この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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5話 「草原で、八幡達は巨大カエルを狩る。」

「さて、早速クエストを受けるよ! 仕事仕事!」

 

「うわっ…仕事って言われると急にやる気無くすな…帰っていい?」

 

「えぇ⁉︎ ダメに決まってるでしょ!」

 

働きたくねーよー……

 

そんなこんなで、俺達は武器を買った後、ギルドに来ている。

 

因みに片手剣は背中に刺している。

 

「えっとー…、あったあった! ジャイアント・トード!」

 

どれどれ……

 

ーーーークエスト内容ーーーー

 

ジャイアント・トード5体の討伐。

 

1匹につき2万エリス。

 

5匹で合計10万エリス。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

…………はっ?

 

「じゅっ、じゅじゅじゅ…10万⁉︎」

 

「うん、まぁ最初にしては充分な額じゃないかな」

 

10万だと…?

 

俺とクリスで山分けしたとしても5万、5万あればゲームソフト買い放題じゃねぇか!

 

「…………あっ…」

 

「ん? どしたのハチマン君? いきなり嬉しそうな顔したのに突然絶望したみたいな顔になって」

 

この世界、ゲーム無いじゃん……

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「おぉー…すげぇ広い草原だな」

 

あの後テンションが低くなったが、クリスが一生懸命この世界の娯楽や美味しい物がある事を教えてくれて、なんとかクエストを放棄する事は無かった。

 

そして俺達はジャイアント・トードが現れるという草原に来た。

 

「おい、いないみたいだぞ」

 

「まぁまぁ、そろそろ出てくるはずだよ……、あっ、来たよ!」

 

「お、どれどれ…」

 

クリスの視線の先を見る。

 

……はい?

 

なにあれ、土の中から巨大な…カエル? が出てきたんだが……

 

「く、クリス…さん? 」

 

「なに?」

 

「あれがカエルなの? 俺の知ってるカエルは手のひらサイズの奴なんだけど……」

 

「ハチマン君の世界とは違うんだよ。 この世界のカエルは、人も食べるよ」

 

何それ八幡怖い。

 

「早速狩りに行くよ!」

 

「えっちょ!」

 

クリスが俺を差し置いて先に行ってしまった。

 

っていうかクリス足早くね?

 

「あんまり短剣は使ったことないけど…」

 

クリスは身軽にカエルの身体を登っていき、カエルの頭の上に乗る。

 

すげぇ……

 

「先輩として、ハチマン君に良い所見せないとね!」

 

クリスはそのままカエルの頭に短剣を突き刺す。

 

クリスの短剣は斬れ味がいいのか、カエルの頭を貫通して、クリスはそのまま地面に着地する。

 

頭に穴が空いたカエルはそのまま横に倒れた。

 

「……ま、マジかよ…」

 

「どう? ハチマン君、凄いでしょ?」

 

「あぁ、鳥肌が立っちまった」

 

俺とクリスが話していると、右奥からまた1匹、ジャイアント・トードが地面から出てきた。

 

「さて、次はハチマン君の番だよ! まずは1人でやってみて」

 

「えっ1人? 手伝ってくれないのか?」

 

「危なくなったら勿論助けるけど、最初からあたしも参戦すると、君絶対サボるでしょ?」

 

「うぐっ…」

 

よく分かったな…

 

「…はぁ、分かったよ、1人でやってみるわ」

 

「うん! 頑張ってー」

 

クリスは手をヒラヒラと振って俺を見送る。

 

俺は剣を抜き、ゆっくり…ゆっくりとカエルに近づく。

 

…はぁ…近くで見るとめっちゃでかいな、俺だけで倒せんのか?

とにかく、気づかれたらマズイよな、極力音は出さないように……存在感を消して…

 

ステルスヒッキーだ、いつもクラスで無意識にやってただろ、あれをやればいいんだ。

 

「………ん?」

 

カエルの目の前まで来たが、カエルは辺りをキョロキョロと見回している。

 

まさか……コイツ、俺に気づいてないのか?

