この幸運の女神と紅魔族のボッチとの冒険は間違っている。   作:皐月 遊

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2話目になります!

なるべく原作の設定や雰囲気を壊さないように頑張ります!


2話 「なぜか、エリスはこの世界では盗賊娘として活動してるらしい。」

目を開けると、そこはもう白い空間では無かった。

 

俺の目に映ったのは……

 

「おぉ…本当に異世界に来たのか、まだ実感わかねぇな」

 

俺は辺りを見回す。

建物は日本の物とは違う、そして何より、人々が武器を持っている。

 

何ここ、無法地帯なの? 皆銃刀法違反で捕まるよ?

 

「おいエリス、異世界に来たはいいけど、まずは何をすれば……」

 

俺が「エリス」と言った瞬間、通路を歩いていた奴らの視線がこっちに向いた。

 

え、何? やめて見ないでハチマンコワイ。

 

「エリス?」

「おい今あいつエリスって言ったか?」

「まさかあのエリス様?」

「エリス様がこんな場所にいるわけないだろ」

「待って…あの地面に座ってる女の人、銀髪じゃない?」

「何⁉︎ まさか…」

 

なにやら皆ヒソヒソと何かを言っている。

 

やめろ…俺を見てヒソヒソするな…トラウマが…ハチマンコワイ。

 

「っ! ひ、ヒキガヤさん! ちょっとこっちへ!」

 

「え、ちょ、何だ⁉︎」

 

エリスが俺の手を掴んで路地裏へと走り出した。

 

可愛い女の子に手を握られるとか勘違いするだろ。

 

そして告白してフラれるまである。

 

「はぁ…はぁ…、もう追ってきてないみたいですね」

 

「き、急にどうしたんだ?」

 

ここは人気のない路地裏、ま、まさか!

 

「アンタさぁ…人前であーしの名前呼ばないでくんない? マジキモいんだけど」

 

とか言われるのか⁉︎ ってかなんでエリスと三浦が混ざってんだ。

 

エリスがそんなこと言うわけない、だって女神だもの。

 

「あの…ヒキガヤさん。 これからは、人前ではエリスと呼ばないでください」

 

………………え?

 

い、いいい今何て? 人前で呼ぶな?

 

そ、それはつまり…「お前みたいな奴に名前で呼ばれたくねぇよ」って事であり…

 

「す、すみませんでした!」

 

俺は土下座をした。

 

「えっ⁉︎ ヒキガヤさん⁉︎」

 

「自分みたいな奴に名前呼ばれたくないですよね! いや本当すみません!」

 

「ち、違いますよ! そういう意味じゃないです!」

 

ん? 違うのか?

 

俺が顔を上げると、エリスはホッとした顔をした。

 

「実は私、この世界では国教として崇められてる女神でして、名前も知られてるんですよ」

 

「え、そうなの?」

 

「はい、なので人前で私の名前を呼ぶと、先程みたいに騒ぎになるので…」

 

そういう事か、そりゃいきなり崇められてる女神様の名前を呼んだら騒ぎになるよな。

 

いやぁ、でも良かった。 嫌われたわけじゃなかったんだな。

 

「じゃあ新しい呼び方考えないとな」

 

「いえ、その必要はありません」

 

「え?」

 

突然、エリスが光りだした。 これはエリスが美しすぎて幻覚を見てるわけではなく、本当に光っている。

 

いやでも何これいくら何でも眩しすぎるんだけど。

 

目が、目がアァアアア!

 

「よし、何とか変身は出来るみたいですね」

 

急に光りが消えた。

 

俺はゆっくり目を開けると……

 

「……え? 誰?」

 

知らない男の子がいた。

短い銀髪に、背はエリスと同じくらいか、服装は動きやすそうな服だ。

 

そして美少年だ、なんとなく戸塚に似てなくもない。

 

「もう、私ですよ」

 

美少年が自分を指差して言う、声がエリスに似ている、そして敬語だ。

 

「なぁ少年、さっきまでここに長い銀髪を持ったお姉さんがいたはずだが、見てないか?」

 

「し…少年…?」

 

美少年がピクピクと震えだした。

 

なんだ? 寒いのか? そんな格好してるからだぞ。

 

俺は制服のブレザーを脱ぎ

 

「ホレ、寒いならこれ着…」

 

「ふんっ!」

 

「ぐえっ⁉︎」

 

思い切り殴られた。

 

え? 何? まさか戸塚に似た平塚先生?

 

異世界にまで結婚相手を探し求めに来たの? なにそれ悲しい。

誰か早くもらってあげて。

 

「私はっ! エリスですよ! 」

 

顔を真っ赤にして美少年は言う。

 

………え? エリス? この少年が?

いや、言われてみれば似てなくも……

 

「…マジで?」

 

「マジです! あの姿じゃマズイから変身したんですよ!」

 

「変身するのはいいんだが、性別まで変えなくてもいいんじゃないか?」

 

「この姿でも女性ですよ!」

 

「え、でも明らかにエリスの時と違うだろ、どことは言わないけど」

 

俺は変身後のエリスの胸を見る。 うん、雪ノ下みたいだ。

 

変身前のエリスは大きいわけじゃないが、確かにあった。

だが…今のエリスには無い。

 

変身前エリスが小だとすると、変身後エリスは無だ。

 

「……ヒキガヤさん?」

 

「なんだ? 今大事な事を考えてるか……ひっ⁉︎」

 

笑顔のエリスが居た、ここで、「やっぱり君は笑顔が1番だ」 なんてキザなセリフを言えるほど、俺は強く無い。

 

なぜなら、今のエリスの笑顔は怖いのだ、なにこれ、下手したら雪ノ下さんの笑顔と同じくらいだぞ。

 

「胸の事は…もう何も言わないで下さいね? 」

 

「はっ…はい…」

 

エリスを怒らせてはいけない。

 

俺はそう心に決めた。

 

「さて、話が逸れましたが、本題に入りましょう」

 

「はい」

 

「私はたまにこの世界に降りて、冒険をしていました」

 

「えっ? 女神のエリスが?」

 

「はい、見てるだけでもいいんですが、やっぱり自分でもやってみたくて。 後はエリス教の布教ですね」

 

「な、なるほどな」

 

女神自ら布教活動をしてるのか、大変だな。

 

「ちなみに、この姿の時の私はクリスと名乗っています。 なので人前では私の事はクリスと呼んでくださいね?」

 

「分かったよ、クリス」

 

「あ、あと口調も変えています」

 

おう…随分となりきってるんだな。

 

「この姿のあたしはこんな口調だから、はやく慣れてね?」

 

「……誰?」

 

「だからっ! エリスだよ! 今はクリスだけど!」

 

いくらなんでも違いすぎるだろ、もうどっちの口調が素なのか分からないよ。

 

「とにかく、これからよろしくね? ハチマン君!」

 

「おうふっ……」

 

ハチマン君、そんな呼ばれ方初めてですね、グッときますね。

ていうかグッときました。




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