この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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4話 「武器屋で、八幡は武器を選ぶ。」

「なぁ、クリス」

 

「何? ハチマン君」

 

「さっき”泊まれる場所”って言ったよな?」

 

「うん、言ったよ? だから泊まれる場所に来たじゃないか」

 

「どう見ても馬小屋だろここ。 何なの? 「お前は普通の宿に泊まる資格はねぇよ」って言いたいの?」

 

俺はクリスに連れられて宿に来た……はずなんだが、目の前にあるのは、なんか臭い匂いがする馬小屋だった。

 

「違うよ! 駆け出しの冒険者は最初は馬小屋に泊まるんだよ!」

 

「この街に宿はないのか?」

 

「え? あるよ?」

 

「んじゃそこに行こうぜ」

 

「お金ないじゃん…」

 

……あっ、そうだよ、金ないんだ。

 

「…冒険者だし、無料になったりとかは…」

 

「しないよ、多少は安くなるけどね」

 

あっ、安くはなるのか。

 

まぁ…泊まれるだけいいか…

 

「分かった、今日はここに泊まろう」

 

「うん、早速入ろうか」

 

俺達は馬小屋の中に入った。

 

うん、馬小屋だな。 当たり前だが。

 

俺はとりあえず藁に座る。 おっ、意外にフカフカだな。

 

「おいクリス、意外にフカフカだ……ぞ…?」

 

俺は絶句した、先程までクリスが居た場所には……

 

「どうしました? ヒキガヤさん」

 

「め、女神様…」

 

そう、女神がいた。

 

いや、違う、エリスだ。

 

「め、女神って…まぁそうですけど、ちょっと恥ずかしいですね…」

 

「世界一可愛いよ」

 

あっ、やべ、小町に言うときと同じ事を言ってしまった。

 

世界一可愛い人が2人とかもう天国だろ。

 

「かっ、かわ…」

 

エリスが顔を赤くする。

 

ヤバイな、これは話題を変えるのがいいだろう。

 

「え、えっと…なんで急にエリスの姿になったんだ?」

 

おぉ、我ながら自然な話題転換だったぞ。

 

よくやったぞ俺!

 

「えっ⁉︎ あ、あー…流石に1日中クリスのままでいるのは、魔力がもたないんです」

 

「あ、そうなの?」

 

「はい、なのでヒキガヤさんと2人の時だけはエリスの姿になる事にしました」

 

「なるほどなー」

 

やっぱり変身には魔力がいるのか、そりゃなんのリスクもなしに変身とか出来るわけないよな。

 

「じゃあ、暇だし明日の打ち合わせでもするか」

 

「そうですね」

 

「まず、明日は俺の装備を買いに行くんだよな?」

 

「はい、ヒキガヤさんはソードマンなので、片手剣を買いに行きます」

 

「片手剣か」

 

剣は男のロマンだ、上手く扱えるかは分からんがな。

 

「そしてその後、ジャイアントトードを狩りに行きます」

 

「ジャイアント…トード? カエルか?」

 

「はい、カエルです」

 

「そ、そうか、カエルか」

 

え? 何? この世界にはカエルを狩るクエストがあるの?

 

どんだけ凶暴なカエルなんだよ。

 

それから、俺達は適当に話をしてから、眠りについた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ヒキガヤさん、ヒキガヤさん! 朝ですよ」

 

「ん…あと1時間…」

 

「そんなに待てません! 早く起きてくださいっ!」

 

エリスが俺の毛布を取る。

 

「さ、寒い…」

 

「早く起きてください、出かけますよ」

 

「あぁ…分かったよ…」

 

俺は渋々起き上がる。

 

これだから朝は嫌いだ、早寝早起きができる奴はもう人間じゃないと思う。

 

「よしっ! じゃあ行くよ! ハチマン君!」

 

俺が目を離した隙に、エリスがクリスになっていた。

 

本当便利だなぁ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺達は馬小屋から少し歩き、武器屋にやってきた。

 

「なぁクリス、どれがいいんだ?」

 

「んー…最初だし、あんまり高いのじゃない方がいいかもね…」

 

「そうか、じゃあ1番安いコレでいいや」

 

俺が手に取ったのは、1000エリス、と書いてあった片手剣だ。

 

ざっと見たところ、コレが1番安かった。

 

「え⁉︎ 高いのじゃない方がいいって言ったけど、別に1番安いのにしろ、なんて言ってないよ⁉︎」

 

「いいんだよ、どうせクリスに買ってもらうんだし、あんまり高いのは申し訳ないだろ」

 

そう、俺は金を持ってない、なので必然的に俺の物を揃えるにはクリスに買ってもらう必要がある。

 

だから俺は贅沢は言わないのだ。

 

「お、おぉ…君って以外と気配りが出来るんだね…」

 

「当たり前だろ、しかも女子に……そんな失礼な事できるかよ」

 

「ははは……女の子でも容赦しない男の子もいるけどね…」

 

クリスが肩を震わせながら言った。

 

なんだそいつは、絶対に会いたくないな。


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