この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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6話 「ギルドで、八幡達はぼっちに声をかける。」

「おいクリス、その新しいメンバーってどこにいるんだよ」

 

「えっとね……あ、いた! ほらあそこだよ」

 

俺とクリスはカエル狩りの次の日、新たなパーティーメンバーを募集するためにギルドに来ていた。

 

どうやらクリスはもう誰に声をかけるのか決めているらしいので、俺はただクリスに従う。

 

そしてクリスが例の人物を見つけ、指をさす。

 

「どれどれ……」

 

さて…どんな奴がパーティーに入るんだ?

 

そう思いながら見ると……

 

「……おい、クリス」

 

「なに?」

 

「マジであいつに声かけるの?」

 

そこに居たのは1人の黒髪の少女だった。

 

見た目は……まぁ、可愛いな、そしてデカい。 どことは言わないがな。

 

だが……あいつはなんか…俺と同じ感じがする。

 

あいつは多分ぼっちだ。

 

「え? そうだけど…なんで?」

 

「いや…なんかな…」

 

「実はね…」

 

クリスがいきなり俺の耳に顔を近づける。

 

ちょちょちょ、近いよクリスさん。

 

「実は天界から見てたんだけど、あの娘いつも1人で座ってたんだ。 もう可哀想で可哀想で…」

 

なにこの女神。 優しすぎだろ。

 

「だからさ、パーティーに入れるならあの娘にしたい」

 

「まぁ……文句はねぇよ」

 

俺は了承し、静かに座る黒髪少女の元へ向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あのー、ちょっとお話ししない?」

 

クリスがいきなり少女に話しかける。

 

馴れ馴れしくないですかねクリスさん、俺だったら突然こんな事言われたら……

 

「……う、うぇ? え⁉︎ わ、私⁉︎ え⁉︎ 私に話しかけてるんですか⁉︎」

 

こうな……らないな。 うん、流石にここまではならない。

 

せいぜい「……え? あ、おう…」くらいか。

 

………ごめんちょっと嘘ついたわ、絶対キョドるわ。

 

「うん、君に話しかけてるよ、それで、今暇かな?」

 

「は、はいはい! 暇です!」

 

少女は急に笑顔になって頷きまくる。

 

テンション高いな。

 

俺とクリスは少女の前の席に座る。

 

なんか面接みたいだな。

 

「えっと、まずは自己紹介するね、私はクリスだよ。 それでこっちが……」

 

「……比企谷八幡だ」

 

「クリスさんに、八幡さん……」

 

「うん、それで…あなたは?」

 

「うぐっ…」

 

クリスが名前を聞いたら、何故が少女の顔が曇った。

 

なんだ? なんか言いづらい事なのか?

 

「わ……」

 

「わ?」

 

「わが……」

 

少女は深呼吸をして、覚悟を決めたように目を開き、突然立ち上がる。

 

そして着ていた黒いローブをなびかせ、叫ぶ。

 

「わ、我が名はゆんゆん! アークウィザードにして上級魔法を操る者! やがて紅魔族の長となる者………!」

 

「…………」

 

「…………」

 

俺とクリスは無言になる。

 

ダメだぞハチマン。 笑うな、絶対笑うなよ俺…!

 

「えと……うぅ…」

 

「はっ! ごめんね! ちょっとびっくりしちゃって! ゆんゆんだね、よろしく! ほらハチマン君も!」

 

「痛っ!」

 

クリスの奴、思い切り背中を叩きやがったな……

 

まぁ、なんか言っといた方がいいか。

 

「その……独特な自己紹介だな。 い、いいと思うぞ?」

 

「うぐっ!」

 

「は、ハチマン君! もうバカ!」

 

あれ…? やっちゃった?

 

ゆんゆんは胸を押さえて机に突っ伏してしまった。

 

「ゆ、ゆんゆん? あのね、あたし達さ、今パーティーメンバーを募集してるんだ」

 

クリスがそう言った瞬間、ゆんゆんが勢いよく顔を上げる。

 

顔は若干赤い。

 

「それで、出来れば魔法が使える人がいいなーって思っててさ……」

 

「はい」

 

「もし良ければなんだけど…あたし達と、パーティー組んでみない?」

 

「喜んで‼︎」

 

即答! 即答だよこの娘! なんなの、どんだけパーティー組みたかったの、可哀想すぎるだろ。

 

「やった! じゃあよろしくね!」

 

「は、はい!」

 

ゆんゆんとクリスが握手する。

 

いやー、仲がいいのはいい事だな。

 

………ん? なんだ? ゆんゆんがモジモジしながら俺を見ている。

 

なにこの娘、可愛い。

 

「あ…あの……」

 

「なんだ?」

 

「あ、あなたとは…その…仲良くなれる気がします…」

 

「奇遇だな、俺もだ。 ぼっち同士、仲良くぼっちしようぜ」

 

俺とゆんゆんは握手する、ここにぼっち同盟が完成した。

 

「仲良くぼっちって何⁉︎ てかハチマン君! あたしとは握手してくれなかったのに、なんでゆんゆんとはすぐ握手するのさー‼︎‼︎」

 

ギルド内に、クリスの叫びが響き渡った。

 

 


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