†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。約4か月も執筆していなかった反動か、スラスラと書き進められたので今日も投稿しちゃいました。はてさて。今回から大空戦が始まります。原作やアニメのこの辺の盛り上がりって凄かったですよね。今でも時折、TSUTAYAで借りてテレビの大画面で鑑賞したくなっちゃいますし。果たして私はそのような雰囲気をこの小説にて醸成できるのでしょうか。



風紀27.†猛毒に抗って風紀を守ろう†

 

 

 僕が無傷のまま一方的にモスカをフルボッコだドン!の刑に処したり、壊れたモスカから瀕死のボンゴレ9代目が吐き出されたりと濃厚な展開続きだった雲の守護者戦の翌夜。

 僕は雲の守護者戦の舞台だった並盛中の運動場に足を運んでいる。

 チェルベッロ機関の指示で、大空のリング戦を開催するに当たり、生きている全守護者に各々が戦ったフィールドへの移動を要請されたからだ。今は重傷で動けないルッスーリアや気絶中のランボがチェルベッロ機関の手により運ばれている頃合いだろう。しっかし、あの体格の良いルッスーリアをベッドごと運ぶとか、意外とチェルベッロたちってば筋力あるっぽい?

 

 まぁ、それはともかく。

 大空戦は嵐、雨、晴、雲、雷、霧、大空のボンゴレリングを全て手に入れることが勝利条件だ。そのため、今までのリング争奪戦で勝者が手に入れた各リングは一旦チェルベッロ機関に返還され、各守護者戦の舞台に設置された、10メートルほどの高さのポールの上に置かれている。なお、大空のリングはハーフボンゴレリングの状態でツナくんとザンザスが所持している。

 

 大空戦は全部のリングの回収が勝利条件。そして大空戦の舞台は並盛中全体。

 そして、広大なフィールドでツナくんとザンザスの戦闘の行方を見守れるよう、各所に大型ディスプレイが設けられ、さらに守護者にはカメラ搭載型モニター付きリストバンドが配布され、手首への装着を義務づけられる。このことから大空戦では守護者もまたリング争奪のために東奔西走するものと考えるのが一般的な推測だろう。

 

 しかし、リストバンドの存在が守護者に自由な行動を許さない。なぜなら、リストバンドにはデスヒーターという、野生の象すら歩行不能にすることに定評のある猛毒が搭載されており、大空戦開始直前に守護者全員に注入されるからだ。そして当然、リストバンドを外せば失格である。

 

 デスヒーターは30分で守護者を絶命に至らしめる。避けるには、守護者の装着したリストバンドの凹みに守護者と同種類のリングを差し込み、デスヒーターの解毒薬を投与させないといけない。つまり、ツナくんとザンザスは守護者全員の命を背負って死闘に臨まなければならないのだ。

 

 だが。僕が毒で動けず、助けを待つことは許されない。

 全身を貫く燃えるような激痛の中で。それでも自力でポールのリングを回収し、解毒しないといけない。それができなければ、ツナくんの守護者全滅エンドが手招きするのみだ。

 

 だからこそ、この日のために僕は毎日ポイズンクッキングを食べてきた。

 雲雀さんが女体化した影響で。万が一にもデスヒーターに抗えないなんて可能性をゼロにするため、1年半も前から猛毒に体を慣らしてきた。その服毒習慣の成果が今、試されるわけだ。

 

 

「ッ!」

 

 と、ここで。リストバンドがデスヒーター投入のために僕の手首にグサリと針を刺す。

 直後。僕の全身に激しい痺れと脱力感がほとばしり、その場にうつ伏せに倒れた。

 

 な、何これ!? 痛い、痛い痛い熱い痛い痛い熱い痛い痛い!

 意識は結構はっきりしているから考えることはできる。でも、体中が熱すぎて集中力が保てない! え、原作の雲雀さん、こんな状況で平然と動いたの? 束縛が嫌だから? 規格外かよ。

 

 

「ぅ、く……」

 

 って、余計な事を考える場合じゃない。とにかく動かないと。早くポールをトンファーで倒して雲のリングを手に入れないと、ヤバい。今の時点でメチャクチャ痛いのに、時間経過でドンドンデスヒーターの効果が強まるとか洒落にならないって! 絶対動けなくなるって!

