闘区画を分ける必要があったため、アルファベット二文字と一桁の数字で分けている(AA-1号など)。

内陸部が主戦場となるため主戦力は陸自と空自となり、主に以下のような流れで作戦が行われる。

 

作戦第一段階:哨戒機による威力偵察。対戦車ヘリによる攻撃。

作戦第二段階:戦車部隊、特化部隊による火力攻撃。

作戦第三段階:戦闘機による空対地ミサイル・誘導爆弾攻撃。敵怪獣殲滅の確認。

 

本編では千葉県東金地方を作戦区画とするCB-5号計画が行われた。また、作戦第四段階として千葉市沖に配置された護衛艦隊による支援攻撃が設定されている。

また、米国政府の意向に沿って在日米軍との共同作戦も検討されており、その際には一時的に米軍の一部が自衛隊の統合任務部隊の指揮下に入ることも認められている。

 

ゴジラに対する日本本土防衛作戦は"呉号作戦"と名付けられ、上に述べた計画に則って実行に移された。

 

・登場兵器

 

 

 陸上自衛隊

 

・攻撃ヘリ

 

 AH-64E ”アパッチ・ガーディアン”

 保有数:123機

 価格高騰により調達が打ち切られたAH-64D”アパッチ・ロングボウ”に代わり導入されたアメリカの攻撃ヘリコプター。初飛行から50年以上が経過しているが、内部構造や電子機器を改良して使用され続けている。なお、現在使用されているものは全て2030年代以降に新造された機体である(従来の機体は老朽化により解体された)。かつて使用されていたAH-1S”コブラ”は老朽化により2020年代に全機退役し、アパッチに更新された。

 

・戦闘車両

 

 50式戦車

 保有数:50両

 2050年に正式配備が始まった、最新鋭国産戦車。情報処理システム”C4I”のさらなる高度発展が顕著であり、敵を認識した瞬間にコンピューターが目標を定め、最適箇所に攻撃を加えることができる。主砲は従来と同口径の120mm滑腔砲であるが、改良を重ねた国産APFSDSを装備し、攻撃力は従来のものより大幅に増加している。防護力に関しては新複合素材の使用により、従来と同性能を保ちつつ軽量化が図られた。これによって重量は45tにまで抑えられ、C-3輸送機などによる空輸が可能となっている。

 

 34式戦車

 保有数:228両

 2034年に配備が始まった、国産第五世代戦車。先代の10式戦車から標準装備となったC4Iシステムを維持しつつ、将来の装備発展を予期して高い拡張性を備える。最新鋭の50式戦車の配備両数が未だ少ないため、現状では日本の主力戦車である。

 

 

 45式機動戦闘車

 保有数:530両

 2045年に採用された、国産装輪装甲車(装輪戦車)。先代の16式機動戦闘車を代替する形で配備された。装輪戦車として初めて120mm滑腔砲の搭載に成功しており、戦車部隊への強力な火力支援兵器として期待されている。装輪装備によって時速120㎞以上の高速で移動可能であり、50式戦車同様各戦闘区域への迅速な展開が可能。戦車よりも安価で数がそろえやすく、戦車を配備していない地方駐屯地にも積極的に配備されている。

 

 

 

 

 海上自衛隊

 

・艦載兵器

 

 艦砲用65口径127mm電磁加速砲(127mmレールガン)

 2000年代初頭からアメリカで研究が開始され、2028年に完成、2041年に日本が正式採用した電磁加速砲(レールガン)。ローレンツ力により弾丸を加速し、射出する砲である。ミサイル・航空機の迎撃など、一般的な軍事活動を念頭に置いた兵器であるが、怪獣の殺処分への使用も視野に入れられている。ミサイルより一発当たりのコストがはるかに格安で使用でき、新世代を担う兵器として期待が高まっている。弾丸初速はマッハ7に達し、有効射程は数百㎞に及ぶ。しかしながら発射には大量の電力消費が付きまとい、これを賄うための大型の発電機が必要となるため、発射機構そのものが大型化してしまうという欠点がある。アメリカのズムウォルト級ミサイル駆逐艦、むつ型護衛艦などが標準装備。

