†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。お久しぶりです。いくら就活中とはいえ、約4か月も連載ストップするとか許されませんよね! ましてや休載中に人狼動画を作ったりテイルズオブファンタジアの低レベルクリア縛りを録画したりと、小説執筆の時間があったのに放置しまくってたとかマジ断罪案件ですよね、うむ! ……ごめんなさい。これからは遅くとも半月に1話ペースで投稿したい所存なので、改めてよろしくお願いします。

P.S.しばらく連載から離れていた影響で雲雀さんに憑依した凡人さんの心中文の書き方を忘れちゃっているため、違和感があるかもなのです。



風紀26.†強者の論理で風紀を守ろう†

 

 

「……え。こ、この人、9代目!?」

 

 雲の守護者戦にて。雲雀恭弥が倒したモスカが吐き出した、息も絶え絶えの老人。

 その正体を沢田綱吉が口にした瞬間、場の空気が凍った。

 

 

「9代目は、ゴーラ・モスカの動力源にされてたみてーだな」

 

 対決を観戦していたリボーンが9代目に駆け寄り、どこからか取り出した救急箱で9代目の応急処置に入る。応急処置ではどうにもならない深手だとわかっていても、リボーンは9代目を手当する手を止めない。その中で、リボーンは以前、見た記憶のあるモスカの構造を手掛かりに、己の推察を口にする。

 

 

「そんな、どうして……!?」

「どうしてじゃねぇだろ! テメェの守護者が9代目を手にかけたんだぞ!」

 

 ツナは蒼白の表情で、フラフラとした足取りで9代目の元へ歩み寄る。と、その時。ザンザスの怒声が轟いた。ザンザスはツナに罪を押しつけ、精神を折りにかかる。

 

 

「じじぃを容赦なくぶん殴ったのは誰だぁ? もう勝負は決まっていたのに、守護者を止めずに、じじぃに過剰に暴力を振るう守護者を静観していたのはどこの誰だぁ!?」

「あ、ぁ……」

 

 瀕死の9代目に釘づけなツナに、ザンザスは次々と罵声を浴びせかける。

 ザンザスに言われるがままに、己を責め始め。呼吸が荒くなるツナ。が、そんな精神的な余裕を失い、周りが見えなくなり始めたツナを引き戻したのは、当の9代目だった。

 

 

「悪いのは、私だ……」

 

 9代目は語る。己の弱さが、ザンザスを8年の眠りから蘇らせてしまったと。

 そして。ツナの眉間に仄かな死ぬ気の炎を宿した指を当てながら、ツナがマフィア向きの性格でないからこそ、ツナを10代目として選んだのは間違いでなかったと告げる。

 

 

「待って! そんな、待ってください! 9代目! 9代目!」

 

 ツナは思い出す。眼前の9代目が、自身の幼少期に遊び相手になってくれたあの優しいお爺さんだと気づく。ツナは目からボロボロと流れ落ちる涙を気にも留めずに、意識を闇へと葬り去った9代目の手を取って、叫ぶ。必死に9代目に呼びかける。

 

 

「よくも9代目を! 9代目へのこの卑劣な仕打ちは実子であるザンザスへの、そして崇高なるボンゴレの精神に対する挑戦と受け取った!」

「なッ!?」

 

 が、ここで。ザンザスが玉座から立ち上がり、声高に口上を並べる。ザンザスの想定の埒外極まりない主張にツナが絶句する中、ザンザスは荒々しい宣言を続ける。

 

 

「しらばっくれんな! ボス殺しの前には――」

「――リング争奪戦の勝敗など無意味。俺はボスである我が父のため、そしてボンゴレの未来のために、貴様と守護者を殺し、仇を討つ。……とでも、言いたげだね?」

「「「ッ!?」」」

 

 が、ザンザスの宣言は途中で遮られた。ザンザスの言葉を先読みして、つらつらと話す人物がいたからだ。その場の誰もが弾かれたかのようにバッと視線を向ける。その先には、雲雀恭弥。

 

 

「御託は聞き飽きたよ。結局君は、リング争奪戦に勝とうが負けようが、沢田綱吉たちを皆殺しにできるように大義名分を用意していたわけだ。……リング争奪戦に敗北した時のことを想定して舞台を整えるなんて、君は思ったより身の程をわきまえた草食動物みたいだね」

「……じじぃを殺した張本人が何スカしてやがる?」

 

 雲雀はつまらなそうにあくびをしつつ、ツナとザンザスの間に割って入るように移動する。ザンザスが邪魔をするなと視線で雲雀の行動を封じようとするも、肝心の雲雀の表情は涼しげだ。

 

 

「君は僕を、そして僕を守護者とする沢田綱吉がさもボス殺しの極悪人のように語るけど、それならその老人を拘束して、ガラクタに放り込み、僕と戦わせた君は一体何なんだろうね?」

「あ?」

「知らなかったと白を切るかい? まぁいいけどね。それなら君はそのガラクタの仕組みや中の搭乗者についての情報を知らないままに戦わせた、ただの無能な実子になるだけだ」

「……」

「でも、親が僕に咬み殺されたというのに動揺しないで長々と口上を垂れる辺り、君は確実に知っていたはずだね。準備を整えておきながら、まるで悲劇の主人公かのような口ぶり、面構え、厚顔無恥さ。もはや呆れを越えて敬意を表するレベルだね。正直、気持ち悪い」

「テメェ……!」

 

 雲雀は平然とザンザスを挑発する。雲雀の口撃にザンザスの敵意の対象がツナから雲雀へと完全に切り替わる。雲雀とザンザスは互いに睨み合い、火花を散らす。

 

 

