蒼白コントラスト   作:猫パン

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お久しぶりです。
前回の投稿から………覚えてないや。

まあ、かなり期間が空きました。
受験に落ちたり、学校行事行ったり、テストしたり。
就職活動したり。
高校卒業が近付くにつれて忙しさも倍増していきます。

大変ですわぁ。




今回は多忙すぎて短くなってしまいました。


第五話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後。

家の用事を片づけ学園へと帰ってきたセシリアと共に、一夏はとあるスーパーへ来ていた。

というのも一夏は、夏休みに全員が集まれる日も限られるという事でちょっとしたパーティーを開催するつもりだった。

という訳で、一夏はセシリアを連れて食材や諸々必要になる物の買い出しに来ていた。

 

 

「夏休み…皆で食べれるもの…鍋…」

 

「ちょっと待とう、何故そうなる。」

 

2人で仲良くカートを押しながら、時折はっちゃけるセシリアにツッコミを入れる一夏。

そんなことを言いながらも、食材からお菓子類までもカートに入れていく。カートを少し覗き込めば、そこにある物はキャベツや人参や大根、パスタからうどんや豚肉等々。カートの中を見た限りだと、何を作るのか皆目検討も付かないものばかりだ。

 

 

「こうして食材の買い物をするのも久し振りですわね…」

 

「そうだな…ざっと2年ぶりと言った所か」

 

というのも2人は、部隊に居る頃は自分を含めた隊員達の分まで買い出しに行っていた。

それ以来、食材の買い出し等来ていないのだ。

 

 

「さて、こんなもんか?」

 

「はい。これだけあれば十分に足りると思いますわ。」

 

そう言いながら、一夏とセシリアはカートを押してレジの列へと並んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

「………」

 

ドキドキとしながらも、それを見つめるシャルロット・デュノア。と言うのもシャルロット自身異性の家に来ること等1度も無かったからだ。

 

『織斑』と書かれた表札をマジマジと見つめ、その荒い呼吸を正しながら伸ばした指は…インターコムのボタンまで距離数㎝を維持しながらプルプルと震えていた。

 

 

「ねぇ…あの状態のまま、かれこれ30分は経つんだけど…」

 

「放っておけ。心の整理がつかんのだろう。」

 

そんなシャルロットの様子を、正に勇気を出そうとしてる我が子を見守るが如く後ろから見ている鈴とラウラ。

 

シャルロットを含めたこの3人が織斑家に集合していた。集まった理由としては専用機持ち達の親睦会、等の上等な理由ではなく単なる馬鹿騒ぎが出来るのが夏休み中で数少ない為である。

 

 

「あれ?お前らどうした。まだ時間には早いぞ?」

 

「ふぇ!?」

 

突然後ろから声を掛けられたシャルロットが、戸惑い混じりの奇声を上げながら後ろを向く。

そこにはさも当たり前のように恋人つなぎをしているセシリアと一夏が居た。

まさか後ろから来るとは思いもしなかったシャルロットは、パニック状態に陥っていた。

 

 

「えっと…シャルルはどうした?声かけてはいけなかったか?」

 

「いや、これで良いぞ。どっちにしろこのままじゃ進まなかったしな。」

 

「そうか。まあ良い、上がっていけ。まだ準備出来てないがな。」

 

そう言いながら一夏は家の門を開ける。

そしてごく自然にセシリアが家の鍵を開けていた。

 

 

「ではアイン、私は準備してきますわ。」

 

「ああ、すぐ行く。では少し座って待っててくれ、今お茶でも出すから。」

 

3人は言われるがままソファーへと座り、リビングを見渡す。

3人共に一夏と交友はあるが、家に来たのは初めてである。故に気になってしまうのは仕方が無いのだ。

 

 

「ほれ、紅茶だ。生憎とこの家には日本茶や麦茶は無くてな。」

 

「ああ、大丈夫だ。この面子なら、紅茶も合うだろう。」

 

「そうよねぇ。私も日本茶より…ここんところ紅茶ばかり飲んでたし。」

 

そう言って割と優雅に茶器を持ち、少しずつ飲むラウラと鈴。対するシャルロットは緊張でガクブルだった。

いくらクラスメイトで友達とは言え、一夏は男なのだ。そんななか家にお邪魔することがシャルロットにとってどれだけ緊張することか、想像に難くない。

 

 

「…アイン!ちょっと手伝ってくれません?これ、思いのほか硬く…クッ、南瓜とか書く癖に硬いですわねこのカボチャ。」

 

「ああ、すぐ行く。ーーじゃあちょっと待っててくれ、少し席を外す。」

 

「ああ、わかった。」

 

セシリアの呼び声に応えながら、一夏はキッチンへと走って行った。

そのすぐ後、鈍く重い音が響いたが知らぬ存ぜぬで突き通したラウラ達だった。

 

 

「ちょっとシャルロット、あんた何してるのよ。」

 

「ほえ?ぼ…僕?」

 

一夏が居なくなったのを見計らい、鈴はシャルロットへと話し掛ける。

 

 

「せっかくのパーティーなのよ?それをこんなに緊張してどうするのよ。」

 

「だ、だって…」

 

