ポケットモンスター-黒衣の先導者-   作:ウォセ

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説明忘れていたのですが、今作のハルカはソラトと旅をするのを目指していたので多少はポケモンの勉強しているという設定です。

今回は初のオリ話になるのですが、何か大した事できませんでした…反省します(・ω・')


サトシ&ハルカVSソラト タッグバトルでてだすけバトル!

ホウエンリーグ出場を目指し、最初のジムがあるトウカシティを目指すサトシ達。

そして野宿をした草原で、今日も気持ちの良い朝を迎えたのだった。

 

「今日もいい天気だな、ピカチュウ」

 

「ピッカー!」

 

朝日を浴びて元気に背伸びをするサトシとピカチュウだが、お腹がグ~と腹の虫が鳴っている。

 

「いや~、お腹減ったな。メシにしようぜピカチュウ」

 

「ピッカ!」

 

「サトシ、朝メシの準備はできてるぜ」

 

「え?」

 

サトシを呼んだのはソラトだ。

草原の上にシートを敷いてあり、その上には薄く焼いた卵とサラダとハムが挟まれたサンドイッチと、ポケモン達が大好きなポケモンフーズが置いてあった。

 

「おぉ! ソラトって料理もできるのか!?」

 

「5年も1人旅してりゃそれなりにな。他には誰もやっちゃくれないからな。そら皆! メシの時間だ!」

 

ソラトは6つのモンスターボールを投げると次々とポケモン達が登場してくる。

ラグラージのスイゲツ、フライゴンのサジンを始め、プラスルとマイナン、ミロカロスとダーテングだ。

 

「おぉ! それがソラトのポケモン達か!」

 

「ああ、紹介するよ。プラスルのライ、マイナンのデン。ミロカロスのシズクにダーテングのフウジンだ」

 

「プラプラ!」

 

「マイマイ!」

 

「ミロッ」

 

「ダッテン」

 

「おぉ、よろしくな皆!」

 

挨拶を済ませると、サジンとミロカロスのシズクは甘えるようにソラトへ顔を擦りつける。

 

「あー、はいはい。分かったからメシ食おうな」

 

「フラッ、フライ!」

 

「ミロミロ!」

 

やれやれと言った様子でソラトはサジンとシズクにポケモンフーズを差し出すと嬉しそうに食べ始めた。

他のポケモン達もポケモンフーズを食べてお腹を満たしている。

 

「サジンとえっと…シズクはソラトの事が大好きなんだな」

 

「ボールから出す度にアレだから、ちょっと困りものだけどな」

 

困ったように笑いながらサンドイッチを食べるソラトの隣にサトシも座り、サンドイッチを食べる。

蕩けるように甘い卵焼きに瑞々しいサラダ、味のあるハムが組み合わさり口の中に広がる。

絶妙な美味しさにサトシは思わず目尻が下がる。

ピカチュウも美味しそうにポケモンフーズを食べていく。

 

「モグモグ…美味ぇ~! ソラト、このサンドイッチ最高だぜ!」

 

「ピカ! ピカチュー!」

 

「そりゃどうも」

 

「ハルカも食べてみろよ。ってアレ? そういやハルカは?」

 

サトシが周りを見渡すが、ハルカの姿はどこにも無かった。

 

「それが、朝起きたと思ったら慌ててあっちの林の方に駆け込んでっちまったんだ。早くしないとメシが冷めるってのに」

 

「ふーん、どうしたんだろうな? モグモグ」

 

 

 

「あーん! こんなんじゃお兄ちゃんの前に出れないかもー!」

 

「チャモー…」

 

林に駆け込んでいったハルカは乙女として好意を抱く相手の前に出るのが躊躇われる格好になっていた。

髪の毛はボサボサ、服はしわくちゃ。ハルカとしてはソラトの前に出ることができない姿だった。

 

「やっぱり野宿は乙女の大敵かも…。えーとえーと…!」

 

髪の毛を櫛を梳かしてなんとか何時もの髪型にし、服も手で調節してどうにかいつものキューティクルを取り戻した。

 

「髪良し、服良し…うん、OK! それじゃお兄ちゃん達の所に戻りましょう、アチャモ」

 

「チャモチャモ! チャモ?」

 

ハルカとアチャモがサトシ達の所へ戻ろうとした時、傍にあった茂みがガサガサと揺れる。

そして茂みから野生のポケモンが飛び出してきた!

