この素晴らしい世界で蒼い悪魔に力を!   作:(´・ω・`)

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第65話「この貴族屋敷に潜入を!」

 白いカーテンの隙間から、淡い陽の光が差し込む明朝。

 王都の宿屋で一晩過ごしたクリスは、既に寝間着から着替えて普段の服装に身を包んでいた。

 黒いグローブを手にはめ、隣のベッドに目を移す。ぐっすり眠っていたゆんゆんであったが、クリスの着替える物音で目が醒めたのか、上体を起こして目を擦っていた。

 

「おはよう、ゆんゆんちゃん。よく眠れた?」

「ふぁい……おはようございます……早いですね」

「早起きには慣れてるからね。アタシはバージルを起こしてくるから、ゆんゆんちゃんはゆっくり準備してたらいいよ」

 

 眠たげなゆんゆんを横目に、クリスはそう伝えてから部屋を出る。

 この時間帯に起きてくる人は少ないのか、廊下に通行人は見当たらない。寝ている宿泊客を起こさないよう、静かに廊下を歩く。

 階段を下り、ひとつ下の階へ。バージルが泊まっている部屋へ着いた彼女は、コンコンと扉を軽くノックする。

 

「鍵なら開いている」

 

 扉の向こうからバージルの声が。許可を得たのでクリスは扉を開け、部屋の中に入った。

 

「おはようございます。バージルさん」

 

 細い通路を抜けて、ベッドのある場所へ。バージルはまだ青いコートを羽織っていない軽装でベッドに腰掛けていた。

 いつもと変わらない表情。しかしクリスは、彼の微細な違和感に気付いていた。

 

「どうかされましたか? 顔色が少し悪いような……」

 

 心配そうに言葉を掛けてくるクリス。本人ですら気付かなかった変化を指摘され、バージルは少し面食らう。だが、思い当たる節はあるようで。

 

「ここ最近、目覚めの悪い夢を見る」

 

 相手がクリスだからか、バージルはその理由を語った。

 

「どこぞの悪魔かモンスターの仕業と睨んでいたが、気配は感じられない。悪夢について調べてもみたが、解決の糸口すら見つからなかった。アクセルの街を離れればと思い、昨日も眠りについたが……」

 

 結果はご覧の通り、だったのだろう。バージルは行き場のないイラつきを表すように舌打ちをする。

 女神といえど、夢にまで介入することはできない。彼に加護をかければ何か変わるかもしれないが、王都にいる今、たとえ二人しかいない部屋の中でも女神の姿を晒すのは避けたい。

 何もできない自分にもどかしさを覚えながらも、クリスは歩み寄るとベッドに腰掛け彼の隣へ。

 

「今の私にはどうすることもできませんが……お話ならいくらでも聞きますから」

 

 クリスは彼の右手を両手で優しく包み込むと、バージルの目を真っ直ぐ見つめる。その淡い光を持つ彼女の瞳に吸い込まれているかのように、バージルは顔を見合わせたまま。

 

 もうひとりの同行人が入ってきたのは、そんな時だった。

 

「すみません! お待たせしました!」

 

 扉がバンと音を立て、寝間着から着替えて髪も整えたゆんゆんが急いだ様子で二人の前に現れた。が、目に映った情景に彼女は言葉を失う。

 バージルとクリスがベッドに腰掛け、超至近距離で、クリスはバージルの手を握っている。かたやバージルはコートを羽織っていない。

 全てを理解したゆんゆんは、顔を真っ赤にしながらも咄嗟に頭を下げた。

 

「お、おおおお邪魔してすみませんでした! すぐに出ていきますので、ごごごごごゆっくり!」

「待ってゆんゆんちゃん! そういうのじゃない! そういうのじゃないから!」

 

 

*********************************

 

 

 ゆんゆんの誤解をどうにか解いた後、三人は朝食を済ませて宿を出た。

 今日の夜、いよいよ決行となる屋敷への潜入。その為の準備として、クリスは二人を連れてある場所へ。

 

