†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。早速ですが、まずは下の通達事項をご覧ください。

【衝撃】†この作品が日間ランキング4位にまで登りつめる(9月28日時点)†
※日間ランキング(加点式)の方ではちゃっかり2位にまでなっている

 ……うん、まさかこのような事態になろうとは。日課の日間ランキングから面白そうな二次創作漁りをしていたら自分の作品が空気を読まずに名だたる名作陣に割り込んでいて驚きました。良いドッキリでしたね。何か、今週UAも7,700を超えるふぁもにか作品史上初の事態となっていますし、もうホントありがとうございます。女の子な雲雀さんの需要を改めて実感しました。



風紀7.†総大将を逃がして風紀を守ろう†

 

 ふっはっくらえ! ふっはっくらえ! ふっはっくらえ!

 ふっはっくらえ! ふっはっくらえ! ふっはっくらえ!

 

 ふぃー。疲れた、疲れた。よし、今日の鍛錬はこんな所かな。

 僕は仕込みトンファーを仕舞い、地面に置いていたペットボトルの水を頭上へ持ち上げる。

 そして、ペットボトルを傾け、バシャアと頭から水を被る。

 あぁ、気持ちいい。超気持ちいい。この瞬間がホントたまらない。

 

 さて。今、僕がいるのは並盛山の人気のない一角である。

 そう、ボンゴレ守護者たちが修行の際に御用達にしていたあの場所である。

 日課というほど頻繁ではないが、僕はここでトンファーをひたすら振るって鍛錬をしている。

 理由は簡単。今後リボーン世界に怒涛の勢いで訪れる物騒な展開の数々に対応するためだ。

 いざという時に、我が身や仲間をマモレナカッタ……とならないために、日頃の努力が大事なのである。特に、今の雲雀さんの中身たる僕はあくまで凡人、平民。本来の雲雀さんのような天才じゃないんだから、鍛錬を通じて心を鍛える必要があるわけだ。

 

 目標はトンファーの素振りを繰り返し、心を鍛えつつ通常攻撃を秘奥義級に仕上げること。

 感謝の正拳突き1万回とまで突っ走るつもりはないが、「ふっはっくらえ!」の連撃のラッシュで六道骸辺りを秒殺できればいいなと思っている。……無理かな?

 

 あ、何気に今の僕は男装をしていない。

 周囲に誰もいないんだから姿を偽る必要なんてないからね。

 ゆえに、今はありのままの恭華さんの姿なため、汗や水の滴る美少女状態となっている。

 おそらくこんな状態で町に繰り出せば、欲望に忠実な男たちがじゃんじゃん釣れちゃうのだろう。安定のさすひば案件である。ビバ、恭華さん。

 

 

 閑話休題。話は変わるが、並盛中ではそろそろ体育祭が開催される。

 並盛中には文化祭がないため、自然と体育祭に力が込められるというもので。

 まだ体育祭まで期間があるのに、生徒たちは応援旗を作ったり、優勝するために綿密に作戦会議を行ったりとハイなテンションで張り切ってくれている。

 並盛中を盛り上げてくれる生徒の存在は、並盛を愛する雲雀さん的には歓迎すべき存在だろう。きっと、雲雀さんも内心で「いいぞ、もっとやれ」とか思ってるはず。

 

 ちなみに、並盛中は各学年ごとにA~Cクラスまで、用意されている。

 そのため、体育祭では学年関係なく、縦割りでA、B、C組に分かれて優勝を競うのだ。

 中でも、並盛中の体育祭の目玉は棒倒し。男子のみが参加でき、5メートルほどの丸太状の木柱の頂上に各クラスの総大将が上り、その総大将を地面に落としたクラスが勝ちとなっている。

 棒倒しは体育祭のメインイベント。その総大将は男子にとって最も輝きうる役回り。

 ゆえに、各クラスは基本的に組を取りまとめる代表を総大将に選出する。

 尤も、A組の総大将は組の代表たる笹川了平が総代表を辞退。その後、彼の推薦でツナくんが半ば強制的に総大将になっちゃうんだけどね。うん、南無。

 

 その後の原作の大まかな流れとしては、体育祭の各競技がつつがなく進行する中。

 獄寺くんと笹川兄とのケンカに横槍を入れたC組の総大将こと相撲部主将の高田剛助が2人に殴られ気絶。B組の総大将こと空手部主将の押切連造がリボーンに襲撃され気絶。

 B組とC組の総大将が棒倒しに出られなくなったのはA組総大将のツナくんのせいという空気にリボーンが誘導した後に、A組対B&C組合同チームとで棒倒しが行われるのだ。

 その際、雲雀さんはリボーンへの好奇心からツナくんと戦うため、B&C組の総大将となるのだが……既にリボーンの情報を知っている僕がそれをすることはないだろう。

 