 

「きゃぁああああああああ!!」

 

 

 

「今のは!?」

 

「ハルカの悲鳴だ! 向こうだ!」

 

林の方からハルカの悲鳴を聞いてサトシとソラトはポケモン達と共に悲鳴も方へと走り出す。

一方で林でのハルカは飛び出してきた野生のポケモンとのバトルを行っていた。

 

「アチャモ、つつく攻撃!」

 

「チャモー!」

 

「サイホー!」

 

「危ないアチャモ、避けて!」

 

アチャモの放ったつつく攻撃だが、相手のサイホーンの固い皮膚により弾かれてしまう。

そして反撃のつのでつく攻撃を間一髪でアチャモは回避した。

 

「今度はひのこよ!」

 

「チャーモー!!」

 

ひのこの攻撃を受けてサイホーンは怯んでその場に立ち止まってしまう。

 

「よーし、これでトドメかも! もう1度ひのこ!」

 

「チャモチャモー!」

 

「サイホー!」

 

ひのこの攻撃を受けて野性のサイホーンはその場に倒れこんだ。

今ならゲットのチャンスだが…

 

「う、うーん…サイホーンは凄くゴツゴツしててちょっとゲットする気しないかも…」

 

「ハルカー!」

 

「大丈夫か!?」

 

「あ、サトシ! お兄ちゃん! 大丈夫よ。野生のサイホーンとバトルになっちゃったの」

 

倒れているサイホーンを見てサトシとソラトも感心する。

 

「へぇ、サイホーンはいわ/じめんタイプだからアチャモは不利な筈だが勝っちまうとはな」

 

「やるじゃんハルカ!」

 

「えへへ、それほどでもあるかも!」

 

自慢げに胸を張るハルカとそれを褒めるサトシだが、ソラトは何かが近づいている気配を感じる。

ソラトはあえて目を閉じる。

 

「サトシ、ハルカ! 危ない!」

 

「「え?」」

 

「サイドーン!!」

 

再び茂みが動くと、先ほどのサイホーンの仲間だろうか、サイドンが現れた。

 

「フウジン、じんつうりき!」

 

「ダーテンッ!」

 

ダーテングのフウジンの目が妖しく光るとサイドンの体が宙に浮かんで吹き飛ばされる。

サイドンはサイホーンのぶつかり地面に倒れた。

だがサイドンはすぐさま立ち上がり、サイホーンも今の衝撃で目が覚めたのか立ち上がった。

 

「サトシ、ハルカ、下がってろ! フウジン、シズクでダブルバトルだ!」

 

「ダーテン!」

 

「ミロッ!」

 

「ダブルバトル?」

 

「サトシ、お兄ちゃんの邪魔になるかも! 早く向こうに行くのよ!」

 

サイドンはフウジンへ突っ込んでくる。

とっしんで全力での体当たりを行うのだろう。

 

「来るぞ! シズク、みずのはどう!」

 

「ミ~ロカッ!」

 

口から水の球体を作り出し突進してくるサイドウに向けてみずのはどうを放つ。

いわ/じめんタイプのサイドンに対してみずタイプの技は効果絶大。とっしんの勢いが弱まりスピードがダウンする。

 

「今だフウジン! リーフブレード!」

 

「ダーテッ!」

 

両腕の草の扇が緑に輝き強力な刃と化すと、スピードの落ちたサイドンを斬りつけた。

くさタイプの技であるリーフブレードはみずタイプの技と同じくサイドンには効果絶大。

リーフブレードを受けたサイドンは戦闘不能となり倒れこんでしまった。

 

「サイホー!」

 

続いてサイホーンが岩を生み出して飛ばす技、ストーンエッジを放つ。

 

「ストーンエッジだ、止めろフウジン! じんつうりきだ!」

 

じんつうりきでストーンエッジが全て念力の力により止められる。

 

