デート・ア・ライブ 〜 零乃スペルカード 〜【リメイク中】 作:蹴翠 雛兎
にしても。
な、長かった、ここまで来るの…!
それはともかく、第十四話 異変の始まり《結》。どうぞ!
「––––桜を守る近衛兵…いや、天狗の里の皆が…倒れておる」
溢れるように出た、天馬のおじいちゃんのその言葉。
おそらく、驚いているのだろう。
何せ…。
「本当ですか…!?あの天狗達…しかも、あの、天馬さんとミデンが直々に選りすぐった桜の警護団、桜花の近衛兵団の方々も倒れているというのは!?」
––––そう、白さんの言う通りだった。
元々、この桜、花が満開になり、天気が良く、月も満月になると、花びらがまるで宝石のようにキラキラと綺麗な輝きを出すのだが…。
それが原因か、この桜に惹かれて、凶暴な妖達や、この桜を盗もうとする輩がやってくるのだ。
その為、そう言う妖達などの輩を見つけることに、紫、幽々子、私、幽香、私達は追い払っていたのだが…。
いつからだったかは覚えてはいないが、途中、疲れてへばってしまった。
しかもその主な原因が、かなりの出現頻度と量により使い込んでしまった結果によって起こる妖力・霊力・体力切れ。
その為、《このままでは私達が倒れてしまう》と心配した天馬のおじいちゃんが、上級妖怪くらいならば普通に倒せる実力を持つ天狗達を集めて桜花の近衛兵という桜を警護する団体を作ったのだが…。
「そうじゃ…信じがたいことに、全員…倒れておる……。幸い、全員死んではおらんようだが…」
––––現状…天馬のおじいちゃんが先程言った通りである。
もう一度言おう。
桜花の近衛兵団の天狗達は、
それはつまり、近衛兵達が三、四人いれば、私の能力を一つ全解放しても、余裕で抑え込むことが可能であり、それは同時に低級の荒神をも抑え込むことが可能なことを意味する。
荒神、しかも、低級とはいえ、
「一体、誰がやったんだい…!?」
そう言って驚く勇儀達。
けれど、私はもう目星をつけていた。
「…あなたでしょ。近衛兵団や天狗達を…ここまで来るまでの道中の人たち、倒したの」
「「「ッ!?」」」「ッ!ミデン、それって…!」
「天狗とか、近衛兵団が何かわからないけど…そうだよ!」
私の問いに全員が驚く中で、平然として、されど嬉々として答える少女。
おそらく、予想が正しければ、この少女の中で天狗達と
その証拠に…。
「ちゆりが遊んで言ったら、遊んでくれたんだ〜」
この子は遊んでもらったと思っている。
この子の精神は幼く、どう考えても、子供の考え方だから。
むしろ、かなりの力を持っているが故に、本来の考え方より、更に危なくなっていると言っていい。
「お姉ちゃん、すごーい!なんで、ちゆりが遊んでもらったってわかったの!」
「まぁ…ね」
そう優しく、口で軽く返すものの、内心では私は冷や汗かきまくりだった。
相手が子供だから単純なのだが…。
しかし、裏を返せば、相手が子供だからこそ、思いついたことをすぐさま行動する可能性があり、何をして来るかわからない。
––––正直、何を来るかわからない。
その感想が一番なのだ。
「…うん、決ーめた♪お姉ちゃんを捕まえて、
私の方を向いてそう言うと、少女はにこりと笑う。
––––何かくる!それもやばい奴が…!
そう思って、警戒し逃げたのだが…しかし、それがダメだったのだろう。
…いや。
もしかしたら、どちらにせよ、そうなっていたのかもしれない。
だから、結果を先に言うと。
––––私が動いた時にはもう遅かった。
「いっくよ!《
––––そして。
「まずいっ…!!ミデン!」「ミデンさん!」
––––紫と白さんが能力を使うも…。
「「…ッ!」」「やばいわね…!」
––––萃香と幽々子、幽香が少女に攻撃して阻止しようとするも…。
「ミデンッ!捕まれ!」「ミデン、手を伸ばせ!」「くっ!?」
––––天馬のおじいちゃんや勇儀、霖之助さん達が手を伸ばし、私を、私の手を掴もうとするも…。
「やっちゃえ!〈
––––私は誰一人の手––––助けの手すらも掴むことができずに。
「しまっ…」
「ミデエエエエエエン……」
––––皆んなの叫び声を聞きながら。
「皆んな!助け……て………」
––––何かに吸い込まれてしまい、そして、同時に気を失ってしまった。
––––そして。
気がつくと。
私は。
「––––えっ…。こ…こ…ど、こ。み……んな…は…?」
見知らぬ街の中にただ一人、雨降る中、路地にポツンといた––––。
いかがでしたでしょうか?
次回、間話を挟んで、その次に、原作に入ります。(本編に入るとは言っていない)
それでは次回も楽しみに!