 とすると、僕はこの体育祭でどういう立ち回りをしたらいいのだろうか。

 校舎の屋上でお昼寝、はできないか。葉の落ちる音で起きちゃう雲雀さんだもの。

 となると、屋上から体育祭の観戦とか、応接室でのんびりするとか、その辺かな。

 

 ……んー、いや。本当にそれでいいのかな。

 今回の体育祭、原作通りに進めば、A組以外の生徒のツナくんへの心証は著しく悪化する。

 獄寺くんが睨みでも利かせていたのか、その後の学校生活でツナくんがいじめられたりはしなかったけど、でもツナくんが好きな僕としてはツナくんのイメージ悪化はなるべく避けたい。

 ツナくん、良い子だし。

 

 となると、僕がやるべきは……リボーンの策略の阻止。これに尽きる。

 リボーン的には棒倒しの前にB&C組の生徒のヘイトをツナくんに集中させた方が棒倒しが過酷になり、ツナくんを成長させる糧になると思っているかもだけど。この体育祭が原作通りに進まないと後々詰むとか、そんなことはまずないはずだし、ちょっと妨害させてもらうよ。

 

 ついでに、僕の鍛え上げた「ふっはっくらえ!」がどこまで通じるか、試させてもらおうか。

 ……あ、うん。もちろん、冗談だよ? あのリボーンに今の雲雀さんじゃまず勝てないしね。

 何はともあれ、体育祭当日が楽しみになってきた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 体育祭当日。生徒たちが各競技の結果に熱狂する中、リボーンは密かに動き始めた。

 リボーンは何かツナに面白そうな出来事が舞い込むと、敢えてトラブルを発生させるなどして、ツナを騒ぎの中心に巻き込むようにしている。

 リボーンなりに、ツナを肉体的かつ精神的に育てるとの家庭教師の使命を全うしているのだ。

 ゆえに。体育祭という絶好の機会をリボーンが活用しないわけがない。

 

 リボーンの考えは単純明快。ツナの所属するA組以外の全生徒からのヘイトが総じてツナに向けられるようにして、棒倒しでA組が勝利する展開の難易度を跳ね上げること。具体的にはB&C組の総大将をボコって、ツナに濡れ衣を着せる。そうすることで、B&C組は何が何でもツナを倒そうとするし、容易には掴み取れない勝利を前に、A組の総大将のツナを成長させられる。

 

 

(お、C組の総大将は自らツナたちに絡みに行くみてぇだな。なら、オレが手を出すまでもなくノックアウトになるだろうな。んじゃ、オレはB組の総大将を仕留めるか)

 

 現在、並盛中の校舎内をテクテク歩くリボーン。窓からC組の総大将たる高田の様子を確認すると、B組の総大将たる押切の入っている男子トイレへ向かう。

 が、男子トイレの前には学ランにリーゼント姿の風紀委員が2名、仁王立ちしていた。

 

 

(護衛か、真面目だな)

 

 そう。今年の体育祭では、なぜか『並盛中体育祭の看板たる棒倒しを正々堂々と執り行うため』との名目で、各クラスの総大将の護衛役を担う風紀委員がいるのだ。

 リボーンの脳裏に、つい最近出会ったばかりの風紀委員長の姿が浮かぶ。

 何を考えているかはわからない。けど、この程度の戦力ではオレの障害にはなり得ない。

 リボーンは髪を立てて、特注の並盛中の制服を着てと、ちゃちゃっと変装をする。

 そして、舎弟スタイルになったリボーンはトイレ前の風紀委員の元へ近づいた。

 

 

「おう? テメェ、見ねぇ顔だな。ここに何の用だ?」

「ちゃおッス! 先輩、俺トイレに行きたいッス!」

「ダメだ。今はB組総大将が使用中だ。別のトイレを使え」

「もう漏れそうッス! 行かせてほしいッス!」

「ごねようと無駄だ。さっさと帰れ」

「酷いッス! 意地悪言う先輩なんて知らないッス! ここは押し通るッス!」

「ガハッ!?」「ホゲッ!?」

 

 リボーンの迫真の演技に、しかし風紀委員2名は全く取り合わない。

 これ以上遊んでいても時間の無駄だ。リボーンはあくまで演技は続行しつつ、瞬時に風紀委員たちに蹴りを叩き込む。ちびっちゃい見た目からはかけ離れた威力の蹴りを的確にみぞおちに叩きこまれた風紀委員たちはまもなく倒れ、気絶した。

 

 

「よし、行くか」

 

 リボーンは一瞬の内に舎弟スタイルの変装を解除して、いつもの黒スーツ姿に戻る。

 早速男子トイレの中に踏み込むと、ちょうど洗った手をタオルで拭き終えたらしい押切がいた。

 