「この世は肉食動物が頂点に立つようにできている。力こそが正義で、勝った者が正義だ。いくら君が今回の雲の守護者戦を利用して罠を仕掛け、自身こそがボンゴレの正当後継者とする展開を構築できた所で、ここで君が僕に咬み殺されれば、それはただの弱者の主張に終わる。草食動物の正義は通らないし、認められない。それがこの世界のルールだ」

「は? テメェが、俺を咬み殺す? ぶっははは! 面白れぇジョークだな!」

「試してみるかい? 僕は今、君のような醜い弱者を土に還したい気分なんだ。君みたいな愚者でも、土の養分にぐらいは活用できるしね」

「テメェは最後にかっ消すつもりだったが、気が変わった。まずはテメェから――」

 

 雲雀とザンザスの間の火花は激しさを増し、一触即発の様相を呈していた。

 そして。ザンザスが今まさに雲雀へ攻撃を仕掛けようとした時。雲雀とザンザスの戦闘意欲に水を差すように、第三者から声がかかった。

 

 

「待ってください、雲雀さん。ザンザスの相手は、俺に譲ってくれませんか?」

「……沢田綱吉?」

 

 ツナはおもむろに立ち上がり、雲雀の返事を待たずに雲雀の前に出る。ツナは以前は怖くてたまらなかったザンザスの眼光を直視して、一言。静かに己の意思を表出させた。

 

 

「――ザンザス、大空のリングは返してもらう。お前に、お前のような奴に、9代目の跡は継がせない」

 

 ツナの揺るぎない意思。これをきっかけに雲の守護者戦の現場に居合わせていた獄寺、山本、了平、クロームがツナに同調し、ヴァリアーとの総力戦への戦意をたぎらせる。対するザンザス、ベルフェゴール、レヴィアたんも殺意を昂らせる。しかし、ここでチェルベッロ機関が制止に入り、結局は明晩に開催する大空のリング戦の勝利者を次期ボンゴレボスと位置づける形に終息した。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 ふぃぃ。何とか原作通りの形に収まったか。命拾いしたよ。

 ザンザスが一方的にツナくんの精神をボッコボコにする展開を静観してられなくてつい口を挟んでしまったけど、あのまま激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームなザンザスとの戦闘に突入しちゃったらアウトだった。まず間違いなく僕含めて皆殺しだった。

 何せ、ツナくんは修行で疲れ果ててるし、ザンザスが本気で僕を倒そうと思ったら、憤怒の炎で空中を陣取り、銃で地上の僕を延々と狙撃すればいいだけだしね。危ない危ない。

 

 

「あの、雲雀さん」

「なに?」

 

 僕が内心でホッと胸を撫で下ろしていると、おずおずとツナくんが声をかけてくる。

 お。ツナくんが男装中の僕に怯えずに、しかも一人で近づいてくるなんて珍しい。何の用かな。

 

 

「さっきはありがとうございます。その、ザンザスから庇ってくれて。雲雀さんがザンザスに言い返してくれなかったら、きっと俺、立ち直れませんでした。だから――」

「――どうして僕が草食動物を守ったことになってるの?」

「え?」

「僕はただ、やたら得意げでムカつく奴を黙らせたかっただけだよ。その結果、君がどう影響されようと、僕の知ったことじゃない」

 

 僕に感謝の気持ちを伝えるツナくんに、僕は敢えてそっけなく対応する。ツナくんのお礼を律儀に全て聞き終えて、「どういたしまして」と返すなんて、雲雀さんのキャラじゃないもの。

 

 

「それでも、ありがとうございます」

 

 ツナくんは僕の態度を気にせずに、改めてお礼の言葉をきちんと告げる。

 うん、良い顔をしている。京子ちゃんやハルが見たらトゥンクしそうなカリスマフェイスだ。

 この様子なら、明日ザンザスの気迫に呑み込まれることなく、戦い抜いてくれそうだ。

 

 

「……そう」

 

 僕は安心する心とは裏腹に、ツナくんに大した返事をせずにいち早く並盛中を去る。

 僕の正念場が明日に控えている。今のツナくんが守護者全員を殺されてしまって絶望、なんて鬱展開にならないように、僕も頑張るよ。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。ザンザスを非難している間、ザンザス怖いと心奥で唱えまくっていたのはここだけの秘密。
沢田綱吉→原作の主人公。大空のハーフボンゴレリングを所持している。ザンザスの口撃で一時期精神状態が危うくなったが、9代目の残したメッセージや雲雀さんのおかげで無事立ち直れた。
リボーン→ツナを立派なボンゴレ10代目にするために、イタリアから派遣された凄腕の殺し屋。9代目を間接的に殺そうとしたザンザスへの戦意、殺意の感情をぶつけることを己の生徒たちに託して9代目の応急処置に没頭した。
ザンザス→独立暗殺部隊ヴァリアーの頂点に君臨する、ヴァリアー編のラスボス。己の策が上手くいったとノリノリでツナを糾弾していたら雲雀さんが横槍を入れてきたのでご立腹な模様。
9代目→己の生命エネルギーをモスカの動力源にされていたボンゴレのボス。武器は杖。マフィア関係者とは思えない、穏やかな顔立ちをしている。今回、心が折れそうだったツナのために、瀕死の淵にいながらも懸命にツナを励ました。


凡人憑依者の心境(あれ? ツナくんが直接モスカをボコったわけじゃないのに思ったよりザンザスの言葉責めでツナくんのメンタルにダメージ入ってる? これはちょっとザンザスのヘイトを僕に向けさせるべきかね?)

 というわけで、26話は終了です。次回から早速大空のリング戦に突入します。大空戦は一部、原作と同じ展開とはならないのである程度きちんと描写するつもりです。はてさて、ヴァリアー編クライマックスに雲雀さんは一体何をやらかすのでしょうね。

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