†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。この作品を書いていて何が楽しいって、主人公たる憑依者の考えを前半部分で垂れ流しにしている関係で、普通に顔文字とか、作品と関係なさげなネタを容赦なく放り込めるのが素敵です。自由度が高くてよきかなよきかな。



風紀20.†混乱中の思考でも風紀を守ろう†

 

 

 やぁ、僕だよ。女体化した雲雀さんに憑依中の僕だよ。

 現在時刻は夜の10時45分。僕は今、ディーノさんとの修行を切り上げ、単騎で並盛中の校舎脇に足を運んでいる。目の前には本格的に組み上げられた特設リング。『日輪のコロシアム』と称されるこの戦闘エリアは、まるで地下格闘場のようだ。

 

 

「う゛お゛ぉい! テメェ、昨日は見なかった奴だな?」

 

 何となくコロシアムを眺めていたら上から並盛中一帯に響き渡るぐらいの大声が聞こえた。

 直後、屋上から飛び降り、僕の目の前にシュタタタとスタイリッシュに着地するヴァリアー勢。

 あ、そういえばヴァリアーって集合時刻の11時より前に現場に集合してたっけ。

 確かレヴィに至っては2時間前から待機してたって設定だし、意外と律儀だよね。

 

 

「だったら、なに?」

「昨日見たガキどもはどいつもこいつも雑魚だったから姿を見せねぇ他の奴に期待してたんだが、テメェも期待外れだな!」

 

 まだツナくんたちが誰も現場に来ていないから、暇だったのだろうか。

 キレる若者よろしく、スクアーロがヴァリアーの先頭に立って雑に僕を煽ってくる。

 でも、僕知ってるよ。今はただの『俺に触れたら火傷するぜ』と言わんばかりの白髪長髪剣帝お兄さんだけど、実は面倒見が良くて気配り上手なできる上司さんだって知ってるんだ(*^◯^*)

 

 

「弱い奴ほどよく吠えるとは聞くけど……君はわかりやすい具体例だね」

「う゛お゛ぉい! いい度胸じゃねぇか。ここで始めるか?」

「僕は構わないよ」

 

 とはいえ、挑発されたら挑発し返すのが雲雀恭弥スタイルなので煽り返さない手はない。

 僕は沸点の低いスクアーロとバチバチと火花を飛ばす。スクアーロの眼力、超怖い件。

 

 

「おやめください。守護者同士の場外での乱闘は失格となります。ここで矛を収めないのなら、双方のハーフボンゴレリングを没収いたしますよ?」

「……チッ、邪魔が入ったか」

「君、命拾いしたね」

「ぁあ゛!?」

 

 チェルベッロ機関の女性がいいタイミングで仲裁に入ってくれたので、素直に退く。

 また、視界端にツナくんたちが見えたので、捨て台詞を残してヴァリアーの元を去った。

 僕の背中にビシビシ伝わってくる威圧のオーラなんて気にしない気にしない。

 

 

「え、雲雀さん!? 来てくれたんですか!?」

「おお! 雲雀も来たのか! 極限にやる気のようだな! 良い事だ!」

「弱い草食動物のくせに、なんで僕の仲間面してるの? 咬み殺すよ?」

 

 ツナくんが目を丸くして驚き、了平くんが晴れやかな笑みを浮かべて歩み寄る。

 僕は直ちにトンファーを構えて威嚇し、スタスタとツナくんたちから距離を取る。

 ここで群れてくるツナくんたちを黙認すると、雲雀恭弥像として違和感が生まれちゃうからね。

 

 

「ひ、あ、あの、ごめんなさい!?」

「なッ!? 極限に何なのだ、あの態度は!? 雲雀も俺たちと共に戦うつもりでここへ来たのではないのか!?」

「ケッ、あの野郎。お高くとまりやがって。気に食わねぇ」

 

 やっぱり雲雀さんは怖いままだと怯えるツナくん。

 守護者になったのにツナくんの元に集おうとしない理由が理解できない了平くん。

 せっかく出くわした僕相手にかつてのリベンジをしたいが、リング争奪戦前に下手に怪我を負わせては本末転倒だからと、僕を睨みつけるだけに留まる獄寺くん。

 

 

「まぁまぁ、いいじゃねぇか」

 

 僕の高圧な態度で少々僕へのヘイトが高まるも、山本くんが素でフォローを入れてくれる。正直、助かります。雲雀さんロールの影響でファミリー内で変に軋轢が生まれたら厄介だもの。尤も、山本くんのフォローがなかったら代わりにリボーンが落ち着かせてくれるだろうけど。

