「トレジャーハンター? この街じゃ聞かない職業だね」
クリスの紹介を聞いて、タナリスは興味深そうにメリッサを見る。
「ダンジョンを探索したり、時には屋敷に侵入してお宝を手に入れる、お宝探しのプロですよ」
「盗賊と大して変わらんな」
「全くの別物よ。一緒にしないでくれる?」
バージルの言葉が気に障ったのか、メリッサが強く睨んで訂正してきた。対するバージルは知ったことかと鼻で笑う。
出会って数十秒だというのに睨み合う二人。これはマズイと思ったのか、クリスは慌てて二人の紹介へと話題を移した。
「この人はタナリスさん! 職業は状態異常魔法を得意とするダークプリースト!」
「初めましてメリッサさん。僕の後輩が世話になってるみたいだね」
「後輩って、まさかクリスのこと?」
「そうだよ」
「どう見ても貴方のほうが後輩っぽいけど。ていうかクリスに先輩なんていたのね」
「あ、あはは……」
実は女神の先輩後輩なんだと明かせるわけもなく、クリスは笑って誤魔化す。
「で、こっちはバージル。蒼白のソードマスターって言えばわかるんじゃないかな?」
「へぇ、貴方が……」
次にバージルを紹介すると、メリッサの表情が一変。無関心だったものから、興味深そうにバージルを見つめ始めた。
「うん、悪くないわね」
しばらく品定めの目でバージルを観察した後、メリッサは評価を下した。彼女なりに気に入ってもらえたと感じたクリスは、早速本題へと移った。
「でね、二人はこれからダンジョンでお宝探しの予定なんだけど──」
「私に手伝ってもらいたいってわけ?」
「そうそう。二人の実力は折り紙つきだから、メリッサ一人じゃ難しいダンジョンも楽々攻略できる筈だよ」
お宝探しはメリッサが、道中の敵は二人が。役割分担することで効率よくダンジョン探索ができる。事実、クリスもバージルと組むことで神器探しを捗らせていた。
メリッサにとっても悪くない話の筈。そう思いながら返答を待っていると、メリッサは僅かに微笑んで言葉を返した。
「いいわよ、特別に連れて行ってあげる。せいぜい足を引っ張らないように頑張りなさい」
答えはYESであった。クリスは晴れた表情でバージルに顔を向ける。彼は変わりない無表情であったが、メリッサの言葉を受けて口を開いた。
「断る」
「ちょっ!?」
返答はNOであった。これにクリスは大層驚く。
「クリスから多少使える奴がいると聞いていたが、口先だけの喧しい女だとはな。これ以上話すのは時間の無駄だ」
どうにか承諾を得たクリスの心境などいざ知らず、バージルはため息混じりにメリッサを侮辱する。それを聞いてメリッサが黙っている筈もなく。
「自分の立場がわかってないようね。今すぐここで土下座して謝れば、さっきの発言は聞かなかったことにしてあげるわよ」
「ならばもう一度言ってやろう。貴様を連れて行くぐらいなら案山子を持っていった方がマシだ。いちいち癇に障る声を聞かずに済む」
先程よりも更に圧のある声色でメリッサが土下座を求めてきたが、バージルは屈む素振りすら見せず、侮辱の弾をもう一発放った。
バージルの態度にクリスが唖然としている中、傍観していたタナリスが彼女のもとへ近寄って耳打ちしてきた。
「どうして彼女をバージルと会わせたんだい? 会う前から相性最悪ってわかりそうなもんだけど」
「逆に意外と気が合いそうかなって……」
「この世界では水と油が混ざるのかな?」
女神と悪魔、グリフォンとマンティコアなど、世の中には絶対に反りが合わない組み合わせというのがある。
磁石のS極とS極がどう頑張ってもくっつかないのと同じく、ドSとドSが仲良くすることは不可能なのである。
「だったら好きにしなさい。私は他の店で飲み直してくるから。せっかくのお酒がゴミのせいで台無しだわ」
