ダイクン皇国は本日も平和です。   作:黒岩 虎吾郎

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07ビタ研レポート1byシロッコ

 私の名はパプティマス・シロッコ。ダイクン皇国成立の立役者にて中心人物である。

 みなよ、私を讃えるがよい。『狂犬ブラザース』とか『究極のダメンズ』と世間一般では呼ばれるが私の実績の前には些細な事である。

 

 今日はこの私がカミーユ・ビタン ニュータイプ研究所、通称ビタ研の多数ある報告書をわかりやすい形でみなに教示しようではないか。

 

 

 その前に私自身の事を少し紹介する必要がある。私は木星でのヘリウムⅢ採掘船、ジュピトリスの艦長を務めていた。この船は巨大で移動する都市といってもよい。そこで私はカリスマ指導者をアクトしていた。グリプス戦役が始まる頃にこの船と共に地球圏に帰還したのだが、さまざまな出会いがあった。

 なかでも女王ベルトーチカ様と盟友シャアとの出会いは私の人生を決定したと言ってもよい。

 

 私は私の人生において色々な役をアクトしてきた。木星時代のカリスマ指導者、グリプス戦役後のマッドサイエンス。ダイクン皇国が設立された時は陰湿で優秀な施政者。

 男性という生き物はその生存戦略として誰かに奉仕したいという願望を持っている。私はこの願望が著しく強いのである。特に女性から望まれた場合はできる限り応じている。一時期、私は女性主導の国家の建設を目論んだ事がある。それは私の深層意識願望によるものではないかとビタ研は位置づけている。

 

 

 さて、ビタ研はニュータイプの精神修行や精神安定に重きをおいており、戦闘能力の開発を目的とする今までのニュータイプ研究所とは少々赴きがことなる。しかしながら両方とも能力調査と分析が重視されるのは同じであり、そこから興味深い事柄を紹介しようではないか。

 

 

 現在のダイクン皇国に暮らす者のほとんどがニュータイプの能力を持っている。

 それはS~Eのランクで格付けされる。ここで注意いただきたいのはCランク以下の存在である。彼らはニュータイプ能力を持ってはいるが実のところオールドタイプと言われる人々との差はわずかなものである。ただ、ほんの少しだけ切替や自己の再構築が上手い程度の存在である。

 私はビタ研の最大の研究成果はここにあるのではないかと思っている。この能力分析、格付けの仕組みはやさしい時代の幕開けと呼ばれる今の現状を維持するためには必須である。

 

 補足するとニュータイプランク付けには発動と素養の2種がある。もっとも理想的なニュータイプと呼ばれるバナージ君は発動がCで素養がSである。似すぎていて気まずい思いをお互いしたカミーユ君は発動Sで素養がSSSである。ちなみにSSSランクは今の技術では解析できない能力と定義づけている。

 

 こういった働きかけは人々の無意識化に影響を与えるため、ダイクン皇国の政治や法制は今までの国家と少し違った者となっている。

 

 皇国を訪れた者がまず驚くのは教育制度である。旧来の教育体系に準じる形で説明すれば、大きくは小学高と中、高校に分かれており大学は研究機関と同一化している。そして、学年や学級という概念がないのである。それは学年や学級という均一の教育を行う仕組みはニュータイプの素養を持つ者と相性が悪いため個人教育へ特化しているのである。

 一方で集団行動が苦手かというと、そうではなく目的を満たすために無意識的に最適な集団を作り、無意識的な秩序を持って行動する。旧世紀の日本という国が持っていた、集団行動意識が教育せずとも発動するのである。

 最適な集団行動や意識は暴走という危険を孕んでいるため、モラル教育と自己防衛についてはかなりの時間が割かれている。まあ、自己防衛についてはコロニーという箱庭で暮らすための必須なため宇宙世紀においては珍しいのものではない。

 

 

 もう1つ驚かれるのは結婚制度である。それは一夫多妻や多夫一妻制を認めているためである。これを目的として移住してくる者もいるほどである。

 