「今だシズク、れいとうビーム!」

 

れいとうビームによりストーンエッジがカチコチに凍る。

そしてそのままじんつうりきによって凍ったストーンエッジが撃ち返される。

 

「凄い! いわタイプのストーンエッジをこおりタイプの技の変化させるなんて!」

 

その連携を見たサトシはバトル魂に火がついたのかかなり興奮している。

そして撥ね返されたこおりのストーンエッジがサイホーンに直撃する。

こおりタイプになった攻撃はサイホーンにはこうかはばつぐんだ。

 

「サーイ!!」

 

こうかばつぐんの技によりサイホーンも戦闘不能となった。

 

「よくやったぞフウジン、シズク」

 

「ダテン」

 

「ミロ~」

 

シズクはバトルが終わって褒めて欲しいのかソラトにまた顔を擦りつけている。

 

「すげぇ…2体のポケモンのコンビネーション…! ホントスゲェ!」

 

「ふふーん、サトシもお兄ちゃんの凄さが分かったかも!」

 

「って、何でハルカが偉そうなんだよ…」

 

「さ、バトルしていい腹ごなしになっただろ。改めてメシにしようぜ」

 

「「おー!」」

 

そして野宿をしていた場所に戻り皆で朝食の続きにする事にした3人。

サトシはガツガツとサンドイッチを凄い勢いで食べている。すぐさまサトシのお皿にあるサンドイッチは無くなってしまった。

 

「もーサトシ、もっとゆっくり味わって食べたらいいかも」

 

「そうも言ってられないぜ! ソラト、さっきのダブルバトルっての教えてくれよ!」

 

「モグモグ…ダブルバトルってのはポケモン2体を使って行う2対2のバトルだ。ホウエン地方では正式なバトルルールとしても採用されてるんだ」

 

「じゃあジム戦なんかでもやるかもしれないんだな。よし、特訓だ! ソラト相手してくれよ!」

 

「でもサトシ今はピカチュウしかポケモンいないんだろ? じゃあダブルバトルはできないぞ」

 

「あ、そっか…」

 

「ピィカ…」

 

あからさまに落ち込むサトシとピカチュウを見て仕方ないと苦笑いするソラトは美味しそうにサンドイッチを頬張るハルカを見る。

 

「んじゃ、サトシとハルカで組んでタッグバトルでどうだ?」

 

「タッグバトル? なにそれ?」

 

「トレーナーが2人で組んでそれぞれポケモンを使うバトルの事さ。俺が1人で2体のポケモンを使うから、サトシとハルカ2人で組んでバトルしないか?」

 

「おっ、そりゃいいな! やろうぜハルカ!」

 

「えぇー、2人でやってもお兄ちゃんには勝てないわよ」

 

「バトルはやってみなきゃ分からないんだぜ! やろうぜハルカ!」

 

「うーん…そうね、物は試しかも」

 

そうしてサトシ&ハルカVSソラトの変則ダブルバトルが行われる事になった。

広い草原のど真ん中で3人はそれぞれモンスターボールを持って準備をする。

 

「よし! ピカチュウ、君に決めた!」

 

「ピッカ!」

 

「お願いアチャモ!」

 

「チャモチャモ!」

 

サトシとハルカは手持ちのポケモンは1体なので勿論ピカチュウとアチャモだった。

そしてソラトが出すポケモンは―

 

「ライ! デン! バトルの時間だ!」

 

「プラプラ!」

 

「マイマイ!」

 

「プラスルとマイナンか」

 

「えーっと、図鑑図鑑…」

 

ソラトが繰り出したのはプラスルのライとマイナンのデンだ。ダブルバトル向きのポケモン達を繰り出してソラトは不敵に笑う。

サトシとハルカはオダマキ博士から貰ったポケモン図鑑を取り出すとライとデンに向けて検索をかけた。

 

『プラスル おうえんポケモン

いつも仲間を応援している。仲間が頑張ると体をショートさせてパチパチと火花の音を立てて喜ぶ。』

 

『マイナン おうえんポケモン

仲間の応援が大好きなポケモン。仲間が負けそうになると体から出る火花の数がどんどん増えていく。』

 