「こんにちは店主さん」

「あらクリスちゃん、昨日ぶりね」

 

 前日にバージルと訪れていた衣装屋である。掛けられていた服を整理していた店主にクリスは挨拶をかわす。

 

「今日はどうしたのかしら? またコスプレしに来てくれたの? メイド服にする? 制服にする? 貴方ならドレスも似合いそうだけど、どう?」

「いや、今日は服を調達しに──」

「というかその子は誰!? まだ幼気のある顔立ちなのに発育抜群な美少女は!? 紅い目ということは紅魔族かしら!? ねぇ君! ちょっとだけでいいからコスプレさせていい!? ちょっとだけ! ちょっとだけでいいから!」

「へっ!? え、えっと、こすぷれ? っていうのは知りませんけど、ちょっとだけでいいなら──」

「店主さん落ち着いて! ゆんゆんちゃんも勢いに押されない! 今日は、気になる服があったから買いにきたんです」

 

 興奮する店主を宥め、脱線しかけた話を戻すクリス。魔導カメラも構えて準備万端な店主であったが、我に返ったことでカメラを下ろす。

 

「あらごめんなさい。可愛い子を見るとついつい興奮しちゃって。服なら好きなだけ見ていって頂戴」

 

 そう言って店主はクリス達の前から退く。許可を得たところで、バージルはメンズコーナーへ。ゆんゆんは物珍しい服屋に興味を示したのか、自ら衣装を見て回り始めた。

 残ったクリスも欲しい服を買うべく動き出そうとしたが、ここで店主がクリスのもとへ近寄り、耳打ちで伝えてきた。

 

「安心して。貴方達のことを警察から聞かれても黙っておくから。カメラで撮った写真もバレないよう隠しておくし」

 

 店主の言葉に、クリスは思わずドキッとする。こちらが盗賊であり、衣装購入もその為だと明らかに見破っていての発言。

 しかしそれでもこちらの肩を持ってくれている。良い服屋に巡り会えたなと感謝しながら、クリスは小さく会釈した。

 

 

*********************************

 

 

 店内にあった立ち鏡の前、着替え終えて試着室を出ていたクリスは、前だけでなく背中側も確認する。

 

「うん、やっぱりこれが一番いいかも」

 

 彼女が纏っていたのは、昨日コスプレした衣装の内のひとつである、黒を基調としたメイド服。

 動きやすさは流石に普段の服装より劣るも、こちらは道具を仕込める場所が多い。屋敷に潜入した際に見つかっても、研修中のメイドだと言えば上手くやり過ごせるかもしれない。

 最後に口元を隠す為に使う、いつものマフラーを巻く。自分のを仕立てたところで、クリスは試着室の方へ。

 

 カーテンは閉まっており、前には店主がカメラを手に今か今かと待ち構えてる。

 やがてカーテンが開かれると、そこから着替え終わったゆんゆんが姿を現した。

 

「ど、どうでしょうか?」

「イイッ! 凄くイイわ! 黒の制服に丁度いい長さの銀髪! 紅魔族を象徴する紅い目に合わせた赤のリボンとマフラー! 闇夜に駆ける謎の現役女子高生戦士! 最高にクールだわ!」

 

 ゆんゆんが選んだのは、黒い制服の女子高生衣装。年齢も日本でいえば女子中学生か高校生なので違和感もない。店主も興奮した様子で制服姿のゆんゆんをカメラで収めている。

 

「でも、胸周りがちょっとキツくて……」

「それが制服の中では一番大きいサイズなの。クリスちゃんみたいにちっぱいだったら問題ないんだけど」

「あ、アタシのは小さいんじゃなくて、スレンダーっていうの!」

「気を悪くしたのならごめんなさい。別に悪い意味で言ったわけじゃないのよ。ちっぱいだって需要はあるんだから」

 

