どうも、ふぁもにかです。今回は少々雲雀さん(に憑依中の凡人さん)が暴力的になっています。原作雲雀さんの言動に忠実と言えば忠実なのですが、過剰な暴力シーンはちょっと、という方はブラウザバック推奨です。伏線も何もないでしょうしね。
P.S.現状、この作品は未来編までで完結する予定です。未来編以降のインフレバトルの描写にまるで自信が持てないのが主な理由ですかね。尤も、面白そうな展開が脳裏に思い浮かべば即刻予定を撤回する所存でもあります。さぁ、どうしますかね。未来の私?
うーみーはーひろいーなー、おおきーいーなー!
つーきーがーのぼるーしー、ひがしーずーむー!
海の歌、詠唱完了。さーてと、ウェミダー! ウェミダウェミダー!
というわけで、恭華さんモードな僕は今、海水浴場に赴いている。
ちなみに、今の僕は内心でテンションがキレッキレになっている。興奮冷めやらぬままにバサッと。水着を覆い隠すパーカーをスタイリッシュに脱ぎ、ビーチへテクテク歩く。
理由は簡単、僕は海が好きなのだ。この度、ハルに誘われるまですっかり忘れてたけど。
一人で遊ぶも、皆で遊ぶも、遊び方は千差万別。ビーチバレー。ビーチフラッグ。スイカ割り。砂の城。砂山崩し。普通に泳ぐ。海洋生物鑑賞。何でもござれ。これぞ海のポテンシャルだよね。
とはいえ、ただ遊ぶのが目的で海水浴場に来たわけじゃない。
僕の目的、それは――雲雀さんを褐色美少女に仕上げること。
肌を太陽で焦がし、小麦色の肌になった雲雀さんに興味はないだろうか。
別に僕は褐色の魅力に憑りつかれているわけではないが、大いに興味がある。
雲雀さんは男だろうと女だろうと、日焼けによりさぞ魅力がマシマシになるだろう。
褐色イケメンならフェロモン増量キャンペーン、褐色美少女なら新境地開拓達成。
どっちにしろ、僕は日焼けという強烈な武器を手にした雲雀さんの姿を見てみたいのだ。
最近の太陽光は紫外線マシマシで危険だとの意見があるのはわかる。
しかし、僕は生涯肌を焼き続けると決めたわけではない。
一度ぐらい紫外線を思いっきり体中に浴びるぐらい、セーフセーフ。
加えて、リボーンの連載時期からして、紫外線の威力はまだそこまで強力でないはずだ。
適度に紫外線を浴びることは健康に良い以上、過剰な心配はするべきでない。
日焼けサロンにでも行って手っ取り早く褐色肌を入手しとけよとの主張もわかる。
しかし、マシーンの力を借りて褐色肌をゲットなんて個人的に少々味気ない。
せっかくなら、褐色肌は人工的手段でなく天然の手段でモノにしたいのだ。
よって。僕は海水浴場をギラギラと照り付ける太陽光の元で遊び、肌を焼く。
褐色肌という素晴らしい武器を手に入れた雲雀さんを姿見に移す瞬間が楽しみだ。
「あ! 恭華ちゃーん! こっちこっち!」
「おっと。ハル発見」
内心でワクワクを募らせていると、ハルが手を振る姿が見える。
僕が先にハルを見つけ出すつもりだったが、ハルに先手を取られたようだ。
「今日は誘ってくれてありがとね、ハル」
「いえいえ! 去年は恭華ちゃんと海で遊びそびれましたから! 今年こそはと!」
「気合い入ってるのはいいけど、ペース配分考えないと途中でバテるよ?」
「大丈夫です! この日のために昨日はたっぷり寝ましたから!」
ハルは僕の両手を掴みながらハイテンションを全面に押し出す。
やっぱりハルの僕への好感度って凄まじいものがあるよね。もしも僕が男なら、このハルはツナくんなんてそっちのけで『恭華×ハル』ルートへ一直線もあり得るのではなかろうか。
なんてことを考えていると、ハルの背中から一人の女の子がヒョコっと顔を出した。
笹川京子。ツナくんのクラスメイトかつ想い人である。
「貴女が恭華ちゃん? ハルちゃんからお話、聞いてるよ」
「そうなの?」
「はい! 恭華ちゃんの良い所、いーっぱい話しましたよ!」
「……んー。ハルの言うこと、全部真に受けなくていいからね。僕は雲雀恭華。並盛中の某風紀委員長の妹だよ。ま、僕は恭弥兄みたいにボッチ狼気取ってないから、気軽に付き合ってほしいな」
「うん。私は笹川京子。並盛中のボクシング部の了平お兄ちゃんの妹だよ。よろしくね」
僕と京子ちゃんはきちんとお互いに自己紹介をしてから握手をする。
これまで僕は雲雀恭華としてロクに京子ちゃんと接触していなかった。
意図的に接触を避けていたわけじゃない。自然とエンカウントする機会に恵まれなかったのだ。