「プラスルとマイナンか、相手にとって不足無しだぜ!」

 

「お兄ちゃん、全力でいくかも!」

 

「ああ、こっちも手は抜かないぜ」

 

バトルの相手を確認してサトシは更なる闘志を燃やし、ハルカも兄貴分であるソラトへの初のチャレンジのために気を引き締める。

ソラトは不敵な笑みを続けているが油断はこれっぽちもしていない。

これから熱いバトルが始まる…そんな予感がする中、サトシ達を見つめる3つの視線が…

 

「ジャリボーイとピカチュウ発見だぜ」

 

「あっちのはこの間のジャリガールと黒服だニャ」

 

「ふーん、これからバトルするみたいね」

 

毎度お馴染みRの英文字がトレードマークのロケット団のムサシ、コジロウ、ニャースは双眼鏡を使って遠くからサトシ達の様子を伺っていた。

そうしてまたピカチュウゲットのチャンスを伺っているのだが、3人のお腹が一斉にグゥ~と鳴る。

 

「はニャ~、もう2日も何も食べてないのニャ…」

 

「このままじゃお腹と背中の皮がくっついちゃうぜ。ピカチュウゲットの前に何か食べ物探さないか?」

 

「そうニャ! 腹が減っては戦はできないのニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

「あ~! あそこ! あそこ見て!」

 

食事についての話をしていると思ったら突然ムサシが大声を出す。

ムサシの見る双眼鏡の先にはソラトが作ったサンドイッチの残りがあった。

 

「お~! あれは美味そうなサンドイッチだ!」

 

「よし、それじゃあのサンドイッチを頂いてついでにピカチュウ達も頂いちゃうのニャ!」

 

「それじゃ早速、作戦開始よ!」

 

「ソ~ナンス!」

 

こうしてロケット団がまたしても作戦を実行しようとしている頃、サトシ達のバトルも始まろうとしていた。

 

「それじゃ、先攻はそっちからでいいぜ」

 

「よーし、いくぜピカチュウ! 先手必勝のでんこうせっか!」

 

「ピッカ!」

 

サトシが素早く指示を出すとピカチュウは閃光となったかのような速度で駆け出しマイナンのデンに向かっていく。

だがプラスルのライも素早く動き出していた。

 

「ライ、てだすけだ!」

 

「プラ~!」

 

ライの体から青い電気のような光が放たれるとデンの体を包み込み、デンの体に力が溢れていく。

 

「マイマイ!」

 

「デン、でんこうせっか!」

 

「マイー!!」

 

「ピィッカ! …ピカー!?」

 

デンもピカチュウに対してでんこうせっかで向かっていき正面勝負でぶつかり合う。

通常のパワーならば体格で優れているピカチュウが有利だろうが、それを上回るパワーを発揮したデンによりピカチュウは弾き飛ばされてしまった。

 

「何!?」

 

「流石お兄ちゃん…アチャモ、ひのこよ!」

 

「ライ、まねっこだ!」

 

「チャモチャモー!」

 

「プーラッ!」

 

でんこうせっかで前に出てきたデンを狙いアチャモの口から灼熱のひのこが放たれるが、何故かライの手先が光るとそこからひのこが放たれた。

放たれたひのこはお互いをかき消して消滅した。

 

「えぇ!? プラスルってひのこが使えたの!?」

 

「デン、でんげきは!」

 

「マーイー!!」

 

デンの体から青白い電撃が放たれて球体になると、そこから凄まじい速度で電撃が放たれた。

アチャモは避ける事もできるまともに電撃を受けてしまう。

 

「チャモー!」

 

「ああっ、アチャモ!?」

 

「電撃なら負けないぜ! ピカチュウ10万ボルト!」

 

「ピカー…チュウウウウウウウウ!」

 

「ライ、10万ボルト!」

 

「プーラー!!」

 

アチャモが攻撃を受けている間にピカチュウが強烈な10万ボルトを放つが、同じくライも10万ボルトを放ち空中でぶつかり合った10万ボルトは爆発して掻き消えた。

その隙になんとかアチャモは立ち上がって体制を立て直し、ライとデンも仕切り直しのつもりなのか1度ソラトの傍へと撤退した。

 

