デート・ア・ライブ 〜 零乃スペルカード 〜【リメイク中】   作:蹴翠 雛兎

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第十二話 異変の始まり《承》

「––––ねぇ、みんな。これから話すこと。ちゃんと受け止めて、聞いて。それで…誰も、誰にも言わないで。特に…妹には、チルノには絶対に…。約束して」

 

私のその言葉に全員が頷く。

 

––––正直、妹がこれから話す事を知れば、悲しみ、泣き続け、そして、そのうち、色んな意味で壊れてしまう可能性があった。

 

だからこその私の頼みで、願いだった。

 

そして…それに、みんなが頷いてくれた。

 

もうこれで––––。

 

「それじゃあ、話すよ…?」

 

…そして、私は語り始めた。

 

 

「どこから話そうかな?とりあえず、まず–––––––」

 

 

「…えっ…そんな……」

「そんな……嘘よ。きっと嘘よね…そんなの……」

 

 

このどうしようもないことを。

 

 

「––––––––。それでさ…––––––––」

 

 

「……もう、なんとかならいのですか……?」

「………っ…!ミデン、あんたどうして、そんなことを今…!」

「…ミデン、もしこれが嘘なら、いつも通りあんたをぶっ飛ばしてたけど…これ、嘘じゃないんだよな…?…嘘だ、と言ってくれよ……」

 

 

知りたくなかったことを。

 

 

「……–––––––––?でも…–––––––」

 

 

「…僕達では、どうにか出来る問題ではないな。少なくとも……僕達には無理だ……」

「…これほどまでとは……なぜ、長い間、愛娘といて、わしは……!」

 

運命を。

 

「––––––––。けど…–––––––」

 

「…ミデン」

 

語った。

 

「––––––––だから、私…」

 

「––––もう、それ以上なにも言わなくても大丈夫よ…ミデン」

 

紫は、そう言うと、顔を上げて月を見る。

 

「……本当。本当、残酷な話ね…。幻想郷はこんな事実すらでも受け入れてしまうのだから。本当に、残酷な話だわ…」

「紫…」

「…もし、もしも、ミデンをこうした運命の神様が生きているのなら、どんなに無謀だとしても殺しに行きたいですわね。ですが…」

 

–––紫の言わんとすることはわかった。そして、その心中も。

そして、それはみんなも同じはずで…。

 

「…紫、みんな、ごめん」

「ミデン…あなたが謝る必要はないわ。…ただ、もう少し早く話して欲しかったわね」

 

思わず、私の口から出た言葉に、紫はそう言うと、目を閉じる。

 

「……ねぇ、ミデン。貴女に残された()()は後どれくらいなの…?」

「…正確には分からない。でも、長くても、あと二年持つかどうかくらいで…、もしかしたら、一年持たないかもしれない」

「そう…」

 

そう言うと、紫は静かに、ゆっくりと目を開け、この場所で綺麗に咲き誇ってる、たった一本の桜を見る。

 

「…この桜を植えたのは、確か、貴女と出会ってから十年目の春だったわよね……?」

「…うん。紫が見つけてきた、宝石に包まれている不思議な桜の種を、幽香と幽々子が苗木まで育てて、そのあと、私がここに植えたんだよね……」

「そうだったわね…。苗木にするまでの時に、理由もなく枯れかけた時は、慌てたけど…でもその後、色々と試してなんとか元に戻って一安心した記憶があるわ」

「私もこの桜を育てる為だけに、妖忌に幾度なく、桜の育て方を聞いてたっけ…」

「懐かしいわね…」

 

そう言うと、全員が静かになる。

 

みんな、私と居た色んな思い出を、思い出を思い出しているのだろう。

 

この後、私の身に起こるであろう出来事を思い出したくないから。

 

「…ミデン。本当になんとかならないの?」

「ううん…。ほとんど、どうしようもない。助かる可能性も…零では無いけど…少なくとも、助かる為には、三年くらい、時間が必要で…もし、それまで私に時間があったら、魅魔がなんとかしてくれてたんだけど…」

「…じゃあ、魅魔がこの宴会に来てないのは……」

「…うん、少しでも…少しでも早く、私に残された時間に間に合わそうとして、魔界で………」

「魅魔さんがいなかったのは、そう言う事だったのですか…」

 

(つくも)さんがそう言うと同時に、萃香がポロポロと泣き始める。

 

「私…私、嫌だよ…。ミデン、私、嫌だよ…。昔、よく私と飲みあって、喧嘩して、二人して仲良く、天馬に怒られてさ。なのに…こんなの、あまりに酷いじゃないか…」

「…萃香、あんた……」

 

萃香の言葉に、悲しそうに、ポツリと呟く勇儀。

そして、それに釣られて、幽香や幽々子、紫までもが、涙ぐみ、言葉を震わせて、吐き出し始める。

 

「…それ言ったら、私だって嫌よ。今度帰ってきたら、ってせっかく貴女の為に花を育ててたのに、急にこれなんて…」

「…ねぇ…ミデン、貴女が帰って来ると、必ずって言って良いほど、宴会の後に私と紫と一緒に、冥界で桜を見ながら、ご飯を食べてたわよね…。今回も…そうなると思っていたのに…」

「…私もよ。ミデン、貴女が旅をしている間に色んな事があって、だから、それを酒とご飯の肴にして、わいわいしようと思ってたのに…こんな…こんな…こんな、の、あんまり…よ…」

 

そういい終わり、泣き始める三人。

けど…。

 

「…けど…それは…私だって……」

 

 

 

しかし、私のそこまで言いかけたその言葉は。

 

 

 

 

 

「––––ねぇ、遊ぼ?」

 

 

 

 

 

 

そのたった一言で打ち止められた––––。




いかがでしたでしょうか?

今後の予定としては、後編でミデンリターンを完全に終わらせて、間話を挟んで、デアラに行くつもりです!

ただ、後編が、いつ、書き終わり、投稿できるか、分かりませんが…。
ただ、それまで、待ってくれると嬉しいです!
では、次回をお楽しみに!

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