ハルとは割と頻繁に人付き合いがあるのに、なぜ京子ちゃんとは今まで縁がなかったのか。
不思議に思ったこともあったが、よくよく考えればそう不自然なことではない。
僕と京子ちゃんとの関係は、ハルを媒介とした友達の友達だった、というだけだ。
例えるなら、京子ちゃんの友達こと黒川花がハルとそこまで親睦を深めていないのと一緒。
ハルの友達の僕と京子ちゃんとの関係が少々希薄でも仕方がない。
しかし、それも今日までのこと。せっかくこうして海を堪能する同志として巡り合ったのだ。
僕は本日、京子ちゃんと親交を結ぶことにしよう。そうしよう。
僕は内心で『京子ちゃんと友達になろう』計画を進めつつ、海で遊ぶメンバーたるツナくん、獄寺くん、山本くんと合流する。そして。今回の集まりの発案者である了平くんの元に皆が集い、いざ遊ぶぞという機運が高まった時。大層ウザったい横槍が入れられた。
「ういーッス」
了平くんの先輩であり、ライフセイバーの仕事を請け負っているチャラい褐色男たちがやってきたのだ。彼らはナンパ成功を目論んで、女性受けの良さそうなライフセイバーをしている低俗な連中ゆえに、ツナくんたちにライフセイバーの仕事を押し付けて僕たち女性陣を強引に遊び(意味深)に連れ出そうとする。と、ここで。獄寺くんを筆頭にチャラい褐色男たちの横暴に反攻したことで、なぜか敗者は勝者の下僕となるという謎条件の元で、ツナくん・獄寺くん・山本くん対チャラい褐色男3名の水泳勝負が開かれた。
結局。勝負は溺れる子供の存在でうやむやになった。
でもって、何だかんだでチャラい褐色男たちはツナくん、獄寺くん、山本くんにボコられた。
その後。僕たちは気を取り直して遊んだ。結果、僕は京子ちゃんと友達になれた。
熱烈な太陽光線のおかげで、肌もいい具合に褐色にできた。
が、あの善良なライフセイバーと褐色肌な男の人への風評被害待ったなしなチャラい褐色男たちの横槍のせいで、海で遊んだ満足感が多少減ってしまったのもまた事実。
せっかくの海のテンションを白けさせやがって。顔は覚えたからな。
一回ツナくんたちがボコっただけで終わるとか、甘いからな。
◇◇◇
「くそッ! あの中坊、俺の大切な顔を容赦なく殴りやがって! おかげでナンパしづらくなったじゃねぇか!」
後日。夕暮れ。並盛中のとある工場跡にて。
褐色肌をしたライフセイバーのチャラい男は憎々しげに顔を歪めていた。
彼の右頬は見事なまでに腫れ上がっており、見るからに醜い様相を呈している。
「ホント、生意気なクソガキだぜ!」
「絶対仕返ししてやる! あいつらの動向はわからないのか!?」
「今、他の奴らが調べてる。直にわかるさ」
「へへへ、あの中坊、何で殴ってやろうかなぁ? やっぱバットか?」
「鈍器より、ナイフ持ち出した方が良くねぇか?」
「銃がありゃ良かったんだがな。893と人脈があればなぁ」
「チッ。あの婆さん、ロクに金持ってねぇじゃんか。ひったくって損したぜ」
「はした金でも構わねぇよ。人の不幸は蜜の味ってな」
今現在、工場跡にはチャラい褐色男たちが集結していた。その数、約100名。
誰もがモラルを失っており、己の欲望を満たすためなら平気で犯罪をやってのける。
そのようなクズい共通点を持つ者たちがたむろする場所として、工場跡は機能しているのだ。
「おい、皆! 聞いてくれ! あのクソガキどもの予定がわかった! あいつら、夏祭りに行くみたいだぜ!」
「それ、本当だろうな?」
「ちゃんと裏は取った! 間違いねぇ!」
と、ここで。チャラい褐色男の一人が工場跡に駆け込む。
彼がもたらした情報にチャラい褐色男たちは活気づく。
「おお、ナイス! いい仕事したぜ!」
「よっしゃ、あの間抜け顔を泣きべそに変えてやるぜ!」
「先輩の恐ろしさを体に叩きこんでやる!」
各々、負の感情を心に滾らせ、夏祭り会場へ赴く準備を進める。
沢田綱吉が、獄寺隼人が、山本武が。自分たちの手によりズタボロにされて、痛みに呻くことしかできないボロ雑巾となる瞬間を妄想して、ニタニタ顔で準備する。
と、その時。足音が響いた。コツコツと。ゆっくりと歩くような足音だ。
まるで、初めて工場跡にきたかのような、辺りを一瞥しながら歩んでいるかのような足音だ。
この場所を知る仲間たちの歩き方じゃない。チャラい褐色男たちは騒ぐのをやめる。
しばらく警戒を強めていると、一人の男が工場跡に足を踏み入れた。