 飛び火で胸の小ささを弄られクリスは声を荒げる。それ以上は噛みつかなかったが、少々ご機嫌斜めな様子で口を尖らせている。

 そんな時、もうひとりも合流してきた。

 

「着替えは済んだか?」

 

 背後から聞こえてきたバージルの声。クリスはそちらを見て声を返そうとしたが、彼の姿を見て思わず言葉を呑んだ。

 象徴とも言える蒼の要素はどこにもなく、代わりに纏っていたのは黒いコートと黒いマフラー。裾も腰元より少し下までしかない。

 コートを変えてマフラーを巻いただけなのにここまで雰囲気が変わるのかと、クリスは感心すら覚えた。

 

「あら、男性物は少なかったのに随分合うのがあったわね。記念に一枚撮ってあげる」

 

 男のコスプレには興味を示さないのか一途なのか、店主はクリスやゆんゆんの時と比べると随分冷めた様子で写真を撮る。バージルもがっつかれないで幸いだと思ったのか、特に何も言わなかった。

 三人の潜入用衣装が決まったところで、クリスはゆんゆんの分も含めて、バージルはバージルで衣装代を支払い、店を後にした。

 

 

*********************************

 

 

 衣装を買い終えた三人は、夜の潜入作戦に向けて会議をするべく場所を移す。

 宿に戻って宿泊部屋でするのが一番かとクリスは考えていたが、ゆんゆんから行きたい所があると要望を受けた。

 行き先に対して、バージルは反対せず。クリスも彼女のお願いを断ることはできず、彼女の言う目的の場所へ向かった。

 

 

 

「お待たせしましたー! イチゴのケーキにひとくちチョコアイス、フルーツ大盛りスペシャルパフェになりまーす!」

 

 訪れたのは、昨日クリスとバージルが立ち寄った喫茶スィート甘々亭であった。

 店の一番奥の席に着いた三人の前に、店員が注文を受けたスイーツを置いていく。ゆんゆんにはホール状だが小さめサイズのケーキ、クリスにはお手軽アイス、バージルには大きなパフェ用ガラスにこれでもかと敷き詰められたパフェが。

 ゆんゆんはケーキを頬張ると、ほっぺに手を当て幸せそうな表情を浮かべる。バージルも淡々と食べてはいるが味を噛み締めている。絵面だけ見れば、ほんわか楽しいスイーツ会に見えなくもないであろう。

 

「それじゃあ、早速打ち合わせしていこうか」

 

 運ばれてきたチョコアイスを指で摘んで口に放り込んだクリスは、自ら仕切りを担当して話し合いを始めた。

 

「今日潜入するダンジョンにはモンスターの見張りがある。潜入方法はアタシだけとバージルも同行しての二パターンを考えてあったんだけど、折角アークウィザードのゆんゆんちゃんがいるんだから、新しいパターンを考えたいんだよね」

 

 周囲にバレないよう、潜入先はダンジョンだと偽って話を進める。

 冒険者が酒場や喫茶店等でクエスト出発前の打ち合わせをするのは何ら不思議ではない。店員や他の客からは怪しまれている様子は無い。

 いや、怪奇の目で見られてはいたのだが、それは別の原因なので無視することに。

 

「ゆんゆんちゃんは、潜入に使えそうな魔法って覚えてる?」

「え、えっと、気付かれないようにってことなら『ライト・オブ・リフレクション』がありますけど」

「それってどんなの?」

「光を屈折させて、一定範囲から外にいる相手からは自分を見えなくさせる魔法です」

「透明になれるってこと!? 超うってつけだよそれ!」

 

 一発目から相性ピッタリの魔法が出たことで、クリスは思わず声量を上げて反応する。

 