 ニュータイプ能力を持つ者の恋愛はスピーディーである。ニュータイプがニュータイプとしてあるがゆえの無意識レベルでの認識の向上と融和は正確な一目ぼれを発生させる。それは良くも悪く社会に大きな影響を及ぼしている。

 

 男性においては非常に脇が甘い状態。ようは女性に誘惑されると断れないタイプの男性が激増したのである。本人がそういう状態を嫌がっているケースも多くパートナーからの助けで操を守っている事が多い。『ロンドベルの種馬』と悪名高い。カミーユ・ビタン氏だが彼と性的関係を持つ事は非常に難しい。

 彼は現パートナー達に精神的に守られているためである。そして、彼の周辺には愛が重い女性が多いため手をだすと物理的に大変な事になる。さらにタチの悪い事に彼の周辺は親衛隊と呼ばれる男性で固められている。さらにさらに生霊までもがいる。

 親衛隊は彼の周辺にいれば、寄ってくる女性のおこぼれ預かれるという撒き餌的発想からの結成であったが何時しか性的にカミーユ氏を愛でるようになり、奇妙なハーレムを形成にいたっている。ちなみに親衛隊長はかつて最強のオールドタイプと呼ばれたヤザン・ケーブルである。

 

 女性にもてる印象が強い。シャア・アズナブル氏については一夜限りの恋に陥る事が多く、彼の奥方であるハマーン女史からよく折檻を受けているとの噂である。彼の名誉のためフォローすると必ずしも本人の意思によって行われているわけではなく、ニュータイプ能力が原因の一端である。

 

 

 女性陣についてはどうであろうか?女性は2~5名のコミュニティを形成し一人の男性を囲い込むというケースが多く見られる。ダイクン皇国においては男女比が1:1の恋愛の方が少数派かもしれず、ビタ研は継続的に調査、分析を行っている。

 女性のとって魅力が少ない男性はパートナーを得る事が難しいと思えるが、実情はあまり困っていないようである。1つはサラ・ザビアロフ女史のように複数の男性を受け入れるという事を好む女性がいる事と男性は男性で共同体を形成するため困らないのである。男性の共同体は精神的つながりが重視される傾向にあり性的関係は必須ではない。

 また、幅広い年齢層にて共同体を形成する場合があり、年齢が近い者同士で形成される女性の共同体とは違う傾向である。そして、このコミュニティを好んでわたり歩く女性が一定数存在する。

 

 遺伝子は自己生存本能を持っており競争と淘汰を行っているが、ニュータイプ能力を発動した者たちは旧来よりも高いレベルで行われているいうのがビタ研の分析結果である。

 

 そのためダイクン皇国の婚姻と遺産制度は極めて複雑になっており、文章にて一言で説明するのは難しいが、重婚、同姓婚姻、近親婚を認めている状態である。唯一の禁忌は近親で子供を設ける事でこれは厳しく制限されている。

 

 

 私自身はどうであろうか?私は少々特殊なケースで完全な独り身である。私の人生はベルトーチカ様にささげると決めているために、今後もパートナーを持つ予定はない。だが、女性には奉仕の心持っており奉仕を行う事はやぶさかではない。

 たとえばサラ女史のように望まれれば子種を提供する事もある。彼女曰く、独り身のパプティマス様には人生の潤いが必要で私はそれを与える事ができるから行うとの事だが、客観的にみれば夫であるカツ氏の遺伝子に不満があるためにしか見えないが、口をつぐんでおこう。

 

 口煩い者は私の事を『最強して最悪の寝取り男』というが、私は同意のうえで行っており、このように言われる事は心外である。私はそういった男女の営みよりもベルトーチカ様からご褒美をいただく方がはるかいよい。特に臭いが強いものなどは最高である。

 これは彼女が幼少のころから、今も変わっていない。私の脳内には成長に伴い変化していった臭いが保存されている。

 

 惰弱な事にわが盟友であるシャアは迷走している。幼少のころは甘えてもらう事、最近は蛆虫のような目で見られ、最低と呼ばれ踏まれる事を好んでいる。一本筋が通っていないと言わざる得ない。

 

 両方とも変態だよ(by天然パーマ)

 


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