 

 

「ぁう?」

 

 僕は地面についた両手を支えに、両足にありったけの力を注いで立ち上がろうとする。

 しかし、どうにか四つん這いの体勢になった所で力が抜け、再び僕は地に倒れ伏した。

 

 ……え、ちょっと。何これ。何この状況。え、え? 待って? なんで動けないの? まさか原作よりデスヒーターの効果強かったりする? 野生の象すら歩行不能にする(笑)から野生の象すら歩行不能にする(真顔)へとデスヒーターの効果がクラスチェンジしてたりする? それとも女の子な雲雀さんの体力が、原作雲雀さんより劣る影響でデスヒーターに抵抗できなかったりする? あれだけ毎日欠かさずポイズンクッキングを食べてきたのに? とにかく、マズい。本気でマズい。早くしないと手遅れに――。

 

 

「ふははは! これが大空だ!」

 

 直後。僕のリストバンドに映る、憤怒の炎の推進力で飛行中のザンザスが哄笑とともに、二丁拳銃に憤怒の炎を込めて雷と嵐のリングの置かれたポールの根元を狙撃する。結果、レヴィアたんとベルフェゴールの手元に各リングが転がっていく。もう時間がない。解毒を終えた2人がツナくんの守護者を殺し回り始める前に、僕も急いで解毒をしないと――。

 

 

「ついでだ。この俺に舐めた口を利きやがったカスに絶望をくれてやる」

 

 瞬間。ザンザスが再び地上に憤怒の炎を発射する。一直線に突き進む憤怒の炎は僕の真上のポールに直撃。結果、ポールの頂上に置かれた雲のリングが宙へ飛び、放物線を描きながら運動場のどこかへと落ちていった。

 

 

「……ぇ?」

 

 僕は思わず呆然とする。体を蝕むデスヒーターの痛みも忘れて、硬直する。

 きっと今、第三者視点の僕の顔はFXで有り金全部溶かした人の顔みたくなっているのだろう。

 

 え、ぇぇぇぇええええええええええええええええええええ!?(゚Д゚)

 ちょっ、ザンザスが雲のリングをどっかに吹っ飛ばしたんですけど!?

 ウソでしょ!? ヤバいってこれ! 何やらかしてくれてるのさ!?

 もしかして、昨日の一件でザンザスのヘイトを集めすぎた!?

 いくらなんでも沸点低くない!? というか、リングどこ行った!?

 

 うぅ、デスヒーターのせいで視界が霞んでリングの飛んでいった先がわからない。

 これじゃあデスヒーター解除をできないじゃないか。ぇう、痛い。苦しぃ。

 こんな痛みがずっと続くとか、耐えられるわけないって。

 

 

「……」

 

 雲のリングの行方がわからない以上、すぐにはデスヒーターを解除できない。

 絶えず全身に激痛を提供するデスヒーターから己を解放することができない。

 その事実に、僕は打ちひしがれる。僕の心が絶望の闇に浸食されていく。

 が、この時。突如、僕の心の闇が光に払われた。ふと、思い出したからだ。昨夜のツナくんを。決意を固めたツナくんのカリスマフェイスを。

 

 ――そうだ、そうだよ。諦めたらダメだ。大学生の僕より年下で、戦闘向きの性格からかけ離れたツナくんが今、僕たちを助けるために頑張ってザンザスと立ち向かってるんだ。年上の僕が諦めてどうする! デスヒーターなんて知ったことか! 例えデスヒーターを解除できなくとも、いつものように動いて見せるんだ! 雲雀さんのスペックならできるはず!

 

 

 うぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるってやれる気持ちの問題だ頑張れ頑張れそこだそこで諦めるな絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張る頑張る北京だって頑張ってるんだから!

 

 動け、動け動け動けぇぇええええええええ! マイボディィイイイイイ!!

 はんはんふぅぅうううううううううううううううううううううう!

 るううううぅぅんたらったらぁぁああああああああああああああ!

 

 

 ◇◇◇

 

 

「ししし、助かったぁ~」

 

 己のボスことザンザスの助力により、嵐のリングを獲得したベルフェゴールは安堵とともにリストバンドの凹みにリングを差し込み、デスヒーターを解除する。

 

 

「さーてと。爆弾少年には毒でもがき苦しんで死んでもらうとして――」

 

 デスヒーターの辛さをその身で体験したベルフェゴールは敢えて獄寺を毒状態のまま放置する方針を固め、他の守護者を殺すために校舎の3階から離れようとする。が、その時。ベルフェゴールの右手にバチッと鋭い衝撃が走り、ベルフェゴールは思わず嵐のリングを手放した。

 

 

「な、誰だ!?」

 

 先ほどザンザスの憤怒の炎が直撃した影響で周囲に煙が立ち込める中。ベルフェゴールは攻撃の飛んできた方向に高圧的に問いかける。すると、煙が晴れるとともに姿を現したのは、雲雀恭弥。足元がおぼつかなく、呼気の荒い、沢田綱吉の雲の守護者。その手には黒いムチが握られている。

 

 

