†ボンゴレ雲の守護者†雲雀さん(憑依)   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回から始まる黒曜編ですが、現状の予想だと大体4、5話ぐらいで終わりそうな予感。ま、凡人憑依者が主人公のツナくんに憑依しているわけじゃないから、こんなものなのですかね。

P.S.最近、レヴィさんを女体化させたい衝動が沸々と沸き上がっています。いや、だってヴァリアーには紅一点がいないじゃないですか! ならば、イケメンぞろいのヴァリアーの中で唯一顔面補正に恵まれなかったレヴィさんをおにゃのこにしたいという私の考えは間違っていないはず!



黒曜編を咬み殺す
風紀13.†Re:方針を決めて風紀を守ろう†


 

 

 大人にとっての年月は短く、子供にとっての年月は長い。ジャネーの法則というやつだ。

 となると、雲雀さんに憑依中の僕の年月はそれなりに長いはず。

 なのに、あっという間に並盛中の夏休みが終了し、気づけば2学期になっていた。

 要するに、雲雀さんの褐色肌期間は終了した。夏の終わりを象徴する出来事の様で寂寥感を覚えるが、褐色雲雀さんを姿見で十分満喫したので、問題ない。

 とと、そうじゃない。今回ばかりは思考を脱線している場合ではない。

 ツナくんたちが中学2年生の2学期を迎えた以上、黒曜編について本格的に考えないと。

 

 黒曜編。それは大々的に原作2巻分を使用したリボーン初の長編である。

 リボーンがギャグ漫画から熱いバトル漫画へとシフトしたのもここからだ。

 つまり、ハチャメチャながらも平穏なツナくんの人生はここでサヨナラバイバイ。

 今後は命の危険がしつこく付きまとうマフィアの殺伐世界が眼前に広がっているわけだ。

 当然ながら、雲雀さんのキャラを壊してでも全力で抵抗しなければ、ツナくんの守護者ルートが確定的な雲雀さんも同様の世界で生きることとなる。

 

 この黒曜編の概略を簡単に表すと、マフィアが嫌いな六道骸くんがマフィアの殲滅と世界大戦(?)を企み、ボンゴレという立場を求めてツナくんに狙いをつけ、紆余曲折を経てツナくんに返り討ちにされる、と言った感じだ。

 ちなみに、六道骸とは右目に『六道輪廻』という特殊な能力を秘めた強者である。

 と、同時に、パイナップルヘアー大好きボーイや、雲雀さんとのSakura addictionな仲や、『クフフのフ~僕と契約~』とのキャラソングからして、ネタに事欠かない人気キャラだ。

 

 そんで、黒曜編だが……正直、雲雀さんが関与しなくても何とかなる。

 というか、できることなら関与したくない。なぜなら、雲雀さんの役目が骸くんがどれだけ強いかを読者の皆さんにお知らせする、咬ませ犬ポジションだからだ。

 一応、ピンチの獄寺くんの命を救う役目もある。しかしそれは、柿本千種の最初の襲撃で横槍を入れて、獄寺くんに重傷を負わせなければ、その役目は意味を失う。

 ゆえに、このことが僕が黒曜編に首を突っ込む理由にはならない。

 

 それに原作通りに事が進めば、雲雀さんは骸くんに憑依される。

 そうなったら、ただいま雲雀さんに憑依中の僕はどうなるのか。

 骸くんと直接かち合う可能性がある。それだけならいい。

 僕の持つ原作知識が露呈しかねない。それは致命的だが、まだマシだ。

 

 でも、もしも、もしもだ。憑依のプロフェッショナルな骸くんの力で僕が雲雀さんの体から追い出されてしまったら。その時、僕に戻る場所はあるのか。

 僕の本当の体へと戻るかもしれない。でも、そうじゃないかもしれない。

 もしも僕の居場所がなかったら。寄る辺を無くした魂の末路はきっと、ロクなものじゃない。

 ならば、僕は骸くんに憑依されるような道を進むべきじゃない。死にたくないし。

 

 でも、雲雀さんの言動を模倣するつもりなら、骸くんの元に殴り込まない選択肢はない。

 骸くんがツナくんをおびき寄せるために『並盛中ケンカの強さランキング』の上位ランカーを次々とズタボロにする以上、並盛町の風紀を守るマシーンな雲雀さんが動きを見せないのは凄まじく不自然だ。最悪、リボーン辺りに原作知識の存在を看破されてしまいそうだ。

 