 

 

 さて。そんなやり取りを経て。午後11時からリング争奪戦の1回戦が始まった。

 もちろん、僕は山本くん発案の「了平ファイオー!」な円陣には参加していない。

 

 初戦は原作通り、晴の守護者同士の対決。役者は了平くんとルッスーリア(モヒカンオカマ)だ。明日の天気は雨と、事前に情報を仕入れている。この分なら、明日は雷の守護者同士の対決となりそうだ。守護者戦の順番は原作と変更はなさそうだね。

 対決の経過も大体原作通りだった。最初はムエタイを駆使するルッスーリアや、『日輪のコロシアム』の強烈な光や熱に苦戦を強いられる了平くんだったが、妹魂(シスコン)を起点に極限太陽(マキシマムキャノン)を繰り出し、ルッスーリアの膝を粉々に砕いて逆転勝利を果たした。

 これならリング争奪戦の勝敗も原作と変わらないっぽいかな。ほむほむ。

 

 

「……」

 

 晴の守護者戦を観戦するための必須アイテムだったサングラスを外した僕は1つ息を吐く。一見、落ち着き払っているように見えて、今の僕は『こんらんしている』状態だ。なぜなら、と。僕は改めてヴァリアー勢に視線を向ける。その先に映るのは、黒髪の女の子。

 

 ところで、あの女の子、誰? ヴァリアーに女の子っていなかったよね? 性別不詳の赤ちゃんはいたけどさ。てか、レヴィがいなくね? どこにも見当たらないんだけど。え、じゃあもしかしてこの世界のレヴィも僕みたいに女体化してるとか? レヴィ・ア・タンがレヴィアたんになっちゃってるとか? いや、待った。早合点は良くない。ザンザスの理不尽な暴力のはけ口にされたとかで今日たまたまレヴィが観戦しに来てないだけかもしれないじゃないか。でもそれじゃあ、あの女の子の正体はどうなるの? レヴィ率いる雷撃隊の一員とか? それとも実はリボーン二次創作によくある8つ目のハーフボンゴレリングの守護者になったオリキャラとか? ボンゴレリングが天候になぞらえたものなら、例えば雪のハーフボンゴレリングがあっても別におかしくないし? 属性:凍結辺りで未来編で雪白熊とか雪アザラシとかいった匣兵器を使う強敵が出てきても不自然では――って、思考が脱線しまくってないかな!? 落ち着こうよ、僕! どうどう!

 

 

「今宵の勝負はこれで終わりますが、今回より決戦後に次回の対戦カードを発表します。明晩の対戦は――雷の守護者同士の対決です」

「明日か。このレヴィ・ア・タン、あんなガキなんか5秒で壊して、ボスの寵愛を賜るとしよう」

 

 と、ここでチェルベッロが明晩に関する連絡事項を公表する。

 すると、例の女の子がふふふと口角を吊り上げる。

 

 やっぱりあの子、レヴィアたんじゃないか!? あの美少女っぷりでボスbotは変わらずとか、ヤンデレ待ったなしじゃないか! なに、デキてるの!? 寵愛とか言ってるし、ザンレヴィ始まってるの!? てか、なんでレヴィが女の子になってるの? 僕が雲雀さんに憑依した影響によるバタフライエフェクトとか? ならレヴィのついででスクアーロも女体化してるとかあり得るのかな。スクアーロは長髪キャラだからあり得ないことはないかも? いや、でもさっき凄まれた時はとても女性には――って、いい加減に正気に戻ろうか!

 

 

「……皆、帰ったのか」

 

 僕が女体化したレヴィに関して混乱しまくっている内に、チェルベッロ機関もヴァリアーもツナくんたちも校内から去ったらしい。僕も並盛中を後にしようと歩を進めると、僕の前方から意外な人物が声をかけてきた。

 

 

 ◇◇◇

 

 

「じゃーな」

 

 晴の守護者戦の終了後。対決を観戦していた山本武はツナに手を振って家路に就く。

 と、見せかけて一人こっそりと校舎脇へと戻る。山本の向かう先には、チェルベッロ機関により一瞬にして解体された『日輪のコロシアム』の残骸と、現場にたたずむ雲雀恭弥。

 

 山本は雲雀に用があった。単純に、雲雀と模擬戦を行いたかったのだ。

 雨の守護者戦を迎えるまでに強者と戦い、自身の課題を見つける所存なのだ。

 その強者として、同じ守護者の雲雀はちょうどいい相手。ゆえに今、山本は雲雀への接触を試みる。今を逃せば、次の機会はもう巡ってこないかもしれないからだ。

 