「げッ、お前はモスカに圧勝したあの――ん? その様子、毒を解除してないっぽい? はぁぁ、何だ雑魚じゃん! なんで動けるのか知らねぇけど、警戒して損したぜ!」

 

 ベルフェゴールは雲雀の登場に一瞬顔を青ざめるも、今にも倒れそうな弱々しい雲雀の様子から雲雀が毒を解除できていないと確信し、即座にトドメのナイフを放つ。

 しかし、ナイフが雲雀の頭に深々と突き刺さることはなかった。宙を駆けるナイフが突如発生した爆発によってあらぬ方向へ吹き飛ばされたからだ。

 

 

「君の相手は僕じゃない。校則違反のダイナマイトを愛用する不良がお待ちかねだよ?」

「へッ、助かったぜ雲雀。この借りは必ず返す」

「いらないよ」

 

 爆風が収まるとともに雲雀の前に獄寺が現れる。そう、雲雀は床に倒れる獄寺の手に嵐のリングが収まるように調整してムチを放ち、ベルフェゴールの手から嵐のリングを弾いたのだ。結果、獄寺は嵐のリングでデスヒーターを解除し、雲雀に迫るナイフをダイナマイトの爆発でぶっ飛ばすことができた。

 

 

「僕と群れる暇があるならさっさと嵐の守護者戦のリベンジを果たしなよ、ほら」

「リベンジじゃねぇ! 俺はあの野郎に勝ったけど、リングは取られただけだ!」

「はぁ? 聞き捨てならねぇんだけど、その言葉」

 

 己に絡んでくる獄寺の注意をベルフェゴールに向けようと、雲雀は雑に誘導する。すると、獄寺は雲雀のリベンジ発言の訂正を求め、その獄寺の物言いにベルフェゴールが不快感を示す。

 

 

「じゃあ、僕は行くよ」

「待て、雲雀! 解毒ができてねぇのに、一体どこへ――」

「屋上にいる、活きの良さそうな草食動物の元へ」

「……無茶しすぎんなよ。テメェが死んだら10代目が悲しむ」

「僕は草食動物に下剋上されるような、柔な人間じゃない」

「そーかよ」

 

 ベルフェゴールの相手を獄寺に任せてさっさとその場を去ろうとする雲雀を獄寺が慌てて問いを投げかけるも、雲雀は足を止めない。『何者にも捕われることなく独自の立場からファミリーを守る孤高の浮き雲』たる雲雀に何を言っても止められない。そう悟った獄寺は簡潔に己の心情を伝え、後はベルフェゴールの相手に集中することにした。雲雀を放っておけないのなら、さっさとベルフェゴールを倒して雲雀の元へ駆けつければいいだけなのだから。

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……」

 

 雲雀は側壁に手を添えつつ屋上への階段を上る。デスヒーターでガリガリと体力が削られる中、隙あらば崩れ落ちようとする体を気合いでねじ伏せ、一歩一歩着実に階段を上り行く。ここで倒れたら、もう二度と立ち上がれない。そのため、雲雀は強靭な意思を連れて階段を突き進む。

 

 

 屋上は、すぐそこだ。

 

 

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。デスヒーターを解除しないまま割と動き回れる辺り、実は原作雲雀さんよりここの女体化雲雀さんの方が体力が上回っている説。
獄寺隼人→スモーキン・ボムとか人間爆撃機とかいった異名を持つマフィア関係者、かつボンゴレ嵐の守護者。毒に苦しみながらもそれでも自分を助け、さらに他の守護者を助けようとしている雲雀の姿を見て、雲雀への好感度がグイグイ上昇している最中だったりする。
ベルフェゴール→ヴァリアーの嵐の守護者。自称王子な目隠し金髪天才属性持ち。武器はナイフとワイヤー。メチャクチャ弱ってる雲雀さんに不意を突かれてムチ攻撃をされたけど、それでも天才である。異論は認めない。
ザンザス→独立暗殺部隊ヴァリアーの頂点に君臨する、ヴァリアー編のラスボス。雲雀へのヘイトが溜まりに溜まっていたので雲雀のデスヒーター解除の妨害に走った。大人げない気がががが。

 というわけで、27話は終了です。本当は随所に観戦席から大空戦を見ているリボーンたちの解説台詞を挿入したかったけど、描写が難しくて今回は断念しました。そして、次回は衰弱した雲雀さんVS元気いっぱいなレヴィアたん回です。せっかくレヴィ・ア・タンをレヴィアたんへと女体化させたことですし、少しは彼女に出番を与えたかったのです。

 閑話休題。デスヒーターに毒されている今の雲雀さんのこと、どう思います? ふらふらな足取り、荒い吐息、赤らんだ頬――正直言って、最高じゃないかと(自主規制)

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