「それにアタシの『潜伏』を加えたらもう透明人間だよ! 流石だねゆんゆんちゃん!」

「でも、中で明かりは灯せないので、暗い場所を歩く時には使えないんです」

「心配御無用! アタシの『暗視』スキルがあれば真っ暗闇でもへっちゃらさ。索敵も『敵感知』スキルと、バージルの察知能力があるし」

「そ、そうですね! もし敵と遭遇しても私と先生で叫ばれる前に沈めてしまえば──」

「うん、鉢合わせないように潜入するから沈めるとか怖いこと言わないで」

 

 明らかに教師の悪影響を受けているゆんゆん。やる気を見せているところで悪いと思いながらクリスは言葉を返す。

 

「あっ、そうですよね。ごめんなさい……にるにるさんから貰った武器は試せそうにないなぁ」

「武器? あの銃か?」

 

 俯いていたゆんゆんの呟きが聞こえたバージルは、既に三分の一まで食べていたパフェへの手を止める。

 

「いえ、それとは別で作ってくれたんです。魔王軍幹部のシルビアと戦っていた時に、私が斬った触覚を使っているらしいんですけど」

「ほう、悪魔もどきの奴を素材にしたか」

「ちょっと待って。凄く危ない単語が聞こえたんだけど」

 

 完全ではないが、悪魔の力を宿していたシルビアを素材にした武器。それはバージルの知る『魔具』に似た物であろう。

 

「どうやらシルビアが取り込んでいた魔術師殺しの能力も備わったみたいで、魔法を相殺することができるんです!」

「使うのは勝手だが、精々力に飲まれんことだな」

「魔術師殺しを取り込んだ悪魔もどきの魔王軍幹部を素材にって どれだけ物騒な武器持たされたの!?」

 

 独り会話についていけず取り残されるクリス。それから紅魔の里での話へと発展し、喫茶店での打ち合わせは予定より大幅に遅れることとなった。

 

 

*********************************

 

 

 喫茶店での打ち合わせを終えた三人は、ひとまず宿に戻り休息へ。夕食もそこで済ませ、時間を待つ。

 そして、月が昇り住民が夢の中へと誘われた夜更け。クリス達は、目的地であるアルダープの屋敷へ向かっていた。

 

「静かに……ゆっくり行けば大丈夫だよ」

「は、はひっ」

 

 今回が初ミッション故に緊張を隠せないゆんゆんへ、クリスは落ち着かせるように語りかける。

 一方でバージルは一切言葉を掛けることはせず、静かにクリス等と歩を合わせて進む。

 三人は離れず固まり、ゆんゆんはクリスの右手を強く握り、バージルはクリスの左肩に手を置いている。クリスの『潜伏』を二人にも付与させるためだ。

 打ち合わせ通り、ゆんゆんは『ライト・オブ・リフレクション』を使用。バージルは感覚を研ぎ澄ませて索敵。即席の盗賊団であったが、潜入にはこれ以上ない組み合わせであった。

 

「順調順調。これもゆんゆんちゃんのおかげだよ」

「い、いえ。少しでもお役に立てたのなら幸いです」

 

 警備の目を潜り抜け、三人は屋敷の側面の壁まで辿り着く。屋敷内に明かりは灯っていない。

 クリスは慣れた手付きで窓の鍵を開けると、最終確認を行った。

 

「じゃあ打ち合わせ通り、バージルはこの窓から。アタシはゆんゆんちゃんと反対側に回って潜入」

「で、私は『ライト・オブ・リフレクション』をかけたまま待機ですね」

「その通り。魔力をあまり消費させないよう手早く済ませるつもりだけど……」

 

 クリスはそう言うと、目の前に立つ屋敷を見上げる。

 

「なーんでだろうね。確かにお宝の気配は中から感じるんだけど、それ以上に嫌な予感がするというか」

「私も同じことを思ってました。というか覚えのある魔力を感じていて……」

「だが、退くわけにもいかん。先に行かせてもらうぞ」

 

 第六感でただならぬ気配を感じ取っていた三人であったが、行かなければ事は進まない。

 バージル自ら先陣を切り、クリスが開けた窓から屋敷内に入っていった。

 

 