これ以上口喧嘩する気すら起きなかったのか、メリッサはわざとらしく深いため息を吐いて席を離れた。
「ちょ、ちょっと待って!」
それをクリスは慌てて引き止めた。彼女に腕を掴まれたメリッサは、振り返ることもせず不機嫌な声色で告げる。
「離しなさいクリス。私はこれ以上ゴミの空気を吸いたくないの」
「気分を悪くしたのはホントにゴメン! でもバージルの腕は確かだから! 口の悪さは直しようがないから大目に見てあげて!」
絶対に損はしないとクリスは念押しする。メリッサは鬱陶しそうに彼女を見つめたが、再びバージルへと視線を移す。
気分は害されたが、彼の実力自体は気になっているのであろう。やがて彼女は諦めたようにため息を吐いて言葉を返した。
「いいわ、なら一日だけお試ししてあげる。私の寛大な心に深く感謝しなさい」
「それで寛大だと思っているなら、言葉の意味を辞書で調べ直すといい」
「わぁああああっ!」
二人を引き合わせるのは早計だったかもしれない。自分で呼んでおきながらクリスはそう思った。
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クリスの必死な説得もあって、一日レンタルされることとなったバージルとタナリス。
もし二人の働きっぷりを気に入ったら、そのまま三週間ほど借りてもいいとクリスは伝え、彼等と別れた。
その後、メリッサはまずテストも兼ねて、アクセルの街からそう遠くないダンジョンに行きたいと二人に告げた。
馬車でダンジョン付近の街へ向かうとメリッサが話した時、それよりも早い方法があるとタナリスが進言。
ここでは場所が悪いので、街から少し離れた草原に移動することに。メリッサは彼女の言葉を不信に思いながらもついていった。
そして目的の場所に辿り着いた三人。タナリスは周囲を見渡して誰もいないことを確認してから、バージルに振り返った。
「それじゃあバージル、ダンジョンまでよろしく」
「俺を便利なタクシーだと思っているのか?」
「そう堅いこと言わずにさ。運賃ぐらいは払ってあげるから」
「……高くつくぞ」
嫌な顔を見せたバージルはであったが、最後は舌打ちしながらも承諾し、コートの下からお面を取り出した。
「いったいどういうつもり? まさかその男が私達を担いで走るだなんて言い出さないわよね?」
「鋭いね。正確には僕らが乗ってバージルに走ってもらうのさ」
「はっ?」
話の意図が見えず首を傾げていたメリッサだが、タナリスの言葉でますます困惑した様子に
一方でバージルは手に持っていたお面を顔につけ、魔力を込める。瞬間、彼の身体がまばゆい光に包まれた。
思わず目を瞑るメリッサ。彼女が目を開いた時には光が収まり、バージルの姿が忽然と消えていた。
代わりにあったのは、銀色のたてがみが輝く青い狼。
「これが馬車よりも早い超特急便さ。乗車人数は二人まで。乗り心地は好みによるかな」
狼バージルを手で差してタナリスは紹介する。よもや人間が狼に変身できるなど思いもしなかったであろう。メリッサはバージルの姿を見て言葉を失っている様子。
サプライズが成功したところで、タナリスは狼化について説明を始めた。
「驚いたかい? バージルはお面を被ることで狼に──」
「もふもふぅううううっ! きゃわわわわー!」
「うおっ」
刹那、メリッサは別人のような声を出し、狼バージルへと飛びかかった。
向かってくるメリッサの、恍惚に満ちた顔を見て悪寒に襲われたバージルは、咄嗟にメリッサの突撃を避けた。モフモフたてがみに埋もれる筈だったメリッサの顔は空を切り、草原の地に落ちる。
バージルはすかさず狼化を解除。メリッサが顔を上げた時には狼の姿はなく、彼女は必死に辺りを見回す。
「さっきのもふもふワンちゃんはどこ! どこに行ったの!?」
「ここにいるよ。さっき言いかけたけど、バージルはもふもふワンちゃんになれる魔道具を持ってるんだ」
