この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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7話 「ゆんゆんを加え、八幡達は再びカエルを狩る」

「それじゃあまずは、ゆんゆんの実力が見たいから、クエストに行こうか」

 

俺達はゆんゆんをパーティに加え、今後の事を話し合っている。

 

場所は先程と同じくギルドだ。

 

「はい! 頑張ります!」

 

ゆんゆんが両手の拳をグッと握る。

 

随分とやる気ですね。

 

「行ってらっしゃい」

 

俺はヒラヒラと手を振る。 ぶっちゃけゆんゆんは相当強いだろうし、実力を見るだけならクリスだけで十分だろ。

 

「ハチマン君も行くんだよ!」

 

「え、なんでだよ。 実力見るだけなんだからクリスだけでいいだろ」

 

「ハチマン君のレベル上げも兼ねてるんだよ! このパーティで1番レベル低いのハチマン君だからね⁉︎」

 

隣に座っているせいでクリスの声が耳に響く。

 

なんでエリスと同じ声なのにこんなに違うんだ……

 

「……へいへい分かりましたよ、行きますよ」

 

「よろしい」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クエストって、またカエル狩りかよ」

 

俺達は先日ジャイアント・トードを狩った草原へやってきた。

 

「しょうがないでしょ、まだクエスト完了してないし、今は初心者用のモンスターはコイツしかいないんだから」

 

「わ、私は構いませんよ? 」

 

「はぁ…分かったよ、確かあと3匹だったよな?」

 

「うん、そうだね」

 

ちょうど今草原には三体のジャイアント・トードがいる。

 

さっさと終わらせて帰ろう。 家に帰るまでが遠足だからな。

 

「じゃあゆんゆん! やっちゃって!」

 

「遠慮しなくていいからなー」

 

「はい!」

 

ゆんゆんがカエルに杖を向け……

 

「ライトニング‼︎」

 

叫ぶ。

 

すると、ゆんゆんが狙っていたカエルに雷が落ち、一瞬で黒焦げになった。

 

そう、一瞬だ。

 

「…………………は?」

 

俺は唖然としていた、あのカエルは強い訳じゃないが、決して弱い訳でもない。

 

なのにそれを一瞬………

 

「す、すごいよゆんゆん! ビックリしたよ!」

 

「そ、そうですか…? えへへ…」

 

ゆんゆんが頭を撫でながら恥ずかしがる。

 

そして、ゆんゆんが倒したカエルの近くにいたもう1匹がこっちに向かってくる。

 

「お、おい…なんかこっち来てるぞ」

 

「よぉーし! ならもう一体も倒しちゃいますね!」

 

「やっちゃえやっちゃえー!」

 

ゆんゆんはカエルの方に走っていき……

 

「ライト・オブ・セイバー‼︎」

 

ゆんゆんの右腕に光の剣が現れ、カエルを真っ二つにした。

 

…………………………いやいや…

 

「ゆんゆん…」

 

「な、なんですか? ハチマンさん」

 

「お前…強すぎない?」

 

「そんな事……えへへ…」

 

可愛い。 素直にそう思える。 どっかのあざとさ100%の一年とは大違いだな。

 

「この調子で残りの一体も……」

 

「いや、待ってゆんゆん」

 

残りのカエルに杖を向けたゆんゆんを、クリスが止める。

 

………なんだ、嫌な予感がする、ハチマン帰りたい。

 

「最後の一体はハチマン君に任せない?」

 

ほら来た。

 

「嫌だよ、このままゆんゆんがやった方が早く終わるだろ」

 

「さっきも言ったでしょ、今回はハチマン君のレベル上げも兼ねてるの。 ………それに…」

 

クリスが俺の耳に顔を近づけ、ゆんゆんに聞こえない小さな声で……

 

「それに、ハチマンさんが強くならないと、魔王は倒せませんよ?」

 

エリスの口調で言ってきた。

 

……そんな事言われたら、断れないだろ。

 

「分かったよ、確かに、女より男の方が弱いのはカッコ悪しな」

 

「うん! やる気になったね!」

「あぁ」

 

俺は背中の片手剣を抜き、遠くのカエルを見る。

 

「ヒキガエルと散々言われ続けてきたからな、あいつに八つ当たりしてやる」

 

「八つ当たり⁉︎」

 

「ひ、ヒキガエル…?」

 

2人の声が聞こえるが、もう反応しない。

 

俺は足に力を入れ、全力で地面を蹴る。

 

すると、自分でも驚くようなスピードが出た。

 

「は、速っ‼︎ ハチマン君⁉︎」

 

「す、すごいスピード……」

 

あっという間にカエルの近くまで来た、今回カエルは俺の方をじっと見ている。

 

流石に気づくか。

 

「でも…もう遅いぞ」

 

俺は既に居合斬りのモーションに入っている。

 

今俺に気づいたばかりのカエルには、避ける時間はない。

 

「じゃあな、経験値ゲットだぜ」

 

俺はカエルの腹に全力で居合斬りをした。

 

カエルは見事に下半身と上半身に真っ二つに分かれた。

 

「ふぅ……おっ、レベルが2になってる」

 

俺は冒険者カードを見ながら、未だに口を開けているクリスとゆんゆんの元へ歩いて行った。

 




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