†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。最近は『うたわれるもの 二人の白皇』のプレイに没頭しています。だって、本当に面白いんですもの、このゲーム。まだ全クリしていませんが、個人的にはSteins;Gateに匹敵する面白さだと勝手に思い込んでいます。しかし、なぜ。なぜハーメルンにはうたわれるものの二次創作が少ないんでしょうかね。私、とても悲しいです。



風紀24.†心の守護者として風紀を守ろう†

 

 

 新しい朝が(否応なしに)来た! 希望の朝だ(自己暗示)!

 喜びに胸を開け(物理)! 大空仰げ!\(^o^)/

 

 とまぁ、冗談はさておき。ついに雲の守護者戦の日がやってきた。

 現状、リング争奪戦は3勝3敗。この雲の守護者戦で明暗が分かれるというわけだ。

 といっても、原作で雲雀さんはゴーラ・モスカをワンパン撃破してたからそこまで気負うことはないんだけどね。後は、女体化&凡人憑依のダブルパンチで肉体的にも精神的にも弱体化しているであろう恭華さんボディで同様のことができるかどうか。

 ま、ここはディーノ先生による修行の成果を信じるのみだ。

 

 

「よ、恭弥。調子はどうだ?」

「試してみるかい、跳ね馬?」

「いやいや! 待て、恭弥! 嬉々としてトンファーを構えるな! 戦わないって! 今戦って恭弥を消耗させるわけにはいかないんだよ! はやる気持ちは夜まで取っとけ、な?」

「……仕方ないね」

 

 自宅で目覚め。男装を始めとした色々な支度を終えた所でインターホンが鳴る。

 外に出ると、ディーノさんが気さくに声をかけてくる。相変わらず、爽やかやね。

 体の調子を問われたので、ひとまず雲雀恭弥ロールに走ってみると、慌てて僕の暴走を抑えようとする。ホント、ディーノさんってば苦労人だよね。

 

 

「ふぅ。落ち着いてくれて良かったぜ。じゃ、俺はもう行くぜ。えと、クローム髑髏だっけ? あの子の様子も見とかないとだからな」

 

 本当に僕のコンディションを見て確かめるためだけに僕の家に立ち寄ったらしいディーノさんが慌ただしく家を後にする。ちょうど、僕も1人で頭を働かせておきたい所だったので、この機会に改めて考えを整理してみようか。

 

 本日の雲の守護者戦。僕の相手となるゴーラ・モスカは、ボンゴレが秘密裏に研究室で作り上げた対人戦闘用の兵器だ。巨体には様々な兵装がこれでもかと積まれており、足部のスラスターで素早く動きながら物量に任せて銃撃や爆撃をばら撒くモスカは強敵と言えるだろう。

 

 だが、このモスカの一番重要な所は、動力源が炎の生命エネルギーだということだ。

 つまり、ゴーラ・モスカは中に入った一部の特殊な人間の命を喰って動くわけだ。

 そして今、モスカの中にボンゴレ9代目が囚われている。9代目が動力源にされている。

 

 要するに。現在、イタリアのボンゴレアジトにいるのは9代目の偽物で。ツナくんを10代目にするべくリボーンを派遣したはずの9代目が、10代目にふさわしいとしてザンザスにハーフボンゴレリングを渡したのは、既に本物の9代目がザンザスの手に堕ちているからだ。

 

 モスカの中に9代目が囚われている。

 これは雲の守護者戦でヴァリアー側は勝とうが負けようが一向に構わないことを示している。

 モスカが僕に勝てば、ヴァリアーは4勝3敗。

 普通にリング争奪戦に勝利し、ザンザスはボンゴレ10代目を継承できる。

 一方で、モスカが僕に負けても、僕がモスカをボコボコにすれば、モスカの中の9代目はタダでは済まない。正直、死んだって不思議ではない。

 そうなれば、ツナくん側は9代目殺しの事実を背負わされる。9代目の養子であるザンザスに仇打ちという名のツナくん一派の皆殺しの大義名分が生まれてしまう。結果、仇討ちを果たしたザンザスは10代目を継承することへのマフィアの圧倒的支持を取りつけることとなる。

 仮に僕がモスカを大して傷つけずに雲のハーフボンゴレリングをかすめ取って勝利したとしても、その時は敢えてモスカを暴走させれば問題ない。

 その際、ツナくんが暴走するモスカを破壊してくれれば最高の流れとなる。

 今夜の雲の守護者戦がどう転ぼうと、ザンザスは心の中でコロンビアAAをできるわけだ。

 

 ちなみに。原作では、暴走するモスカを超死ぬ気モードのツナくんが破壊した。

 結果、死ぬ寸前となった9代目がモスカから吐き出され、ザンザスがツナくん一派の殺戮の大義名分を得た所で、チェルベッロの介入により大空戦が開催されることとなった。

 今までのリング争奪戦の勝敗は関係なしに、大空戦で勝利した方がボンゴレ10代目を継承するにふさわしいと判断する形にチェルベッロが調整したのだ。

 

 ツナくんは優しい子だ。9代目を殺しかけた一件は、ツナくんの心を酷く傷つけたことだろう。

 ツナくんが立ち直れたのは、打倒ザンザス精神へと気持ちを切り替えられたのは、9代目が死の淵にありながらもツナくんを健気に励ましてくれたからだ。

 原作では息絶え絶えの状態からどうにか生還した9代目だが、スクアーロ以上に死亡してもおかしくなかったはずだ。高齢の身でかなり衰弱していた上に深いダメージを刻まれたわけだし。

 ……もしも9代目が即死していたら、ツナくんの心は折れていたかもしれない。

 