 

 

・護衛艦

 

 むつ型護衛艦

 同型艦:「むつ」、「あまぎ」、「しなの」

 2040年代から竣工が始まった護衛艦の艦級。日本の艦艇としては初めて電磁加速砲(レールガン)を装備している。基準排水量17000トン、全長210mの大型艦であり、名前も相まって”現代の戦艦”などと一部から呼ばれている。従来の護衛艦に比べると対怪獣戦に重きを置いており、電磁加速砲のほか、対生体用に転用可能な対艦ミサイルを多く配備している。

 

 

・航空機

 

 SH-60L

 保有数:96機

 従来のSH-60Kからさらなる改良を遂げた海自の哨戒ヘリ。レーダーと対潜能力が格段に上昇しているほか、対艦ミサイルの装備も可能。

 

 

 

 航空自衛隊

 

※本作では、空自においても米軍などと同様、機体に公式の愛称を与える慣習が2020年代ごろから定着した。

 

 

・高射兵器

 

 52式地対空戦術光子砲(対空レーザー)

 アメリカの技術付与を受けた日本が、弾道ミサイル迎撃のために少数生産した対空レーザー砲。本体はトレーラーによって牽引され、レーダー車やアンテナ車など、複数の車両で一つの迎撃ユニットを形成する。レールガン同様、従来の対空ミサイルなどと比べると一発当たりのコストが軽く、また電気さえあれば弾数はほぼ無限と考えることができる。これまで問題となっていた製造コストや小型化などの課題も技術刷新によってある程度解決されており、レーザー兵器は全世界で配備が進んでいる。

 

 

・戦闘機(支援戦闘・対地攻撃を主任務とする機体も含む)

 

 F-51J ”ヘルホーク”

 保有数:148機

 アメリカの第6世代ジェット戦闘機を日本がライセンス生産したもの。F-35よりもさらに強力な武装とステルス性を備える世界最高峰のマルチロール戦闘機。F-35の退役に合わせ、2040年代から配備が始まっている。

 

 F-3 ”スーパー・ファルコン”

 保有数:135機

 2032年に初飛行を遂げた、日本の半国産戦闘機。”ファルコン”は”隼”を意味し、旧日本陸軍一式戦闘機・”隼”に由来する。双発機であることから高度な機動性を有し、ステルス性も考慮された設計となっている。制空戦闘・対地対艦任務の双方をこなせるマルチロール機で、ウェポン・ベイには6発の対艦ミサイルを搭載可能。

 

 F-4 ”リファインド・ゲール”

 保有数:16機

 2051年に配備が始まったばかりの、最新鋭国産戦闘機。”ゲール(gale)”は”烈風”を意味し、旧日本海軍の試作戦闘機”烈風”に因む。戦後初めて、航空機エンジンから各部品に至るまでを完全に国産化した機体であり、戦後長らく他国の後塵を拝する状況にあった日本の航空技術が、本機をもって世界に並ぶレベルになったことを知らしめた。対地対艦攻撃力を維持したまま従来の戦闘機とは比べ物にならないほどの運動性を発揮させることに成功しており、レーダーやステルス機能の大幅強化も相まって、”烈風”の名に恥じぬ世界最強クラスの戦闘力を誇る。

 

 

・その他航空機

 

 C-3 ”トプシー”(輸送機)

 保有数:67機

 2020年代に計画され、2032年に正式採用された空自の大型輸送機。愛称の”トプシー”は、旧帝国陸軍の主力輸送機”一〇〇式輸送機”の連合軍によるコードネームに因む。全長は60mを超え、従来のC-1、C-2よりもさらに大型化しており、輸送重量の大幅な増加によって、国産輸送機としては初めて戦車などの主力機甲戦力に対する空輸能力を備える。怪獣や非対称戦闘など、国家以外の仮想敵が重要視される時代になってからは、全国のいかなる場所にも迅速な戦力輸送を可能とするため、機甲部隊が多く駐屯する基地に配備されている。

 

 


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