 

動物にすら存在を認識されないとかなんなの、ステルスヒッキー強すぎだろ。

 

強すぎて涙目になるレベルだ。

 

「……おりゃっ」

 

俺は思い切りカエルの腹を剣で斬る、カエルの腹から血が噴き出す。

 

カエルはビックリして後ろに下がり、また周りをキョロキョロと見回す。

 

嘘だろ? まだ気づいてないの?

 

「なら次は……、よっと」

 

俺はクリスの真似をしてカエルの身体を登って、頭の上に立つ。

 

なんだ、やろうと思えば意外と出来るもんだな。

 

「さて……おいお前、本当に気づいてないの?」

 

試しにカエルの頭をゲシゲシと蹴ってみるが、なんの反応も無い。

 

「そ、そうかそうか……俺はそんなに影が薄いか…」

 

なんだ…なんかイラついてきたぞ……

 

俺は片手剣を持つ手に力を入れ……

 

「2万エリス、ゲットだぜ」

 

カエルの頭を思い切り斬った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「クリス、どうだ?」

 

カエルを倒した俺はクリスの元へ向かった。

 

クリスは俺をジッと見て…

 

「ハチマン君…君、強すぎない?」

 

そう言った。

 

「なにあれ、ジャイアント・トード全く君に気づいてなかったじゃない」

 

「あぁ、そうだな、思い出すだけで腹が立つぜ」

 

「……あれ、どうやったの?」

 

「あれって? ステルスヒッキーの事か?」

 

「ステルス……ヒッキー? なんかのスキル?」

 

俺はクリスにステルスヒッキーの説明をした。

 

最初はワクワクしながら聞いていたクリスだったが、話が進むにつれ、顔が引きつってきた。

 

「以上が、俺の必殺技、ステルスヒッキーだ」

 

「…うん…、もうその話はしない事にするよ…」

 

そうしてくれ、俺も話してて悲しくなるからな。

 

「さて、ハチマン君、今日はもう帰ろうか」

 

「え? まだ夕方だぞ?」

 

「夕方からはジャイアント・トードが活性化して、大量に出てくるんだよ」

 

「なるほど……」

 

「だから今日は早めに休んで、明日また来よう」

 

「了解」

 

俺とクリスはジャイアント・トード2体の討伐の報告をする為、ギルドに向かった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺は今ギルドの椅子に座って水を飲んでいる、クリスはジャイアント・トードの報酬を受け取りに行っている。

 

「はい、ハチマン君。 報酬は山分けでいいよね?」

 

帰ってきたクリスは、そう言って俺に2万エリスを渡してくる。

 

「おう、サンキュ」

 

俺はそこから二千エリスを抜き取り…

 

「ほら、返す」

 

「ん? 何これ?」

 

「登録料と、装備料だ」

 

俺はクリスに合計二千エリスの借金をしている。

 

借金は早めに返しておいたほうがいい。

 

「えぇ…別に返さなくてもいいんだよ?」

 

「いや、パーティ内でも、そういった事はちゃんとした方が良いだろ。 俺は養ってもらう気はあるが、施しを受ける気はないんだ」

 

「それ、結局一緒なんじゃ……、まぁいいや、貰っておくね」

 

「おう」

 

「あ、パーティで思い出したんだけどさ」

 

クリスが手を叩いて言う。

 

なんだ? いきなりパーティ解散します。 とかか?

 

「新しいパーティメンバー、募集しない?」

 

「………理由は?」

 

「うん、あたしと君って、バリバリの接近戦タイプじゃない?」

 

まぁ、そうだな。 俺は片手剣、クリスは短剣だし。

 

「だから、魔法使いを募集しようと思うんだ」

 

「なるほどな」

 

「……どうかな?」

 

クリスが不安そうに聞いてくる。

 

わざわざ俺に許可とる必要ないだろ。

 

「ベテランのクリスがそう言ってるんだ、初心者の俺が反対するわけないだろ」

 

「! じゃあ…!」

 

「あぁ、魔法使いを募集するのは賛成だ」

 

「やった! 実はもう目星はつけてあるんだ! 明日、早速声をかけに行くよ」

 

「へいへい…」

 

もう目星をつけてるとか、流石はクリスだな。





次回、ついに2人目のメインヒロインが登場です!

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