「やるなソラト!」

 

「そっちも個々の能力はそれなりだな。だがもっと連携しないと勝ち目は無いぞ。デン、じゅうでんだ!」

 

「マイ! マイマイ…!」

 

デンはパワーを溜める体制に入り体中がバチバチと帯電し始めた。

 

「何だ、動かなくなったぞ?」

 

「サトシ、もしかしたら今がチャンスかも!」

 

「ああ! ピカチュウ、10万ボルトだ!」

 

「アチャモはつつく攻撃!」

 

「チュゥウウウウウ!!」

 

「チャモ!」

 

「ライ、デンを守れ!」

 

ピカチュウから電撃が放たれ、アチャモはパワーを集中した嘴が輝きデンへ接近してくる。

だがライは10万ボルトをスルーしてアチャモの前に立ち塞がった。

ピカチュウの放った10万ボルトは見事にデンに直撃し、アチャモのつつくもライに当たり確実にダメージを与えた。

 

「プラ…!」

 

「マイ…!」

 

「耐えろ2人とも! もう少しだ!」

 

「マ…イ…! マイマイ!!」

 

「よし、じゅうでん完了だな! ライ、下がってデンにてだすけだ!」

 

「プーラー!」

 

10万ボルトとつつくに耐えたデンとライ。

ライがバックステップで後ろに跳び下がると再びてだすけでデンをパワーアップさせる。

何かが来ると感じ取ったサトシはピカチュウに素早く指示を出す。

 

「ピカチュウ! かみなりだ!」

 

「ピィカ…ヂュウウウウウウウウウ!!」

 

「デン、でんげきは!」

 

「マイマイ、マァアアイィイイイイ!!」

 

放たれたかみなりは、やはり普通ならばでんげきはを掻き消してデンを襲っただろうがかみなりより巨大で強力になったでんげきははかみなりを突き破りピカチュウとアチャモを襲った。

 

「ピィカアアアアッ!?」

 

「チャモチャモー!!」

 

でんげきはを受けたピカチュウとアチャモは目をグルグル回しながら地面に倒れてしまう。

完全に戦闘不能状態だった。

 

「ああっ、ピカチュウ!」

 

「アチャモ! 大丈夫!?」

 

「ピィカ~」

 

「チャモ~」

 

サトシとハルカがピカチュウとアチャモをそれぞれ抱き起こすとどうにか目を覚ましたピカチュウとアチャモだがまだ少し疲れが見える。

それを見てソラトは肩掛けリュックの中から青い木の実を取り出してピカチュウ達に差し出した。

 

「ほら、オレンの実だ。体力が回復するぞ」

 

「ありがとう、お兄ちゃん。さぁアチャモ、食べて元気回復かも!」

 

「チャモチャ~」

 

「ピカチュウも食べろよ」

 

「ピッカチュ」

 

「ライとデンも、ほら」

 

「プラ!」

 

「マイ!」

 

青い実はオレンの実といい、ポケモンの体力を回復させる効果がある木の実だ。

ソラトは更にオレンの実を取り出すとライとデンに渡すと、2匹とも美味しそうにオレンの実を食べて回復をした。

 

「途中の同時攻撃は良かったな。だがそれ以外は呼吸がバラバラだったぞ」

 

「ん~、タッグバトルって難しいんだな」

 

「全然敵わなかったかも~」

 

「サトシはタッグバトル初めてだったみたいだし、ハルカはバトルほぼ初心者だからな。無理せず特訓していけばいいさ」

 

「ああ、頑張ろうなピカチュウ」

 

「ピィカ。ピィカー!?」

 

今のバトルを糧に決意を新たにしたサトシだったが、突然現れたマジックアームによりピカチュウを奪われてしまう。

マジックアームは先ほどサトシ達がサンドイッチを食べていた方から伸びており、引き寄せられたピカチュウはカプセルのような機械に放り込まれて閉じ込められてしまった。

 

「な、何だ!?」

 

「な、何だ!? と聞かれたら」

 

「答えてあげるが世の情け」

 

「世界の破壊を防ぐため」

 