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 クリスとゆんゆんの気配も遠ざかっていったのを感じたバージルは、窓から屋敷内へと目を向ける。廊下に通じていたが、人の気配はない。

 しかし、彼は感じ取っていた。屋敷内にある魔力。ひどく覚えのある、明るく眩しく鬱陶しい自称妹の魔力を。

 

「(何故奴がここに……いや、奴だけではあるまい)」

 

 彼女がいる時は大抵、残りの三人もセットで付いてくる。内一人は王城生活を満喫していると思っていたが、どういう経緯でアルダープの屋敷に行き着いたのか。

 だが、彼等と鉢合えば面倒な事態になるのは火を見るより明らか。特に今感じている魔力の主には合わないよう、屋敷内を歩き出す。

 

 彼に盗賊の持つ『宝感知』はない。故に直感で、当然人の気配がない部屋を探索していく。

 しかし、どこにも例の女が持つ神器以外の魔力は感じられない。もう一つの目的でもある例の気配もない。気になる物があったとすれば、何故か鏡面が砕かれガラスの散っていた部屋のみ。

 二階に上がり、ここに無ければ屋敷を出るかと考えながらバージルは扉を開ける。訪れたのは、他の部屋よりも豪勢な装飾が施された広い寝室。

 扉を閉め、バージルは部屋の中央へ。感覚を研ぎ澄ますも、部屋の中に神器らしき魔力は見つからない。

 

「(収穫はゼロか)」

 

 盗賊に付き合ってやった意味がないなと思いながら、彼は部屋の中を歩く。と、彼はある物を見つけた。

 壁に取り付けられた、巨大な鏡。曇りない鏡面は、窓から差し込む月の光をもって、鏡面の前に立つバージルの姿を映し出す。

 以前、クリスと行ったダンジョンにもあった鏡だが、結界の類ではない。鏡に触れるが何も起こらない。

 何の変哲もない身支度用の鏡なのだが──。

 

「……チッ」

 

 最近見る悪夢の影響か、その鏡はバージルにとって嫌な記憶を掘り起こさせていた。

 思い浮かべるは、王室にあった鏡の前に立つ自分と瓜二つの男。雷を纏う剣を背に、軽口を叩く紅き男。

 その男の前に立つ、漆黒に身を縛られた──。

 

「──ッ!」

 

 刹那、バージルは咄嗟に鏡から視線を外して部屋の扉を見る。

 感じたのは人の気配。この部屋の主であろう。徐々にこちらへ近付いている。バージルは静かに歩を進めて扉の前へ。

 敵に見つからないのが最善であるが、たとえ見つかっても、声を出される前に気絶させればいい。息を殺して相手を待つ。

 廊下を歩く足音は次第に大きくなり、やがて止んだ後、ドアノブを回す音が鳴り扉が開かれる。瞬間、バージルは扉を開けた人物へと襲いかかった。

 

 ──が、彼は人並み外れた反射神経で襲おうとした手を止めた。いや、止めてしまったというべきか。

 

 彼の前に現れたのは、あまりにも露出の多いネグリジェ姿に身を包んだ、女性として理想の体型を誇る金髪の女性。

 

「ば、バージル……なのか?」

 

 鉢合わせたくなかった内の一人、ダクネスであった。彼女は酷く驚いた様子でバージルを見つめている。

 すぐに逃げるべきか、それとも気絶させるか。彼が生理的抵抗感と戦っている最中、ダクネスは冷静さを取り戻し、自分が置かれている現状を把握する。

 この夜更け、自分が泊まっている寝室に、どういうわけかバージルが侵入し、ネグリジェ姿の自分を襲おうとしてきた。

 導き出される答えは、ただひとつ。

 

「まさか、眠っている私にあんなことやこんなことをするべく夜這いをしにきたのか!?」

「damn it!」

 

 彼は、人生で何度目かの窮地に立たされた。

 




そういえばラッキースケベイベント書いてなかったなって。

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