「狼だ」
興奮している様子のメリッサに再び説明する。しかし彼女の興奮は収まらず、顔についた土を払うことも忘れてバージルに迫ってきた。
「どうしてそれを早く言わなかったのよ! その魔道具はどこで手に入れたの!? ひとつしかないなら言い値で買うわ!」
「鼻息荒くしてるところ悪いけど、これはバージル専用の魔道具らしいんだ。買ったとしても使えないよ」
メリッサを落ち着かせるようにタナリスは間に入って話す。神器であることは当然明かせないので、彼にしか使えない魔道具であると説明した。
それを聞いてメリッサはわかりやすく落ち込んだが、やがて何かに気付いたように目が見開かれた。
「つまりダンジョンまで、さっきのワンちゃんに乗せてもらえるの!?」
「そういうこと」
「大好きなモフモフを好きなだけモフモフできるのね! 最高じゃない! はわわーっ!」
どうやら彼女はモフモフに目がない系女子だったようだ。人格が変わったように、メリッサはモフモフワンちゃんに大興奮している。
「バージル、ギルドでは悪かったわね。不躾な態度は頭にきたけど、モフモフワンちゃんになれるなら全部許してあげるわ」
そしてバージルに対して熱い手のひら返し。モフモフさえ堪能できればなんでもいいとメリッサは告げる。
しかし、それを聞いてバージルが進んでモフらせてくれる筈もなく。
「今日の便は運休だ。ダンジョンには馬車で行く」
狼化した途端に突撃してきたメリッサの顔。それが例の聖騎士にどことなく似ており、身の危険を抱いた彼は狼化を拒んだ。
「えーっ? また街に戻るの面倒だよ。それに、馬車でわざわざ村に寄ってから徒歩でダンジョンに行くよりも、君が狼になって直接行った方が数倍早いでしょ」
「貴様はともかく、そこの女を乗せる気はないと言っている。想像しただけでも悍ましい」
「モフるとしてもたてがみでしょ? 人間感覚で言えば髪を撫でられる程度なんだから、それくらい我慢しなよ」
「だとしても、好き好んで人に髪を触らせる趣味はない」
「意固地だなぁ。じゃあメリッサさん、悪いけど乗ってる間はモフるの我慢してくれるかな。この子、撫でられるのはあまり好きじゃないみたいでさ」
折れる気がないと見たタナリスは、メリッサに提案を持ちかけた。モフモフを目の前にしながらモフることを禁じられる。モフモフ好きにはさぞ辛い条件であろう。
メリッサは苦悶の表情を浮かべていたが、やがて声を絞り出すように答えた。
「わ、わかったわ。私にとってはモフモフに乗せてもらえるだけでも御の字だし」
「ということでバージル、これなら構わないよね?」
触られる問題は解決したと、タナリスはバージルへ向き直った。彼女の後ろにいるメリッサは、期待に満ちた表情でバージルを見ている。
確かに解決はしたが、モフられる危険性が完全に無くなったわけではない。しかし、狼になって走れば効率よくダンジョンを回れるのも事実。
「少しでも触った場合、貴様等をまとめて放り捨てる。それでも構わないならさっさと乗れ」
バージルも苦渋の決断を下し、狼化を選択した。彼は再びお面をつけ、狼の姿へと变化する。
再びもふもふワンちゃんの姿を拝められ、メリッサは声にならない歓喜の悲鳴を上げたが、モフりたい衝動をグッと堪えるように深呼吸をした。
「えぇ、精一杯努めるわ。その代わり……お耳をプニプニしてもいいかしら?」
「その手を噛み千切られる覚悟があるならな」
警告を残し、バージルは彼女から視線を逸らす。乗ってもいいという合図だと理解した二人は、メリッサが前に、タナリスが後ろになるよう狼バージルの背に跨った。
「はふぅあ……!」
「感動してるところ失礼するけど、ホントに速いからたてがみにでも掴んでいた方がいいよ」
「えぇっ!? い、いいの!?」