「世界の平和を守るため」

 

「愛と真実の悪を貫く!」

 

「ラブリーチャーミーな敵役!」

 

「ムサシ!」

 

「コジロウ!」

 

「銀河を駆けるロケット団の2人には」

 

「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ」

 

「ニャーんてニャ!」

 

「ソーナンス!」

 

「待てロケット団!」

 

「またアナタ達ね!」

 

何時の間に準備していたのかロケット団の後ろにはいつものニャース型の気球が用意してあった。

そして勿論食料のサンドイッチの残りも纏めて袋に詰め込んでありロケット団の足元に置いてあった。

 

「お、ちょっとイイかもその気球」

 

「ってソラト! 言ってる場合じゃないだろ!」

 

「しかも食べ物まで盗んでるかも!」

 

「これは後で美味しく頂くのよ。ピカチュウと食料ゲットでイイカンジー!」

 

「勝手な事言うな! ピカチュウ、10万ボルトだ!」

 

「ピカ! チュウウウウウウ!」

 

初めて見たニャース気球を見てズレた感想を漏らすソラトにサトシが文句を言うと、ピカチュウはカプセルボールの中で10万ボルトを放つ。

だがピカチュウが放った電撃はカプセルボールの外には一切出ずに中で消滅してしまった。

 

「何!?」

 

「はっはーん! 今回も電撃対策は完璧なのだ!」

 

「ほらおミャーらも来るニャ!」

 

「プラァ!」

 

「マイマーイ!」

 

伸びるマジックアームをニャースが巧みに操作するとあっという間にライとデンを攫っていってしまった。

 

「しまった! ライ! デン!」

 

ピカチュウと同じく捕まったライとデンは纏めてカプセルボールに入れられてしまった。

 

「ハーイ、プラスルとマイナンもついでに頂きよー!」

 

「纏めてゲットでイイカンジだぜ!」

 

「こら! ピカチュウ達を放しなさい! アチャモ、つつく攻撃!」

 

「チャモー!」

 

電撃が効かないと分かり、ハルカはアチャモに攻撃させるが黙ってやられるロケット団ではなかった。

ロケット団はモンスターボールを用意するとそれを勢いよく投げた。

 

「行くのよアーボック!」

 

「マタドガス、お前もだ!」

 

「シャーボック!」

 

「マータドガース」

 

カントー地方からのロケット団の相棒達、アーボックとマタドガスだ。

 

「アーボック、ずつきよ!」

 

「シャボック!」

 

「チャー!」

 

アーボックの強力なずつきによりアチャモのつつく攻撃は弾き飛ばされてしまう。

体格によるパワーの違いだろう。カントーからサトシ達とバトルを行っているアーボック達はそれなりに鍛え上げられているのだ。

ゲットしたてのアチャモでは歯が立たないのだろう。

 

「負けないでアチャモ! ひのこよ!」

 

「チャ…チャモ…!」

 

「させるか! マタドガス、ヘドロ攻撃だ!」

 

「ドガー」

 

「チャモー!!」

 

「ああっ、アチャモ!?」

 

マタドガスの吐き出したヘドロをまともに受けてしまいアチャモはかなりのダメージを受けてしまう。

だがアチャモはどうにか立ち上がろうとするがダメージのせいか上手く動けない。

 

「ニャーッハッハ! ピカチュウとプラスルとマイナンは動けないし、アチャモも戦闘不能寸前だニャ!」

 

「今回は俺達の完全勝利のようだな!」

 

「幹部昇進! 支部長就任! イイカンジよ!」

 

「ソイツはどうかな。デン、じゅうでんだ!」

 

「マイ!」

 

カプセルボールに入れられたデンは体に電気を溜め、パワーを蓄える。

 

「ムダな努力だぜ」

 

「そうだニャ。このカプセルはどんな強力な電撃も撥ね返してしまうのニャ!」

 

「ライ、てだすけだ!」

 

「プラ!」

 

電気のチャージが終わりデンの体からパチパチと火花が発生しのを見計らい再びライのてだすけでデンをパワーアップさせる。

 

「よし、デン! でんげきは!」

 