 さて、上記を踏まえ、僕はどのようなスタンスでいるべきか。

 どのように動けば、僕は雲雀さんらしさを壊さずに済むだろうか。

 正直、骸くんと会うのは嫌だ。原作では桜クラ病の弱点のせいで雲雀さんは骸くんに負けた。

 けど、桜クラ病の件がなくても骸くんの六道輪廻がチートすぎて雲雀さんの負け濃厚なのに、どうして負け戦に挑まなきゃいけないのか。

 

 ……でも、行かないわけにはいかないよね。

 僕が雲雀さんに憑依してから、もう何年か経過して。

 僕にも大事だと思う者が増えた。原作の主要人物だけじゃない。

 恐怖、畏怖。そのような感情の元で精力的に風紀維持活動に勤しんでくれる風紀委員一人一人にも愛着が生まれている。でないと、花見なんて思いつかない。

 当然、雲雀さんのロールプレイ中の僕は態度には表さないけど。

 

 そんな風紀委員たちが、これから骸くんの思惑の元でボロ雑巾みたくされるのだ。

 しかもペンチで『並盛中ケンカの強さランキング』の順位の分だけ永久歯を抜かれるのだ。

 当然、麻酔はない。その壮絶な痛みは、想像するに余りある。考えるだけで被害者が可哀想だ。

 

 ……

 …………

 

 よし、決めた。僕のスタンス。黒曜編における、僕の行動指針。

 原作の展開を考えると、この辺の終着点が妥当かな。被害をゼロにはできない。

 僕は凡人だから、限界がある。でも、原作より被害を減らすことはできそうだ。

 

 後は作戦をしっかり考えて、心の準備を終えて、実行に移すだけ。

 不安要素は多々あるけど、まぁ雲雀さんのスペックなら何とかなるはず。

 さてと。そうと決まれば、後は流れでお願いしますってね。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 その日。午前6時。並盛中の風紀委員2名は早朝の並盛町の見回りをしていた。

 2人1組で動いているのは、雲雀恭弥が突如、9月を風紀月間として、風紀維持活動を行う際は必ず2人以上で取り組むようにと厳命を下したからだ。

 

 

「何を考えてるんだろうな、委員長」

「わからない。けど、雲雀先輩の先を見通す聡明な頭脳が導き出した指示だから、絶対何か意味があるって!」

「はぁ。秋田ってホント、自分から委員長に尻尾ブンブン振ってるワンコだよな。そういう怖いもの知らずで一直線な所は尊敬するよ。真似したくはないけど」

「? よくわからない例えだな。でも、サンキュー。哀川」

 

 哀川常男はやれやれとため息を吐き、秋田勝はコテンと首を傾げる。

 2名は時折会話を挟みつつ、風紀委員としての職務を全うする。

 と、ここで。住宅街を歩く2名の進路を塞ぐように眼前に複数の人物が現れた。

 緑を基調とした制服を着た5名の者たちに、秋田と哀川は見覚えがあった。

 

 

「お前ら、黒曜中の生徒か。こんな朝っぱらから並盛町で何をしている?」

「あぁ、ちょっと人を探していてな。ところで、君たちって哀川常男と秋田勝?」

「え、あぁ。そうだけど」

「お。22位と24位見っけ。幸先良いな。そんじゃ――死ねや!」

「ガッ!?」

 

 相手が風紀を乱す輩でないか。確かめようと黒曜中学生の元へ近づく哀川に、黒曜中の生徒の1人が背中に隠し持っていた角材が振り下ろされた。唐突な不意打ちに反応できず、頭を容赦なく殴られた哀川は為すすべもなく、地に倒れた。

 

 

「グ、ォォオオ……」

「哀川!? お前ら、何のつもりだ!?」

「ハッ。見てわかんねーの? 察しが悪いなぁ。これだから並中生は」

「無茶言ってやるなよ。並中生は総じて普通の雑魚なんだから。ハイスペックを期待するとか可哀想だろ」

「マジ言えてるわ」

「ッ!!」

 

 激痛に悶える哀川の様を愉快だと言わんばかりに笑う黒曜中学生たち。

 さらに彼らが並盛中自体をバカにした時、秋田はキレた。

 並盛中をバカにすることは、雲雀恭弥をバカにすることと同義だったからだ。

 

 

「こ、の野郎ぉぉおおおおおおおおおおお!!」

 

 ゆえに、秋田は駆け出した。獰猛な眼差しで黒曜中学生をロックし、殴りかかった。

 が、角材やら警棒やら木刀やらで武装した黒曜中学生5名に、素手の男が単騎で攻めた所で結果は明快だ。都合のいい覚醒なんてあり得ないし、気合いでどうにかなるほど、世界は甘くない。