 だからこそ、原作の代わりに――僕がモスカを粉々に咬み殺す。ツナくんが抱えるはずだった心の負担を、僕が肩代わりする。ツナくんが9代目を殺す。これはザンザスの思い通りになるという意味でも、今のツナくんに殺人を経験させたくないという意味でも、防がないといけない。

 

 代わりに僕が9代目殺しを果たす可能性があるが、そもそも雲雀さんって殺人経験あると思うから平気平気。じゃないと、殺人のもみ消しを風紀委員が担当してないでしょ。

 後は、僕自身のことだけど、当然ながら殺人経験なんてものはない。

 でも、9代目の殺害なんてトラウマ不可避なことを中学2年生のツナくんにさせたくない。

 僕は大学生で。ツナくんより大人なんだから。普段は雲雀恭弥の演技でツナくんたちに非協力的な分、こんな時ぐらいはツナくんの守護者としての責務を全うしないとね。

 

 よし。考えは纏まった。後は今夜に向けて英気を養うだけだ。

 いくぞ、モスカ。兵装の貯蔵は十分か。生命エネルギーの蓄えはどうだ。

 僕はモスカの中に9代目が入ってようと君が止まるまで容赦なく攻撃するから覚悟するように。

 あ、でも9代目は気合いで生き永らえてね。9代目が死なずに済むのが一番なので。

 ……伊東ラ○フ式の応援でもしようかな。がんばれ♥ がんばれ♥

 

 

 ◇◇◇

 

 

 午後10時50分。並盛中の運動場にて。

 獄寺、山本、笹川の3名が集っていた。クローム髑髏、城島犬、柿本千種とは別の場所で集結した3名。その目的は当然、雲雀を応援するため。ツナが修行のため、雲の守護者戦を観戦できないこともあり、特に獄寺は今日の応援に気合いを入れていた。

 

 

「お、今日の主役の登場だぜ」

 

 ここで。雲雀が運動場に姿を現したことに山本が気づく。

 闇に溶ける学ランを纏い、威風堂々に歩む様子は何とも頼り甲斐があった。

 

 

「よ、雲雀。元気そうだな」

「君たち。なに群れてるの?」

「雲雀。テメェの応援に来たんだよ」

「応援? へぇ、君たちが僕の肩慣らし(サンドバッグ)に付き合ってくれるってこと?」

 

 山本がニコニコ笑顔で話しかけると、雲雀が不思議そうに問いかける。

 獄寺が端的に返事をすると、雲雀は獰猛な肉食獣のごとき好戦的な笑みを浮かべた。

 

 

「ちげぇよ! なんでそんな解釈になんだよ!?」

「違うんだ。なら、目障りだ。消えないと咬み殺すよ」

「なッ!? 雲雀! 仲間に向かって、極限に何だその物言いは!」

「まぁまぁ落ち着こうぜ。雲雀、俺たちのことは気にしなくていいのな」

「……ふぅん」

 

 瞬時にトンファーを構える雲雀に獄寺が慌てて言葉を紡ぐと、雲雀はどこか残念そうにため息を吐き、己の視界から外れるように脅しにかかる。あまりに傲慢な発言に了平が激昂しそうになるも、山本が宥めてフォローに走る。結果、雲雀は山本たちへの興味をなくし、雲の守護者戦の戦闘エリアへと足を踏み入れた。

 

 チェルベッロ曰く、此度の戦闘エリアの名は『クラウド・グラウンド』。円状のエリアの境界を取り囲む有刺鉄線。30メートル以内の動く物体に射撃する8門の自動砲台(ガトリングガン)。地中に埋められた、警報音の直後爆発する無数の重量感知式の地雷。結果、クラウド・グラウンドは常人であれば数秒で命が消し飛ぶ戦場の様相へと成り果てている。

 

 

「それでは始めます。雲のリング。ゴーラ・モスカVS.雲雀恭弥。勝負開始」

 

 チェルベッロの勝負開始宣言の直後。モスカは足部のスラスターを起動し、瞬く間に雲雀との距離を詰めようとする。そして。モスカが雲雀目がけて指先から弾丸を放たんとする中。

 

 

「――さぁ。狩りを楽しもうか」

 

 雲雀は目を爛々と輝かせ。愉快そうに呟いた。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。ツナくんの代わりにモスカを全力で叩き潰す所存な模様。これが雲雀さんの譲れない所である。
獄寺隼人→スモーキン・ボムとか人間爆撃機とかいった異名を持つマフィア関係者、かつボンゴレ嵐の守護者。原作より、雲雀に対する当たりが厳しくない気がしないでもない。
山本武→並盛中の2-Aに所属する人気者なクラスメイト、かつボンゴレ雨の守護者。内心、雲雀がどんな戦いを見せてくれるのか凄く楽しみにしている。あまり心配はしていない。
笹川了平→『極限』が口癖の熱血漢、かつボンゴレ晴の守護者。並盛中のボクシング部主将の3年生。風紀20でも雲雀に似たようなことを言って、プンスカしていた。
ディーノ→ボンゴレファミリーの同盟ファミリーの1つ、キャバッローネファミリーの10代目ボス。結局、修行中に恭華の性別には終ぞ気づかなかった。
チェルベッロ→原作でも結局設定が明かされなかった謎の9代目直属(自称)の機関。色黒でピンクの髪の女性が何名も所属している。脳内メーカーでは『欲』の周りを『友』が取り囲んでいて、『チェルベッロ、友達欲しいんだ』とほっこりした今日この頃。

 というわけで、24話は終了です。今回はまだ溜め回です。次回、爆発します。さすがに次回で過去編を挟むなどの形で見せ場を引き延ばしたりはしません。で、その肝心の次回は、うん。1月中に投稿できたらいいですねぇ。

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