「マイ! マーイー!!」

 

「ライも10万ボルトだ!」

 

「プラ! プーラー!!」

 

デンはカプセルボールの中で強力なでんげきはを放つ。それに合わせてライも10万ボルトを放ち電撃が合わさりカプセルボールがとてつもなく輝く。

その輝きに怯んでカプセルを持っていたムサシは思わず手放してしまう。

 

「うわっ! ちょっとこのカプセル持ってられないわよ!」

 

「なんて電撃だニャー!?」

 

とてつもない電撃を放ち続けたことにより電気の吸収量を超えたカプセルボールにヒビが入り、それがどんどん広がりカプセルは砕け散ってしまった。

 

「ニャニー!?」

 

「有り金全部はたいて作ったカプセルがー!?」

 

「よし! デン、でんこうせっか! ライはまねっこ!」

 

「マイ!」

 

「プラ!」

 

「シャボー!!」

 

「ドガー」

 

「「「うぎゃー!!」」」

 

閃光のように駆け出したライとデンはアーボックとマタドガスにでんこうせっかを決める。

まともにでんこうせっかを受けたアーボックとマタドガスは吹き飛ばされてロケット団にぶつかって倒れた。

そしてロケット団が倒れた事により、コジロウの持っていたピカチュウの入っていたカプセルが落ちてしまいサトシの下へ転がる。

 

「ピカチュウ! 良かったぜ!」

 

「ピッカ!」

 

「よし、いけるかピカチュウ?」

 

「ピィッカチュ!!」

 

「チャ…チャモ!」

 

「アチャモ! まだいけるのね!」

 

カプセルボールを開けてピカチュウを助け出したサトシはすぐに戦闘態勢を取る。

ハルカのアチャモもようやく立ち上がりその目にリベンジの炎を燃やしていた。

 

「サトシ、ハルカ! 援護するから決めちまえ!! ライ、デン、ピカチュウとアチャモにてだすけだ!」

 

「おう! ピカチュウ、10万ボルト!」

 

「分かったわ! アチャモ、ひのこ!」

 

「「「うわぁあああああああああ!?」」」

 

てだすけを受けてパワーアップしたピカチュウとアチャモの攻撃は真っ直ぐにロケット団に向かうと合体し、直撃した。

ボカン! と爆発するとロケット団は吹き飛んでいった。

 

「あーん! せっかく全財産使ってカプセル作ったのに!」

 

「あーあ…こんなんなら飯食うのに使うんだったな…」

 

「でもサンドイッチはゲットしたニャ!」

 

「「おぉー! イイカンジ! だけど…」」

 

「「「ヤなカンジー!!」」」

 

キラーン☆と、今日も今日とてロケット団は綺麗な星となって空の彼方へと消えていった。

が、一応サンドイッチの入った袋はニャースが持っていったようで微妙にイイカンジでもあったようだ。

 

「やったぜピカチュウ!」

 

「ピカチュ!」

 

「頑張ったわね、アチャモ!」

 

「チャモチャモチャー!」

 

「お疲れさん、ライデンコンビ」

 

「プラプラ!」

 

「マイマイ!」

 

と、バトルが終わり緊張が解けたせいかグゥ~とサトシの腹の虫が鳴り空腹を訴える。

 

「ア、アハハハ…バトルで熱くなったらお腹減っちゃったぜ」

 

「もー、食いしん坊なんだから。でもさっきロケット団がサンドイッチ持って行っちゃったかも」

 

「えぇ!? そ、そんな…」

 

「ピィカ…」

 

「ははは、もうすぐトウカシティだ。それまで頑張れサトシ。腹はこれで繋いでおけ」

 

「お! もうすぐトウカシティか! よしピカチュウ、必ず1つ目のバッジをゲットするぜ!」

 

「ピッピカチュウ!」

 

ソラトはサトシにオレンの実を手渡すと、もうすぐトウカシティと聞いてサトシはオレンの実を齧り気合を入れなおす。

 

こうしてタッグバトルを通じて新たな戦いを知ったサトシ。

さぁ、1つ目のジムがあるトウカシティはもう目の前だ!

 

 

 

to be continued...


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