ムスッとした顔。ボサボサの黒髪。肩に羽織った学ラン。『風紀』と書かれた左腕の腕章。そして。自分たちと同様の褐色肌が特徴的な男だった。
「へぇ、集まってるね。ちょうどいい」
「んだ、テメェ? ガキが何の用だ?」
「君たちは並盛町の風紀を著しく乱している。弱いばかりに無駄に群れている。咬み殺す相手として、ここまでピッタリな連中は珍しいよ」
チャラい褐色男がガンをつけると、対する男は涼しげな顔でトンファーを構える。
男が単騎で自分たちと戦おうとしている。チャラい褐色男たちは一斉にゲラゲラ笑い始める。
「ぎゃははは! バカだ! この中坊、バカすぎて笑いが止まらねぇ!」
「おいガキ。厨二病もいいけどよ、先輩舐めてっと痛い目見るぜ!」
「後悔してももう遅ぇ! 舐め腐ったこの中坊、潰すぞ! 前哨戦だ!」
「「「ひゃっはあああああああ!!」」」
チャラい褐色男たちは我先にと男を攻撃しようと近づいていく。
数の暴力を頼り、相手を舐めているのはむしろ自分たちだとのことに気づく由はない。
「さて。良い悲鳴を頼むよ。心地いい、心に染み渡るものがいいかな」
「いつまでも調子づいてんじゃ――あぎゃあああ!?」
「ぐへあ!?」
「ぼがぶ!?」
この後、工場跡で繰り広げられたのはたった一人の男による蹂躙劇だった。
トンファーを装備した男はかすり傷すら負わずに、チャラい褐色男を一人一人丁寧にぶちのめしていく。まるで真・三國無双の一騎当千の武将のように。
結果、100名ほどいたはずのチャラい褐色男たちはあっという間に死屍累々となった。
が、工場跡を制圧したというのに男は止まらない。止まる気配がない。
地に倒れる者どもを踏みつけ、蹴り上げ、追い打ちのトンファーで殴りつける。
「悪いね。僕は機嫌が悪いんだ。気の済むまで、遊ばせてもらうから」
「ひ、ひぃぃぃ!」
「黙れよ」
「ぐぎゃッ!」
もうすっかり戦意を失い、怯えるだけのチャラい褐色男たち。
しかし、それでも男は止まらない。戦う気のない者をボコってもつまらないだなんて考えは欠片も持っていないのだ。男はトンファーを用いて、殴る。殴る。殴る。殴る。
「君たち、くれぐれも覚えていてね。並盛町の風紀を乱そうものなら僕が、並盛中の風紀委員長:雲雀恭弥が今みたいに咬み殺すから」
「ぅ、ぁ……」
「あぁそうだ。君たちの全財産は風紀委員の活動資金として没収する。ついでに、身ぐるみを剥いだ後、君たちの身柄を警察に預けるから」
どれだけ時間が経っただろうか。チャラい褐色男たちに過剰な暴力を振るった男はようやく気を晴らしたのか、最後の仕上げとしてチャラい褐色男たちに精神的に恐怖を刻み込む。
かくして。チャラい褐色男たちは雲雀恭弥という、恐るべき存在を知ったのだった。
絶対に敵に回してはいけない、並盛町に君臨する支配者の存在を。
雲雀恭弥→本作の主人公。本名は雲雀恭華。今は凡人が憑依している。当の凡人は海が大好き。海を全力で満喫する気満々な所で妨害されたため、結構イラついていた。本当は怖い雲雀さん案件。
三浦ハル→原作のヒロインの1人。水着でビーチに繰り出せば男連中がナンパを考慮し始めるレベルの美少女。恭華大好き属性は変わらず、此度も恭華信者を貫いている。
笹川京子→主人公ツナの憧れのクラスメイト。恭華とはハルを介した友達の友達だったが、今回一緒に海で遊んだ結果、友好関係を構築した。詳細は読者さんの妄想に任せます。
チャラい褐色男たち→善良なライフセイバーと褐色肌の男の人の印象を全力で悪くさせているDQN。100人レベルの目立った集団を形成し、ひったくりなどの犯罪行為にも平然と手を出しているのに彼らを野放しにしている並盛町の警察はきっと無能。
というわけで、12話は終了です。今回はちゃんと雲雀さんが風紀を守りましたね。ただ過剰に暴力を振るっただけのような気もしますが、相手はクズの中のクズでしたし、並盛町の治安が改善されたのは事実ですから。ま、セーフセーフ。
閑話休題。今回までで日常編は終了とし、次回からは黒曜編に移ります。当初の予定では、雲雀さんをもっと色んな主要人物と絡ませるつもりでした。主にフゥ太やランボ、笹川了平辺りと。ですが、日常編のネタがなくなったため、黒曜編に進ませてもらいます。まぁ、もしも良さげな日常編のネタが思い浮かんだら、『おまけを咬み殺す』とかいった感じで章タイトルを増やして、ちゃっかり挿入するつもりなので、あしからずなのです。