鈴が指摘する通り、シャルロットは緊張のしすぎで現在まともに会話が成り立たない。

名の通りパーティーなのだ、会話が無ければ成立しない。集まったのは5人、その内1人が喋らなければ雰囲気も悪くなってしまうだろう。

 

 

「うん…そうだよね。よーし、頑張るぞ!」

 

「何を頑張るのか知らんが…まあその息だ。」

 

右腕を上に振り上げ意気込んだシャルロット、それを若干生温かい目で見る鈴とラウラであった。

 

 

 

 

 

 

 

        ーーーー△ーーーー

 

 

 

 

 

「それじゃあ、乾杯!!」

 

「「「「乾杯!!!」」」」

 

カチンとコップがぶつかり合い、甲高い音を響かせる。

そのコップの下には、何とも豪勢な料理が数多く並んでいた。

今日の集まりの為事前に仕込んでいた物もあれば、今日作った物もある。どちらにしろ、一夏とセシリアの手の込んだ料理であった。

セシリアが苦戦していたカボチャも並んでおり、カボチャの甘煮として皿に盛られていた。

ただその大半をセシリアが食べており、自身の好物の為に作ったと見え見えだった。

 

 

「そう言えば一夏……モグモグ……この後ってどうするの?…モグモグ。」

 

「それは私も知りたいな。パーティーと銘を打ってはいるが、このままではただ食べるだけだしな。」

 

今後の予定に疑問を持った鈴が、はしたなくも食べながら聞く。それに便乗するようにラウラも口を開いた。

 

 

「食べながら喋るなっての、たく。で、今後の予定ね。こんなのがあるんだが…興味はあるか?」

 

そう言って一夏が取り出したのは端子の差し込み口が付いた硝子キューブ、そして人の頭程の大きさのある媒体だった。

 

 

「っ!! それは…まさかこんな所でお目にかかれるとは。」

 

「ん、ラウラなんか知ってんの?」

 

「ああ。構造までは詳しくは知らんが、あれはイギリス軍が開発し世を騒がせたフルダイブ型のVR訓練デバイスだ。確か名前は…『Brain diver(ブレインダイバー)』だった筈だ。」

 

驚愕したラウラが口にした通り、イギリス軍が開発した最先端のもの。この機械はキューブと媒体2つセットのデバイス。

ただ1つ欠点を上げるとすれば、これらだけではフルダイブ出来ないと言う点。

媒体もキューブも、それら単体でも同時使用でも人間を電脳世界へダイブさせる事は出来ない。

そのためにイギリス軍は技術を結集し、極秘裏に『篠ノ之束』の力を借りて制作したのだ。

 

構造は案外簡単で、キューブに専用端子でISを接続するだけ。というシンプルな物だ。

ISは未だブラックボックスであり、解明されている部分が少ない。だが史上には、IS間を介して操縦者同士が一時的な仮想ダイブを実現させた事例がある。

イギリス軍はそこに着目したのだ。

偶発的に起きた事象を意図的に引き起こし、活用できないかと。

 

それは束の力により解決し、使用者側が訓練機…ないしは専用機を接続する事でコアネットワークを使用して電脳ダイブを実現させた。

その技術は確かに世を震撼させたが、それが世に出回ることは無かった。

理由は単純である、高いのだ。

対のデバイス1つ作るだけでも、IS1機を制作するのと同じだけの金額が掛かるのだ。

それほどのコストであれば、ISを1機作った方が現実的である為に制作されたのはたったの1つ。そう、一夏が持つ物だけである。

 

半分ほど伝説になっていたそれを見て、ラウラはかなりテンションが上がっていた。

 

 

「これは俺が軍部に居た頃にあった量産計画、その試作品でな。量産化に向けたデータ集めの為に貰い受けたのさ。ま、今じゃそんな計画は白紙に戻って忘れ去られているだろうけどな。」

 

「そうですわねぇ。懐かしいですね、毎日やってはバグ探しの連続でしたから。」

 

一夏もセシリアも、その時のことを思い浮かべて感慨深い表情だった。

 

 

「さて…これは1機の同時接続数が5人。全員で出来るが…どうする?」

 

「「「やる!!」」」

 

鈴、シャルロット。そしてラウラは同時に声を張り上げた。

完全なフルダイブ型等滅多に体験できない。まして今逃したら次は無いであろう。

故に全員が食いついた。

 

 

「了解。んじゃあ食べたらやるか。」

 

「そうだな。まずは目先のご馳走だ!」

 

早くやりたいがために、若干急いで食べ始めた3人。それを見た一夏とセシリアは、同時に顔を見合わせると苦笑いを浮かべたのだった。

 

 

 

 

 

 







え?誰か足りない?
そんなことは無い。いいね?




え?篠ノ之箒?

さあ?実家の手伝いじゃ無いかなぁ。






設定



ブレインダイバー


イギリス軍が開発した最先端技術が詰まったフルダイブ型VR装置。
ISを介しコアネットワークを利用することで、操縦者は任意のソフトウェアで遊ぶことが出来る。
訓練用デバイスだが、ISに振り回されるような新兵向け…主にコアとの同調率を高める為に使うように作られた。

ソフトウェアは多数有り、本格的なVR訓練からRPG等々。色々と揃っている。


メイドイン篠ノ之 
的な技術が多数使われているためにコストが高価になり、当時量産化が鎮座した残念な状況に陥った。

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