 

「ん? お前、誰だ? あのやたら付き纏ってくる風紀委員がトイレには誰も通さないって――」

 

 困惑顔の押切に構わず、リボーンは押切を蹴り飛ばそうとする。

 が、ここで。リボーンは帽子に乗せている形状記憶カメレオンのレオンを短めの刺又に変化させ、真上に持ち上げた。直後、ガキィンと派手に衝突音が巻き起こる。

 刺又の感覚から、リボーンは己に危害を加えようとした者の武器がトンファーだと察知した。

 

 

「へぇ。不意打ちが上手くいったと思ったけど、止めるんだ。やっぱり、君はただ者じゃないね」

「また会ったな、ヒバリ」

「そうだね。……秋田勝。押切連造を連れていけ」

 

 不意打ちを仕掛けた張本人たる雲雀にリボーンは平然と話しかける。

 一方。雲雀は彼が連れていた風紀委員の秋田勝に速やかに命令を下す。

 

 

「はい! 行きましょう、押切先輩!」

「お、おう?」

 

 秋田勝と未だ困惑の最中にいるB組総大将がその場から離れ、男子トイレにリボーンと雲雀のみが残る中。リボーンは興味本位で雲雀に問いをぶつけることにした。

 

 

「ヒバリ。どうして今年は総大将に護衛を付けているんだ?」

「おかしいかい?」

「あぁ。お前まで出張って、積極的に総大将を守ろうとしている所が特にな」

「……個人的な都合、とだけ言っておくよ。あと、君と仲良くしている連中が、C組総大将の高田剛助を気絶させてくれると思ってるようだけど、その目論見は叶わないよ。あっちには草壁哲矢を派遣して、総大将潰しを阻止するように言ってあるから」

「そうか」

「で、だ。まだ君がB組とC組の総大将を棒倒しの前に潰すつもりなら、僕が君を咬み殺す。見た目は赤ん坊なのに銃を扱ったり、僕の攻撃を受け止めたり……君には興味があるからね」

「オレはつえーぞ」

「だからこそだよ」

 

 雲雀はトンファーを構え、好戦的な笑みでリボーンを見つめる。

 その獰猛な肉食獣のごとき雲雀をリボーンは冷徹な眼差しで静かに見つめ返す。

 その後、何を思ったのか。リボーンはクルリと雲雀に背を向けた。

 

 

「……今回はやめとくぞ」

「戦わないのかい?」

「あぁ。オレは女を無意味に傷つける主義じゃねぇからな」

「え」

 

 ついさっきまで一触即発だったのに、リボーンは雲雀と戦わないことにした。

 その理由を雲雀が尋ねると、リボーンはニッと口角を上げて、盛大に爆弾を落とすのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「……え、性別バレてる?」

 

 リボーンがいなくなり、誰一人いない男子トイレに静寂が訪れる中。

 しばらく硬直していた雲雀は、真っ白に染まりきった頭で、ポツリと呟いた。

 雲雀はリボーンの恐ろしさを改めて認識した。

 

 

 余談だが、雲雀の行動の結果、棒倒しはA組対B組対C組で行われた。

 その際、勝利したのは、死ぬ気モードで暴れ回ったツナを総大将に据えるA組だった。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。当初、体育祭には不干渉のつもりだったが、ツナの心証が悪くならないような立ち回りをしようと決めた。まさかこんなにも早く男装がバレるとは思わなかったため、ただいま思考停止中。
リボーン→見た目は赤ん坊だが、実は凄腕の殺し屋。今はツナを立派なボンゴレ10代目に育てるために家庭教師を担っている。今回、棒倒しの総大将の押切を襲撃にかかったのは、本編で語られた目的の他に、押切の実力を見ておきたかったからというのもある。最初に雲雀と会った時は短い時間だったため男装を見抜けなかったが、今回はまじまじと雲雀を見つめる時間があったため、たやすく真の性別を見破った。
押切連造→3-Bの空手部主将。棒倒しのB組総大将。C組総大将とは違って、見るからにひ弱そうなA組総大将のツナに絡みに行かない辺り、割といい人なのかもしれない。
秋田勝→2話で登場したオリキャラ。風紀委員。雲雀を恐怖せずに崇拝しており、きちんとリーゼントも作っている。今回は、草壁がいない代わりに近くにいるように雲雀に命令されていた。
モブ風紀委員A&B→B組総大将を護衛していた人たち。リボーンの肉壁にはなった。

 というわけで、7話は終了です。変装の百戦錬磨とも言えるリボーンが雲雀さんの男装を見破れないわけがなかった、といった話でしたね。さすがッス! ビビったッス!

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