 悪意ある黒曜中学生により、秋田はボコられた。哀川も含めて殴打の嵐の被害者となった。

 

 

「さーてと、そろそろ本題に入りますか」

 

 散々ぶちのめされたせいで地に倒れ、指一本動かすことも叶わない秋田と哀川。頭上からの愉悦がかった声に秋田が目を向けると、黒曜中学生の1人がペンチを取り出していた。

 

 

「……ペンチ?」

「はーい。それじゃ今から歯医者さんごっこを始めまーす」

「ま、さか!? お前ら、何が、目的だ!? こんなことして、タダで済むと――」

「痛くないでちゅからねー。はい、お口開けてー」

 

 こいつらは俺と哀川からペンチで歯を抜こうとしている。

 黒曜中学生たちの意図を理解した秋田は何とか立ち上がり、逃げようとする。

 が、黒曜中学生数名に体を押さえつけられている現状、逃走は叶わない。

 かくして。哀川と秋田は黒曜中学生の凄惨な仕打ちの犠牲者と――は、ならなかった。

 

 

「ぶごッ!?」

 

 ペンチを持ってニタニタ笑っていた黒曜中学生が突如、まるでトラックとでも衝突したかのように真横に吹っ飛ばされたからだ。当の黒曜中学生は住宅街の石壁に頭から突っ込みつつ、グッタリとしている。どうやら意識を失っているようだ。

 

 

「な、何だ!?」

「何が起きた!?」

「――ねぇ、君たち。僕の部下に何をやっているの?」

 

 予期せぬ展開に動揺する黒曜中学生4名に、淡々とした声がかかる。

 4名が一斉に振り向いた先には、ムスッとした顔、ボサボサの黒髪、肩に羽織った学ラン、『風紀』と書かれた左腕の腕章が特徴的な一人の男が立っていた。

 

 

「こ、こいつがやったのか?」

「冗談だろ? 化け物かよ!」

「いや、いくら強くても俺たちが連携してかかればきっと――」

「僕の質問を無視するなんて良い身分だね。……まぁいいか。驕り高ぶった草食動物を存分に咬み殺してから、また改めて聞くよ」

 

 雲雀は一瞬で黒曜中学生との距離を詰めると、渾身の力でトンファーを振るう。

 黒曜中学生たちの骨がバキボキ折れる音が聞こえようと、雲雀は止まらない。

 結果。いつかの再現のように、黒曜中学生たちは見るも無残な姿へと成り果てた。

 

 

「さて。これからの僕の行動がなるべく不自然でなくなるように、今から君たちには色々吐いてもらうよ。痛い思いをしたくなかったら、早めに話すといいよ」

 

 パパッと黒曜中学生たちを片付けた雲雀はこれ見よがしに奪ったペンチをパチパチ鳴らす。

 さっき並中生にやろうとしていたように、これから自分たちが歯医者さんごっこをさせられるのではないか。黒曜中学生たちはただ震えることしかできなかった。

 

 




雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。『並盛中ケンカの強さランキング』1位。ちなみに、雲雀さんに黒曜中学生たちの歯を抜くつもりはない。あくまで完治可能な範囲でボコって情報を引き出す方針の模様。
秋田勝→2話が初登場なオリキャラ。雲雀に恐怖せずに崇拝している数少ない風紀委員の一人。並盛中ケンカの強さランキング』22位。彼がピンチに陥った時の雲雀さんの登場率は異常。
哀川常男→秋田とクラスメイトな風紀委員のオリキャラ、と見せかけた原作キャラ。『並盛中ケンカの強さランキング』24位。原作では雲雀さんに「弱者は土に還れよ」と言われてボコられている。ドMの方なら唾涎モノのご褒美、かも?
黒曜中学生→六道骸の支配下に置かれている不良たち。並中生を襲撃する隣町ボーイズの数は被害の規模からして柿本千種と城島犬の2名だけじゃなさそうと思ったので、この度のご登場となった。雲雀さんに見つかったのが運の尽きである。

凡人憑依者(うーむ、もう少し僕の到着が早かったら2人を怪我させずに済んだのに……)

 というわけで、13話は終了です。日常編が終わって早速流血沙汰が発生していますね。え、前回も日常編のはずなのに今回と同等か、それより酷いズタボロシーンが描写されてました? ハハッ、気のせい気のせい。貴方はいつの間にやら骸くんの幻術にハマっちゃってるようですよ?

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