「おい」
乗って早々タナリスからお触りを促されたメリッサ。約束が違うとバージルは文句を言おうとしたが、彼の言葉を遮るようにタナリスが話してきた。
「安全運転してくれるなら掴む必要はないけど、どうせそのつもりはないんだろう? それともシートベルトでも用意してくれるのかい?」
彼女の言葉にバージルは口ごもる。彼としてはさっさと降りて欲しいので早くダンジョンに行きたいが、その為に乗客の二人は猛スピードに耐えるべくしがみつかなければならない。
速度を落として進むならしがみつく必要はないが、その場合メリッサを乗せる不愉快な時間が長く続いてしまう。
バージルの選択肢は二つに一つ。熟考した彼は、絞り出す声で答えた。
「……たてがみだけは許す。だが少しでも変に触ろうとしたら降りてもらう」
「だってさ。やったねメリッサさん」
「ほ、ホントにいいのね! じゃあ遠慮なく……」
バージルから許可を貰ったメリッサは、恐る恐るたてがみに触れた。
「も、もふもっ……! もふもふ……!」
モフモフを直に触って声を震わせるメリッサ。バージルはその声を聞き、全身の毛がゾワリと立つ感覚を抱く。
顔を見ていなくともわかる彼女の表情。きっと例の変態聖騎士と同じ、恍惚に歪んだものとなっているであろう。
やはり彼女を乗せるのは間違いだったかもしれない。バージルは今更ながらに後悔を覚えた。
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メリッサ案内のもと、二人を乗せてダンジョンにひた走ることとなったバージル。
走っている間、約束通りメリッサはたてがみ以外触ろうとはしてこなかったが、彼女の変態チックな声が度々背後から聞こえていた。
この不愉快な時間を少しでも早く終わらせるべく、メリッサの示した方向へ最短距離で走ったバージル。その間、彼のフラストレーションは溜まるばかり。
そして、ダンジョンに着くまでに溜まりに溜まったフラストレーションは──。
「
ダンジョンに蔓延るモンスターへ向けられた。
人間形態に戻っていた彼は、道を阻むモンスター達を刀で次々斬り裂いていく。その姿はまさに鬼神の如し。
ダンジョンに深く潜れば潜るほどモンスターのレベルも高くなっている筈だが、バージルは変わらぬ速度で敵を狩っていった。
その様子を少し離れた場所で見ていたメリッサとタナリス。大好きなモフモフに触れたからか、メリッサの顔艶は出発前より良くなっていた。
「噂には聞いてたけど……強すぎない?」
「これでもまだ序の口さ。もっと広い場所で敵も多ければ本領発揮できそうだけど」
「特別指定モンスターをソロで討伐したって話も、どうやら間違いじゃなさそうね」
バージルの実力は御眼鏡にかなったのか、メリッサは感心した様子でバージルの戦闘を見守る。
そこらの冒険者とは一線を画す実力の持ち主。顔も整っている。そしてモフモフのワンちゃんになることができる。
「(蒼白のソードマスター……これは是非とも手に入れたいお宝ね)」
トレジャーハンターとしての本能を刺激され、メリッサは獲物を狙う目でバージルを見ていた。
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バージルの殲滅力、メリッサのお宝探索能力を駆使して、あっという間に最初のダンジョンを攻略した三人。因みにタナリスは何もしていなかった。
時間に余裕があったので次のダンジョンへ向かうことになり、再びメリッサ達を背に乗せてバージルは走った。
その間にフラストレーションが溜まり、ダンジョンで発散し、また移動で溜まり……その繰り返しとなった初日。
四つのダンジョンを攻略したところで引き上げとなり、三人は最寄りの村へ。そこの宿に泊まることとなった。