 

「雲雀」

「なに?」

 

 山本が雲雀の名を呼ぶと、突き放すような一言が返ってくる。

 本題に入る前にまずは雑談を挟んだ方が良さそうかなと、山本は言葉を紡ぐ。

 

 

「いや、ちょっとな。にしても、雲雀もツナの守護者なんだよな? 心強いぜ」

「勝手に君たちの遊びに僕を加えないでくれる? 僕はただ、並盛の風紀を脅かす不届き者を1人残らず咬み殺すだけだよ」

「そっかそっか。頼りにしてるのな」

「……で、何の用? 僕は忙しいんだ、要件はさっさと言ってくれない?」

「お、いいのか? そんじゃ早速――今から俺と戦ってくれないか?」

 

 雲雀と少し会話をしていると、雲雀が山本を鋭く睨みつけ、本題を催促してくる。雲雀から許可が出たので、山本は早速、頼み事を持ち出した。雲雀の眼光なんてものともしていない。

 

 

「……どういう風の吹き回し?」

「俺さ、スクアーロって奴に勝ちたいんだ。親父に頼んで修行をつけてもらって、時雨蒼燕流の型は覚えたけど、今のまま本番ってのは少し怖くてさ。相手になってほしいんだ」

「僕を試金石にするんだ。ふぅん、度胸あるね」

「ははは? で、どうだ?」

「……山本武。君と初めて会ったのは1年前だったかな」

「?」

「いいよ。1年前は僕に咬み殺された君が今、どこまで喰らいつけるか見させてもらう」

「そうこなくっちゃな!」

 

 雲雀が自分との手合わせに付き合ってくれる。意外とすんなりと雲雀が山本の頼みに応じてくれたことに、山本はわんぱく小僧のように、嬉々として時雨金時を鋼鉄製の竹刀から日本刀に変化させ、構える。強者:雲雀恭弥の胸を借りる。そのつもりで山本は、全力で雲雀へと駆け出した。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公、かつボンゴレ雲の守護者。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。この度、レヴィが女体化しているまさかの事態に『ぼくは こんらん している!』から『ぼくは しょうきに もどった!』になるまで割と時間を要した模様。
沢田綱吉→原作の主人公。大空のハーフボンゴレリングを所持している。今はまだ、リング争奪戦への恐怖が勝っているが、近々打倒ザンザスへの強い決意を抱く。
獄寺隼人→スモーキン・ボムとか人間爆撃機とかいった異名を持つマフィア関係者、かつボンゴレ嵐の守護者。嵐と雲で相性はいいはずだが、雲雀のことは気に入らない模様。
山本武→並盛中の2-Aに所属する人気者なクラスメイト、かつボンゴレ雨の守護者。リング争奪戦に勝つため、父親から『完全無欠・最強無敵』な時雨蒼燕流を伝授してもらった。
笹川了平→『極限』が口癖の熱血漢、かつボンゴレ晴の守護者。並盛中のボクシング部主将の3年生。この度、オカマのルッスーリアを撃破し、幸先のいいリング争奪戦初日の勝利を獲得した。
スクアーロ→ヴァリアーの雨の守護者。粗暴や傲慢の権化のような人格で、『う゛お゛ぉい!』が口癖。剣の道を極めるために様々な剣士と決闘するぐらいに、非常に好戦的。
レヴィ→この度、哀れにも黒髪少女なレヴィアたん(23)となってしまったヴァリアーの雷の守護者。レヴィアたんになっても性格にあまり変化はなく、口調もさほど女性らしくない。
チェルベッロ機関→原作でも結局設定が明かされなかった謎の9代目直属(自称)の機関。色黒でピンクの髪の女性がまるで妹達(シスターズ)のように何名も所属している。

Q.どうしてよりによってレヴィを女体化したの?
A.私の願望と読者の方々の期待が合致したゆえ

 というわけで、20話は終了です。レヴィさんは見事に女体化しました。
 特に伏線とかないのにノリと勢いで女の子にさせられたレヴィさん可哀そう。

 閑話休題。原作で山本くんが「雲雀と手合わせしたい」的なことを言っていたので、ここで実現させようかなと思い至ったがゆえの展開です。しかし私に、剣士とトンファー使いとの戦闘シーンを上手く描写できるスキルが備わっているのか、すこぶる不安です。

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