夕食も風呂も済ませ、宿泊する一人部屋に戻ったバージル。彼はベッドに腰を下ろし、深く息を吐いた。
「(……疲れた)」
半人半魔の驚異的な回復能力は、精神的疲労には効果がなかったようだ。
ダクネスのプレイに付き合わされた後と似たような疲労感に襲われていた彼は、さっさと寝るべくベッドで横になる。
しかしその時、それを阻むように部屋の扉からノックの音が鳴り響いた。
「バージル、まだ起きてるかしら?」
扉の向こうから聞こえてきたのはメリッサの声。たまらずバージルは舌打ちをする。
その音を聞いてか、メリッサは返事も聞くことなく扉を開けて部屋に入ってきた。
「貴方の働きっぷり、見事だったわ」
メリッサは彼を褒めながら近寄り、隣に座る。見せつけるように足を組んでいたが、バージルにお色気攻撃は通じない。
「一日だけって最初は考えてたけど、撤回するわ。引き続き、私のダンジョン探索に付き合ってくれるかしら」
「俺は一日だけでも構わんが」
「つれないこと言わないで。貴方達だけじゃお宝探しは苦労するし、お宝の価値もわからないでしょ」
メリッサの言葉にバージルは言い返すことはせず。彼女は自身を名だたるトレジャーハンターだと自負していたが、その実力は持ち合わせていた。
お宝のある場所を素早く感知し、トラップの察知も早い。そしてお宝の良し悪しも、彼女には判断できていた。
「貴方のことを買ってるのよ。今回だけでなく、これから先も私と協力してくれると嬉しいわ」
そんな彼女から協力関係の締結を持ちかけられた。妖艶な彼女から甘い声で頼まれたら、普通の男ならば喜んで首を縦に振ったであろう。
バージルはメリッサから視線を外しつつ返答した。
「宝探しの人材なら間に合っている」
「……クリスのことかしら?」
バージルには既に協力関係の盗賊がいる。メリッサがいなければ彼女に宝探しを手伝ってもらえばいい。
しかしメリッサも簡単に引き下がるつもりはないようで。
「あの子より私の方がお宝について詳しい。利用価値は高いと思うけど?」
「いちいち煩い貴様よりはマシだ。それに、奴には借りがある。剣士が欲しいなら他を当たれ」
彼女が下手に出ようとも、バージルの意見が変わることはなく。彼は冷たく彼女を突っぱねた。
これ以上しつこく絡むつもりなら無理矢理追い出してやろうとバージルは考えていたが──。
「ふぅん……そういうこと。いいわ、さっきの話は忘れて。知り合いのモノを奪うほど悪趣味じゃないし」
先程とは打って変わって、メリッサはあっさりと引き下がった。バージルは不思議に思ったが、大人しく帰ってくれるのならそれに越したことはない。
「話は済んだか」
「いえ、もうひとつあるわ」
が、メリッサの目的はまだ残っていたようだ。むしろここからが本題なのか、彼女の表情が真剣なものに切り替わる。
真面目な話だとみたバージルは、外していた視線をメリッサに戻す。メリッサは意を決するように息を呑んでから、バージルに告げた。
「モフモフさせて」
「帰れ」
聞くだけ無駄な話であった。当然、バージルの返答はNO一択。
「ほんの少しでいいの! お金なら幾らでも払うわ! 一分で千エリス、いえ一万エリス出すわ! だからお願い! あのモフモフワンちゃんのモフモフたてがみをモフモフさせて!」
「一億エリス積まれようと無駄だ。移動中以外では一切触らせん。そして狼だ」
これはしばらく引き下がらないと見たバージルは、メリッサの首根っこを掴んでベッドから引きずり下ろす。そのまま扉の前まで歩き、扉を開けると彼女を部屋の外へ放り捨てた。
即座に扉を閉めて鍵をかける。バージルは扉へ背中を預けると、深くため息を吐いた。
「……この世界には狂った奴等が多過ぎる」
全部合わせてもう90話近くですが、どうしてバージルとこのすばを絡ませようと思ったのか未だに思い出せません。